⑩ミライのおもしろ行動 ２０１２．９執筆 お母さんキリンのミライはクールでキュートなキリンです。人に対してとてもフレン ドリーなオスのキヨミズに比べると，あまり寄っては来ないしベタベタ触らせてくれな いし，呼んだらすぐ来るキヨミズと違って呼んでも気分によって完全に無視したりする キャラクターです。 そんなミライは変わったことをいっぱいします。まずは姿勢です。時々するポーズで とってもかわいい「ちょこん立ち」は片方の後肢の蹄を立てるポーズ。難しく言うと中 足骨と指骨を繋ぐ関節をちょこんと曲げるのです。このポーズがとってもキュート♡。 後肢を組んで立つ「モデル立ち」はしょっちゅうするポーズで，立って休憩するときに 良くします。このモデル立ちはキヨミズはしませんが他のキリンでも見たことがありま す。 雑草の生える季節になると草を抜いて口を使って遊びます。その草には条件があって， 10 センチくらいの長さのシュッとした葉の草を根ごと抜き，そのうちの 1 本の先っぽ だけをくわえるのです。抜こうとした時にちぎれてしまったり根っこに土が大量につい て抜けてしまったりすると，都合のいい草が抜けるまで次の草を抜き続けます。そして， その草は最後まで食べることはありません。口元を見るとプチプチとちぎっている音が するのですが，遊んだ後の草を見ても全くちぎれてないのです！ 口で遊んでいるため，エサを食べる時や水を飲む時には放さなければいけないのでエ サ入れや水飲み場にはよく草が１株落ちています。また，夕方に部屋に収容する時，扉 を開けるとミライが草をくわえたまま入って来ることもめずらしくありません。そのミ ライがとってもかわいいのです。 他にも，壁に上唇を押しつけて（先が下向きに）ジーッとしていたり，グラウンドの 水飲みの前に座って首と舌を伸ばして水を飲んでいたりしていたこともありました。 おもしろ行動はまだあります。ミライは雨に当たるのが好きです。キヨミズは雨が大 嫌いでちょっとでも雨が降ると狭いひさしの下にいってじっとしていますが，ミライは そんなことはありません。むしろ，敢えて雨に当たりに行きます。雨が強ければ強いほ どです。雨に当たる場所も決まっていて，キリン舎の北東の角に自分のお尻をくっつけ て首を肩の高さくらいまで下げてじーっとしているのです。 初めてそれを見た時は，雨が怖くて固まってしまい動けないのでは？と思いましたが 雨が降るたびにそうするし，雨宿りのため部屋を開放しても入ってくることはありませ んので好きでやっているのでしょう。コドモは雨に当たるのが嫌で部屋に入りたいので すが，母親がずっと外にいてしかも部屋の中からは見えない場所で立っているので仕方 なく外に出て濡れて震えているということもありました。 ミライはそんな時，呼んでもエサで釣っても動きません。こうなったらどうしようも なく，コドモを部屋に入れたいときやひどく雷が鳴っている時など困ってしまうのです。 夏の夕立ちやゲリラ豪雨などは雨がひどくなる前に入れる，もしくはあきらめるかのど ちらかです。 おもしろい行動というよりも感心する行動があります。それは下に落ちた枝を拾って 何かに引っ掛けたり，どこかに置いたりして食べる行動です。キリンは体の構造上，地 面に生えている草を食べるのは姿勢を変えなければ食べられません。基本的には下の物 を食べるのは得意ではないのです。なので私たちは彼らに与えるエサは地面に置くこと はなく，彼らが食べやすいような高さに設置するのです。しかし，木の葉を食べる時に 枝が落ちてしまうことがあります。まだ葉がいっぱい残っている枝が落ちてしまうとキ リンたちはもちろん（？），わたしたちも「あ～ぁ････」という気分になります。そん な下に落ちた枝を拾って食べるには前脚を左右に広げ首を地面まで下げるという不自 然な姿勢をとって拾った後，口と舌だけを使って葉を食べると，葉を１枚食べる毎に枝 は下に落ちてしまいます。また不自然な格好をして拾わなければなりません。１枚葉を 食べるたびに拾っていたのでは効率が悪すぎます。そこで，ミライは拾った枝をフェン スやフェンスに固定してある木などに引っ掛けたり，乗せたりしてゆっくり葉だけをと って食べるのです！他のキリンがやっているのは見たことがありません。ミライは天才 かも！？ クールなのですがこのようにちょこちょこ見せてくれる彼女の行動がとっても個性 的でキュートなのです。そんなミライのおもしろ行動を見るたびに微笑ましく思うので す。 上唇曲げ（２００９年５月撮影） 「ちょこん立ち」 （２０１２.９撮影） （２００７年５月撮影） 雨に打たれる （２０１３．８撮影） 雑草で遊ぶ（２００８年９月 撮影）
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