事務所の看板は、技術畑出身の弁護士たち。 技術と法務の専門性で

内 田 ・ 鮫 島 法 律 事 務 所 は、 技 術 法 務 に 特
化 し、 弁 護 士7 名 の う ち、5 名 が 大 手 企 業
での研究開発やシステムエンジニアリング
な ど の 経 験 を 持 つ。 代 表 の 一 人、 鮫 島 正 洋
弁護士︵
期 ︶ は 、﹁ 工 学 部 出 身 で 金 属 材
料 の 開 発 に 従 事 し た 後、 弁 護 士 の 道 に 進 ん
だ 私 と 、 米 ﹃ Sc ie n c e ﹄ 誌 を 定 期 購
読するほどの技術好きだった内田公志弁護
士︵
期 ︶が 前 事 務 所 で 出 会 い 、当 時 な か っ
た技術系企業向けのサービスに特化した法
律事務所を作ろうと意気投合したのがはじ
まりです﹂ と事務所の成り立ちを語る。
設 立 以 降、 同 事 務 所 で は 大 企 業 で の 技 術
職 経 験 を 重 視 し た 弁 護 士 採 用 を 行 い、 現 在
はI T、 エ レ ク ト ロ ニ ク ス、 化 学 工 学、 材
料工学分野の専門知識を持つ弁護士がそろ
う 。﹁ こ う し た 採 用 方 針 を 掲 げ 、 事 務 所 全
体 で 技 術 法 務 に 特 化 し て い る の は、 全 国 で
も オ ン リ ー ワ ン で し ょ う ﹂︵ 鮫 島 弁 護 士 ︶
主要クライアントは何らかの技術を持つ
テクノロジー・ カンパニーで、 全体の7、
業、 物づくり系やIT サービス系の中小・
8 割 を 占 め る。 メ ー カ ー を 中 心 と す る 大 企
ベ ン チ ャ ー 企 業 な ど だ 。﹁ メ ー カ ー 系 の 大
企業からは知財訴訟を中心に訴訟案件の依
頼 が 多 く、 最 近 で は 特 許 の 鑑 定 意 見 書 の 作
成 依 頼 も 増 加。 特 許 案 件 を 強 み の 一 つ と す
る当事務所の特徴が広く認知されてきてい
る と 感 じ う れ し い 傾 向 で す ﹂︵ 鮫 島 弁 護 士 ︶
中小・ベンチャー企業からは知財戦略の
立案とこれに続く事業化の交渉・契約書作
成 な ど の 依 頼 が 増 加。 こ の 分 野 は 同 事 務 所
が 特 に 力 を 入 れ て お り、 企 業 の 経 営 戦 略 に
基 づ き、 リ ー ガ ル の 見 地 か ら ア ド バ イ ス を
は じ め て い ま す。 コ ン サ ル テ ィ ン グ 会 社 と
略との整合性まで検討した提案が求められ
き る 時 代。 だ か ら こ そ、 そ の 企 業 の 経 営 戦
般的なリーガル情報であれば容易に入手で
わ れ て い ま す。 イ ン タ ー ネ ッ ト の 普 及 で 一
業 も 多 い の が 実 情 で す が、 海 外 で は 広 く 行
踏 み 込 む の は、 ま だ 違 和 感 を 覚 え る 国 内 企
る こ と も あ り ま す。 弁 護 士 が 経 営 戦 略 ま で
など経営的事項を見据えつつアドバイスす
ど の よ う な 条 件 を 提 示 す る か、 顧 客 の 財 務
用 化 す る た め に、 相 手 先 の 大 企 業 に 対 し て
に 時 間 を 要 し、 優 れ た 技 術 が 日 の 目 を 見 ず
か ら、 大 企 業 で あ れ ば 経 営 陣 の 説 得 ・ 調 整
け れ ど も、 中 小 企 業 で あ れ ば 財 政 面 の 問 題
た 技 術 が ど れ ほ ど す ご い か は 直 感 で わ か る。
談 を 受 け ま し た。 元 技 術 屋 で す か ら こ う し
果を作り出す技術を開発した研究者から相
さ せ た オ ゾ ン 気 流 に よ っ て、 劇 的 な 脱 臭 効
な い コ ン パ ク ト か つ、 簡 単 な 仕 組 み で 発 生
携 え て 相 談 に 訪 れ る 。﹁ 先 日 も 、 今 ま で に
や 研 究 開 発 者 が、 革 新 的 な テ ク ノ ロ ジ ー を
に 行 う の が 特 徴 で す ﹂︵ 鮫 島 弁 護 士 ︶
同 事 務 所 に は、 ベ ン チ ャ ー 企 業 の 経 営 者
争力や収益へと換えるサポートをトータル
士 は 力 強 く 語 っ て く れ た。
し て い き た い と 思 っ て い ま す﹂ と 鮫 島 弁 護
術 の 保 護 ・ 事 業 化 を サ ポ ー ト し、 低 迷 し て
し て い る 。﹁ た と え ば 、 技 術 を 商 品 化 ・ 実
異 な る の は、 交 渉 結 果 を 契 約 書 に ま と め た
に埋もれ去っていくことが多いのも事実で
鮫島弁護士は、特許庁主
催の中小企業知的財産戦
略支援プロジェクトの統
括委員長を兼務。公的機
関からの講演依頼が増加
しており、知財戦略に関
する論文も多数執筆して
いる。こうした活動を通
じ、技術法務を得意とする
同事務所の知名度も広
がってきたと感じるという
●所在地/〒 105-0003 東京都港区西新橋 1-20-3
内田・鮫島法律事務所
虎ノ門法曹ビル 701
TEL:03-5511-6211(代表)
http://www.uslf.jp/index.html
● 2004 年 7 月に、内田・鮫島両弁護士により共
同設立。知財・技術を主とする契約・訴訟業務を中
心に、破産申し立て、企業再生などの企業法務まで
網羅する。テクノロジーに関する専門知識、知財・
IT・ファイナンスなど幅広い知識を兼ね備えた弁護
士による、法務・技術・ビジネス領域を統合させた
リーガルサービスにも定評がある。現在、弁護士 7
名、スタッフ 10 名が所属する。
いる日本の競争力を高めていくことに貢献
り、 訴 訟 に な っ た 場 合 の 結 果 を 見 据 え て ア
事務所の看板は、技術畑出身の弁護士たち。
技術と法務の専門性で、企業の経営戦略まで踏み込む
す。 私 た ち は、 リ ー ガ ル 面 か ら 革 新 的 な 技
Lawyer's Magazine 2010.03.01 Vol.14 より出版社の許可を得て複製
Vol.22
ドバイスをしたりなどの弁護士にしかでき
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な い 実 務 を 行 え る 点。 技 術 を 企 業 の 事 業 競
企業法務関連の書籍が並ぶ資料棚。企業法務
の中でも、技術系弁護士の数はごくわずかだ
が、同事務所は高品質サービスの拡充に向け、
技術職経験のある弁護士を 20 名体制にし、
技術法務のナンバーワン組織を目指す
【内田・鮫島法律事務所】
弁護士としてのキャリア
は浅くとも、企業での社
会人経験を持つ自立した
大人がそろう組織。報酬
体系はわかりやすさが
モットー。アソシエイト
は年俸制だが、多く働い
た月はその分を時間換算
し、フィードバック。ア
ソシエイトが受けた個人
事件も、パートナーとの
協議により報酬を決定
左より、大手 IT 企業でシステム開発の経験を持つ久礼美紀子弁護士(60 期)、
IT コンサルタントとしてシステム開発プロジェクト等に従事した伊藤雅浩弁護
士(新 61 期)、同事務所代表の鮫島正洋弁護士(51 期)と内田公志弁護士(38
期)、大手企業の大規模システム開発 SE の経験を持つ松島淳也弁護士(59 期)、
製紙会社の研究職、特許事務所勤務を経て弁護士になった高見憲弁護士(新 61
期)。ほかに、現在米国留学中の岩崎洋平弁護士(58 期)が所属
虎ノ門法曹ビル内に居を構える。法律事務所
が居並ぶ中、同事務所には斬新な技術の事業
化に関する相談者が数多く訪れる。
「夢のあ
る話。その実現のお手伝いをさせていただけ
るのはありがたいことですね」
(鮫島弁護士)
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多種多様なバックグラウ
ンドを持つ人材が集まり、
一人一人が個性を発揮し
ながら活躍している。
「一
人で悩むな」という事務
所の方針で、どんなに忙
しくとも同僚からの相談
に耳を傾ける姿勢を大切
にしている