随筆 7 3 いと思っている。しかし海を愛する私には、 空に呼びかけ、波に語り終りを告げてくれる 自然に向って釣り特有のゆったりした気分を 渡り鳥を眺めながら糸を巻く、また明日に期 味わい、一筋の糸を大海に打ち振る気分は爽 待を寄せて。 快であり、手離すことはできない。視界を遮 官頭に申し上げた通りやっぱり文章はむつ ぎるなにものもない広い海の果てから、波は かしい。主体を構成する流れに乗ることがで とどまることなく噛きを繰返し、釣りの歴史 きないまま終ってしまった。これが本来の私 を語りかけてくれる。夕日が沈む波の彼方に であり、雑魚の魚交じりといわれる所以かも 鰯雲が色を染めはじめ、美しさはさらに増し しれない。 品会ハガキのようである。またきっとくるぞと 司聞肉 M侭凶関凶開M関M開凶肉 1 1 1 1 . . 肉凶"..閃凶関凶伺凶関凶肉凶関凶開凶岡"""両国関凶関凶開凶関凶関凶肉凶関凶岡 . . 1 1 1 1 1 1 1 1 1閥単関凶関凶肉凶肉凶調凶関凶 1 1 1 1 拘凶1'11肉凶肉日開凶肉凶肉凶閥凶関凶関凶関 M肉姐開凶関凶関凶関凶閥凶凋凶肉凶開 1 11'1凶関凶関 I I A凶肉 M関凶肉凶鈎凶肉凶閑凶肉凶肉凶肉凶四 1 1 1 1 事の課長になって間のない頃であって、之ち らにはいまだ十分な予備知識もないまま河井 さんのご説明を詳しく承わったのである。 当時、ガス事業は戦後の「戦前復帰の時代 J から「拡張の時代」に移り、名古屋市および 周辺都市の都市ガス化を急速に行っていた時 代であって、導管の埋設延長は年々急増する とともに、ガス輸送の長距離化に伴い輸送圧 力も高くする必要に迫られ、鋼管溶接による 輸送導管の建設もはじまっていた口それと同 時に都市開発工事も急速に増加し、鋳鉄管の と 出金い 損傷事故も年々増加する傾向が見えはじめた 日寺代でもあった。 河井さんの説明を受けた私は、従来の鋳鉄 東邦瓦斯株式会社取締役副社長 都築五九男 管の概念からとても信ピられない気持と同時 に、もしそうであるならガス事業にとっても 画期的なことであるという期待で、興奮した ことを今でもはっきりと憶えている。結局そ の日は後日実物を見せていただき、またいろ 昭 和 29年 の あ る 日 、 久 保 田 鉄 工 の 当 時 研 究 いろな実験をしていただく約束でお別れした 所長をしておられた河井さん(現同社相談役) のであるが、その後久保田鉄工武庫川工場で が当社に和いでになって「今度久保田鉄工で 実物を見せていただいた。これが私とダクタ は小口径のダクタイル鋳鉄管をっくりますよ J イル鋳鉄管、との出会いである。 というお話をお聞きした。河井さんは研究所 当時、私がその採用について考えたポイン 長としてアメリカに赴かれ、小口径のダクタ トは簡単にいえば次の点である。 イル管の鋳造について調査され、帰国されて 1.鋳鉄管(特に小口径管)の折損、亀裂の原 聞のない頃であったと記憶している。 因は、たとえば他工事などによって直接の もう 30年 近 く 昔 の こ と で あ る か ら 河 井 さ ん 衝撃が加えられるような特殊の場合を除い も、私もいまだ気鋭の青年であったといって て、主として埋設管の基盤となる管底面の も許していただけると思う。当時私は供給工 地盤の変化(局部的な沈下など)によって道 ダクタイル鉄管 7 4 昭和 5 8 . 5 第3 4号 路面などから加わる荷重に対する地盤反力 鉄管を使用することとし今日に至っている。 が部分的に失われるためである。 この結果、当社の全鋳鉄管の延長は今日では 2. し た が っ て 、 も し 埋 設 基 盤 に 変 動 が 生 ピ 3 1年 当 時 の 約 4倍 に 増 加 し 、 一 方 道 路 の 埋 設 た場合、その管がその変動に追随するので 環境は当時に比べ非常に厳しいものになって あれば、すなわちある程度の展延性を持つ いるにもかかわらず、その折損、亀裂の件数 材料であれば折損、亀裂の大部分は防止で は昭和 40 年頃から顕著な下降線をたどってい きるはずである。 る。一方継手についてもちくじ進歩し、なん そこで私は引張強度の方もさることながら、 年頃からか充填物も姿を消して気密性のきわ その伸びの大きさの方にむしろ興味を持った。 めて高い、耐震性にも優れたものが開発され ダクタイル鋳鉄の 4 %の 伸 び が 地 盤 沈 下 に 対 るに至ったことは本当に嬉しいことである。 してどのような意味を持つのかをいろいろ計 さて、私はここで水道、ガス関係の技術者 算してみた。その結果、通常考えられる路面 の方々に、鋳鉄管の経年劣化の問題に対する 下の地盤沈下に対して十分追随することが可 私見を述べさせていただきたい。私が「ダク 能であり、このことは小口径管ほど有利であ タイル鋳鉄管との出会しりといった題材の中 って、比較的小口径管の多い当社(呼び径 500 でこのようなことを唐突に申し上げる理由は mm以 下 ) に と っ て 、 特 に 有 利 で あ る と 考 え る ダクタイル鋳鉄管を使用することの意義に重 ことができた。このことは小口径の全管の曲 要な関係があるからである。 げ実験を見せていただいてますます確信を深 めることができた。 次にごのような画期的な材料を使用するか 鋳 鉄 管 の 損 傷 が あ る と 、 よ く 「 経 年 劣 化J とか「老朽 J の た め と い っ た 理 由 が も っ と も らしく新聞紙上をにぎわすことがある。これ らには、それにふさわしい、もっと高い圧力 が技術者から出た言葉とも思えないが、世間 のガスでも気密性を保持できる構造の継手を では鋳鉄管も 30年 も す れ ば 劣 化 し て 使 い も の 考えるべきだと思った。そこで久保田鉄工と にならなくなるものだと考えている人も多い 共同で「メカニカル継手」の委員会をつくる ように思われる。 こととし、なん回か会合を聞いた。いろいろ 私はかつて、この鋳鉄管の経年劣化の問題 の構想、も描かれたが、今になって考えてみれ に多少タッチしたことがあるが、数多くの掘 ば結局、従来使用していたガス型継手から一 上管を観察し、腐食の調査をし、テストピー 挙に飛躍した考え方を採用することはできな スの圧壊試験を行った経験から、鋳鉄管の経 かった。もちろんゴムリングをもって気密性 年劣化と埋設経過年数との聞には有意な相関 を保持しようとしたのではあるが、継手から 性はなく、少なくとも経過年数が折損、亀裂 充填物をまったくなくしてしまう、というと の主たる原因とはいい難いと考える口 ころまでは至らなかったのである。 古い物ほど破損率が僅かではあるが高いと しかし、とにかく新しいメカニカル継手を いう傾向はたしかに認められたが、それは強 開発して、当社は昭和3 1年 に ガ ス 事 業 と し て 度規格、鋳造技術の製作年代の相違によるも は最初の実用管としてダクタイル鋳鉄、メカ のであり、またあるいは古い埋設管ほど地盤 ニカル継手の管を延長1.930m をとにかく埋 沈下などの影響もより多く受けているからで 設したのである。続いて昭和3 2年 に は 、 継 手 あると考えられる口 の構造をさらに改造して輸送導管として延長 「鋳鉄管が経年的に劣化したから」、あるい 1万 5, 100mの埋設を行った。この輸送導管は は「老化したから J というのと、「もともと製 鋳鉄管としては当時画期的に高い輸送圧力を 作年代の古い物は現在のものより強度の面で f 寺つものであった。 その後ちくじダクタイル鋳鉄管の使用範囲 を広げ、昭和43年には全面的に夕、、クタイル鋳 も、鋳造技術の面でも劣るから」というので は、基本的に相違するのである。 私は前にも述べたように、折損、亀裂の主 随筆 たる原因は埋設管の基盤となる地盤の変劫に よる、という意見を持っているから、もし鋳 鉄管の経年劣化が物理的にきわめて小さいと するならば、地盤変動に十分耐え得るダクタ イル鋳鉄管は基本的に半永久的な寿命を持っ ていると考えている。 僅かな「用語」の選択から誤解を生まない ように、われわれ技術者も注意すべきであろ つ 。 念のためであるが、特別な埋設環境にある 管路は特別な防食なり、防護措置をしなけれ ばならないことはいうまでもないし、ダクタ イル鋳鉄管が管として万能であると考えてい るわけでもない。 使 用 目 的 、 場 所 、 埋 設 環 境 などに応じて材料を適切に選ぶことが必要で あることはこれまたいうまでもない。 最後に、昭和 31 年 ~32 年に埋設したダクタ イル鋳鉄管はすでに 26~27 年を経過したので あるが、今までに一度も破損したこともなく 埋設時と外観上ほとんど変わらない姿で現存 していることをイ寸言己させていただき車冬わりと したい。 7 5
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