平成 23 年度教科指導ステップアップ研修 中学校(外国語)実践レポート

平成 23 年度教科指導ステップアップ研修
加茂市立葵中学校
1
2
単元名
TOTAL
教科・学年
ENGLISH1
中学校(外国語)実践レポート
英語・1学年
Lesson6
氏名
石本
素子
ハロウィーン
単元の目標
・ 代名詞 they, we の用法を理解する。
・ 複数主語の文構造についての知識をもつ。
・ 疑問詞の what や who を用いて話を深めることができる。
3
単元の構想
本単元の言語材料は、代名詞 they や we などを含む複数主語と、what や who で始まる疑問文であ
る。
主語が複数になると、be 動詞や一般動詞の使い方も変わってくる。主語が単数の場合の be 動詞・一
般動詞の使い方は、前単元で学習している。複数主語を導入することで、英語を使った幅広い表現がで
きるようになる。友達の部活紹介など、身近な人を例に挙げて、複数主語と単数主語を意識させ、動詞
の使い方の違いを練習させる。
また、what や who などの疑問詞を学習する。質問の仕方や答え方のパターンを身に付けさせるため
に、物当てクイズや人当てクイズなど、生徒の興味を引く活動を取り入れながら、友人とのコミュニケ
ーション活動を通して練習させる。文法を説明する際には、疑問詞の後ろに be 動詞が続く文と、一般
動詞が続く文とを比較し、それらを使う状況を示しながら理解させる。
4
生徒の実態(男子18人、女子15人、計33人)
1年2組の生徒は、全体的に落ち着いていて、静かに学習に取り組める。また、積極的に発言をする
生徒もいて、他の生徒はその意見をしっかり聞き、受け入れる雰囲気がある。だが一方で、人前で大き
な声を出して英語を読んだり、友人とコミュニケーションを積極的にとったり、自分の考えを発表する
ことなどが苦手な生徒もいる。それらの部分を、ペアワークやグループワークの機会を多く設定し、自
己を表現する練習を繰り返し行うことで、自信をもたせ、改善させていきたい。
英語を書く活動については、導入された文法を用いた短文は多くの生徒が書くことができる。しかし
まとまった量の英文は、自分独自の表現を用いて書く生徒もいるが、なかなか浮かばない生徒もいる。
例を示して、その例をもとに独自の英文を書く練習をさせて、書けるように指導していきたい。
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テーマについて
H23年度 葵中研究主題
「他と関わりながら、生き生きと学ぶ生徒の育成」 ~生徒の意欲的な学習を引き出す授業改善を通じて~
①英語科における研修テーマ
②自分の研修テーマ
「表現力をのばすための指導の工夫」
「PPP を意識した授業」
「ペアワーク・グループワークの充実」
本校では、「他と関わりながら、生き生きと学ぶ生徒の育成」を研究主題に、各教科での取り組みを
続けている。その研究主題に迫るために、英語科では、特に「表現力」に焦点を当てて、その向上を目
指した授業を行っている。英語科でいう「表現力」とは、「感情を入れて英文を読んだり、自分の考え
を書いたり、発表したり、友達とのコミュニケーションの中でお互いに質問し合ったりすること」であ
る。これらの「表現力」を伸ばすことにより、
「英語を使って表現できた」という達成感をもたせたり、
自信をつけさせたりすることができると考える。それによって、生徒の意欲的な学習につながっていく
と考える。
しかし現段階においては、全体の前で自分の英語表現を伝えることに抵抗がある生徒が多い。そのた
めに、ペアワークやグループワークなどの小グループの活動で、自己を表現する練習をたくさんさせ、
慣れさせていきたい。さらに、生徒の良い表現などは、全体の前で発表するなどして賞賛し、自信をつ
けさせたい。
また、友達との活動は、その関わりの中から、自分だけでは気づかなかったことや、多様な表現など
に気づき、考えをより深めることができると考える。相互の表現を認め合うことにより、人間関係を深
めながら、意欲的に学ぶ生徒の育成を目指したい。
さらに、研究テーマを受けて、自分の授業では、以下の2点を意識的に取り入れることで、主題に迫
ろうと考えている。
(1) PPP を意識した授業
英語の授業では、新しい文法を学習する際、最初にわかりやすい例文を使って意味を確認す
ること、次にその例文を繰り返し口頭練習し、発音を確認すること、最後にそれを実際に使っ
て活動してみることをテンポよく行うことが大切であると考える。
そのために授業では、
①Presentation(文法提示)
②Practice(練習)
③Production(運用)
の3段階で学習を行っている。
まず、教師が新しい文法を生徒に示し、説明やモデルを与えて理解を図る文法提示
(Presentation)を行い、その後、正確な再生を目指して模範・反復・文型練習などの練習
(Practice)を行い、最後にコミュニケーションの実現のために実際に用いる運用(Production)
を行う。
特に、①では、生徒の興味を引くような話題を用いて提示を行うこと、②では、基本文を反
復する練習と、基本文の中の単語を代えていく練習の2パターンで行い、スモールステップで
文法を身に付けさせること、③では、実際にありそうな状況設定を作ることを心がけている。
このような段階を意識した授業を行うことによって、生徒が一つの文法を確実に身に付けられ
るように工夫している。
(2) ペアワーク・グループワークの充実
表現力の向上のために、各単元で、できるだけ英語を話す活動や、英文を書く活動を取り入
れるようにしている。授業内においては、ペアワークやグループワークを積極的に取り入れて、
生徒が、相互に自分の英語表現を伝える場面を意図的に作っている。ペアワークでは、隣同士
で行うだけでなく、片方の列を1席ずつ移動させて、別のペアを作ったり、席にこだわらずク
ラス全体で動き、ペアを見つけて会話をしたりして、同じ表現でも、違った人と関わりながら
何度も練習できるようにしている。グループワークでは、主に生活班を利用して、自分が作っ
た英作文などを発表する活動を行っている。友達と関わり合う活動をすることにより、相互の
表現を認め合ったり、多様な英語表現を学び合ったりし、自分の英語表現をより深めさせ、英
語への意欲が高まると考える。
単元の指導計画と評価計画(全 7 時間)
時
次
6
目標
評価
第1時
複数名詞や代名詞が主語の
場合の be 動詞を正しく使
うことができる。
・ 代名詞の用法を理解するこ
とができる。
・
・
友達の部活紹介をする。
グループ当てクイズをす
る。
人物紹介のワークシートの
穴埋めに適切な代名詞を入
れる。
・ be 動詞を正しく使うことが
できたか。<文法・語彙>
第2時
・ 代名詞を使って、他己紹介
をすることができる。
・ 身近な人をテーマにした紹
介文を書く。
・ 発表する。
・ 他己紹介の文を be 動詞や一
般動詞を使って、正しく書
くことができたか。
<表現>
第3時(本時)
・ Who is~?を使って友達に
質問したり、答えたりする
ことができる。
・ 友達の好きな人物を紹介す
る英文を書くことができ
る。
・ 人当てクイズをする。
・ 友達の好きな人物について
Who is~?を使ってたずね
る。
・ 友達の好きな人物を紹介す
る英文を書く。
・ Who’s~?を使って、友達に
質問したり、答えたりする
ことができたか。<表現>
・ 友達の好きな人物を紹介す
る英文を書くことができた
か。
<表現>
・ What is~?を使って友達に
質問したり、答えたりする
ことができる。
・ 一般動詞や be 動詞を使っ
て、自分が紹介したい物に
ついての英文を書くことが
できる。
・ 物当てクイズをする。
・ 自分の紹介したい物につい
て、紹介する英文と絵を作
成し、クイズ形式で友達に
質問する。
・ 相手の質問に答える。
・ What’s~?を使って、質問し
たり、答えたりすることが
できたか。
<表現>
・ 一般動詞や be 動詞を使っ
て、自分が紹介したい物に
ついての英文を書くことが
できたか。
<表現>
第5時
・ 教科書の内容を理解するこ
とができる。
・ 新出単語を確認する。
・ 6Aの内容を読み取る。
・ 文法のまとめ
・ 教科書の内容を理解するこ
とができたか。 <理解>
第6時
・ 教科書の内容を理解するこ
とができる。
・ 新出単語を確認する。
・ 6Bの内容を読み取る。
・ 文法のまとめ
・ 教科書の内容を理解するこ
とができたか。 <理解>
第7時
・ 教科書の内容を理解するこ
とができる。
・ 新出単語を確認する。
・ 6Cの内容を読み取る。
・ 文法のまとめ
・ 教科書の内容を理解するこ
とができたか。 <理解>
・
第一次
第二次
第4時
第三次
7
学習活動
・
・ 代名詞の用法を理解するこ
とができたか。
<文法・語彙>
本時の指導
(1)ねらい ・Who is~?を使って友達に質問したり、答えたりすることができる。<表現>
・友達の好きな人物を紹介する英文を書くことができる。<表現>
(2)展開(次項)
学習活動
導入 10分
Presentation(文法提示)
1.
有名人の写真を見て、Who is this?
の質問に答える。
Practice(練習)
2.
教師の働きかけ
評価(○)
留意点(・)
1. Who を使う状況をつかませるため
に、有名人の写真を1枚提示して、
Who is this?と問いかける。
2. Who is this?の質問の仕方と、答え方
の説明をする。発音を確認する。
≪板書事項≫
教師の後に続いて Who is this? の質
問の仕方と、答え方を、繰り返し言
う練習をする。
人をたずねるときの言い方
Q: Who is this?
・
(これは誰ですか?)
A: He(She) is
5枚提示する。最初の
2枚は、全員に答えさ
.
せ、次からの3枚は隠
しながらクイズ形式で
3.
展開
4.
37分
教師の出す有名人の写真を見て、He
(She) is ~.で答える。
3. さらに別の有名人の写真を1枚ずつ
提示し、Who is this?と問いかける。
ワークシートにのっている人物の名
前を、Who is this?を使って隣の人に
聞く。隣の人の質問に He(She) is~.
で答える。
4.
Production(運用)
6.
自分が得た情報をもとに、友達の好
きな人物を紹介する英文を書く。
5.
指名された生徒の発表を聞く。
・
活動に積極的に取り組
んでいるか、机間巡視
ワークシートを配布し、活動の説明
をする。新出単語・既習事項を提示
し、発音を確認する。
○
Who is~?を使って友達
に質問したり、答えたり
することができたか。
(机間巡視)
≪会話の例≫
A&B: Hi~.
会話が難しい生徒に対する
A: Who is your favorite singer?
B: My favorite is Fukuyama Masaharu.
A: What song do you like?
B: I like “Sakura-zaka”.
A: Who is your favorite comedian?
B: My favorite is “Down-Town”.
A: Do you watch “Hey Hey Hey”?
B: Yes, I do.
A: Thank you.
手立て:日本語でヒントを与
6.
○
6’
7.
答えさせる。
をする。
5.
活動で使う新出単語・既習事項の確
認、発音の練習をする。
(favorite, your, my など)
5-1 友達の好きな歌手や芸能人などにつ
いて、Who is your favorite~?を使
ってたずねる。
5-2 さらに、インタビューした相手につい
ての英作文を書くための材料となる
質問を1つ付け加えて、相手にたず
ねる。
2種類のワークシートを生徒に配布
し、活動の説明をする。
出題、生徒を指名して
ワークシートを配布し、書き方の説
明をする。
早く終わった生徒は、自分の感想も
記入するように指示する。
える。
友達の好きな人物を紹
介する英文を書くこと
ができたか。
(机間巡視)
書けていない生徒に対する
≪予想される生徒の英作文≫
手立て:例文を示しながら、
Aki likes Fukuyama Masaharu.
She likes Sakura-zaka.
She likes Down- Town.
She watches Hey Hey Hey on TV.
I like them, too.
But I don’t watch Hey Hey Hey.
アドバイスを与える。
7. 2~3人の生徒を指名する。
・
生徒の発表の良い点に
コメントを加える。
まとめ
8.
ワークシートの自己評価の欄に記入
する。
8.
自己評価を記入するよう指示する。
(3)評価
・Who is~?を使って友達に質問したり、答えたりすることができたか。<表現>
次の観点で、自己評価する
(1) 英語を使って、友達に伝わるように質問することができた。
(2) 友達の言ったことを理解し、質問に答えることができた。
(3) 友達とアイコンタクトをしながら、会話をすることができた。
A:生徒の自己評価で、2つ以上 A 評価がある
B:生徒の自己評価で、2つ以上 B 評価がある
C:生徒の自己評価で、C 評価がある
・友達の好きな人物を紹介する英文を書くことができたか。
<表現>
英文の量・正確さで評価
A: 4文以上書いている・主語に合った動詞を適切に使用している
B: 4文書いている・動詞の三単現のsがとれている
C: 1~3文書いている・一般動詞と be 動詞の混同が見られる
(4)本時の記録
文法提示
練習
○教師の働きかけ ●生徒の反応
○ 有名人の写真を提示して、Who is this?と問いかけた。
Who を使う状況をつかませた後、Who is this?の質問の仕方
と、答え方の説明、発音を確認した。
● 芸能人の写真をクイズ形式で提示したため、生徒が興味を
持って聞いていた。Who is this? の意味も、すぐに生徒の
発言から出てきた。
質問の仕方と答え方が、簡単で覚えやすかったため、多く
の生徒がつまずくことなく、理解できた様子であった。
○ ワークシートにのっている人物の名前を、Who is this?を使っ
て隣の人に聞き、その質問に He(She) is~.で答えさせる活動
を行った。
● 決まった型で質問をし答えるので、全ての生徒ができていた。
英語を使って、写真の人物の名前の聞き合うことができたが、
写真の人物がどんな職業の人なのかわからず、あとから友達と
聞き合っていた。
運用
○ 友達の好きな歌手や芸能人などについて、Who is your
favorite~?を使ってたずね、さらに、質問を1つ付け加え
て、相手にたずねる活動を行った。
● 質問を1つ付け加えるのが難しかった様子であった。説明
が不十分だったせいか、好きな歌手や芸能人に関する追加
質問ではなく、友達本人に関する質問をしている生徒もい
た。
英作文
○ 自分が得た情報をもとに、友達の好きな人物を紹介する英文を
書く活動を行った。
● 例文も示してあったため、全ての生徒が4文以上書くことがで
きた。中には、三単現の-s が抜ける生徒、have を haves と書
く生徒がいた。
単元の第一次で、代名詞を一通り学習したので、his や their
が比較的容易に出てきた。
生徒の書いた英作文
8
単元を振り返って
(1)目標の実現状況
①「Who is~?を使って友達に質問したり、答えたりすることができる」について
生徒は決まった型で質問をし答えるので、全ての生徒ができていた。英語で情報交換をすることができ
たが、写真の人物がどんな職業の人なのかわからず、後から友達と聞き合っている様子があった。ワーク
シートの名前を書く欄の下に、職業を書いておけば、生徒の関心もさらに増したと思われる。
②「友達の好きな人物を紹介する英文を書くことができる」について
例文も示してあったため、全ての生徒が4文以上書くことができた。中には、三単現の-s が抜ける生徒、
have を haves と書く生徒がいた。今後復習させたい。単元の第一次で、代名詞を一通り学習したので、
his や their が比較的容易に出てきた。
しかし英作文の材料を集めるインタビュー活動では、課題が多く見つかった。
一つ目は、説明が長すぎて間延びしてしまったこと。二つ目は、Practice から Production の活動
があまりに飛躍しすぎていて、難しかったこと。三つ目は、フリーインタビューの形にしたことで、
教師の見とりが不十分であったこと。などである。一つ目に関しては、言葉で説明するよりも何人か
の生徒とデモンストレーションで示せば、生徒の理解も早く、ルールの不徹底が解消されたのではな
いかと思う。二つ目に関しては、Production の活動をもっと簡潔にし、
「1-2の人気芸能人(や先
生)ランキング」などの形で Who is your favorite~?だけを繰り返し言わせる活動の方が、Who is
~?を定着させるのに有効であったと思う。三つ目に関しては、フリーインタビューの形でも、ペア
を見つけたら一旦席に座らせ、時間を区切って相手を変える活動にすれば、見とりがきちんとできた
と思う。
(2)指導の成果と課題
PPP の授業展開のように段階をおって授業を行うことによって、生徒が一つの文法を確実に身に付
けられるようになってきている。しかし1時間の中でこの3つを行うことは、一つ一つにかける時間が
少なく飛躍した活動になってしまうので、Production は、単元のまとめとして行うようにしたい。
(3)今後の指導に向けて
クラスルームイングリッシュの後に、すぐに日本語で説明してしまっていたので、英語のみの指示に
慣れさせ、日本語を言わなくても動けるように指導していきたい。