お金をかけずに相続登記をする 自分でできる相続登記 -誰でも自分で確実に相続登記できます- 法 務 局 自分で 登記申請 一 般 の 方 ~戸籍集めから提出まで完全解説~ 自分でできる相続登記 自分でできる相続登記 自分でできる相続登記 CONTENTS 1 1.1 1.2 1.3 1.4 相続登記とは何か...........................................4 相続のルール...............................................4 登記とは何か...............................................7 相続登記の手順.............................................8 相続登記のQ&A...........................................9 2 2.1 誰がどの不動産をもらうのか?.............................12 相続人は誰なのか?.......................................12 2.2 2.3 2.4 話し合いをする前に.......................................19 話し合いで決めてよい根拠.................................20 誰がどの不動産をもらうか決める...........................21 3 相続登記に必要な書類を集める.............................23 3.1 3.2 相続登記に必要な書類.....................................23 相続登記に必要な書類を集めるコツ.........................24 4 4.1 4.2 4.3 4.4 相続登記申請書の作り方...................................26 相続登記申請書の中身.....................................26 登記申請書を作る.........................................27 相続関係説明書について...................................35 遺産分割協議書について...................................38 4.5 相続登記申請書の綴じ方...................................43 5 5.1 5.2 法務局へ提出する方法.....................................45 法務局へ持っていくもの...................................45 法務局での手順...........................................45 2 自分でできる相続登記 ---はじめに--- このマニュアルの読み方 ・ すぐに登記申請書を作りたい方 ⇒ 26ページからお読みください。 ・ 戸籍など必要書類の集め方を知りたい方 ⇒ 23ページからお読みください。 ・ 法務局へ行くのが不安な方 ⇒ 45ページからお読みください。 3 自分でできる相続登記 1 相続登記とは何か 1.1 相続のルール 1.1.1 相続は残された家族全員が関わる 親または親族が亡くなる 相続が開始 相続とは、誰かが亡くなったときに、亡くなった人の持ち物を残された家族が受 け取ることをいいます。 多くの人は、自分は財産をもらうつもりがない、あるいはどうせなにももらえない から、相続なんか自分には関係ないと思っています。 しかし、それは間違いです。 なぜなら、亡くなった人の財産を誰が受け取るかは、残された家族全員の話し合 いによって決まるからです。 4 自分でできる相続登記 そして、この話し合いなくして、亡くなった人の財産を家族が受け取る手続きはで きないのです。 ですから、相続は残された家族全員が関わる必要があります。そして、残された 家族全員で話し合いをしたという証拠として、家族全員の実印と印鑑証明書が必 要となるのです。 1.1.2 法律で保障された相続の取り分は、現実には使えない。 日本の法律では「人はすべて平等」と定められています。そのためすべての日本 国民に、法律によって相続の取り分が保障されています。 しかしこれは「建前」なのです。 この法律で定められた取り分の通りに亡くなった人の財産をわけようとすると、現 実の生活で様々な不都合がおきます。 例えば父親が死んで、相続人は兄弟4人だったとします。父親の財産は家一軒 のみ。これを法律の定めに従って兄弟4人で受け取ると、現実に建っている家を4 等分する必要があります。 さて、家を4等分するとは、どういうことでしょう? 父親の家に住んでいるのは同居していた長男夫婦のみ。残りの3人はすでに独 立して家を出ています。したがって、いまさら家の4分の1だけ使って住むわけにも いきません。かといって、家を売ってお金にかえて4等分することにしたら、長男夫 婦は住む家がなくなって困ってしまいます。 そこで日本の法律では、法律で定められた取り分を保障しつつも、家族全員の 話し合いで了解が得られれば、相続の取り分は自由にかえてよい、と定めている のです。 5 自分でできる相続登記 父親が亡くなる 財産は家1軒のみ 長男 : ありがとう 次男、三男、四男 : 家を4つにわけることはできない ので、父親の世話をした長男が家をもらうことにしよう。 大切なポイント 相続とは、残された家族全員が話し合いをして取り分を決めるもの。 法律で定められた取り分は、現実に財産を分けるときには使えない。 6 自分でできる相続登記 1.2 登記とは何か 1.2.1 登記という言葉の由来 「登記」という言葉は、一般の方にはまったく聞き慣れない言葉です。登記とは、 登って記す( のぼってしるす)という意味から作られた言葉です。 登るとは、お役所、お上のところまでへ登るという意味です。明治時代はお役所 や政府は庶民より偉いため高い位置にあり、庶民は低い位置にいるとされていま した。そのため、お役所へ出向いて手続きをする場合に「登る」という単語が使わ れたのです。 そして記すとは、役所の記録を書き換える、という意味です。つまり、低い場所か ら高い役所まで登って、役所の記録を書き換えることから「登記」という言葉が使わ れるようになったのです。 もっとも現在では、お役所が国民より偉いなどということはありえません。不動産 の手続きをする「法務局」というお役所も、一般の方には大変親切に対応してくれ ます。登記相談コーナーといって、書類についてわからないことを教えてくれる相 談コーナーも完備されています。 登記相談コーナー (親切に教えます) 法 務 局 登 る ? 一 般 の 方 登記という言葉は、明治時代の言葉の名残り。現在の 法務局は、一般の方に対してとても親切に対応してくれ ます。 7 自分でできる相続登記 1.2.2 法務局がする登記 登記とは、法務局へ申請をすることによって、不動産の名義を変えることをいい ます。ということは申請がなければ、法務局はいっさいなにもしてくれない、というこ とです。誰かが亡くなったからといって、自動的に不動産の名義がかわるわけでは ないのです。 法務局は、申請があったもののみについて、審査をして名義書き換えをします。 人が亡くなってから何十年も名義書き換えがされていない土地や家があったとして も、法務局はほったらかしです。それは、申請がないものは、法務局で勝手にさわ ってはいけない、と法律で定められているからです。 1.3 相続登記の手順 ここでは相続登記の大まかな流れを説明します。具体的な書類の作り方はや提 出方法は、後述します。 ① 誰が相続人となるのかを確認する。 ② 誰がどの不動産をもらうのか話しあいをする。 ③ 相続登記に必要な書類を集める。 ④ 相続登記の申請書を作る。 ⑤ 法務局に相続登記の申請書を提出して、不動産の名義を 書き換える。 この5つの手順を経ることで、相続によって不動産の名義が書き換えられます。 それぞれどのようにすべきかは、すべて法律で定められていますので、法律にの っとってひとつひとつ確実にすすめていきましょう。 8 自分でできる相続登記 1.4 相続登記のQ&A Q:相続登記は、いつまでにやらなければいけないという期限はありますか? A:相続登記に期限は定められていません。やらなくても罰則もありません。ただし何 十年も放置すると、相続人の数が増えて、登記が難しくなります。 Q:相続登記をしていないのに、母親あてに固定資産税の請求書がきましたが、なぜ ですか? A:死亡届を受けとった市区町村役場は、死亡者の固定資産と相続人を調べ、固定資 産税の請求書を送る仕組みになっているからです。市区町村役場が扱う固定資産 税と、法務局が扱う相続登記は、何らつながりはありません。 Q:相続登記にお金はいくら必要ですか? A:固定資産評価額の0.4%を、税金として納める必要があります。土地の値段が1 000万円なら、4万円を税金として支払う必要があります。そのほかに、戸籍や住 民票を集める費用がかかります。 Q:相続登記をするときに、税金(登録免許税)はいつどうやって支払うのですか? A:相続登記申請書を提出するときに、申請書に収入印紙を貼り付けて支払います。 住民税や固定資産税のように、後日に納付書が来るわけではありません。 Q:収入印紙と登記印紙の違いがわかりません? A:収入印紙は、相続登記の税金(登録免許税といいます)を支払うために、相続登 記の申請書に貼り付けるものです。登記印紙とは、法務局で不動産の全部事項 9 自分でできる相続登記 証明書を取得するときに、お金の代わりに支払うものです。法務局内では、印紙 購入窓口で印紙を購入してから、さまざまな申請をします。法務局では印紙購入 窓口以外で、現金を支払うことはありません。 収入印紙 登記印紙 税金(登録免許税)の支払いに使う 不動産の証明書取得に使う Q:相続登記の申請が認められないことはありますか? A:原則ありません。登記申請書に印鑑漏れや記入ミスがあった場合は、補正といっ て「ここを修正しにきてください」と呼び出しがあります。修正に応じれば、登記は 必ず通ります。 Q:相続登記申請は、どこの法務局に行けばよいですか? A:名義を換えたい不動産の近くにある法務局です。その不動産がその法務局の担 当地域であるかどうかは、法務局に電話をして聞けば教えてくれます。 Q:不動産がとても遠方にあり、その法務局まで出向くのが大変です? A:登記申請書を郵便で提出し、新しい権利証を郵便で送り返してもらうこともできま す。ただし登記申請書に不備があった場合の修正が大変ですから、お住まい近く の法務局の登記相談コーナーで書類を確認してもらってから、郵便で提出するよう にしましょう。郵便提出の方法も、登記相談コーナーで教えてもらえます。 10 自分でできる相続登記 郵便で提出できます が、不備のないよう にご注意ください。 遠いので郵便で 提出しよう。 法 務 局 受 付 一 般 の 方 Q:登記識別情報とは何ですか? A:いわゆる権利証です。法律改正によって名称が変わりました。また登記識別情報 には暗証番号がつけられており、目隠しシールをはって見えないようにしてあります。 登記識別情報はこの暗証番号がとても重要で、紙そのものに価値はありません。 暗証番号は絶対に他人に知られないようにしましょう。 Q:自分の知らない間に不動産の名義が換わってしまうことはありますか? A:ありません。ただし自分の知らない間に実印を盗まれたりしていたら、名義が換わ ってしまう可能性もあります。 11 自分でできる相続登記 2. 誰がどの不動産をもらうのか 2.1 相続人は誰なのか 相続で話し合いをしなければならない相続人は、次の7通りが法律で決められています。 ①から⑦は優先順位を表し、①の人がいれば、②から⑦の人もらうことはできません。 今回は誰が相続人となるのか、①~⑦から選んで、相続人を確定させてください。 ①亡くなった人の結婚相手と亡くなった人の子供が相続人となる場合 母 兄 弟 上図では母・兄・弟が相続人となります。 養子も実子と同じように相続人となります。祖父母、おじは、生存していても相続人 とはなりません。 もし図の兄が父より先に死亡しているが、兄に子が存在する場合は、兄に代わって 兄の子が相続人となります。 12 自分でできる相続登記 ②亡くなった人の結婚相手と亡くなった人の親が相続人となる場合 父 母 兄 弟 妻 上図では妻・父・母が相続人となります。 兄は、生存していても相続人とはなりません。 もし図の父母は夫より先に死亡しているが、母に祖母が存在する場合は、母にか わって祖母が相続人となります。 13 自分でできる相続登記 ③亡くなった人の結婚相手と亡くなった人の兄弟姉妹が相続人となる場合 父 母 兄 弟 妻 ×は既に亡くなられている方です。 上図では妻・兄が相続人となります。 もし図の兄が夫より先に死亡しているが、兄の子が存在する場合は、 兄にかわ って兄の子が相続人となります。 この場合には妻・兄の子が相続人となります。 14 自分でできる相続登記 ④亡くなった人の結婚相手のみが相続人となる場合 父 母 兄 弟 妻 ×は既に亡くなられている方です。 夫婦に子供が存在せず、弟の両親も兄弟もすべて生存しない場合は、 妻の みが相続人となります。 15 自分でできる相続登記 ⑤亡くなった人の子供のみが相続人となる場合 母 兄 弟 ×は既に亡くなられている方です。 上図では兄・妹が相続人となります。 祖父母、おじは生存していても相続人とはなりません。 16 自分でできる相続登記 ⑥亡くなった人の親のみが相続人となる場合 父 母 兄 弟 ×は既に亡くなられている方です。 上図では父・母が相続人となります。 弟の兄弟姉妹は生存していても相続人とはなりません。 17 妻 自分でできる相続登記 ⑦亡くなった人の兄弟姉妹のみが相続人となる場合 父 母 兄 ×は既に亡くなられている方です。 上図では兄が相続人となります。 18 弟 妻 自分でできる相続登記 2.2 話し合いをする前に 誰が相続人かわかったら、誰がどの不動産をもらうかを話し合いで決めます。 そして話し合いをする時には、「あなたには法律でこういう取り分があるけど、そのよう に分けるのは難しいので、話し合いでこんなふうにするよ」というように説明をしたほうが、 スムーズに話しがまとまります。 そこで、法律で定められた取り分も理解して、他の相続人に説明できるようにしておき ましょう。 民法第900条では、すべての人につき、次のように相続の取り分が定められてい ます。 結婚相手と子が相続人の場合 結婚相手と子が相続人の場合 結婚相手 子 2分の1 2分の1 (一人あたり 50% の取り分は平 50% 等) 結婚相手 子供 結婚相手と親が相続人の場合 結婚相手と親が相続人の場合 33% 結婚相手 親 3分の2 3分の1 (一人あたり の取り分は平 等) 67% 結婚相手 親 19 自分でできる相続登記 結婚相手と兄弟姉妹が相続人の場合 結婚相手と兄弟姉妹が相続人の場合 25% 結婚相手 兄弟姉妹 4分の3 4分の1 (一人あたり の取り分は平 等) 結婚相手 兄弟姉妹 75% 子供のみ、親のみ、兄弟姉妹のみが相続人の場合 子供のみ、親のみ、兄弟姉妹 子供のみ(均一に分配) のみ 一人あたりの取り分は平等 50% 50% 子供1 子供2 2.3 話し合いで決めてもよい根拠 民法第906条と民法第907条には、次のように定められています。 【民法第906条】 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人 の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮し てこれをする 【民法第907条】 共同相続人は、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる 20 自分でできる相続登記 民法というのは、条文の番号が小さければ小さいほど原則を定め、条文の番号が大 きければ大きいほど、具体的なことが定められています。 そして前の条文と後の条文が矛盾する内容となっている場合は、後の条文が優先す るとされています。 今回の場合は民法900条で法律で定められた取り分を定め、906条と907条で状 況を考慮して話し合いで決めてよいと定められています。したがって、法律で定められ た取り分よりも、話し合いの結果が優先される、ということです。 2.4 誰がどの不動産をもらうか決める 不動産の名義は、複数名の共同所有とすることも可能です。しかし、固定資産税の支 払いや不動産の維持費の支払いなどが複雑となるため、おすすめできません。ひとつ の不動産は、必ず一人の所有となるようにしましょう。 一般的には、亡くなった方の面倒をみた方を中心として不動産をもらう人を決めます。 もし、一人の方だけが不動産をすべてもらうのは多すぎるという場合は、不動産をもら わない方に現金を支払うことも、法律では認められています。 たとえば父が死亡し、相続財産は不動産が1500万円、預金が500万円、 合計2000万円とします。相続人は母、自分、弟だったとします。この場合、 法律上の権利は母に1000万円、自分に500万円、弟に500万円となりま す。 そして、父の家には今も母と自分が住んでいること、父の面倒はずっと自分が見 てきたこと、これから母の面倒もみることを考慮し、弟には不動産を受け取らない ようにお願いする。そして母の介護にお金がかかるので、預金500万円は母のも のにする。そのかわり兄から弟に100万円を支払う、などと決めましょう。 21 自分でできる相続登記 自宅1500万円 現金500万円 壱万円 壱万円 壱万円 法律どおりなら 母 1000万円 自 分 弟 500万円 500万円 弟に放棄をお願いして 別途 100 万円支払う 母 自 分 500万円 1500万円 弟 0円 22 自分でできる相続登記 3. 相続登記に必要な書類の集め方 3.1 相続登記に必要な書類 相続登記に必要な類は、以下の7種類です。1から6は市区町村役場、7は法務 局にて取得できます。 1.亡くなった人の住民票の除票 2.相続人全員の住民票 (または戸籍の附票の除票) (本籍地記載が必要。不動産を取得しない方も必要。) 3.相続人全員の印鑑証明書 (不動産を取得しない方も必要。) 4.名義書き換えをする不動産の固定資産税評価証明書 のものが必要) (名義書換をする年と同一年度 5.亡くなった人の出生から死亡まで戸籍(除籍謄本、改製原戸籍謄本など、人によって は複数の戸籍が必要になります。詳しくは 3.2.1 をご覧ください。) 6.相続人全員の戸籍謄本 (不動産を取得しない方も必要です) 7.不動産の全部事項証明書 (法務局で取得する不動産の証明書のことです。申請書を 作るために必要な書類です。詳しくは 3.2.2 をご覧ください。) ※戸籍、印鑑証明、住民票について、有効期限はありません。発効日が古くても使用でき ます。 23 自分でできる相続登記 3.2 相続登記に必要な書類を集めるコツ 3.2.1 亡くなった人の戸籍をすべて集める方法 相続で不動産の名義を書き換えるためには、亡くなった人の戸籍をすべて 集めて提出する必要があります。戸籍というのは結婚、法律改正などで何度 も作り直されるため、亡くなった人の戸籍が1枚であることはまずあり得ま せん。 そして、複数の戸籍が複数の役場に点在している場合、自分で戸籍を解読 してどこの役場に行かなければならないかを調べる必要があります。 しかし、以下の手順とおりに役場に請求すれば、簡単に収集できます。 手順1.役場の窓口に提出する戸籍取得用紙の余白等に、「出生から死亡ま でのすべての戸籍をください」と目立つように大きな字で書いて提 出してください。 手順2.戸籍をもらえたら、その場で役場の窓口の方に「この戸籍で出生か ら死亡まですべて記載されていまか? どこか他の役場で戸籍を取 得する必要はありますか?」と聞いてください。別の担当者が戸籍 を解読してくれて、次はどこの役場へ行けばよいか教えてくれます。 手順3.指示された役場の窓口にて、手順1⇒手順2を繰り返してください。 役場の担当者から、出生まですべてそろっている、と言われたら終了 です。 ※遠方の戸籍は、郵便で取得できます。取得方法は、役場の方がその場で教 えてくれますし、郵送請求の用紙もその場でもらえます。 24 自分でできる相続登記 3.2.2 不動産の全部事項証明書について 不動産の全部事項証明書とは、亡くなった方の不動産が法務局でどのような 状態で登録されているかを、確認するための書類です。この書類を見なければ、 相続登記申請書は作ることができません。 不動産の全部事項証明書は、名義を変えたい不動産の所在がわかる書類(不 動産の権利証でもよいですが、固定資産税の通知書のほうが見やすいためがお すすめです)をもって、お住まい近くの法務局まで出向いてください。 そして窓口にて書類をみせて、「この不動産の全部事項証明書が欲しのです が、どうすればよいですか?」と伝えてください。すると法務局の職員が、法 全部事項証明書交付申請書の書き方と提出方法を教えてくれます。その際に不 動産ひとつきにつき1000円の手数料を支払うことになります。手数料は、 登記印紙というものを購入し、申請書に貼り付けて支払います、 この申請書に記入し て、登記印紙を貼って 提出してください。 不動産の全部事 項証明書をくだ さい。 法 務 局 受 付 25 一 般 の 方 自分でできる相続登記 4.相続登記申請書の作り方 4.1 相続登記申請書の中身 相続による登記申請とは、亡くなった人(被相続人)が財産として不動産を所有 している場合、相続人がその不動産を誰の名義にするのか話し合い、話し合った結 果を法務局に登記申請という形で書類にして提出し、名義を換えてもらうことをい います。 その登記申請を行うためは、以下の書面を作成し、集めた書類と一緒に綴じ込み、 法務局に提出なければなりません。 □登記申請書 全ての書類の先頭に綴じられます。登記申請書は一般的な申請書とは異なり、四角 かこみの記入欄、というものがありません。まっさら白紙に書き込んでいくのです。 □印紙台紙 登記申請の際には、登録免許税という税金を収入印紙にて納めなければなりません。 その収入印紙を貼り付けるためのページとして白紙を 1 枚ご用意下さい。 □相続関係説明図 亡くなった方の相続人が誰であるかを一目で分かるように図式化したもので、法務 局の方が申請人の相続関係を把握しやすくなります。この書面を添付すると戸籍の 原本を返していただけます。 □遺産分割協議書 相続人間で話し合った結果を書面化したものです。相続人全員の署名と実印での押 印および全員の印鑑証明書が必要になります。書面が2枚以上になる場合には割り 印が必要です。 以上を作成し、印鑑証明書・住民票・固定資産評価証明書と一緒に綴じます。 26 自分でできる相続登記 4.2 登記申請書を作る 登記申請書の作成には、以下のものが必要となりますので、お手元にご準備くだ さい。 □パソコンで作成するため、ワードや一太郎などのワープロソフトを立ち上げる □名義書換えをする不動産の全部事項証明書 □名義書換えをする不動産の固定資産評価証明書 □不動産をもらう人の実印 そして、ワードや一太郎などのワープロソフトを使って、用紙サイズをA4サイ ズに設定し、以下のように作成してください。 27 自分でできる相続登記 《登記申請書ひな型》 登 記 申 請 書 登記の目的 原 因 相 続 人 平成 年 月 日相続 (被相続人 ) 連絡先の電話番号 添付書類 平成 年 課税価格 登録免許税 不動産の表示 不動産番号 所 在 地 番 地 目 地 積 不動産番号 所 在 家屋番号 種 類 構 造 床 面 積 登記原因証明情報 月 法務局 金 金 円 円 番 . ㎡ 番 1階 2階 . . - 住 所 証 明 書 日申請 合計 合計 - ㎡ ㎡ 28 御中 自分でできる相続登記 《登記申請書記入例》 単独所有の場合の書き方。 登 記 申 請 書 共同所有の場合は ○○持分全部移転と記入。 登記の目的 所有権移転 原 平成 20 年 9月 21 日相続 因 4.2.1 を参照。 死亡日を記入、4.2.2 を参照 相 続 人 ( 被相続人 山田 一郎 ) 提出日と法務局名 ○○県○○市○○丁目○○番○○○号 印 亡くなった方の氏名、不動産 山田 太郎 ○ 4.2.4 を参照。 連絡先の電話番号 をもらう方の住所、氏名、電 0123-45-6789 話番号を記入。実印を押す。 添付書類 平成 登記原因証明情報 21年9月15日申請 住所証明書 名古屋法務局 4.2.3 を参照。 本局 御中 固定資産評価証明書をみて 課税価格 登録免許税 合計 合計 金15,234,000円 金60,900円○00円 不動産の表示 不動産番号 所 在 地 番 地 目 地 積 1234567890123 ★★区★★ 123番4 宅地 120.81㎡ 不動産番号 9876543210987 所 家屋番 種 構 床 面 ★★区★★三丁目 10番地20 10番20 居宅 木造瓦葺2階建 1階 73.55㎡ 2階 25.61㎡ 在 号 類 造 積 29 課税価格と税金を計算する。 4.2.5 を参照。 全部事項証明書の不動産の 表示の部分をひたすら書き 写す。4.2.6 を参照。 自分でできる相続登記 以上が登記申請書の記入例です。 状況により、各項目の記入方法が異なりますので、自分の場合は、どのように記入すれば 良いのか項目ごとの解説を必ずご確認下さい。 4.2.1 登記の目的 まずは、法務局で取得した全部事項証明書をみて、亡くなった方がその不動 産を一人で所有していたか、他の人と共同で所有していたかを確認してくださ い。そして 亡くなった方が不動産を単独で所有していた場合 → 登記の目的 所有権移転となります。 被相続人が不動産を他の人と共有していた場合 → 登記の目的 ○○持分全部移転となります。 4.2.2 原因 亡くなった方の死亡日を記入します。 被相続人の死亡に関する記載のある戸籍 を確認し、死亡日を記入してください。 4.2.3 相続人 不動産を相続する人の情報を記載し、以後、ここに記載されている住所・氏名 がその不動産の登記名義人となっていきます。 相続人として名前が記載される人 は名前の右に実印にて押印して下さい。 状況により、記載方法がいくつかに分類されます。 30 自分でできる相続登記 被相続人(山田一郎)が不動産を一人で所有しており、相続人(山田太郎)が一 人で相続する場合 → 相 続 人 ( 被相続人 山田 一郎 ) ○○県○○市○○丁目○○番○○○号 山田 太郎 印 被相続人(山田一郎)が不動産を他の人と2分の1ずつ共有しており、被相続人 の持分を相続人(山田太郎)が相続する場合 → 相 続 人 ( 被相続人 山田 一郎 ) ○○県○○市○○丁目○○番○○○号 持分2分の1 山田 太郎 印 被相続人(山田一郎)が不動産を一人で所有しており、相続人(山田太郎)と相 続人(山田花子)が2分の1ずつ相続する場合 → 相 続 人 ( 被相続人 山田 一郎 ) ○○県○○市○○丁目○○番○○○号 持分2分の1 山田 太郎 印 ○○県○○市○○丁目○○番○○○号 持分2分の1 山田 花子 印 被相続人(山田一郎)が不動産を他の人と2分の1ずつ共有しており、相続人(山 田太郎)と相続人(山田花子)が被相続人の持分を2分の1ずつ相続する場合 → 相 続 人 ( 被相続人 山田 一郎 ) ○○県○○市○○丁目○○番○○○号 持分4分の1 山田 太郎 ○○県○○市○○丁目○○番○○○号 持分4分の1 山田 花子 31 自分でできる相続登記 4.2.4 法務局 登記申請日は、法務局に書類を持参する日を記入してください。 申請先の法務局は必要書類を集める際に、ご確認いただいた法務局名を記入し て下さい。 支局に当たる場合は支局名まで記入します。 申請先が「東京法務局」の場合 → 「平成 年 月 日申請 申請先が「横浜地方法務局 → 「平成 年 月 東京法務局 本局 横須賀支局」の場合 日申請 横浜地方法務局 御中」となります。 横須賀支局 御中」 となります。 4.2.5 課税価格と登録免許税 名義書き換えに必要な登録免許税は、この課税価格を元に計算されます。 課税価格の欄には、名義書換えを行う不動産の「固定資産評価証明書」(市区町 村役場により書類名が異なります)に記載されている評価額を記入します。 登記の目的が同じで、ひとつの登記申請書で複数の不動産の名義書換えが可能な 場合には、対象となる不動産の評価額の合計を記入します。 課税価格は1000円未満を切り捨てて計算されます。 建物が12,345,670円 土地が15,000,000円 の場合 合計が27,345,670円となるため1000円未満を切り捨て、以下のよう に記入します。 → 「課 税 価 格 合計 建物が12,345,670円 金27,345,000円」 土地が15,302,200円 32 の場合で、被 自分でできる相続登記 相続人持分がともに2分の1の場合 建物の6,172,835円と、土地の7,651,100円が課税対象となり、 建物の評価額との合計が13,823,935円となるため、1000円未満を切り 捨てます。課税価格の欄には「移転した持分の価格」という表示を追加します。 → 「課 税 価 格 移転した持分の価格 合計 金13,823,000円」 登録免許税 「課税価格×0.004」を計算して、100円未満を切り捨てた額が登録免許 税となります。 課税価格が27,345,000円の場合 27,345,000×0.004=109,380円 切り捨て、以下のように記入します → 4.2.6 「登録免許税 合計 そして100円未満を 金109,300円」 不動産の表示 ここには名義書き換えの対象となる不動産の情報を記入します。 対象となる不動産の全部事項証明書から対応する情報を全部事項証明書のとお りに記入して下さい。 名義書き換えの対象となる不動産が複数ある場合には、下記を参考に不動産の 全部事項証明書を見て、同じように記載を追加して下さい。 被相続人(山田一郎)が土地と建物をそれぞれ2分の1ずつ所有している場合 33 自分でできる相続登記 不動産の表示 不動産番号 1234567890123 所 在 ★★区★★ 地 番 123番4 地 目 宅地 地 積 120.81㎡ (被相続人 山田一郎 持分2分の1) 不動産番号 9876543210987 所 家屋番 種 構 在 号 類 造 ★★区★★三丁目 10番20 居宅 木造瓦葺2階建 床 積 面 10番地20 1階 73.55㎡ 2階 25.61㎡ (被相続人 山田一郎 持分2分の1) 名義書き換えの対象となる不動産がマンション(区分建物)の場合 一棟の建物の表示 所 在 ○○市●●区▲▲一丁目 建物の名称 コスモスマンション 専有部分の建物の表示 家屋番号 ▲▲一丁目 種 類 居宅 構 造 床 面 積 1番地4 1番4の403 鉄筋コンクリート造1階建 5階部分 63.13㎡ 敷地権の表示 所在及び地番 ○○市●●区▲▲一丁目1番4 地 目 宅地 地 積 1271.70㎡ 敷地権の種類 所有権 敷地権の割合 250403分の6608 34 自分でできる相続登記 4.3 相続関係説明図について 相続関係説明図の作成には、以下のものが必要となりますので、お手元にご準備 ください。 □パソコンで作成するため、ワードや一太郎などのワープロソフトを立ち上げる □亡くなった方の戸籍謄本 □亡くなった方の住民票 □相続人全員の住民票 そして、ワードや一太郎などのワープロソフトを使って、用紙サイズをA4サイ ズに設定し、次のように作成してください。 35 自分でできる相続登記 《相続関係説明図のひな形》 被相続人 相続関係説明図 作成者 (被相続人) 出 生 死 亡 (相続人) 出生 住所 最後の本籍 最後の住所 (相続人) (分割)○○○○ (相続人) 出生 ○○年○○月○○日 出生 住所 ○○県○○市○○町○○番地 住所 (相続人) 出生 (相続人) 住所 出生 住所 36 自分でできる相続登記 《相続関係説明図の記入例》 亡くなった方の氏名を記入 被相続人 山田 一郎 相続関係説明図 実印を2つ押す 不動産をもらう方の住所を記入 作成者 山田 太郎 実印 実印 亡くなった方の氏名、生年月日、 死亡日、本籍、住所を記入 (被相続人)山田 一郎 (相続人)山田 太郎 出 生 昭和12年12月20日 出生 ○○年○○月○○日 死 亡 平成20年9月21日 住所 ○○県○○市○○町○○番地 最後の本籍 ○○県○○市○○丁目○○番○○○号 最後の住所 ○○県○○市○○丁目○○番○○○号 (相続人)山田 次郎 (相続人) (分割)○○○○ 出生 ○○年○○月○○日 出生 ○○年○○月○○日 住所 ○○県○○市○○町○○番地 住所 ○○県○○市○○町○○番地 (相続人)山田 花子 出生 ○○年○○月○○日 (相続人)山田 三郎 住所 ○○県○○市○○町○○番地 出生 ○○年○○月○○日 住所 ○○県○○市○○町○○番地 相続人全員の氏名、生年月日、住所を記入 37 自分でできる相続登記 作成者は、不動産を相続する方のお名前にします。相続する人が複数いる場合は どなたかおひとりを作成者としてください。 作成者の氏名の右の2つの○枠内に作成者の実印を押印します。 左上に亡くなった方の氏名、生年月日、死亡日、最後の本籍、最後の住所を記入 します。亡くなった方の戸籍謄本を見ながら記入します。 左下には配偶者の氏名、住所、生年月日を記入します。右には亡くなった方の子 供の氏名、住所、生年月日を記入します。住民票を見ながら記入しましょう。 4.4 遺産分割協議書について 遺産分割協議書の作成には、以下のものが必要となりますので、お手元にご準備 ください。 □パソコンで作成するため、ワードや一太郎などのワープロソフトを立ち上げる □不動産の全部事項証明書 □相続人全員の実印と印鑑証明書 そして、ワードや一太郎などのワープロソフトを使って、用紙サイズをA4サイ ズに設定し、以下のように作成してください。 38 自分でできる相続登記 《遺産分割協議書のひな形》 遺 産 分 割 協 議 書 被相続人 (平成 年 月 日死亡) の相続財産について、 同人の相続人全員は話し合いをした結果、次の通りに協議が調いました。 第1条(土地・建物) 下記の名義の土地・建物は、相続人 が取得することにします。 不動産の表示 不動産番号 所 在 地 番 地 目 地 積 不動産番号 所 在 家屋番号 種 類 構 造 床 面 積 このとおり遺産分割協議が成立したので、これを証するため本書を作成した。 平成 住所 氏名 住所 氏名 39 年 月 日 自分でできる相続登記 《遺産分割協議書の記入例》 遺 産 分 割 協 議 書 亡くなった方の氏名と死亡日を記入してください。 被相続人 山田 一郎(平成20年9月21日死亡) の相続財産について、同人の相続人 全員は話し合いをした結果、次の通りに協議が調いました。 不動産をもらう方の氏名を記入 してください。 第1条(土地・建物) 下記の名義の土地・建物は、相続人 山田 太郎 が取得することにします。 不動産の表示 不動産番号 所 在 地 番 地 目 地 積 不動産番号 所 在 家屋番号 種 類 構 造 床 面 積 1234567890123 ★★区★★ 123番4 宅地 120.81㎡ 不動産の全部事項証明書を書き写 してください。 9876543210987 ★★区★★三丁目 10番地20 10番20 居宅 木造瓦葺2階建 1階 73.55㎡ 2階 25.61㎡ 以 上 このとおり遺産分割協議が成立したので、これを証するため本書を作成した。 平成○○年○○月○○日 遺産分割協議書の作成日を記 入してください。 40 自分でできる相続登記 印鑑証明書と同じ住所、氏名を記入し て、実印を2つ押してください。 住所 氏名 住所 氏名 名古屋市中川区中郷1-2-3 山田 実印 実印 実印 実印 太郎 名古屋市瑞穂区竹田町7-8-9 山田 三郎 4.4.1 遺産分割協議書作成の注意点 遺産分割協議書は、相続人全員の署名と実印の押印が必要です。1人でも抜け ていた場合は無効とされてしまいます。 不動産以外の財産につきましては、特に決まった書式はありませんので、自由 に記入してください。 遺産分割協議書は原本を登記申請書に綴じ込んで法務局に提出しますので、お 手元の保管用に2部作成しておくことをお勧めいたします。 41 自分でできる相続登記 4.4.2 亡くなった方の最後の住所と、不動産全部事項証明書の住所が一致しない場合 相続登記申請では、亡くなった方の最後の住所と、法務局に登録されている亡 くなった方の住所が一致する必要があります。もし一致しない場合でも、古い住 民票などから転居の履歴がわかれば、大丈夫です。しかし、何度も転居したり市 町村合併で町名が変わり一致の確認ができない場合があります。 そのような場合は、遺産分割協議書に下記の文言を書き加える必要があります。 『なお、上記不動産につき、被相続人の最後の住所は○○○○○○○○○○ ○○○で、登記上の住所は○○○○○○○○○○○○○ですが、住民票の除 票や戸籍の附票を取得しても、一致を確認できませんでした。できませんで した。しかしながら、上記不動産は被相続人の所有に相違なく、これにつき 何か問題がおきましても、相続人全員で責任を負うことを申述いたします。』 4.4.3 遺産分割協議書が複数枚になる場合 ホッチキス で3カ所綴 遺産分割協議書が複数枚になるときは左側 をホッチキスで綴じ、1ページ目と2ペー ジ目の境に相続人全員の実印で割り印を押 じます してください。 ページとページの境い 目に、相続人全員の実印 を押します。 42 自分でできる相続登記 4.5 登記申請書の綴じ方 法務局に登記申請するときは、作成した書類をホッチキスで綴じて提出します。 以下の図のような順番で綴じます。 固定資産評価証明書 ホッチキス で3カ所綴 相続人全員の住民票 じます 被相続人の住民票 相続人全員の印鑑証明書 遺産分割協議書 相続関係説明図 登記申請書 印紙台紙(白紙) 【登記申請書】 複数枚になるときは、1ページ目と2ページ目の境に申請人(不動産をもらう人)の実印にて 「割り印」を押印して下さい。 【印紙台紙】 白紙を追加していただき印紙台紙とします。ここに法務局で登録免許税分の収入印紙を貼 り付けることになります。 【相続関係説明図】 作成者の押印があるか確認して下さい。 【遺産分割協議書】 複数枚になっているときは、ページ間に相続人全員の実印にて「割り印」が必要です。 43 自分でできる相続登記 【印鑑登録証明書】 年齢順に並べて下さい。市区町村ごとに書面サイズが異なりますが、左綴じになっていれば 構いません。 【被相続人の住民票(除票)・相続人の住民票】 被相続人の住民票(除票)を先頭にし、相続人の住民票は年齢順に並べて下さい。 【固定資産評価証明書】 課税価格が確認できる最新のものを添付して下さい。 全てを綴じ終わりましたら、 □ ホッチキスでとじた登記申請書 □ 亡くなった方の戸籍全部 □ 相続人全員の戸籍 をクリップでとめてください。これで登記申請書作成はすべて完成です。 44 自分でできる相続登記 5. 法務局へ登記申請書を提出する方法 5.1 法務局へ持って行かなければならないもの 法務局へ登記申請書を提出するには、以下の持ち物が必要です。 □ 登記申請書と戸籍謄本全部 ホッチキスで綴じたものと、戸籍謄本全部をクリップでとめたもの □ 申請人の実印 書類の記載内容に不備等があった場合に、実印があるとその場で修正してもらえ ます。 □ 現金 登録免許税分の収入印紙を、法務局で購入しなければならないため、現金を用意 してください。 □ 不動産の全部事項証明書 登記申請書を相談コーナーでチェックしてもらう時に必要です。 5.2 法務局での手順 5.2.1 はじめに登記相談コーナーへ向かう。 法務局に着いたら、登記相談コーナーへ向かいましょう。そして、担当の方に「登 記申請書のチェックをお願いします。」と申し出てください。その際に、 「登記申請 書」「戸籍」「全部事項証明書」を担当の方にお渡し下さい。 もし、記載内容に不備等があった場合には、その場で指示がありますので、その 指示に従って下さい。 45 自分でできる相続登記 5.2.2 収入印紙を購入する 登記相談コーナーでのチェックが終わると、次は登録免許税分の収入印紙を購入 することになります。 収入印紙は法務局内で購入できます。 (販売所では登記印紙というものも売ってい ますので、間違えないようにご注意下さい。必ず収入印紙を購入したい、と伝えて ください。) 登録免許税分の収入印紙を購入したら、登記申請書の「印紙台紙」 (白紙)の中央 に購入した収入印紙をすべて貼って下さい。 5.2.3 登記申請書の提出とその後 収入印紙を貼り終わったら、あとは申請(提出)するだけです。受付の方に「登 記申請書を提出したいのですが」とお尋ねいただければ、受け取ってもらえます。 提出すると、登記完了予定日と新しい権利証の受け取り方が書かれた案内文書をも らえます。 そして、登記完了予定日に法務局へ出向いて、新しい権利証を受け取れば、すべ て完了です。取りに行く日は、その日より後の日であれば、何日でも大丈夫です。 もし新しい権利証を取りに行くことができない方は、それらを法務局から郵送してもらう 事も可能です。ご希望の方は、提出の時に法務局の受付の方にお尋ね下さい。 それでは、身分 証をみせてくだ さい。 新しい権利証 を取りに来ま した。 法 務 局 受 付 46 一 般 の 方 自分でできる相続登記 ---おわりに--- その昔、法務局というところは、一般の方が気軽に出入りできるところではありませんでした。 現代のようにインターネットや書籍による情報収集が容易ではなかったため、一般の方が「登記」 というものを理解することがとても難しかったのです。 そのため、法務局の周りには司法書士事務所がたくさんあり、「登記」は司法書士に頼むもの、と いう考え方がありました。 法務局の職員も一般の方に説明するのがとても大変であったため、一般の方が相談にくると「近 所の司法書士事務所に頼んでください。」と言っていたものです。 ところが時代が変わり、国民の権利意識は高まってきました。インターネットの普及により、誰でも 容易に情報収集ができるようになりました。 やがて法務局も「近所の司法書士事務所に頼んでください。」とは言えなくなり、相談コーナーを 完備して、一般の方に親切に対応するようになったのです。 今の日本の政治にはいろいろ不満もありますが、一昔前に比べれば、行政の対応はずいぶんよ くなったと感じています。 47 自分でできる相続登記 本著作物に関する一切の権利は桑島隆二が保有し、 本著から無断で二次著作物を作成及び配布することを禁じます。 本著をオークション等に出品することを禁じます。 本著の一部または全部を引用・転載する場合著者の許諾を得てください。 Copyright(C)2014 桑島隆二 自分でできる相続登記 48
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