第 10 講 場合の数(ⅵ) 数学 A 【問題 1】 (1 + x )10 の展開式における x 8 の係数は は で, (1 + x + y)10 の展開式における x 3 y6 の係数 である. 58 【問題 2】 12100 を 10 で割った余りを求めよ. 59 【問題 3】 (1)素数 p と 1 ≦ r ≦ p - 1 なる整数 r に対して,二項係数についての等式 rpCr = pp-1Cr -1 を証明し, pCr は p の倍数であることを示せ. (2)素数 p に対して 2 p を p で割った余りを求めよ. 60 第 10 講 場合の数(ⅵ) 解答 数学 A 【問題 1】 (1 + x )10 の展開式における x 8 の係数は は で, (1 + x + y)10 の展開式における x 3 y6 の係数 である. (1 + x )10 を展開するとき,10 個の (1 + x ) の 8 個から x を,残りの (1 + x ) から 1 を選ぶと x 8 が得られ,その選び方は よって, x 8 の係数は 10 10 C8 (通り) C8 = 45 次に, (1 + x + y) を展開するとき,10 個の (1 + x + y) の 3 個から x を,残り 7 個の 10 (1 + x + y ) から 6 個の y と, 残りから 1 を選ぶと x 3 y6 が得られ, その選び方は 10 C3 ´ 7C6 通り よって, x 3 y6 の係数は 10 C3 ´ 7C6 = 840 (別 解) (その 1) 二項定理から, (1 + x )10 の展開式の一般項は r = 8 のとき 10 10 Cr× 110-r × x r C8 × 110-8× x 8 = 45x 8 よって,求める x 8 の係数は 45 次に, (1 + x + y )10 = {(1 + x ) + y }10 の展開式の一般項は 10 Cr (1 + x )10-r yr r = 6 のとき 10 C6 (1 + x )4 y6 であり, (1 + x )4 の展開式の一般項 4 Cr 14 -r x r で r = 3 のとき 4 C3 x 3 である. よって,求める x 3 y6 の係数は 10 C6 ´ 4C3 = 840 (その 2) ( a + b + c )n の展開式の一般項は n ! a pbq cr ( p + q + r = n) となることを用いると,2 番 p!q !r ! 目の空欄は次のように求めることができる. (1 + x + y)10 の展開式の一般項は x 3 y6 のとき, p = 1,q = 3,r = 6 10! 1 p x q yr ( p + q + r = 10) であり, p!q !r ! よって,求める係数は 10! = 840 3!6! 61 【問題 2】 12100 を 10 で割った余りを求めよ. 12100 = (10 + 2)100 として二項定理を用いると (10 + 2)100 = (100C010100 + 100C11099× 2 + + 100C9910 × 299 ) +100C100 2100 右辺の( )の部分は 10 を因数にもつので,10 で割り切れる. よって, 100C100 2100 を 10 で割った余りを求めればよい. 2100 = (210 )10 = (1024)10 であるから, (1024)10 = (1020 + 4)10 として二項定理を用いると (1020 + 4)10 = (10C0 102010 + 10C1 10209× 4 + + 10C9 1020 × 4 9 ) + 10C10 410 右辺の( )の部分は 10 を因数にもつので,10 で割り切れる. よって, 10C10 410 を 10 で割った余りを求めればよい. 410 = 220 = (210 )2 = (1024)2 = (1020 + 4)2 = 10202 + 8 ´ 1020 + 16 したがって,求める余りは 16 を 10 で割った余り 6 62 【問題 3】 (1)素数 p と 1 ≦ r ≦ p - 1 なる整数 r に対して,二項係数についての等式 rpCr = pp-1Cr -1 を証明し, pCr は p の倍数であることを示せ. (2)素数 p に対して 2 p を p で割った余りを求めよ. (1) rpCr = r × 一方 p! p! = r !( p - r )! (r - 1)!( p - r )! pp-1Cr -1 = p × ( p - 1)! p! = (r - 1)!{( p - 1) - (r - 1)}! (r - 1)!( p - r )! よって, rpCr = pp-1Cr -1 が示された. また,pCr,p-1Cr -1 は整数で,1 ≦ r ≦ p - 1 のとき r と素数 p は互いに素であるから, p Cr は p の倍数である. …終 (2)二項定理より 2 p = (1 + 1) p = pC0 + pC1 + pC2 + + pC p-1 + pC p ここで, (1)より, pC1,pC2,,pC p-1 は p の倍数であり, pC0 = pC p = 1 だから 2 p = p × m + 2 ( m は整数) と表される. よって, 2 p を p で割った余りは p = 2 のときは p ≧ 3 のときは 0 2 63
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