国際物流が回復、共同物流が拡大 - [LOGI

 国際物流事業が再び成長軌道に乗った。物
量はリーマンショック前の水準を取り戻し、
過
去最高決算を更新する企業が相次いでいる。
一方、国内では業界プラットフォーム型の共
同物流が伸びている。国内市場の縮小と長引
くデフレが荷主に同業者同士の物流共同化を
促す物流会社にとっては追い風になっている。
国際物流が回復、共同物流が拡大
解説
リーマンショックでより強く
本誌が毎年恒例としている「物流企業番付」の平
成二五年版を作成した。売上高上位約二〇〇〇社の
物流企業を対象に、直近三カ年の業績を分析。各社
の成長性、収益性、安定性を評価して、その実力を
検証した(詳しくは二三頁「調査の方法」参照)。
その結果、大きく二つのタイプの物流企業が総合
ランキングの上位に並ぶことになった。リーマンショ
ック後の物量回復の波に乗った国際物流企業と、同
じ業界の荷主同士の物流を共同化する業界プラットフ
ォーム型の共同物流運営会社だ。
一位のコマツ物流と二位の日立建機ロジテックは、
いずれも大手建機メーカーの物流子会社だ。両社と
も親会社の業績回復がそのまま子会社の売上増に結
び付いた。
親会社のコマツや日立建機は海外売上比率が七割
を超すグローバルメーカーで、世界同時不況によるダ
メージもそれだけ大きかった。しかし、その後、中国
以外の新興国と米国で需要が急回復、日本の復興需
要も加わって、中国と欧州の落ち込みをカバーした。
物流子会社の二社は共に物流機能会社として親会社
を始めとするグループに貢献することを現在の最大の
ミッションに掲げている。建機市場が構造不況に喘い
でいた二〇〇〇年代前半までは、
両社とも物量減少へ
の対応策として外販拡大による自立を目指していた。
しかし、その後、新興国需要の拡大で親会社の業
績は急回復、グローバル化が大きく進み、また建機市
場においてSCMの重要性が増したことから、子会
社の位 置 付けが変 化した。 外 販よりもむしろローコ
ストで安定したオペレーションが優先されるようにな
った。これに伴い物流子会社と親会社の業績の連動
18
FEBRUARY 2013 平成25年版 総合ランキングTOP10
総合
順位
総合
評価
会社名
売上
規模
利益
規模
534.29
1
2
日立建機ロジテック
(売上高、当期利益は単位:百万円)
利益
伸び率
累積
利益率
大株主
主な営業種目
コマツ物流
売上高
伸び率
97.42
98.91
運送、倉庫、機工
一人当
収益
所在地
決算期
売上高
当期
利益
従業
員数
横浜市
12.03
80,544
3,531
582
主な荷主
92.32
64.56
85.47
小松製作所
95.61
小松製作所、コマツグループ各社
中国を除いて全世界的に建設機械・車両需要が伸び、物量も増加した。今期も中国の落ち込みを他でカバーする傾向
525.13
94.19
95.29
運送、倉庫、梱包
96.58
75.80
74.15
日立建機、波南
89.12
茨城県
12.03
42,258
1,313
496
日立建機、日立建機グループ各社
新興国の建設機械、鉱山用大型機械の需要拡大で物量が増加。13年3月期は中国やインドの成長鈍化の影響が見込まれる
488.97
リョーサン
3
75.79
80.29
組立梱包
92.11
86.52
74.62
桂田重信
79.64
兵庫県
11.07
11,530
404
230
キャタピラージャパン、三菱重工業、川崎重工業
神戸港を中心に兵庫県内に8つの倉庫を構え、輸出梱包も手掛ける。大型機械の製品梱包に強みがあり最大 60tまで対応している
486.62
バンテックイースト
4
85.26
91.68
運送
98.13
63.08
84.99
バンテック
63.48
埼玉県
12.03
19,132
716
670
987
249
バンテック、バンテックグループ各社
日産栃木工場が生産する北米向け大型・高級車種が好調で、操業度が高まったことなどが好業績の要因
481.92
二葉
5
88.38
95.09
76.85
40.78
91.06
89.76
東京都
12.03
18,134
港湾運送、冷蔵倉庫 ファーストサービス、鈴木宏、鈴木健雄 三菱商事、三井物産、スターゼンインターナショナル
デフレ・円高で食品輸入が増加。05 年、09 年と増設した冷蔵倉庫が軌道に乗り、過去最高決算に
479.86
住友倉庫
6
98.56
99.11
倉庫、港湾運送
32.10
66.60
88.20
95.29
大阪市
12.03
83,389
5,079
688
住友不動産、日本トラスティ信託口ほか アメリカンプレジデントラインズ、ベンラインエージェンシーズ
港湾運送や国際輸送の取り扱いが回復。米海運WSL社の買収で、連結では今期も増収増益を見込む
479.40
バンテック
7
98.98
98.02
運送、梱包、倉庫
87.13
43.99
53.62
日立物流
97.66
川崎市
12.03
116,398
3,928
500
日産自動車、日産車体、ボッシュ、ジヤトコ、カルソニックカンセイ
フォワーディング事業とロジスティクス事業の統合や体質改善が効果を発揮。緊急輸送の増加も寄与した
474.19
日陸
8
90.35
倉庫、レンタル
96.04
51.81
54.65
90.93
90.41
東京都
11.09
21,157
1,259
276
日陸、政策投資銀行、東急車輌製造ほか 日立物流ファインネクスト、三井化学、旭化成ケミカルズ
危険物をドメインに医薬品にも進出。倉庫、輸送容器レンタル、輸送など全主要部門が好調だった
468.26
伊藤忠ロジスティクス
9
95.75
倉庫、運送
91.47
72.68
68.21
46.79
伊藤忠商事、川崎汽船
93.36
東京都
12.03
43,288
715
282
伊藤忠商事、日本アクセス、プリマハム
ベトナムなど不採算事業から撤退し、商社系の強み活かせるビジネスモデルの構築を推進。タイ、インドなどへ積極投資
467.03
10 名港海運
96.35
港湾運送、倉庫
98.57
72.10
26.11
90.25
83.65
名古屋市 12.03
49,540
1,709
809
名港海運、明治安田生命保険、名古屋銀行ほか 商船三井、ホンダ、ナゴヤシッピング、デンソー、日本ガイシ
輸出では工作機械、輸入では非鉄金属や食糧、住宅建材等の取り扱いが増加し、
V字回復に成功
性が増している。
三位のリョーサンも独立系ながら三菱重工やキャタ
ピラージャパンを主要荷主として建機や産業機械の輸
出梱包を手掛ける中堅企業で、〇九年にいったん大
きく売り上げを落とした後、急回復を遂げている。
五位の二葉は京浜港を地盤にする港湾会社。食品
の輸入通関では国内トップクラスのシェアを誇り、港
湾運送から冷蔵倉庫、国内配送へと事業のスコープ
を拡げてきた。円高を背景とした輸入食材の増加を
追い風に順調に業績を伸ばしている。
以下、総合ランキング三〇位までの顔触れは、総合
商社系や財閥系倉庫会社、海運会社など、輸出入貨
物の取り扱いをメーンとする中堅以上の物流会社が大
多数を占めている。ユニークなサービスや斬新なビジ
ネスモデルを武器にする新興企業の台頭は一服した。
それに代わって大手荷主を固定客として抱える国
際物流企業が、その回復力によって上位に浮上する
格好となった。リーマンショックで大幅な物量減少を
経 験し、 大 規 模なリストラを余 儀 無くされたことが、
回復後の利益の増加に拍車を掛けた。
ただし、欧州の低迷と中国の減速はその後も続い
ている。とりわけ中国は昨年秋の尖閣問題以降、日
本製品の販売に急ブレーキが掛かっている。その影響
FEBRUARY 2013
で国際物流事業の核となる各社のフォワーディング収
入は一二年度下期に大幅に減少することが必至とな
っている。
安倍新内閣の発足以降、為替が大きく円安に振れ
たことで明るい兆しも見られるものの、それが輸出
拡大などの実体経済にどこまで反映されるのかはま
だ不透明だ。少なくとも中国の落ち込みは一三年度
上半期いっぱいは続くと見られており、その後につ
いても予断は許さない。
19 総合ランキング 11∼20 位
総合
順位
総合
評価
会社名
(売上高、当期利益は単位:百万円)
売上
規模
465.70
売上高
伸び率
利益
伸び率
累積
利益率
大株主
主な営業種目
11 三井埠頭
利益
規模
79.57
港湾運送、倉庫
一人当
収益
所在地
決算期
売上高
12.03
11,288
当期
利益
従業
員数
主な荷主
91.61
82.57
30.26
91.54
川崎市
90.15
太平洋セメント
349
125
太平洋セメント、サンフェニックス、電源開発、シマダ、前田道路
川崎港で大型私設埠頭やヤード、倉庫を展開。ばら積み貨物に強みを持つ。新車・中古車の輸出入なども手掛ける
464.76
12 伊勢湾海運
94.91
港湾運送、倉庫
96.18
81.73
36.04
77.83
78.07
五洋海運ほか
名古屋市 12.03
40,150
1,129
786
新日本製鐵、オークマ、森精機製作所、シノトランスジャパン
輸入貨物が順調に推移。倉庫改修で保管貨物の幅を広げ、海外投資も行って収益改善に努めている
462.94
13 三菱倉庫
99.22
倉庫、港湾運送
99.52
54.60
20.86
91.61
97.13
日本トラスティ信託口、明治安田生命保険ほか
東京都
12.03
145,980
7,287
830
APMターミナルズジャパン、三菱重工業、マースク、三菱製紙
物流事業では貨物取扱量が全体的に増加、不動産事業でもマンション販売が好調だった
460.64
14 住商グローバル・ロジスティクス
93.17
倉庫、国際輸送
93.45
93.37
33.84
69.92
76.89
住友商事
東京都
12.03
33,750
698
612
647
270
住友商事、住友商事グループ各社
国内物流センター業務がテレビショッピングなどの通販事業の伸びに伴い成長。海外物流や3PLなども好調
459.89
15 商船三井ロジスティクス
85.74
倉庫、運送
92.97
63.85
46.19
88.06
83.08
商船三井、近鉄エクスプレス
東京都
12.03
15,042
日東ロジコム、富士フイルム、三井物産、豊田通商、住友商事
フォワーディングや海外のコントラクト・ロジスティクス
(3PL)が着実に成長。合理化の徹底も業績に寄与
456.68
16 大塚倉庫
94.79
運送、倉庫
95.84
78.65
22.02
75.03
90.35
大塚ホールディングス
大阪市
12.03
39,167
918
389
大塚製薬、大塚製薬工場、大塚食品、大塚化学、大鵬薬品工業
大塚グループの医薬品や飲料などの物流インフラを活用した共同物流を食品メーカーなどに提案。新規契約相次ぐ
456.68
〃 三菱商事ロジスティクス
92.99
倉庫、国際輸送
98.09
44.39
32.06
94.54
94.61
三菱商事
東京都
12.03
28,434
1,719
250
三菱商事、三菱自動車工業、いすゞ自動車、ファーストリテイリング
アパレルや雑貨、食品、自動車部品などの国際物流を支援。新興国の成長などが追い風に
456.64
18 大和物流
95.03
運送、梱包
96.32
77.55
40.47
78.44
68.83
大和ハウス工業
大阪市
12.03
40,616
1,471
1,213
大和ハウス工業、ニチハ、住生活サプライヤー
主力の住宅物流ではハウスメーカーの共同物流を展開。強みを活かせる流通事業の拡大にも注力
456.04
19 丸紅物流
79.03
運送、倉庫
87.79
71.99
37.64
84.92
94.67
丸紅
東京都
12.03
10,985
408
89
丸紅、伊藤忠丸紅鉄鋼、丸紅テクノシステム、丸紅ケミックス
中核のフォワーディングと海外物流が新興国の成長などの後押しを受けて堅調
455.22
20 中部興産
80.59
運送、倉庫
95.57
83.46
17.22
97.20
81.18
バロー
岐阜県
12.03
11,597
895
266
バロー、中部薬品、国分、中部フーズ
スーパーやホームセンター、ドラッグストアを展開するバロー子会社。物流センター運営と店舗配送が積極出店で伸びる
今後を見越して、国際物流企業各社は既に投資の
矛先を中国からアセアン諸国へと移している。それと
同時に、輸送スペースを確保して通関を切るだけの単
純なフォワーディングから、センター運営と末端配送
を伴う3PLへと、サービスのスコープを拡げている。
総合七位のバンテックは買収で手に入れた航空フォ
ワーダー事業と、主業とするロジスティクス事業を統
合したことによるシナジー効果で、一二年三月期に
過去最高決算を達成した。ロジスティクス事業の荷主
にフォワーディングを売り込み、サービス領域を拡げ
るかたちで売り上げを伸ばした。
同様に九位の伊藤忠ロジスティクスもサービス別の
縦割りが目立っていた組織にメスを入れ、トップ自ら
ソリューション営業の先頭に立つことで、グローバル
3PLの大規模案件を次々に獲得している。
一五位の商船三井ロジスティクスは大手フォワーダ
ーと比較して事業規模に劣る弱点を逆手に取り、新
興 国 内のオペレーションでオーダーメイドのサービス
を提供することで、それに繋がるフォワーディング業
務を取り込んでいる。
国際物流の物量回復頼みが通用したのは一二年三
月期まで。今後も成長を持続していくには、新たな
市場の開拓とサービスの革新が不可欠だと各社は認識
している。
物量の減少を逆手に取る
一方、日本の国内物流では国際物流とは裏腹に物
量の減少に対応したサービスが伸びている。その代表
が共同物流だ。それも単なる積み合わせ輸送ではな
く、同じ業界のライバル企業同士を同じインフラに乗
せる業界プラットフォーム型の共同物流がいよいよ本
格化してきた。
FEBRUARY 2013 20
総合ランキング 21∼30 位
総合
順位
(売上高、当期利益は単位:百万円)
総合
評価
会社名
売上
規模
主な営業種目
452.25
利益
規模
利益
伸び率
累積
利益率
一人当
収益
大株主
98.62
21 三菱電機ロジスティクス 運送、倉庫
売上高
伸び率
所在地
決算期
売上高
当期
利益
従業
員数
12.03
85,174
2,937
933
主な荷主
98.98
40.22
42.98
80.35
東京都
91.10
三菱電機
三菱電機、ミヨシ電子、日本建鐵、三菱電機システムサービス
11 年度は売上横ばいも利益は堅調。自動車事業部を新設するなど新分野にも注力
451.71
89.87
22 中部日立物流サービス 運送、梱包
88.13
81.84
51.47
64.32
名古屋市 12.03
76.08
日立物流
21,309
469
413
日立物流、アルビス、日東ロジコム、日立アプライアンス
中部エリアで日立物流の案件の現場運営を担当。各種メーカーや流通企業などグループ外の荷主開拓にも注力
451.51
23 ジョーシンサービス
92.21
96.11
45.92
31.00
86.97
大阪市
99.30
運送、家電製品設置 上新電機
12.03
24,391
1,067
44
上新電機、トランス・コスモス、リコージャパン、ミサワホーム近畿
上新電機の100%子会社。配達のほか、取り付け工事、修理、アフターサービスなども拡大
450.72
24 上組
99.52
港湾運送、運送
99.93
62.11
8.30
95.63
神戸市
85.23
日本トラスティ信託口、日本マスター信託口ほか
12.03
214,565
13,111
3,820
新日鐵、
JFEスチール、住商グローバル・ロジスティクス
香港にアジア総括支社を設置。国際一貫輸送を推し進めるとともにコスト削減を徹底。設備投資にも積極的
450.38
25 アルプス物流
94.31
運送、倉庫
97.68
59.87
28.18
89.50
横浜市
80.84
アルプス電気ほか
12.03
34,942
1,541
703
637
200
アルプス電気、アルパイン、
TDK
主力の電子部品物流では中国や韓国でネットワーク拡大。電子デバイスの販売ビジネス拡大も業績に寄与
449.68
26 安川ロジステック
86.58
運送、倉庫
93.18
48.55
43.98
87.93
北九州市 12.03
89.46
安川電機
15,462
安川電機、安川モートル、安川シーメンスオートメーション
産業用ロボットやインバーターへの需要が回復し、10 年度は過去最高決算を計上。商社代行サービスにも注力
448.72
27 ハマキョウレックス
94.13
運送、倉庫
98.77
56.91
18.72
96.04
浜松市
84.15
エムエフカンパニー、日本トラスティ信託口ほか
12.03
34,172
2,426
673
プリマハム、日本アクセス、ゴールドパック、スーパーレックス
物流センター事業が好調。
JTB物流買収でさらにテコ入れ。陸運の近物レックスも収支改善
448.69
28 近鉄エクスプレス
98.80
国際運送
99.18
44.13
28.59
87.31
東京都
90.68
近畿日本鉄道、日本マスター信託口ほか
12.03
90,677
4,019
1,092
570
173
東芝、パナソニック
営業利益率が改善。カナダ、中国、タイ、インド、インドネシア、フィリピンなど海外事業への投資加速
446.48
29 義勇海運
79.81
港湾運送
91.20
57.48
40.66
90.86
神戸市
86.47
三菱電機ロジスティクス
12.03
10,698
三菱電機ロジスティクス、三菱電機、
IHI、豊田通商、三井造船
三菱グループ傘下。神戸港を基盤とした港湾運送主力。特に重量貨物の取り扱いに強み。11 年 2月にAEO認定取得
445.09
30 岡本物流
73.46
梱包、港湾運送
85.95
92.44
55.55
87.65
東京都
50.04
岡本雅晴、日野自動車、岡本祐一
12.03
9,125
406
481
日野自動車、三菱商事、浅川製作所
取り扱う荷物の8 割以上が日野自動関連。通関、輸出梱包などを展開。日野自動車の海外事業の伸びが追い風に
総合一六位の大塚倉庫は、大塚製薬を中心とする
大塚グループの一員でグループ各社の物流インフラを
活かした共同物流を外販戦略の柱に据えている。
「ポ
カリスエット」や「オロナミンC」などの飲料、トッ
プシェアを握る点滴用輸液、グループのアース製薬の
殺虫剤を、それぞれベースカーゴにしてライバルメー
カーの物流を取り込むことで業績を伸ばしている。現
状の外販比率は約三割。それを今後二、三年で五割
にまで持っていく計画だ。
同様に一八位の大和物流は約四年前から本格化さ
せたハウスメーカー向けの共同物流を成長の原動力と
している。親会社の大和ハウス工業向けのインフラを
他のハウスメーカーにも提供することで、国内住宅市
場の縮小をよそに年率二桁ペースで売り上げを伸ばし
ている。外販比率は今や七割近くにも達した。
納品先や調達先が重複するライバルメーカー同士の
物流共同化は効率化効果が大きい。しかし従来は競
争意識や面子が邪魔をして普及が進まなかった。既
存の物流組織の抵抗もあった。共同化によって自分
の役割を失う物流部門や子会社、依存関係にある協
力会社、アセットの存在が制約となっていた。
しかし、国内市場規模の縮小とデフレの進行で、合
理性を欠いた経営判断は許されなくなっている。明
FEBRUARY 2013
快なロジック、魅力的な効果、そして安定したオペレ
ーションを証明できれば荷主は動く。
大塚倉庫と大和物流の二社はいずれも強烈なトッ
プダウンを特徴とする。営業活動もトップ自ら荷主に
提案に出向き、先方の経営層を説得して実務部隊に
落とし込むというやり方だ。共同化を単なるコスト削
減を超えた経営ソリューションとして位置付け、トッ
プ同士の信頼関係を築くことで物流問題にまつわる
制約を乗り越えている。
21 総合ランキング 31∼50 位
総合
順位
会社名
総合評価
売上規模
主な営業種目
31 いすゞライネックス
32 北星産業
33 ユニエツクス
34 オーナミ
35 内外トランスライン
36 ブルーエキスプレス
37 日本郵便輸送
38 トライネット・ロジスティクス
39 ユー・ティー・アイ
40 エーアイテイー
41 丸和運輸機関
42 日本海石油
43 トピー海運
44 バンテックセントラル
45 トランコム
46 マブチ
47 苫小牧埠頭
48 フレッシュ・ロジスティック
49 リコーロジスティクス
50 安田倉庫
443.75
95.21
83.10
84.10
78.43
港湾運送、倉庫
440.72
76.21
運送
438.60
83.22
99.16
93.41
81.61
倉庫、運送
410.16
99.06
92.87
67.59
78.01
92.39
運送
429.46
97.18
86.04
88.98
67.83
運送
424.62
43.29
41.42
71.17
88.27
99.59
98.64
70.77
63.36
74.28
46.68
51.82
88.44
99.63
97.82
95.91
80.01
98.29
87.38
96.79
92.63
97.06
93.52
92.63
97.00
20.39
81.11
12,621
1,657
227
11.03
14,208
382
157
12.03
10,187
329
252
大阪市
11.12
9,096
586
190
堺市
77.17
12.03
14,053
395
284
ステラケミファ、丸善薬品産業、日本石油輸送、ラサ工業
48.47
9.63
94.47
東京都
85.65
12.03
123,036
6,564
2,084
12.03
29,468
2,537
380
日本郵便ほか
16.32
40.88
96.25
東京都
91.13
サントリー、ファーストリテイリング、プライムポリマー、ワールド
74.60
8.77
90.31
21.71
1.73
60.44
22.16
34.71
80.20
大阪市
87.53
12.02
12,121
493
174
東レ・ダウコーニング、富士ゼロックス、バイエル薬品
91.45
92.84
東京都
96.58
11.03
134,979
5,772
832
上組、丸紅ファッションリンク、オークローンマーケティング
埼玉県
68.13
12.03
28,632
1,460
962
マツモトキヨシホールディングス、ダスキン、三菱食品、エコス
42.54
99.25
富山県
91.39
12.03
2,669
758
37
10,421
259
209
JX日鉱日石エネルギー
46.32
70.46
愛知県
76.22
12.03
トピー工業、トピー実業、出光興産、丸太運輸、武蔵精密工業
97.92
29.21
68.08
横浜市
50.28
12.03
35,623
609
1,349
バンテック、損害保険ジャパン、日産自動車、パレネット
60.51
13.71
79.40
80.85
35.16
26.26
22.58
33.54
56.34
名古屋市
80.37
12.03
67,768
1,720
1,150
ユニチャーム、東海コープ事業連合、昭和冷蔵、
NECライティング
73.33
横浜市
64.43
11.09
15,696
386
466
日野自動車、ダイハツ工業、丸全昭和運輸、トヨタホーム
95.09
北海道
96.70
12.03
17,447
1,122
117
全国農業協同組合連合会、王子物流、苫小牧サイロ、マロックス
90.38
東京都
91.82
12.03
6,513
449
76
58,415
1,110
1,280
1,171
350
セブン-イレブン・ジャパン
71.14
47.17
44.88
東京都
70.85
12.03
リコー、リコーグループ各社、大塚商会
23.70
31.77
88.54
損害保険ジャパン、明治安田生命保険ほか
評価の方法
日本の物流企業の売上高上位約 2000 社を対象にした。
過去 3 期分の単体 業績を①売上 規模、②利益 規模、③売上
東京都
89.50
──の 6 項目から評価。各項目を 100 点満点で指 数化し、
6 項目の合計点を総合評価とした。利益は当期利益を採用。
ら除外した。ただし、売上高および利益高ランキングにつ
(単位:兆円)
20.5
対象とした。直近決算期以降の合併や社名変更等は、原則
3,211
20.0
2,618
2,893
3,500
3,000
2,500
19.5
売上高(左軸)
20.1
19.9
19.2
18.5
2,000
1,500
19.0
として反映していない。また、前回の「物流企業番付」
(12
年 2 月号)の結果との単純な比較はできない。調査対象と
(単位:億円)
4,000
当期利益(右軸)
いては直近決算期のデータが入手できた企業すべてを対象
にしている。直近決算期は 2011年 6 月期∼12 年 5 月期を
26,935
評価対象企業1669社の売上高と当期利益
(単純合計)
弊社の調査で過去 3 期分の決算データが揃わなかった企業、
および対象期間中に決算期変更があった企業は評価対象か
12.03
日本アイ・ビー・エム、ボシュロム・ジャパン
高伸び率、④利益伸び率、⑤累積利益率、⑥一人当たり収益
した企業や直近決算期の定義が若干異なるため。
12.03
三菱倉庫、商船三井ロジスティクス、ケイヒン、豊田通商
リコー
倉庫
大阪市
82.45
日本政策投資銀行、王子製紙ほか
85.27
436
日立造船、ユニバーサル造船、エイチアンドエフ、備後海運
トピー工業
92.63
大阪市
72.97
三井物産
91.81
521
日本郵船、三菱倉庫、郵船コーディアルサービス、三菱商事
日立造船、損害保険ジャパンほか
90.93
41,452
新潟市
89.83
日本郵船、東京海上日動火災保険ほか
81.72
12.03
当期利益 従業員数
コメリ
明治
運送、倉庫
423.14
85.77
売上高
東京都
86.60
馬淵建設、マブチユーティリティーほか
港湾運送、運送
425.18
98.57
ラネット、
BBHフィデリティほか
梱包
426.40
33.31
バンテック
運送
427.19
43.75
JX日鉱日石エネルギー
運送、港湾運送
430.51
97.48
(売上高、当期利益は単位:百万円)
決算期
いすゞ自動車、いすゞグループ各社
和佐見勝、
WASAMIほか
倉庫
431.22
84.02
エイチアンドワイ、波床知喜、井口敦ほか
運送
431.39
40.72
ユーティーアイアジアパシフィック
国際運送
434.26
48.87
日本郵便
倉庫、不動産賃貸
434.63
86.25
88.68
ステラケミファ
運送、倉庫
436.63
一人当
所在地
収益
主な荷主
戸田徹、エーエスティほか
運送
436.97
累積
利益率
コメリ
港湾運送、倉庫
441.53
利益
伸び率
いすゞ自動車
梱包、運送
415.58
売上高
伸び率
大株主
運送、倉庫
442.81
利益規模
10年
3月期
1,000
11年
3月期
12年
3月期
500
FEBRUARY 2013 22
国内物流業 当期利益 上位100社(直近単独決算)
当期利益 当期利益率
(百万円) (%)
順位
会社名
主な業務
51
パシフィックグレーンセンター
普通倉庫
1,145
20.64
1
52
キリン物流
一般貨物
1,144
1.73
53
JALカーゴサービス
運送取次
1,141
8.78
54
澁澤倉庫
普通倉庫
1,139
2.45
55
伊勢湾海運
港湾運送
1,129
2.81
〃
大興運輸
一般貨物
1,129
57
苫小牧埠頭
港湾運送
1,122
58
リコーロジスティクス
一般貨物
59
住友金属物流
一般貨物
60
ロジスティクス・ネットワーク
利用運送
61
ジョーシンサービス
一般貨物
62
東京団地倉庫
63
二葉
64
65
66
67
会社名
順位
主な業務
当期利益 当期利益率
(百万円) (%)
日本通運
一般貨物
13,804
2
上組
港湾運送
13,111
6.11
3
ヤマト運輸
一般貨物
8,451
0.81
4
福山通運
一般貨物
8,311
3.85
5
三菱倉庫
普通倉庫
7,287
4.99
4.17
6
日本郵便輸送
特定貨物
6,564
5.34
6.43
7
日立物流
一般貨物
6,267
2.67
1,110
1.90
8
佐川急便
一般貨物
5,949
0.75
1,097
1.41
9
山九
一般貨物
5,939
1.88
1,073
1.36
10
住友倉庫
普通倉庫
5,079
6.09
1,067
4.38
11
日本梱包運輸倉庫
一般貨物
4,503
5.85
普通倉庫
1,004
19.06
港湾運送
987
5.44
13
ヤマタネ
普通倉庫
977
2.07
関東グレーンターミナル
港湾運送
956
24.77
ジャレード
梱包業
939
大塚倉庫
一般貨物
918
68
三輪運輸工業
一般貨物
69
中部興産
一般貨物
70
東洋埠頭
71 トヨタ輸送
12 JFE物流
1.30
利用運送
4,240
2.87
近鉄エクスプレス
利用運送
4,019
4.43
14
バンテック
一般貨物
3,928
3.37
15
コマツ物流
一般貨物
3,531
4.38
9.39
16 TSネットワーク
特定貨物
3,364
0.62
2.34
17
三菱電機ロジスティクス
一般貨物
2,937
3.45
900
3.77
18
東芝ロジスティクス
利用運送
2,769
2.72
895
7.72
19 トライネット・ロジスティクス
普通倉庫
2,537
8.61
普通倉庫
893
3.07
20
ハマキョウレックス
一般貨物
2,426
7.10
一般貨物
863
1.31
21
サカイ引越センター
一般貨物
2,284
4.18
72
ニヤクコーポレーション
特定貨物
850
2.21
22
センコー
一般貨物
2,172
1.19
73
エヌ・ティ・ティ・ロジスコ
利用運送
838
2.04
23
宇徳
港湾運送
2,144
6.01
74
丸紅エネックス
普通倉庫
836
19.48
24
丸全昭和運輸
一般貨物
2,079
2.89
75
ユニエツクス
港湾運送
805
3.80
25
テイソウ
普通倉庫
2,001
83.32
76
第一倉庫冷蔵
冷蔵倉庫
800
6.15
26
名鉄運輸
一般貨物
1,918
3.62
77
西武運輸
一般貨物
786
1.30
27
ティーエルロジコム
一般貨物
1,759
4.49
78
東海西濃運輸
一般貨物
773
7.38
28 トランコム
79
東北グレーンターミナル
普通倉庫
771
16.75
29
一般貨物
1,720
2.54
三菱商事ロジスティクス
普通倉庫
1,719
6.05
80
中央倉庫
普通倉庫
758
3.45
30
名港海運
港湾運送
1,709
3.45
〃
日本海石油
普通倉庫
758
28.40
31
マルカサトウ
利用運送
1,677
49.22
82
エア・ウォーター物流
一般貨物
752
3.70
32
北星産業
梱包業
1,657
13.13
83
デンソーロジテム
梱包業
746
2.69
33
パナソニックロジスティクス
一般貨物
1,655
2.27
84
スーパーレックス
利用運送
742
6.37
34
三井倉庫
普通倉庫
1,610
2.17
85
富士フイルムロジスティックス
普通倉庫
738
1.42
35
味の素物流
一般貨物
1,597
2.30
86
鴻池運輸
一般貨物
718
0.43
36
アートコーポレーション
一般貨物
1,565
3.17
87
バンテックイースト
一般貨物
716
3.74
37
アルプス物流
一般貨物
1,541
4.41
88
伊藤忠ロジスティクス
普通倉庫
715
1.65
38
日本トランスシティ
普通倉庫
1,529
1.96
89
日水物流
冷蔵倉庫
705
5.44
39
ワンビシアーカイブズ
普通倉庫
1,505
7.18
90
日本陸送
一般貨物
700
6.69
40
大和物流
一般貨物
1,471
3.62
91
住商グローバル・ロジスティクス 運送取次
698
2.07
41
丸和運輸機関
一般貨物
1,460
5.10
92
三信倉庫
普通倉庫
682
24.11
42
寺田倉庫
普通倉庫
1,415
14.59
93
DNPロジスティクス
一般貨物
680
1.61
43
ヒューテックノオリン
一般貨物
1,342
3.88
94
中部コールセンター
普通倉庫
678
19.88
44
日新
港湾運送
1,336
1.33
95
凸版物流
一般貨物
671
1.99
45
西濃運輸
一般貨物
1,323
0.54
96
清水運輸倉庫
普通倉庫
668
17.26
46
日立建機ロジテック
一般貨物
1,313
3.11
97
ダイトーコーポレーション
港湾運送
656
2.62
47
日陸
普通倉庫
1,259
5.95
98
商船三井ロジスティクス
運送代理
647
4.30
48
沖縄ヤマト運輸
一般貨物
1,190
11.65
99
ニチレイ・ロジスティクス関西
冷蔵倉庫
645
5.49
49
安田倉庫
普通倉庫
1,171
4.35
100
安川ロジステック
運送取次
637
4.12
50
王子物流
一般貨物
1,147
1.62
23 FEBRUARY 2013