たんぽぽ新聞 東京での楽しみ 小児科関係の委員会出席が重なり、東京へ行く機会 が増えています。駅弁は、新幹線での楽しみのひとつで すが、名古屋駅で買うときは八丁味噌のとんかつ弁当、 帰りの東京駅で買うときは、あさりが入った深川飯というの が大好きです。 委員会というのは、2時間くらいが多いので、前後の 時間を使って、上野公園にある博物館・美術館めぐりをし ています。たとえば、東京国立博物館では、神話の時代 より発掘される勾玉(まがたま)を見ました。勾玉は三種の 神器のひとつです上のイラストがその姿ですが、なにか胎 児に似ていませんか?昔は一生かかって作りあげたそう です。 西洋美術館は、建物自体が世界遺産になっていま す。一階から、階段を上り、らせん状に出品物を見物でき ました。ゆとりのあるつくりです。国立科学館では、フラン スのラスコー洞窟の壁画が見られます。クロマニョン人とい う人間が描いた大昔の牛や鹿の絵を見ているだけで、そ の時代の様子が浮かんできます。イギリスは当時、氷河で 覆われていて存在しなかったというのも驚きでした。日本 も大陸とつながっていた時代です。 最後に東京都立博物館では、ゴッホとゴーギャンの 絵画展をやっていました。ゴッホの自画像は、当時、自分 で鏡を見て描いたそうですが、まるで「自分とは何者だろ うか?」と問うているような迫力ある絵でした。この絵画展 は、次に名古屋でも公開されるそうです。都内はピタパで すべていけますので、便利です。でも歩きなれていない 私には都会は足が疲れます。 第82号 うめもとこどもクリニック 12/6/2016 津市塔世橋よこ Tel 222-2332 電話予約(音声) 213-5050 当日受付専用電話090-7034-4996 ホームページ http://umekuri.com 携帯 http://umekuri.com/i/ ブログ http://umekuri.dreamlog.jp/ またインフルエンザの季節がやってきました。11月 の中旬、三重テレビから電話がかかり、「明日放映 のニュースのためにインフルエンザワクチン事情を 収録に行くのでよろしいでしょうか」とのこと。事前 打ち合わせもなく、ぶっつけ本番です。一色アナ ウンサーとカメラマンがみえました。いろいろお話 したのですが、80%はカット。実際の放映の場面 では、私の出番のスタートの大事な言葉が抜けて いて、おしゃべりのはじまりのところ「今年は例年に 比べ、来院者の出だしは8割程度と少ないです」と なりました。視聴者はきっとインフルエンザの患者 さんの出だしが少ないと思われたのではないかと 思います。実はワクチンを受けられる方の出だしを お話したのです。次の日、4名くらいの人に「先生、 みましたよー」と言われました。一色アナウンサー もがんばって注射をしていかれました。 子どもの自立と依存 月齢9ヶ月の赤ちゃんと記憶 9ヶ月の赤ちゃんはそろそろつかまり立ちができる ようになってきます。お母さん以外の人を見ると、 泣き出して、人見知りもみられます。この月齢にな ると、それまでとはちょっと違った仕草も見られる んですよ。それは、9ヶ月までの赤ちゃんでは、目 の前にあったボールが物の影に隠れてみえなく なると、「ボールはなくなってしまった」と思うのか、 あたかも忘れてしまったかのように素知らぬふりを します。 これが、9ヶ月を過ぎると、赤ちゃんは、眼の前 からボールが消えると、「どこに消えたのかな?」と いうような顔つきで、隠れた物の後ろを覗き込むよ うになります。これは、視覚では消えても、頭の中 には、見えていたボールの記憶が残るということ です。 歳をとると、記憶力も鈍くなってきますが、さっ き起こったことを持続して覚えていることが苦手に なってきます。これを短期記憶といいます。ワーキ ングメモリーともいいます。記憶のほうも、歳をとる とまた赤ちゃんのように減弱し、赤ちゃんに帰って ていくようにも思えます。 記憶の話が出たついでに、それに関連したお話を させていただきます。よく介護の分野では、「要介 護」という言葉を耳にします。要介護5というのは寝 たきりの状態で、自分ではなにもできません。そうい う意味では生まれたばかりの赤ちゃんは要介護5で す。すべてを保護者の介護に依存しています。そ れがだんだんとお座りできるようになり、自分で立ち、 お話もできるようになって、介護度が減ってきます。 つまり、赤ちゃんのときは、保護者に100%依 存して生きていますが、次第に依存度が減り、逆に 自立度が増えていきます。昔は自立が早かったの ですが、現在では完全に親に頼らなくても自立して 生きていけるのは、20歳でしょうか?ひょっとすると 23歳くらいかもしれません。 成人して、自立して他の人のために働いて、齢 をとると次第にまた、自分ひとりで生きて行くのが難 しくなり、介護をうけて、一生を終ることになります。 政治を考える人たちは、将来、この介護を必要とす る子どもと老人を一緒にケアする包括ケアという政 策を考えています。
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