報道の自由が危ない 2016年2月8日高市早苗総務大臣は衆院予算委員会で、放送局が「政治的に公平で あること」と定めた放送法4条の違反を繰り返した場合、電波法に基づき電波停止を命じ る可能性に言及した。ようするに「行政が何度要請しても、全く改善しない放送局に何の 対応もしないとは約束できない。将来にわたり可能性が全くないとは言えない」と発言し たのである。 ★公正を欠く内容のものは停止させるという発言で、それを判断するのは総務大臣である ということを聞くと、その非常識さには呆れ果ててしまう。これでは単なる政権による言 論統制であり、太平洋戦争時の新聞やラジオを思い起こさせる。当時の政府と同様に安倍 政権があらぬ方向に突っ走りながら、それを批判する報道は圧力をかけて抑止していくと いうことは、全く国民を愚弄している。野党からもう反発をうけたことは言うまでもない が。振り返れば安倍政権になってからNHKの中立制をも顧みず、政権のために動く会長 に首を挿げ替えたり、政権に批判的な番組だという理由でその番組を止めたり、その番組 のキャスターを外したりするようになった。民放にたいしても「放送法」を盾にとって政 権の意に沿わない放送に対しては、政権が何らかの形で圧力を掛けて介入を行っているこ とは周知の通りである。 ★日本のメディアの「報道の自由」が世界で何位か知っていますか? 世界でトップ3に 入る経済大国、日本の報道の自由は、国境なき記者団によれば、2015年の日本の報道 の自由度はなんと61位。 日本より上位にいるのは、・セルビア(NATO に空爆)・モ ルドバ(ソ連から独立するも貧困過疎化でエイズや人身売買が問題に)・ニジェール(4 年前に軍がクーデター)・パプアニューギニア(国民の過半数は 1 日 2 ドル未満で暮らす 貧困層)このような国です。 われわれは世界でトップの先進国であるにも関わらず、貧 困で困っている国やクーデターが起きた国以下の報道の自由しかない状態にいるのです。 ★つまりわれわれは情報が制限されていて、テレビや新聞の情報をそのまま鵜呑みにする と、情報操作されてしまう・・・と言っても過言ではないのではないでしょうか。実際、情 報は自分から積極的に取りにいかないと、ただ受動的に受けているだけでは、情報の発信 者にいとも簡単に操作されてしまいます。 ★2月8日の高市早苗総務大臣発言に対して、マスコミが声を大にして政府に抗議すると 共に、国民にこの事態をPRしないのだろうかと思っているのは私だけだろうか。一番問 題なのは、安倍政権になってからマスコミが元々公的権力に対抗するために国民の声を代 弁するべきなのに、 そのことを放棄して近年では権力者の手先に成り下がったり、マス コミそのものが権力と化すなど、その腐敗ぶりには見てて目に余るものがあることは言う までもない。 ★★ ★特に酷かったのは秘密保護法案の通過は自分たちの取材範囲を狭めるとともに、国民に 対して何でもかんでも秘密保護法の範囲に含めて情報公開を拒否し、国民の知らないとこ ろでことが運ぶ危険性があるに反対の論陣を張ることなく間接的に成立に手を貸したこと である。それに加えて憲法違反として歴代内閣が集団自衛権を認めていなかったのに、安 倍政権になってからは、憲法解釈を捻じ曲げているにもかかわらず、公器のマスコミが反 対の論陣を張ることもなく、安保法制の通過に手を貸したことは紛れもない事実です。 ★マスコミも戦後70年という月日の経過から日本国憲法の生立ちの経過を忘れてしまっ たのだろうか。日本国憲法には表現の自由は 21 条に定められている。同条では、明文に ある集会の自由・結社の自由・出版の自由や言論の自由のほか、知る権利、報道の自由・ 取材の自由、選挙運動の自由など、重要な人権が保障されている。また、同条 2 項では、 検閲の禁止と通信の秘密が保障されている。戦後、日本憲法でこの条文が出来た背景は、 ★「ペンは剣より強し」と言われているが、近代史では明治政府に対して旧幕府側の武士 が剣をペンに置き換えて政府を批判したことが始まりである。しかしながら、明治期から 太平洋戦争敗戦まで政権は、数々の言論統制に関する法律を施行し政府批判をするマスコ ミを弾圧して封じ込めてきたことは間違いないことだが、ここでマスコミ自身も生き残る ためにと、マスコミ の根本的な使命感を 忘れて、マスコミが 軍部・言論統制機関 に迎合し、両者が一 体となって国民を欺 いてきたことも紛れ ない事実です。マス コミの戦争加担責任 は大です。日本占領 後のマッカーサー元 帥を頂点とするGH Qは、国民を騙し戦 争を鼓舞してきた新 聞社の民主化の一環 として新聞社に労働 組合を作らせたり、 言論の自由を約束したりしたが、結局はGHQがコントロールしやすい民主化に終わった とはいえ、その中の一つに言論の自由がGHQによって与えられたことがベースになって 日本国憲法21条に盛り込まれて故でもあるのです。 ★安倍政権の政策は国民生活を圧迫し、窮地に追い込むことばかり、今こそ、国民サイド に立って、今こそ新聞やテレビは 言論の自由を守り、自己の信念を 主張すべきです。私達も政府全 部、政府官僚、政治家たち、安倍 政権もひっくるめて、それからマ スコミの言論、全て疑いを持っ て、批判的にモノを見られること が一番大切なのです。(H28.2.13 郷土の会 岡村)
© Copyright 2024 Paperzz