第 3 節 画像診断 ● はじめに 画像診断は,肝細胞癌の診断において極めて重要な位置を占め,大部分の肝細胞癌は, 画像診断のみで確定診断することが可能である。 肝細胞癌の画像診断法として,超音波検査, CT(computed tomography),MRI(magnetic resonance imaging),血管造影,核医学検査が挙げられる。こうした検査法にはそれぞれ 特徴がある。さらに,同一検査法であっても造影剤使用の有無,使う造影剤の種類と量, その注入速度,撮像タイミング,スライス厚などの撮像条件によって,画像の質には大き な差が生じ,その結果,肝細胞癌の診断能にも大きな差が生じる。また,これらの撮像条 件を設定するに際しては,装置自身の性能の差が大きく影響する。 この画像診断装置の性能は近年,急速な進歩をみせている。超音波においてはドプラー やハーモニックイメージングなどの画像構成法の進歩とともに,各種の超音波造影剤の使 用によるイメージングも急速に進歩・発展をしている。 CT では,連続回転式 CT(ヘリ カル,またはスパイラル CT)から多列式 CT(MDCT:multi-detector row CT)さらに肝 全体を 1 秒未満で撮影できる面検出器 CT へと進歩し,スキャン速度と空間分解能が飛 躍的に向上しただけでなく,管電圧変更により得られる新たなコントラストの利用も始ま っている。 MRI 装置も,パラレルイメージング併用高速撮像法による造影剤投与下での 動的検査(dynamic study)に加えて,肝特異性造影剤や拡散強調像の臨床応用が進み,濃 度分解能と時間分解能が一層向上した。血管造影では DSA(digital subtraction angiography) の手法を用いた技術が完成度を増し,さらにはフラットパネル検出器を回転させることに より得られる 3 次元画像や CT 様の画像に新たな可能性が期待されている。核医学の領 域では, FDG-PET(fluorodeoxyglucose positron emission tomography)を用いた検査法が 悪性腫瘍の検出やステージングにおいて重要な役割を果たすようになり,特に PET と CT が合体した装置の有用性に関する知見が集積されつつある。肝細胞癌の診断において FDG-PET はいまだ保険収載に至っていないが,肝外転移検索や治療効果判定については 臨床応用の可能性がある。 これらの画像診断装置の急激な進歩と歩調を合わせて,画像診断を取り巻く環境も多様 性を増し複雑に変化している。この環境の中で,今回我々は,効率よく,しかも正確に画 像診断を適応する方法について検討した。前回以降 2007 年 6 月までに発表された科学的 論文の中から肝細胞癌の画像診断に関する論文を抽出し,価値が高いと思われる論文につ いて抄録を作成し,それらを基にして,肝細胞癌の画像診断の進め方についての標準的ガ イドラインを示した。これらの科学論文の多くは,その時々の最新の高性能装置を用いた 研究に基づいた研究であり,現状での一般の医療施設で設置されている画像診断装置と, 必ずしも整合性がとれているわけではないが,進むべき方向性は十分示されていると考え た。 CQ 9 肝細胞癌の治療前検査としてどの画像診断を選択するか? 推奨 肝細胞癌診断のためには dynamic CT または dynamic MRI が勧められる。(グレードA) ■ サイエンティフィックステートメント 主として肝移植のために摘出された肝の病理組織学的結果に基づいた研究を集めて肝細 胞癌の 各種画像診断法の患者 単位の検出感度と特異 度をまとめた systematic review (LF100921)Level 1)によると,超音波検査(US)は感度 60.5%(95%信頼区間 44~ 76) 特異度 96.9%(95~98%),シングルスライスの dynamic CT は感度 67.5%(55~ 80%) 特異度 92.5%(89~96%),MRI は dynamic と SPIO が区別なく扱われて感度 80.6%(70 ~91%)特異度 84.8%(77~93%)とされており,超音波検査は感度が低く特異度が高い 傾向を示す。一方,リピオドールを肝動脈から選択的に注入し腫瘍内への取り込みを観察 するリピオドール CT は,患者単位で感度 89%,特異度 88%(LF006062)Level 1)と報 告されている。また,リピオドール塞栓術治療後の結節の再発評価についての CT,パワ ードプラー超音波検査, MRI の比較検討では, 1 年後の局所再発の有無を基準として結 節単位の感度/特異度がそれぞれ 76.0%/67.6%,34.0%/ 100%,100%/100%であり, MRI の優位性が高い(LF019323)Level 1)。 近年,超常磁性酸化鉄造影剤( SPIO)を用いた SPIO-MRI が CT より高感度との報 告がある(LF018954)Level 1,LF109385)Level 1)が, MDCT と SPIO-MRI との比較で は差がない(LF100456)Level 1,LF109567)Level 1)。SPIO-MRI と通常のガドリニウム (Gd)を用いた dynamic MRI の比較では, dynamic MRI のほうが優れている(LF021828) Level 1,LF057349)Level 1)。SPIO-MRI と dynamic MRI の組み合わせは,各々の単独 より優れ, CTAP と CTHA の組み合わせをも上回る可能性がある(LF1042310)Level 1)。 multi-detector row CT(MDCT)が本格的に普及して久しいが, 2007 年 10 月の段階で MDCT と dynamic MRI を直接比較検討した論文は出ていない。 MDCT で,5 mm 未満 のスライス厚を用いてもその検出感度に大きな改善はないとの報告がある(LF0571111 ) Level 1)。 ■ 解 説 病変検出に関する検査間の優劣比較には感度だけでなく特異度も必要であるが,論文に よってその定義が異なっているので注意すべきである。我々が本来知りたいのは結節単位 の感度・特異度であるが,結節単位の検討においては true negative が一意的に定義できな いため,著者の恣意的な定義次第でいかようにも特異度が変わってしまうので,客観的な 優劣比較は困難である。一方,患者単位の検討は,結節単位の検討よりも感度が高くなっ てしまうが,特異度を一意的に定義できるので検査間の優劣比較には向いている。最近で は双方の中間に位置する segment 単位の検討を用いた論文が散見されるが,患者単位の検 討より感度は低く特異度は高くなることに注意したい。残念ながら Colli らの systematic review は主に患者単位の検討による感度・特異度を引用していながら,一部に結節単位の 検討が混在している。 多血性肝細胞癌に対する dynamic CT,dynamic MRI の検出感度は共に高い。多血性肝 細胞癌の診断にはヘリカルを用いた dynamic CT,または dynamic MRI を用いるべきであ ろう。 MRI と CT の比較では,現状ではほぼ同等,あるいは MRI が優れるとの評価が 一般的である。肝細胞癌の患者が繰り返し検査を受けることを想定し,また,両者がほぼ 同等の検出能と仮定すれば,X 線被曝のない dynamic MRI が有利である。しかしながら, 質の高い dynamic study を行える MRI 装置は高速 CT 装置に比べその普及が遅れてお り,すべての施設で dynamic MRI を行えるわけではないので, dynamic CT に頼らざる を得ない。腎機能の低い患者では dynamic CT や dynamic MRI を施行しにくいので,SPIO -MRI にも一定の価値があると考えられる。腹部超音波検査は,肝の全領域をくまなく評 価することが困難であるため感度が低いものの,高い特異度を生かした補助的役割を担う ことができよう。肝細胞特異性造影剤である Gd-EOB-DTPA が 2008 年 1 月より使用可 能となり,より高い診断能が期待されている。 ■ 参考文献 1) LF10092 Colli A, Fraquelli M, Casazza G, Massironi S, Colucci A, Conte D, et al. 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CQ10 肝細胞癌の小結節の検出のために血管造影は必要か? 推奨 肝細胞癌診断のためには血管造影は勧められない。(グレードD) ■ サイエンティフィックステートメント Gold standard として肝移植後の摘出肝を用いた論文 9 本と,切除肝(切除+生検,お よび切除+生検+臨床診断を含む)を用いた論文 5 本を用いて,病変単位と segment 単 位に分けて各画像診断検査の診断能を検討した(表 1)。 ■ 病変単位 血管造影( DSA)における検出感度は, 33~77%(LF121031)Level 1,LF004742)Level 1,LF100303)Level 1),大きさ別では>20 mm;100%,10~20 mm;38%,< 10 mm; 12%(LF121031)Level 1)であった。 リピオドール CT の感度は, 37~67.4%(LF058794 ) Level 1,LF004742 ) Level 1, LF103715)Level 1),大きさ別では>20 mm;85.1%,10~20 mm;53.3%,<10 mm;0% (LF103715)Level 1)で,血管造影とほぼ同様の感度であった。 Dynamic CT の検出感度は,53.8~78.6%(LF020016)Level 1,LF105467)Level 1, LF103715) Level 1,LF100238)Level 1,LF057739)Level 1,LF1005110)Level 1)で,ガドリニウム(Gd) を用いた dynamic MRI の感度 55~76.9%(LF0620011 ) Level 1, LF100238 ) Level 1, LF105467)Level 1,LF020016)Level 1)とほぼ同様であった。血管造影やリピオドール CT に比較してやや高い感度を呈した。20 mm 以上の病変についてみると, CT では 82~ 100%(LF057739)Level 1,LF103715)Level 1,LF100238) Level 1,LF105467)Level 1), MRI は 80~100%(LF0620011)Level 1,LF100238)Level 1,LF105467)Level 1)と共に高 い感度であった。 10~20 mm では, CT で 33.3~65%(LF103715)Level 1,LF105467) Level 1),MRI で 50~89%(LF0620011)Level 1, LF105467)Level 1)で, MRI は CT と 同等ないしそれ以上の感度を示した。 10 mm 以下では CT で 0~45.1%(LF103715)Level 1,LF105467)Level 1,LF1005110)Level 1)とばらつきがあり, MRI の感度(33~34%) (LF0620011)Level 1,LF105467)Level 1)との比較は困難であった。 血管造影下 CT における CTAP のみの感度は 75~85%(LF100303)Level 1,LF004742) Level 1)で, CT または MRI と比して同等またはそれ以上の感度であった。 ■ Segment 単位 Segment 単位の感度は,病変単位の感度と比較して全般的に高かった。 MDCT(multi -detector row CT)の全病変の感度は 91.3%(LF1004512)Level 1)で, Gd-MRI の 81 ~ 90%(LF1042313)Level 1,LF0575214)Level 1),超常磁性酸化鉄造影剤(SPIO)を用 いた SPIO-MRI の 74~90.2%(LF1042313)Level 1,LF1004512)Level 1)と比較してほぼ 同等であり, CTAP と CTHA の併用検査は前三者と比して,同等ないしそれ以上の感度 を示した。 20 mm 以上の結節では, MDCT,Gd-MRI,SPIO-MRI でほぼ 90%以上が検出され, その感度もほぼ同等であった。 10~20 mm で,MDCT と Gd-MRI は同等で,前二者の 感度と比較して SPIO-MRI はやや低く, CTAP と CTHA の併用検査はやや高かった。 10 mm 以下では Gd-MRI の感度が MDCT や SPOI-MRI に比べて高かった。一方, CTAP と CTHA の併用検査は,Gd-MRI に比して高い感度であった。 検査法 著者 年 文献ID 表 1 肝細胞癌の病変単位と segment 単位別にみた各画像検査の診断能 エビデンスレ Gold standard 患者/病変数 平均期間(範囲)a) ベル 病変単位 血管造影 Spreafico 1997 LF00474 2) Level 1 摘出肝 血管造影 Krinsky 2000 LF12103 1) Level 1 摘出肝* 3) 血管造影 Steingruber 2003 LF10030 Level 1 摘出肝 2) Lipiodol−CT Spreafico 1997 LF00474 Level 1 摘出肝 Lipiodol−CT Bizollon 1998 LF05879 4) Level 1 摘出肝** 4) Lipiodol−CT Bizollon 1998 LF05879 Level 1 摘出肝** 5) Lipiodol−CT Bhattacharjya 2004 LF10371 Level 1 摘出肝 CT(helical) Lim 2000 LF05773 9) Level 1 摘出肝 CT(helical) Rode 2001 LF02001 6) Level 1 摘出肝** 8) CT(helical) Noguchi 2003 LF10023 Level 1 切除+臨床診断 CT(helical) Burrel 2003 LF10546 7) Level 1 摘出肝* 5) CT(helical) Bhattacharjya 2004 LF10371 Level 1 摘出肝 MDCT Kim YK 2006 LF10051 10) Level 1 切除+生検+臨床診断 Gd−MRI Krinsky 2001 LF06200 11) Level 1 摘出肝* 6) Gd−MRI Rode 2001 LF02001 Level 1 摘出肝** 8) Gd−MRI Noguchi 2003 LF10023 Level 1 切除+臨床診断 Gd−MRI Burrel 2003 LF10546 7) Level 1 摘出肝* CTAP Spreafico 1997 LF00474 2) Level 1 摘出肝 CTAP Steingruber 2003 LF10030 3) Level 1 摘出肝 Segment 単位 MDCT Kim SH 2005 LF10045 12) Level 1 切除のみ 14) Gd−MRI Choi 2001 LF05752 Level 1 切除+生検 Gd−MRI Kwak 2004 LF10423 13) Level 1 切除+生検 13) SPIO−MRI Kwak 2004 LF10423 Level 1 切除+生検 12) SPIO−MRI Kim SH 2005 LF10045 Level 1 切除のみ 14) CTAP+CTHA Choi 2001 LF05752 Level 1 切除+生検 13) CTAP+CTHA Kwak 2004 LF10423 Level 1 切除+生検 a):検査から肝移植/肝切除までの期間,b):19HCCs+1CCC,c):切除例 病理診断基準 *:International Working Party(LF1214018)),**:Ferrell LD(LF1213919))による 感度(%) 全病変 >20mm 10-20mm <10mm 特異度(%) 陽性的中率 (%) — 32 日(<80) 3.6 月(0−11) 70 日(9−300) 6 月(1−9) 6 月(1−9) 36 日(1−370) 75 日(50−100) — <30 日 <3 月 36 日(1−370) — 32 日(<90) — <30 日 <3 月 — 3.6 月(0−11) 40/66 21/95 27/39 40/66 20/30 20/30 30/46 15/21 6/13 53/103 26/70 30/46 31/53 11/20 b) 6月13日 53/103 29/76 34/53 27/39 67 33 77 58 37 37 67.4 71 53.8 66 61 63 78.6 55 76.9 63 76 85 75 — — — 100 38 12 — — — — — — — — — — — — 85.1 53.3 0 82 60(20 mm>) — — — 50.2(20 mm>) 98 100 65 10 88.9 33.3 0 94.4(>10 mm) 45.1 80 50 33 — — — 46.9(20 mm>) 97.1 100 89 34 — — — — — — — — 80 — 94 94 79 — 92.9 算出不可 66 88.6 算出不可 — 57.1 算出不可 75 — 60 — — 74 — — — — — — 97 87 — 51 — — 96 90 — 59 <3 <4 — — <3 <4 — 73/121 33/43 24/38 24/38 73/121 33/43 24/38 91.3 90 81 74 90.2 94 90 100 — 93 87 100 — 98 95.3 99 87 88 97 92 93 — — — — — — — 1 週 週 c) 週 週 c) 82 — 85 76 73 — 92 29 — 57 42 29 — 73 ■ 解 説 各画像診断検査の検出感度を知ることは,肝細胞癌のサーベイランスおよび治療のアル ゴリズムを理解するうえで重要である。ラジオ波焼灼療法や肝移植のように,病変の大き さと病変数によって適応が決まる場合, 2 cm 前後の検出感度を把握して検査を進める必 要がある。各画像検査法の診断能を調べる場合,摘出肝または切除肝(切除肝+生検等を 含む)を gold standard として,感度,特異度を検討するが,切除肝は摘出肝に比して感度 は一般に高くなる。摘出肝ないし切除肝を用いた研究の長短については文末に記載した。 病変単位の検討では,特異度の算出ができないため,代わりに陽性的中率(PPV)を表 1 に記載した。一方, segment 単位の検討では特異度の算出が可能で,画像診断間の比較が 可能である。 今回,摘出肝と切除肝を一緒にして各画像検査の診断能を調べた(表 1)。その結果, 血管造影とリピオドール CT の感度はほぼ同等であったが, dynamic CT や MRI に比し てやや低く,侵襲性を考慮するとその優位性は低いと考えられた。dynamic CT と dynamic MRI の感度は,ほぼ同等であった。 CTAP のみでは, CT や MRI と同等ないしそれ以 上の感度を示した。 大きさ別にみると,2 cm 以上では,ほぼすべての検査で 80%以上の感度を示していた。 1~2 cm では MRI は CT と同等ないしそれ以上の感度を呈していた。 1 cm 以下では MRI のほうが CT より感度が高かった。しかし, 1 cm 以下の病変になると, MRI で は動門脈短絡などの偽病変(false positive lesion)の頻度が増加するとの報告がみられる (LF0620011)Level 1)。CTAP と CTHA の併用検査を用いた病変単位の検出感度は報告 されていない。 Segment 単位の検討は,同一症例を用いて 2 つ以上の画像検査の診断能を比較する目的 で行われる。 CTAP と CTHA の併用検査は, 2 cm 以下の病変で他の検査法に比して高 い感度を示し, 1 cm 以下では, MRI 同様に偽病変との鑑別が必要になる。 1 cm 以下 の病変に対して, 2005 年に発表された米国肝臓病学会のガイドライン( LF1214115))で は「フォローアップ」が勧められているが,画像診断の今後の進歩と相まってさらに検討 されていくと考えられる。 今回採用した論文は,肝細胞癌の画像診断基準として, 「dynamic CT/MRI の動脈相(早 期相)で濃染,門脈相ないし平衡相(遅延相)で低吸収(信号)ないし washout を呈する 病変」を対象としており,動脈相,門脈相,平衡相を通じて等ないし低吸収(信号)を呈 する頻度の高い早期肝細胞癌( LF1213816 ) Level 1)や結節内結節像を呈する肝細胞癌 (LF1214517)Level 1),および異型結節(dysplastic nodule)(LF1214018))は,検討対象 としていない。 今回採用した論文中,肝細胞癌の組織診断基準が 5 論文で記載されていた。3 論文 (LF121031)Level 1,LF105467)Level 1,LF0620011)Level 1)が International Working Party (LF1214018))を,2 論文(LF058794)Level 1,LF020016)Level 1)が Ferrell ら(LF1213919) Level 1)の診断基準を引用していた。また,リピオドール CT の 3 論文中,リピオドー ルのみの使用が 2 論文(LF058794)Level 1,LF103715)Level 1),リピオドール+抗がん 剤+/-gelatin sponge の使用が 1 論文(LF004742)Level 1)にみられた。 各画像検査の診断能について,gold standard として摘出肝または切除肝を用いた場合の 長短は次のように考えられる。①通常,病変感度は切除肝のほうが摘出肝に比して高い。 その理由として,手術では発見できない小さい癌巣が,摘出肝では発見できるためと考え られている。摘出肝で得られる感度のほうが精度はより高いとされている。しかし,②最 終画像検査から肝移植までの期間(平均期間の範囲; 32 日~6 カ月,表 1)が,切除例 に比して一般に長い。移植までの待機期間中に新たな病巣が発生すると,術前画像診断で は偽陰性となるため,感度の低下になる可能性がある。また,③欧米における肝移植の主 たる目的は,進行した肝硬変例(Child-Pugh 分類の C)であり,肝細胞癌は従である。 画像診断能は,肝硬変が高度になるほど低下する。一方,切除は,肝機能の良好な症例 ( Child-Pugh 分類の A)に行われることが多い。④切除された肝の割面と,CT/MRI の 断層面の対比は比較的に容易であるが,摘出肝は体外において体内と同様な 3 次元的解剖 形態の保持が困難であり,病変の同定において CT/MRI との比較が必ずしも容易でない。 ⑤摘出肝におけるスライス厚が,一般に切除肝に比して厚くなる傾向があり,小さい病変 ではその中に埋没する可能性がある。 ■ 参考文献 1) LF12103 Krinsky GA, Nguyen MT, Lee VS, Rosen RJ, Goldenberg A, Theise ND, et al. 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CQ 11 肝細胞癌の画像診断において造影剤使用は必要か? また,どのように造影剤を用いるべきか? 推奨 CT,MRI などの画像診断において造影剤使用は必須である。動脈相が特に有用であり, CT においては遅延相の有用性も高い。(グレードA) ■ サイエンティフィックステートメント CTHA を用いた研究で,臨床的に悪性とされる肝細胞癌が周囲の肝組織より動脈血流が 増加することは,かなり以前から知られている(LF062091)Level 3)。また,CO2 を用い た超音波血管造影で,動脈血流の多い結節では腫瘍容積の倍加時間が平均 70 日,動脈血 流に乏しい結節の平均は 370 日と,乏血性腫瘍の発育が遅いと報告されている(LJ033682) Level 3)。また, CTHA,CTAP を用いた最近の研究では,肝細胞癌の多段階発育を反映 するように,異型結節から高分化肝細胞癌,中ないし低分化肝細胞癌の組織学的分化度と 腫瘍内血流の変化の間の相関が捉えられている(LF062043) Level 2a,LF057244)Level 2a)。 これら動脈血流に富む肝細胞癌が診断治療の主な対象になると考えられる。 CT ではヨード造影剤,MRI では細胞外液性ガドリニウム(Gd)造影剤を用いた動的観 察(dynamic study)により,多血性肝細胞癌の検出率の向上が得られる。初期の頃の血管 造影所見を基準とした研究でも,造影前と動脈相 CT の組み合わせで 88%が診断されて いる(LF025385)Level 1)。その後の研究で,動脈相に遅延相を加えることで CT の診断 率が上昇する(LF057106)Level 1)ことが判明した。MRI においても,多数の撮像法の中 で dynamic study の有用性が高く,多血性肝細胞癌の検出には動脈相が極めて重要である (LF058397)Level 1)。移植肝で摘出された肝を用いた検討では,肝細胞癌の検出率は高 分解能 MRI が 76.9%,シングルヘリカル CT が 53.8%, US が 46.2%という結果とな り, MRI が優れている(LF020018)Level 1)。動脈相の適切な撮影タイミングの個人差 を最小限とするためには,すべての造影剤を注入するのに要する時間を固定するとよい (LF120829)Level 2a)。 MRI で用いられる超常磁性酸化鉄造影剤(SPIO)は,網内系細胞に取り込まれ肝実質 の信号低下をもたらす。腫瘍部分には網内系細胞がなく,信号低下が起こらないことを利 用して診断する。この SPIO-MRI によって,肝細胞癌の分化度と SPIO の取り込みがよ く相関すると報告されている(LF0620210)Level 3)。肝細胞癌検出能についてだけみてみ ると,SPIO より細胞外液性 Gd 造影剤のほうが優れている(LF0218211 ) Level 1, LF0573412)Level 1)。 ■解 説 通常型の肝細胞癌の多くは腫瘍内の動脈血流が多く,これを検出するためには, CT, MRI による診断において造影剤使用を欠かすことはできない。造影剤による病変の動的な 把握が必須であり, 特に動脈相が重要である。 遅延相も診断能を上げるのに寄与している。 造影前および造影 3 相(動脈相・門脈相・遅延相)にそれぞれ撮影するのが一般的である が,この中で門脈相の診断的貢献度は低い。これら dynamic study を施行するには,高速 dynamic CT あるいは高速 MRI 装置を備えることが基礎的環境条件である。また,造影剤 の 3ml/sec 程度の急速注入のため自動注入装置=インジェクターも同時に備える必要が ある。動脈相の画質の個人差を最小限とするためには,体重に応じた造影剤総量を一定時 間で注入し,注入終了 15 秒後付近をまたぐように撮影するか,大動脈への造影剤到達を トリガーとする仕組みを利用するとよいと考えられる。この造影剤使用にあたっては造影 剤アレルギーの発生を考慮し,事前に患者に対する十分な説明と同意を得ることが必要で あり,容態急変時の緊急処置の備えも万全でなければならない。肝細胞特異性造影剤であ る Gd-EOB-DTPA が 2008 年 1 月より使用可能となり,より高い診断能が期待されて いる。 ■ 参考文献 1) LF06209 Matsui O, Kadoya M, Kameyama T, Yoshikawa J, Takashima T, Nakanuma Y, et al. 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CQ12 肝細胞癌の画像診断において,FDG-PET を含む核医学診断は他の検査法と比べて有用 か? 推奨 従来の肝シンチグラムは肝細胞癌の診断に寄与しない。(グレードD) 原発巣の評価について,FDG-PET は他の検査法と比べて有用とはいえない。(グレードC 2) 肝外転移が疑われるものの他の画像検査で発見できない場合,FDG-PET を追加することは 有用である。(グレード B) ■ サイエンティフィックステートメント 肝シンチグラムによる肝細胞癌検出率は超音波に比べて明らかに低く, 2 cm 以下の腫 瘍では SPECT を施行しても検出率は 50%に達しない(LJ054441)Level 1)。FDG-PET に 関して,転移性肝癌では原発巣を含め肝の転移巣を良好に検出できるが,肝細胞癌につい ては転移性肝癌より standardized uptake value(SUV)が低く,組織学的な分化度の高いも のにその傾向が強く現れる(LF034722)Level 3,LF060013)Level 2a)。このため肝細胞癌 原発巣の検出に関する有用性は低い(LF109394)Level 1)。一方,治療効果判定や遠隔転 移検索に関しては有用性が報告されており,他の検査との客観的な比較が不十分ではある ものの,今後の臨床応用について一定の役割が期待できる(LF006735)Level 1,LF107656) Level 2b)。 ■ 解 説 空間分解能の制限に基づく検出能の低さから,肝シンチグラムによる肝細胞癌の画像検 査の適応はない。18F 標識フルオロデオキシグルコース(FDG)を用いた PET では,こ の物質が糖代謝が活発な腫瘍細胞に取り込まれ,代謝経路の阻害によってその部に特異的 に蓄積することを利用している。転移性肝癌では,周囲正常組織の FDG 集積低下に伴い, より腫瘍/正常比の高い良好な FDG-PET 画像が得られる。しかし,肝細胞癌のうち分 化度の高いものでは, FDG はリン酸化を受けた後再び脱リン酸化され細胞外に拡散する ため,十分な集積が得られない。肝細胞癌原発巣の検出に FDG-PET を用いることについ ては,高価格かつ保険未収載であること,従来の CT,MRI などによる画像診断を凌ぐも のでないことから,勧められない。一方,肝外転移の検索や治療効果判定については有用 性が期待できるので,全身化学療法の進歩とともに一定の役割を担うかもしれない。 ■ 参考文献 1) LJ05444 工藤正俊,伊吹康良,藤見勝彦.肝細胞癌の診断に肝シンチグラムは必要か? 臨床放射線 1987;32 (8):901–8. 2) LF03472 Iwata Y, Shiomi S, Sasaki N, Jomura H, Nishiguchi S, Seki S, et al. 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CQ13 肝細胞癌の確定診断のために針生検による組織診は必要か? 推奨 肝細胞癌の診断が画像診断で確定される場合には組織診断の必要はない。(グレードD) 画像所見が非典型な場合には生検による組織診の適応があるが,この場合にも,個々の症 例に応じて慎重にその適応を決めるべきである。(グレードC1) ■ サイエンティフィックステートメント 肝細胞癌に対する超音波ガイド下針生検の診断感度は, 88.1~90%(LF104651)Level 1,LF000872)Level 1),陽性的中率(positive predictive value:PPV)100%,陰性的 中率( negative predictive value:NPV)13~51.7%,正診率 89.4~91%( LF104651)Level 1,LF000872)Level 1)とされる。偽陰性( false negative)が, 10~10.6%(LF000872) Level 1,LF104651)Level 1)にみられた。 10 mm 以下の肝細胞癌に対する細径針生検(fine needle biopsy)の診断感度は 72.7%(24/33 結節)であった( LF104651)Level 1)。術前 針生検を施行せず,総合画像診断に基づいて切除した 160 例(225 良悪性病変)のうち, 156 例(97.5%)(221 病変―98.2%)で術前画像診断が正しかったとする報告がある (LF022163)Level 1)。 針生検に伴う重篤な合併症として,針穿刺経路播種( needle tract seeding)と出血がある。 前者の発生頻度は 1.6~3.4%とされている( LF000872)Level 1,LF025074)Level 1,LF057705) Level 1)。針生検から needle tract seeding の発生までの期間は 5~36 カ月(LF000872)Level 1,LF025074)Level 1,LF057705)Level 1)であった。 ■ 解 説 硬変肝にみられる 20 mm 以上の結節性病変の大多数は,造影検査( dynamic CT/MRI, 超音波)で肝細胞癌の確定診断ができるので,針生検の必要性は低い。しかし,10~ 20 mm になると,肝細胞癌に特異的な画像所見が得られない場合があり,必要に応じて針生検が 行われる。10 mm 以下になると超音波による標的病変の検出能が再生結節などの存在によ り低下し, sampling error が増えてくる。また,標的病変の組織が正確に採取されても, 高分化肝細胞癌と高度異型結節などの境界病変との鑑別診断が必ずしも容易でなく,肝臓 病理のエキスパートの診断を必要とすることが少なくない。針生検の陽性的中率はほぼ 100%と高いが,陰性的中率は 13~51.7%と低いので,生検陰性の場合,肝細胞癌を除外 できない。注意深い観察が必要とされる。 また,針生検を行う場合,needle tract seeding の発生を可及的に少なくするため,中分化 ないし低分化癌の多い中型~大型の肝細胞癌の穿刺を避け,高分化癌の頻度の高い 20 mm 以下の結節に絞って行うとする意見が多い。画像で確定診断のできない病変の針生検にあ たっては,患者の損得を考慮した慎重な対応が必要である。 2005 年に発表された米国肝臓病学会のガイドライン(LF121416))では,肝硬変例を対 象に超音波を用いたスクリーニングで発見された結節に対し,次の条件下で針生検の施行 を勧めている。 2 cm 以上の場合は, 1 つの dynamic 検査(CT/MRI/US)で肝細胞癌 に特徴的な造影像 vascular profile(動脈相で多血性 hypervascular,門脈/静脈相で染まり 抜け washout)が得られない場合(AFP>200 ng/ml の場合,針生検は不要),または非 硬変肝に発生した場合。 1~2 cm では, 2 つの dynamic 検査でも特徴的な画像の得られ ない場合,または 2 つの検査間で造影所見が合致しない場合。一方,1 cm 以下の場合は, 超音波による 3~6 カ月毎のフォローアップとしている。 ■ 参考文献 1) LF10465 Caturelli E, Solmi L, Anti M, Fusilli S, Roselli P, Andriulli A, et al. 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CQ14 超音波造影剤は,肝細胞癌における超音波検査の診断能を改善するか? 推奨 超音波造影剤は,肝細胞癌に対する超音波検査の診断能を改善する。(グレードA) ■ 背 景 日本超音波医学会の肝腫瘤の超音波診断基準では,肝細胞癌に特徴的な B モード超音 波所見として「鮮明かつ平滑な境界」「薄い辺縁低エコー帯」「モザイク状内部エコー」 「内部エコーの星形無エコー域」「後方エコー増強」「外側陰影」の 6 種の所見を掲げて おり(LJ062261)Level 6),特に径の大きい腫瘍では肝細胞癌と診断するうえで高い特異度, 正診度を有する超音波所見( LF031202)Level 1,LF028483)Level 1, LF027844)Level 1) である。 しかし腫瘍径が小さくなると特徴的な所見をとる頻度が減り, 「低エコーパターン」 「高 エコーパターン」のみであり,その特異度は低下( LF031202)Level 1,LF030695)Level 4) するため,転移性肝癌や肝血管腫など他の肝腫瘍との鑑別能には限界がある。 ■ サイエンティフィックステートメント 造影超音波検査では肝細胞癌は動脈相早期に腫瘍血管が描出される( LF019356)Level 1, LF020587)Level 1,LF109018)Level 1,LF110689)Level 1)。通常のパワードプラー超音波 検査と比べ,特に 30 mm 以下の小結節における腫瘍血流の検出能を改善し,その腫瘍血 流検出能は CT に匹敵する(LF1031710)Level 1,LF1059311)Level 1, LF1004212)Level 1, LF1057013)Level 1)。 またレボビストを用いた実質相では陰影欠損像を示す( LF0190814)Level 1, LF0192115) Level 1,LF110689)Level 1)。 非造影超音波検査と比較し,造影超音波検査で病変検出能の改善( LF1031710)Level 1), 良悪性病変の鑑別能向上( LF1078216)Level 1,LF1094517)Level 1,LF1077718)Level 3), 肝細胞癌の分化度診断への有用性が示されているが(LF1042519)Level 3),深部病変では 診断能は低下する(LF020587)Level 1)。 ■ 解 説 造影超音波検査は現在,装置や撮影法,造影剤の進歩がみられつつある状況であり,肝 細胞癌の悪性度,ならびに他の良性疾患との鑑別における有用性が示唆され,その診断能 は CT に匹敵する結果が得られている。 CT と比較して,造影超音波検査は放射線被曝がないこと,ヨードアレルギー症例,腎 機能低下例でも施行可能であることが長所であるが,一度に複数の病変の質的診断を行う ことは困難であること,肝内に死角が存在することなど短所もあり,また客観性が劣る点 も考慮するとまだ補助診断としての位置づけにとどまると考えられる。第二世代の超音波 造影剤に関しては日本では未承認の SonoVue,Optison を用いた検討が今回の検索で対象 となり,現在日本で普及しているソナゾイドは対象外であった。ソナゾイドは持続的な造 影効果をもたらすことから,診断能,客観性の改善が期待され,今後の知見の集積が待た れる。 ■ 参考文献 1) LJ06226 日本超音波医学会医用超音波診断基準に関する委員会.肝腫瘤の超音波診断 基準公示のお知らせ(1988–11–30).超音波医学 1989;16 (1):108–111. 2) LF03120 Yoshida T, Matsue H, Okazaki N, Yoshino M. 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J Ultrasound Med 2002;21 (11):1191–200. 19) LF10425 Nicolau C, Catala V, Vilana R, Gilabert R, Bianchi L, Sole M, et al. Evaluation of hepatocellular carcinoma using SonoVue, a second generation ultrasound contrast agent: correlation with cellular differentiation. Eur Radiol 2004;14 (6):1092–9. CQ 15 造影超音波検査,RVS(real-time virtual sonography)は局所治療の治療ガイドとして有用 か? 推奨 造影超音波検査,RVS は局所治療の治療ガイドとして有用である。 (造影超音波:グレード B,RVS:グレード C1) ■ サイエンティフィックステートメント 肝細胞癌に対する穿刺局所療法に際して,レボビスト造影超音波ガイド下で施行した群 では,非造影超音波ガイド下の群と比べ,有意に治療セッション数が少なく,また一度の 治療で十分な治療効果が得られる症例が多い(LF100621)Level 1)。 通常の超音波検査で認識・同定し難い肝細胞癌に対して, RVS(real-time virtual sonography:超音波像と同一断面の CT 像を同時に表示する装置)ガイド下で穿刺を行う と,より正確に効果的に焼灼が可能であったとの報告がある( LF120832)Level 3)。 ■ 解 説 2007 年 6 月までの論文で,穿刺局所療法における造影超音波検査や RVS の有用性を 検討した報告は少数にとどまった。 2007 年 7 月以降,造影超音波検査や RVS を治療ガイドとした穿刺局所療法に関し, 複数の有用性を示す報告があり,持続的に観察が可能なソナゾイドも使用可能になったこ とから,今後有用性が高まることが期待される。 ■ 参考文献 1) LF10062 Minami Y, Kudo M, Chung H, Kawasaki T, Yagyu Y, Shimono T, et al. Contrast harmonic sonography-guided radiofrequency ablation therapy versus B-mode sonography in hepatocellular carcinoma:prospective randomized controlled trial. AJR Am J Roentgenol 2007;188 (2):489–94. 2) LF12083 Kawasoe H, Eguchi Y, Mizuta T, Yasutake T, Ozaki I, Shimonishi T, et al. Radiofrequency ablation with the real-time virtual sonography system for treating hepatocellular carcinoma difficult to detect by ultrasonography. J Clin Biochem Nutr 2007;40 (1):66–72. CQ16 造影超音波検査は,TACE や局所療法の治療効果判定に有用か? 推奨 造影超音波検査は,TACE や局所治療効果判定に有用である。 (グレード B) ■ サイエンティフィックステートメント TACE 治療部の vascularity 残存を造影超音波検査は感度よく検出し,治療効果判定,再 発予測に有用( LF100241)Level 1,LF103162)Level 1,LF107793)Level 1,LF108104) Level 3)であるが,造影 CT と比較して感度が優れているとの報告(LF100241)Level 1, LF107793)Level 1)と,差を認めないとする報告がある(LF108104)Level 3)。 RFA の治療効果判定において,造影 CT と比較して造影超音波検査は一致率が高く, 感度,特異度に明らかな差を認めないとする報告が多い( LF100295)Level 1,LF106536) Level 1,LF104047)Level 3,LF107818)Level 1,LF107349)Level 3)が,治療マージ ンの評価が困難とする報告もある(LF100295)Level 1)。 ■ 解 説 TACE で用いたリピオドールは CT で高信号を呈するため,治療後の vascularity 残存 を CT で判定することが容易ではないが,造影超音波検査ではリピオドールによる影響が 少なく vascularity の残存を感度よく検出できる。 RFA の治療効果判定では,マージンを含む効果判定の客観性の高さ,複数の治療対象結 節を効果判定する必要性などから造影 CT 検査が一般的に使用されている。しかしヨード アレルギーを有する症例や腎機能低下例など造影 CT を撮影することが困難な場合もあ り,また CT による被爆回数を減らすという観点から,RFA の治療効果判定を造影超音 波検査で代替できる可能性が示された。 ■ 参考文献 1) LF10024 Minami Y, Kudo M, Kawasaki T, Kitano M, Chung H, Maekawa K, et al. Transcatheter arterial chemoembolization of hepatocellular carcinoma:usefulness of coded phase-inversion harmonic sonography. AJR Am J Roentgenol 2003;180 (3):703–8. 2) LF10316 Jung EM, Kubale R, Jungius KP. Vascularization and perfusion of hepatocellular carcinoma: assessment with contrast-enhanced ultrasound using perflutren protein-type A microspheres. Clin Hemorheol Microcirc 2005;33 (1):63–73. 3) LF10779 Youk JH, Lee JM, Kim CS. Therapeutic response evaluation of malignant hepatic masses treated by interventional procedures with contrast-enhanced agent detection imaging. J Ultrasound Med 2003;22 (9):911–20. 4) LF10810 Kono Y, Lucidarme O, Choi SH, Rose SC, Hassanein TI, Alpert E, et al. Contrastenhanced ultrasound as a predictor of treatment efficacy within 2 weeks after transarterial chemoembolization of hepatocellular carcinoma. J Vasc Interv Radiol 2007;18 (1 Pt 1):57–65. 5) LF10029 Wen YL, Kudo M, Zheng RQ, Minami Y, Chung H, Suetomi Y, et al. 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