図書館が登場する小説 行楽の秋,味覚の秋,スポーツの秋など多くの楽しみのある季節がやってきました。 今日は,読書の秋ということで,図書館の職員が主人公の小説を3冊紹介します。 1冊目は,門井慶喜の『おさがしの本は』です。 生まじめでカタブツの図書館司書・和久山隆彦の担当はレファレンスカウンター。レ ファレンスカウンターでの主な仕事は,利用者の依頼で本を探し出して調べもののお手 伝いをすること。そんな和久山のもとに訪れるのは,レポートの締め切りを間近にした 学生や幼いころに読んだ本をもう一度読みたい男性など,どれも一筋縄ではいかない難 問ばかり。そのうえ,新しく赴任した副館長が,図書館は廃止するべきだと言い始めて ……。謎解きだけでなく,図書館の在り方を問う1冊です。 2冊目は,紅玉いづきの『サエズリ図書館のワルツさん 1』です。 舞台は,文章の多くが電子書籍化し,多くの本が失われた未来。本は高価な娯楽品と されている中,さえずり町のサエズリ図書館は多くの本を無料で市民に貸し出ししてい ます。その特別探索司書であるワルツさんと日常に息詰まり悩みを抱えた利用者とのふ れあいが4つの短編で描かれます。そしてお話を通して,少しずつこの世界とワルツさ んの謎が明かされていきます。どうして本は失われてしまったのか。特別探索司書とは なんなのか。なぜサエズリ図書館は市民に本を開放しているのか。温かく優しい世界観 に包まれる1冊です。 3冊目は,真堂樹の『小説図書館の主 塔の下のライブラリアン』です。 私設「タチアオイ児童図書館」の名物司書・御子柴は一流の児童書ソムリエ。いつも 無愛想な顔とキノコのような髪形が特徴。 原作は現在11巻まで刊行されている篠原ウミハルの人気コミックスで,今回ご紹介 するこの本はその番外編にあたる小説です。第1話では,物語の舞台であるタチアオイ 児童図書館がどのように設立されたかが語られます。作中では実在の文学作品も多く描 かれ,作品の内容にも深く関係していきます。巻末には,お話の中で登場した文学作品 や図書館用語についての解説ページも。原作をご存知の方もそうでない方も楽しめる1 冊です。 図書館にはこの他にもさまざまな読書欲を刺激してくれる本があります。読書の秋は 是非図書館にお越しください。
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