シリーズ 野生きのこ紹介 木材きのこグループ N O .7 松本 エノキタケ 哲夫 <食用> キシメジ科エノキタケ属 晩秋から春にかけて、広葉樹の枯れ木や切り 株に生えるきのこです。低温を好むため、真冬 の雪の中でも発生が見られます。人工栽培が盛 んに行われ、有名なきのこであるにもかかわら ず、野生のものは栽培品と色、形が全く異なる ため、エノキタケとわからないことも多いよう です。野生では褐色ですが、栽培品種は真っ白 で、ひょろりと細長い柄をしたきのこです。こ れは、選抜された白色系の品種を、周りに紙を 巻いたり、光をほとんどあてることなく栽培し ているためです。栽培種もおいしいきのこです が、野生種は味、旨味、香り、全てにおいて格 段に優れています。特有の香りを持っているので、鑑定の際にはこの香りも手がかりとな ります。是非とも食べてみてほしい、おすすめの野生きのこです。栽培は長野県や新潟県 などが盛んで、また、人工栽培されているきのこでは、日本で一番生産量の多いきのこで す。鍋料理などには欠かせないきのこの一つですが、今年は暖冬のため鍋料理の人気が低 く、エノキタケの売れ行きも今ひとつだとか。暖冬はこんなところにも影響しているよう です。 N O .8 イモタケ <食可?> イモタケ科イモタケ属 イモタケは子のう菌という仲間に分類される きのこで、ジャガイモを白くしたような形の、 子のう果と呼ばれるものを林内地中に形成しま す。日本全国に分布し、群馬県内でも採取され ています。地中にできるきのこであるため発見 されることが少なく、地域によってはレッドデ ータブックにも記載されている珍しいきのこで す。その独特の形状から、発見者の多くは「ト リュフだ!」と思うようです。しかも表面は白 色で、大きいものは大人の握り拳大かそれ以上 と な る た め 、「 で っ か い 白 ト リ ュ フ だ ! 売 っ た らいくらになるだろうか?」とまで考える人も いるようです。しかし、残念ながらイモタケには、現時点では、トリュフのような価値は 無いようです。トリュフも、イモタケと同じ子のう菌の仲間ではありますが、両者は全く 別の種類です。図鑑への記載例が少なく、さらに食用と明示されている例も少ないのです が、中にはこのきのこを食べている人もいるようです。また、中毒例も今のところ無いよ うなので、ここでは食可?としました。トリュフと思いこんで食べれば、ひょっとすると おいしいのかも・・・・・。 群馬県林 業試験場 提供
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