台湾(調査題目 4:教育事情) 作成日:2003 年 9 月 15 日 4.1 教育関係法令 憲法 164 条 1)教育経費の制定 全予算の 15%、省と政令指定都市の予算の 25%、県・市予算の 35%を教育経費に当 てる。 2)1997 年 7 月、教育に関わる憲法修正 教育、科学、文化の国民教育経費は、優先的に支払われ、憲法 164 条の制限を受け ない。 文部省 1) 1997 年 4 月 17 日教育部通達 ・ 台湾の教科書は、2000 年度から民間編集による各学校の自由採用に移行する。 ・ 北京大学、精華大学など、中国国内 72 校の大学の学歴を承認する。 2) 1999 年 5 月「教育改革行動方案」の実施決定。 (「高等教育の回流教育体系実施具体案」の制定を含む 12 項目) *出典:台湾ホームページ、http://www.roc-taiwan.or.jp/ 4.2 学校教育制度 制度の概要 −学校制度 6・3・3・4 制 −就学前教育 幼稚園 −国民教育=義務教育 国民小学、初等中学の計 9 年間、6∼15 歳(小学校 6 年間、中学校 3 年間)、授業料 無料。 −義務教育以降 高級中学校:16∼18 歳、1 年生∼3 年生 職業コース:高級職業学校 3 年、または高級専門学校中学卒入学の 5 年 →短期大学 2∼3 年または工科大学 4 年。 学問コース:総合大学/単科大学 4 年(医学は 7 年) →修士コース 1∼4 年→博士コース 2∼7 年。 −学年度 8 月 1 日∼7 月 31 日まで。日曜日を休日とする、週 6 日制。 −学期制 2 学期制。新年度、新学期は 8 月から始まる。第 1 学期は 8 月 1 から 1 月 31 日まで、 第 2 学期は 2 月 1 日から 7 月 31 日まで。 1 1 台湾(調査題目 4:教育事情) 作成日:2003 年 9 月 15 日 詳細 1) 盲唖など特殊学校と補習校の就業期限は正規学校に準じる。 特殊学校:視聴覚障害者、身体障害者、精神薄弱者向け。主に政府の所管。 2) 就学前教育 就園年齢 3∼5 歳(法的には 4 歳から)、教育期間 1∼2 年。公立の幼稚園は国 民学校に付設されている場合が多い。私立幼稚園が多く施設数 7 割、在籍者 数 8 割を占める。公立費用1学期 23,000 台湾元(2 学期制)、私立は月額 7,000 ∼10,000 台湾元。 3) 初等教育(義務教育)=「国民小学」 6 歳入学(その年の 8 月 31 日までに満 6 歳になるものは、その年の 9 月 1 日に 第1学年に入学する。第1学年のみ 9 月 1 日入学)、修業年限 6 年間。公立が ほとんど。 4) 前期中等教育義務教育=「国民中学」 修業年限 3 年間。 5) 後期中等教育(高級中学、高級職業学校、総合高級学校) 中学卒業後の上級学校進学者には入学試験があり、進学率は男子 86%、女子 91%と女子生徒の方が高い。 ・高級中学:就業期間 3 年。私立校が半数以上を占める。 ・高級職業学校:就業期間 3 年。工業 43%、商業 38%、家政 8%、農業 4%、 水産 2%、看護 5%、芸術 0.3%など(1994 年度) ・総合高級学校:学術課程と職業課程の併設校。 6) 高等教育(専科学校、大学、大学院) 高等教育進学率は高級中学卒業者の 57%、高級職業学校卒業者が 16 %。 専科学校と大学がある。専科学校 72 校のうち 59 校が私立、大学 23 校(私立 8 校)、独立学院 35 校(私立 18 校)が設けられている。 ・専科学校:応用科学を教授し、技術人材を養成する学校。 ・5 年制専科学校:国民中学卒業者、1部の学科(薬学、獣医、航海等)は 6 年制。 ・3 年生専科学校:1997 年度からは体育専科学校のみ募集。 ・2 年生専門学校:関連する専攻の高級職業学校卒業者および関連分野職業在 籍経験者(後期中等教育卒業者)。建築工学科は 3 年。 ・大学:高級中学、高級職業学校卒業者。一般就業期間 4 年、建築系 5 年、歯学 系 6 年、医学系 7 年。 大学:学部(学院と呼ぶ)が 3 学部以上構成する機関で日本の総合大学に相当。 独立学院:3 学部以下の単科大学。 技術学院:専科学校卒業者対象の修業 2 年生課程と、高級職業学校卒業者対象 の修業 4 年課程。 2 2 台湾(調査題目 4:教育事情) 作成日:2003 年 9 月 15 日 ・大学院:修士課程 2 年。入学資格は学士号取得者および 3 年生専科学校卒 業者で 2 年の勤務経験のある者にも入学資格がある 博士課程 3 年。入学資格は修士号拾得者および、医学の学士取得者で 2 年 の実務経験者、また、修士課程在学中で優秀と認められた者。 ・教員教育:初等教育教員は、師範学院 4 年。中等教育教員は、師範大学 4 年。 学齢 年齢 図 4-1 学校教育系統図 3 3 台湾(調査題目 4:教育事情) 作成日:2003 年 9 月 15 日 4.3 学校外教育制度 −僑民教育 華僑教育は華僑の居住する国における華僑民学校と、台湾に帰国した帰国子女の 指導の 2 種類がある。 −徴兵制 満 19 歳の男子は兵役の義務があり、現役服務年限は 2 年。 除隊後は予備役に編入され、その後の教育訓練や演習に召集される。 大学・専科学校在校生は徴兵延期が許されるが、卒業後に必ず服役する。 −補習教育 正規の学校教育を受けなかった成人を対象。 国民教育段階対象の「国民補習教育」と、後期中学及び専科学校レベル対象の「進 修補習教育」があり、修了者は試験に合格すれば正規学校と同格の卒業資格が得 られると共に、上級学校への進学が可能となる。 −実用技能クラス 上級学校進学者以外の国民中学卒業者対象。職業技能教育。 −放送大学 卒業までに必要な単位は一般大学に同じ。博士号取得可。 全科制入学資格は高級中学卒業が条件、入学試験あり。 専科制は、18 歳以上入学で入学試験なし。 4.4 教育機関の組織 中央政府・行政院→教育部 台湾全体の教育について法令の制定、監督・指導 直接設置・運営校:大学 31、専科学校 12 学術・文化を所管 台湾省→教育庁 教科書の印刷発行 直轄市(台北、高雄)→市教育局 管轄地域の教育の発展と監督・指導 初等・中等学校教員の研修 学術・文化の所管 5 市・16 県→各教育局 国民小学・国民中学の所管 4 4 台湾(調査題目 4:教育事情) 作成日:2003 年 9 月 15 日 *出典:文部科学省、諸外国の学校教育 アジア・オセアニア・アフリカ編 4.5 教育関係予算 教育支出:中央政府歳出の 18.8%(1999 年) 社会福利や教育・文化に重点を移す傾向があるといえる。 *出典:Government Information Office, , http://www.gio.gov.tw/ 1997 年度会計予算では、5,372 億元。中央および各級地方政府の教育支出総額は、国 民総生産概算高の約 6.85%を占める。 *出典:台湾ホームページ、http://www.roc-taiwan.or.jp/ 1994 年度の公財政支出教育予算の内訳は、中央政府が 27%、台北市・高雄市・台湾 省政府が 37%、県・市政府が 38%、町・村が 1%弱という負担区分。 *出典:文部科学省、諸外国の学校教育 アジア・オセアニア・アフリカ編 4.6 奨学制度 1)政府による外国人留学生に対する奨学金 ・特別奨学金 政府レベルの文化協定に基づく留学生が対象。支給額は双方の関係により異な る。支給期間は原則 1 年間。1996 年実績は 39 カ国 273 名が受給。 ・普通奨学金 学術協定校レベルの交換留学生、および一般留学生対象。年間約 320 名が授 与された。 2) 外国あるいは国内機構による台湾学生に対する奨学金 ・ 1995 年から 1996 年 6 月まで、諸外国政府、学校および国内文教基金から提 供を受けた奨学金対象学生数は 129 名。 4.7 実施状況 4.7.1 学校数、教員数、就学者数、授業時間数、就学率 表 4-1 学校数、教員数、就学者数、就学率 学校数 教員数 (1997 年) 就学者数 純就学率(%) 就学前教育 3,234 19,799 246,303 24% 国民小学校 2,611 103,501 1,925,491 98% 国民中学校 1,003 81,212 1,306,718 93% 291,095 88%(進学率) 高級中学 高級職業学校 204 509,064 − 総合高等学校 44 20,508 − 139 1,092,102 − 高等教育 5 5 台湾(調査題目 4:教育事情) 作成日:2003 年 9 月 15 日 1)1997 年、教師 1 人当たりの生徒数 20.64 人 2)1 クラス 37.31 生徒 3)人口数と生徒の比較 4)義務教育総就学率 238.94 人 99.92% *出典:台湾ホームページ、http://www.roc-taiwan.or.jp/ 4.7.2 カリキュラム(初等・中等・高等) 表 4-2 国民小学の教育課程基準(週当たり時間) 1995 年 国民小学校 国民中学 教科/学年 1・2 年 3・4 年 5・6 年 1年 2年 3年 公民・倫理/保健 80 分 80 分 80 分 2 時間 2 時間 2 時間 2 ― ― 保健(国民中学) 中 語 400 360 360 6 6 6 数 学 120 160 240 2∼3 2 ― 社 会 80 120 120 ― ― ― 歴 史 及 び 地 理 ― ― ― 各2 各2 ― 理 科 120 160 160 3 2 2 戯 80 ― ― ― ― ― 体 育 80 120 120 2 2 2 音 楽 ― 80 80 1 1 1 美術/図工/家庭 80 120 120 1 1 1 集 動 ― 40 40 2 2 2 ス ― 40 40 1 1 1 術 ― 40 40 ― ― ― ― 4∼14 12∼17 歌 ガ 民 国 ・ 遊 団 イ 活 ダ 族 ン 芸 選択科目 ボーイスカウト活動 ― ― ― 1 1 1 計 1040 1320 1400 32∼34 32∼36 32∼37 1) 国民小学校・義務教育(教授言語は北京語、週 5 日制) 2) 国民中学校・義務教育(教授言語は北京語、週 5 日制) 2、3 学年の選択科目には農業生産、図画、算盤、農業、商業、家政、英語、 数学、音楽、美術がある。 3) 後期中等教育(高級中学、高級職業学校、総合高等学校)教育課程基準は中 央政府教育部で定める。 ・高級中学:設置教科は、中国語、英語、公民、歴史、地理、数学、科学 基礎、物理、化学、生物、地学、体育、音楽、美術、技術、家庭がある。 ・高級職業学校:農業、工業、商業、家政、水産、看護、芸術の各専門学 6 6 台湾(調査題目 4:教育事情) 作成日:2003 年 9 月 15 日 科がある。この他、高級中学、高級職業学校共に「三民主義」および軍 事訓練が課せられている。 ・総合高等学校:中国語文、外国語文、数学、社会、自然、芸術、生活、 体育、活動、職業の 10 種類。 *出典:台湾ホームページ、http://www.roc-taiwan.or.jp/ 4.7.3 専攻分野別卒業生数 調査中 4.8 外国語能力 4.8.1 日本語能力(日本語学校数・生徒数) 表 4-3 日本語教育機関調査結果(1998 年度) 初・中等教育 高等教育 学校教育以外 機関数 95 105 142 教師数 243 955 N.A. 31,917 76,917 53,038 学習者数 日本語は英語に次いで学習者の多い外国語である。しかし、教員不足、有料教材 不足、教授法の情報不足と、問題点も多く、日本語教師の確保が急務である。 4.8.2 英語能力 小学校 5 年生より、必修科目として第一外国語に英語がある。 *出典:国際交流基金ホームページ、http://www.jpf.go.jp/j/index.html 【参考文献】 1. アジア経済研究所編、 「アジア動向年報 1998 年」、アジア経済研究所、1998 年。 2. 領事移住部政策課、「諸外国の主要学校ハンドブック 3. 文部省編、 「諸外国の学校教育 アジア編」、1997 年。 アジア・オセアニア・アフリカ編」、大蔵省印刷局、1996 年。 4. 台湾ホームページ、http://www.roc-taiwan.or.jp/ 5. Government Information Office homepage, http://www.gio.gov.tw/ 6. 国際交流基金ホームページ、http://www.jpf.go.jp/j/index.html 7. 林志行著、「図解台湾のしくみ」、中経出版、2000 年。 7 7
© Copyright 2024 Paperzz