農政事務所長 牛海綿状脳症に関する牛の緊急全国調査の本市における

2001.09.19 : 経済環境委員会
農政事務所長
牛海綿状脳症に関する牛の緊急全国調査の本市における実施について、資料2
に基づいて御報告申し上げます。
9月10日に農林水産省から、千葉県下の酪農家で飼育されていた乳用牛か
ら、牛海綿状脳症を疑う牛1頭が確認されたと発表があったところでございま
す。農林水産省においては当面の措置といたしまして、発生農場の飼養牛の隔
離を指示したほか、当該牛の導入経路、飼料の種類及び給与状況等、本病発生
に係る疫学調査を実施することといたしたところでございます。さらに、今般
各都道府県畜産担当部局に対し、9月30日までに現在飼養されているすべて
の牛について牛海綿状脳症を疑わせる臨床症状の有無を確認するよう要請した
ところでございます。
この要請に基づき、宮城県においては各家畜保健衛生所を中心に調査するこ
ととなり、仙台市に対しまして農家への周知、案内等の協力依頼があったとこ
ろでございます。
調査につきましては、資料2にお示ししているとおり、現在市内で飼養され
ているすべての乳用牛及び肉用牛を調査対象として、牛海綿状脳症を疑わせる
臨床症状の有無の確認、飼料の給与実態等について、宮城県仙台家畜保健衛生
所が調査主体となり、仙台市は農家への案内等を行う方法で9月17日及び1
8日の2日間で実施することとなったものでございます。
なお、仙台市域につきましては、すべての牛について予定どおり実施され、
県に確認したところ調査戸数では96戸、調査頭数については乳用牛1,23
4頭、肉用牛900頭、合計2,134頭であり、市内において牛海綿状脳症
を疑わせる臨床症状を呈している牛は確認されなかったとのことでございます。
以上で報告を終わります。
委員長
ただいまの報告に対し、何か質問等はありませんか。
池田友信委員
この件について、実はイギリスの、海外の問題だと思ってテレビのニュースを
見て余り深刻にならなかったんですが、このように国内で発生が確認をされた
という状況、それからなかんずくこの問題に対する非常にちょっとお粗末な状
況が出ているので、これは非常に私も心配しなければいけないなと思っており
ましたが、ちょっと調査をした結果、途端にこういう状況ですから、これは人
ごとではないと感じました。
O-157のときも──実は宮城野区に処理場がありますから、そういう意
味でO-157の問題をいろいろ調査した結果いろんな問題があって、それで
処理場の改造に至って最近改造ができたわけでありますけれども、そういうこ
とを考えますと、O-157と狂牛病の問題がどうなのかということもまだ判
明されていないような状況の中で、早計にシロかクロかとか、あるかないかと
かっていうようなことはちょっと言えないんじゃないかなという感じがしてま
いりました。
したがって、その辺について二、三これから聞きたいと思うんですが、まず、
今回の検査に当たって、これは農水省からの9月10日の通達で動き出したと
いう先ほどのお話でありますけれども、その前まではこういうことについてな
かったんですか。対応というか体制はとらなかったんですか。
農政事務所長
牛海綿状脳症に関する、疑わしい牛が発見されたというのが9月10日に発表
されたわけでございますけれども、調査をするように、通達は国の方からは9
月13日付で各都道府県に通知されたところでございます。
なお、この牛海綿状脳症の予防に関しまして、配合飼料等の問題がございま
して、その配合飼料について前から牛の方に動物性飼料を含まない配合飼料を
使うようにという指示がなされていたところでございます。
食肉市場長
今回の狂牛病につきましては、国の方で本年5月17日に厚生労働省で都道府
県、指定都市により精密なデータを得るための生後24カ月齢以上の牛に対し
て運動障害、知覚障害、反射または意識障害等の神経症状が疑われる牛につい
ていわゆる脳──延髄ですね、等を調査するということで現在も実施されてご
ざいます。
池田友信委員
具体的にこれまでの、この前にそういう問題が出ていましたから、それまでの
調査とか何かやった具体的な数字はありますか。
農政事務所長
狂牛病が疑われる牛の調査をするというのは、今回が初めてでございます。
池田友信委員
もう一回確認しますが、これは9月の17、18日で2日間でもう検査は終わ
ったと、それで問題はなかったと、こういうことですね。
そうしますと、その前はそういう検査はしていなかったということですか。
農政事務所長
はい、そのとおりでございます。
池田友信委員
実は、O-157は細菌がわかって、熱処理をして塩素をかけるとある程度死
滅するということで食肉市場の処理場についての改修をして、メスとか何かを
熱処理して、要するに牛の中にある腸のO-157菌が解体するときに肉に付
着して、それでその肉が市場に出回って下痢を発生すると。こういうことがわ
かって、大体処理の仕方がわかる。狂牛病はどういうものが原因でそういうふ
うになるのか。イギリスの方で判断されたのは、狂牛病がヤコブ病に、人間の
すかすか脳病に、ヤコブ病になるということの判例を出したんですよね。です
から、そういう部分での不可解なところがあるんですけれども、96年にそう
いうことで輸入禁止になっていると。その前までは出しているわけですよ。そ
れはなぜかというと、そういうことで死んだ牛の骨も含めて肉骨粉にして、飼
料にしてそれを牛に食べさせる。それがもう循環でなかったのかという、そう
いうことで肉骨粉の輸入に対する問題が出てきて、それをちゃんと熱処理しな
さいということだったんだけれども、その熱処理も含めて証明書が定かでない
と、こういう問題も出てきて、国内にも入っているわけですね。
現在の状況では、千葉で発生するまでの間に日本の中では検査体制が全然な
っていないんです、今聞いたように。仙台でも通達をするまではないというこ
となんですけれども、この問題に対しては危機意識が非常に欠如しているとい
う、今度の千葉のやつでもこの牛を発見してから脳の細胞を検査した後、検査
側は処理したものと、焼却したものと思ったのが、何と肉骨粉にして販売して
いるんですよ。もう非常にそういう意味でのずさんさが出てきて、こういう状
況が──結局今どういうルートで販売されたのがいっているかわからない。あ
るいは、千葉のこの牛がどこで生まれて育って、突き詰められたところでは1
6頭がどこに行ったかわからないと、こういう状況になっているわけです。
そこでお聞きしたいんですが、こういう検査は今聞きますと仙台では2,1
34頭、これを2日間でしたというわけですよね。そんなに簡単にできて結果
が出るわけですか。これ全部結果も出たんですね。全部1頭1頭やられて、そ
の結果も。その調査の仕方と、調査する時間と、検査の結果が出る時間はどの
くらいかかるんですか。
農政事務所長
今回は臨床検査に係る神経異常の有無の確認ということで、宮城県の家畜防疫
委員が検査を担当しているわけでございますけれども、性格の変化──今まで
おとなしい牛が怒りっぽくなったとかということを聞き取り調査するというこ
と。それから、音、光、接触等に対する神経過敏症があるのかどうか。それか
ら、頭を低くしてさく等に押しつける動作を繰り返しているのかどうか。それ
から、歩行に異常がないかどうか等を目視して1頭1頭確認をするという形で、
17、18日2日間にわたりまして仙台市内では3班体制で確認を行ったとこ
ろでございます。
池田友信委員
要するに目視ですね。目視検査というのか、目視調査。要するに、肉片とか血
液とか何かをとって、そして検査をしたっていうことではないわけですね。千
葉の牛は、脳の細胞をとってそれで判明したわけですね。
それで、今回のこの仙台の場合は、全部目視をして2日間でやり終えたと。
病気っていうのはぼんと出るわけではないから、途中経過とか何かっていうの
はあるわけですね。そういう状況についての判断っていうのは、その目視で間
違いないんですか。
農政事務所長
牛海綿状脳症の判定につきましては、屠畜して脳から検体を抽出して検査をし
ないと判明できないという状況で、生体においては神経症状があらわれている
かどうかを疑って対応していかなくてはいけないということで、今回こういっ
た調査になったところでございます。
池田友信委員
千葉で発生した状況から、我が方の仙台は大丈夫だというような、行政として
太鼓判を押すにはそれだけでいいんでしょうか。16頭の行方がわからなくな
っている状況、要するに千葉で発生した牛と一緒にいた、あるいは一緒の家系
の状況の牛、その親をたどれば親が同じそういう骨粉を食べている牛かもしれ
ないんです。その16頭がどこに行ったかわからない。それから、千葉の骨粉
になったものが販売されて既に入っているかもしれない。そういう状況を考え
ると、目視だけでいいのかなと、そのほかの検査の方法はないんですか。
農政事務所長
現在のところ、生体検査というものがまだ確立されていないという状況でござ
います。
経済局長
今回の調査でございますが、これは国の方から緊急全国調査ということで、そ
してそれを県の方に連絡が来て、検査主体が宮城県の家畜保健衛生所でござい
まして、仙台市は仙台市内の農家への案内係ということでございますので、そ
の調査の内容とか手法とか、そういうものについては県の方の家畜防疫員とい
う資格のある方がやっておりますので、その詳細については私どもでは掌握は
していないところでございます。
それで、先ほどいろいろ所長から申し上げておりますが、それはいわゆる情
報として、私どもが把握している部分についての答弁でございます。
池田友信委員
私は、これだけの病気の状況ですから、もっとその原因を突き詰めていく必要
があると思うんです。
一つは、そういう病状の牛の体調とか、そういうものは目視もそれは当然し
てください。あるいは、今度処理場で解体するわけでしょう。解体している牛
で、その脳もちゃんととれるんですから、仙台市で相当の数を解体するわけで
しょう、そういう中での調査というのは可能ですよね。結果としてあれですけ
れども。
それから、もう一つは、今回の発生の中では家系図ではないけれども、さか
のぼっていけば、この系統なのかどうなのかということがわかるわけです。そ
れぞれ牛の中で、飼っている牛はどこから買ったのか、どういう家系図なのか、
そういうことを求めていくようにしないとだめだと思うんです。それで、この
牛はもともとここの仙台でずっと育っている牛なのか、今回の千葉のように北
海道から買ってきた牛なのか、そういうのでこれは疑わしいという部分が出て
くるわけでしょう。そういう家系のルートの調査が必要です。
もう一つは、えさです。肉骨粉をおたくで食べさせているんですかと、おた
くでは庭でとれた飼料で全部飼育しているのか、ほとんど輸入の飼料で育てて
いるのなら、そうするとその飼料がどこから輸入しているんですか、何を食べ
させているんですかという、そういう調査をしないんですか。それをすれば、
これは非常に今後、今現在発生していないけれども、ある程度の調査でこれか
らの発生の予防対策も打てると思うんです。それが今、日本で何が一番言われ
ているかというと、日本の検査体制が非常にずさんだと。何と450万頭国内
にいる牛で、去年そういう調査をしたのが調べてみたら国内で251頭です。
もう96年からこれは問題になっているんです。96年から骨粉輸入禁止の問
題が出てきて、イギリスにはそういう状況がある、国内にもそれが入っている、
そういう状況で本来ならば厚生労働省でもっとこの通達を早く出さなければな
らないんです。私は、この通達が大変問題だと思うんです。こんな時期に、千
葉で発生してから慌てて全国調査などというのは、私は厚生労働省は何をやっ
ているんだと言いたくなるんです。12年で、国内では251頭しか調査して
いないんですから。そういうことを考えていくと、私は国の厚生労働省だけで
はなくて、そういう市民の食肉を扱っている我々仙台市の食肉市場の公的立場
として、国から通達があって動くのではなくて、これはもっとやらなければい
けないという形の調査活動を本当はやってしかるべきではなかったのかと。ゼ
ロということは私はおかしいのではないかと。もっとそういう通達、目視でも
何でもいいから、そういうことを調査して把握してくださいと、こういうこと
を本来はやってしかるべきことではなかったのかと、私は思うんです。
先ほど言ったこの5項目についての調査ということは、これは考えらせませ
んか。やらないと私は後で問題になると思います。
食肉市場長
今回の飼育状況の調査については臨床の調査でございまして、実は御質問のと
おり、96年に英国で狂牛病が発生したということで、国の方では96年から、
いわゆる牛の肉骨粉については食べさせてはいけないという指導通知が各生産
者に行っております。それらが、必ずしもそれがされていないと、疑わしいと
いうこともございまして、先ほどお話ししましたとおり、国においては厚生労
働省、農水省、一体となって、いわゆるサーベイランスということで、臨床の
ほかにいわゆる脳の切片をとってそういった調査を今展開しております。当然、
これは食肉衛生検査所の所管でございますけれども、実は仙台市の食肉市場の
牛についても、6月から仙台の家畜保健所からの検体の要請があって実施をい
たしてございます。6月については、19検体すべて陰性という報告がござい
ます。7月、8月については、27件、37件これについては検査中、または
まだ送付していないというお話を伺ってございます。そういったわけで、これ
は全国的な問題となっておりますので、そういう意味で、そのサーベイランス
調査は全国的に展開をされておると。その一端として今回こういった陽性とい
いますか、疑いのある牛が発生しているということでございます。
池田友信委員
6月、7月、8月ですか、19件、27件、37件をやっていたと。それはあ
る意味ではサンプリングですね。サンプリング検査してわかる時間がさほどか
からないということであれば、こういう状況ですから、すべてやるということ
はできないんですかね。あるいは、そういうことをするということが仙台市の
食肉市場としてきちんとやっている体制だと思うんですが。
それから、先ほど言ったルートの解明というか、これから食肉市場に入れて
いる牛がどこの生産で、どういう過程かということの調査というか、入れる場
合に対するその調査はしていないんですね。そういうことをしていくことが必
要ではないかと。
それから、肉骨粉のえさの問題、その辺についてはどう考えますか。
食肉市場長
まず、狂牛病については、当然全頭がかかっているわけではございませんので、
いわゆるその特有の症状があると、それで選別をされると。その中で、当然臨
床実験と試験とその切片検査をやってクロとなれば、当然それは国の指導のも
とに追跡調査がなされますし、今回のような飼料の受け入れ先とか、それは可
能かと思います。現在、これも食肉衛生検査所の体制でございますけれども、
より厳密に今搬入してくる牛については、今後とも強化して、できるだけ衛生
検査所の方でも疑わしいものについては検査をやっていくということを、場内
の関係者の打ち合わせ、協議の中で確認はしてございます。
池田友信委員
症状が出る前のときに処理されたり、症状がはっきり表に出てからそれを特定
するということは簡単というか、問題はその一歩手前でどうなるかとか、どう
いうふうに処理されるのか、あるいはそういうこともありますから、その辺は
今後の調査としてぜひ工夫をして危機意識を持ってやっていただきたいと、今
これしかないですね。