L・キスト 修理製本と製本 はじめに 修理製本の、必要性は 図書館業務に携るものであれば 必ず通過する業務の一つ である。 その問題は 甚だ複雑の様相を呈し 扱いたくない業務であろうと推察される ただ その必要性 何よりも優先され 日に日に 重要度を増してくる問題である 避けて通れない問題を まいります。 解決する 一助として修理製本の問題点を Ⅰ 新しい本の作り方〈製本〉 Ⅱ 修理製本 1 修理製本の意義 2 本の大きさ〈A 判、B 判〉 3 本の種類 4 製本方法の選択 5 表紙の作り方 以上の事を考えながら製本業務を前に進める事にします。 1 解き明かして L・キスト Ⅰ 新しい本の作り方〈製本〉 1 ここでは本が どの様にして作られているのか その構造と工程 又 その変遷について 簡単に〈修理製本を行う上で必要な知識として〉 説明します。 ● 先ず 本の作られた歴史を紐解きたいが その事は 専門分野の先生に お願いするとして 現在我々が 目にし耳にする 1冊の本の構造と 工程について 例えば 本は で構成される 例えば その他 その構造上 おもて表紙 見返し もちろん例外は 存在します。 中身 見返し 裏表紙 雑誌は 上記の形を為して無い。 氾濫する本の様なものは 数限りが無い 又 その他の区別でも構造が違う ● 洋書 一般に出版されている多くの本が ● 和書 和紙で製本された袋とじの本 これに属する この二つの 対比は 一方が 折り返し側〈折り目〉を綴じるのに 片方は 折り返した紙の両端側を綴じる〈綴じた形状が袋になる〉ように綴じ る 袋綴じと言う 綴じる場所による違いの区別の例である 次に 新しい本の 一般的な 綴じ方は 本の種類が多種多様で在る様に 綴 じ方も様々である ただ概ね ● かがり綴じ 製本 が殆どである その綴じ方については 製本実習にお いて 聴講 頂きたい。 他にも ● 打ち抜き綴じ 製本 ● 無線綴じ 製本 等々 様々である。 それぞれの 綴じ方についても その特徴があり 適切な方法を 選択する必要があります。 2 本の強度 開きの善し悪し L・キスト 次に 本の耐久性について 1冊の本が 出版され 図書館に 配架されると 様々な大きさの種類と共に 様々な 装丁が施された本が並ぶ 1冊の本は 内容が 様々である様に 単価もさまざまである。 装丁が内容と共に重要視され 売れ行きにも影響を与える事も少なくないので 単価を 出来るだけ抑える意味で 表紙全体が 紙 で装丁されたもの 〈殆どの本〉がそうなっている。 その為 耐久力が 無く 破れ 型崩れ 等々 問題を生み出し易い 新しい本の作成には こうした使用される材料の選定はもとより 例えば 〈表紙の背の部分は布製のテープ等強度に耐えうる素材の使用〉等々 注意深い 配慮をされたい。 幾種類かの見本を参考に きたいと思います。 Ⅱ 適材適所を考え 本を作り上げる作業を選択して頂 修理製本 1 修理製本の意義 1冊の本が 配架され 利用に供されると 時の経過と共に、様々な形で 汚れ 破れ 型崩 ページ取れ ページ落ち 等々 使用しずらい状況が でます。 再び使用出来る様 ● 部分補修 ● 修理製本 ● 事前製本 利用者が 快適に 使用出来る様 最大限の努力を重ね 修理製本後の 利用が 前にも増して 多くなる様 耐久性と 利用しやすい本に 仕上げる事が 求められます 使用する材料の 吟味を重ねる事で より新しい命を 利用者へ 提供される事を望みます。 3 創造し L・キスト 2 本の大きさ〈A 判、B 判〉 本の大きさ 形は 時代の変遷と共に 変化を遂げています。 基本としては ● A判 ● B判 以上の2種類から 派生し A1判 A2判 4,5,6、 数字が大きくなるほど 形が小さくなります B 判 も同様に変化します。 その他に 文庫判 新書判 等々 色々ありますが 近年特に 規制寸法 と呼ばれていました A 判 B 判の寸法が 様々に変化しています その際たる物が ● 絵 本 ● 大型絵本 ● 全集物の新刊 修理製本を 行う上で 表紙の作り変え 見返し紙の交換 の際 サイズの違いが ある為 大き過ぎたり 足りなかったりで 注意が必要です。 3 本の種類 此処での 本の種類とは 種類を挙げて見ます。 1 2 3 4 5 6 修理製本上 綴じ方に 注意が必要とされる本の 単行本 1 単行本 2 写真集 辞書 辞典 講談社刊 京極夏彦類 まんが 7 絵本 1 8 絵本 2 9 大型絵本 その他 本の仕様 修理をします。 中身 装丁 それぞれに対応して 4 綴じ方を 考慮して L・キスト 4 製本方法の選択〈中身〉 様々な種類の本に対応した 綴じ方と 紹介し 最もふさわしい 修理製本を A かがり綴じ製本法 B 平麻綴じ製本法 C 打ち抜き綴じ製本法 D HB 法製本法 E 無線綴じ製本法 今日まで伝えられた 考え実行します。 綴じ方を F 絵本簡易製本法 それでは 上記の 説明を致します。 A かがり綴じ製本法 実習では 殆ど行いませんが 本の構造をしる上でも大事なので 説明いたします。 本の中身を 作るとき 1枚の 大判の紙を 先ず2つおりにします 更に2つ折〈このとき4枚8ページ〉更に2つ折 8枚 16ページを作りま す、織り込まれたままの 8枚16ページを 1折として この1折を 沢山 糸で重ね合わせた状態で綴じこんで行きます この方法が かがり綴じと 云います。 その際 大判の原寸が A 判であれば 例えば A5判の本になり B 判の原寸であれば B5判の本になります。 結果として 見開きの最も良い 本が出来ます B 平麻綴じ製本法 先ず 修理本を ● 中身と 表紙を 離します。 ● 切り離した中身の背をきれいに整えページの前後飛び出しが無いか確認 ● 天地 小口を 整え 固定します。 ● 背の部分に3箇所 ノコで 5ミリ深さに 溝を作ります ● ノコでいれた溝に 平麻を ほぐして立てに入れ 長さを中身より上下に 5センチくらい長く のこして切ります 3箇所の溝 それぞれです。 5 L・キスト ● 背の部分に ビニール糊を全体に塗り〈溝の上にも〉つけます。 ● 寒冷紗を 用意します 寸法は 背の幅〈厚み〉より6センチ長く切る 尚且つ 中身の長さより 両サイド1センチずつ短く 全体で2センチ短く切る ● 糊のついた背に 寒冷紗を貼り付け カルカヤでこすりつけ糊を背に 浸み込ませる 作業をします。 ● 背の両端 1センチの寒冷紗の張られていない部分に 花布を貼り付けま す。背の幅と同じ寸法で 両サイドですから 2枚用意します 花布の丸い凸を 中身の外に出して糊で貼り付けます。 ● 背全体〈寒冷紗 花布〉の上から 強度の強い紙〈包装紙〉を貼ります 寸法は 背の幅と同じ幅で 長さは中身から出ない程度短く取ります。 ● 最後に 栞ひもを 背の天に糊で 貼ります ● 見返し用紙を2つ折にして中身と同じ寸法で背側の側面に糊ずけする。 これで 平麻綴じと背固めが終了です。 残る作業は表紙とのドッキングです。 C 打ち抜き綴じ製本法 この方法は 最もポピュラーな方法で 別紙に 図解解説が添付されてますの で 説明を控えます 参照して下さい。 D HB 法製本法 この方法は 主に ● 辞書 辞典 の修理に用いる ● 分厚い本 の修理をするのに適している。 特殊な厚みの修理製本に用いる為 作業内容は、実際の聴講での機会をお願い 致します。 E 無線綴じ製本法 実際の 修理製本では 紹介しておきます。 用いませんが 綴じ方の 1つの方法である事を F 絵本簡易製本 絵本が 形 大きさ 装丁が 色々多種に及んでおります。 此処では、中身と 表紙の厚みが同じ本について、特に別の方法が 有ります。その事を お伝えして 実務は 後日の聴講をお聞き頂きたいと思 います。 6 L・キスト 5 表紙の作り方 修理製本に於いては 1 中身をそれぞれの方法で修理する。 2 表紙を作る〈使用可能な表紙があれば使う〉 3 中身と表紙を 繋ぎ合わせる 4 本の 表題〈題名〉を 明示する。 5 背の 溝を固定する 6 糊が乾くまで 1昼夜 重しを乗せて 乾燥させる 以上で 1冊の修理が 完成するまでの流れです。最後に表紙の作り方を 致します 1、 表紙全体を1枚の布クロースで包む方法 2、 表紙 背芯をつなぎ合わせて作る方法 この2種類で表紙を作ります 1 表紙全体を 1枚の布クロースで包む方法 ● 表紙の厚紙〈ボール紙〉を 2枚用意する 寸 法 たて 中身の長さ+6ミリ 横 中身の長さと同じか1ミリ短くても良い ● 背芯を用意する 但し丸い背の本には 丸背用の柔らかい物 四角い背の本には 硬い芯を 用いる 寸 法 たて 表紙のたての長さと同じ 横 中身の厚みと同じか 1ミリ厚くする ● 全体を包む布クロースを作る 寸法 たて 表紙の長さ+5cm~6cm長くする 横 糊しろ 3 ㎝+表表紙+8 ミリ溝+背芯幅+8 ミリ溝+裏表紙+糊し ろ 3 ㎝ を横幅として 採寸する ● 採寸した 布クロースの 中心を決める方法 背芯を布クロースの右端にあて 大きく残ったクロースを 2 つ折にして 折り目をつける。 つけた折り目に 背芯を合わせると 全体の中心に 背芯がくる ● 採寸し 中心を取った布クロース全体に 糊〈1 対 1 に薄めた〉を塗り 背芯〈真ん中〉溝 8 ミリ 表紙 左右対称に並べる 7 L・キスト 2 ● 4 箇所の角を 表紙の角から 5 ミリ残して 三角に切り落とす ● ● 表紙全体の 上下から 糊しろを 折り返す 角の部分を〈4 箇所〉爪の先で中に押し込み 両端の糊しろをおりかえす 布クロースを 折り返すとき 下の 新聞紙を一緒に折り返すと 失敗せ ずに 上手に折り返せる 表紙 背芯をつなぎ合わせる方法 ● 表紙の厚紙〈ボール紙〉を 2 枚用意する 寸 法 たて 中身の長さ+6 ミリ 横 中身の長さと同じか 1 ミリ短くても良い ● 背芯を用意する 但し丸い背の本には 丸背用の柔らかい物 四角い背の本には 硬い芯を 用いる 寸 法 たて 表紙のたての長さと同じ 横 中身の厚みと同じか 1 ミリ厚くする ● 表紙と背芯をつなぐテープ〈布製〉を用意する。 布製テープの寸法 幅7,5センチで 表紙より6センチ長くする ● 表紙のボール紙と 背芯をつなぐ その際背芯を 中央に両側に7ミリか8ミリ程度の溝をとり3枚の厚紙 を 糊の付いたテープに載せ 上下の折り返し約3センチを折り返し 繋ぎ合わせる。 その際 糊の付を良くするため テープの表面側から 良くこすりつけ しっかりと 3枚を固定する。 ● 表紙の厚紙をカバーする 紙クロスを2枚 寸 法 たて 表紙の長さ+6センチ 横 表紙の横幅と同じにする。 用意する 表紙の厚紙にかぶせて貼ってある 布テープに 紙クロスを5ミリ上乗せし 厚紙に貼り付ける。3方を 折り返し糊が付くようにしっかり押し付けて貼る その際 仕様する糊は 水で薄めた糊対水1対1で溶かし薄めた糊を用いる 8 L・キスト 最後に 中身と 表紙を あわせ 小口が均等にあうようにセットして 薄めた糊で 寒冷紗〈白テープ〉を見返し紙の中に隠すように表紙の部分に 張り合わせる。裏表紙 おもて表紙 同じ作業を繰り返し 本の仕上げとする 最後に 背側の溝をしっかり押し付けて 重しを載せ 1昼夜乾燥させる ● 表題紙を作り〈パソコンと色紙〉背に貼り カバーフイルムを掛ける 最後に 従来 修理製本を実習致しますと上記 C の打ち抜き綴じ製本法を 行いました。 非常に簡単である上に 大体の本に適用できたからです。 20年 くらい前より 絵本の形が変わり始め 児童コーナーが幅を利かし それに伴い まんが歴史全集たぐいの本が出始め 伴う修理方法として 打ち抜き綴じでは 対応出来なくなりました。 では どうするのか 次に 試みたのが B の平麻綴じ製本法です。 ただ B 平麻綴じも C 打ち抜き綴じも 共に必須の方法です。 近年 お若い 司書の先生方 製本に馴染みの薄い 方々には 是非 様々の 機会を 作って頂き 図書館利用者を 喜ばせて頂きたいと思います 面倒な作業が多いのですが 習うより慣れろで 是非実施して頂きますよう 重ねてお願い致します。 9
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