実用化技術情報 長期的な事業計画と評価のための法人支援ツール 福島県農業総合センター 企画経営部経営農作業科 部門名 農業経営−農業経営 担当者 新妻俊栄・依田浩文 Ⅰ 新技術の解説 1 要旨 農業法人等に対する長期的な事業計画や評価のため、「投資判断、資金計画、業績評価」を一連のフレーム ワークとした支援ツールを開発した。この支援ツールは、登録された財務情報を活用することで、利用者が多 角的な経営を目指す法人等の将来計画や評価を容易に概観することを可能にした。 (1) 既存の支援システム等は、短期的な計画や財務分析全般を主な対象としており、長期的な計画に関する 内容は限定的であるため、既存支援ツールに無い長期的視点を補完する(図1の網掛部)支援ツールを開 発することにした。 (2) 農業法人等の多角的な経営展開を支援するため、財務情報と連携させた「投資判断、資金計画、業績評 価」を一連のフレームワークとした。 (3) 「データ管理プログラム」、「投資判断プログラム」、「資金計画プログラム」、「業績評価プログラム」の4つの プログラムと、共通使用の「データシート」で構成される。 (4) 「データ管理プログラム」は、財務情報をテーブルの形式でシートに保存、管理する設計とした。初期値とし て、福島県農業経営計画策定指標の損益情報と減価償却資産を用意している。 「投資判断プログラム」は、正味現在価値法による設備投資の意思決定モデルを採用した。 「資金計画プログラム」は、内部資本調達計画と長期資金計画を連動させた算出方法を採用した。 「業績評価プログラム」は、損益の情報を構成比率分析により事業評価する方法を採用した。 2 期待される効果 (1) いずれの算出プログラムも、「データシート」から財務情報を呼び出すことで、事業計画を容易に計算し、確 認出来るため、経営の意思決定の迅速化につながる。 3 適用範囲 農業法人、地域で法人化を目指す組織および個人 4 普及上の留意点 (1) 財務管理の基本的な知識(農業経営改善支援の手引き等)を習得したうえで使用する。 (2) 現地の財務情報は、経営者の優越的な情報や、見積りの誤差、会計上の選択により生ずる歪みがあるの で、それらを修正したものを利用する。 (3) 初期値のデータは、必要に応じて修正する。 Ⅱ 具体的データ等 減価償却資産 情報 指標ツール (経営指標等) FAPS 計画 インポート 新FMSS FarmanDess 開 発 す る 支 援 ツ 営農Navi システム ル XLP BFM 登録 データ管理 プログラム <支援ツール> ー 農 用地利用集積 支援システム 法人等の 財務諸表 データシート データ呼び出し デ ータ 呼 び出し データ呼び出し 集落営農緊急育成 サポートツール 分析 投資判断 プログラム 会計ソフト等 の分析ツール 短期 設備投資 情報 長期 図1 各種支援システムの分類 図2 支援ツールの枠組み データ選択・入力 投 資判断 ⇒ プ ログラム 資 金計画 プ ログラム ⇒ 資金計画 プログラム 処理内容と出力 得ら れる情 報 事業計画の具体化 事業計 画の投資効果を算出 新規事業 の損益 情報選 択(デー タから呼び出し) ⇒ 投資資産 の情報 選択( データか ら呼び出し) 正味 現在価 値法による投資 判断 モデル により 算出 ⇒ 資金調達方法の具 体化 資金調 達計画を算出 損益情報 の選択 (デー タから呼 び出し) ⇒ 損益 情報と 投資計画から、 内部 留保や 長期資金計画を算出 ⇒ 投資計画 の選択 (投資 判断プロ グラムから データ 取得) 事業 計画に 対する 投資 判断 (投資案) 長期 的資金 繰りの 可否 判断 (調達案、借入案) ※データ からの呼び出 しも可 業 績評価 ⇒ プ ログラム 指標の選択 と業績 の入力 指標とす る損益 情報の 選択 (データか ら呼び 出し) ⇒ 新規事 業等の業績を評価 指標と 実績の 構成比率分析比 較に より業 績を評価 ⇒ 評価する 事業実 績の入力 ※いずれ の場合 も、呼 び出した情報の修正や、直接 入力が可能 ※いずれ のプロ グラム も単独で活用す ること が可能 図3 法人支援ツールの処理手順 Ⅲ その他 1 執筆者 新妻俊栄 2 研究課題名 6-2-165 農業法人の経営管理手法と地域連携方策の構築 3 主な参考文献・資料 (1) 平成20年度 福島県農業総合センター試験成績概要(2009) 効率 化、コ スト低 減、 収益性 向上の 情報 付与 (改善案) 業績評価 プログラム
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