株式会社パルメトリクス OmniCalテクノロジーのコンサルタント Website http://www.palmetrics.co.jp e-mail: [email protected] Technical Note テクニカルノート No.TN-46 30-May‘08 Title: カレー・ルウに含まれる食品油脂の融解プロセス 牛脂とラードの融解 Fig-1 ? ミリスチン酸 ステアリン酸 パルチミン酸 オイレン酸 Measured by SuperCRCe 0 -10 Fig-2 HeatFlow |c |if |s |if |-bs (mW) -20 -30 -40 -50 -60 Exo -70 E ndo -80 Fig-5 0 Measured by SuperCRCe 20 40 60 T e m pe r at u re (ーC ) 0 Fig-3 -10 HeatFlow |if |c |-bs (mW) -20 -30 -40 カレーライスは良く調理さ れる料理です。調理材料の カレー・ルウには食用油脂 が35%弱含まれています。 食用油脂として“牛脂・ラードの混合油脂”が 使われる場合と、“牛由来原材料不使用”と して植物性油脂の“パーム油となたね油”を 使用するカレー・ルウがあります。いずれも 板チョコレートのように固形化されています。 DSC測定した場合、おもに油脂の融解プロ セスが検出できます。2種類のカレー・ルウ に使われる油脂の違いを測定しました。 カレー・ルウは少量サンプルではサンプリン グに問題があるので3.8グラムとしました。 これは汎用DSCのサンプル量の100倍です。 ラード・牛脂の食用油脂を使用したカレー・ ルウとしてハウス食品のバーモント・カレー (辛口)を選びました。 Fig-2はカレー・ルウ(3.8g)に含まれる牛脂と ラードの混合油脂の融解を示します。 SuperCRCeを使用し,測定条件は昇温速度 0.75K/minです。 このグローバルな融解ピークを5個の融解 ピークとしてピーク分離すると、ラードや牛脂 に特徴的なピークが見えてきます。58℃のス テアリン酸に起因するシャープな吸熱ピーク は牛脂に見られる一方、牛脂にはなく、ラー ドに特徴的な32℃付近の吸熱ピークがあり ます。 “牛由来原材料不使用”のカレー・ルウは 油脂としてパーム油となたね油を使用してい ます。その代表例としてS&B食品のゴール デン・カレー(辛口)を選びました。 Fig-3はパーム油となたね油の混合油脂の 融解を示します。パーム油はオイレン酸、パ ルチミン酸、ステアリン酸などを含む比較的 高い融点の油脂です。このグローバル融解 ピークを3個の融解ピークと仮定し、ピーク 分離すると、3個のピークに分離されます。 -50 Exo -60 Measured by SuperCRCe Endo 0 20 40 Temperature (ーC) このように混合油脂の複雑なDSCの融解 ピークを解析する場合、ピーク・デコンボ リューションが有用な手段となります。 60 バター、マーガリン,チョコレート,口紅など食品・化粧品に使用される油脂類はさまざまな脂肪酸を 含み、そのDSCデータはマルチピークになります。それぞれの融解ピークについて解析するには ピーク・デコンボリューション(deconvolution)機能が必要になります。
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