精神科

精神科
外来診療:当院精神科は、岡山県南西部で数少ない総合病院精神科として、多種多様な精
神疾患の外来診療を行っています。病態の重症度にかかわらず、まず総合病院精神科が精
神科受診の窓口になることが多いため、統合失調症の急性期から心理的相談まで様々な患
者さんが受診され、そのために幅広い専門知識が要求されます。当科での研修は児童から
高齢者までのプライマリー精神科の知識を身に付けるためには最適と考えています。
入院診療:平成 28 年 8 月から、精神科身体合併症専門病棟として 5 床の閉鎖病棟が稼働い
たしました。当該身体疾患診療科医が第一主治医、精神科医が第二主治医として二人主治
医体制で対応するシステムとなっています。
【概要】
主任部長 土田和生(つちだ かずお)
医 師 数
スタッフ 3 名(常勤医 2 名 非常勤医 1 名)
資 格 等
精神保健指定医 3 名 精神科専門医・研修指導医 2 名
心身医療専門医 1 名 日本総合病院精神医学会特定指導医 1 名
施設認定 精神科専門医制度研修施設
一般病院連携精神医学専門医特定研修施設
臨床心理士 スタッフ 2 名
1 日平均外来患者数 65 名
専門外来:児童思春期外来 心身症外来(院内のみ)
【一般目標】
① 受容・共感・自己一致を基礎とした精神療法を体得し、適切な医師-患者関係を築け
る。
② 器質性精神障害・精神作用物質による精神障害・統合失調症・気分障害・神経症性障
害・摂食障害・パーソナリティー障害・神経発達障害などを含む多様な精神疾患全般
にわたって診断が可能になる。
③ 器質性精神障害・精神作用物質による精神障害・統合失調症・気分障害・神経症性障
害・摂食障害・パーソナリティー障害・神経発達障害などの主要な精神疾患の外来治
療が単独で行える。
④ 他診療科からのコンサルテーションに適切に対応できる。
【行動目標】
① 認知症:適切な神経心理学的検査および画像検査などの補助検査を選択し、結果を解釈
できる。抗認知症薬による治療および BPSD の治療ができる。
② せん妄:鑑別診断、および原因治療についての考察ができる。鎮静のための薬物療法が
行える。
③ 器質性精神障害:血液検査、髄液検査、生理検査および画像検査などの補助検査を適切
に選択し、結果を解釈し治療方針を立てることができる。
④ 症状性精神障害:血液検査、髄液検査、生理検査および画像検査などの補助検査を適切
に選択し、結果を解釈し治療方針を立てることができる。
⑤ アルコール依存症および精神作用物質による精神障害:適切な診断基準を用いて単独で
診断し、精神療法・嫌酒薬などを含めた薬物療法を行える。断酒会などの社会資源を適
切に利用できる。
⑥ 統合失調症:適切な診断基準を用いて単独で診断し、精神療法・薬物療法を行える。
⑦ 気分障害:適切な診断基準を用いて単独で診断し、精神療法・薬物療法を行える。
⑧ 神経症性障害(適応障害・パニック障害・強迫性障害・解離性障害・身体表現性障害な
ど)
:適切な診断基準を用いて単独で診断し、精神療法・薬物療法を行える。
⑨ 摂食障害:適切な診断基準を用いて単独で診断し、精神療法・薬物療法を行える。摂食
障害の治療に必要な内科的知識を習得する。
⑩ 睡眠障害:適切な診断基準を用いて単独で診断し、精神療法・薬物療法を行える。睡眠
時無呼吸症候群やナルコレプシーの診断方法についても理解する。
⑪ パーソナリティー障害:適切な診断基準を用いて単独で診断し、適切に対応できる。
⑫ 神経発達障害:適切な心理検査を選択し、生育歴および検査結果に基づいて診断できる。
発達障害者支援施設などとも連携がとれる。更に、必要であれば薬物療法も行える。
⑬ 児童・思春期精神疾患:適切な心理検査を選択し、結果を解釈できる。適切な精神療法
および薬物療法が行える。
⑭ 女性の精神障害:PMS・PMDD・産褥期の精神障害・更年期の精神障害などに対して
適切な精神療法および薬物療法を行うことができる。
⑮ てんかん:てんかんの国際分類を理解する。神経生理検査および画像検査などの補助検
査を適切に選択し単独で診断できる。発作型の分類に応じて適切な薬物療法を行える。
⑯ 自殺企図(精神科救急)
:適切に評価し対応できる。また、入院治療が必要か否か判断
し、必要であれば精神科病院に紹介できる。
⑰ 興奮患者(精神科救急)
:適切な評価に基づき、鎮静のための薬物療法が行える。また、
入院治療が必要か否か判断し、必要であれば精神科病院に紹介できる。
⑱ チーム医療を実践しコメディカルとの協力ができる。
⑲ 緩和医療:緩和医療の基礎知識を習得し、緩和ケアチームの一員として適切に活動でき
る。
【研修内容】
①後期研修 1 年目(精神科経験 0 年)の場合:
4 月-6 月:上級医の外来診療(主に初診)を見学し、面接の技法および薬物療法について勉
強する。上級医とともに他科入院中の患者および精神科身体合併症専門病棟患者の診療
を行う。上級医とともに救命救急センターからの診療依頼に対応する。
臨床心理士とのカンファレンスを通して、心理テストの選択や評価を学ぶ。
7 月-3 月:上級医の指導のもとではあるが、単独で外来診療・他科入院中患者および精
神科身体合併症専門病棟患者の診療・救命救急センターでの診療を行う。
②後期研修 2 年目または 3 年目(精神科経験 1 年または 2 年)
:
上級医から、面接技法および薬物療法についてレクチャーを受ける。
臨床心理士とのカンファレンスを通して、心理テストの選択や評価を学ぶ。
上級医の指導のもとではあるが、単独で外来診療・他科入院中患者および精神科身体合
併症専門病棟患者の診療・救命救急センターでの診療を行う。
【週間スケジュール】
月
火
水
木
金
午前
病棟
外来
病棟
外来
病棟
午後
リエゾン
外来
リエゾン
外来
リエゾン
土
病棟(隔週)
病棟:精神科身体合併症専門病棟での診療
リエゾン:他科入院中外来患者の診療
毎週水曜日:18:00-19:00
医師・心理士合同カンファレンス
毎月第 4 水曜日:18:00-20:00 医師・心理士合同カンファレンス・症例検討会
【主な疾患の年間経験症例数(主治医として対応できる初診症例数)
】
① 認知症 約 10 名
② せん妄(入院) 約 50 名
③ アルコール依存症および精神作用物質による精神障害 約 10 名
④ 統合失調症 約 10 名
⑤ 気分障害 約 50 名
⑥ 神経症性障害 約 50 名
⑦ 摂食障害 約 5 名
⑧ 児童・思春期精神疾患(18 歳未満) 約 5 名
⑨ 自殺企図(入院) 約 10 名
【専門医等の取得】
日本精神神経学会 精神科専門医
日本総合病院精神医学会 一般病院連携精神医学専門医
ただし、当科の病棟は精神科身体合併症専門病棟のみなので、当科の研修のみでは精神科
専門医の取得は不可能です。
しかし、以下の項目においては特に有意義な研修が行えると思われます。

補助検査法(神経学的検査、心理検査、脳波、脳画像検査など)

リエゾン・コンサルテーション精神医学

安全管理

症状性を含む器質性精神障害(認知症など)

児童・思春期精神障害

神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害
【後期研修終了後の進路】
精神科専門医・精神保健指定医を取得するために、当科で1年研修した後に、岡山市内の精
神科病院を1-2年間研修病院として紹介することが可能です。大学院進学および大学医局へ
の入局の相談にも応じます。
【最後に一言】
長い精神科医生活の中で、何年間か総合病院精神科医として仕事をしてみませんか?
総合病院精神科での研修にはこんなメリットがあります
児童から高齢者までのプライマリー精神科の幅広い専門知識が身につきます。
小学生のヒステリー(解離性障害)・中学生になって不適応を起こした神経発達障害・高
校生の心身症・非定型な精神症状で発症したレビー小体型認知症・癌患者の精神的ケア・
救命救急センターを受診した自殺企図患者などなど、精神科医の経験として必須でありな
がら、精神科病院ではなかなか経験できないような症例が豊富です。
豊富な症例に対する指導体制も充実
そのような様々な疾患に対応
するために、経験豊富な常勤医
2名、非常勤医1名のスタッフが
います。そして、何と言っても
経験豊富な臨床心理士が2名も
いるので頼もしい限りです。
医師と心理士は毎週1回、合同
カンファレンスで患者の治療
方針について検討しています。
最近では、毎週のように児童・
思春期の神経発達障害症例に
アット・ホームな雰囲気の医師・心理士合同カンファレンスの様子
ついて、活発に意見交換が行わ
れています。
「百聞は一見にしかず」
総合病院精神科での経験は、精神科医としてのキャリアの中で、何物にも換えがたい貴重
な財産になるに違いありません。
総合病院精神科での研修に興味がある方、どうぞお気軽にご相談ください。
E-mail kt10966@kchnet.or.jp