第3章 枠組壁工法による長期優良住宅の躯体に 必要な品質、性能

第3章
枠組壁工法による長期優良住宅の躯体に
必要な品質、性能に関する検討
29
3.1
背景
枠 組 壁 工 法 に よ る 長 期 優 良 住 宅 の 躯 体 に 使 用 す る 枠 組 材 は 、平 成 13 年 国 交 省 告 示 第
1540 号 の 規 定 に よ り 、 日 本 農 林 規 格 ( JAS) に お い て 区 分 さ れ た 枠 組 壁 工 法 構 造 用 製
材等とされている。
し た が っ て 、 枠 組 材 が 現 状 に お い て 一 般 的 に 使 わ れ て い る 北 米 の 樹 種 群 S-P-F で な
く 、 国 産 材 の 製 材 の 場 合 で も 同 様 に 、 JAS に お い て 区 分 さ れ た 枠 組 壁 工 法 構 造 用 製 材
であればよいことになる。
今後、国産材活用の進展により供給の増加の見込めるスギ枠組材を用いた枠組壁工
法構造用製材において品質、性能を確認が必要である。
ま た 、告 示 第 1540 号 に 規 定 さ れ て い る 仕 様 の 耐 力 壁 で あ れ ば 、同 告 示 で 定 め ら れ た
壁倍率を適用してよいことになるが、過去において枠組材として使用の実績のないた
めに耐力壁の性能についても確認が必要である。
3.2
目的
枠組材に国産スギ製材を使用した耐力壁の性能確認試験を実施することにより、更
なる国産スギ製材の強度に関する知見の蓄積に資することを目的とする。
3.3
検討方法
国 産 ス ギ 製 材 の 枠 組 材 は 、 枠 組 壁 工 法 構 造 用 製 材 の JAS 認 定 工 場 等 に て 製 材 し 、 目
視 等 級 区 分 さ れ た 熊 本 県 産 ス ギ( 平 成 21 年 度 ) 、岩 手 県 産 材 ス ギ( 平 成 22 年 度 )
(写
真 3.3.1、 写 真 3.3.2) お よ び 埼 玉 県 産 材 ス ギ ( 平 成 24 年 度 ) の 寸 法 形 式 204 の 構 造 用
製材を用いた。
写 真 3.3.1 ス ギ 挽 き 板 の 桟 積 み
写 真 3.3.2 ス ギ 挽 き 板 の 乾 燥
なお、埼玉県産材スギの試験材については、径級別に分類された原木から各々製材
し、目視等級による格付けを行った。
寸 法 形 式 204 の 構 造 用 製 材 を 用 い て 構 成 さ れ た 耐 力 壁 に つ い て 、 指 定 性 能 評 価 試 験
機 関 が一 般 に運 用 している枠 組 壁 工 法 耐 力 壁 及 びその倍 率 の試 験 評 価 業 務 方 法 書 に示 され
た方 法 に基 づいて面 内 せ ん 断 試 験 を 実 施 し た 。
30
さらに、その試験結果をもとに指定性能評価機関で実施している耐力低減への影響
を考慮した耐力壁の性能評価を同業務方法書に従って行う。
3.4 ス ギ 枠 組 材 の 物 性 値
3.4.1
熊本県産スギ材
枠組材は、熊本県の松島木材センターにて製材および選別された在庫品とした。
ま た 、比 較 の た め に S-P-F の 枠 組 材 は 、カ ナ ダ の 工 場 に て 製 材 お よ び 選 別 さ れ た BC
州 産 の 甲 種 2 級 以 上 の 製 材 ( L=2,336mm) で あ っ た 。
表 3.4.1.1 は 、 枠 組 壁 工 法 耐 力 壁 の 枠 組 材 と し て 使 用 可 能 な JAS 規 格 区 分 お よ び 心
材( 写 真 3.4.1.1)と 辺 材( 写 真 3.4.1.2)の 区 別 を パ ラ メ ー タ と し た 仕 様 の う ち 、調 達
で き た サ ン プ ル 数 に つ い て 密 度 お よ び 動 的 ヤ ン グ 率 を 測 定 し た 結 果( 平 均 値 )で あ る 。
材 料 物 性 値 の 測 定 状 況 を 写 真 3.4.1.3 お よ び 写 真 3.4.1.4 に 示 す 。
写 真 3.4.1.1
心材の木口面
表 3.4.1.1
写 真 3.4.1.2
枠組材の仕様と材料物性
樹種群
W Cedar
樹種
スギ
JAS枠組壁工法構造用製材
甲種枠組材
乙種枠組材
Japanese Cedar
枠組材記号
特級
Select Structural
AS-CH
○
AS-CS
○
1級 2級
No.1
No.2
Construction
A1-CS
○
心材
辺材
Heartwood Sapwood
―
A2-CS
○
○
○
○
○
50
50
○
50
○
20
○
※表中のカッコ内数値は標準偏差を示す。
31
n
50
○
○
BSB-CM
サンプル
数
30
○
○
材料物性(平均値)
10
○
A2-CH
○
Standard
―
○
○
A2B-SM
コンストラクション スタンダード
S-P-F
○
A1-CH
辺材の木口面
100
密度
ρ
[g/cm3]
0.405
(0.027)
0.401
(0.036)
0.417
(0.042)
0.407
(0.037)
0.430
(0.043)
0.395
(0.032)
0.408
(0.033)
0.491
(0.036)
動的
ヤング率
E
[GPa]
8.702
(1.675)
9.111
(1.442)
6.870
(1.974)
8.744
(1.561)
7.274
(1.442)
8.221
(1.233)
6.891
(1.459)
10.364
(1.823)
写 真 3.4.1.3
枠組材の重量測定
写 真 3.4.1.4
枠組材の基本周波数測定
3
ス ギ 製 材 の 平 均 密 度 は 約 0.41g/cm で あ り 、 S-P-F製 材 の 平 均 密 度 ( 0.49g/cm 3 ) に 比
べ て 約 16%低 い 。ス ギ 製 材 の 平 均 動 的 ヤ ン グ 率 は 、JAS枠 組 壁 工 法 構 造 用 製 材 の 規 格 に
お け る 同 一 の 区 分 等 級 で あ れ ば 、辺 材 の ほ う が 心 材 よ り も 大 き い 傾 向 を 示 し て い る が 、
い ず れ も 甲 種 枠 組 材 2 級 以 上 の S-P-F製 材 の 平 均 動 的 ヤ ン グ 率 ( 10.364GPa) よ り も 小
さい。
3.4.2
岩手県産スギ材
枠 組 材 は、岩 手 県 の製 材 工 場 (けせんプレカット事 業 協 同 組 合 )において在 庫 しているス
ギ丸 太 から挽 き割 り、乾 燥 、モルダー加 工 の各 工 程 (写 真 3.4.2.1、写 真 3.4.2.2)を経 た製
材 (寸 法 形 式 :204,長 さ:3,000mm)とした。当 該 スギ製 材 300 本 について、通 し番 号 を付 け
た上 で重 量 測 定 および基 本 周 波 数 測 定 を行 い(写 真 3.4.2.3、写 真 3.4.2.4)、見 かけの密
度 および動 的 ヤング率 を算 出 した。
図 3.4.2.1 にスギ製 材 の見 かけの密 度 分 布 および密 度 区 分 (U35,U40,U45 の 3 仕 様 )、
図 3.4.2.2 にスギ製 材 の見 かけの密 度 と動 的 ヤング率 の関 係 を示 す。なお、見 かけの密 度
の平 均 値 384(標 準 偏 差 45)kg/m 3 であり、動 的 ヤング率 の平 均 値 6,713(標 準 偏 差 1,552)
MPaであった。
密 度 区 分 (U35,U40,U45 の 3 仕 様 )ごとに各 6 体 (計 18 体 )の耐 力 壁 試 験 体 の製 作 に
使 用 する枠 組 材 として、密 度 区 分 ごとに各 60 本 (計 180 本 )のスギ製 材 を採 用 して、全 数 共
通 で長 さ 2,336mm に切 り揃 えた。
写 真 3.4.2.1 ス ギ 挽 き 板 の モ ル ダ ー 加 工
写 真 3.4.2.2 ス ギ 製 材 ( 300 本 ) の 搬 入
32
写 真 3.4.2.3 ス ギ 製 材 の 重 量 測 定
写 真 3.4.2.4 ス ギ 製 材 の 基 本 周 波 数 測 定
300
250
密度400以上
450未満 →U45
度数
200
150
密度350以上
400未満 →U40
100
50
密度350未満 →U35
0
250
300
350
400
450
500
550
600
650
3
密度(見かけ) [kg/m ]
図 3.4.2.1
スギ枠組材の見かけの密度分布
16000
動的ヤング率 [MPa]
14000
12000
10000
8000
6000
4000
2000
0
250
300
350
400
450
密度(見かけ)
500
550
600
650
[kg/m3]
※ ●印 は耐 力 壁 試 験 体 の枠 組 材 として採 用 したことを示 す。
図 3.4.2.2
スギ製材の見かけの密度分布と動的ヤング率の関係
33
3.4.3
埼玉県産スギ材
試験材の製作に用いた小径間伐材を含むスギ丸太は、埼玉県秩父市の製材工場(ウ
ッ デ ィ ー コ イ ケ )の 貯 木 場( 写 真 3.4.3.1)か ら 3m に 玉 切 り さ れ た 原 木 を 径 級 別 に 調
達した。
末 口 径 14c m 以 下 の 小 径 木 は 必 要 本 数 の 20 本 を 全 数 指 定 し 、そ の 際 、小 径 木 丸 太 の
在 庫 か ら 黒 芯 を 除 き 、平 均 年 輪 幅 が 6m m を 超 え る も の を 半 数 と し た 。中 径 木( 末 口 径
20~ 22c m ) 及 び 大 径 木 ( 末 口 径 24~ 26c m ) の 各 々 丸 太 の 在 庫 か ら 選 別 条 件 を 指 定
せ ず に 、 40 本 、 20 本 と 必 要 本 数 を 選 定 し た 。 そ れ ぞ れ の 丸 太 の 在 庫 を 写 真 3.4.3.2、
写 真 3.4.3.3 お よ び 写 真 3.4.3.4 に 示 す 。
写 真 3.4.3.1
製材会社貯木場
写 真 3.4.3.2
小径木丸太の在庫
写 真 3.4.3.3
中径木丸太の在庫
写 真 3.4.3.4
大径木丸太の在庫
以 上 の 選 定 条 件 か ら 本 事 業 で 用 い た 供 試 ス ギ 丸 太 は 80 本 で あ る 。
次 に 、 供 試 丸 太 か ら の 製 材 は 204 材 の み を 試 験 材 と し て 木 取 り し た 。 小 径 木 か ら は
204 材 2 本 を 、 中 径 木 は 204 材 4 本 を 、 大 径 木 は 204 材 5 本 を 各 々 木 取 り し た 。
以 下 に 丸 太 径 級 別 の 試 験 体 木 取 り の 事 例 を 図 3.4.3.1、図 3.4.3.2 お よ び 図 3.4.3.3
に 示 す 。 204 材 の 粗 挽 き 寸 法 は 45×105m m と し た 。
径 級 別 の 製 材 本 数 は 、小 径 木 が 40 本 、中 径 木 が 160 本 、大 径 木 が 100 本 で 、総 本 数
300 本 の 試 験 材 が 得 ら れ た 。 製 材 加 工 機 を 写 真 3.4.3.5 に 示 す 。
34
図 3.4.3.1 小 径 木 か ら の 製 材 木 取 り 例
図 3.4.3.2 中 径 木 か ら の 製 材 木 取 り 例
図 3.4.3.3 大 径 木 か ら の 製 材 木 取 り 例
試 験 材 の 乾 燥 処 理 は 204 材
写 真 3.4.3.5
製材加工機
45×105m m の 粗 挽 き の 状 態 で 、反 り 、曲 が り 、密 度 の
高 い も の 、 な ど 乾 燥 後 に 欠 点 と な る 材 、 黒 芯 を 選 別 し 、 そ れ を 除 い た 。 写 真 3.4.3.6
に 製 材 選 別 作 業 を 写 真 3.4.3.7 に 選 別 後 の 製 材 を 示 す 。
写 真 3.4.3.6
製材選定作業
写 真 3.4.3.7
選定後の製材
そ の 結 果 、 小 径 木 か ら は 37 本 を 、 中 径 木 は 113 本 、 大 径 木 は 69 本 の 総 数 219 本 に
ついて乾燥処理を行った。
乾 燥 後 の 仕 上 が り 含 水 率 は 19% 以 下 、 15% 以 上 18% 以 下 を 目 標 に 、 天 乾 は 行 わ ず 、
蒸 気 式 乾 燥 機 で 中 温 乾 燥 9 日 を 行 っ た 。乾 燥 は 他 の 板 割 材 と 混 在 さ せ て 実 施 し て い る 。
実 際 の 乾 燥 ス ケ ジ ュ ー ル を 図 3.4.3.4 に 示 す 。
35
図 3.4.3.4
乾燥スケジュール
乾 燥 処 理 を 終 え た 219 本 の 試 験 材 に つ い て 、 反 り や 曲 が り の た め に モ ル ダ ー 加 工 機
に 入 ら な い も の を 選 別 し た 。小 径 木 か ら は 33 本 を 、中 径 木 は 84 本 、大 径 木 は 35 本 の
総 数 152 本 が 得 ら れ た 。
モ ル ダ ー 加 工 を 終 え た 152 本 の 試 験 材 は 、 枠 組 壁 工 法 構 造 用 製 材 の 日 本 農 林 規 格 の
目視等級区分に基づきコンポーネント会社(三井ホームコンポーネント)のグレーダ
ー ( 格 付 士 ) が 選 別 を 行 っ た 。 写 真 3.4.3.8 に 製 材 工 場 か ら 搬 入 さ れ た モ ル ダ ー 加 工
済 み の 試 験 材 を 、 写 真 3.4.3.9 に グ レ ー ダ ー に よ る 格 付 作 業 を 示 す 。
試験材は品質基準により、全材長で品質判定し、丸太の径級別に特級、1 級、2 級、
3 級、規格外に区分し、等級区分が決定した品質を合せて記録した。
写 真 3.4.3.8 モ ル ダ ー 加 工 済 み の 試 験
写 真 3.4.3.9 グ レ ー ダ ー に よ る 格 付 作 業
なお、格付は甲種枠組材の規格の節だけに着目した格付けと全ての品質に着目した
格 付 け の 二 種 類 を 行 い 、 結 果 を 表 3.4.3.1 に 示 す 。
等級別本数の出現率は特級、3 級、2 級、1 級の順に高くなるが、規格外も認められ
規格外を含む出現率では 3 級に続く 3 番目に規格外が位置する。
特 級 か ら 1 級 、1 級 か ら 2 級 、2 級 か ら 3 級 へ の 等 級 落 ち は 、ほ と ん ど は 反 り が 要 因
で あ っ た 。3 級 か ら 規 格 外 へ の 等 級 落 ち に は 平 均 年 輪 幅 が 6m m を 超 え た も の が 含 ま れ
て い る( 表 3.4.3.2)。ま た 、甲 種 枠 組 材 の 規 格 の 節 だ け に 着 目 し た 格 付 け で は 、ほ と
ん ど が 特 級 ま た は 1 級 で あ っ た 。 写 真 3.4.3.10 に 製 材 と 試 験 材 を 示 す 。
36
表 3.4.3.1
J
A
S
格
付
特級
1級
2級
3級
規格外
総数
全体
小径木 中径木 大径木
43
20
18
5
12
7
3
2 節
25
1
17
7 格
40
4
29
7 付
32
1
17
14
152
33
84
35
表 3.4.3.2
等級格下
特級⇒1級
1級⇒2級
2級⇒3級
3級⇒規格外
総数
JAS 格 付 等 級 別 本 数
特級
1級
2級
3級
規格外
総数
全体
小径木 中径木 大径木
114
28
54
32
32
4
26
2
6
1
4
1
0
0
0
0
0
0
0
0
152
33
84
35
JAS 格 付 等 級 決 定 品 質 別 本 数
全体
12
26
39
32
152
反り
11
25
38
24
98
年輪幅
‐
‐
‐
8
8
割れ
0
1
1
0
2
穴
1
0
0
0
1
写 真 3.4.3.10
製材と試験材
面 内 せ ん 断 耐 力 壁 試 験 で 使 用 す る 枠 組 材 は 、 152 本 の 全 て に 通 し 番 号 を 付 け て 格 付
された試験材とした。
試 験 材 は 全 て 重 量 測 定 お よ び 基 本 周 波 数 測 定 を 行 い 、耐 力 壁 試 験 体 製 作 前 に 見 か け
の密度と動的ヤング率を算出した。
表 3.4.3.3 に 試 験 材 の JAS 格 付 等 級 別 の 材 料 物 性 と し て 見 か け の 密 度 と 動 的 ヤ ン グ
率の関係を示す。
見 か け の 密 度 は 平 均 値 420( 標 準 偏 差 63) kg/m 3 で あ り 、 動 的 ヤ ン グ 率 は 平 均 値 9.5
(標準偏差
2.385) GPaで あ っ た 。
な お 、 径 級 別 の 見 か け の 密 度 と 動 的 ヤ ン グ 率 の 関 係 を 図 3.4.3.5 に 示 す 。
表 3.4.3.3
全体
J
A
S
格
付
JAS 格 付 等 級 別 の 材 料 物 性 ( 耐 力 壁 試 験 体 製 作 前 の 測 定 結 果 )
サンプル数 n
小径木 中径木 大径木
全体
材料物性(平均値)
密度ρ(㎏/m3)
動的ヤング率 E (Gpa)
小径木 中径木 大径木 全体 小径木 中径木 大径木
特級
43
20
18
5
430
(51)
450
(46)
430
(45)
350
(51)
8.7
9.3
8.4
7.7
(1.705) (1.594) (1.601) (1.965)
1級
12
7
3
2
450
(86)
480
(91)
420
(96)
400
(3)
10.0
10.9
8.8
7.1
(2.326) (2.383) (1.390) (0.791)
2級
25
1
17
7
420
(66)
420
(0)
440
(68)
380
(41)
3級
40
4
29
7
420
(74)
520
(43)
430
(60)
350
(69)
10.3
12.2
10.3
9.2
(2.526) (3.514) (2.251) (2.811)
規格外
32
1
17
14
390
(41)
420
(0)
410
(44)
380
(26)
9.4
(2.385)
総数
152
33
84
35
420
(63)
460
(61)
430
(57)
370
(42)
9.5
10.0
9.7
8.6
(2.385) (2.385) (2.364) (2.375)
37
9.6
(2.9)
7.5
(0)
11.9
(0)
9.8
9.3
(3.083) (2.614)
10.2
8.3
(2.133) (2.287)
動的ヤング率(GPa)
20.0
18.0
16.0
14.0
12.0
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
0.20
中径木
小径木
大径木
0.25
0.30
0.35
0.40
0.45
0.50
密度(g/cm3)
0.55
0.60
0.65
0.70
図 3.4.3.5 径 木 別 の 見 か け の 密 度 と 動 的 ヤ ン グ 率 の 関 係
3.5 試 験 体 仕 様 及 び 試 験 方 法
3.5.1
熊本県産スギ材
面 材 は 、 厚 さ 9mmの JAS構 造 用 合 板 ( 区 分 等 級 : 特 類 2 級 , 樹 種 : 国 産 カ ラ マ ツ , サ
イ ズ : 908mm×2,430mm) と し た 。 調 達 し た 60 サ ン プ ル に つ い て 密 度 を 測 定 し た 結 果 、
平 均 値 0.512( 標 準 偏 差 0.030) g/cm 3 で あ っ た 。
枠 組 材 の 種 別 を パ ラ メ ー タ と し た 7 仕 様 に つ い て 、各 3 体 ず つ 計 21 体 の 耐 力 壁 試 験
体( 壁 長:1,820mm,壁 高:2,450mm)を 製 作 し た 。共 通 試 験 体 図 を 図 3.5.1.1 に 示 す 。
試験体の製作に使用した枠組材は、材料物性値の測定により得られた密度および動
的ヤング率の順列のうち、上限側と下限側から概ね同数のサンプルを除外することに
よ り 、必 要 数 量( 各 30 本 )を 確 保 し た 。面 材 に つ い て も 、密 度 の 順 列 か ら 同 様 に し て
必要数量を確保した。
な お 、 甲 種 枠 組 材 特 級 の 熊 本 県 産 ス ギ 心 材 ( AS-CH) に つ い て は 、 調 達 サ ン プ ル 数
が必要数量に大幅に満たなかったため、今回の試験対象から除外した。また、乙種枠
組 材 の 熊 本 県 産 ス ギ 材 に つ い て は 、 必 要 数 量 に 満 た な い 本 数 ( 10 本 ) を 別 の 仕 様 で 除
外されたサンプルから補填して、面材を留め付けるくぎが打たれない枠組材として使
用した。
枠 組 材 に 面 材 を 留 め 付 け る 接 合 具 に は 、 JIS A 5508 太 め 鉄 丸 く ぎ CN50 を 使 用 し て 、
く ぎ 打 ち 間 隔 を 外 周 部 100mm お よ び 中 間 部 200mm と し て 打 ち 付 け る こ と に よ り 、 告
示 第 1540 号 に 規 定 さ れ て い る 壁 倍 率 3 の 仕 様 の 耐 力 壁 と し た 。
な お 、 引 き 寄 せ 金 物 と し て 、 頂 部 お よ び 脚 部 に HDB-20 を 耐 力 壁 両 端 部 の 2 枚 合 わ
せ の た て 枠 に 取 り 付 け た 。 ま た 、 加 力 桁 には JAS 構 造 用 集 成 材 408、土 台 には JAS 構 造
用 集 成 材 404 を使 用 した。
加力方法は、無載荷式による正負交番繰り返し加力とし、見かけのせん断変形角が
正 負 の 特 定 変 形 段 階 ( 1/450rad, 1/300, 1/200, 1/150, 1/100, 1/75, 1/50( 以 上 各 3 回
繰 り 返 し )) で 繰 り 返 し 経 歴 を 組 み 、 最 終 的 に 正 方 向 に 1/15rad.の 変 形 角 と な る ま で 加
力した。
38
42
2,336
199
286.5
455
42
455
455
286.5
199
89
2,450
184
85 120
98 100
620
258
455
700
455
455
620
100 98
455
258
2,336
図 3.5.1.1
3.5.2
共通試験体図
岩手県産スギ材
面 材 は、厚 さ 9mm の JAS 構 造 用 合 板 (区 分 等 級 :特 類 2 級 ,樹 種 :国 産 カラマツ,サイ
ズ:908mm×2,430mm)とした。当 該 面 材 60 枚 について、 通 し番 号 を付 けた上 で重 量 測 定 を行
い、見 かけの密 度 を算 出 した。
図 3.5.2.1 に面 材 の見 かけの密 度 分 布 を示 す。なお、見 かけの密 度 の平 均 値 は 498(標 準 偏 差
20)kg/m 3 であった。
耐 力 壁 試 験 体 (18 体 )の製 作 に使 用 する面 材 として、見 かけの密 度 の平 均 値 に近 い数 値 から順
に必 要 数 量 36 枚 を採 用 した。
60
50
度数
40
30
20
10
0
450
460
470
480
490
500
510
520
530
540
550
密度(見かけ) [kg/m3]
※ ●印 は耐 力 壁 試 験 体 の面 材 として採 用 したことを示 す。
図 3.5.2.1
面材(構造用合板)の見かけの密度分布
39
枠 組 材 の密 度 区 分 ( U35,U40,U45) をパラメータとした 3 仕 様 について、各 6 体 ずつ計 18
体 の耐 力 壁 試 験 体 (壁 長 :1,820mm,壁 高 :2,450mm)を製 作 した(熊 本 県 産 スギ材 仕 様 同
等 )。また、試 験 方 法 についても熊 本 県 産 スギ材 仕 様 同 等 である。
3.5.3
埼玉県産スギ材
面 材 は、厚 さ 9mm の JAS 構 造 用 合 板 (区 分 等 級 :特 類 2 級 ,樹 種 :国 産 カラマツ,サイ
ズ:910mm×2,431mm)とし、 耐 力 壁 試 験 体 の製 作 に使 用 する面 材 として、当 該 合 板 30 枚 から任
意 に必 要 数 量 22 枚 を採 用 した。
試 験 面 材 22 枚 について、 通 し番 号 を付 けた上 で重 量 測 定 を行 い、見 かけの密 度 を算 出 した。
見 かけの密 度 の平 均 値 は 540(標 準 偏 差 34)kg/m 3 であった。
枠 組 材 の甲 種 枠 組 材 の等 級 区 分 (特 級 、2 級 、3 級 )をパラメータとした 3 仕 様 について、各 3 体
ずつ計 9 体 と、参 考 データ取 得 のために 1 級 、規 格 外 を各 1体 の耐 力 壁 試 験 体 ( (壁 長 :1,820mm,
壁 高 :2,450mm)計 11 体 を製 作 した。
等 級 区 分 された試 験 材 の選 定 方 法 は、試 験 体 ごとにみかけ密 度 および動 的 ヤング率 の
中 央 値 に近 い数 値 の順 とし、試 験 体 で釘 打 ちされるたて枠 5 本 、上 枠 1 本 、下 枠 1 本 に充
てた。添 えたて枠 、頭 つなぎはそれ以 外 の試 験 材 を充 てた。
表 3.5.3.1 に試 験 体 ごとのみかけ密 度 および動 的 ヤング率 を示 す。
耐 力 壁 試 験 体 (壁 長 :1,820mm,壁 高 :2,450mm)を製 作 した(熊 本 県 産 スギ材 仕 様 とほ
ぼ同 等 )。また、試 験 方 法 についてもほぼ熊 本 県 産 スギ材 仕 様 同 等 である。
表 3.5.3.1 試 験 体 ごとのみかけ密 度 および動 的 ヤング率
試験体1
試験体2
特級
試験体3
試験体4
試験体5
2級
試験体6
試験体7
試験体8
3級
試験体9
試験体10
1級
試験体11 規格外
上段:密度ρ(㎏/m3) 下段:動的ヤング率 E (Gpa)
上枠 たて枠1たて枠2たて枠3たて枠4たて枠5 下枠
平均
470
410
350
370
320
360
400 382.86
7.1
6.2
7.3
6.7
6.2
7.3
6.5
6.79
450
510
400
420
400
400
400 407.61
7.7
7.5
8.1
8
8
7.9
8.1
8
410
430
440
480
440
480
440 454.28
9.2
8.3
9.4
9.4
9.1
9.2
8.8
9.15
380
400
480
400
350
350
380
391.9
6.9
5.5
7.5
5.5
7.5
7.3
6
6.73
510
420
410
420
340
360
480
405
10.3
11.2
11.2
7.6
10.7
9.6
9.8
9.82
430
450
490
430
450
410
580 470.47
12.6
11.2
12.5
12.2
11.5
12.9
12.8 12.35
440
400
500
300
310
320
330 355.23
8.4
8.6
8
7.2
7.6
8
7.4
7.68
380
420
400
500
520
360
450
443.8
9.4
9.5
10
9.9
9.4
8.9
9.8
9.59
450
350
410
450
490
400
410 430.47
12.2
10.6
10.6
11
12.4
12
12.7 11.72
510
420
430
430
390
400
440
431.42
10.4
10.4
10.2
11.7
10.7
6.6
8.4
9.77
370
470
410
460
390
300
390
398.57
8.3
10.5
6.7
11.2
7
5.5
8.2
9.1
番 付 けされた試 験 枠 組 材 を写 真 3.5.3.1 に、試 験 体 製 作 状 況 を写 真 3.5.3.2 に示 す。
40
写 真 3.5.3.1 番 付 けされた試 験 枠 組 材
写 真 3.5.3.2 試 験 体 製 作 状 況
3.6 耐 力 壁 の 面 内 せ ん 断 試 験
3.6.1
熊本県産スギ材試験結果
表 3.6.1.1 に 各 種 特 性 値 お よ び 壁 倍 率 の 算 定 値 を 示 す 。 図 3.6.1.1 か ら 図 3.6.1.7 に 各
仕 様 に お け る 荷 重 - 変 位 曲 線 を 示 す 。 破 壊 性 状 は く ぎ 頭 の 面 材 貫 通 ( 写 真 3.6.1.1) お
よ び 面 材 の 縁 切 れ ( 写 真 3.6.1.2) で あ り 、 す べ て の 試 験 体 で 壁 倍 率 3 を 上 回 っ た 。
S-P-F 製 材 を 枠 組 材 と し た 耐 力 壁( A2B-SM)と 比 較 す る と 、剛 性 K お よ び 構 造 特 性
係 数 Ds を 除 い た す べ て の 特 性 値 に お い て 、JAS 規 格 区 分 お よ び 心 材 と 辺 材 の 区 別 に よ
らず、スギ製材を枠組材とした耐力壁のほうが概ね上回る性能値を示している。
こ の 傾 向 は 、既 往 の 研 究( 相 馬 ,細 萱 ら : ス ギ 材 を 用 い た 枠 組 壁 工 法 建 築 物 の 生 産
シ ス テ ム の 実 現 可 能 性 ,第 3 回 坪 井 記 念 研 究 助 成 報 告 書 ,p.62-64 社 団 法 人 日 本 ツ ー バ
イ フ ォ ー 建 築 協 会 , 2006.) に お け る 知 見 と 一 致 し て い る 。
表 3.6.1.1
最大荷重
試験体記号
-1
-2
-3
-1
A1-CH
-2
-3
-1
A1-CS
-2
-3
-1
A2-CH
-2
-3
-1
A2-CS
-2
-3
-1
BSB-CM -2
-3
-1
A2B-SM -2
-3
AS-CS
①
P1/120rad.
Pmax
[kN]
[kN]
28.3
14.1
29.2
14.3
27.2
14.0
26.9
14.5
26.7
14.1
27.2
14.5
27.9
13.5
28.4
14.1
27.1
14.7
25.7
13.5
24.3
13.7
25.0
13.5
27.1
14.1
26.5
12.9
27.0
13.4
26.0
13.2
25.5
13.5
23.9
13.1
20.2
13.7
21.5
13.2
20.2
13.1
各種特性値と壁倍率算定値
②降伏耐力 終局耐力 構造特性
Py
[kN]
13.8
15.4
13.7
14.3
13.9
14.0
13.7
13.9
14.5
13.6
12.9
13.3
14.0
13.4
13.8
13.2
13.3
12.5
11.0
11.1
10.9
剛性
③
④
短期基準
Pu
係数 Ds
K
2/3 Pmax 0.2Pu/Ds せん断耐力 P0 壁倍率
[kN]
[ - ] [kN/cm]
[kN]
[kN]
[kN]
25.6
0.35
7.0
18.9
14.6
13.6
3.8
26.5
0.39
6.7
19.5
13.6
24.9
0.37
7.0
18.1
13.5
24.6
0.35
7.2
17.9
14.1
13.9
3.9
24.3
0.35
7.0
17.8
13.9
24.7
0.36
7.3
18.1
13.7
24.8
0.36
6.6
18.6
13.8
13.4
3.7
25.1
0.39
7.0
18.9
12.9
24.7
0.36
7.3
18.1
13.7
23.1
0.37
6.6
17.1
12.5
12.9
3.6
22.4
0.35
7.0
16.2
12.8
22.9
0.34
6.7
16.7
13.5
24.7
0.35
6.9
18.1
14.1
12.7
3.6
24.1
0.40
6.1
17.7
12.1
24.2
0.40
6.4
18.0
12.1
23.7
0.36
6.4
17.3
13.2
13.0
3.6
23.3
0.35
6.7
17.0
13.3
22.1
0.34
6.7
15.9
13.0
18.8
0.34
8.1
13.5
11.1
11.0
3.1
19.5
0.32
7.6
14.3
12.2
18.4
0.31
7.5
13.5
11.9
※短期基準せん断耐力P 0 は、①~④の耐力のうち最小耐力における 3 体の平均値とした。
※壁倍率は、耐力の低減係数αを含めずに算定した。
41
AS-CS-1
AS-CS-2
0
50
AS-CS-3
30
20
荷重 [kN]
10
0
-10
-20
-30
-100
-50
100
150
200
見かけの変位 [mm]
図 3.6.1.1
試 験 体 仕 様 AS-CS の 荷 重 - 変 位 曲 線
A1-CH-1
A1-CH-2
0
50
A1-CH-3
30
20
荷重 [kN]
10
0
-10
-20
-30
-100
-50
100
150
200
見かけの変位 [mm]
図 3.6.1.2
試 験 体 仕 様 A1-CH の 荷 重 - 変 位 曲 線
A1-CS-1
A1-CS-2
A1-CS-3
30
20
荷重 [kN]
10
0
-10
-20
-30
-100
-50
0
50
見かけの変位 [mm]
42
100
150
200
図 3.6.1.3
試 験 体 仕 様 A1-CS の 荷 重 - 変 位 曲 線
A2-CH-1
A2-CH-2
A2-CH-3
30
20
荷重 [kN]
10
0
-10
-20
-30
-100
-50
0
50
100
150
200
見かけの変位 [mm]
図 3.6.1.4
試 験 体 仕 様 A2-CH の 荷 重 - 変 位 曲 線
A2-CS-1
A2-CS-2
0
50
A2-CS-3
30
20
荷重 [kN]
10
0
-10
-20
-30
-100
-50
100
150
200
見かけの変位 [mm]
図 3.6.1.5
試 験 体 仕 様 A2-CS の 荷 重 - 変 位 曲 線
BSB-CM-1
BSB-CM-2
BSB-CM-3
30
荷重 [kN]
20
10
0
-10
-20
-30
-100
-50
0
50
100
150
見かけの変位 [mm]
図 3.6.1.6
試 験 体 仕 様 BSB-CM の 荷 重 - 変 位 曲 線
43
200
A2B-SM-1
A2B-SM-2
A2B-SM-3
30
20
荷重 [kN]
10
0
-10
-20
-30
-100
-50
0
50
100
150
200
見かけの変位 [mm]
図 3.6.1.7
写 真 3.6.1.1
3.6.2
試 験 体 仕 様 A2B-SM の 荷 重 - 変 位 曲 線
くぎ頭の面材貫通
写 真 3.6.1.2
面材の縁切れ
岩手県産スギ材試験結果
表 3.6.2.1 に各 種 特 性 値 、表 3.6.2.2 に壁 倍 率 の算 定 値 を示 す。図 3.6.2.1 から図
3.6.2.3 に各 仕 様 の荷 重 -変 位 角 関 係 の包 絡 曲 線 、図 3.6.2.4 から図 3.6.2.21 に各 試 験
体 の荷 重 -変 位 曲 線 を示 す。また、試 験 終 了 時 の状 況 を写 真 3.6.2.1 および写 真 3.6.2.2
に示 す。岩 手 県 産 スギを枠 組 材 とした耐 力 壁 の主 な破 壊 性 状 は、面 材 のくぎ頭 のめり込 み
(写 真 3.6.2.3)および隅 角 部 のくぎ接 合 による面 材 の縁 切 れ(写 真 3.6.2.4)であり、その他
にたて枠 のくぎの引 き抜 け(写 真 3.6.2.5)およびくぎ頭 の面 材 貫 通 (写 真 3.6.2.6)が散 見 さ
れた。
なお、すべての耐 力 壁 試 験 体 において、壁 倍 率 の算 定 値 (ばらつき係 数 および低 減 係 数
αを考 慮 しない数 値 )が告 示 第 1540 号 に規 定 されている倍 率 3(短 期 基 準 せん断 耐 力
10.7kN に相 当 )を上 回 っていた。
44
表 3.6.2.1
最大荷重
Pmax
試験体名
U35 -1
-2
-3
-4
-5
-6
U40 -1
-2
-3
-4
-5
-6
U45 -1
-2
-3
-4
-5
-6
降伏耐力
δmax
Py
試験体名
[kN]
終局耐力
δy
[mm]
[kN] [mm]
[kN]
21.5
23.3
23.7
20.8
23.6
26.4
25.5
23.6
23.7
24.7
25.9
25.9
25.3
25.8
27.4
27.1
26.2
25.7
82.8
106.8
107.2
93.2
98.5
107.4
89.3
86.3
91.4
78.5
99.0
98.2
97.5
102.5
91.8
95.1
89.1
104.1
11.4
12.4
13.2
11.6
12.7
13.3
13.4
12.5
13.0
12.9
13.0
13.3
13.8
13.6
14.6
13.9
13.9
14.7
19.6
21.1
21.9
19.0
21.5
23.9
23.3
21.5
21.8
22.0
23.6
23.3
23.0
23.2
25.1
24.4
23.2
23.3
(b)
(c)
0.2Pu/Ds 2/3 Pmax
[kN]
[kN]
14.2
13.8
14.6
14.9
16.0
16.2
13.0
12.6
13.0
14.3
18.0
14.7
15.1
14.8
16.1
16.7
18.3
20.9
試験剛性 構造特性
K
係数 Ds
[mm] [kN/cm]
Pu
[kN]
表 3.6.2.2
(a)
Py
各種特性値
δu
161.7
163.3
162.5
163.3
163.3
147.9
146.8
132.4
148.1
114.8
158.3
149.0
141.3
152.4
133.3
134.1
153.6
158.7
8.0
9.0
9.0
7.8
7.9
8.2
10.3
9.9
8.8
9.0
7.2
9.0
9.1
9.2
9.1
8.3
7.9
7.0
0.29
0.28
0.28
0.28
0.30
0.33
0.29
0.30
0.30
0.34
0.34
0.31
0.31
0.30
0.34
0.35
0.32
0.34
壁倍率の算定値
(d)
MIN 平均値
変動係数 ばらつき 短期基準
標準偏差
壁倍率
P1/120 {(a),(b),(c),(d)}
CV
係数 せん断耐力 P0
[kN]
[kN]
[kN]
[kN]
U35 -1
-2
-3
-4
-5
-6
11.4
13.5
14.3
13.4
12.4
15.1
15.5
14.4
13.2
15.6
15.8
15.2
11.6
13.6
13.9
13.1
12.4
12.7
14.3
15.7
14.1
13.3
14.5
17.6
14.6
平均値
12.4
14.4
15.5
14.1
13.4
16.1
17.0
16.8
U40 -1
12.5
14.3
15.7
15.3
-2
13.0
14.5
15.8
15.0
-3
12.9
12.9
16.5
15.4
13.0
-4
13.0
13.9
17.3
13.9
-5
13.3
15.0
17.3
15.2
-6
平均値
13.0
14.5
16.6
15.3
13.8
14.8
16.9
15.7
U45 -1
13.6
15.5
17.2
15.6
-2
14.6
14.8
18.3
16.2
-3
13.9
13.9
18.1
15.3
14.1
-4
13.9
14.3
17.5
15.6
-5
14.7
13.7
17.1
14.2
-6
平均値
14.1
14.5
17.5
15.4
※壁 倍 率 は、耐 力 の低 減 係 数 αを含 めずに算 定 した。
0.80
0.064
0.981
12.20
3.42
0.32
0.024
0.993
12.92
3.62
0.45
0.032
0.991
13.95
3.91
※信 頼 水 準 75%の 50%下 側 許 容 限 界 を求 める際 の K(試 験 体 に依 存 する定 数 )は 0.297(試 験 体 数 6 のと
き)。
45
30
25
荷重 [kN]
20
15
10
5
0
0
0.01
0.02
0.03
0.04
0.05
0.06
0.07
0.08
せん断変形角(見かけ) [rad.]
図 3.6.2.1
試 験 体 仕 様 U35 に お け る 荷 重 - 変 形 角 関 係 の 包 絡 曲 線
30
25
荷重 [kN]
20
15
10
5
0
0
0.01
0.02
0.03
0.04
0.05
0.06
0.07
0.08
せん断変形角(見かけ) [rad.]
図 3.6.2.2
試 験 体 仕 様 U40 に お け る 荷 重 - 変 形 角 関 係 の 包 絡 曲 線
30
荷重 [kN]
25
20
15
10
5
0
0
0.01
0.02
0.03
0.04
0.05
0.06
0.07
0.08
せん断変形角(見かけ) [rad.]
図 3.6.2.3
試 験 体 仕 様 U45 に お け る 荷 重 - 変 形 角 関 係 の 包 絡 曲 線
46
荷重 [kN]
荷重 [kN]
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
-50
0
50
100
150
200
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
-50
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
荷 重 - 変 位 曲 線 U35-
図 3.6.2.5
荷重 [kN]
荷重 [kN]
図 3.6.2.4
-50
0
50
100
150
200
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
-50
荷 重 - 変 位 曲 線 U3
図 3.6.2.7
荷重 [kN]
荷重 [kN]
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
-50
0
50
100
150
200
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
-50
荷 重 - 変 位 曲 線 U35-
図 3.6.2.9
荷重 [kN]
荷重 [kN]
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
-50
0
50
100
150
200
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
-50
150
200
荷 重 - 変 位 曲 線 U35-2
0
50
100
150
200
荷 重 - 変 位 曲 線 U35-4
0
50
100
150
200
荷 重 - 変 位 曲 線 U35-6
0
50
100
150
200
変位(見かけ) [mm]
変位(見かけ) [mm]
図 3.6.2.10
100
変位(見かけ) [mm]
変位(見かけ) [mm]
図 3.6.2.8
50
変位(見かけ) [mm]
変位(見かけ) [mm]
図 3.6.2.6
0
変位(見かけ) [mm]
変位(見かけ) [mm]
荷 重 - 変 位 曲 線 U40-1
47
図 3.6.2.11
荷 重 - 変 位 曲 線 U40-2
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
荷重 [kN]
荷重 [kN]
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
-50
0
50
100
150
200
-50
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
荷 重 - 変 位 曲 線 U40-
図 3.6.2.13
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
荷重 [kN]
荷重 [kN]
図 3.6.2.12
-50
0
50
100
150
200
-50
荷 重 - 変 位 曲 線 U40-5
図 3.6.2.15
荷重 [kN]
荷重 [kN]
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
-50
0
50
100
150
200
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
-50
荷 重 - 変 位 曲 線 U45-
荷重 [kN]
荷重 [kN]
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
-50
0
50
100
150
150
200
荷 重 - 変 位 曲 線 U40-4
0
50
100
150
200
荷 重 - 変 位 曲 線 U40-6
0
50
100
150
200
200
図 3.6.2.17
荷 重 - 変 位 曲 線 U45-2
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
0
-50
50
100
150
200
変位(見かけ) [mm]
変位(見かけ) [mm]
図 3.6.2.18
100
変位(見かけ) [mm]
変位(見かけ) [mm]
図 3.6.2.16
50
変位(見かけ) [mm]
変位(見かけ) [mm]
図 3.6.2.14
0
変位(見かけ) [mm]
変位(見かけ) [mm]
荷 重 - 変 位 曲 線 U45-3
48
図 3.6.2.19
荷 重 - 変 位 曲 線 U45-4
荷重 [kN]
荷重 [kN]
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
-50
0
50
100
150
200
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-100
-50
50
100
150
200
変位(見かけ) [mm]
変位(見かけ) [mm]
図 3.6.2.20
0
荷 重 - 変 位 曲 線 U45-5
図 3.6.2.21
荷 重 - 変 位 曲 線 U45-6
密 度 区 分 U35(見 かけの密 度 350kg/m 3 未 満 )の低 密 度 の枠 組 材 を使 用 した場 合 でも、
当 該 耐 力 壁 の仕 様 について告 示 第 1540 号 に規 定 されている倍 率 3(短 期 基 準 せん断 耐
力 10.7kN に相 当 )を上 回 っていた。
枠 組 材 の密 度 が高 くなると、耐 力 壁 のせん断 耐 力 の評 価 指 標 (最 大 荷 重 Pmax,降 伏
耐 力 Py,終 局 耐 力 Pu)が相 対 的 に高 くなる傾 向 が見 られた。また、構 造 特 性 係 数 Ds が
相 対 的 に大 きくなる傾 向 が見 られた。
写 真 3.6.2.1 試 験 終 了 時 の 状 況( U35-5) 写 真 3.6.2.2 試 験 終 了 時 の 状 況( U45-5)
写 真 3.6.2.3
面材のくぎ頭のめり込み
写 真 3.6.2.4
49
面材の縁切れ
写 真 3.6.2.5
たて枠のくぎの引き抜け
写 真 3.6.2.6
くぎ頭の面材貫通
枠 組 材 と面 材 を留 め付 けている CN50 くぎ接 合 部 における試 験 終 了 時 の主 な破 壊 性 状
は、面 材 へのくぎ頭 のめり込 みの割 合 が卓 越 していた。
3.6.3
埼玉県産スギ材試験結果
表 3.6.3.1 に壁 倍 率 算 定 値 を示 す。図 3.6.3.1 から図 3.6.3.9 に各 試 験 体 の荷 重 -変 位
曲 線 を示 す。また、試 験 終 了 時 の状 況 を写 真 3.6.3.1 および写 真 3.6.2.2 に示 す。耐 力 壁
の主 な破 壊 性 状 は、面 材 のくぎ頭 のめり込 み(写 真 3.6.3.3)、隅 角 部 および中 たて枠 の中
間 部 のくぎ接 合 による面 材 の縁 切 れ(写 真 3.6.3.4、写 真 3.6.3.5)であり、その他 にくぎ頭 の
面 材 貫 通 (写 真 3.6.3.6)が散 見 された。
なお、すべての耐 力 壁 試 験 体 において、壁 倍 率 の算 定 値 (ばらつき係 数 および低 減 係 数
αを考 慮 しない数 値 )が告 示 第 1540 号 に規 定 されている倍 率 3(短 期 基 準 せん断 耐 力
10.7kN に相 当 )を上 回 っていた。
表 3.6.3.1 壁 倍 率 算 定 値
試験体仕様
特級
-1
-2
-3
合計
2級
-4
-5
-6
合計
3級
合計
-7
-8
-9
(a)
降伏耐力
Py
(kN)
16.6
14.3
14.6
15.1
14.7
15.7
16.8
15.7
14.1
15.6
17.3
15.6
(b)
(C)
(d)
0.2Pu/Ds
2/3Pmax
(kN)
P1/120
20.2
16.9
18.5
18.5
17.9
17.8
18.4
18
15.7
18.3
17.6
17.2
16.6
18.1
17.1
17.2
17.2
18.4
17.1
17.5
16.5
18.4
19.5
18.1
19.3
13.8
13.2
15.4
14.4
14
12.2
13.5
12.3
14
14.6
13.6
(kN)
MIN平均値'
標準
(a),(b),(C),(d) 偏差
(kN)
(kN)
変動係数
CV
ばらつき
係数
短期基準
せん断耐力P0
(kN)
壁倍率
15.44
1.23
0.081
0.897
13.84
3.87
13.53
0.34
0.019
0.959
12.97
3.63
13.63
1.15
0.08
0.951
12.96
3.63
※ 壁 倍 率 は、耐 力 の低 減 係 数 αを含 めずに算 定 した。
※ 信 頼 水 準 75%の 50%下 側 許 容 限 界 を求 める際 の K(試 験 体 に依 存 する定 数 )は 0.471(試 験 体 数 3 のと
き)。
50
2
1
40
30
30
20
20
10
10
0
1
-100
0
-100
-50
0
50
100
150
-50
200
2
0
50
100
150
-10
-10
-20
-20
-30
-30
図 3.6.3.1 荷 重 -変 位 曲 線 (特 級 -1)
図 3.6.3.2 荷 重 -変 位 曲 線 (特 級 -2)
3
4
40
30
30
20
20
10
10
0
-100
-50
0
3
0
50
100
150
200
-100
-10
-50
4
0
50
100
150
-10
-20
-20
-30
-40
-30
図 3.6.3.3 荷 重 -変 位 曲 線 (特 級 -3)
図 3.6.3.4 荷 重 -変 位 曲 線 (2級 -4)
6
5
40
30
30
20
20
10
10
0
-100
-50
6
5
0
50
100
0
150
-100
-10
-50
0
50
100
150
-10
-20
-20
-30
-30
図 3.6.3.5 荷 重 -変 位 曲 線 (2級 -5)
図 3.6.3.6荷 重 -変 位 曲 線 (2級 -6)
8
7
40
30
25
30
20
15
20
10
10
5
-100
-50
-5 0
8
7
0
50
100
150
0
200
-100
-50
0
50
100
150
-10
-10
-15
-20
-20
-30
-25
図 3.6.3.7 荷 重 -変 位 曲 線 (3級 -7)
図 3.6.3.8 荷 重 -変 位 曲 線 (3級 -8)
51
9
30
20
10
0
-100
-50
9
0
50
100
150
200
-10
-20
-30
図 3.6.3.9 荷 重 -変 位 曲 線 (3級 -9)
写 真 3.6.3.2 試 験 終 了 時 の状 況 ((2級 -4)
3 段 階 の等 級 区 分 (特 級 、2 級 、3 級 )の枠 組 材 の耐 力 壁 について告 示 第 1540 号 に規 定 され
た倍 率 3(短 期 基 準 せん断 耐 力 10.7kN に相 当 )を全 て上 回 っており、等 級 区 分 に対 応 していた。
写 真 3.6.3.3 面 材 へくぎ頭 のめり込 み
写 真 3.6.3.4 隅 角 部 の面 材 の縁 切 れ
写 真 3.6.3.5 面 材 の縁 切 れ(中 間 部 )
写 真 3.6.3.6 くぎ頭 の面 材 貫 通
耐 力 壁 の主 な破 壊 性 状 は、面 材 のくぎ頭 のめり込 み、隅 角 部 および中 たて枠 の中 間
部 のくぎ接 合 による面 材 の縁 切 れであり、その他 にくぎ頭 の面 材 貫 通 が散 見 された。
3.7 耐 力 壁 の 性 能 評 価
3.7.1
岩手県産スギ材による耐力壁の性能評価
平 成 22 年 度 に実 施 した岩 手 県 産 スギを枠 組 材 とした耐 力 壁 の性 能 検 証 実 験 終 了 直 後 の試 験 体
52
(18 体 )から、長 さ 100mm 程 度 の枠 組 材 サンプルを各 5 体 (上 枠 1,下 枠 1,たて枠 3)ずつ採 取 し
て、計 90 サンプルについて寸 法 と重 量 を測 定 することにより密 度 を算 出 した。(写 真 3.7.1.1、写 真
3.7.1.2) また、同 サンプルについて全 乾 法 (JIS Z 2101)に基 づき含 水 率 を算 出 した。(写 真 3.7.1.3、
写 真 3.7.1.4)
写 真 3.7.1.1 枠 組 材 サンプルの採 取 状 況
写 真 3.7.1.2 枠 組 材 サンプルの寸 法 ・重 量 測 定
写 真 3.7.1.3 枠 組 材 サンプルの乾 燥 工 程
写 真 3.7.1.4 枠 組 材 サンプルの全 乾 重 量 測 定
表 3.7.1.1 に枠 組 材 90 サンプルについての密 度 および含 水 率 の測 定 値 、図 3.7.1.1 に物 性 測 定
時 とサンプル採 取 時 と全 乾 完 了 時 における密 度 の分 布 状 況 、図 3.7.1.2 に含 水 率 と密 度 の関 係 を
示 す。スギ枠 組 材 の含 水 率 は 8%から 23%の範 囲 に分 布 しており、スギ枠 組 材 の密 度 が高 いほど含
水 率 が高 い傾 向 が見 られる。耐 力 壁 に使 用 した岩 手 県 産 のスギ枠 組 材 の密 度 の平 均 値 は
361kg/m 3 程 度 、含 水 率 の平 均 値 は 12.5%程 度 であった。
なお、表 3.7.1.1 には参 考 として、曲 げデータに対 して ASTM D 2915 の規 格 に基 づいて式 3.7.1.1
および式 3.7.1.2 を用 いた含 水 率 15%時 の値 に調 整 する係 数 (K m- F ,K m- E )を併 記 した。
曲 げ強 さ: K m- F = 1.25/(1.75-0.0333M)
……式 3.7.1.1
ヤング係 数 : K m- E = 1.14/(1.44-0.02M)
……式 3.7.1.2
M:試 験 時 含 水 率 [%]
表 3.7.1.1 耐 力 壁 に使 用 した枠 組 材 の密 度 と含 水 率
試験体仕 様
U35
U40
U45
TOTAL
調整係数( 参考)
サンプル数
含水率
密度(平均値)[kg/m3]
Km-F
Km-E
N
物性 測定時 サンプル採 取時 全乾完了時 平均 値) [%]
30
30
30
90
331.00
378.23
422.67
377.30
319.60
361.92
400.45
360.65
287.68
323.58
350.75
320.41
53
11.05
12.18
14.28
12.50
0.906
0.929
0.981
0.938
0.936
0.952
0.988
0.958
U35物性測定時
U35サンプル採取時
U35全乾完了時
U40物性測定時
U40サンプル採取時
U40全乾完了時
U45物性測定時
U45サンプル採取時
U45全乾完了時
90
80
70
度数
60
50
40
30
20
10
0
200
250
300
350
400
450
500
3
密度 [kg/m ]
図 3.7.1.1 耐 力 壁 に使 用 した枠 組 材 の密 度 の分 布 状 況
U35サンプル採取時
U40サンプル採取時
U45サンプル採取時
25
含 水 率 [%]
20
15
10
5
0
250
300
350
400
450
500
3
密度 [kg/m ]
図 3.7.1.2 耐 力 壁 に使 用 した枠 組 材 の含 水 率 と密 度 の関 係
建 築 基 準 法 施 行 規 則 第 八 条 の三 の規 定 に基 づく認 定 に係 わる性 能 評 価 を行 う指 定 性 能 評 価 機
関 における「枠 組 壁 工 法 耐 力 壁 及 びその倍 率 性 能 試 験 ・評 価 業 務 方 法 書 」によると、短 期 許 容 せ
ん断 耐 力 Pa は式 3.7.1.3 より算 出 するとされている。また、壁 倍 率 は式 3.7.1.4 より算 出 するとされて
いる。
短 期 許 容 せん断 耐 力 Pa = P 0 ×α
……式 3.7.1.3
P 0 :実 験 により決 定 された耐 力 壁 の短 期 基 準 せん断 耐 力 (kN)
54
α:考 えられる耐 力 低 減 の要 因 を評 価 する係 数 で、枠 組 壁 工 法 耐 力 壁 の
①構 成 材 料 の耐 久 性
②使 用 環 境 の影 響
③施 工 性 の影 響
④壁 量 計 算 の前 提 を満 たさない場 合 の影 響
等 を勘 案 して定 める係 数
壁 倍 率 = Pa×(1/1.96)×(1/L)
……式 3.7.1.4
Pa:式 2.4.1 より求 めた短 期 許 容 せん断 耐 力 (kN)
1.96:壁 倍 率 =1 を算 定 する数 値 (kN/m)
L:試 験 体 の壁 の長 さ(当 該 試 験 体 においては 1.82) (m)
当 該 性 能 検 証 実 験 の試 験 体 のように、耐 力 壁 を構 成 する枠 組 材 を JAS 枠 組 壁 工 法 構 造 用 製 材 、
面 材 を JAS 構 造 用 合 板 とした場 合 、通 例 では耐 力 の低 減 係 数 αの要 因 のうち①と②と④は低 減 な
し(1.00)、③は現 場 のくぎ打 ち施 工 を考 慮 して低 減 5%(0.95)とされている。
この他 の要 因 として、仮 に枠 組 材 の含 水 率 の影 響 による低 減 を評 価 に含 めると考 えた場 合 、曲 げ
データに対 して含 水 率 15%時 の値 に調 整 する係 数 (K m- F ,K m - E )のうち、含 水 率 の影 響 がより大 きく
反 映 されている曲 げ強 さの調 整 係 数 K m - F (表 3.7.1.1)を⑤とする。
耐 力 の低 減 係 数 αの数 値 は、指 定 性 能 評 価 機 関 によって、各 要 因 の積 を採 用 する場 合 (①×②
×③×④×⑤)および各 要 因 のうち最 小 値 を採 用 する場 合 (MIN{① ,② ,③ ,④ ,⑤ })がある。本 考 察
においては、より厳 しい評 価 を試 みるために各 要 因 の積 を耐 力 の低 減 係 数 αとして、式 3.7.1.3 およ
び式 3.7.1.4 より壁 倍 率 を算 出 した。(表 3.7.1.2)
表 3.7.1.2 耐 力 の低 減 係 数 αを考 慮 した壁 倍 率 (平 成 22 年 度 の性 能 検 証 実 験 結 果 に適 用 )
耐力低減 短期許容
短期基準
①
②
③
④
⑤
試験体仕様 せん断耐力 構成材料 使用環境 施工性
壁量計算
含水率の
係数
せん断耐力 壁倍率
P0 [kN] の耐久性 の影響 の影響 前提×の影響 調整係数Km-F
Pa [kN]
α
U35
U40
U45
TOTAL
12.20
12.92
13.95
13.02
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
0.95
0.95
0.95
0.95
1.00
1.00
1.00
1.00
0.906
0.929
0.981
0.938
0.861
0.883
0.932
0.891
10.50
11.40
13.00
11.60
2.94
3.20
3.65
3.25
平 成 22 年 度 に実 施 した岩 手 県 産 のスギ枠 組 材 を使 用 した耐 力 壁 の性 能 検 証 実 験 結 果 に適 用 し
た結 果 、耐 力 の低 減 係 数 αは、指 定 性 能 評 価 機 関 における過 去 の実 績 値 (概 ね 0.85 から 0.95 の
間 の数 値 )と同 程 度 の妥 当 な数 値 となった。また、枠 組 材 の密 度 が低 い仕 様 (U35)の耐 力 壁 におい
て、所 定 の壁 倍 率 3 をわずかに下 回 っているが、αを厳 しく見 積 もっていることを考 慮 すると、低 密 度
のスギ枠 組 材 で構 成 された耐 力 壁 であっても概 ね所 定 の構 造 性 能 を有 していると見 なすことができ
る。
3.7.2
熊本県産スギ材による耐力壁の性能評価
平 成 21 年 度 に実 施 した熊 本 県 産 のスギ枠 組 材 を使 用 した耐 力 壁 の性 能 検 証 実 験 結 果 に適 用
55
す る と 表 3.7.2.1 の よ う に な る 。 耐 力 の 低 減 係 数 α は 、 枠 組 材 が 辺 材 の 仕 様 ( AS-CS , A1-CS ,
A2-CS)の耐 力 壁 において、指 定 性 能 評 価 機 関 における過 去 の実 績 値 (概 ね 0.85 から 0.95 の間 の
数 値 )を下 回 っており、その影 響 により仕 様 A2-CS の耐 力 壁 において所 定 の壁 倍 率 3 をわずかに下
回 る数 値 となった。しかし、αを厳 しく見 積 もっていることを考 慮 すると、スギ枠 組 材 で構 成 された耐
力 壁 であっても、JAS 目 視 等 級 および心 材 と辺 材 の違 いによらず、概 ね所 定 の構 造 性 能 を有 してい
ると見 なすことができる。
表 3.7.2.1 耐 力 の低 減 係 数 αを考 慮 した壁 倍 率 (平 成 21 年 度 の性 能 検 証 実 験 結 果 に適 用 )
①
短期基準
試験体仕様 せん断 耐力 構成材料
P 0 [kN] の耐久性
AS-CS
A1-CH
A1-CS
A2-CH
A2-CS
BSB-CM
TOTAL
A2B-SM
3.7.3
13.59
13.81
13.22
12.68
12.20
12.93
13.07
10.95
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
②
使用環境
の 影響
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
③
④
⑤
施工性
壁量計算
含水率の
の影響 前提×の影 響 調 整係数Km-F
0.95
0.95
0.95
0.95
0.95
0.95
0.95
0.95
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
0.878
0.926
0.893
0.940
0.882
0.915
0.905
1.086
耐力低減 短期許容
係数
せん断 耐力 壁倍率
α
0.834
0.879
0.849
0.893
0.838
0.870
0.860
1.032
Pa [kN]
11.34
12.14
11.22
11.33
10.23
11.25
11.24
11.30
3.18
3.40
3.15
3.18
2.87
3.15
3.15
3.17
埼玉県産スギ材による耐力壁の性能評価
耐 力 壁 の面 内 せん断 試 験 終 了 後 の試 験 体 (9 体 )から、全 乾 重 量 法 に基 づき試 験 材 の中 央 部
付 近 より 38mm×89mm×10mm の試 験 片 を各 2 個 ずつ、上 枠 1 本 ,下 枠 1 本 ,たて枠 3 本 から
採 取 して、計 90 サンプル採 取 した。試 験 片 の乾 燥 前 の質 量 、6 時 間 経 過 後 の質 量 および 12 時 間
経 過 後 の質 量 を測 定 することにより含 水 率 を算 出 した(写 真 3.7.3.1、写 真 3.7.3.2)。
写 真 3.7.3.1 試 験 片 の重 量 測 定
写 真 3.7.3.2 試 験 片 の乾 燥 工 程
表 3.7.3.1 に枠 組 材 90 サンプルについての密 度 および含 水 率 の測 定 値 を示 す。耐 力 壁 に使 用 し
た埼 玉 県 産 のスギ枠 組 材 の密 度 の平 均 値 は 417kg/m 3 程 度 、含 水 率 の平 均 値 は 8.94%程 度 であっ
た。
56
表 3.7.3.1 耐 力 壁 に使 用 した枠 組 材 の密 度 と含 水 率
密度(平均値) (kg/m3)
試験体仕様 サンプル数
特級
2級
3級
合計
30
30
30
90
含水率
(平 均値)
物性測定 時 試験片採取時 全乾完了時
%
418.09
392.93
362.8
9.61
424.76
372.38
346.27
8.95
409.04
376.44
353.42
8.28
417.29
380.58
354.16
8.94
調整係数(参考 )
Km-F
Km -E
0.874
0.86
0.847
0.86
0.913
0.904
0.894
0.903
本 考 察 では耐 力 の低 減 係 数 αについて、各 要 因 のうち最 小 値 を採 用 して
(MIN{① ,② ,③ ,④ ,⑤ })式 3.7.1.3 および式 3.7.1.4 より壁 倍 率 を算 出 し、結 果 を表 3.7.3.2 に示 す。
表 3.7.3.2 耐 力 の低 減 係 数 αを考 慮 した壁 倍 率
特級
13.8
1
1
0.95
1
⑤
含水率の
調整係数
Km-F
0.874
2級
3級
合計
12.9
12.9
13.2
1
1
1
1
1
1
0.95
0.95
0.95
1
1
1
0.86
0.847
0.86
短期基準
試験体仕様 せん断耐力
P0 (kN)
①
②
③
④
構成材料の
耐久性
使用環境
の影響
施工性の
影響
壁量計算の
条件影響
耐力低減
係数
α
短期基準
せん断耐力
P0 (kN)
壁倍率
0.874
12.06
3.38
0.86
0.847
0.86
11.09
10.92
11.35
3.11
3.06
3.18
平 成 24 年 度 に 実 施 し た 埼 玉 県 産 の ス ギ 枠 組 材 を 使 用 し た 耐 力 壁 の 性 能 検 証 実 験 結 果
に 適 用 し た 結 果 、耐 力 の 低 減 係 数 α は 、0.847 か ら 0.874 の 間 の 数 値 と な り 、各 等 級 と
もに所定の壁倍率 3 を上回る結果となった。
な お 、耐 力 壁 試 験 体 数 が 1 し か 得 ら れ な か っ た 1 級 と 平 均 年 輪 幅 が 6m m 超 え た 規 格
外 の 試 験 結 果 を 、 参 考 ま で に 表 3.7.3.3 に 壁 倍 率 算 定 値 を 示 す 。 ま た 、 図 3.7.3.1 及
び 図 3.7.3.2 に 各 試 験 体 の 荷 重 - 変 位 曲 線 を 示 す 。
表 3.7.3.3 壁 倍 率 算 定 値 と耐 力 の低 減 係 数 αを考 慮 した壁 倍 率
等級区分
1級 10
規格 外 11
最大荷重
Pmax
(kN)
27.8
30.3
短期基 準
壁倍率
0.2Pu/Ds
せん断耐 力P0 壁倍率
(低減考慮)
(kN)
(kN)
4.085
16.3
15.6
4.3
16.3
16.3
4.5
4.275
剛性
降伏耐力 終局耐力 構造特性
2/3Pmax
K
係数
Pu
Py
(kN)
(kN/cm)
Ds
(kN)
(kN)
15.6
24.8
0.30
15.1
18.5
18.5
27.3
0.33
11.4
20.2
P 1/120
(kN)
20.0
20.3
※ 耐 力 の低 減 係 数 αは①構 成 材 料 の耐 久 性 、②使 用 環 境 の影 響 、③施 工 性 の影 響 、④壁 量 計 算 の前 提
を満 たさない場 合 の影 響 の 4 係 数 で評 価 した。
10
11
40
40
30
30
20
20
10
10
10
11
0
-100
-50
0
0
50
100
150
200
-100
-50
0
-10
-10
-20
-20
-30
-30
図 3.7.3.1 荷 重 -変 位 曲 線 (1 級 )
50
100
150
200
図 3.7.3.2 荷 重 -変 位 曲 線 (規 格 外 )
57
3.8 結 果 と 考 察
耐力壁の面内せん断試験よりスギ枠組材の産地に関わらず、告示基準で示された所
定 の壁 倍 率 3 を上 回 った。
熊 本 県 産 スギ材 を用 いた枠 組 材 で構 成 された耐 力 壁 の面 内 せん断 試 験 より、S-P-F 製 材 を
枠 組 材 とした耐 力 壁 (A2B-SM)と比 較 すると、剛 性 K および構 造 特 性 係 数 Ds を除 いたすべての
特 性 値 において、JAS 規 格 区 分 および心 材 と辺 材 の区 別 によらず、スギ製 材 を枠 組 材 とした耐
力 壁 のほうが概 ね上 回 る性 能 値 を確 認 した。
岩 手 県 産 スギ材 では、密 度 区 分 U35(見 かけの密 度 350kg/m3 未 満 )の低 密 度 の枠 組 材 を使
用 した場 合 でも、当 該 耐 力 壁 の仕 様 について告 示 第 1540 号 に規 定 されている倍 率 3 を上 回 っ
ていた。
埼 玉 県 産 スギ材 では、3 段 階 (特 級 、2 級 、3 級 )の等 級 区 分 の枠 組 材 の耐 力 壁 について告 示
第 1540 号 に規 定 された倍 率 3 を全 て上 回 っており、等 級 区 分 に対 応 していた。
な お 、指 定 性 能 評 価 機 関 で持 ち入 れられている耐 力 の低 減 係 数 αで、耐 力 壁 の壁 倍 率 を評
価 した結 果 、各 要 因 の積 を採 用 した熊 本 県 産 スギ材 および岩 手 県 産 スギ材 については、壁 倍
率 3 をわずかに下 回 る数 値 となったが、埼 玉 県 産 スギ材 においては各 要 因 のうち最 小 値 を採 用 し
た結 果 、壁 倍 率 3 を上 回 る数 値 となった。
3.9
事業を通して得られた結論と今後の課題
以 上 の こ と に よ り 、日 本 農 林 規 格( JAS)に お い て 区 分 さ れ た 国 産 ス ギ 材 の 枠 組 壁 工
法構造用製材用いて構成された耐力壁において、告示基準で示された所定の壁倍率 3
を上回る結果となり、長期優良住宅の躯体に使用する枠組材の構造性能に関する知見
の更なる蓄積に資することができた。
今後の課題として、国産スギ材を用いた接合金物の強度確認試験を行うことが望ま
れる。
58