ICO<無断複写・複製を禁じます> 受験番号 1 2 局 名 番 号 平成 25 年度論文式本試験解答・会計学〔午後〕 ・第4問 第 4 問 答案用紙<1> (会 計 学) 評 点 問 1 (1) 修 繕 引当金 退職給付引当金は、労働協約などにより将来に支払わなければならない退職給付に基づき計上されており、概念フレ ームワークが示す「過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源を放棄もしくは引き渡 す義務」という負債の定義に当てはまる。これに対し、修繕引当金は将来の修繕に備えて企業が自主的に計上するも のであり、債務性が認められないことから、このような負債の定義には当てはまらない。 (2) 企業会計基準第5号は、単なる差額概念として純資産の部を定める一方で、当期純利益とこれを生み出す 株主資本の関係を重視し、株主資本の区分を定めている。B説は、その他の包括利益累計額に計上した数 理計算上の差異を、その後の一定期間にわたり費用配分することを主張するものである。当該処理は、当 期純利益と株主資本の変動との連携が確保され、両者の関係が強固になるので望ましい。 問 2 (1) 為替予約等の振当処理は、これにより将来のキャッシュ・フローが固定される場合に限り認められるもの であり、予約による直先差額は繰り延べられ期間配分される。また、キャッシュ・フロー・ヘッジのもと での繰延ヘッジも、キャッシュ・フローを固定するものであり、ヘッジ手段の損益が繰り延べられること になるため、両者の会計処理は実質的に同じであると考えられる。 (2) 外貨建借入金等に直先フラット型の通貨スワップを付した場合には、借入時のスワップ・レートと返済時 のスワップ・レートが同一であることから借入金額と返済金額が同額となり、実質的に円建てで資金調達 するのと同様の効果があることから、振当処理が認められる。 - 1 - ICO<無断複写・複製を禁じます> 受験番号 2 2 局 名 番 号 平成 25 年度論文式本試験解答・会計学〔午後〕 ・第4問 第 4 問 答案用紙<2> (会 計 学) 問 3 (1) A 約 定 B リスク・経済価値 C 財務構成要素 (2) 金融資産の流動化・証券化が進展すると、金融資産を財務構成要素に分解して取引することが多くなると 考えられる。具体的には、譲渡人が金融資産を譲渡した後も、回収サービス業務を引き受けるとともに、 延滞時には買い戻すリコース義務を負う場合を挙げることができる。このような取引の実質的な経済効果 を譲渡人の財務諸表に反映するには、金融資産を財務構成要素に分解して支配の移転を認識する財務構成 要素アプローチを採用することが必要となる。 問 4 (横書き,1行 20 文字) 2 つ の 指 摘 の 背 後 に あ る 共 通 し た 考 え 方 と は、 将 来 の 資 金 回 収 額 に 基 づ き 資 産 を 評 価 す る こ と で 、 投 資 家 が 将 来 キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ ー を 予 測 す る の に 役 立 つ 企 業 成 果 等 を 開 示 し よ う と す る も の で あ る 。 こ の 考 え 方 を 踏 ま え る と 、 繰 延 税 金 資 産 が 資 産 で あ る た め に は 、 将 来 の 支 払 税 金 を 減 額 す る と い う 回 収 の 見 込 み が な け れ ば な ら な い 。 そ の た め 、 繰 延 税 金 資 産 の 会 計 処 理 に お い て は 、 回 収 が 行 わ れ る と 見 込 ま れ る 期 の 税 率 に 基 づ き 計 算 し 、 回 収 の 見 込 み に つ い て 毎 期 見 直 し を 行 う と と も に 、 税 率 の 変 更 が あ っ た 場 合 に は 過 年 度 に 計 上 し た 繰 延 税 金 資 産 を 新 た な 税 率 に 基 づ き 再 計 算 す べ き で あ る こ と か ら 、 資 産 負 債 法 を 採 用 す べ き で あ る 。 - 2 - ICO<無断複写・複製を禁じます> 平成 25 年度論文式本試験解答・会計学〔午後〕 ・第4問 第 4 問 全体講評 退職給付会計を扱う 問 1 について、退職給付引当金と修繕引当金を負債性もしくは債務性の観点か ら比較することになる(1)は基本的な出題といえるが、平成 24 年改正会計基準の内容を「貸借対照表の純 資産の部の評価に関する会計基準」の考え方と関連させることになる(2)は、解答すべき内容が幅広く、 決して容易ではない。 外貨建会計とヘッジ会計を扱う 問 2 は、(2)が細かな論点を扱っていることから、(1)が解答できれ ばよいと思われる。 問 3 は「金融商品に関する会計基準」の「結論の背景」の内容に基づく出題であり、対応は十分に 可能である。 問 4 は、解答欄に文字数の制限(300 文字)があるが、解答冊子の末尾の下書き用紙(500 文字)な どで文章の構想を丁寧に練ったりしなくとも、繰延税金資産の会計処理における資産負債法の趣旨や特徴 を制限文字数以内で列挙できれば及第点は超えると考えられる。 合格ライン 会計学〔午後〕全体の第3問~第5問のうち、どれを重視して時間を掛けたかにより、各問題の合格ラ インは異なるとも思われるが、この第4問の合格ラインは 40 点(70 点満点)と考える。 ICOフィードバック解説 問 1 (1) 〔財務会計の概念フレームワーク第3章 5〕〔我が国の引当金に関する研究資料ケース15〕 (2) 〔退職給付に関する会計基準55〕〔退職給付に関する会計基準56〕 問 2 (1) 〔外貨建取引等会計処理基準の改定に関する意見書二 2〕 (2) 〔外貨建取引等の会計処理に関する実務指針52〕 問 3 (2) 〔金融商品に関する会計基準57、58項〕 問 4 〔金融商品に関する会計基準 64(1)〕 〔税効果会計に係る会計基準の設定について 〔税効果会計に係る会計基準注解 二1 2〕 注5~注7〕 -以 - 3 - 上-
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