脳や神経細胞に関する研究

脳や神経細胞に関する研究
Ⅰ
概要
脳の働きについて、マウスやショウジョウバエを用いて実験しました。脳の実験は自分達だ
けではできないので、群馬大学大学院の神経生理学・遺伝発達生理学・高次細胞生理学の3つ
の分野の方々にお世話になりました。
Ⅱ
研究目的
私達は、最近テレビでよく取り上げられている脊髄小脳変性症(SCD)や自閉症などの脳
の機能障害から起こる病気について興味を持ち、脳の働きや神経細胞の働きについて調べてみ
たいと思いました。
Ⅲ
神経生理学での研修
◇平井教授の講義◇
平井教授は、脊髄小脳変性症を治すための方法を発見しました。しかし、マウスでは成
功していますが、人にはまだ応用できていません。
脊髄小脳変性症(SCD)とは
小脳や脳幹、脊髄の神経細胞が破壊され、小脳が収縮する。
物事を考えることはできるが、上手に話せなくなったり体を思う
ように動かせなくなるため歩行が困難になる。
約 4 割が遺伝性で、そのうち半数ほどは小脳の“プルキン
エ細胞”という神経細胞が遺伝子の異常で、毒性のタンパク
質を産出し、死滅することが原因と判明しています。
日本には約2万人、北関東には約1000人の人がこの病
気にかかっています。http://www.brain-ex.com/nanda/
実験用動物について
*ドブネズミ(ラット)
*ハツカネズミ(マウス)
*クマネズミ
体長22~25㎝
体長6~9㎝
体長15~22㎝
体重200~400㌘
体重10~30㌘
体重140~250㌘
PCR について
PCR 法とは、ごく少量の DNA 断片を試験管内で短時間のうちに何十倍にも増幅するこ
とができる技術です。複製によってできた DNA は、高温にすると再び1本鎖に分かれま
す。PCR 法はこのことを利用し、高温でも変性しにくい DNA ポリメラーゼによる複製と
加熱を交互に繰り返して DNA 鎖を増幅させます。
1
◇実験1◇
PCRでネズミの爪のDNAを235倍に増やし、ゲルをつくって、電気泳動をする。
実験材料
DNA
1μℓ
PCR 緩衝液
5μℓ
2.5mM のプライマー
5μℓ
スタート
1.5μℓ
ゴール
1.5μℓ
PAC ポリメラーゼ 0.5 μℓ
水
36μℓ
ゲル作成
固体のアガロースゲル電子レンジで温める
液体にして型にはめる
固まったものに電気泳動
ゲルに紫外線をあてて結果を見る
電気泳動をしたゲルに紫外線をあてる。
エチジウムプロマ
PCRによってDNAが増幅していると白いバンドが写る。
◇実験2◇
イドが紫外線に反
応する
マウスにSCDを感染させて運動能力を調べる。その後、平
井教授が発見した方法でSCDを治して、運動能力の違いを調べる。
マウスをSCDに感染させる
2
これは、資格がないとできないので群馬大学の先
生にやっていただきました。
マウスを固定する
マウスの頭の毛を切る
メスでマウスの頭を切る
顕微鏡で小脳の位置を確認して小脳に注射をうつ
2週間後に発症
運動能力を調べる
正常なマウスは回転数を速くしてもあまり落ち
ない
しかし
SCDのマウスはすぐに落ちてしまう
平井教授の発見した方法で治療し
たマウスはあまり落ちなくなる
◇実験③◇
マウスの赤ちゃんのDNAをPCR法によって増幅させて、タイピングをする。
マウスの赤ちゃんの爪を切る
マウスをタイピングするため、爪を切る。
とても小さいので、顕微鏡で見ながらやる。
マウスに番号をつけるために決められた
指の爪を切る。
法律で規制されているため、
先生にしてもらいました。
3
タイピング
取った爪からDNAを取り出し、タイピングをする。
そのために、PCRを用いてDNAを増幅させる。
タイピングとはタイプを分ける作業のこと
PCR法を使ってDNAを増幅させる
<実験材料>
①
Taq DNA ポリメラーゼ
②
塩化カリウム
③
塩化マグネシウム
④
Tris 緩衝液
⑤
合成DNAプライマー
耐熱性のDNA合成酵素
②~④
①の酵素が働きやすい
環境をつくる
PCRの結果
白いバンドが0~2本出れば成功。
私たちは5匹タイピングして、3匹は成功し2匹は失敗。
<成功例>
Ⅳ
<私達の結果>
遺伝発達行動学での研修
ショウジョウバエの味覚の実験
<実験>
ショウジョウバエに赤色のショ糖と青色のスクロースを
寒天に混ぜて食べさせました。色の影響がでないために、暗
いところに保存してやりました。
<用意するもの>
スクロース
ショ糖
寒天
ショウジョウバエ
4
<結果>
z
赤
13匹
z
青
88匹
<考察>
この結果から青のほうの糖を好むことがわかった。
パッチクランプ
細いガラスの管を細胞にさし、細胞の神経の活
動電流を調べた。前は実験で使うガラス管を自分
達でつくっていたけど、今は機械があるので楽に
できている。実際に私達もつくってみた。
◆実験①
フグの毒を細胞いれた。
◆結果①
神経が毒の影響を受けて、神経が弱まったが水で洗い流すことによって再び活動し始め
た。
<考察>
フグの毒にあたってしまっても、すぐに洗い流
せば死なない。
中が空洞の細いガラスを火で
溶かし、おもいっきりひっぱると
中が空洞のとても細い針
◆実験②
のようなものができる。
グルタミン酸を細胞にいれた。
◆結果②
細胞が影響をうけた。
すごい回復力
<考察>
グルタミン酸は体に必要なものだが、過剰に入れすぎると神経に影響を与えることがわ
かった。
5
Ⅳ
高次細胞機能学での研修
海馬初代培養染色法
<用意するもの>
海馬初代培養神経細胞
固定液:4%リン酸バッファー
浸透液:0.1%TritonX-100inPBS
封入剤パーマフロー
<実験手順>
60mmディッシュに4%PFAinPBS を6mℓ入れる。
① 15 分間固定。
② 固定液を除去し、1mlPBS で rinse。
③ カバーガラスをひっくり返して(細胞面
が上)、パラフィンの足を除去する。
④ カバーガラスをひっくり返して(細胞面
が上)、パラフィンの足を除去する。
*
細胞面が乾かないように PBS 中で行
い、細胞を傷つけないように注意する。
⑤ カバーガラスの細胞面が上側になるようにして、シャーレに乗せる。
⑥ 乾かないうちに染色液(DAPI:核染色用、Rho-phalloidin:アクチン細胞骨格用)を
滴下する。
⑦ 1時間内、静置。
⑧ PBS でカバーガラスを洗浄し、余分の染色液を洗い流す。(2回)
⑨ スライドガラスに封入剤を約20μℓ滴下する。
⑩ 細胞面を下にしたカバーガラスを置く。(ゆっくりと空気が入らないように)
⑪ デシケータ内で封入剤を乾燥させる(1時間以上)
⑫ 蛍光顕微鏡で観察する。
<結果>
綺麗に染色できた。
(赤)アクチン、(緑)ドレブリン、(青)シナプトフィジン
6
<考察>
アクチンは赤色、ドレブリンは緑色、シナプトフィジンは青に染色されたことから、染
色は成功した。
Ⅵ
感想
群馬大学に4回お世話になって、色々な実験ができて本当に良かったです。学校ではなかな
かできないような実験が自分でできたので、とてもいい経験になりました。
脳についての研
究はまだあまり、進んでなくなかなか実験しにくい分野であるにもかかわらず、色々なことを
学ぶことができ、とても勉強になりました。
今回、群馬大学で色々な実験道具を利用でき、脳について色々知ることができてよかったで
す。ご協力していただいた群馬大学の方々には本当に感謝しています。ありがとうございまし
た。
普段はできないような実験ができてすごくいい経験になりました。自分が知らないことが多
く、いろいろなことをもっと知りたいです。今回を通して研究の楽しさを身をもって感じるこ
とができました。
また、今回のような機会があったら積極的に参加したいです。
協力:群馬大学大学院医学系研究科
神経生理学
平井教授・都筑先生・斉藤先生・飯野先生・寅嶋先生
飯塚先生・小山先生・高山先生
遺伝発達行動学
柳川教授・上野先生
高次細胞機能学
児島先生・山崎先生
参考URL:http://www.brain-ex.com/nanda/
7