メディアとジェンダー ーテレビニュースが映し出す女性像を分析する~

LM-12
メディアとジェンダー
ーテレビニュースが映し出す女性像を分析する~
0011355渡沮香住】指導教員藤掛洋子
【背景と目的】メディアには公平で正確な情報発
性アナウンサーが机当する時には行われていない。
信が求められる。しかし、メディアの中には女性
そのことから、女性が艤場しないスポーツで少しで
を差別的に扱っているものがある。女性差別撤廃
も女性を写しておこうという意図があると思われる。
条約や国連女性会議を契機に国際社会においては
女性が男性視聴者のアイキャッチャーとして使われ
「メディアとジェンダー」という視点を持つこと
ているのだろう。
の重要性が指摘されてきた。本研究ではメディア
スポーツニュースの内容は野球やサッカー中心
における女性差別の現状を分析し、問題点を示す6
で、登場するスポーツ選手の殆どは男性であった。
【方法】「ニュースステーション」と「NHKニュ
その中で唯一、女性が登場したことがあった。そ
ース10」の二本を10日間録画する。その中の女
れは、ピーチバレーの女性の選手にインタビュー
性を差別的に表現していると考えられる映像や表
をするというものであった。ここでは、彼女たち
現について分析する。また、文献・インターネッ
のビーチバレーに対する思いを聞いていた。しか
トを利用した調査も行う。
し、それはいつの間にか、-人の選手の家族の話
【結果及び考察】小玉によれば、ニュースの成立
へと変わっていった。夫や子どもが登場し、最終
過程にはいくつものフィルターが存在する。例え
的には、彼らの協力があるから選手を続けられる
ば、記者についてである.記者の性別は著しく男
といったステレオタイプのストーリーに展開して
性に偏っている。女性の目なら当然選んでいる事
いった。このように女性の場合だけ夫の協力や子
柄が、男性の眼だけのため見落とされてしまうこ
どものことについて問われるのである。これが男
とがある。フィルターを通して作られたニュース
性の場合、妻や子どもの話に触れることがあって
は、男性を中心とした内容になっている(小玉
も、インタビューがそれに終始することはない。
1989)。
このようにメディアの表象には二重規範があるこ
木研究で事例として取り上げた2つの番組の内、
ニュースステーションで特徴的なことは、スポー
ツの項目である。総時間数の内、その:305%がス
・ポーツであった。
とが見出された。ニュースには女性を-人の自立
した存在として認めないように描写するジヱンダ
ーのバイアスが機能していると推察される。
カナダには、市民団体が放送局の固定的性別役
割などを点検できる制度がある。日本にはそのよ
うな制度はない。日本では放送局に自主規制のガ
イドラインがあるのみである。そのガイドライン
天
7.
図.ニュースステーション項ロ別岬、敵の割合
出典:域俎香化(2003年8月4~8日.11~lIjnの、U玄による),
も女性の人権という視点に関してはまだ不十分で
あると指摘されている。その結果、メディアによ
る女性差別は繰り返されていると言えよう。
今後日本では、メディアの性差別に関する規制
スタジオで原稿を読むのは通常、月~木晒日は男
罰則を強化すること、視聴者、`特に性差別の対象
性アナウンサー、金曜日が女性アナウンサーである。
となってきた女性が男性化されたメディアへの批
男性アナウンサーが担当する時だけ行われている演
判的な視点を身に付けること、学校教育において
出がある。それは、男性アナウンサーの背後に「女
メディア・リテラシーを育成するためのカリキュ
性」キャスターを配するというものである。その際
ラムを充実させることが課題であろう。
に画而には女性の足も含め全体が写されている。女
lKnSuuTTliWntanabe