あ ら す じ

あ
ら
す
じ
ある日事件は起こった。
閑静な住宅街で、何者かに母親とその子どもが殺害されたのである。
現場に残された証拠から被疑者として浮かび上がってきたのは、
その付近に住む一人の男だった。
男は妻の手術費を得るために、以前から目をつけていた家に誰もいない日を見計らって、
空き巣に入ることを決意したのだった。
しかしここで被告人の計算は狂ってしまう。
誰もいないと思って進入した家には、たまたま母親とその子がいたのだ。
犯行を目撃された被告人は、動揺して2人を殺してしまう。
裁判員に選ばれた会社員の前田研一は、他の裁判員や裁判官と共に悩みながら真実を追い
求めていく。
わざと殺したのか、それとも事故だったのか。
幼いころから経済的に苦しい生活で、辛い思いをさせてきたと証言する被告人の母親と、
命をもって償ってほしいと強く主張する被害者遺族の言葉を聞いて、裁判員の心は大きく揺
り動かされる。
生きて償うべきか、命をもって償うべきか。
究極の選択を迫られた裁判員の結論はいかに―
目
プログラム・公演に当たって
……………1
裁判劇について
人物相関図
裁判劇の流れ
事件の整理
………………………………2
………………………………4
…………………………………6
公判シーンについて
刑事手続について
………………………7
…………………………8
裁判員制度について
死刑の概要
………………………9
次
死刑存廃論
………………………………14
様々な視点から見た死刑
・死刑囚
………………………………16
・刑務官
………………………………17
・被害者遺族
・裁判員
…………………………18
………………………………19
コラム
タイトルについて・終わりに ……………21
テーマについて
テーマの歴史 ………………………………22
………………………………10
キャスト・スタッフ ………………………24
死刑の世界地図
…………………………14
参考文献・ご協力いただいた方々 ………25
第 60 回
Ⅰ
模擬裁判公演プログラム
公演にあたって
模擬裁判実行委員長
Ⅱ
太田 響
挨拶
東北大学法学部教授
吉田 正志
(都合上取り止めになることもございます)
Ⅲ
公演
はざま
迫間
―死刑と裁判員―
〈公演にあたって〉
第 60 代模擬裁判実行委員会
委員長
太田 響
秋も一段と深まり、朝夕はひときわ冷え込むようになりました。私たち東北大学法学部模擬裁判実行委員会の公
演も、皆様のご支援を賜りまして今年で 60 回目となります。東日本大震災の影響を当委員会も受けましたが、無事、
公演を迎えることができました。
当委員会は毎年秋に、法学部生としての視点から社会問題を取り上げ、市民の皆様が法と社会の関わりについ
て考えるきっかけとなる裁判劇を行うことを目的に活動しております。本年度は、「死刑制度と裁判員」をテーマに取
り上げることに決定致しました。
日本における死刑存置の主な理由は「国民感情」に求められております。しかし、今まで、死刑制度に関する情
報はあまり注目されず、市民の皆様が死刑制度について深く考える機会はあまりなかったのではないかと思います。
死刑存置の理由の一つとして「国民感情」が挙げられるのならば、もっと死刑について正面から向き合わなくてはな
らないのではないでしょうか。また、2009 年から裁判員制度が始まり、国民が刑事裁判に関与することとなりました。
一般市民で構成される裁判員は、死刑が求刑されうる事件にも関与することとなります。もう死刑は身近な存在にな
っているとも考えられます。そして、ついに、昨年の 11 月に横浜地方裁判所にて裁判員裁判における初の死刑判
決が下されました。ここ宮城県においても、石巻市で起きた少年事件の裁判員裁判で仙台地方裁判所において死
刑判決が下されています。このような裁判員裁判における死刑判決はマスメディアにも大きく取り上げられ、これを
きっかけに世間では死刑制度への関心が高まりつつあると感じています。
死刑は存置すべきなのか、廃止すべきなのか。死をもって償うとはどういうことか。被害者遺族の願いは本当に
死刑であるのか。死刑求刑をされた裁判員の心境はどのようなものなのか。突き詰めて考えなければならないこと
がたくさんあります。今回の公演が死刑について考えていただくきっかけになると幸いです。
最後になりましたが、本公演に際し、本学法学部長水野紀子教授、吉田正志教授、法科大学院の宮田誠司先生
ならびに内田正之先生をはじめとする仙台弁護士会の方々、東北大学法学部同窓会、先輩諸兄をはじめ、関係各
方面より、多くのご支援を賜りました。ここに実行委員会一同、心より厚く御礼申し上げます。
プログラム・公演にあたって
1
裁判官
右陪席裁判官
左陪席裁判官
裁判長
あ き こ
市川 晶子(44)
保岡
けいぞう
磯村
京三(52)
たかし
隆 (38)
協議
主人公
交際中
裁判員1番
裁判員2番
裁判員3番
前田研一(27)
倉持秀和(62)
矢野
裁判員4番
裁判員5番
裁判員6番
誠治(45)
前田の彼女
桐谷 あおい(25)
え な み
江波 雅人(34)
裁判員
2
人物相関図
ゆ
か
森山 裕香(23)
よ し こ
菊池 美子(52)
弁護人
検察官
主任弁護人
主任検察官
副弁護人
ゆき まさ
ゆ
三浦雄彦(42)
酒井弘美(40)
篠田幸正(56)
副弁護人
たけひこ
弁護
き
岡田有紀(36)
起訴・求刑
意見
親子
支援
質問
被告人の母・証人
被告人
被害者参加人
参加人弁護士
西村
西村 浩司(35)
遠藤 英明(34)
島崎 泰彦(47)
恵子(60)
家族
殺害
家族
被害者
参加人の妻
被告人の娘
被告人の妻
西村
西村沙織(34)
美緒(3)
参加人の息子
遠藤
壮太
遠藤 真奈美
(享年 33)
(享年 3)
人物相関図
(享年 33)
3
①主人公と彼女の会話
「俺も候補者に選ばれたわけだし、心の準備はしておかないとな。」
裁判員の候補者に選ばれた会社員の前田研一が、交際している桐谷あおいと、学生時代に勉強し
た死刑制度に触れながら、裁判について話している。
②接見1
「誰にも見つからずにお金が手に入ればよかったんです…。」
被告人西村浩司が弁護人である酒井弘美に、事件当日のことについて話し始める。
③打ち合わせ
「…私は絶対に彼を許さない。」
被害者遺族の遠藤英明が、被害者参加人として裁判に参加するための打ち合わせを、検察官、参
加人弁護士と行う。
④冒頭手続
「それでは開廷します。被告人は前に出てください。」
川内地方裁判所にて、被告人西村浩治の裁判が開かれる。
⑤証人尋問
「私がもっと早く気づいてあげていればよかったんです。」
情状証人として、被告人の母西村恵子が幼い頃の家庭環境について話す。
⑥評議1
「今回の事件は、被告人に殺害の計画性とその意思が認められるかが大きな争点です。」
第一回の評議で三名の裁判官と六名の裁判員で、殺人の故意・計画性について話し合う。評議が
終わり裁判員が帰った後、裁判官同士で死刑制度について語りあう。
4
裁判劇の流れ
~休憩~
⑦被告人質問
「自分が奪ったものがどれだけ尊いものか、もう一度考えてみてください。
」
⑧接見2
「…それでも、死にたくないんです。」
浩司は裁判が進むにつれて高まる死刑への不安を弁護人に打ち明ける。
⑨主人公の独り言
「だめだ、俺にはわかんない。こんな重い判断俺にはできねぇよ。」
前田は気分転換のために他のことを考えようとするも、どうしても裁判のことを考えてしまう。
⑩弁論
検察官、遺族、弁護人、被告人から最後の主張が行われる。
⑪評議2
「私たちの判断で被告人の運命が決まってしまうんです。」
感情や基準が複雑に絡みあい、裁判員は死刑にすべきか否か迷い、苦悩する。
⑫判決
裁判長が、理由を述べ始める。
⑬主人公と彼女の会話
「死刑って何のためにあるのかな。」
判決後、自分の判断は正しかったのかとあおいに悩みを打ち明ける。
脳裏には、あの日、あの瞬間の映像がよぎる。
⑭主文
「
」
裁判長が、裁判員が、被告人に下した判決とは…
裁判劇の流れ
5
事件の整理
向けたナイフが頸動脈に当たる
被告人(失職中)
被害者(主婦)
西村 浩司(35)
遠藤 真奈美(享年 33)
大声で泣き出したため、口を手でふさぐ
被害者(息子)
・真奈美は左頸動脈離断により失血死
・壮太は窒息により死亡
遠藤 壮太(享年 3)
・西村は被害者所有の預金通帳と印鑑を所持
したまま逃亡
○本件に至る経緯
•
•
•
•
•
6
2010 年 10 月
11 月
2011 年 1 月
5月8日
5 月 12 日
事件の整理
妻の沙織が病気になる
沙織が入院する
浩司、リストラされる
医師に沙織の手術が必要だと告げられる
沙織の手術費のために犯行に及ぶ
公判シーンについて
※演出の都合上、本劇での配置は実際の法廷と異なる部分がございます。
○法廷の配置
裁判官
書記官
速記官
裁判員
検察官
被害者参加人弁護士
弁護人
被告人・証人
被害者参加人
検察官の主張
被告人側の主張
① 被告人は殺害をあらかじめ計画し、
① 被告人は殺害についての計画性も、
殺意をもって両被害者を殺害した。
↓なぜなら
両被害者に対する殺害の故意もなか
った。
② 犯行に用いたナイフは、誰かに遭遇
したら殺害する目的で所持。
③ 殺傷能力の高い凶器を用い、死に至
り やすい首 筋 を 切 り つ け た こ と か
ら、真奈美を殺害する意図があった。
④ 小さな子供の口を手で塞げば窒息死
してしまうことは予測可能。よって、
壮太を殺害する意図も認められる。
↓なぜなら
② 犯行に用いたナイフはあくまで護身
用の目的で所持。
③ 息子を助けようとして屈んだ真奈美
の首筋に偶然ナイフが当たってしま
った。
④ 壮太が助けを求めて大声を上げたた
め、混乱して口を塞いでしまった。
公判シーンについて
7
刑事手続について

刑事手続の流れ
犯人を明らかにして犯罪の事実を確定し、科すべき刑罰を定める手続のことを「刑事手続」と言い
ます。刑事手続には、裁判官、検察官、弁護人などの多くの人が関わり、不当な人権侵害を起こさな
いように互いにチェックをしています。
被疑者と被告人
事件発生後、警察が捜査を経て、犯人を逮捕しま
す。犯人であると特定された人を被疑者と呼びます。
事件発生
警察が検察官へ事件を送り、検察官がより詳しい捜
査をして起訴するかを決めます。ここで、被疑者は起
訴されると、被告人となります。
捜査・逮捕
公判手続とは、検査の結果、検察官が事件を
起訴してから裁判所が審理・判決を行うに至る
手続きです。以下の手順で行います。
公訴提起
不起訴
①冒頭手続
検察官による起訴状朗読、犯罪事実と被告人
への罪名・罰条を示します。
②証拠調べ手続
公判手続
ここでは、証拠品の提示、証人尋問、被告人
質問などを行い、検察側・弁護側双方が、それ
ぞれ主張する事実を立証します。
③弁論手続
検察官が「論告・求刑」によって事実関係や
判決の宣告
公訴・上告
法律適用の意見を述べ、被告人へ科すべき刑罰
を示します。これに対し、弁護人が「最終弁論」
、
被告人が「最終陳述」を行い、最後に意見を述
べることができます。
判決確定
無罪
8
有罪
刑事手続きについて
刑の執行
裁判員制度について
●裁判員裁判の対象事件
1、死刑又は無期の懲役・禁錮にあたる罪に関する事件
2、法律上合議体で裁判することが必要とされている重大事件のうち、故意の犯罪行為により
被害者を死亡させた罪に関する事件
例えば・・・
殺人事件、強盗致死罪、傷害致死罪、身代金目的誘拐・・・etc
●裁判員制度の流れ
•冒頭手続・証拠調べ・弁論手続きに参加します
公判参加 •証拠調べにおいて、被告人・証人等に質問もできます
(公開)
•①有罪か無罪か
②量刑について議論を尽くし、決定します
評議・評決
•裁判員の意見は裁判官と同じ扱いを受けます
(非公開)
• 評決内容が終わると、法廷で裁判官が判決を宣告します
判決
•判決の宣告により、裁判員の職務が終了します
(公開)
「疑わしきは被告人の利益に」
公正な裁判実現のために定められている法理です。
検察官の主張する犯罪事実について、法廷に検出された証拠を調べた結果、合理的な疑いを超
える立証がなされていない場合には、裁判所は無罪の判決を下さなければなりません。
公判前整理手続
検察側、被告人側の双方が公判でどのような主張をするか、どのような証拠を調べるか等、裁
判のどの段階で何をするかを裁判(公判)の前に整理するための手続きです。裁判員裁判は短期
間で判決まで出さなくてはならず、手続きを能率よく進めていく必要があることから、この手続
きを経なければならないことになっています。
裁判員制度について
9
死刑の概要
●はじめに
現在の日本において、死刑は「生きた制度」です。
そして、1999 年の内閣府世論調査では、85.6%が死刑を肯定し、2009 年の読売新聞の
全国調査でも、80%以上が死刑を存続すべきとする結果が出ています。
●死刑が適用される場合
主に、殺人罪や強盗殺人での適用が多い
他 15 種の犯罪が刑罰に
死刑を含む
刑法は刑罰の幅を定めているだけなので、その幅の中で刑を決定しなければなりません。
例えば殺人罪の刑は、死刑から懲役5年までと随分と幅が広いです。
●永山基準
最高裁が昭和 58 年 7 月 8 日に出した判決で示した、死刑の適用基準のこと。
9 つの項目を「総合的に考慮し、やむを得ない場合は、死刑の選択も許される」とした。
現在はこの基準に従って死刑か他の刑にするか判断されています。
【9つの項目】
①犯行の罪質②動機③態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性④結果の重大性ことに
殺害された被害者の数⑤遺族の被害感情⑥社会的影響⑦犯人の年齢⑧前科⑨犯行後の情状
●実際の死刑判断の傾向
しばらく前までは、一般に③殺害方法の残虐性と④被害者の数によった「相場」といわれる
ものがありました。
たとえば、殺人の場合は…
4人以上殺害
ほぼ死刑
3人または2人殺害
強盗殺人など残虐な方法による場合は死刑が多い
1人殺害
死刑判決は回避されることが多い
しかし、現在は厳罰化の影響により、たとえ被害者が1人であっても死刑判決が出されるケー
スが増えてきています。その例として、平成 20 年 2 月 29 日の最高裁の判決では、覚せい剤取
締法違反の懲役からわずか9ヶ月後に、女性を強姦し、意識のあるまま火をつけて殺害した事
件において、死刑が下されています。
厳罰化の傾向
90 年代末から、死刑基準を緩めるよう検察官側から働きかけが強まり、厳罰化を求
める世論にも押される形で、最高裁も、
「罪責が誠に重大ならば、とくに斟酌する事
情がない限り、死刑にするほかない」として、原則死刑の積極的姿勢をとりました。
10
死刑の概要
●どのように死刑が執行されるか
死刑執行命令
•検察からの資料を判断材料として、法務大臣が命令書に
サイン
•サインから五日以内の死刑執行が確定
死刑囚出迎え
•執行当日の朝、死刑執行を宣告する(自殺防止のため)
•死刑囚を刑場へ連れて行く
執行前段階
•教誨を受けたり、遺書を書いたり、最後の一服ができる
•分単位の執行スケジュールのため面会は出来ない
•一時間後には執行
•手足を縛り、目隠しをする
•踏み板の上に立たせて首に縄をかける
執行準備
•暴れないように死刑囚の身体を押さえる
•5人の執行官がスイッチを押し、踏み板が外れる
執行
•心拍停止して5分経過により、執行終了
•遺体を下ろし、首から縄を解く
•遺体をアルコール消毒する
執行終了
●死刑運用の大きな変化
近年は、死刑判決の変化だけでなく、死刑の執行、あり方にも変化が見られます。
1998 年、死刑執行の事実と人数の公表開始(中村法相)
死刑の透明化
2007 年、死刑執行者の氏名の公表開始(鳩山法相)
厳罰化により、第一審死刑判決の増大
1990 年代は年平均 4.8 件→2000 年代は年平均 12.3 件
死刑の拡大
→未執行死刑囚 104 名(2009 年)
2007 年以降、死刑執行数も拡大傾向
25
近年の死刑判決と
23
21
20
15
死刑執行の動向
15
15
12
9
10
死刑確定者数
10
7
死刑執行数
4
5
1
0
H17
H18
H19
H20
H21
11
死刑の概要
死刑の世界地図
EU 諸国(死刑廃止が加盟の条件)
<ドイツ>
第2次大戦のナチスドイツの反省が大きい。当時、死刑が大量
に行われたことから、国家に人を殺す権利を持たせることへのア
レルギーが強く、1949 年のボン基本法で死刑を廃止した。ナチス
幹部はそれに先立つニュルンベルク裁判で処刑された。
<フランス>
フランス革命以来の伝統のギロチンによる斬首刑を執行し続けていたフラ
ンスは、欧州の先進国で最後まで死刑を残した。1981 年ミッテラン政権の下、
「政治主導」で死刑が廃止された。その決定翌日の世論調査では、62%が死
刑存続を支持した。
死刑支持の世論は仏でその後、凶悪事件発生の際に高まるなど揺れを見せな
がらも、次第に下落。2006 年の世論調査では反対が 52%だった。ただ、死刑
支持も 42%であり、市民の間では死刑を支持する声は少なくない。
<イギリス>
戦間期から戦後にかけて、何度も、期間を限って試験的に死刑を廃止する
法案が国会に出されたが否決された。ところが、50 年に処刑された男性が
実は無実だったことがのちに判明し、廃止議論が本格化。69 年に死刑が廃
止された。
「誤判の恐ろしさ」が廃止に結び付いた。
<カナダ>
カナダの死刑の歴史で特徴的なのは、警察官刑務官殺害罪の死刑規定で
ある。1976 年に、同罪から死刑規定が排除され、一般刑法から死刑が完全
に排除された。今や、死刑廃止推進国の主な国の一つである。
<南アフリカ>
1990 年に死刑廃止。現在、犯罪の急増により死刑復活の議論が盛んである。
首都のヨハネスブルクは世界で一番治安の悪い地域として有名だ。但し、死刑制
度が犯罪の抑止に繋がるという論拠には疑問が残る。
12
死刑の世界地図
<中国>
02 年に誕生した胡錦濤政権は、
「少殺」を政治の方針として掲げている。「少殺」と
は死刑の数を減らせという意味だ。急速な経済成長で市民の人権意識が次第に高まって
いることを受け、法治を進める姿勢を示そうとした。経済大国として国際的批判を意識
した面もあるようだ。
中国政府は、死刑執行の数を「国家機密」として発表していない。人権団体のアムネ
スティ・インターナショナルは、09 年の死刑執行数は推計で数千件に上るとみる。
中国で死刑になる可能性のある犯罪の範囲は極めて広い。汚職など経済犯罪や強盗、
窃盗、詐欺でも死刑になり得る。さらに、国家の安全に深刻な危害を加えれば死刑にな
る。中国の死刑は「統治の道具」という色彩が濃い。
<韓国>
韓国では、金大中政権以降死刑執行が止まり、一度も執行されないまま 13 年が経
っている。国際人権団体は、韓国を「事実上の死刑廃止国」と認定した。
法律上は、死刑制度が存続している。この 13 年間で、毎年 3.6 人の死刑判決が確
定しているため、死刑囚はどんどん増えている。凶悪事件が起きると執行再会の声が
高まる。世論調査では国民の 6 割り以上が死刑を支持している。
「事実上の廃止国」
といっても、
「制度上の死刑廃止」までの距離は遠い。
<アメリカ>
米国では 35 州で、死刑が維持されている。陪審制という制度上の問題もあり、安易
な死刑判決が多く、冤罪事件も多く判明している。テキサス州では、米国で初めて無実
の人の死刑を執行した可能性が浮上し、死刑廃止の議論が過熱している。
ところが、世論では死刑支持の声も根強い。「罪を犯したことを社会のせいにすべき
ではない。個人の問題だ」
。そんな考え方が米国の死刑制度の根底にある。
<イラン>
イランの死刑は、日本と同じ絞首刑が基本だが、既婚者の不貞行為だけは、イ
スラム法で石うち刑と定められている。男性は腰まで、女性は胸まで土に埋め、
死ぬまで石を投げつける。イスラム法は、信者の全てを律する規範。いわば「神
の命令」だ。イランでは、強姦や同性愛なども死刑に当たる。
死刑の世界地図
13
死刑存廃論
●死刑存廃に関する議論は、世界各地で繰り広げられ、数多くありますが大まかにまとめる
と以下の図のようになります。
~死刑は必要である~
死刑存置
人を殺したのだから
死ぬべきという国民感情
(応報論)
遺族の感情を
満足させる
(被害者保護)
死刑がなければ犯罪が
増える(一般予防)
~死刑は廃止すべきである~
死刑廃止
誤判の危険
死刑は取り返しがつかない
遺族は死刑により
救済されない
国家は殺人を禁止している
(死刑は自己矛盾)
更生の余地がないから
死刑しかない
人道上死刑は野蛮で残虐
(憲法違反)
(特別予防)
死刑制度は、人の感情が大きく関わる事柄でありながら、
罪刑の均衡の点でも非常に重要であり、複雑な問題である。
理論や感情、宗教観、倫理観など多くの観点からの思索を必要とし、
今なお明確な決着がついていない。
14
死刑存廃論
主な論点
①遺族は本当に、死刑制度により救われるのか
死刑存置派の多くは、死刑判決が遺族にとって事件に対する区切りになるとしています。
しかし、日本の殺人事件で死刑が求刑されるのは、2000 件のうち、およそ一件だけに過
ぎません。そして、遺族の感情に十分に配慮するとしたら、江戸時代並みの基準で死刑が求
刑されなければいけません。もちろん、そのような状況は死刑存置論者も望むものではない
ですから、死刑制度があるからこそ、自らの関わる事件で死刑判決が下らなかったことで、
多くの遺族や被害者に新たな悲しみと憤りが生じてしまうことがあるのです。
そしてたとえ死刑が執行されても、当然被害者が戻ってくるわけではありません。
②誤判の危険性
人間が全能でない限り、誤判の可能性から逃れられません。懲役刑の場合は、確かに、失
われた時間それ自体を取り戻すことは出来ないにせよ、再審により無罪を証明し、賠償金を
支払われることで、一定程度救済されます。しかし、死刑が執行されてしまうと、その生命
は何をもってしても取り戻すことは出来ません。これが、廃止論の大きな理由の一つです。
これに対し、存置論の立場からは全く誤判の可能性がないのなら、死刑にすべきではない
のか、という反論があります。すなわち、犯人が現行犯逮捕され、多くの目撃者がおり、被
告人の自白もあるような、疑う余地の全くない重大で、悪質な犯罪に対しては、死刑を適用
してもいいのではないかという考えです。
③死刑制度の合憲性
憲法 36 条は「公務員による残虐な刑罰はこれを絶対に禁止する」としています。死刑と
は、人間の根源である生命を永遠に奪う刑罰であり、特別なものです。国際的には、非人道
的で野蛮として、廃止に向かっていることから、死刑は残虐な刑罰であるとも考えられます。
しかし、死刑を支持する国民の意識や、死刑の限定的適用の現状を理由として、憲法違反
ではないとする意見もあります。死刑制度は時代と環境により変容するものであり、立法に
よる廃止または改善も当然に認められるが、死刑に対する、社会一般の寛容性の基準と罪刑
の均衡を考えると、死刑は過剰な刑罰とはいえないとするものです。
またここでは、
「国民の意識」が重要な判断の基準となっています。
死刑存廃論
15
様々な視点から見た死刑~死刑囚~
日本における死刑制度にはいろいろな人がかかわっています。死刑を受ける「死刑囚」
はもちろんのこと、死刑を執行する「刑務官」
、法廷において意見を述べられるようになった
「被害者遺族」
、そして死刑と言う決断を下す「裁判員」
。
これらの立場から見た「死刑」とは、一体どのような制度なのでしょうか?
ここからは、それぞれの「死刑」に対する心情について追及していきます。
● 収容所内での死刑囚の生活
①日常(某拘置所の例)
死刑囚は、拘置所の独居房と呼ばれる狭い個室で暮らします。基本的に、面会・入
浴・運動・食事以外は独居房で座って暮らしますが、希望を出せば作業をすることが
でき、それによって報酬を得ることができます。報酬を被害者遺族の方々へ送る者も
少なくありません。
②宗教教誨
死刑囚は仏教・神道・キリスト教の宗教家による教誨を月に一度、刑務官の立ち会い
の下、受けることができます。死刑囚の胸のうちにある「地獄が怖い」という不安から、
地獄に行かない方法を求めて宗教教誨の希望を出願します。しかし、罪への償いの気持
ちから、被害者の魂の救いを願う者が多いようです。
●「死刑」に対する心情
①「いやです!それだけは許して下さい!」~死刑囚手記より~
朝の掃除を終わって間もなくのことだった。突然、廊下に大勢の靴音が高らかに鳴り響
いて来たのである。お迎えだ!お迎えに違いない!地獄の使者のような靴音。瞬間僕の魂
は震え上がった。
僕は吸い寄せられるように扉に近づいた。胴震いしながら視察孔から廊下の左の方を伺
った。胸の動悸を全身に感じながら、僕は必死で見ていた。いやです!それだけは許して
下さい。僕を死刑台に立たせるのだけは許して下さい。
「いつお迎えが来るか分からない。
」その恐怖に毎日怯える。
②「被害者の魂を御救いください。
」
~元刑務官の手記より~
「では、命によりただいまから死刑を執行する。
」部長は胸を張り、いっそう深く息を吸
ってから言った。死刑囚 B は頭を下げてから手を合わせ、目を閉じてから小声で言った。
「私は本日まで生き永らえてしまいました。本当に申し訳ありませんでした。反省と善い
魂になることが償いと思って今日までまいりましたが・・・」B は声を詰まらせた。数
秒の静寂の後、B を処刑室に連れて行った。
「B、そろそろお別れだが、何か言い残したことはあるか?」B は頷き教誨師に向かっ
て言った。
「先生、被害者の方たちの魂を御救いください。お願いします。
」
16
様々な視点から見た死刑~死刑囚~
様々な視点から見た死刑~刑務官~
● 刑務官の仕事
①死刑囚の心身保護・警備
罪を犯して収容された人に、考え方・ものの見方のアドバイスや悩みごとに対する指導な
どを通して再び過ちを繰り返さないよう指導をし、併せて刑務所・拘置所等の保安警備の任
に当たります。
死刑囚処遇の原則
意義)死刑囚には死刑執行の瞬間まで心身ともに健康でいてもらわなければならない。
そこで、刑務官の職務執行規定において、死刑囚処遇の原則が定められています。
内容)
・逃がさず(脱獄の防止)
・殺さず(自殺の防止)
・狂わさず(精神病を発症させない)
②死刑執行
刑務官は職務命令が出た場合、死刑執行にあたらなければなりません。もし拒否した場合は
退職を余儀なくされるため、拒否することは許されません。
※執行手順については、概要参照⇒11 ページ
● 刑務官の心情
①「今まで世話をしてきた刑務官が死刑囚の首に縄をかける。言うに言えない心の負担」
「刑が確定した死刑囚の多くは、一度は自暴自棄になる。これを親子のように一緒に泣き笑いし
て信頼関係を築き、償いの気持ちを持たせられるのは刑務官しかいない。心から反省して『お世話
になりました』と言って死んでいってほしい」 。それが、死刑囚の処遇にかかわる刑務官にとって
せめてもの救いだ。更生を願い気を使って接してきた同じ刑務官が、今度は手にかける「後味の悪
さといったらない」
②「自分の手で命を奪う苦痛」
初めての死刑執行の後、ある刑務官は自転車のハンドルを握ろうと思ってもそれがさっき死刑囚に
掛けたロープのような気がして自転車にも乗れない。ではやがて慣れるのか?実はそうではない。何
度やっても何度やってもその分だけ自分の人生にのしかかってくるという。自分に元気な子供が生ま
れた事を聞いたある刑務官は大声をあげて泣く。「こんな仕事をしているんだからまともな子が授か
るわけがない。」「どんな子供が生まれても自分の因果だから仕方がないが、子供に何かあったら子
供には何の責任もないのに申し訳ない。」という気持ちになると言う。冷静に考えれば祟りなんてあ
るわけがない。しかし、多くの刑務官がそういう思いに苦しめられる。
様々な視点から見た死刑~刑務官~
17
様々な視点から見た死刑~被害者遺族~
被害者参加制度導入により、被害者遺族も自らの犯人に対する思いを法廷で告げられるよう
になりました。彼らは一体どのような思いを胸に秘めているのでしょうか?
● 被害者参加制度における被害者(遺族)の権利
2008 年に導入された被害者参加制度により、これまでは裁判を見守ることしかできな
かった刑事事件被害者が法廷において意見を述べることができるようになりました。
①裁判準備段階
・検察官の権限行使(起訴、質問、証拠の提出等)に関し意見を述べ、説明を受けること
②裁判中
・公判期日に出席すること(法廷に出席できる)
・情状証人に尋問をすること、被告人に質問をすること
・検察官による論告・求刑の後に事実関係や量刑について
意見を述べる
● 「死刑」に対する思い
①「息子の無念晴らして」被害者父親が死刑求刑。連続リンチ殺人
被害者少年A(当時 19 歳)は、被告人らグループに因縁をつけられ、友人と共に車で連
れまわされたのち、河川敷で金属パイプで滅多打ちにされ、亡くなった。父親は判決を
前に、「息子の無念を晴らす判決を。死刑以外は望んでいない」ときっぱり主張した。
「来年は成人式で、ほぼ就職が内定していた矢先に、なぜこんなことになってしまっ
たのか。
」
「被告人たちの反省の気持ちが伝わっても、刑は残忍な犯行に対する結論。謝
罪とは別なんです。」と後の会見で語った。
②「もっと生きて、償いの気持ちを伝え続けてもらいたかった。」被害者兄、死刑執行
停止の上申書提出
被害者Aは雇い主である被告人Xに保険金を掛けられた上、頭部を鉄棒で殴られ殺さ
れた。
Aの兄Bは一審の証言台で「極刑以外考えられない」と死刑を求めた。しかし、その
後、被告人からの手紙を読み、実際に面会することを通して、悔いているという被告人
の気持ちを信じたいと思うようになった。
「彼にはもっと生きて、償いの気持ちを伝え続けてもらいたかった。死刑からは何も
生まれない。」
18
様々な視点から見た死刑~被害者遺族~
様々な視点から見た死刑~裁判員~
●
はじめに
裁判員制度が導入されて2年が経過し、現在(平成23年7月)実に8例死刑判決が下されました。
裁判員として判決を下した方々は「死刑」を選ぶうえでどのような事を考えたのでしょうか?
初の死刑求刑「死刑を宣告することの重みを感じた」東京地裁平成 22 年 11 月 1 日判決
<事案>
被告は、耳かき店の従業員Y1を殺害する目的でY宅に侵入し、Y1と偶然居合わせたY2を殺害した。
「死刑」か「無期懲役刑」の選択が問われ、結論として無期懲役刑が科せられた。
<会見中の裁判員の言葉>
・「死刑求刑は想定していましたが、刑の重みを改めて実感し、重いことをしたのだと感じました。
」
・「裁判に参加して、この経験を絶対に忘れてはいけないと感じています。判決を出せばすっきりするかと思
ったがそうではなく、いろんな人の心情を考えると胸がいっぱいになります。
」
初の死刑判決「本当に重い。思い出すと涙が出そう。」横浜地裁平成 22 年 11 月 16 日判決
<事案>
金品強取のため男性2人を拘束・監禁し、口封じとして1人をナイフで、もう1人を電動ノコギリで殺害し
た事案。検察が死刑求刑をし、遺族も死刑を強く望んだのち、結論として初めての死刑判決が下された。
<会見中の裁判員の言葉>
・「死刑判決を下すことに加担はしたくはないが、日本には死刑が極刑としてあります。量刑の公平さを考え
て刑を判断しなくてはなりません。
」
・「心理的負担は大きく、裁判官が死刑宣告をした時に泣いてしまいました。本当に重い。
」
少年犯罪における死刑判決「死刑求刑が重くのしかかった。」仙台地裁平成 22 年 11 月 25 日判決
<事案>
当時 18 歳の少年が、Y1に復縁を迫り、Y1の姉・友人2人の計3人を殺害してY1を連れ去った事案。
職業裁判官でも悩むと言われる少年への死刑求刑に対し、事件の凶悪さから死刑判決が下された。
<会見中の裁判員の言葉>
・「公判中、被告側・被害者側とも涙を流す場面があり、その姿を踏まえてどういう結論を出さないといけな
いのかを考えた時が一番つらく、苦しかったです。
」
s
・
「裁判員に選ばれた以上、きちんと世間へメッセージを出さないといけないと思い、苦悩の末決断を下した。
」
様々な視点から見た死刑~裁判員~19
あなたは、
人を、
死刑に出来ますか?
タイトルについて
2009年に裁判員裁判が始まり、市民の司法参加の道が開かれました。
裁判員は重大な刑事事件を裁判官とともに判断することとなり、それには今年の劇
のテーマである死刑求刑裁判も含まれています。
被告人の命が関わる死刑求刑裁判では特に裁判員としての責任は重く、裁判員に選
ばれた人はとまどいや葛藤の中で答えを出すのだと思います。
今年のタイトルの「迫間~死刑と裁判員」は、被告人や遺族、証人として出廷する
被告人の母親、そして裁判官や他の裁判員などの主張を聞いて、被告人を死刑にすべ
きか否かの「はざま」で悩む裁判員の心境を表しています。
編集後記
死刑とは何でしょうか。何のためにあるのでしょうか。
私たちの普段の生活の中で、死というものに触れることは決して多くはありません。
まして人の生死を決めることなど、全くといっていいほどないでしょう。しかし、裁判
員制度は、まさにその判断を市民に求めています。裁判員制度が始まったことで、より
顕在化してきた「人が人を裁くことの難しさ」
。裁判員を経験した多くの方が自分の一
票の重みに、戸惑い、最後まで自分の判断は本当に正しいのかと苦悩しています。特に、
死刑求刑裁判においては、被告人の生死を左右するほどの重みが自分の一票にあるので
す。そして、私たちはその立場にいつか必ず立つことになります。そのとき、この重み
に潰されてしまわないように、決して投げ出さず、正面から悩み、ぶつかっていけるよ
うに、死刑について考えてみてはどうでしょうか。
「死刑について考えるヒントになるパンフレットを作ろう。
」
これが私たちの目標でした。死刑概論から裁判員の声まで、流れに沿って死刑につい
て深く考えを掘り下げていけるようにしたつもりです。死刑はさまざまな側面を持って
います。この裁判劇をきっかけに、現行法上の死刑の運用について、さらには死刑の可
否にいたるまで、死刑と向き合ってみていただけたらこれほどうれしいことはございま
せん。
タイトルについて・編集後記
21
テーマの歴史
1952
第1回
婚姻予約不履行に基づく損害賠償請求事件
1953
第2回
殺人事件をめぐる刑事事件
1954
第3回
離婚等請求事件
1955
第4回
尊属殺人事件
1956
第5回
離婚等請求事件
1957
第6回
安楽死
1958
第7回
子女引渡し請求事件
1959
第8回
激情殺人事件
1960
第9回
賃借権存在確認訴訟
1961
第 10 回 少年殺人事件
1962
第 11 回 『生命の価値』-交通事故による損害賠償請求事件-
1963
第 12 回 『私は知らなかった』-酩酊殺人事件-
1964
第 13 回 『被害者は誰か』-酪農民の自衛隊法違反-
1965
第 14 回 『谷間からの出発』-健康で文化的な最低生活をめぐるある行政事件-
1966
第 15 回 『民事法廷第三部』-あるサリドマイド奇形児の損害賠償請求事件-
1967
第 16 回 『かすかなる羽音』-結婚退職制をめぐるある女性の訴え-
1968
第 17 回 『繁栄の代償』
(公害問題)
1969
第 18 回 『迫られる決断』-安保条約をめぐって-
1970
第 19 回 『当世持家悲哀桜』(土地所有権確認訴訟)
1971
第 20 回 『二人の妻』-或る遺産相続をめぐって-
1972
第 21 回 『鳴りつづく警鐘』-ある公害訴訟事件-
1973
第 22 回 『残された人々』-ある交通事故をめぐって-
1974
第 23 回 『母子心中事件』
(親子心中)
1975
第 24 回 『失われた絆』-ある親子関係をめぐって-
1976
第 25 回 『アトリエのあった家』-夫の財産を妻は売れるか-
1977
第 26 回 『冬来たりなば』-官公労働者のスト権をめぐって-
1978
第 27 回 『ある医師の倫理』-人工呼吸器の遮断は殺人か-
1979
第 28 回 『倒壊』-ブロック塀訴訟の行方-
1980
第 29 回 『根雪』-働く女性の問題を考える-
1981
第 30 回 『急ぐ人』-新幹線公害訴訟-
1982
第 31 回 『密室』-裁かれる教科書検定-
1983
第 32 回 『視線』-プライバシー訴訟-
1984
第 33 回 『死の臨床』-安楽死は許されるのか-
テーマの歴史
22
1985
第 34 回 『幸福な光景』-婚約破棄慰謝料請求事件-
1986
第 35 回 『かげふみ』-「いじめ」損害賠償請求事件-
1987
第 36 回 『食卓』 「単身赴任」の構図-配転命令無効確認訴訟-
1988
第 37 回 『ささやき』-「犯罪報道」名誉毀損訴訟-
1989
第 38 回 『戻らぬ足音』-「過労死」労災認定をめぐって-
1990
第 39 回 『少年の資格』-少年犯罪の背景にあるもの-
1991
第 40 回 『豊かさの代償』-身近なゴミ問題を再考する-
1992
第 41 回 『鼓動』-脳死は人の死と認められるか-
1993
第 42 回 『波紋』-あるセクシャル・ハラスメント訴訟から-
1994
第 43 回 『家族の肖像』-息子は殺されるしかなかったのか-
1995
第 44 回 『失われた刻』-有罪と無罪のはざまで-
1996
第 45 回 『境界線』-なぜ「安楽死」は起こってしまったのか-
1997
第 46 回 『癒えない傷』~死刑制度を考える~
1998
第 47 回 『少年A』-今、岐路に立つとき-
1999
第 48 回 『死角』~夫・恋人からの暴力を考える~
2000
第 49 回 『僕のこと、すき?』~児童虐待・すれちがう親子の想い~
2001
第 50 回 『心、尽きる』~過労自殺・命より大切な仕事って何ですか~
2002
第 51 回 『一葉の雫』~医療事故・医療の生んだ明と暗~
2003
第 52 回 『レッテル』~内部告発への視線~
2004
第 53 回 『ふたりぼっち』~高齢者介護の在り方~
2005
第 54 回 『青写真』-欠陥住宅問題-
2006
第 55 回 『添え木』-少年非行問題-
2007
第 56 回 『ヒトゴト』-裁判員制度-
2008
第 57 回 『安らぎの夢』-「尊厳死」を考える-
2009
第 58 回 『残響』 - 冤罪と裁判員 -
2010
第 59 回 『灯』-犯罪被害者を見つめなおす-
2011
第 60 回 『迫間』―裁判員と死刑―
夢の“わが家”へ続く道
*第 1 回から第 10 回までは、詳細な資料がないため事例のみの記載となっています。
東北大学法学部模擬裁判実行委員会からのお知らせ
東北大学法学部模擬裁判実行委員会ではホームページを開設しております。今回の
公演に対するご意見、ご感想などはホームページまでお寄せください。当実行委員会
の活動についての質問もお待ちしております。
http://www.geocities.jp/tohokumogisai_web/
テーマの歴史
23
第 60 回模擬裁判公演『迫間』

キャスト(1 年生)
<役柄>
裁判員
<役名>(役の性別・年齢)
前田
裁判員
裁判員
裁判員
裁判員
裁判員
被告人
証人(被告人の母)
前田の彼女

『hazamhazama』
研一(男・27)
丸崎 潤也(1)
倉持
秀和(男・62)
五十嵐 涼介(1)
矢野
誠治(男・45)
佐々木 俊輔(1)
江波
雅人(男・34)
後藤 太一(1)
菊池
美子(女・52)
見上 佳(1)
森山
裕香(女・23)
赤坂 真理絵(1)
西村
浩司(男・35)
南 浩太朗(1)
西村
恵子(女・60)
櫻井 千子(1)
桐谷 あおい(女・25)
渡辺 奈津美(1)
※
都合上変更となる場合がございます
裁判長
保岡
京三(男・55)
佐藤 智哉(1)
右陪審
市川
晶子(女・44)
谷田部 絢(1)
左陪審
磯村
隆(男・38)
牧野 嵩平(1)
検察官(主)
三浦
雄彦(男・42)
中村 昌平(1)
検察官(副)
岡田
有紀(女・36)
外山 和子(1)
弁護人
篠田
幸正(男・56)
古川 涼平(1)
弁護人
酒井
弘美(女・40)
高田 奈央美(1)
被害者参加人弁護士
島崎
泰彦(男・47)
大川 智司(2)
被害者参加人
遠藤
英明(男・34)
佐々木 春平(1)
スタッフ
委員長
太田
響(3)
副委員長・外務
佐々木
翔(3)
外務
鈴木
光明(3)
久慈あゆみ(2) 佐藤克唯毅(2)
総務・財務
鈴木
寛隆(3)
志摩
一樹(2) 清水
崇大(2)
★高橋
実里(3)
夏井
孝仁(2) 深澤
希未(2)
高橋
純(3)
大道具 上舘
佑美(2)
久富
詩織(2)
山口
哲史(3)
黒森
皇太(2)
神
拓矢(2)
★蛯沢夏生菜(3)
高橋
諒(2)
早川
理(2)
米谷
智己(2)
松本
悠司(2)
★手嶋
克泰(2)
チケット販売
脚本
パンフレット
助演
翔太(2) 上田
大川
智司(2) 川村健太郎(2)
貴大(3)
古澤
知之(3)
細金
祐希(3)
阿部
瑠璃(2)
影山
遼(2)
★井上
静佳(3)
倉谷
麻耶(2) 白戸
祐丞(2)
麻沙美(2) 吉田
直弘(2)
★高瀬
舞(2)
直史(2)
広報・記録・撮影
星
綿谷
勇人(3)
衣装・メイク
東
健幸(3)
赤津
翔太(2)
安生
加藤
由衣(3)
影山
美郷(2)
小岩楓美香(2)
舞台監督
海老原
効果・美術
和田知佳子(3)
星野
俊(3)
総務
家城
松原
俊介(2)
宣行(2) 井上
瑞季(2)
夏子(3)
※
24
俊輔(2)
鈴木
小野悠紀子(3)
演出
安齋
第60回模擬裁判公演
キャスト・スタッフ
★は各チーフ
参考文献・WEB サイト
―参考文献―
・坂本敏夫『死刑と無期懲役』筑摩書房、2010 年
・大塚公子『死刑執行人の苦悩』角川書店、1993 年
・読売新聞社会部『死刑』中央公論新社、2009 年
・田中開・寺崎嘉博・長沼範良『刑事訴訟法 第3版』有斐閣、2008 年
・伊藤和子・寺中誠『裁判員と死刑制度‐日本の死刑司法を考える』新泉社、2010 年
・小早川義則『裁判員裁判と死刑判決』成文堂、2011 年
・葛野尋之 法学セミナー678 号 34 頁『死刑事件の裁判員裁判』日本評論社、2011 年
・デイビット・T・ジョンソン 法学セミナー678 号 42 頁『日本の死刑裁判における被害者
と感情』日本評論社、2011 年
・山脇岳志 木村祐治 グローブ 第 50 号『死刑の世界地図』、朝日新聞社、2010 年 10 月 18 日
―web―
(参照日時:2011.09.01)
・死刑廃止と死刑存置の考察
http://www.geocities.jp/aphros67/090620.htm
・時事ドットコム http://www.jiji.com/
・検察庁 http://www.kensatsu.go.jp/
・法務省 http://www.moj.go.jp/
・最高裁判所 http://www.courts.go.jp/saikosai/
・警察庁 http://www.npa.go.jp/
・日本弁護士連合会 http://www.nichibenren.or.jp/
・毎日jp http://mainichi.jp/
―画像提供元―
S-hosino.com http://www.s-hoshino.com/f_photo/s_mori.html
ご協力いただいた方々
ここで今回の公演にあたってお世話になった方々をご紹介し、御礼を申し上げます。
・水野 紀子 教授(東北大学法学研究科長・法学部長)
・吉田 正志 教授
・宮田 誠司 検察官
・内田 正之 弁護士
(順不同)
その他、各方面の方々からご協力いただきました。
参考文献・WEB サイト、ご協力いただいた方々
25