24 時間の安全な輸血医療を保証するための精度管理研修プログラムの構築 ○屋嘉比 静子 1),田野口 優子 1),長嶺 辰美 2),山根 誠久 1)2) 1) 琉球大学医学部附属病院輸血部, 2) 同検査部 【目的】24 時間の安全な輸血医療を保証するためには検査を担当するすべての臨床検査技 師がその技術と知識に習熟していなければならない。現在行われている輸血検査の外部精 度管理調査は、輸血検査を専業とする一部の者のみを対象としているため、日々の輸血医 療の安全性をモニターする機能を果たしていない。今回我々は、琉球大学において 24 時間 検査体制に関わるすべての臨床検査技師を対象に、定期的な精度管理調査を開始し、輸血 教育、研修効果のモニタリングを目指した精度管理研修プログラムの開発を試みたので報 告する。 【方法】夜間、休日を含む業務時間外の輸血検査に携わる検査部・輸血部職員 23 名を対象に精度管理調査を実施した。調査項目は ABO および Rho(D)血液型検査、交差適 合試験の他、知識レベル、業務の運用、機器および輸血システムの操作法とした。血液型 検査、交差適合試験は試験管法で実施し、業務の運用と機器およびシステム操作について は質問方式で出題した。各自の所有するコンピュータより電子メールで回答を収集した後、 解析結果を参加者全員に報告し、解決すべき問題点や手順書の改訂、今後の調査の方法を 検討、協議した。 【結果及び考察】初年度の精度管理調査では、検査技術と判定互換性の確 保に重点をおいた。第 1 回の調査では、血液型の凝集判定の誤りと誤記入が各 2 件、最終 判定の判断の誤りが 1 件確認されたが、第 2 回の調査でも同様な誤りが 2 件確認された。 加えて、2 度の交差適合試験でいずれも異型不適合輸血を「適合」と誤判断した技師が 1 名, 凝集反応の見逃しも 3 名確認された。これまでの 2 回の調査から、注意不足による誤記入 や知識、技術レベルの習熟が不十分なことによる誤りが確認され、輸血検査を担当するす べての臨床検査技師を対象とした精度管理の必要性が確認された。精度管理調査の内容を さらに充実させると共に、他施設でも適用できる汎用的な精度管理研修プログラムを構築 していく計画にある。
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