ヽ ヽ - つるおかランド・バンク

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2014.08.04 No。 1752
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PROLOGUE
有訓無訓
8
元 環境大 臣、外務大 臣
川 口 順子
編集長の視点
今週の名言
荒 廃 から蘇 った街、ポートランド
■ 時事深層
7Q∪ ESTIONS
住 友 商 事 建 設 不 動産 本 部 長・
総合 建 設 開 発 部 長
安藤 伸 樹
不動産市場の過熱は第2コ ーナーに
lNSIDE SttORY
Io「 期限切れ肉」
が問う
15 伊藤忠、タイ財閥提携 に“
反省"あ り
食品防衛
16 中国、飛ばぬ航空に権力闘争 の影
INDUSttRY
17 マレーシア機 事故で浮上する難題
12グ グ ルPCが 崩す
「最後の砦」
18 好決算の裏 で進む市場 の選別
マーケット潜望鏡
14 日立、英国流グロ…ノ 化 の勝算 20 ごま高騰、価格転嫁進まず
liiJレ
■ 特集
―極 モデル 打ち破 る新未来図
今そこにある東京危機
■
SllECIAL REPORT
” %
PART l米 ポートランドから見る日本の針路
30年 かけて輝 いた街
人口減、東京こそ最大の問題
「地域で生きる」逆流のススメ
シリーズ 革新への道 最終回
身近 になるロボ ット社 会
「ドラえもん」
の夢
革新力で実現
写 真 =Ge■ りlmages
の低 い次世代型路面電車 (LRTlを 整
地方の知恵が東京を救う
「週 5回 は街 の中心地 に来 る。家 か ら
体だ。街 が 目覚 めたのは、人口減少 と
備するなど、まずは市内の中核 となる
富山駅か ら各地域 に延びる鉄道やバス
の交通網整備 に乗 り出 した。
次 に着手 したのは歩いて暮 らせる街
作 う。郊外か ら中心地への移住を推進
電車 もバ ス も自由に乗れるし、年寄 う
い う難問 に早 くか ら向き合 ったためだ。
に とっては数少ない楽 しみよ」。7月 上
時 は約 10年 前。現職 の森雅志氏 は
する政策を掲げ、指定 した中心市街地
などに住宅を建設・購入す る住民に補
旬 に取材班 が富山市中心 を訪ねると、
76歳 の女性が笑みを浮かべて応 じた。
富山市長 に就 くや、 いち早 く集約型 の
助金を助成。中心地は6年 前か ら人口
「若 い世代 が
街作 りにカジを切 つた。
転入超過 に転 じた。 この地 区全体 で
場所 は 4年 前 にオ ー プ ン した「地場
減 る中で街 をコ ンパ ク トにして都市 の
2013年 に32%の 市民 が暮 らす が、
もん屋総本店」。地元の新鮮 な農産物
拡散 を防 ぐことが将来世代 に欠かせな
2025年 に42%に 引き上げる目標だ。
を豊富に集め、60歳 以上の高齢者が利
い と判断 した」。森氏 はこう振 り返 る。
市全体 のわずか 0.4%に すぎない中
用者の 5割 を超 える人気 スポ ッ トだ。
近 くにある新 たなイベ ン ト施設 も子供
か ら高齢者 の憩 いの場 にな りつつ ある。
中心 部 の人 口が転 入 超 過 に
当初、議論 は錯綜 した。市幹部の一
心市街地で、市税の柱 となる固定資産
税 と都市計画税の2割 強を稼 ぐ構造 も
コンパ ク トな街作 うの理念を支える。
街中に高齢者が多 く住 めば、効率的な
介護や医療 の提供 に もつながる。一部
高齢者 がなぜ街 中 に集 うのか。理 由
部 は「 なぜ今 までのや り方 を変 える必
の一つが「おでかけ定期券」と呼ぶ公共
要 があるのか」と反発を続 けた。そこで
交通機関の割引制度だ。中心地 に出か
ける際、バスや電車 の利用料金 を1回
森氏 が説得材料 に使 ったのが、人口推
計 に基づ く人口急減 とゴ ミ収集や除雪
独 う善が うの政策」との批判があるが、
100円 に設定。高齢者 の 3割 弱 が定期
といった行政 コス トが跳ね上が るとい
限 られた財源の中で中心市街地の活性
券 を所有 し、1日 に平均 2500人 強力滞J
う未来予想図だった。
化 とい う錦の御旗を下ろす ことはない。
森市長 は「 ものすごいス ピー ド感で
の市民か らは「中心地だけを優遇する
用する。 この 7年 で中心市街地 の歩行
最新 の推計で は人口が 2045年 に現
者数 は 1日 当た う約 2割 増 え、高額消
在 の 42万 人 か ら10万 人ほ ど減少。65
手を打 ってきた。ただ、30年 先の将来
費をす る市民 の割合 も上昇 した。かつ
歳以上の高齢化率 も全国平均 を上回る
市民を考えて政策運営 しており、日標
てシ ャッタ ー街 だった街 の 中心地 が
40.2%に 達する。高齢化の進展で 自動
の半分にも到達 していない」と話す。
息を吹 き返 してきたのだ。
富山市 はコンパ ク トシテ ィーの成功
車 を運転で きない人が増 えると、郊外
政府 は6月 に決定 した成長戦略など
の市民 を中心 に生活 しに くい街 になる
事例 として国内外で脚光 を浴 びる自治
のは自明の理。 そこで道路上 を走 る床
で、地域構造の集約化 と、都市や地域
間の ヒ ト、モノ、情報の交流・連携 を
NIKKEI BUSIN厖 ●20140804
促すネ ッ トワー ク化 に注力 する考 えを
ン ド化などで地域の魅力を高める。そ
提示。政府 は人口減 と地域活性化対策
こうした中、昨年 1月 に立 ち上がっ
たのがNPO法 人「つ るおかラン ド・バ
を担 う本部を新 たに立ち上げる。政治
ンク」
。市内で不動産会社を営む阿部
続可能 となる」と話す。
や行政の意志 とぶれない施策、 そして
住民 の理解 …。先のポー トラン ドの例
俊夫理事長を筆頭に、行政、建築士、
司法・行政書士 らが名 を連ねる。阿部理
2020年 ごろまで人口増加 が続 く見込
や富 山市の取 り組みか ら浮かび上がる
事長 は「郊外か ら中心地 に都市機能を
「勝ち組」
みの沖縄県。人口減少時代の
のは、一定 の状況にた どう着 くまで に
集約するためにも空 き家や狭 い道路を
一体的に整備する必要がある」と語 る。
ともされるこの県 も実 は持続可能性 が
は地域 挙げての息 の長い取 り組みが不
可欠 とい う現実 だ。急速な人口減はこ
れ まで放置 してきた地域社会の暗部ヘ
「 勝 ち組 」沖 縄 が 抱 える問 題
うした取 り組みを進める地域だけが持
出生率が全国平均を大 きく上回 り、
危 うい側面を抱える。
「中途採用で高度人材が入 り込む余
市 も条例を変えて空き家を壊 しやす
地があまうにも少ない」
。10年 前 に東
京か ら沖縄へ移住 して個人で塾を経営
くした。空 き家 は高齢者 の死後 に放置
するバ ースデイの中村智治社長 はこう
2008年 時 点 で全 国 の空 き家 は 約
され、県外 に転出した子供が面倒を見
嘆 く。沖縄出身者が都市部で高度教育
757万 戸。住宅全体 の約 13%に 達 し、
を受けた り仕事でキャリアを積み重ね
その後 も増 え続 けているとみられる。空
きれな くなる例が多 い。つ るおかラン
ド・バ ンクは遠方に住む空 き家の所有
た りしても沖縄 に戻 って仕事を探すの
き家で放置 してお く方 が固定資産税 が
者 と利用を希望する人の橋渡 し役 にな
は難 しいのが実情だ。地元の金融機関
安 い といった理由か らだが住宅市場 の
り、建物の点検や換気 といった委託管
活性化 をそぐ一 因 にな り、治安の悪化
理事業 も開始。昨年末か ら県外の所有
が中途採用を始めたとはいえ、その数
はまだわずか。観光や「基地経済」への
な ど負 のスパ イラルに陥 る懸念 もある。
者向けの相談会を開き、意向を踏まえ
依存か ら抜け出すためにも多様 な人材
て空き家 の除却 を加速する考えだ。
を受け入れる土壌づ くうが欠かせない。
カギ となるのはやはう働 く場の確保・
の対応 も迫 っている。
「空 き家」問題 が
その典型だ。
そこで、危機感を強めた自治体の試
行錯誤 が各地で始 まっている。人口 14
先送 りしてきた問題 に手を着けると
万人弱の山形県鶴岡市 もその一つだ。
同時に各地域が急がなければならない
のは「脱・横並び」への試みだ。各地域
創出や教育環境の整備だ。一定規模の
が主体的 に自らの資源を磨 き、自前で
゛
稼 く産業・企業や人材 を育成 し、呼び
上 しているが、それ以外の地域でも多
地場産業の低迷、高齢化、若者 の流出
の「三重苦」で 2040年 に10万 人を割 り
込む ことが確実視 される。同市 が 2011
年 に実 施 した調査 で約 4万 8000世 帯
都市 に拠点を集約する構想が次々に浮
様な道があるはずだ。
例 えば増田氏 らの試算では人口 3千
の うち 2273棟 の空 き家 があることが
込み、多様性 を再構築するのだ。
人口減社会への警鐘 を鳴 らした増田
数百人規模の秋田県大潟村 は同県内で
判明。今後 30年 でさらに1万棟以上が
寛也・元総務相 は「公共事業や補助金
唯一、2040年 にかけて若年女性人口が
空 き家 になる可能性 が指摘 されている。
などに頼 る従来モデルから脱 し、ブラ
15%伸 びる。農業の大規模経営が確立
写 真 =4点 :江 田 健 ―
NIKKEI BUSNESS● 201408∝