気候変動 - 損害保険業界への影響 気候変動 - 損害保険業界への影響 世界および日本の自然災害の損害統計 気候変動に関する周知の事柄と今後の予測 北西太平洋地域の熱帯低気圧活動 リスクモデリングが示す、危険要素の変化による影響 損害保険業界への影響 ミューニック リー ジャパン サ-ビス (株) 損害保険部 橋村 芳徳 2 世界の巨大自然災害 1950 – 2006 経済的損失および保険損害 200 経済的損失 (2006 年の価値基準による) 180 保険損害 (2006 年の価値基準による) 経済的損失の動向 160 保険損害の動向 140 © 2007 NatCatSERVICE, Geo Risks Research, Munich Re 米ドル( 十億) 世界および日本の自然災害 120 の損害統計 100 80 60 40 20 0 1950 3 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 4 世界の巨大自然災害 1950 - 2006 世界の巨大自然災害 1950 – 2006 死亡者数: 1.75 (百万) 災害発生数: 277 16 6% 地震、津波、噴火 台風 洪水 異常気温による災害(熱波、森林火災など) 14 7% 2% 29% 25% 地質に関する災害 12 55% © 2007 NatCatSERVICE, Geo Risks Research, Munich Re 地震、津波、噴火 災害発生数 36% 10 天候に関する災害 40% 8 台風 洪水 異常気温 © 2007 NatCatSERVICE, Geo Risks Research, Munich Re 経済的損失: US$ 1,700(十億)* 保険損害: US$ 340(十億)* 6 6% 4 5% 4% 10% *2006年の価値基準による 31% 24% 2 0 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 81% 39% 5 6 気候変動に関する日本の自然災害 1980 – 2006 世界各地で自然災害による被害が劇的に大きくなっており、 頻度も上昇。 経済的損失および保険損害 社会経済的な要因の変化が理由 - 人口増加により、大都市や沿岸部に人口や 資産が集中 150 20 18 120 16 14 12 90 10 8 発生件数 資産の集中による様々な問題が集積 (港湾地区、倉庫など) =>非常に無防備な地域 米ドル( 億) -災害が発生しやすい地域に、 インフラが集中 60 6 - 現代社会や近代科学は、自然災害に弱い 4 30 2 0 … 環境条件の変化 0 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 災害発生数 経済的損失 保険損害 Îリスクを知る: 潜在的なリスクの変化を特定 7 8 気候変動に関する日本の自然災害 1980 – 2006 日本の自然災害 1980-2005 災害発生数 死亡者数: 10,000 災害発生数: 400 25 5% 10% 34% 地質に関する災害 14% 20 3% 18% 地震、津波、噴火 天候に関する災害 台風 洪水 異常気温 15 発生件数 42% 10 74% 保険損害: 35(十億) US$* 経済的損失: 240(十億) US$* 3% 5% 5 14% 27% 0 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 70% 洪水 異常気温 (熱波、森林火災など) •2005 年の価値基 準による 台風 81% © 2006 Munich Re NatCatSERVICE® 9 10 日本で保険損害の大きかった 上位10個の台風 (1980-2006) 発生年月日 台風 1991年 9月26~28日 経済的 損失 保険損害 死亡者数 (百万米 ドル) (百万米ドル) ミレイユ(No.19) 15.500 10.800 62 2004年 9月6~8日 ソンダ (No.18) 10.000 5.200 41 1999年 9月22~25日 バート (No.18) 6.200 4.300 26 1998年 9月22日 ヴィッキー/ ワルド (No.7/8) 3.800 2.000 18 2004年 10月19日~21日 トカゲ (No.23) 2.500 1.400 80 1993年 9月2~4日 ヤンシー (No.13) 1,900 1,400 87 2004年 8月30~31日 チャバ (No.16) 2.200 1.300 14 2006年 9月16~19日 シャンシャン(No.13) 2.600 1.200 9 2005年 9月6~8日 ナビ (No. 14) 1,100 590 25 2001年 8 月21~23日 パブック 940 590 8 © 2007 Münchener Rückversicherungs-Gesellschaft, Geo Risks Research, NatCatSERVICE 気候変動に関する 周知の事柄と今後の予測 *in 2006 values 11 12 温暖化ガス効果 世界の気温偏差(1856年より) 世界の平均気温, 1856 - 2006 0,6 温暖化ガス効果により30~35°C 0,4 気温偏差(°C) 2006: +0.42°C 1961年~1990年の 平均気温を上回ってい る。 (14°C) 最も暑かった年(降順) 0,2 温暖化ガス効果の影響で、 世界の平均気温は、 15°C 1998年, 2005年, 2003 年, 2002年、2004年、 (2006年) 0 短波 長波 1961年~1990年の平均気温偏差 温暖化ガス効果がない場合の 世界の平均気温は、-18°C -0,2 温暖化ガス効果の影響で、現在、 平均気温より0.5~0.9°C高くなっ -0,4 ている (地域によっては 1.5°以上 -0,6 2005 1995 1985 1975 1965 1955 1945 1935 1925 1915 1905 1895 1885 1875 1865 1855 ) Source: Climate Research Unit, UK (2007) in conjunction with Hadley Centre of the UK Met Office 13 大陸別の気温偏差 14 気温上昇の要因 nach IPCC, TAR 2001 (151% Zunahme ggüb. 1750) nach IPCC, TAR 2001 (17% Zunahme ggüb. 1750) nach IPCC, TAR 2001 Source: IPCC, AR4, Part 1 15 16 主な温暖化ガス – 重要事項と数値 北極氷原の縮小 (Source: IPCC, other) 温暖化ガス 1750年 2006年 人為的 の の 要因 価値 価値 基 割合 基準 準[ppm] 排出源 影響 割合 過去30年間で、氷冠が約20%縮小 AGE 持続年数 (年) [ppm] CO2 (二酸化炭素) 280 383 30% < 150 -自然発生的 -化石燃料やバイオマスの燃焼 -森林開拓 温暖化ガス 62% CH4 (メタン) 0,7 1,78 30% 10-12 -畜産業(反芻動物) -湿地帯(沼沢地) -水稲栽培 - 廃棄物処理や排水処理工場 -永久凍土の溶融 温暖化ガス 20% N2O (亜酸化窒素) 0,27 0,32 20% 80-150 -化石燃料やバイオマスの燃焼 - 農業(化学肥料) -オゾン層破壊 酸性雨、スモッグ、 6% - アルミニウム製造 - 凍結剤 - 洗浄剤 - 液化石油ガス(LPG) 温暖化ガス、 Source: NASA/Arctic Climate Impact Assessment オゾン層破壊 Source: University of Illinois CFK(フロンガス) 0,00001 - 0 0,0000005 SF6 (六フッ化硫黄) 0 0,0000042 H2O 水蒸気 1-3 1-3 100% 100% 1-260 3200 10% Sep 1999 Sep 2003 Sep 2007 オゾン層破壊 オゾン層破壊 数日間 <1% 2% Î 氷雪地域だけでなく、氷厚も約40 %縮小。 21世紀中、あるいは2020年までに、 夏場の北極氷原が無くなってしまう 恐れ。 17 変動するリスク: 地球温暖化による影響 18 新種の危険例 その1 2004年 南大西洋で観測された第一号ハリケーン 2004年3月、ブラジル沖で発生したハリケーン 温暖化ガスの増加 異常気象による災害 気温や海水温の上昇 湿度の上昇 保険者にとっての重要事項 - 大規模災害 - 発生頻度の高い災害 - 新種の危険 海面の上昇 19 Source: Image courtesy of Earth Sciences and Image Analysis Laboratory, NASA Johnson Space Center, Bild-Nummer ISS008-E-19646. http://eol.jsc.nasa.gov 20 新種の危険例 その2 2005年 北大西洋で観測された第一号ハリケーン 2005年10月、マデイラ沖で発生したハリケーン 北西太平洋地域の 熱帯低気圧活動 21 22 日本: 台風の年間上陸数(1950-2006) 北西太平洋地区:熱帯低気圧と カテゴリー4&5に区分される台風の年間発生数(1950-2006) 2004年は観測史上 最多の10個 50 12 45 40 10 35 発生数 30 25 8 20 15 6 10 5 4 0 1950 1955 1960 tropical storm 1965 CAT45 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 年度 2 0 1950 1952 1954 1956 1958 1960 1962 1964 1966 1968 1970 1972 1974 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 source: JTWC 23 source: JTWC 24 海面温度の変化 北西太平洋地区:台風の強度分布図 35 Period 1945-2005 Period 1996-2005 30 強い台風の割合は 増加、小中規模の 台風は減少傾向に ある。 海面温度の上昇により 台風が強くなることが、 科学的に証明されてい る。 25 相 対 頻 20 度 15 % ( NATL = 北大西洋 WPAC = 西太平洋 SPAC = 南太平洋 EPAC = 東太平洋 NIO = 北インド洋 SIO = 南インド洋 ) 10 地球温暖化により、今 後もこの傾向は続くと 予想されている。 5 0 Cat1 Cat2 Cat3 Cat4 Cat5 強度( The Saffir-Sim psonによ る カテ ゴ リー ) source: JTWC source: Webster et al (2005), Science Vol. 309 25 26 熱帯低気圧活動の世界規模での変化:活動期間 リスクモデリングが示す 危険要素の変化による影響 北半球において、活動期間の長期化が見られる。 Source: J. Curry/P.J.Webster, presentation provided for Hohenkammer Workshop, May 2006 27 28 危険要素からリスクまで:自然災害モデリングの原則 ミュンヘン再保険の分析 による脆弱 / 損害感度 確率現象の設定 + 個々のポートフォリオ / 責任データ + 変化する危険要素 → 変化するリスク → 変化する損失分布 風速 リスク曲線 損害 「再現期間」 29 30 例:リスクの変化による損失分布の調整 (予想最高損害額曲線) ポートフォリオの損害 上側の曲線: 損失分布調整後の ポートフォリオの例 (下記要因を含む) 損害保険業界への影響 - 強い台風 - 台風の被害や洪 水リスクの再評価 1 Source: Munich Re 10 100 1,000 10,000 再現期間(年) 31 32 変動するリスクに対処するための 保険業界の選択肢 結論 変化する危険への、リスクモデルの適応 多くの科学的証明により、台風などの自然災害の発生頻度や規模と、地球温 暖化との偶然的な相関関係が指摘されている。 改良された集積コントロール(リスクとクレームの ジオコーディング ) 県別 ジオコーディング 保険業界は新しいリスクモデルの開発により、リスクの変化に対応すると同 時に、キャパシティを拡大していかなければならない。 新しいタイプの保険や再保険商品の開発(例:京都議定書に関連する商 品)。1970年代以降、ミュンヘン再保険が牽引役となって開発に取り組んで いる。 責任限度と免責の調整(地震の場合と類似?) リスク移転(ART) ー 新しい代替的方法 33 弊社ホームページに掲載している 自然災害リスクに関する独自の調査情報 34 200 180 160 ご清聴、ありがとうございました。 140 120 100 ミューニック リー ジャパン サ-ビス (株) 80 橋村 芳徳 60 40 20 www.munichre.com www.munichre.co.jp (英語版) (日本語) 0 1950 35 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 36
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