情報を引き出すためのデータ収集法・処理法 −装置メーカーの立場から− 東芝医用システム社 CT ・核医学開発担当 本村信篤 「腫瘍核医学検査の現状と将来」について装置メーカーの立場から発表する。 装置メーカーとしては、多くの研究者とともに核医学検査において少しでも質 が高く、多くの情報を引き出すためのデータ収集法、処理法の開発に力を入れ ている。腫瘍検査は、ここ数年で、様々なデータ収集法、処理法が提案され、 日常の臨床にも使われている。今回、これらの技術の中から下記の項目につい て紹介する。 1.TEW 散乱線補正の効用 Ga-67、Tl-201,また In-111 において Triple Energy Window (TEW)散乱線補正法 の効用をファントム、臨床データを使用して示す。TEW 法は複数の光電ピーク をもつ核種にも対応できる方法であり、腫瘍検査に用いられる核種には適した 散乱補正法である。散乱補正によるコントラスト改善について示す。 2.OS-EM 再構成法に関する検討 コ ン ピ ュ ー タ 性 能 の 飛 躍 的 な 向 上 に よ り 、 Ordered Subset - Expectation Maximization(OS-EM)法など逐次近似的な再構成法が実用化された。逐次近 似法は腫瘍画像のようなホットスポットに適している。腫瘍データにおける OS-EM 法の有用性をフィルター逆投影法との比較で示す。 3.全身 SPECT(Merged SPECT)の有用性 多検出器システム、大視野カメラの登場によりプラナーでなく SPECT でホー ルボディ検査をすることが可能になった。プラナーと比較して、全身 SPECT (Merged SPECT)の有用性を示す。また推奨するデータ収集条件、処理条件を 併せて提示する。 4.CT/MRI 形態画像との自動位置合わせ方法 核医学の腫瘍画像は形態情報、位置情報に乏しい場合が多い。これを補う方 法として CT/MRI 形態画像との融合、重ね合せ方法が開発されている。ここで は CT/MRI 形態画像と SPECT/PET 画像を自動で位置合わせするソフトウエア ART について、その原理と臨床応用例を紹介する。
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