ごあいさつ 信州大学 SVBL 長 小西 哉 信州大学 SVBL の 2013 年度の活動報告書が完成いたしました.信州大学 SVBL の 1 年間の活 動成果を,ご一覧いただけましたら,ありがたく存じます. 本 SVBL では運営委員会,専門部会,SVBL 専任助教,事務職員,技術補佐員,PD 研究員が一 体となって,SVBL の事業を企画,運営しております.2013 年度は信州大学 SVBL 開設から 9 年 が経過し,信州大学の第Ⅱ期中期目標・中期計画に合わせて活動中です. 本 SVBL は長野県上田市にある繊維学部キャンパスに設置されているため,従来は繊維学部 キャンパス中心のサービス提供でしたが,SVBL スタッフの充実に伴い,信州大学の他キャンパ スへも,サービス提供できるようになりました.松本キャンパスにおける学部 1 年次向け共通 教育の授業科目として,2013 年度前期から「ベンチャービジネス概論」を開講することができ るようになり,学部新入生のチャレンジ精神の鼓舞と,ベンチャー意識の啓蒙活動の全学展開 を進めております.また,従来から開催しております,学生のベンチャー・マインド(チャレ ンジ精神)醸成を目的とした「プロジェクトマネジメントセミナー」や「ベンチャーコンテス ト」などの取り組みを継続し, 学生の意識を高める努力を続けております. 信州上田の特徴的産業であった養蚕関連の資源樹木である桑の活用方法を研究開発する組 織である「桑まるごと活用塾」 ,SVBL に設置された分析機器・加工機器の利用技術を学生が自 主的に学習・習得し,機器分析等の需要に応えられる技術レベルを目指す,機器エキスパート 「P-DEX」養成活動,学生による新しいものづくり活動の展開を目指す「ものつくり隊」,信州 の中山間地の活性化を目指すプロジェクト「サトレンジャー」など,信州大学の構成員である 学生や教職員と,地域企業や地域社会との連携に基づくプロジェクトを展開しております. 柔軟な発想,創造性,チャレンジ精神に富む若者を育成し,新しい産業の芽となる独創的な 研究開発に取り組む意欲の高い若者たちの拠点となるべく,信州大学 SVBL は引き続き多様な 活動を展開して参ります.関係各位の一層のご支援を賜りたく,謹んでお願い申し上げます. 信州大学 サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー 活 動 報 告 書 平成 25 年度 目 次 ごあいさつ Ⅰ. ベンチャー教育活動 1. セミナー················································· 1 2. ベンチャーコンテスト ····································· 6 3. 機器エキスパート(P-DEX)養成事業 ························ 8 4. ものつくり隊支援········································· 14 5. 機器講習会··············································· 17 6. 研修支援················································· 18 7. 研究者の招聘············································· 31 8. 共通教育講義「ベンチャービジネス概論」 ··················· 32 Ⅱ. ベンチャー創出支援事業 1. ベンチャー起業支援······································· 35 2. ながの創業サポートオフィス分室 ··························· 41 Ⅲ. SVBL 研究 1. プロジェクト研究 ········································ 43 2. 萌芽研究 ················································ 54 Ⅳ. 資料 1. 事業歴··················································· 59 2. 展示会(広報)··········································· 66 3. 業績リスト··············································· 67 Ⅰ. ベンチャー教育活動 1.セミナー 1) 新 2 年生必聴!先輩が語るキャンパスライフ in 上田 繊維学部新 2 年生を対象に,信州大学上田キャンパスで積極的にチャレンジし,自身の経験を将来の キャリアに有意義につなげている先輩の活動や考え方,失敗談等をパネルディスカッション形式で伝え, 新 2 年生の上田キャンパスでのチャレンジを促進する目的で開催した. 【日時】 2013 年 4 月 19 日(金)16:30~17:50 【場所】 信州大学上田キャンパスマルベリーホール 2 階 【演題】 「社会や学内で活躍する先輩が 120%充実するキャンパスライフの心得を伝える!」 【対象】 信州大学の学生 【パネリスト】 オンデマンドリメイク初代代表 林 伸樹 氏(トヨタ紡織株式会社,2006 年度感性工学専攻修了) ArkOak 代表 加納 徹 氏(生命機能・ファイバー工学専攻博士課程 1 年) 桑まるごと活用塾 学生部初代代表 桜井里奈 氏(繊維学部生物資源・環境科学課程 4 年) 【参加者】 8 名 2) 企画力実践講座 特別講演会 企画力実践講座 1 回目のゲスト講師として NPO 法人 G-net 代表理 事の秋元祥治氏をお迎えし,講演会を開催した.ディベート全国一 の実績を持ち,地域プロデューサーとして数々の成果をあげている 秋元氏から, “伝える力”と“カタチにする力”の要諦をお伝えして 頂いた. また,若者が挑戦するフィールドを数多く創りだしてきた 秋元氏から,学生時代にチャレンジする意義をお伝え頂いた. 【日時】 2013 年 4 月 26 日(金)16:30~18:00 【場所】 信州大学上田キャンパス 総合研究棟 7 階ミーティングルーム1 【演題】 「ディベート日本一」の社会起業家が伝授する“伝える 力”と“カタチにする力” 【対象】 信州大学の学生・教職員,一般 【講師】 NPO 法人 G-net 代表理事 秋元祥治 氏 【参加者】 31 名 3) 企画力実践講座 アイディアの発想法から企画の作成・プレゼンテーションの方法などを学ぶ全 8 回の講座を開催した. 実践学習として,様々なマイプロジェクト企画の発表 ,あるいは(株)八幡屋礒五郎に対しての商品 企画立案の発表を行った. 【日時】 5 月 10 日(金) オリエンテーション 5 月 17 日(金) 企画に必要な 3 つの要素 1 5 月 24 日(金)企画アイデアを生み出すキーポイント 5 月 31 日(金) ケース紹介:㈱八幡屋礒五郎の企画開発 ~ヒット商品を生み出す着眼点~ 6 月 7 日(金) 6 月中 ゴールを設定し,企画を立案する マイプロジェクト or 八幡屋礒五郎の新商品企画立案 7 月 10 日(水) 企画プレゼンテーション 【場所】 信州大学 SVBL 棟 4 階 406 室 【講師】 松浦俊介 SVBL 研究員 【対象】 信州大学の学生 【参加者】 6 名 4) リーダーズキャンプ 今年で 10 回目となるプロジェクトマネジメントセミナ ーを,今回は合宿形式とした.夢を形にし,さらには仕事 に変えていった先輩から,そのポイントを学びながら思い やアイデアを具現化する方法を仲間同士で学んだ. 【日時】 2013 年 8 月 22 日(木)23 日(金) 【場所】 天龍峡温泉交流館・若がえりの湯 (飯田市川路) 【対象】 信州大学の学生・教職員 【講師】 相馬豊恒 氏(株式会社価値創造研究所 代表取締役社長) 【ゲスト】 坂井公淳 氏(元マリナーズ通訳,感環自然村 村長) 河内崇典 氏(特定非営利活動法人み・らいず代表) 小山 修 氏(エスニックカリー メーヤウ 信大前店) 【参加者】 14 名 【共催】 一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンター(AREC)「地域中小企業の人材確 保・定着支援事業」 5) プロジェクトマネジメントセミナー長野版(中止) 「会社経営のノウハウを知る!」と題した本セミナーでは,会社とはどういった組織かを知り,プロ ジェクト(計画)を成功させるために必要な知識や考え方を身につけるとともに,マネジメント(管理) することの重要性を学ぼうとするものであったが,参加者が集まらず,開催中止となった. 【開催予定日時】 2013 年 9 月 18 日(水)~20 日(金) 各 9:30~17:50 【開催予定場所】 信州大学長野(工学)キャンパス 長野ものづくり支援センター5 階 【対象】 信州大学の学生・教職員 【講師】 大野雄三 先生(特任教授,信州大学イノベーション研究・支援センター)ほか 2 6) 走査型電子顕微鏡(SEM)体験講座 SVBL では,学生が主体となって分析装置の技能研究会 の企画・運営を行い,機能・原理・操作技術を学ぶ機器分 析エキスパート(P-DEX)の活動を支援している.今回は, 上田キャンパス以外の学生を対象に集中講座として,走査 型電子顕微鏡(JSM-6010LA, 日本電子製)の座学と実践 講座を行い,操作方法を学ぶ機会を提供した. 【日時】 2013 年 9 月 11 日(水)11:00~16:00 【場所】 SVBL 棟 2 階 201 室 【対象】 信州大学の学生(上田キャンパス以外) 【講師】 掛川恵子 技術補佐員 【参加者】 6 名(教育学部 4 名,医学部 1 名,繊維学部 1 年 1 名) 7) 環境プロジェクトマネジメントセミナー 繊維学部環境委員会と共催で,地球環境について問題意識を持つことと,解決法の企画力を養うこと, ISO14001:2004 の規格と今後の展開について,講義と討論を行った.2 日目は上田市稲倉の棚田などに出 向き,現地見学をした. 【日時】 2013 年 10 月 26 日(土)10:00~15:30 27 日(日)13:00~17:00 【場所】 1 日目:SVBL 棟 4 階 406 室,2 日目:里山の 見学(上田市稲倉の棚田) 【対象】 【講師】 信州大学の学生・教職員 松村哲也 SVBL 研究員,小西 繭 SVBL 研究員, 森脇 洋 准教授(繊維学部) 【参加者】 1 日目 8 名,2 日目 5 名 【主催】 信州大学 SVBL,繊維学部環境委員会 8)チャレンジセミナー 特別講演会 「ホンダ・イノベーションの神髄 ~独創的な製品はこうつ くる~」と題し,ホンダで日本初の量産型エアバッグの開発に 携わった小林氏に, 「ホンダ・イノベーション魂」と「想い」 を持って働くことの大切さをお話頂いた. 【日時】 2013 年 10 月 31 日(木)13:00~16:10 【場所】 繊維学部総研棟 7F ミーティングルーム1 【対象】 信州大学の学生・教職員,一般 【講師】 小林三郎 氏(元 ホンダ経営企画部長) 【参加者】 機能機械ゼミナールⅠ,バイオエンジニアリング基礎演習Ⅱ履修者 75 名,授業以外学生・ 教職員 32 名,一般 30 名 【主催】 信州大学 SVBL 一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンター/AREC・Fii プラザ 3 9) 知的財産権セミナー 【日時】 【場所】 第1回 2013 年 11 月 13 日(水)16:30~18:00 第2回 2013 年 11 月 20 日(水)16:30~18:00 上田キャンパス SVBL 棟 406 室 TV 会議システム(SUNS)中継 松本 共通教育 61 講義室 工学 地域共同研究センター3F TV 会議室 農学 小会議室(管理棟 2 階) 【対象】 信州大学の学生・教職員,一般 【講師】 篠塚由紀 氏(知的財産管理技能士 2 級,株式会社信州 TLO 技術移転グループ) 【参加者】 11/13 10 名,11/20 9 名 10)キャンドル作りワークショップ ものつくり隊支援事業のひとつとして, キャンドル製作の活動をして いる学生の持ち込み企画「P's Candle のキャンドル作りワークショップ」 を共催で開催した. 「日常生活の中にキャンドルを!」と題し,参加者 がそれぞれの感性で自分の好きな香りをつけたアロマキャンドルや透 明度の高いジェルキャンドルを作った. 【日時】 2013 年 12 月 9 日(月)18:00~21:00 【場所】 上田キャンパス SVBL 棟 104 室 【講師】 小野口貴士 氏(P's Candle) (信州大学理工学系研究科化学・材料専攻 1 年) 【対象】 信州大学の学生・教職員,一般 【参加費】 無料 【参加者】 50 名(うち一般 9 名) 11)女性起業家座談会 「起業するってどうですか?」 グローバルに活躍されている(株)友越 山口綾乃社長が体験した運命的な出会いと創業,経営者と しての思いについて,ダラットコーヒーを試飲しながら,座談会形式で語り合った. 【日時】 2013 年 12 月 20 日(金)16:30~18:00 【場所】 上田キャンパス SVBL 棟 406 室 【講師】 山口綾乃 氏( (株)友越 代表取締役社長) 【対象】 信州大学の学生・教職員,一般 【参加者】 17 名 4 12)里山レシピを知る料理教室 里山の「普通の料理」が,その里山以外の視点では「珍しい料理」「工夫された料理」である可能性 を探る「里山レシピ調査」を行うために,JA 松本婦人部のご協力のもと,会が主催する「本郷料理教 室」に参加し,一緒に料理をし食事を楽しみながら交流した. 【日時】 2014 年 1 月 23 日(木)10:00~13:00 2 月 24 日(月)10:00~13:00 【場所】 本郷公民館(松本市浅間温泉) 【講師】 JA 松本婦人部の方々 【対象】 信州大学の学生 【参加者】 各 5 名 5 2. ベンチャーコンテスト 1) 信州大学 SVBL ベンチャーコンテスト 今年度は本学学生のほかに,長野県内の高校生も対象に広げ「ベンチャーコンテスト ~あなたのビ ジネスアイデアは実現できる?~」を開催した.高校生からの応募はなかったが,本学学生 8 件より応 募があり,コンテスト当日は 6 名が,1 人 5 分の発表と 5 分の質疑応答に挑んだ.最優秀者は同時開催 していたホームカミングデー学生ミニ講演会で発表した. 【日時】 2013 年 10 月 12 日(土) 【場所】 信州大学繊維学部総合研究棟7階ミーティングルーム 1 【主催】 信州大学サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー(SVBL) 【共催】 信州大学イノベーション研究・支援センター/(株)信州 TLO/(一財)浅間リサ ーチエクステンションセンター/AREC・Fii プラザ 【後援】 (一社)21 世紀ニュービジネス協議会/長野県/長野県教育委員会 【審査員】 信州大学 SVBL ベンチャーコンテスト選考委員会 【式次第】 9:00~9:30 受付 9:30~9:40 開会の挨拶(SVBL 長挨拶、審査員紹介) 9:40~10:20 ビジネスプラン発表(1 人発表 5 分+質疑応答 5 分) 10:20~10:45 休憩 10:45~11:25 ビジネスプラン発表(1 人発表 5 分+質疑応答 5 分) 11:25~12:00 審査又は休憩 12:00~12:30 審査員講評,結果発表,賞状授与,閉会の挨拶,写真撮影後解散 12:30~ ミニ懇談会(ミーティングルーム 3) 14:10~14:30 枠 ホームカミングデー内でコンテスト概要説明・最優秀者プレゼン(10 分) 【コンテスト参加者(発表順) 】 氏名 1 猪股良平 2 渡辺貴広 3 山崎由貴 4 丸山翔平 5 中村勘二 6 小粥勇作 所属学年 繊維学部 バイオエンジニアリング課 程3年 理工学系研究科 機械・ロボット学専 攻1年 繊維学部 生物資源・環境科学課程 4 年 応募テーマ 繊維学部 応用生物科学系 2 年 一方通行で終わらない企業アピールで 地域に将来性を! 信州発 冬の女子高生ファッションの イノベーションに向けた商品開発 SPR 測定装置による環境分析技術の確 立と簡易分析ベンチャー 経済・社会政策科学研究科イノベーシ ョンマネジメント専攻 2 年 繊維学部 バイオエンジニアリング課 程3年 6 桑の葉を用いたパスタの開発 信大衛星「ぎんれい」のノベルティーグ ッズ『ぎんれいライト』の開発 別所温泉活性化計画 【審査結果】 最優秀賞 渡辺貴広(理工学系研究科 機械・ロボット学専攻 1 年) 最優秀賞 中村勘二(経済・社会政策科学研究科イノベーションマネジメント専攻 2 年) 【審査員】 所属 氏名 SVBL 運営委員会委員(地域共同研究センター) 天野良彦 SVBL 運営委員会委員((株)信州 TLO) 倉科喜一 イノベーション研究・支援センター長 柴田匡平 上田産官学連携室長 阿部康次 AREC 産学連携コーディネータ 岡田基幸 社団法人 21 世紀ニュービジネス協議会 副会長 羽生田豪太 桜美林大学 専任准教授 大熊省三 SVBL 長 小西 哉 【表彰内容】 最優秀賞 1 名 賞状,副賞(研究費 10 万円,図書券 2 万円((一財)浅間リサーチエクステンショ ンセンター提供)) 優秀賞 1 名 賞状,副賞(研究費 5 万円,図書券 1 万円(同上)) 7 3. 機器エキスパート(P-DEX)養成事業 1) P-DEX 養成事業報告 本 SVBL では分析機器・加工機のエキスパートを養成する目的で,P-DEX(Project-Device EXpert) なる組織を立ち上げ,その支援を行っている.P-DEX は,SVBL 保有の分析機器の操作技術を学ぶた めに,学生自身が年間計画を立てて学習・研修を行い,測定・解析の難度が比較的高い複数の装置につ いて測定技術を習得し,能動的に学習している. P-DEX の 2013 年度の活動内容は下記のとおりであ る. 工学系技術者および研究者にとって分析機器・評価機器の利用技術を習得することは重要である.一 方,“ものづくり”で起業を考えている学生にとっても,ベンチャー活動を進めていく上で基礎的な技能 の一つでもある.2007 年度より,P-DEX 活動に参加している学生は,繊維学部 2・3 年生対象の授業 「ひと・ものづくりプロジェクトⅠ,Ⅱ」 (通年,自由,1 単位)を履修することで,単位取得が可能と なっている. 参加人数 13 名 使用機器 表面プラズモン共鳴測定装置(SPR,Biacore AB 製 Biacore X) 液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS,(株)島津製作所製 LCMS-2010A) 走査型電子顕微鏡(SEM,日本電子(株)製 JSM-6010LA) 活動体制 機器ごとに技能レベルを設定 (別紙資料 2) 初級: 分析装置の取扱が可能であり,測定原理を理解している. 中級: 高度な分析技能を持ち,初級者に対して基本技能の指導ができる. 上級: 分析経験が豊富で,学内教職員や学生に対しての技術指導ができる. 技能レベルを保証するために SVBL による技能検定を実施している. 活動期間・時間は,2013 年 5 月~12 月で,概ね 100 時間/年を目安としている. 学習内容 <勉強会>グループごと計画を立て,年間 40 時間程度実施した. <実習> 機器講習会への参加および自主研修を行った. 技能検定の実施 液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS) 12 月 3 日(火)18:00~(初級),18:30~(中級) SVBL201 室 表面プラズモン共鳴測定装置 (SPR) 8 11 月 27 日(水)16:30~(初級),17:00~(中級)SVBL 棟 201 室 走査電子顕微鏡(SEM) 12 月 5 日(木)13:00~,9 日(月)17:00~ SVBL 棟 201 室 審査員:中西弘充(SVBL 助教) ,伊藤吹夕(SVBL PD 研究員),掛川恵子(SVBL 技術補佐員) 活動報告会の実施 12 月 16 日(月)~1 月 10 日(金) ポスター展示(講義棟 1F ロビー) 12 月 25 日(水)16:30~18:00 活動報告会(10 番講義室) 修了者一覧 液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS) (初級)応用生物科学系 2 年 増田礼子,八木瑞貴 表面プラズモン共鳴測定装置(SPR) (初級)応用生物科学系 2 年 伊藤美穂,田村朋宏,増田礼子,田中佑磨 (中級)バイオエンジニアリング課程 3 年 小粥勇作 走査型電子顕微鏡(SEM) (初級)機能高分子学課程 3 年 内藤幸輝 材料化学工学課程 2 年 黒岩愛里 応用化学課程 2 年 望月武仁 技能検定の様子 報告会の様子 ポスター発表 9 2) P-DEX 活動報告 P-DEX の概要と活動報告 代表 繊維学部 生物資源・環境科学課程 3 年 木村尚弥 1. P-DEX とは P-DEX とは,Project -Device Expert の略で,機器分析エキスパートを養成する,自分たちで研究テー マを考え,機器分析が行える団体である.テーマは,アイデアを考えるのはもちろん自分たちで進める が,先生方と相談しながら決めるので,無理なく進められることが特徴である.そして,実験や実習を 通じ,分析機器の基本的な扱い方や実験時において必要な知識,技術の習得を目標としている.研究に 興味がある人,何か大きな事に挑戦したい人が集まり,分析機器について真面目に楽しく学んでいる. 2. 活動成果 P-DEX では,いくつかある分析機器ごとに班を組んで活動をしている.今年度は 3 つの分析機器 (LCMS,SPR,SEM)をもとに班を組んで活動してきた.夏休み前までは,主に定期的に行う勉強会 で分析機器の基本的な原理や扱い方を学んできた.次に,勉強会で学んだことを応用する場として,実 験が始まっていった.ここでは,実際に分析機器に触れ,操作の仕方や実験技術を習得していった.2013 年 12 月 25 日には,桑まるごと活用塾と合同で成果報告会を開催した.成果報告会という場をお借りし て,自分たちの活動成果について発表し, P-DEX という団体の魅力を伝えた.以前までは,成果報告 会の内容はポスターによる発表だけであった.しかし,今年度は初めて教室を借り,口頭発表を通じて 学生,教職員に成果を報告するというイベントを学生が主体となって企画,運営した. 3. 活動で得られるもの P-DEX で活動することで,研究室配属前に様々な分析機器を扱え,専門分野以外の機器を扱い,実習 を行うことができる.学生主体の団体なので自分の意見,考えが反映されやすいというのも特徴である. このため,実習を通じ,発想力や行動力などを向上させたり,専門分野以外の幅広い知識,技能を身 に付けることもできる.こうして,自分が興味を持ったことについて研究することができるだけでなく, 研究者としての第一歩を踏み出すことができる. 4. 所感 P-DEX で活動してきたことで,実験に必要なスキルを身につけることができた.また,先輩や後輩と 活動することで,コミュニケーション能力も向上させることができた.今年度は代表という役を担った が,人を動かすことの難しさ,大切さを痛感する1年になったと思う.P-DEX での活動経験を,所属し た研究室での研究,社会に出てからの活動に活かしていきたいと思う. 10 液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS) 中級 繊維学部 初級 生物資源・環境科学課程 3 年 宮田将光,木村尚弥 応用生物科学系 2 年 増田礼子,八木瑞貴 繊維学部 1. 研究目的 初級者は,コーヒーに含まれるカフェイン,カフェイン酸,クロロゲン酸の定量を試みた.中級者は, シルクに含まれるアミノ酸の定量を試みた.本資料では中級者の活動について言及する. アミノ酸はタンパク質を構成する物質であり食品やサプリメントなどの健康食品としても幅広く使 われている.現在,シルクに含まれる豊富なアミノ酸の存在から,食品分野で食べるシルクとしてシル クが活用されている.食べるシルクでは,アミノ酸を効率よく摂取できるように,シルクを粉末状に加 工し健康食品として売り出されている.この食べるシルクでは,家蚕のシルクが使用されている.蚕に は,人によって家畜化された家蚕と,もともと自然界で繁栄している野蚕が存在している.また家蚕シ ルクのアミノ酸組成と野蚕シルクのアミノ酸組成は少し異なる点がある.今回,私たちはこの家蚕シル クのアミノ酸組成と野蚕シルクのアミノ酸組成がどの程度違いがあるのか調べるために実験を行おう と考えた.これを今回の実験の目的とした. 2. 実験 アミノ酸測定のための条件の確認 標準試料での分析 検量線の作成 実際のサンプル(家蚕繭,野蚕繭)のアミノ酸分析 3. 結果および成果 現段階ではアミノ酸測定のための条件確認で試行錯誤している状態である.そのため標準試料での分 析,検量線の作成,実際のサンプルでの分析にまで至っていない状況である. 4. 今後の課題 未だアミノ酸測定のための条件確認を行っている状態なので,その段階からの脱却,標準試料,実際 のサンプルの分析段階まで進み,結果まで持っていくことが課題となる. 5. 所感 実験を行うにあたって,分析条件の確認を行わなければならないことに気づくのが遅くなった. 実際に試料を分析機器に流すにあたって,試料と固定相,移動相との関係などを考えなければならなく, 結果までたどり着くには困難な道のりであることがわかった.このことから,次回から他の実験を行う 場合は,早い段階で実験計画を立て,事前に準備を行うべきだと思った.今回のことを教訓に次回につ なげたいと考える. 11 表面プラズモン共鳴測定装置(SPR) 中級 初級 繊維学部 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 3 年 小粥勇作 応用生物科学系 2 年 伊藤美穂,田村朋宏,田中佑磨,増田礼子 1. 研究目的 物質科学の発展により様々な物質が開発され,とくに近年では応用性の高さからナノ材料が注目を集 めている.その一方,ナノ材料はその大きさや性質のために,生体の粘膜に付着する,細胞を貫通する などといった影響を及ぼすと考えられている.本研究では,SPR 測定装置の特性を活かし,その影響を 評価することを目的とする. 2. 実験方法 1) SPR 測定装置について SPR 測定装置は SPR(表面プラズモン共鳴)という金属薄膜や粒子において起こる光と金属原子 の共鳴現象を利用して測定する,物質間相互作用の測定に用いられる分析装置である.特徴として, 相互作用の測定をリアルタイムに行えることが挙げられる. 2) 相互作用の測定方法 ①脂質二 一般的に,細胞は脂質の二重の膜によって覆われている.SPR 重膜の固 測定装置内にリン脂質(DOPC: dioleoyl phosphatidylcholine) の脂質二重膜を再現し,その膜に対して目的物質を流すことで 相互作用を測定する.今回の実験では,酸化チタン,二酸化ケ ②相互作 イ素,酸化銅Ⅱ,グラファイト,酸化亜鉛について相互作用を 用の測定 測定した. 図.1 相互作用の測定方法 3. 結果および成果 実験結果をすべて紹介することはできないので,今後の研究に深 SiO2と擬似生体膜の相互作用実験 100 く関係するであろうデータの紹介にとどめる. 80 60 ・ 7.81μg/mL,15.6μg/mL,31.3μg/mL,62.5μg/mL,125μg/mL (いずれもバッファーによる希釈) RU ・二酸化ケイ素(粒径;10nm-20nm) 20 0 -20 何らかの相互作用が確認でき, 生体残留性が見られることが分かる. SiO2 7.81 SiO2 15.6 SiO2 31.3 SiO2 62.5 SiO2 125 40 1 32 63 94 125 156 187 218 249 280 311 342 373 404 -40 図.2 time(s) 二酸化ケイ素の結果 4. 今後の課題 一例ではあるが,二酸化ケイ素は先行実験者によって岩石粒子が測定されている.成分がほぼ同じで あることから,図 2.のデータとの整合性を持たすことで,①生体への影響評価 ②発生源調査 に応 用できると考えられる.社会的にも価値のある研究だけあって,今後の更なる発展が望まれる. 5. 所感 研究の単純さと難しさ,さらにその価値は必ずしも相関しないことが印象的だった.また,実際にや ってみることの重要さが良く分かった.かつて P-DEX に所属していた先輩の手法を引き継いでの研究 であった.この場をお借りして,お世話になった先生方,先輩方に感謝を申し上げます. 12 走査型電子顕微鏡(SEM) 繊維学部 機能高分子学課程 3 年 内藤幸輝 繊維学部 材料化学工学課程 2 年 黒岩愛里 繊維学部 応用化学課程 2 年 望月武仁 1. 研究目的 メンバー全員が初級者なので走査型電子顕微鏡(SEM)装置の概要および測定原理などを習得する. その後操方法を習得し,グループで身近な物を観察し実験を主体的に行う能力を身につける. 2. 実験,及び活動報告 夏休み前までに,SEM の原理,操作方法の講習を受けた.また,夏季休暇中に身近にある繊維,紙類を観察 し操作方法を習得した. 実験として,毛髪に着目し pH の違いによるダメージの度合いや,40℃のお湯への浸漬時間を変化させ,毛髪 表面を観察しキューティクルの剥がれ具合を観察した. また,観察結果に差異があれば引っ張り強度試験なども行うことで毛髪表面ダメージと強度との相関を数値化 する事を検討したが,メンバーの時間の都合がつかず今年度は実施できなかった. EDS分析は 100 円硬貨を分析し材質を調べた. 3. 結果および成果 技能検定については取得を目指したメンバー全員合格することができた. 40℃のお湯への浸漬時間を変え毛髪表面をSEM観察した結果,浸漬が長いほどキューティクルの剥がれる度 合いが大きくなった. 100 円硬貨は,銅を主体とし,ニッケルが約 30%含まれていることから,白銅が使われている事が解った. 5分 10 分 15 分 20 分 図 1 毛髪表面 4. 今後の課題 毛髪の強度試験が実施できなかったので来年度の課題にしたい.さらに新規メンバーの勧誘を行い技術を後輩 に継承していくことを今後の課題としたい. 5. 所感 メンバーが全員集まる時間がなかなかとれず,実験の内容を決めるのに時間がかかってしまった. 来年度はメンバーで集まる時間をもっと早いうちからとって,早いうちにテーマを見つけたい. 13 4. ものつくり隊支援 SVBL では,ものづくりに興味のある本学学生に対し,繊維学部技術部の協力の下,小型工作機械や 工具が利用できる作業スペースの貸し出し,および材料費の支援を行った. ◆今年度利用団体 団体名 氏名 大 日本 製造 業コマ 大 戦 加納 所属 徹(代表) 総合工学系研究科 生命機能・ファイバー工学専攻 1 年 チーム P's Candle 小野口貴士 理工学系研究科 14 化学・材料専攻 1 年 コマ大戦活動報告 ものつくり隊/ 総合工学系研究科 博士課程 生命機能・ファイバー工学専攻 1 年 加納 徹 1. 活動内容 平成 25 年 7 月 6 日信州大学繊維学部にて,大日本製造業コマ大戦 G3 県別団体戦 信州場所が開催さ れた.コマ大戦とは,全国の中小企業が自社の持つ技術を注ぎ込んで直径 2cm 以内のコマを製作し,一 対一で戦わせることで技術力の高さを競う,とても熱く,大人げのない大会である.このコマ大戦に, 信州大学繊維学部の学生達(河村研究室, 金研究室,Pataky 研究室,学生ベンチャー「モック」 「ArkOak」) が参戦の意思を表明し,SVBL プロジェクト「ものつくり隊」として一丸となって参戦した. 2. 活動報告 機能機械学出身の博士課程学生 4 名がコマ作りを円滑に進めるためのサポートを,「ものつくり隊」 のメンバーはコマ製作および大会運営のサポートを行った.6 月 22 日,県別団体戦の長野県代表を決 定するための長野県予選が開催され,8 組の繊維学部学生チーム と 18 の企業が参加した.残念ながら学生として長野県代表に選 ばれたチームはでなかったが,製造業の方々の予想を超える善 戦が高く評価され,本戦において特別に「信州大学学生枠」を 設けて頂くこととなり, 「信大繊維学生連盟」として参戦するこ とが決まった.7 月 6 日,コマ大戦県別団体戦が開催され,14 の都道府県と 1 の学生チームがトーナメント形式で争った.団 体戦は,7 つのコマから 5 つのコマを選抜し,勝ち抜き形式で戦 わせる. 「信大繊維学生連盟」は,1 回戦目を勝利し,2 回戦目 で敗退という結果となった.優勝は,SWCN(信州コマ倶楽部) コマ大戦の様子 となった. また,セミナーセッションとして,ものづくりをテーマに学 生と企業人によるパネルディスカッションが行われた.その中 で,企業の方が行った SolidWorks によるシミュレーションと, 学生が Blender で行ったシミュレーションの比較などが行われ た. Blender によるコマシミュレーション 3. 活動計画 その後,10 月に諏訪市や上田市で開催されたコマ大戦にも繊維学部学生は進んで参戦しており,更な る大舞台を目指して活動が進んでいる.来年度は,機械系の学生を中心に,繊維学部からのコマ大戦参 加者を増やしていきたい. 4. 今後の課題 コマ作りの楽しさを知ってもらい,コマ大戦参加者数を増やすための広報活動が課題となる. 5. 所感 本大会は,企業にとっては「学生には負けていられない」という焦りが,学生にとっては「頑張れば 企業に通用するものが作れる」という希望が,お互い良い刺激になった素晴らしい機会に感じた.また, 実際に戦わせることで,企業の方々の技術力の高さを肌で感じた. 15 P’s Candle 理工学系研究科 修士課程 化学・材料専攻 1 年 小野口貴士 1.活動内容 イベント出展・販売,ワークショップ開催,キャンドルデコレーション 2.活動報告 ワークショップに関しては,月に一度,定期の活動として長野市オンホールにて開催した.12 月 9 日(月)には SVBL(104 材料加工室)でキャンドル作りワークショップを開催した.18:00 に開始し, 学生と職員合わせて 50 人が参加した.不定期の活動としてはライヴハウスや野外音楽イベント,東雲 祭などでのキャンドルデコレーション,長野県内の弾き語りアーティストとのコラボレーションなどを 行った.販売・出展としては,5 月のヨコハマハンドメイドマルシェ 2013,デザインフェスタ Vol.38, EarthGarden 冬などのクラフト・アートフェスタへの出展,長野市での個展・グループ展の開催を行 った. 3.来期活動計画 今年度同様,デザインフェスタ,EarthGarden などのクラフト・アートイベントへの出展やワークショ ップの開催を中心に行っていく.ワークショップに関しては定期の長野市ネオンホールでのワークショ ップだけでなく,上田市や松本市など長野県内での開催場所を増やしていき,長野県外でも開催してい きたい.また,今年出会ったアーティスト達とも共同でキャンドルナイト&弾き語りライブなどのイベ ント企画等も行っていきたい. 4.今後の課題 キャンドル作りのワークショップにもっと幅広い年代・職種の人たちに参加してもらえるようにする. 県内外でワークショップの開催場所を探す. ワークショップの人数が大人数になった時の対策を考える. 5.所感 キャンドル作りのワークショップを通して参加者同士がコミュニケーションを取り,出会った人たち が交流を深め,繋がりを広げることができた.今後のワークショップも時間を長めに設定し,参加者同 士で話をする時間を増やしていきたい. 活動全体を通して,様々な職種・年代の人達と交流を深めることができ,いろいろな話や体験などを 聞くとができたので,今後の活動に活かしていきたい. 図1.キャンドル展 図2.キャンドルデコレーション 16 5. 機器講習会 教職員・学生の研修及び P-DEX の教育,SVBL 設置の測定機器の有効利用を図るため,下記機器に ついて講習会を実施した. 実施日 随時 機器名・講習名 実施場所 参加人 講師 数 分析走査電子顕微鏡(日本電子 JSM-6010 LA In SVBL201 室 Touch Scope)操作指導講習会 掛川 SVBL 技術補佐員 4 月 18 日(木) (株)OPT 製ハンディ 3D スキャナー モデル Eva メーカー講習会 SVBL103 室 33 名 40 名 (株)OPT 担当者 5 月 31 日(金) 3D プリンタ及び工作機械講習 SVBL103,104 室 5名 6 月 5 日(火) 技術部 4名 6 月 19 日(水) ラマン分光装置メーカー講習会 SVBL201 室 14 名 SVBL201 室 5名 市川 Kaiser 社製 Hololab5000 6 月 25 日(火) 液体クロマトグラフ質量分析装置 LCMS-2010A メーカー講習会 島津製作所製担当者 6 月 28 日(金) ガスクロマトグラフ分析装置 GC-2014 操作講習会 SVBL201 室 7名 7 月 4 日(木) エネルギー分散型微小部蛍光X線分析装置 SVBL201 室 11 名 μEDX-1300 メーカー講習会 島津製作所担当者 7 月 4 日(木) 透過型電子顕微鏡 JEM-2100 利用規定の説明,周 技術部 篠塚 SVBL406 室 辺機器のご案内 7 月 8 日(月) 透過型電子顕微鏡 JEM-2100 実技講習会 総研棟 1F 新 TEM 室 ~10 日(水) 日本電子(株)村田 氏 7 月中旬~下 25 名 透過型電子顕微鏡 JEM-2100 新規利用者講習会 総研棟 1F 新 TEM 室 旬 技術部 篠塚 氏 8 月 1 日(木) ライフテクノロジーズ社 MicroSEQ 微生物同定 SVBL203 室 ソフトウェア取扱説明会 ※掛川技術補佐員による学内教職員・学生に対する技術指導・講習 17 88 件 39 名 23 名 4名 6. 研修支援 若手研究者が研究テーマを起業化へ結びつけることを目指して,海外や国内の大学・研究所等の関連機 関で研修して,実用化に向けた研究の展開や,起業化の方策を探ることを支援する. 1) 研修支援内容 本年度は下記 2 名の海外研修に対して,旅費・滞在費の支援を行った. 氏名 柳瀬慶一 重澤尚希 所属学年 研修先 理工学系研究科 修士課程 ドイツ 化学・材料専攻 1年 レーゲンスブルク大学 理工学系研究科 修士課程 中華人民共和国香港特別行政区 繊維・感性工学専攻 1 年 研修期間 2013 年 9 月 14 日~ 10 月 31 日 2014 年 2 月 10 日~ 香港理工大学 6 月 30 日 2)海外研修者報告(前年度) 保(理工学系研究科 修士課程 繊維・感性工学専攻 2 年) 氏名 有地 研修期間 2013 年 1 月 16 日~6 月 28 日 研修先 University of Manchester school of Materials Textile Technology(イギリス) 受入担当者氏名 Dr R Hugh Gong 調査研修題目 糸のポアソン比測定に関する研究( Measurement of Poisson's Ratio of Yarn) ◆研修目的 上記留学先の担当教官である Gong 教授に指導を受け, 次の1~3の内容や,糸の物性を測定・分析する複数の アプローチ方法を学ぶため 1. 糸の伸張時の断面形状の変化を正確に測定する方法 を習得するため 2. ポアソン比に最も影響を与える糸の要素(撚り数,番 手,撚り密度等)の検証方法を習得するため 3. 糸のモデリング方法の習得 ◆研修概要 School of Materials within the Faculty of Engineering and Physical Sciences 内の Textile Technology クラスの授業を受講し,繊維に関する歴史や製造方法等の様々な原理・技術,最終製品の紹 介やその流通まで非常に幅広く学習した.また TextileTechnology クラスの授業の中で自己紹介と,自 分の行っている研究内容の紹介を兼ねたプレゼンテーションを行い,教授や生徒と意見を交換した. 授業はすべて英語で行われ,生徒と教授の会話が頻繁に有り,非常にインタラクティブな授業だった. また,クラスの生徒はほぼ全員が留学生であり,国際的な雰囲気だった.授業には実習も含まれており, 18 人体形状の 3D 計測と,専用ソフトウエアを用いて自分専用の服を作る実習や,編み物をデザインする 実習に参加した. 授業と平行して上記研究課題の研究活動も行った.マンチェスター大学の豊富な文献の中から関連論 文を読み,研究の評価や背景を調べて実験の計画を立てた.その後,Gong 教授や現地の技術者と英語 で交渉しながら糸試料の作成・引張試験・撚り数の確認を行った.生徒との交流を通じて,それぞれの 国の文化に触れると共に,学業について意見交換を頻繁に行い,自身の研究の位置付けと,研究レベル の彼我差を理解することが出来たと思う. クラスの学生にはその両親が繊維関連の仕事に就いている生徒や,生徒自身が繊維関連の職に就いた 経験が有る生徒が多く,そのような学生と関わりを持つことは将来の研究活動に非常に役に立つと思う. 約25人のクラスはほぼ全員が留学生で,国籍はカザフスタン・パキスタン・中国・台湾・インド・タ イ・スペイン・イギリスで,アジアからの学生が多く,日本からの学生はいなかった.日本人であるせ いか,自分に興味を持ってくれる学生が多く,とても 友好的だった. 留学して良かったと思うことは,海外で友人を作れ たことである.半年間ほぼ毎日,同世代の学生と毎日 色々な話をして,一緒に食事に行った.よく一緒に行 動していた学生は,インド人・タイ人・スペイン人・ 台湾人の 4 人で,日替わりでそれぞれの国の料理を作 ったり,旅行に行ったり,それぞれの国の文化につい て話した.また,タイ人の友達が加入していた Batminton Club of Thai Society of Manchester に, 上記の親しくなったインド・タイ・スペイン・台湾からの学生と毎週参加した. 今となっては笑い話だが,違ったバックグラウンドを持つ学生が集まると,毎日仲良くできるわけは なく,友人同士の衝突を幾度も経験した.しかし,それぞれの母国に皆帰国した現在でも,連絡を取り 合える友人が出来たことは何事にも替えられないと思う.もちろん,マンチェスター大学で学業を学べ たことも非常に貴重な経験である.担当教授や技術者の方と英語で交渉しながら実験を進めることは困 難だったが,良い経験になった. 今回の留学で初めて日本から出た私にとっては,毎日が非常に刺激的であり,楽しいことも悲しいこ とも,全て良い経験になった.留学の準備から帰国まで,両親や信州大学の方々,日本も含めて世界中 の温かい人々に幾度となく助けられて今回の留学が出来た.本当にありがとうございました. ◆活動経験談 a) 研修先における就労・教育システムの新たな知見 日本の大学のシステムと大きく異なる点は,学生の受講 する授業はあらかじめ決定されており,選択の自由はない ことであった.また,イギリスでは修士課程は 1 年間であ った.そのため,専門的な授業や実習は短期集中的に行わ れていた.短期で修士号を取得できるメリットと,研究に かけることのできる時間が短いというデメリットを感じた. また,学費が非常に高額であった. 19 b) 研修先で印象に残った事柄(所属大学との比較など) 第一に言えることは,学生の国籍が多様だということである. イギリス国内からの学生は非常に少なく,ほぼ全員が留学生であ った.この雰囲気の違いが信州大学との一番大きな違いだと思う. 研究設備については,繊維工学に関連する機器に関しては,信 州大学の設備のほうが充実していると思う.Manchester 大学の 設備は非常に歴史ある・昔ながらの機器が多いが,それらは良く メンテナンスされており,現在も使うことのできる状況であった. しかし,最新の設備については乏しいと言えると思う.しかし, 他の学部・学科の設備に関してはこの限りではなく,銃の射撃実 験場など,日本では実現できない実験場が存在した. c) 後輩へのアドバイス (i) 研修先で活動を行うに際して注意する事柄 行動の際は必ずアポを事前にとることである.日本とは異なり,セキュリティが非常に厳しく,事前 許可がないと建物に入ることすらできないこともあった. (ii) 事前に必要な調査や準備について 信州大学からは初めての学生として留学したので,必要な書類や手続きが形式化されておらず,自分 で一からマネジメントする必要があった.特にビザの申請では,イギリス方の学務課には申請に必要な 書類を発行して頂けず,イギリスでの担当教授に,自分がおかれている状況・必要な書類のリストを簡 潔に示し,粘り強く英語で交渉した結果,非公式ではあるが,書類を発行して頂くことができた.日本 とイギリス双方の様々な大学の関係者を自分で結びつけ,それぞれの担当者に期限を伝えて手続きを進 める必要が有った.書類の申請をメール・電話でやり取りを確実に行うことが非常に大切であった. (iii) 研修先での生活について 学生のほとんどが留学生という特色のせいか,学生・ 大学の事務の人・地元の住民は外国人に対して皆友好的 で,サポートしてくれた.学生寮も十分に用意されてお り,暮らしやすいと言えると思う.物価は少し高いが, インフラも整っており,生活水準も日本と同じである. (iv) その他 Manchester 大学では, 「これをやりなさい」と物事 を強制されることはなく,各々の学生が意志を持って動 いていた.準備から現地での行動まで,全て自分の意志 で動かなければ,何も起こらずに半年などあっという間に過ぎてしまうと思う.意志さえ伝えれば,皆 が協力してくれる.Manchester 大学への交換留学は全て「自分次第」である. 「こうしたい」という強 い希望と,それを「伝える力」が有れば,いつでも行くことが出来ると思う. 3)海外研修者報告(前年度) 物質創成科学専攻 2 年) 氏名 小川潤一(総合工学系研究科 博士課程 研修期間 2013 年 1 月 30 日〜4 月 11 日 研修先 ウーロンゴン大学(UOW)(オーストラリア) 受入担当者氏名 Attila Mozer 調査研修題目 色素増感太陽電池(DSSC)の実用化に向けた材料の研究とデバイスの開発 20 ◆研修目的 色素増感太陽電池の耐久性向上に必要とされる増感色素の設計指針と解析ならびに事業化に向けた 商業生産のための情報収集を目的とした. 背景 色素増感太陽電池は,FTO ガラス基盤上に多孔質 酸化チタンを焼成したものに増感色素を吸着させ た電極と白金を担持させた電極との間にレドック ス対を含む電解液が満たされた構造を持つ(図1). 上記のような構造にから Si 系太陽電池とは異な り,真空プロセスを必要としないため製造コストは より安価なものとなり,弱い光でも効率よく発電し, 図1. 色素増感太陽電池の構成材料と構造 カラフルかつフレキシブル化が可能であるためデザイン性に優れている.これらの特徴は,従来の太陽 電池と比較して使用される場面が増えるとともに,デザインの幅が広がるといった付加価値が太陽電池 に加わる.よって色素増感太陽電池市場は今後大きく拡大すると期待している. 実用化に向けての課題 (材料開発) 色素増感太陽電池の実用化に向けて,更なる変換効率の向上も さることながら耐久性の向上が大きな課題として求められている. 現在,高いエネルギー変換効率を達成しているデバイスでは,電 化分離によって生じたホールの輸送にアセトニトリルを溶媒とす る電解液が用いられている.しかしながらアセトニトリルは揮発 性が高いために電解液が短期間で揮発するために太陽電池の性能 は低下する(図 2). 近年耐久性の向上に向けて,ホールの輸送に固体材料を用いた 固体型の色素増感太陽電池が報告され,比較的高いエネルギー変 換効率を示している.しかしながらエネルギー変換効率は電解液 を用いた場合と比べて低い.原因として個体型では,多孔質酸化 図2.色素増感太陽電池の電解液の揮 発: UOW で作成された簡易 DSSC モジ ュール. 円で囲まれている部分の電解液は揮 発している. チタンの膜の厚さが薄く設計されている点が挙げられる.そのた めに光が効率よく吸収されず,結果として変換効率は従来のものに及ばない.そのために多孔質層を薄 く設計しても光を十分に吸収できるモル吸光係数の高い色素が必要とされる. そこで本研修では,モル吸光係数を向上させたダイマー型ポルフィリン色素を用いた色素増感太陽電 池の電子移動特性を評価し実用化に向けた耐久性と変換効率の向上をねらった色素増感太陽電池の開 発と開発される材料について商業生産につなげるためのヒントを探った. 実用化に向けての課題 (商業生産) 商業生産につなげるためのヒントを探るために,Dyesol 社への訪問を行った.Dyesol 社は商業化が 難しいとされてきた色素増感太陽電池の分野で,いち早く商業生産に対応しており事業化を目指して活 動している.本訪問では,議論と工場見学を通して,色素増感太陽電池の事業化のためのヒントを探っ た. 21 ◆研修概要 材料開発 合成された色素増感太陽電池用ダイマー型色素の評価を行った.評価にはダイマー型色素を用いて太 陽電池を作成することで行った. DYE1 部に DYE2 を繋げる事でダイマー型色素とし,ダイマーの構 造を変化させた時のデバイスの光電変換効率と耐久性についての評価を行った. 光電変換効率において,ダイマー型色素に置き換え る事により開放電圧の向上が見られた.ダイマー型色 素では色素分子の構造がモノマー型のときと比べて 大きく異なるために開放電圧の低下が危惧された.色 素増感太陽電池の開放電圧は酸化チタンへ注入された 図3.評価に用いたダイマー型色素の模式図 電子が電解液中の酸化種(ヨウ素レドックス対におい ては I3-)と再結合する速さである電子寿命に依存する.この電子寿命は増感色素の分子構造に大きく影 響を受ける.ここでダイマー型にする事によって開放電圧値が向上した事から,ダイマー型色素 (DYE1+DYE2)を用いた場合でも増感色素として十分機能することが確認された. 次に,ダイマー型色素を用いると色素の分解による増感色素自体の耐久性の低下が危惧される.色素 分子の分解は酸化チタンへの電子注入に伴って生じる分子上の正電荷が分子内で電子を奪う事によっ て生じる.そこで色素の分子構造を変化させる事で,耐久性の向上をねらった.過渡吸収スペクトルの 測定の結果.分子構造を変化させる事で,ダイマー型増感色素において,色素分子の耐久性向上の可能 性が示された. 商業生産 色素増感太陽電池の事業化に必要とされる事柄について考察する.本報告は,企業側と顧客両者の視 点を持って考察をすすめることにオリジナリティを持つ.これは私が Dyesol 社の製品を日々使用して おり,研修にて Dyesol 社への訪問を行った為に可能となった. Dyesol 社は素増感太陽電池の作成のための材料・装置と性能評価装置を製品としている.ここで, Dyesol 社の顧客は色素増感太陽電池の研究・開発機関が主であり,材料であれば顧客は高品質な製品を 安定的に十分な量を必要としている. 顧客のニーズとして Dyesol 社などのメーカーから購入した材料を用いて研究を進める場合,製品を 生産したバッチ間で太陽電池の性能に影響を与えるパラメータが異なると研究を進める上で困難が生 じる.具体的には電極材料は固定して,色素の分子構造の違いが性能に与える影響を見たい場合.電極 材料のバッチが変わるだけで光電エネルギー変換効率が大きく異なっては,たとえ傾向の再現がとれて いたとしても論文を投稿する際のデータに対する信憑性が疑われる.Dyesol 社では,安定した品質の為 に,材料自体が持つパラメータである酸化チタン粒子の粒子径の評価だけではなく,実際の使用用途で ある色素増感太陽電池を作成して,太陽電池の性能を決定するパラメータである電流・電圧・曲線因子 が前回作成したバッチのものと一致する事を確認している.それゆえ顧客に対して販売時期によらず安 定した性能を持つ材料を供給でき,顧客の信頼を得る事に成功している.顧客代表として私の体験であ るが,色素増感太陽電池のベンチャー企業である Solaronix 社でも酸化チタンペーストを取り扱ってお り,数年前までは Solaronix 社の製品をよく用いていたが,一度バッチ間で明らかな違いが見受けられ て,研究の進行に支障を来たしたために購入を控えるようになった.一度でも信用を失うと顧客はすぐ 22 に離れて行く,しかしながら製品の信頼性を得るにためにコストはかかる.そのために継続した利益を 得るためには求められる製品の信頼性を必ず確保した上で,コストの削減を行う事が重要であると感じ た. 高信頼性の製品を供給できるからと言って,生産能力が低ければ売り上げを延ばす事ができず,結果 として高い利益を得る事が困難になる.そのため大量生産が必要になる.ダイソル社では,増感色素の 合成と販売も行っている.実験室レベルでは安定して高い収率で得られる反応でもスケールアップを行 うと反応が進まない,コストがかかりすぎる,収率が低いといった現象が見受けられるとの話を伺った. そのためにスケールアップに伴い反応経路を新たに探索する事で大量生産を可能にしてかつ収率の向 上も同時に図っていくとの事であった.よって品質のばらつきを抑制するだけではなく,スケールアッ プを視野に入れて開発を進めなければ事業化は成すことは難しいと感じた.大学が持つ技術から出発す るベンチャー企業は特にスケールアップを視野に意識的に入れて進めなければ,普段小さな試験管やシ ャーレを用いた小バッチで研究を進める事が多いと思われるために見落としやすいと思う. 図4.ダイソル社内の合成塔の一部 オーストラリアのニュースサイトより http://www.canberratimes.com.au/act-news/founder-faces-expulsion-in-company-row-20121108-291a8.html 最後に,安定的生産を続け利益を出し続けるには人材の確保が重要な要素の一つであると感じる.工 場内部を見学した際に,技術者の持つノウハウに依存すると思われるプロセスが見受けられた,人材の 流出により技術が失われるようでは継続して事業を続ける事はできない.よって企業側は人材の流出を 防ぐだけではなく,ノウハウの体系化,後継者の育成にも力を注ぐことが大切だと感じた.またベンチ ャー企業の持つ市場はニッチである事が多いまた人材育成にかける時間も人も不足がちであることが 予測される.そのために共同研究・開発などを通してコネクションを持ち人材の事が利益を出し続けて 成長する上で必要と感じた.実際に Dyesol 社でも今回の研修にて受け入れ先となった大学の OB が就 職しており活躍していた. ◆活動経験談 a) 研修先における就労・教育システムの新たな知見 研修先では特殊な実験や,特別な許可を得たものしか夜に研究する事ができず5時には帰宅すること が求められる.そのため決められた時間内で結果を出すために多くの人が1日の計画を綿密に立てて研 究を進めており,時間を有効につかい密度の高い仕事ができているように感じた.また研修先には修士 課程以上の人しか在籍していなかったためなのか時間の使い方がうまい人,プロ意識の高い人が多く研 23 究を進める上で刺激的で非常に良い環境であった.一方で時間をフレキシブルに使う事が難しいために 予想外の結果に対するリカバリーに対しては弱いようにも感じた. 週に一度セミナーが開催される.セミナーを行う人は大学に在籍している学生または先生であり,自 身が取り組んでいるトピックについての発表を行う.発表者は工学部から芸術学部までと様々な研究分 野の人間が交代で行っており,非常に刺激的な教育システムであると感じた. b) 研修先で印象に残った事柄(所属大学との比較など) 上記でも記述しているように週に一度のセミナーがあり私も発表の機会を頂いた.様々な研究分野の 人の前で発表を行う機会は信州大学よりも多い.プレゼンテーションの構成は多くの人に伝わるように 工夫する必要があり学会発表とは異なる緊張感があった.質問では予想外の質問を受けてその場で自分 の意見と説明をわかりやすく行う事が求められた.このような機会は研究を進める上で非常に刺激的で あった. 研修先のオフィスと実験室は研究室ごとに分かれておらず,一つのフロアを多くの研究室とで共有し ている.そのために他の研究室の人とも関わる機会が多く,他の研究分野の人との会話が行いやすい環 境にあった.測定装置の順番待ちの間等の時間に他の研究者に話しかけてみると,異なる分野の研究に もかかわらず,測定方法が同じであったために,お互いに意見交換をかわす事ができ,他分野について も知る機会が得られた.私が現在所属している研究室では一つのフロアに一つの研究室の人が固まって いる状態であり上記のようなことは起こりにくい,しかしながら私の場合は信州大学内に共同研究を行 っている研究室がある.このような機会を生かせば,信州大学内に居ようとも上記のように多くの視点 から事象をとらえられるようになると期待できるため積極的に意見交換を進めようと思う事ができた. 研修先の研究室では,多くのビジター研究者を受け入れている.ビジター研究者は同じ研究室に集ま っているために,それぞれが近いフィールドで研究を進めながらも,研究テーマは異なる.そのために 非常に多くの刺激と新しい知識を得る事ができた. c) 後輩へのアドバイス (i) 研修先で活動を行うに際して注意 する事柄 研修先で成果を出すよりも,安全管理と 研究室や大学のルールに従って行動するこ とが最も優先順位が高い.特に研修先の他 の研究を妨げる行為を行うことを避けるべ きである.私が具体的に気をつけていた点 は,自分が使用可能な装置を明確にして講 習や説明を必ず受ける.予約や記録簿を正 研修先にてランチバーべキューをした後の集合写真.写真内の半 分以上が現地人ではなく,三分の一がビジター研究者.国際的か つ刺激的な環境で研修を進める事ができた. 確に記述する.試薬のコンタミネーション をおこさない.実験眼鏡,マスク,ドラフトを適宜使用する.廃棄物処理のルールを確認して必ず守る. わからない事があれば必ず質問する.上記の事柄を徹底して行った結果,信頼を得ることができた.結 果として研修を最後まで円滑に進める事ができた. (ii) 事前に必要な調査や準備について 24 海外での研修において,滞在する上でビザが必要かどう か.留学保険への加入.日本とは異なる法律についての把 握.特に国によって飲酒や喫煙できる年齢が異なる.治安 についての調査.これら最低限現地にたどり着き,生活す る為の準備をしておく事が必要. また観光の準備をしておくといいと感じた.土日は研修 先も休みであり,働く事はできない.良い機会であるため 各地を散策または観光をするといい.実際に土日に部屋か ら出なかった日があり,その事を研修先で話すととても気 の毒そうな表情を向けられた.会話のきっかけになるため オーストラリアの広大な自然を満喫するためにキャ ンプを行い,カンガルーとも遭遇した. ぜひしっかりと遊びの計画も立てるべきである. (iii) 研修先での生活について 研修先では,多くのビジター研究者が滞在しており,各国の文化 について食事会や昼食時に話し合った.各国の料理をごちそうにな り中国人の作る中華料理やインド人の作るチキンバターカリーは 特においしく頂いた.また現地の食材を使った料理に挑戦して,新 しい味覚との出会いを楽しんだ. 本来であれば,研修前に英会話能力は養っておくべきであったが あまりにも現地にて英語の聞き取りができなかった.そのためにス カイプを用いた英会話学校と,夕方に毎日2時間ほど研究室の学生 中華料理の調理過程の様子 との色素増感太陽電池の議論を行う事で,足りないと感じた英会話 能力の補強を行った. (iv) その他 海外で研修を進める上で言葉の壁がつきまとう人がいると思う.実際に私も英会話の能力は高くはな い.しかしながら研究や開発はいかに論理的に話を展開して行くかが最も重要になってくる.そのため に流暢に会話を進める必要性はそれほど高くはなく,難しい文法を駆使する必要もない.論理が飛躍す る事なく,言葉と言葉の関係を簡単な文法で正しく繋げて行けば,会話と議論は成立する.もちろん会 話のスピードが遅くなってしまうと相手の時間を消費する事になるためにいい顔をされない事もある. 会話の相手に甘える事なく,ストレスを与えないように工夫して効率よくコミュニケーションをとる方 法を学ぶ事ができ,日々の成長を伝える事ができれば,相手にされないと言う事はないと感じた. 4)海外研修者報告 氏名 柳瀬慶一(理工学系研究科 修士課程 化学・材料専攻 研修期間 2013 年 9 月 15 日~10 月 31 日 研修先 Regensburg 大学 材料化学工学コース 1 年) 受入担当者氏名 Richard Buchner 調査研修題目 高周波誘電緩和分光法を用いた高分子水溶液中における水のダイナミクス ◆研修目的 25 高分子溶液の温度応答性や pH 応答性等の外界の刺激に対する応答性は,機能性材料として産業への 応用が活発になされている.特に温度応答性は細胞培養基材やアクチュエータ等枚挙に暇がない.これ ら高分子溶液の機能性材料としての性質は分子集団というマクロな系において成り立つものであり,ソ フトマターといった学問体系は分子をあらわに扱わずにマクロな性質を説明する.しかしながらその性 質は系を構成する分子の性質を反映したものであり,機能性材料の開発の際,目的の機能に対する分子 の設計指針は非常に重要である. この設計指針を提示するためには分子構造とその集団的挙動がどのように結びつくかを明らかにす ることが必要不可欠である.そこで,溶液中の分子集団の動的な挙動を観測することに対して有効な手 法である誘電緩和分光法を用いることによって明らかにする.更に,今回の研修から得られた手法が, 生体における機能性分子である蛋白質の水溶液に対して,結晶化条件の探索の指針を示し,産業界への 応用が目標である. Regensburg 大学の R. Buchner 研究室はこの誘電緩和分光法のミリ波領域の測定が可能な世界唯一 の研究室であり,waveguide interferometry と vector network analyzer を用いて,高周波誘電緩和分 光法を用いた測定を行った. Regensburg 大学構内 Regensburg の街並み ◆研修概要 温度応答性高分子溶液の例として Poly(N-isopropylacrylamide)(PNIPAM)を選択し,この系におけ る誘電緩和スペクトルを測定した.PNIPAM は水溶媒中で下部臨界完溶温度(Lower Critical Solution Temperature)をもち,32°C 付近で鋭い体積相転移的な挙動を示すことから,代表的な刺激(温度)応答 性高分子として盛んに研究が行われている.PNIPAM は主鎖の炭化水素に加え,側鎖にイソプロピル 基といった水素結合形成能力のない無極性基を持つため,体積相転移的な挙動は疎水性相互作用の結果 として捉えられている(Fig. 1). この相互作用は, 水素結合が一般的な van der Waals 結合よりも結合力と配向性が高いことに起因し, 疎水性分子と水の分離傾向を説明する.最も単純な疎水性分子である炭化水素分子に対しては,エンタ ルピーによる寄与以上のエントロピー項の増加に伴う不利な溶解自由エネルギー変化といった熱力学 的な解釈に加え,非水素結合性領域の広さによって水分子の構造的再配向が起こるといった分子論的な 解釈もなされている.しかし,分子内に親水基と疎水基の両方を持つ分子に対しても適用できるような 一般的な疎水性相互作用を説明する理論は,疎水性相互作用が単純な相加性が成り立たないことから, たてられていない. 26 親水基 疎水基 Vector network analyzer Vector network analyzer A-band この様な問題に対して PNIPAM はその代表例として分子論的な描像を明らかにするべく数々の先行 研究がおこなわれてきた.構造学的には転移温度以下で系はナノメーターのオーダーの濃度揺らぎが起 こっているがマクロに観ると均一であり,温度の上昇に伴ってその揺らぎが上昇し,転移温度以上では マクロな相分離が起こると解釈されている[1].又,ダイナミクスに関する研究も行われているが,定量 的な解釈は十分ではない[2].今回の研修ではその水分子の協同的なダイナミクスをマイクロ波,ミリ波 の高精度な測定により得られる高周波誘電緩和スペクトルを用いて定量的に議論する. 誘電緩和スペクトルは溶質・溶媒の協同的なダイナミクスを複素誘電率として測定する分光学的な手 法である.複素誘電率が協同ダイナミクスと結び付くのは定性的に以下の 2 つの理由による.一つは誘 電体に電場をかけた時の分極が誘電率に依存すること,もう一つは電場に対する分極の関係が有極性分 子の分布関数(の時間変化)を用いて導かれることである. 【実験方法】 分子量 19,000-30,000 の PNIPAM を用いて 5 wt%水溶液を調製し,その複素誘電率を,温度を変化 させ測定した.スペクトルは導波管干渉計 E-band(60-89 GHz)と,Vector network analyzer(0.2-50 GHz), A-band(27-40 GHz),を組み合わせることよって得た. 得られたスペクトルに対して定量的な解 釈を与えるため,緩和モデルの重ねあわせによるスペクトルの再現を試みた. A B バルク水 水和側鎖 Fig. 2. The complex dielectric spectra of aqueous PNIPAM solution in 0.2 ≤ ν / GHz ≤ 89 at 5°C (A), and 32°C (B). In the upper panel of (A), the excess spectrum defined as ε″(ν)E = ε″(ν) − εw″(ν) is also shown, where εw″(ν) is an ideal bulk-water loss spectrum scaled according to analytical water concentration, cw(c). 【実験結果】 得られたスペクトルは 2 つの Debye 型関数(配向緩和が単一指数関数で表される関数)の重ねあわせに 27 よって最も小さい残差の値で表現され(Fig. 2),緩和過程の代表的なパラメータである緩和強度 Sj と緩 和時間τj の温度依存性を Fig. 3 に示す.高周波側の緩和過程(j = 2)は,緩和時間の温度依存性から,バ ルク水の協同的な水素結合ネットワークの組み換えであることが言える[4].一方,低周波側の緩和過程 (j = 1)は PNIPAM 溶液特有であることから,PNIPAM 由来の緩和過程であることがいえる. 緩和強度は,純水の場合,温度の上昇に伴って単調に減少するが,PNIPAM 水溶液の場合,バルク 水の緩和強度は 28°C を境界に減少関数から増加関数へと変化する.一方,PNIPAM の由来の緩和強度 は 28°C を境界に減少する.緩和時間に関しても,低周波側の緩和過程は 28°C から急激に上昇し,バ ルク水の緩和時間も,純水のそれを上回る. 以上のことは,低周波側の緩和過程の起源を,水和した PNIPAM の側鎖の分極揺らぎであると考え ると,温度依存性をうまく説明することができる.一般化 Cavell 式に依ると,緩和強度の上昇は,そ の緩和過程に寄与する分子(集団)の濃度の増加を意味することから,28°C 以上におけるバルク水の緩和 強度の増加と水和した PNIPAM 側鎖の緩和強度の減少は,PNIPAM に水和していた水分子が,温度の 上昇によってバルク水の緩和へ再度寄与することを示している.これは,小角散乱法を用いた PNIPAM 水溶液の転移現象に関する構造学的な解釈,すなわち”水が主要な構成成分であるドメインと PNIPAM が主要な構成成分となるドメインの形成”[1]を強く示唆する結果が得られた.更に,一般化 Cavell 式を 用いて水和数を計算した結果,13 の水分子が脱水和し,この値は過去の熱力学的測定により求められた 値と整合性が良く[5],この脱水和による主鎖間の相関であると考えられている構造学的な結果を強く支 持することが明らかとなった[6]. Eyring の式に基づくと緩和時間は活性化自由エネルギーと関わりを持つことから,一般に温度の上 昇に伴って減少する為,水和した NIPAM 側鎖は特異的な挙動を示しているように見える(Fig.3).しか し,PNIPAM は転移点以上の温度で密に詰まったグロビュール状態へ転移するため,昇温に伴う緩和 時間の増加,すなわち活性化自由エネルギーの増加はポリマーの絡み合いにより側鎖の運動が妨げられ ていることが原因であると考えることができる. Fig. 3. Temperature dependence of relaxation times and relaxation amplitudes of processes 1■)( and 2 (△) of poly(N-isopropylacrylamide) solutions in H2O and H2O (+). 【まとめ・展望】 今回の研修により温度応答性を持つ高分子溶液における水の役割が明らかとなった.水和した水分子 は昇温に伴って脱水和し,バルクの水へと再度寄与し,この結果は過去の熱力学的測定と小角散乱を用 いた構造学的な結果と一致する.今後は,同様の高分子溶液の濃度依存性の解析を進め,臨界温度との 関連性を検討していく.又,蛋白質溶液のスペクトルの定量的な解釈も試みる. 28 (B) (A) (C) Fig. 4. The complex dielectric spectra of aqueous bovine serum albumin solution in 0.2 ≤ ν / GHz ≤ 89 at 25°C at different concentrations of (A) c = 3.0 wt%, (B) c = 10 wt%, and (C) c = 20 wt%. 【参考文献】 [1] A. Meier-Koll, et al., Langmuir, 28, 8791 (2012). [2] Y. Ono, and T. Shikata, J. Am. Chem. Soc. 128, 10030 (2006). [3] D. Chandler, Nature, 437, 640 (2005). [4] T. Fukusawa, et al., Phys. Rev. Lett., 95, 197802 (2005). [5] M. Shibayama, M. Morimoto, and S. Nomura, Macromolecules, 27, 5060 (1994). [6] T. Sato. to be published. ◆活動経験談 a) 研修先における就労・教育システムの新たな知見 研修先における修士課程のカリキュラムは,授業がほとんどなく研究が中心であり,その期間は 1 年 程度である.日本の修士課程 1 年次に履修するような授業は学部生 4 年次に履修するようである.コア タイム,ゼミといった制度はみられなかったが,研修先の研究室の学生は 8:00 頃から 19:00 頃まで研 究を行っていた.研究は個人個人が実験,解析を行い指導教官と議論を行いながら進める.また,2 カ 月に一度,数研究室が集まり 2,3 時間程度の報告会を行っている. 研修先の学生の大部分は博士課程へ進学する.その背景には世界最大の化学メーカーである BASF の 採用が,博士号を持っていることを条件とし,他の企業もそれにならっているという事実があり,この 傾向はドイツの化学系の学科全てに当てはまる. b) 研修先で印象に残った事柄(所属大学との比較など) 研修先の大学の学生は自律しているという印象を受けた.上述の通り,コアタイムは無いが朝から晩 まで黙々と研究に打ち込む.実験に関してのこだわりも強く,精度はいくらか,得られた結果の起源は 何か,関連する文献との整合性はどうか等,議論を惜しまない. 留学生が多いことも印象に残った.ヨーロッパはもちろんのこと,アジア,オセアニアからの学生が 目立った.それに伴って様々な英語を聴いたが,伝える意思が最も大切であることを感じた. c) 後輩へのアドバイス (i) 研修先で活動を行うに際して注意する事柄 実験計画は余裕を持って,できる限り綿密に立てることが必要である.試薬に関しても事前の準備が 肝要である.装置の扱いは研修先の方の注意事項をしっかりと聴かなければならない.聞き取れない, 分らない部分は積極的に質問することを勧める.Yes man は災いの元である. (ii) 事前に必要な調査や準備について パスポート,ビザの手続きは発行までに時間がかかるので,外務省の HP を参考にしながら早めに準 備しておくとよい.航空券も渡航前に余裕を持って準備することによって費用が抑えられる(また,複数 29 の渡航先がある場合,航空会社を統一すると安くなる).アパートやマンションなど,住居についても事 前に予約しておく必要があるが,多くの場合,現地の事情はわからないので,研修先と連絡を取りなが ら決めるとよい.渡航先での現金の引き落とし(クレジットカードのキャッシング等)方法もしっかりと 準備しておくべきである(私は渡航時期に間に合わず,大量の現金を肌身離さず持ち歩くという緊張感の ある生活を送った).私自身,海外経験がほぼ零の状態であったので,準備の段階から面食らった.出発 の段階では空港で迷い,トランジットで迷い,現地に到着しても迷い,路頭に迷わなかったのが不思議 なぐらいであった.初めてのことに準備しても準備しすぎることはないので,早め早めの準備を心がけ るとよいと思う. (iii) 研修先での生活について 現地の言葉が使えるにこしたことはないが,ドイツの場合,生活をするだけならば英語を話せれば不 自由はないように感じた.礼儀,作法は日本とは異なる部分も多い.挨拶は万国共通の礼儀だが,電車 に乗るために駅員に尋ねたところ,「まず挨拶をしろ」と怒られた.ヨーロッパではどんな会話であっ ても挨拶をはじめにするようである.ある程度のことはインターネット等を使って下調べをしつつ,” 郷に入っては郷に従え”の精神を持つことが大切だと感じた. (iv) その他 日本を離れて研修を行うことは苦労も多いが,その苦労を差し引いても余りある貴重な経験ができた. この様な機会を与えていただいた SVBL に改めて感謝いたします. 研修先の R. Buchner 先生と Regensburg 大学化学科 30 7. 研究者の招聘 食品業界にいち早く食材流通の IT システムを導入した,ベンチャー企業(株)インフォマートの現 場から,ベンチャー企業のビジネスマンの仕事観と「優秀な人材」についてお話いただいた. 【日時】 2013 年 1 月 20 日(月) 13:00~14:30 【場所】 信州大学繊維学部 【講師】 中島 【演題】 学生のみなさんへ ~「シゴトは学生の 100 倍楽しいヨ!」 【対象】 信州大学の学生・教職員 29 講義室 健 氏(株式会社インフォマート 取締役経営企画本部長) 【参加者】 信州大学の学生・教職員 2 名(情報システム工学,環境分析学 31 授業受講者 40 名) 8.共通教育講義「ベンチャービジネス概論」 平成 25 年度共通教育科目の講義として「ベンチャービジネス概論」を開講した. 授業科目名 (法・政治・経済の諸相) 対象学生(全学 1 年生) 授業題目名 (ベンチャー・ビジネス概論) 英文授業名 (Introduction to Venture Business) 授業担当教員(中西弘充) 所属学部(SVBL) 副担当教員 (小西 哉,松村嘉之,他) 所属学部(繊維学部) 期間 曜日・時限(水曜日・5 時限) (前期) 【授業のねらい】 新しいプロジェクト(計画)を実行するための企画・立案・運営などの能力養成,および思考と行動 を支える実践的知識を養成することを目的とする. 【授業の概要】 自らが会社をつくる(ベンチャーを起業する)ことに限定せず,研究室や就職後に企業の組織に入っ て活躍する場面においても必要である実践的なプロジェクト遂行に関する知識と能力をグループワー クで学ぶ.身近なところにある課題を見つけ,どのようにしたら解決できるかを考え,どのように実行 に移せるようになるかを計画する課題解決型学習;PBL(Project Based Learning)を実践する. ・ベンチャーマインドの養成 チャレンジ精神 現状を分析し,課題を抽出し,課題解決の新事業を企画する ・社会で求められている力『社会人基礎力』 前に踏み出す力(主体性,働きかけ力,実行力) 考え抜く力(課題発見力,計画力,創造力) チームで働く力(発進力,傾聴力,柔軟性,状況把握力,規律性,ストレスコントロール力) ・プロジェクトマネジメント グループワークで事業計画を作成 ・協力企業(株式会社八幡屋磯五郎)の新商品開発提案 ・文化祭模擬店の企画 図解を用いたアイデアの整理術 プレゼンテーション力 【授業計画】 (1) 「オリエンテーション」 (2) 「フロントランナー講演会( (株)モンベル創業者)」 (3) 「信州大学で活躍している学生団体の紹介」 (4) 「社会に必要な能力を知る~【社会人基礎力】とは~」 32 (5) 「外部アイデアコンテストの紹介と実績」 (6) 「プロジェクトマネジメントとは」 (7) 「グループの力で事業計画を作る:課題の発見【ブレインストーミング】他」 (8) 「グループの力で事業計画を作る:アイデアの整理【KJ 法】他」 (9) 「グループの力で事業計画を作る:戦略計画【SWOT 分析】他」 (10) 「グループの力で事業計画を作る:管理会計【損益分岐点】他」 (11) 「プレゼンテーション演習 1」 (12) 「プレゼンテーション演習 2」 (13) 「プレゼンテーション実習 前半グループ」 (14) 「プレゼンテーション実習 後半グループ」 (15) 「授業の総括」 1) ベンチャービジネス概論 特別講演会 28 歳の誕生日に起業し,日本を代表するアウトドアブランド「mont-bell」を創り上げた辰野勇氏よ り,これまでの経験を通じて,夢を持つことの大切さ,チャレンジすることのやりがいについて講演い ただいた. 【開催日時】 2013 年 4 月 17 日(水)16:20~17:50 【場所】 信州大学 松本キャンパス 全学教育機構第 2 講義棟 2 階 61 番講義室 信州大学 SUNS 会議室(工学部・農学部・繊維学部,本学学生・教職員のみ) 【講師】 株式会社モンベル 創業者 辰野 勇 氏 【演題】 若き日に抱いた夢とチャレンジの軌跡 【対象】 信州大学の教職員・学生,一般 【共催】 長野県,長野県中小企業振興センター ながの創業 サポートオフィス 【参加者】 151 名(授業履修者 67 名,授業履修者以外の 本学学生・教職員 49 名,一般 65 名) 2) 「社会人基礎力を育成する授業 30 選」への応募 経済産業省主催の「社会人基礎力を育成する授業 30 選」へ応募した. 経済産業省では,職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な能力を「社会 人基礎力」と定義し,大学での「社会人基礎力」の育成を推進する観点から,効果的な育成手法を実践 している大学のグッドプラクティスを表彰し,大学教育において社会で活躍できる若者育成に資する取 組を促進していくことを目的としている.全国から 189 件の応募があり,ベンチャービジネス概論の申 請は 30 選に選ばれなかった. 33 Ⅱ. ベンチャー創出支援事業 1. ベンチャー起業支援 本 SVBL は本学学生のベンチャー起業の支援事業として,ベンチャー起業を指向する下記学生団体に 対する助言,及び必要に応じて専門家の紹介などの支援を行った. 団体リスト 団体名 氏名 所属 (有)HighHope 田沢省吾(代表取 理工学系研究科 <活動内容> 締役) 繊維・感性工学専攻 1 年 ホームページ設計 機械・ロボット学専攻 1 年 モック 渡辺貴広(代表) 理工学系研究科 <活動内容> 田中直人 理工学系研究科 機械・ロボット学専攻 1 年 学生版 EMS (Electronics 小室良枝 青柳匡尚 繊維学部 応用化学課程 4 年 繊維学部 機能機械学課程 3 年 金田 望 繊維学部 機能機械学課程 3 年 北島一輝 繊維学部 機能機械学課程 3 年 Manufacturing Service) 東川真也 繊維学部 機能機械学課程 3 年 ArkOak 加納 <活動内容> 山本裕行 工学系研究科 大学向けソフトウェア開 杉山聖貴 宮島文佳 工学系研究科 繊維・感性工学専攻 1 年 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 4 年 大塚ゆりな 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 4 年 佐藤 翼 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 3 年 発 徹(代表) 総合工学系研究科 生命機能・ファイバー工学専攻 1 年 機械・ロボット学専攻 2 年 清澤周平 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 2 年 古澤里奈 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 2 年 黒岩愛里 繊維学部 材料化学工学課程 2 年 桑まるごと活用塾 桜井里奈 繊維学部 生物資源・環境科学課程 4 年 <活動内容> 関美紀江 繊維学部 生物資源・環境科学課程 4 年 桑の有効活用 松野久美子 宮島文佳 繊維学部 生物資源・環境科学課程 4 年 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 4 年 猪股良平(代表) 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 3 年 大堀友輔 蔡 金芮 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 3 年 繊維学部 生物機能科学課程 3 年 赤石泰隆 繊維学部 応用生物科学系 2 年 渥美慶祐 佐藤美月 繊維学部 応用生物科学系 2 年 繊維学部 応用生物科学系 2 年 増田 繊維学部 応用生物科学系 2 年 悠 丸山翔平 長島有一 繊維学部 応用生物科学系 2 年 繊維学部 先進繊維工学課程 2 年 山田大賀 繊維学部 先進繊維工学課程 2 年 今坂優太 谷本頼亮 繊維学部 機能高分子学課程 2 年 繊維学部 機能高分子学課程 2 年 35 有限会社 HighHope ついて 代表取締役/理工学系研究科 修士課程 繊維・感性工学専攻 1 年 田沢省吾 1.今年度やったこと 今年度は会社解散に向けて,手続きを進めてきた.会計士,税理士,法務局,税務署など相談に行き, 会社の精算及び解散手続きを行っている.起業はしたことないのでわからないが,会社の解散という作 業は大変な作業だということを身にしみて感じている. 2.HighHope の経験を通じて学んだこと HighHope の活動は大学2年生のころより行ってきたが,大学や他団体(サークル等)ではできない 経験の数々であった.小さいが,自ら事業を企画し収支の計算をして商売を回すこと,技術・サービス をお金に換えることは大変労力と信頼関係がいる作業であること,地域の人々と出会うきっかけになっ たことなど,様々な経験を通じて学んだ.文字におこすと簡単かもしれないが,当事者となると困難ば かりだった.学生時代にこの経験ができて良かったと思っている. 3.学生の皆様へ チャレンジしたい人,何かモヤモヤしている人,行動力ある人などぜひ課外活動もひとつの選択肢に 入れて行動してほしい. 学生ベンチャーするもよし,自ら新しいプロジェクトを立ち上げるもよし,とりあえず何でもいいか らやってみるもよし.主体的な行動はその後の学生生活に活きると思う.ぜひ行動してほしい. 4.最後に 本活動を通じて,多くの方にお世話になりました.改めてここに感謝の意を表します. 2日間で90名動員 図1.これまで実施してきた事業の告知チラシや写真 36 モック 理工学系研究科 修士課程 機械・ロボット学専攻 1 年 渡辺貴広,田中直人 繊維学部 応用化学課程 4 年 小室良枝 繊維学部 機能機械学課程 3 年 青柳匡尚,金田 望,北島一輝,東川真也 1. 活動内容 電子技術開発を自前ではできない小規模企業の電子技術開発を受注することにより,当該企業の技術 開発・ビジネス展開・製品開発を支援します. 2. 活動報告 ① LED フラッシャキットの設計開発 まつもと広域ものづくりフェアー(2013 年 7 月 13 日,14 日)で,ボタンを押すと LED の色 が変わる「フルカラーを用いた LED フラッシャキット」の販売・作製補助を行った.今回はフ ルカラーLED を初めて採用したことで,子供たちの注目を集め,用意した 200 セットを完売す ることができた. ② 全日本製造業コマ対戦に出場(2013 年 7 月 6 日) マイコンとブザーを搭載し,音が鳴るコマを製作した. ③ 機能機械学課程の HP の修正 更新が止まっていた,機能機械学課程の HP の修正を行った. ④ 佐久長聖中学校のロボット研究部への技術支援 昨年度に引き続き,ライントレーサなどの作製やプログラムを通して中学生に技術支援を行った. 中学校の文化祭に参加しライントレーサの修理などの支援を行った. ⑤ 信州衛星「ぎんれい」のノベルティーグッズの開発 信州衛星「ぎんれい」ノベルティーグッズとしてペンライト等を考案した.ノベルティーグッズ の案で SVBL ベンチャーコンテストに応募し,最優秀賞を受賞することができた. ⑥ 撹拌機の回路改良 昨年までに製作した回路に,結露対策用のスプレーを塗布すると動作が不安定になる事が分かっ た.現在,原因を追及している. 3. 来期活動計画 ・撹拌機の回路の修正 ・フルカラーLED フラッシャキット改良 ・佐久長聖中学校のロボット研究部への技術支援 ・ぎんれいのノベルティーグッズの開発 4. 今後の課題 3 年生へ引き継ぎの準備を行う. 5. 所感 来年度から代表が交代するので,引き継ぎが上手くいくように活動の中心を 3 年生に徐々に任せてい きたい. 37 ArkOak 総合工学系研究科 博士課程 生命機能・ファイバー工学専攻 1 年 加納 徹 工学系研究科 工学系研究科 修士課程 機械・ロボット学専攻 2 年 山本裕行 修士課程 繊維・感性工学専攻 1 年 杉山聖貴 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 4 年 宮島文佳, 大塚ゆりな 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 3 年 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 2 年 佐藤翼 清澤周平,古澤里奈 繊維学部 材料化学工学課程 2 年 黒岩愛里 1. 活動内容 「ArkOak」は,大学や研究機関に向けて,教育・研究支援ソフトウェアの開発を行うベンチャー団体 である.大学教育や研究で使うちょっとしたソフトウェアを望む声は多いのに対して,ソフトウェアの 専門性の高さと市場性の低さから,市販されているものは非常に高価であることが多い.「ArkOak」は 大学と密接な立場である利点を活かしながら,専門的なソフトウェアを低価格で開発することで,大学 の悩みを解決していくことを理念としている. 2. 活動報告 1) マスコットキャラクターコンテストの開催 ArkOak 内部で,マスコットキャラクターを決定するコンテス トを開催した.優勝は古澤里奈さんのアー君となり,次点で黒岩 愛理さんのあーくちゃんとなった. アー君 あーくちゃん 2) 勉強会の実施 ソフトウェアを開発できる人材の育成のため,月に 1~2 回,プログラミングの勉強会を開催した.また,6 月には松 本のコワーキングスペース「Knower(s)」の中山様より依頼 を受けて,講師として Java 講習会を開催した(7 名が参加) . Java 講習会 3) コマ大戦への参加 直径 2 cm のコマを作製し戦わせる,コマ大戦 県別団体戦 長野県予選へ,ArkOak として参 加した.結果は 10 勝 15 敗で,長野県代表からは落選した. 4) ソフトウェア開発 竹林歯科 竹林先生より,以前開発を行った「CT シミュレータ」のアップデートの依頼があ り,20 万円で請け負った.また,同じく竹林先生から AR(拡張現実)を用いた手術シミュレ ータのデモ用ソフトの依頼があり,5 万円で請け負った. 3. 来期活動計画 引き続きメンバ全体のスキルアップを行う.そのための勉強会は,前年度教わる側だったメンバに, 積極的に企画してもらう予定である. 4. 今後の課題 オーダーメイドで小口販売を繰り返しても得られる利益に非常に小さい.これまでは,利益ではなく スキルアップを目的とすることで超低価格を実現してきたが,供給が追い付かなくなっているため,技 術の安売りにならないよう経営にも力を入れていきたい. 38 桑まるごと活用塾 活動報告 繊維学部 生物資源・環境科学課程 4 年 桜井里奈,関美紀江,松野久美子 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 4 年 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 3 年 宮島文佳 猪股良平,大堀友輔 繊維学部 生物機能科学課程 3 年 蔡 金芮 繊維学部 応用生物科学系 2 年 赤石泰隆,渥美慶祐,佐藤美月,増田 悠,丸山翔平 繊維学部 先進繊維工学課程 2 年 長島有一,山田大賀 繊維学部 機能高分子学課程 2 年 今坂優太,谷本頼亮 1. 活動内容 上田地域は明治時代より養蚕業が盛んで,桑が多く栽培されてきた.しかし,化学繊維や外国産の糸 の波に押されて近年その養蚕業は衰退の一途をたどっている.それにより,桑を利用する機会が減り, 桑の木はほとんど見られなくなり,当時の面影を残すものはほとんどない.蚕都・上田という一つの大 きな特徴を保全するためにも,蚕の餌以外の新たな桑の活用法を模索する必要がある.その方法を考え る団体が桑まるごと活用塾である. 2. 活動報告 イベント「別所線と走ろう,ラン&ウォーク 2013」で,別所温泉あいそめの湯にて「くわりんとう」 の販売を行った(2013.5.25).くわりんとうとは,昨年度桑まるごと活用塾の活動により商品化・販売 開始された桑の葉粉末を練り込んだかりんとうである.このイベントへの参加でくわりんとうをアピー ルし,知名度を高めること目標とし,一日で 58 袋のくわりんとうを販売することができた.桑の葉パ スタ作り(2013.10.1〜)では,桑の葉粉末をお湯に入れると,粘性を生じることを利用して,桑の葉 ソースを作り,それをパスタに絡めた(図1).何度も試作を行い,最適な桑の葉粉末の割合を考えた. 東雲祭(2013.10.19-20)では,桑の葉パスタとくわりんとうの販売を行い,桑の葉パスタに対するア ンケートを行った.アンケートで最も多かった意見は,パサパサしていて食感があまり良くないという もので,まだまだ改善の余地があることを認識できた. 図1.くわの葉ソース(左),東雲祭で販売を行った桑の葉パスタ(右) 39 草木染め(2013.11.11〜)では,くず繭を桑の葉や実から抽出した染色液を使って,染色を行った(図 2) .桑の葉から抽出した染色液で染めるとくず繭は黄土色に染まる.さらに,それをミョウバン溶液に 浸けると,くず繭は黄土色から鮮やかな黄色に変色することが分かった.一方,桑の実では抽出液をク エン酸溶液と酢酸溶液の 2 種類の溶液を用意し,それぞれ抽出を行い,2 種類の染色液を作った.両者 ともくず繭をえんじ色に染めるが,クエン酸溶液で抽出を行った染色液のほうが鮮やかなえんじ色に染 めることができた.そして,その染色を行ったくず繭を使って,イルミネーション(2013.11.28〜)を 作成した.作成したイルミネーションは,講義棟1階のロビーで展示を行った(図 2). 図 2.染色を行ったくず繭(左),くず繭を使ったイルミネーション(右) 3. 来期活動計画 今期に引き続き来期もくわりんとうの販売を行い,販路拡大に努める.アンケートの結果をもとに桑 の葉パスタの改善と新たな料理への挑戦を行い,商品を開発し,販売まで漕ぎ着けたい.染色に関して は,今後いかにして応用されるかしっかり吟味したうえで活動を続けていきたい. 4. 今後の課題 今期はメンバー全員が集まる時間を十分に取ることができなかった.そこで,メンバーが余裕もって 時間のやりくりができるように,長期的な計画を練り早めに活動予定を提示できるようにすることが重 要だと感じた. 5. 所感 今期はくわりんとうの販売や桑を使った料理の模索,染色など多岐に渡って活動を行ってきた.来期 は今期の活動を活かして,メンバーと話し合いを行い,少しずつ焦点を絞りながら活動を進めていきた い. 40 2. ながの創業サポートオフィス分室 長野県が「日本一創業しやすい県づくり」を目指して開設した公益財団法人長野県中小企業振興セン ター総合相談窓口「ながの創業サポートオフィス」の分室(相談受付窓口)が,2013 年 4 月に信州大 学と連携して 4 キャンパスの各機関に開設された. 上田キャンパスでは SVBL に分室が設置され,創業意欲のある学生からの相談受付を行い,ながの創 業サポートオフィスのスタッフを招いて事業化に向けた相談・助言等の支援を開始した. 【分室の設置機関】 松本)研究推進部産学官地域連携課 上田)SVBL 長野)イノベーション研究・支援センター 伊那)産学連携室 【受付相談内容】 ・創業に関する相談・助言 ・セミナー ・金融支援 ・税制 ・技術支援 【対象者】 信州大学の学生,大学院生.及び近隣の大学生,大学院生.地域の創業意欲ある若者など 【相談実績】 2013 年 6 月 6 日 総合工学系研究科の学生が取り組む活動の起業に関する相談に対し,中小企 業振興センター経営支援部部長が対応 41 Ⅲ. SVBL 研究 1. プロジェクト研究 研究テーマ 研究者 中西弘充 葉緑体ゲノムを用いた桑の系統解析 SVBL 助教 スーパーバイオミメティックスを目指して 伊藤吹夕 葉表面に存在する繊維と水捕集との関係 SVBL PD 研究員 小西 繭 里山の生物多様性と遺伝資源の保全 SVBL PD 研究員 桑の古木探索~フィールド調査とサンプリングの概要~ 松村哲也 SVBL PD 研究員 松浦俊介 長野県の産官学連携による創業支援 SVBL 研究員 43 葉緑体ゲノムを用いた桑の系統解析 SVBL 助教 中西弘充 1. 研究目的 桑(Morus 属)は養蚕業を支える重要な農作物であり,長野県各地で広く栽培されてきた.しかし,養 蚕業が衰退した現在,桑畑の荒廃がすすみ,中山間地の有効活用が望まれている.桑は養蚕以外にも食 品や漢方薬の原料として広く利用され,養蚕業の研究拠点である繊維学部では約 500 品種の桑が維持さ れ,豊富な遺伝資源が管理されている.しかし,付属農場見本桑園内で栽培されている品種の内,177 品種が系統不明として位置付けられたままである.付属農場が保有する 500 品種の豊富な遺伝資源の中 から栽培に適した有用形質を持つ品種を探索するには,系統間の関係性が明確になることが不可欠であ る.そこで,本研究では山桑系(M. bombycis Koidz.),白桑系(M. alba L.),魯桑系(M. latifolia Poir.) を中心に,葉緑体ゲノムの配列の違いを利用した桑の系統解析を試みた. 2. 実験 桑の葉緑体ゲノム情報はインドグワ(M. indica cv. K2)の配列を参考にした[1].全長 158,484 bp の 葉緑体 DNA 配列の遺伝子間領域を中心に,約 1kb の増幅断片になるようにプライマーを 27 セット設計 した.山桑系(M. bombycis Koidz.)の品種として赤目柳田,白桑系(M. alba L.)の品種として一ノ瀬,魯 桑系(M. latifolia Poir.)の品種として復興桑,系統不明の品種として上田早生を選択した.各植物体の葉 2~3 枚を自然乾燥させ,粉砕した乾燥粉末から DNeasy Plant Maxi Kit(Qiagen)を用いてゲノム DNA を抽出した.BIOTAQ DNA Polymerase (BIOLINE)を用いて PCR で増幅後,アガロース電気泳動で増 幅の有無とサイズの確認を行った.アガロースゲルから QIAquick Gel Extraction Kit (Qiagen)を用い て切り出し精製を行い,シークエンス反応のテンプレートとし,増幅と同じプライマーを用いるダイレ クトシークエンスを行った.ABI Bigdye Terminator V3.1 cycle sequencing Kit (Applied Biosystems) を用いてシークエンス反応後,Genetic Analyzer 3130 (Applied Biosystems)を用いて各品種の葉緑体 DNA 配列情報を得た. 3. 結果 設計した 27 のプライマーセットは,インドグワの葉緑体 DNA の全長の約 18%に相当する 28,840 bp を増幅するように配置した.このうち増幅できたのは 24 セットで,全長の約 13%に相当する 21,010 bp の配列を読むことができた.見つかった多型の数をまとめたものを表 1 に示す.5 品種の配列を比較し たところ多型が 31 個みつかり,このうち 24 個は基本配列に用いたインドグワ特異的に見られる多型で あった.一ノ瀬と上田早生で共通する多型が 3 つ,赤目柳田と復興桑で共通する多型が 1 つ,復興桑の 表1 5 品種の間で見つかった多型の数 置換 挿入 欠失 合計 M. indica 以外で見つかった多型 19 3 2 24 一ノ瀬,上田早生で見つかった多型 2 1 3 赤目柳田,復興桑で見つかった多型 1 1 復興桑のみで見つかった多型 1 1 1 上田早生のみで見つかった多型 44 1 2 みの多型が 1 つ,上田早生のみ多型が 2 つ見つかった.国産品種の間で見つかった多型の情報の詳細を 表 2 に示す. 表 2 国産品種の間で見つかった多型の情報 プライマーセット 葉緑体 DNA 位置 MindAtpH-F3/R3 13,966 bp 上田早生のみ T が A に置換 MindAtpH-F4/R4 14,830 bp 一ノ瀬,上田早生で C が A に置換 MindAtpH-F5/R5 15,346 bp 一ノ瀬,上田早生で 10bp の欠失 MindAtpH-F5/R5 15,351 bp 復興桑でのみ 15bp の欠失 MindRbcL-F1/R1 56,796 bp 赤目柳田,復興桑で 10bp の欠失 MindRps12-F2/R2 72,108 bp 一ノ瀬,上田早生で C が A に置換 MindNdhI-F3/R3 124,753 bp 上田早生にのみ 10bp の挿入 多型の種類 欠失が見つかった配列のアライメントの1例を図 1 に示す.2 段目のグレーは一ノ瀬と上田早生で共 通して見つかった 10 bp の欠失で,3 段目のグレーは復興桑に見つかった 15 bp の欠失を意味する.これ までに国産品種の間で見つかった多型は 7 つしかないが,多型の類似性を比較すると,系統不明として 分類されている上田早生は一ノ瀬と共通する多型が多いことから,上田早生の系統は M. alba L.に近い ことが示唆された.今後は付属農場見本桑園で管理されている残りの品種を対象に,今回見つかった多 型が山桑系,白桑系,魯桑系の各系統で保存されているかを確認し,系統不明の品種の系統解析を行う. 図1 5 品種の中で多型が見つかった配列のアライメントの一部 4. 主要文献 [1] V. Ravi et al., ‘The chloroplast genome of mulberry: complete nucleotide sequence, gene organization and comparative analysis’ Tree Genetics & Genomes, 3 49-59, (2006) 45 スーパーバイオミメティックスを目指して 葉表面に存在する繊維と水捕集との関係 SVBL PD 研究員(繊維学部) 伊藤吹夕 1. 研究目的 生物から学び,生体機能を超える新規材料を創製することを目的とした「スーパーバイオミメティッ クス基盤研究」を行っている.今年度は,主に下記 2 つの研究テーマに取り組んだ. ① 信州の里山における微生物相の解析 近年環境 DNA(eDNA)と呼ばれる,培養非依存的に微生物群衆を解析する技術が進歩している. こ の解析法を用いて,生物多様性と考えられる長野県内で,どのような微生物群集が,どのような環境下 に存在するのかを解析し系統立てられないか.さらにその中から信州発の微生物を取得し,産業利用す る事をこの研究の目的としている. 昨年度に引き続き,長野市篠ノ井にある信里地区をサンプリング場所に選定した.特にこの地区にあ るため池群について環境分析,微生物相の解析を行い,環境評価に対する新たな知見を得る事を目的と した. ② 植物の葉の表面構造解析 世界的な水不足が深刻な環境問題となりつつある.極度に降水の少ない地域の生物は,降水よりも安 定して発生する霧や露を利用することで水不足に立ち向かっていものも多い.これらの生物は効率的に 水を集めるための特殊な構造を持っていると考えられる.本研究は,バイオミメティックスを用いた高 効率な水捕集繊維材料の開発を目的とし,今年度は,乾燥地帯の植物の葉の表面の構造解析を中心に水 との関連性を調べた. 2. 実験 ① 長野県長野市篠ノ井にある信里地区は日本古来の里山環境が残り,500 程度のため池群が存在す るユニークな地域である.本研究では 7 つのため池を選択し,水サンプルから 16S rDNA の V6-V8 可変 領域に対する PCR-DGGE 法を用いて,里山ため池の微生物群集を培養非依存的に解析した.さらに, シーケンスを行い,微生物種の特定を行った. ② 高山植物であるマツモトセンノウを研究対象に選び,各種顕微鏡を用いた表面構造の解析および 水との関係を調べた.さらに表面に存在するファイバーがユニークな構造をとることから,この構造の 詳細な解析を行った. 3. 結果および成果 ① いずれのため池においても PCR-DGGE 解析から多数のバンドが検出され,信里地区の里山ため 池は高い微生物多様性をもつことが明らかとなった.また,ため池間において全体的に異なるパターン を示したことから,近隣に位置するにも関わらず各々のため池環境中で優勢な微生物が異なることが示 唆された.検出された特徴的なバンドについて塩基配列解析および BLAST 解析による微生物種の同定 を試みたところ,Anabaena 属や Synechococcus 属の一般的なシアノバクテリアとともに数種の新規と推 定される微生物の存在が見出された.これらの結果は,水環境中の微生物群集解析がその環境を評価す 46 る上で重要な指標となることを示している.この有効性を議論するにはさらなるデータの蓄積が必要で あり,現在,新たなサンプリング地点を対象にして培養法と非培養法の両面から解析を行っている. ため池名 図1 ② 各ため池における DGGE 解析(左図)と各バンドの微生物種(右図) 葉の表面に存在するファイバーについて,湿潤状態の時と乾燥状態の時を光学顕微鏡および ESEM,FE-SEM を使って詳細に観察した.その結果,このファイバーは湿潤時には,吸水して膨らみ, 乾燥時には収縮することがわかった.また,この変化は半永久的に可逆的であり,断面を観察したとこ ろファイバーの中には,セルロース系のスポンジ状物質が詰まっていた.さらに,乾燥時のファイバー は,ある一定の間隔でねじれるユニークな形態であることがわかった.このことについてシミュレーシ ョンをおこなったところ,厳しい自然環境においても自身の立位を保持するために有利であることが示 唆された.今後,この知見をもとに,高効率な水捕集繊維材料の開発を行う予定である. 図 2 マツモトセンノウの花の写真(左図)と葉の表面 SEM 像(右図) 47 里山の生物多様性と遺伝資源の保全 SVBL PD 研究員(理学部) 小西 繭 1. 研究目的 里山は自然と人間の共存により生じた二次的な自然であり,農林業に加え,生物多様性の保全,水 源かん養,土壌の浸食や崩壊の防止,リクリエーション,伝統文化の創造の場など多面的な生態系サ ービス(機能)を我々に提供する.里山の自然環境は過疎と管理技術者の高齢化に伴い荒廃しつつあ り,その将来像については保全あるいは撤退など様々な議論が始まっている.生物多様性は,保全生 態学や環境経済学がもっとも注目する対象の一つだが,社会の中におけるその価値はいまだ形成過程 にあり確立しているとは言い難い.里山における人々の生活が生態系サービスの保全につながること, また都市部においては上流域の里山生態系サービスの恩恵を享受していることをより認識したうえ で議論や合意形成がなされるべきであろう. COP10(生物多様性条約第 10 回締約国会議,2010 年)が開催されて以降,生物多様性を日常生活 と切り離された特別な存在とするのではなく,市民,企業,行政主体が,商品の購入,企業活動,政 策立案などのあらゆる意思決定の場面においてその価値を反映させる生物多様性の主流化が注目さ れている.「信州」という言葉から里山をイメージする人は多く,里山は信州ブランドを生み出す重 要な環境資源である.本研究では県内の里山に着目した生物多様性の主流化を目標に次の 2 つの研究 テーマを行った. (1) 里山農産物市場および里山保全に関するアンケート調査 消費者である市街地住民を対象にアンケート調査を実施し,里山農産物の市場を利用した里山保 全と地域資源活用の両立の可能性ついて検討する. (2) 里山の動植物の遺伝資源保護 1.里山地域におけるため池水生動物の eDNA バーコーディング:日本の重要湿地 500(環境省) に指定されている長野市信里地域ため池群において採水および水生動物(特に魚類,昆虫類,甲 殻類)の捕獲を行い,生物相(生物多様度)の記録および希少種や外来種の存否を簡便に確認す るための eDNA バーコーディング法の開発を試みた. 2.絶滅危惧種シナイモツゴの遺伝的多様性の評価と DNA 診断:長野市信里地域ため池群において 寄生虫(吸虫類)に濃厚感染するシナイモツゴが急増している(Konishi et al. 2012,学会発表). 今後の野生集団の遺伝的保全管理方策を提案するために,濃厚感染の至近要因の一つとして懸念 される遺伝的多様性の消失や近親交配との関連性を調べるための調査および実験を行った. 3.桑の古木保存プロジェクト(H25 年度 COC 地域志向教育研究支援事業) :本プロジェクトにつ いては松村哲也研究員が報告する.県内に残存する身近な里山の植物の代表として野生桑の分布 調査(北信・中信) ,および,遺伝資源情報記録のための葉組織採取を行った. 2. 調査および実験 (1) アンケート調査は市街地住民 450 名(東京,大阪,長野)を対象に 2012 年 10 月に実施し,昨 年度に引き続き解析を行った.アンケート内容は 2 段階から構成され,農産物の質や購入に関す る質問をした後に里山に関する質問について尋ねた.具体的には農産物を購入する際に優先する 質(15 種:味,栄養価,新鮮さ,大きさ重さ,色や形,安全性,農法,生産者表示,産地,品種, クチコミ,旬,珍しさ,購入経験,環境配慮),購入手段に関する質問,また里山保全への意識 48 や里山農産物の購入意欲について尋ねた.また,里山環境の価値を貨幣尺度に代替する仮想評価 法(CVM)を実施した.回答者属性として年齢,性別,居住地,職業,収入,同居者数,家族内 の未成年者の有無の情報を得た. (2)-1.15 地点のため池において採水および水生動物(主に魚類,昆虫類,甲殻類)の捕獲を行い, 水サンプル中の eDNA および捕獲した水生生物の DNA を抽出し,ユニバーサルプライマーによ り水生生物各種の mtDNA COI 遺伝子の部分塩基配列(約 660bp)を決定した.形態ならびに Genebank に登録されている既存の塩基配列とのアライメント解析により種の同定を実施した. 水サンプル中の eDNA についても同様の COI 領域を増幅し,今後 TA クローニングにより既知 の水生生物の DNA の有無を確認する. (2)-2.シナイモツゴ 14 個体群における魚体の写真撮影により吸虫類感染率を得るとともに,供試魚 数個体を実験室に持ち帰り生理食塩水を用いた脱嚢法により寄生虫数を計数した.また,マイク ロサテライト DNA 解析,および,免疫機構を司る MHC(主要組織適合遺伝子複合体,Major histocompatibility complex)の Class IIB Exon 2 領域の塩基配列解析(約 250bp)を行った. 3. 結果および成果 (1) 里山保全に対する支払意志額 WTP は里山への関心,保全への関心,農産物の購入意欲と有意な 正の相関を示した(すべて P>0.001).次に WTP と農産物を購入する際に優先する 15 種の質の 回答結果を用いてステップワイズ重回帰分析を行った(表 1).その結果,WTP は「旬」および 「大きさと重さ」の変数によってのみ説明できることが示された.旬を優先する消費者ほど高い WTP を表明し,一方サイズを優先する消費者は WTP を低く表明することが示唆された.以上の ことから里山農産物のサイズを活かした市場展開は,里山保全に無関心な市民を消費者として巻 き込む可能性のあることから生物多様性の主流化の一つとして有効であると考えられる. (2)-1.魚類 3 種,甲殻類 2 種,甲虫類 5 種,半翅目 10 種,蜻蛉目 8 種から DNA を抽出し,COI 領域部分塩基配列を得た.これらの塩基配列の中には,Genebank データベースに登録されてい ない種も含まれた.水サンプル中の eDNA についても同様の COI 領域を増幅したが,塩基配列 決定には至っていない.今後 TA クローニングにより網羅的に増幅した PCR 産物の塩基配列を 決定し,既知あるいは未採集の水生動物の DNA の有無を確認するとともに,eDNA による生物 多様度の評価手法の改善点について考察する. (2)-2.写真解析による平均感染率は 50.1%(n=14,2~100%)であり,調査を実施したすべての個 体群において感染が確認された.脱嚢法により 1 個体あたり 100 以上の寄生虫が感染する個体も 認められた.シナイモツゴならびに姉妹種モツゴにおいて MHCIIB 領域の増幅に成功した.シ ナイモツゴ 3 個体群 15 個体の解析の結果,個体群内多型は認められず,モツゴ 1 個体群 14 個体 から二つ以上の対立遺伝子が見出された.今後も解析数を増やし,より精度の高い多様性解析を 行うとともに,マイクロサテライト DNA 解析の結果と併せて寄生虫数と遺伝子型の関係性に着 目した集団解析へと発展させたい. 表 1 里山保全への支払意志額を説明する農産物の特徴に関する変数. N 調整済み R2 P WTP を説明する有効な変数 1 2 全体 450 0.043 >0.001 旬 (+) 大きさ重さ (-) 都市部 長野県 300 150 0.043 0.027 0.010 0.025 大きさ重さ (-) 旬 (+) 旬 (+) 49 桑の古木探索 ~フィールド調査とサンプリングの概要~ SVBL PD 研究員(農学部) 松村哲也 1.桑の用途 とりわけ信州上州で桑(クワ)といえば,第一に蚕の餌 であり(図-1) ,往時は養蚕製糸の隆興とともにその栽培も 盛んであったが,現在,桑畑は果樹畑や宅地へと転換され 急速にその姿を減じた.ただ,今でも山麓地域や中山間地 域などには桑畑の痕跡が認められ,残置個体の中には 40 年 の時間を経て大木へと生長したものもある. ここで養蚕以外の桑の用途を挙げてみると,古来わが国 の桑は黒檀紫檀などの南洋舶来堅木に比肩しうる高級材と して神仏像などの彫刻,仏具,茶道具,箱指物等の材料と して重用されてきた(図-2) .次世代に向けて,過去に製作 された美術品工芸品の修復用素材として良質な桑材を育 図-1 「一名富国之長」歌麿/筆 尾形耕一/写 群馬県立図書館蔵 成・確保することは重要な課題である.また,薬種として の用途も見逃せない.漢方生薬ソウハクヒの原料としての みならず,葉などに含まれる機能性成分 1-DNJ は糖代謝を 制御する製薬原料として期待を集めている(図-3). 2.未利用バイオマス資源としての桑 木材また薬種としての桑の用途に着目すると,県内に残 存する養蚕用桑はまさに未利用バイオマス資源である.成 図-2 桑工芸材と厨子・江戸指物 図-3 生薬ソウハクヒ(左) 図-4 桑バイオマス資源データベース画面 長速度も速く,また栽培法も周知された資源である.ただ し,養蚕の衰退に伴い過去の栽培情報や管理情報は散逸消 滅し,現在では残存する桑個体の位置すらも定かではない. 桑を次世代に向けた良質資源としてとらえ有効な活用を進 めるためには,残存する優良な桑個体(古木・巨木)の存 在を確認し,その形状性質などを記録し情報を蓄積する必 1-DNJ(右) 要がある.そこで SVBL では次世代に向けた桑バイオマス 資源管理の端緒として「桑古木探索プロジェクト」を立ち上 げ,資源データベースの構築に取り組んでいる(図-4). 3.フィールド調査とサンプリング (情報収集)どこに優良な桑個体が残存しているのか,存在 情報の収集が第一段階である.養蚕往時を識る古老への聴き 取りをはじめ,都道府県市町村や JA,町会などに残る記録 を探す.当該地域の古地図が入手できた場合には,桑畑を表 す地図記号に注目する.また,古木巨木を扱う出版物や天然 記念物情報,インターネット検索も有効である.その土地の 50 所有者情報も重要な項目である. (現地下見)存在情報が得られたら,実地に出向き対象物 の調査とサンプリングを行う.可能ならば本調査の前に下 見をしたい.対象物の位置,駐車場,必要装備などを確認 しておくとともに,あらかじめ土地・桑個体の所有者等へ 調査・サンプル採取の許可を得ることができれば,本調査 を効率的に実施することができる. (本調査:測定) 「調査日時」 「位置(含 GPS 座標) 」 「個 体写真」 「形状(樹高・有効長・直径・分枝・通直性・葉形・ 樹形・樹勢・腐朽・キズ) 」 「性状(推定樹齢・用途・立地 環境・周辺状況・特徴その他) 」について測定・撮影・記録 を行う.このとき GPS カメラや GPS 機能を備えたスマー トフォンのカメラを用いることで個体写真撮影と座標取得 図-5 有効長の違い 図-6 採取対象の桑葉(左) を兼用することができる.また,有効長とは材木として利 用可能な部位の長さで,通直性や分枝状況とも関連する(図 -5) .用途としては,材木として利用可能な部位が少ない場 合には用材不可などと記す. (本調査:サンプリング)採取許可が得られた場合には, 桑個体の遺伝子情報取得のため,葉を1~2枚採取し乾燥 保存する.葉は正常で生育の良いものを選び,汚れ,損傷, 高所用マジックハンドの例(右) カビや虫蝕が顕著なものは避ける.対象個体の樹高が高く 枝葉に手が届かない場合があるが,対象への毀損を防ぐた めにも,樹に攀じ登ることは避けて脚立やマジックハンド 等の補助具を用いる(図-6) .採取したサンプル葉は適宜折 りたたんだ上で紙封筒に封入し,シリカゲル乾燥剤にて密 封乾燥保存する(図-7) .このとき,記録情報と葉サンプル とが紛失しないよう紙封筒上にナンバリングするなどの工 夫を要する(図-8) . 図-7 保存用密封袋・シリカゲル・紙封筒の例 図-8 サンプルを封入した紙封筒の例 4.おわりに 調査・サンプリングに際しては,所有者・管理者の意向 に従うとともに,対象や周囲の環境に対して必要最小限の 侵襲にとどめなければならない.また,天然記念物指定, 保安林,国立公園内など保護のための法的規制が施行され ている場合には法律の遵守が優先する.保護対象に指定さ れている場合には,下見時に得られた情報をもとに規制担 当官庁への許可申請・届出を行い,許可を得た上で本調査 に臨む. 51 長野県の産官学連携による創業支援 元 SVBL 研究員 松浦俊介 1. 目的 イノベーションを促進し,日本経済また地域経済の成長と活性化を図るためには,新しい技術やビジ ネスモデルを有し,新規事業に挑戦するベンチャー企業の創出・成長は不可欠である.なぜなら企業に は寿命があり,新しい企業が生まれなければ,経済活動の担い手である企業数は減少するからである. また成長する産業分野は時代とともに移り変わりがあるため,創業が少ないことは成長分野の担い手が 不足することにつながる.国としてもこれからの成長戦略の実現に向け,開業率において高い目標設定 を掲げ,創業支援により一層力を入れ始めている.また長野県も,次世代を担う産業集積を進めるため, 「日本一創業しやすい環境づくり」という目標を掲げ,様々な創業支援施策に取り組んでいる. 一方,「正確な起業活動の実態把握」「各国比較の追求」「起業の国家経済に及ぼす影響把握」を目指 した起業家精神に関する調査である グローバル ・アントルプレナーシップ・モニタ ー(Global Entrepreneurship Monitor:GEM)によると,わが国の起業活動率は世界各国と比較して極めて低い. その中でも起業家精神の高揚が重要な課題となっており,とりわけ起業態度を有する割合が他国と比べ て圧倒的に少ないことが指摘されている.加えて,起業態度をコントロールした場合は,わが国の起業 活動は欧米並みの水準になることも言及されている.このことは,起業態度に働きかける政策がより効 果的であることを示唆しており,いったん起業態度を持つことができれば,その後起業活動に従事する 確率は非常に高いということである. SVBL は高度な専門職業能力と起業家精神に富む創造的な人材の育成を目的としており,これまでプ ロジェクトマネジメントセミナーやベンチャーコンテスト等,アントレプレナー教育を実践してきた. これらは起業態度を高める取り組みであり,その結果,学生ベンチャーの輩出や学外のビジネスプラン 52 コンテストで数多く受賞する等,一定の成果につながっている.より一層,信州大学で起業家精神を涵 養する環境を作るには,学内だけではなく,地域から理解協力を得ることが望ましい.それは学生ベン チャーとはいえ,事業として成長することを前提に活動するのであれば,社会や地域との関わりが発生 するからである.そして地域全体で起業環境を整えていくためには,積極的に産業界や行政と連携する ことが必要となる.本報告では,平成 25 年度から始めた長野県との連携による創業支援の取り組みを 紹介し,活動の成果から今後のあるべき姿を検討していく. 2. 取り組みと考察 平成 25 年度は創業意欲の醸成と創業環境の整備を目的とし,長野県と連携した 2 つの取り組みを開 始した.1 点目は創業意欲の醸成を図る機会では創業セミナーである.これまで SVBL 独自でアントレ プレナーシップ教育として,学生の創業意欲を高める機会を提供してきたが,長野県と共催することで, 学生だけなく一般参加者が増え,地域への訴求力が高まった.もう 1 点は創業環境の整備を目的とした 創業サポートオフィス分室の開設である.公益財団法人長野県中小企業振興センターは,平成 24 年 4 月より総合相談窓口「ながの創業サポートオフィス」を開設し,創業サポートに力を入れている.この サポートオフィスを学生が利用しやすいよう,松本,上田,長野(工学部),南箕輪の 4 キャンパスに 分室を設置し,創業に関心を持つ学生を支援する体制を作った.学生が身近で相談できる場所を開設し たことは非常に意義があるが,相談者のメリットを提示できていないことや,そもそもの広報不足があ り,今年度の利用者は数名に限られている. 学生や地域の起業態度を高めるには,まだまだ起業やベンチャーと接点を持つ機会が少ないため,こ れからも創業セミナーのように,起業やベンチャーに関心を持つ機会を提供していくことは重要だろう. ただしセミナーに参加する層は限られるため,様々な切り口で機会を提供することが求められる.また 起業やベンチャーは,やらされてうまくいくものではない.自発的に参加したくなるコンテンツから, 階段を上っていくように階層的な機会を用意していくことが必要だ. 3. 主要文献 「平成 24 年度創業・起業支援事業(起業家精神に関する調査)報告書」一般財団法人ベンチャーエン タープライズセンター 53 2. 萌芽研究 専有スペース利用登録者 所属 先進繊維工学課程 利用責任者 研究テーマ 高性能繊維製造技術の開発 利用登録者 佐藤学,石川達也,井出圭亮,布施谷俊太, 八十島梨沙,松野岳,的場兵和,冨澤錬,姫 野達也,菅原昂亮,木村大樹,伊加賀敏文 大越 豊 機能高分子学課程 バ イオ エン ジニ アリン グ 課程 平井利博 エネルギー散逸を押さえた大変形駆 動材料の開発 夏紅 藤井敏弘 生物模倣プロジェクト 伊藤弓子,土屋摂子,篠塚麻紀子,原香,比 嘉善一,三好祐生,藤澤和也 機器利用登録者 所属 利用責任者 先進繊維工学 課程 森川英明 森島美佳 高寺政行 感性工学課程 田中稔久 和田 功 金 翼水 小西 哉 機能機械学課 程 夏木俊明 倪 慶清 鮑 力民 バイオエンジ ニアリング課 程 研究テーマ クレイを担持したシルク名のファイバー の再生医療材料への応用に関する研究 衛生用マスクの開発 山守堂夫,岸本祐輝,重澤尚希 藤山滝丸,清水勇希 金キョンオク,髙見澤融,ZHANG JUN,有地 衣服の個人対応設計に関する研究 保,鈴木智也,印南典晃,川村敦,石澤健,ZHU CHUNHONG,杉山千尋,Peiffer Julie 生分解性高分子の繊維・フィルム・ゲル・ 清允,伊藤諒介,篠井太郎,山添史晴,井出皓 ナノファイバーの表面構造観察 子,清水啓紀,檜山千尋,山下大輔,下地諒人 太田奨惟,今枝周平,阿部正寛,澤木亮平,鈴木 商品計画及びプロダクトデザイン開発 奎介 赤田弥恵子,Zeeshan, BangHyunsik, GE XIN, 中島陽太郎,木村直貴,Mayakrishnan ナノファイバーの作製 Gopiraman,森悠樹,齊藤裕樹,佐藤航,鈴木浩 太,石原祐太郎,関浩道,松井卓史 青島貴弘,大栗秀介,石崎良太郎,田邊耕平,沖 炭素系触媒材料の研究 見統,中山雄太郎,玉木智基 銀ナノ粒子による高導電性複合材料の創 鈴木悠介 成及び評価 形状記憶ポリマを用いた複合材料アクチ MELVIN GAN JET HONG,西谷篤郎 ュエータの開発 三浦裕輝,KAMEEL HIJJAZ BIN ZULKIFLI, 藤井拓郎,岡沢拓也,南木裕司,佐藤俊 繊維集合体の動的な非線形挙動の研究 介,RUAN FANGTAO,村松良治,Xu Liang,杉 山大地,相馬真也,XU ANCHANG,SHI JIAN 橋本 稔 PVC ゲルアクチュエーターの解析 石渡 勉 沖野不二雄 ナノ金属物質の作成 ナノダイヤモンドの構造変化 鈴木大介 粒子創製と評価 谷上哲也 フォトニッククリスタルの作製 服部義之 ナノカーボンのエネルギー貯蔵材料への 応用 宇佐美久尚 多孔質ガラス反応器 杉本 渉 電気化学エネルギーデバイス用材料の開 発 滝沢辰洋 新規有機・無機複合材料の開発と評価 応用化学課程 材料化学工学 課程 利用登録者 54 土屋幸成,白井叔子,鈴木彩,春山聡美,山辺典 昭,安田圭吾,Mao Shuailong,LI YI,所宏美 長谷川桃子,西村誠 山野井亮子 呉羽拓真,小林千玲,堀込幸司,松井秀介,永瀬 靖久,梅田佳孝,青木大地,村井将紀,野村有希 樋口雄介,人見茜,中島彩夏,寺家谷亮宏,吉田 裕貴,荒木佑輔 津田卓哉,小室良枝,匂坂憲人,江南祐輝,山田 和弘,川久保翔平,清水良,森俊之,西井優友 野呂優太,高野直哉,大角直矢,西澤遼,太田一 秀,長谷川寛,髙木宏平,稲川紫生,米田智士, 小西卓,奥野瑛司,堀内愛 清水航,綾戸勇輔,牧野翔,清水薫,高松恵美, 牧内由貴,滝本大裕,劉慶鋒,田中諒,坂隆之, 篠原佑人,雷中偉,張俊鋒,塩原菜摘,石田貴 信,村井智哉,山本理絵,熊向東,宮坂衆 福長 博 燃料電池の電極構造の最適化 藤松 仁 ポリエチレンの繊維製造及びポリエチレ ン系複合材料に関する研究 村上 泰 絶縁高熱伝導材料の開発、電着技術の高 度化 伊藤恵啓 小駒喜郎 結晶性多糖類微結晶の機能性材料への応 用 高分子の特性評価 SPR を用いたバイオセンサーの研究 後藤康夫 ナノフィラーで補強された繊維の創製 小山俊樹 燃料電池用新規触媒の開発 鈴木正浩 アミノ酸型ゲル化剤の開発と特性評価 寺本 彰 天然高分子を用いた極細繊維の開発 英 謙二 新規ゲル化剤の開発と応用に関する研究 志田敏夫 極限環境生物の DNA 修復酵素および生 体高分子資化酵素に関する研究 下坂 誠 キチン資化細菌の遺伝子解析 田口悟朗 植物有用成分の生合成機構の解析 荒木 潤 機能高分子学 課程 生物機能科学 課程 野川優洋 野末雅之 野村隆臣 保地眞一 塩見邦博 白井孝治 玉田 靖 中垣雅雄 堀江智明 植物の耐塩性関連遺伝子の機能解析 松山友香,市川すみれ,矢野健太,中野萌,西川 良平,島田有理子,園田紀恵 水藤史明,丸山佳紀,藤本俊介,渡邉貴史,森田 奏,伊藤崇充 前川達哉,北澤遥香,長嶺太己 茅野尭幸,水野芳樹,岡本千晶,坂口知子 小暮剛士,和田幸祐,志水誠,五味龍作,岡澤亜 季,大石さくら,山口裕子,土屋正明,重野雄 太,塩野貴子 原弘真,山根伊織,能登一葉 池田早希,小松美沙紀,藤村諒,半田雅憲,BAI XUE,小林直也 新井満美子,國井雅代,松野久美子,土屋良磨 上田大介,木下龍之介,中村祐二郎 西村歩樹,金澤考樹,王玉軍 土居玄,柏木達彦,大久保薫,大山真澄,鈴木 圭,中井彩子,山本博貴 桐山優香,田中達仁,近藤拓真,山田翔太,荒雄 太,宮下万理 松村英生 高等植物のゲノム情報の活用 音川俊太郎,飯田祐樹,福島舞,上野広樹,村山 雄亮,鈴木翔太,岩淵裕之,西原莉央,高木健太 朗 水口 仁 繊維強化プラスチック材の 100%乾式法 による完全分解と強化繊維の回収・リサ イクル 鈴木悠介,高橋宏雄,塚田祐一郎 山本博規 小笠原寛 その他 前田裕規,三浦圭織,柿内優孝,佐久間一石 環境浄化ビジネスに利用できる新技術の 開発 枯草菌のテイコ酸及びポテイコ酸修飾機 構の解明 表層ストレス応答と細菌アクチンホモロ グの解析 森脇 洋 ヒト環境遺伝 子実験部門 遺伝子改変酵素及び翻訳伸長因子の大量 調整と機能解析 凍結乾燥ウシ精子の膜損傷程度の評価 タンパク質の構造機能解析及びタンパク 質工学研究 チョウ目昆虫遺伝子の機能解析 鱗翅目昆虫における体色発現機構の解明 シルク材料の利用技術開発研究 スパイダーシルクの分析 新井亮一 生物資源・環境 科学課程 Agrobacterium の改変、抗クラウンゴール Agrobacterium 菌の開発 植物工場のランニングコスト削減 田村秀仁,浜崎翔伍,齋藤誠,森本匠,深谷仁, 大山恭平,櫛引貫志,田本祐樹,唐沢佑一 中村梨花,山本竜史,清水崇臣,平出千都世,日 髙正裕,熊谷太貴,川口大翔 岡田一良,桂淳子,小林正美,白川益恵,花井嘉 忠,長沼宏樹,内藤彩,菅優史,長部祐介,青木 諒併,酒井大輝,松澤鷹尚,原立栄,江口周平, 平岡笙,村松佑亮,東谷一真,湯本和弥,曽根原 悠斗 栗原真理,塚原麻衣,岩本憲治,飛田泰宏,森口 裕樹,別所佑希子 松﨑亮弥,池戸志帆,太田香里,舟瀬智明 西山英美,北原寛大 廣瀬大紀,中澤佑介,沼野泰成,山本克哉,尾崎 彰,根岩祐貴,田中佑耶,佐藤洸,山川智之,平 澤祐,中村陽,富永啓太,濱田昌平 辻本健,小池亮介 加藤幸江,早川勇太,大井信,上田拓弥,近藤萌 美,髙田真吾,浅井康弘,山本武志,植松悠,篠 﨑敦,海老名亮祐 坂本和也,数馬大亮,小森弘大,雨宮駿介,前田 照美,小林航,山崎翼,坂田周作,神水咲野 早川勇太,山本武志,篠﨑敦,浅井康 弘,WANG ZHONG,植松悠,海老名亮祐,髙田 真吾,加藤幸江,近藤萌美,大井信,上田拓弥 55 脇本涼,山崎由貴,今西聡,中川貴裕 浦野浩行,石塚俊行,水越麻祐子,加藤佑輝 生物模倣プロジェクト ーケラチンゲルの作製と性質ー 繊維学部 藤井敏弘,三好祐生,伊藤弓子 1. 研究目的 温度,光,pH などの変化に反応する環境応答型ゲルは,次世代の高機能性材料として注目されている. 医学から工学までの広い分野で利用が想定されており,生体親和性や環境低負荷性が求められている. 私たちは,“セルフリサイクル”の概念を提唱しており,「動物や他者の生体組織・材料を使わず, 本人由来の生体物質を原料として本人が使用する」と定義している.毛髪組織をこの生体物質として 使用しており,血液と比べて,被験者の採取負担が小さく,大量に入手が可能である.これをフィル ム,ゲルなどへと加工する技術を開発すれば,安全・安心なマテリアルとなるものと考えた.本研究 では,ヒト毛髪ケラチンを原材料としたゲルの作製と性質について報告する. 2. 実験 化学的な処理を施していない毛髪試料から信大法によりケラチンを抽出して使用した.可溶化したケ ラチンは化学架橋剤(EDC; 1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl) carbodiimide hydrochloride)を使 用して,37℃でインキュベーションして作製した.ゲル形成の有無は倒立法,保水量は質量法で測定 した.6 種のタンパク質を含むカクテル(LMW-ST; 14.4〜97 kDa)をケラチンゲルに導入した後,それら の放出を調べた. 3. 結果および成果 毛髪タンパク質溶液(10 mg/ml)に 0〜100 mM EDC を加えて,37℃,30 分間インキュベーションした ところ,20 mM 以上の添加時にゲル形成が見られた(Fig. 1A).この可溶成分を電気泳動した結果,ケ ラチンのバンド(40〜65 kDa)は消失しているが,低分子量のケラチン結合タンパク質(KAPs;6〜30 kDa)は残存していた(Fig. 1B).このことは,高分子化したのはケラチンであることを示し,形成さ れたゲルはケラチンゲルといえる.ゲル化は,反応時間が長いほど,低温よりも高温で,等電点付近 の pH 6 前後で生じやすかった.また,高 NaCl 濃度の存在下でも形成が生じることから,イオン結合 の関与は少ないものと思われる. 高分子のケラチンゲルへの保持能を調べるため,LMW-ST と共にゲルを形成して封入後に放出性を調べ た.この結果,経時的なタンパク質遊離が見られ,その成分には 67, 43, 30 kDa ポリペプチドは含ま れているが,97, 20, 14 kDa は含まれていなかった.このことは,分子量的な要因だけで徐放性は決 まらないことが明らかとなった.また,ゲルを還元剤あるいは酸化剤で処理されると放出速度は変化 することから,環境応答性をもつことが示唆された. Fig. 1 Effect of EDC on the formation of keratin gel Gel formation (A). SDS-PAGE analysis of the soluble protein fraction (B). 56 汎用高分子ゲルの光学的応用 繊維学部 平井利博,佐藤 洸 1. 研究目的 電気光学効果とは電場印加によって物質の屈折率が変化する現象であり,誘電体で確認されている. 可塑化ポリ塩化ビニル(PVC ゲル)は低周波領域において大きな誘電率を示すため,電気光学効果を引 き起こすことが期待される.本研究では,PVC ゲルの電気光学効果の確認をおこなった. 2. 実験(または,活動計画) PVC(重合度 1140)とアジピン酸ジブチル(DBA),ア ジピン酸ジエチル(DEA),アジピン酸ジメチル(DMA), アジピン酸イソジブチル(iso-DBA)を重量比で 1:5 となる ように混合し,十分に撹拌した.この溶液を 150 °C で予熱 したガラスセルに注いだ.その後,150 °C で 20~30 分加熱 することで PVC ゲルを作製した. 作製した PVC ゲルに He-Ne レーザー(波長 633 nm,出 力 5 mW)を照射し,一定周期電場を印加した.透過したレ ーザーをスクリーンに投影し,レーザースポットの動きをビ デオで撮影した.レーザースポット位置の経時変化を動画解 析によりグラフ化した.さらに,電場印加時のレーザースポ ットの変位量を求め,レーザーの屈折角を算出した. 3. 結果および成果 Fig. 1 に PVC ゲルに電場を印加した際のレーザースポッ ト位置の x 軸(電場に対して平行)方向の経時変化を示す. Fig. 1 より,スポット位置は電場の ON/OFF に応じて変化 していることがわかる.PVC ゲルのレーザースポット位置 の変位量を変位量の大きさは DMA ゲル> DEA ゲル > DBA ゲル ≈ iso-DBA ゲルの順になった.実験に使用した可 塑化 PVC の誘電率をインピーダンス測定装置により測定 したところ, 1 Hz での誘電率は DMA ゲルで最も高く,DBA ゲル,iso-DBA ゲルで最も低くなった.レーザースポット位 置の変位量と PVC ゲルの誘電率の大小は一致しており,レ ーザースポット位置の変位量は PVC ゲルの誘電率 に比例す ることがわかる. Fig. 2 に x 軸方向へのレーザーの屈折角の電場強度依存性を示す.レーザーの屈折角は電場に対して 二乗に比例している.このことから,PVC ゲルの電気光学効果は二次の電気光学効果が強く現れている と考えられる. 4. 主要文献 なし 57 ポリエチレンテレフタレート/シンジオタクチックポリスチレン 海島複合繊維の作製 繊維学部 大越 豊,八十島 梨沙 1. 研究目的 シンジオタクチックポリスチレン(sPS)は,汎用の PS とは異なり, 立体規則性を有する結晶性のポリスチレンである.一方で,繊維資材に おいて重要視される項目の一つに,低繊度化(極細化)がある.極細化に より繊維は,高い柔軟性,微細空隙,大きな比表面積,大きなアスペク ト比(繊維径と繊維長の比)などの特徴をもち,次世代新合繊,各種分 離膜,高機能フィルターなどに応用が期待されている.耐薬品性や耐熱 性等に優れている sPS 繊維を極細化させることで,さらなる sPS 繊維 の利用用途拡大が見込める.そこで本研究では,海成分に紡糸性が良く, Fig. 1 Cross-sectional SEM image of drawn PET/sPS sea-islands fiber. 低コストな樹脂であるポリエチレンテレフタレート(PET)を選び,島成分に sPS を用いた海島型複合紡糸を行うことで,極細な sPS 繊維の作製に挑んだ. 2. 実験 複合溶融紡糸装置にノズル径 1mmφ1hole の複合ノズル(島数 200)を装 着して PET/sPS 海島型複合繊維を作製し,さらに延伸を行った.なお, sPS 樹脂 には粘度の異なる二種のグレード 90ZC と 300ZC を用いた.得られた Fig. 2 SEM image of sea-removed fiber. 繊維について顕微鏡観察を行うと共に,引張試験によって力学物性を評価し た.また,海成分である PET を溶解除去した sPS の島繊維についても,同 様に顕微鏡観察および引張試験による力学物性評価を行った. 3. 結果および成果 延伸した複合紡糸繊維の繊維断面を Fig. 1 に示す.ほぼ円形の島繊維が複 合繊維断面内に規則正しく配置されており,繊維が海島構造を保ったまま延 伸されたことが確認できる.延伸した繊維の引張強度および最大応力時の歪 Fig. は,いずれも PET 分率が多いほど大きくなった.sPS に 90ZC グレードを 用い,PET/sPS = 70/30,1000 m/min で紡糸した繊維を 3.4 倍延伸後, 50 海成分である PET を除去することによって,繊維直径が 1.7 m で約 一方で,sPS に 300ZC を用い,PET/sPS=70/30,1000m/min で紡 糸後,5.2 倍まで延伸した場合,海島繊維自体は延伸できたが,海島繊 30 20 10 0 100< 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100110120 維内の sPS 島繊維は短く破断した.海成分除去後の顕微鏡像を Fig. 3 に示す.この方法によって,sPS 極細繊維が平均長 39 m で破断して いることが確かめられた.得られた繊維状粉末は,直径の変動が小さい のみならず,長さの分布も狭い(Fig. 4). Length of island fiber /µm Fig. 4 Diameter frequency diagram of sPS island microfibers. 4. 主要文献 1)Jürgen Schellenberg ,“SYNDIOTACTIC POLYSTYRENE” , WILEY(2010) 58 Microscope image of sea-removed fibers. 40 frequency 300 MPa の引張強度を持つ極細 sPS 繊維(Fig. 2)の作製に成功した. 3 Ⅳ. 資料 1. 事業歴 2013 年度 4月2日 新 2 年生ガイダンス 4 月 8,11 日 合同ガイダンス 4 月 15,16,22,23 日 P-DEX キャンパスツアー 4 月 17 日 ベンチャービジネス概論 4 月 19 日 先輩が語るキャンパスライフ in 上田 実施 4 月 26 日 企画力実践講座 特別講演会(G-net 代表理事 秋元氏)開催 5 月 10,17,24,31 日,6 月 7 日 企画力実践講座 5 月 27 日,28 日 イベントチーム説明会 実施 6 月 22 日 全日本製造業コマ大戦 参加 7 月 1 日,5 日 桑の古木探索参加者募集ガイダンス 実施 7 月 23 日 長野ロータリークラブ 8 月 6 ~7 日 よい仕事おこしフェア(東京)くわりんとう出品 8 月 10 ~11 日 科学の祭典伊那大会 ブース出展 8 月 22 ~23 日 リーダーズキャンプ 開催 9月9日 産業界ニーズに対応した人材育成に関する研修会 in 関東 登壇(中西助教) 9 月 11 日 SEM 体験講座 9 月 14 日~10 月 31 日 海外研修支援 9 月 27 ~28 日 第 10 回全国 VBL フォーラム 10 月 12 日 ベンチャーコンテスト 10 月 26 ~27 日 環境プロジェクトマネジメントセミナー 10 月 31 日 チャレンジセミナー 特別講演会(元ホンダ 小林氏)開催 11 月 2 日 第 3 回上信越植物育種セミナー 共催 11 月 13,20 日 知的財産権セミナー 開催 11 月 27 日 12 月 3,9 日 P-DEX 技能検定 11 月 30 日 松浦俊介研究員 退職 12 月 20 日 女性起業家座談会(友越 12 月 25 日 P-DEX・桑まるごと活用塾活動報告会 開催(別紙資料 3) 1 月 20 日 招聘事業 特別講演会(インフォマート 1 月 23 日,2 月 24 日 里山レシピを知る料理教室 開催 2 月 9 日~6 月 30 日 海外研修支援 尚希) 3月4日 信州大学見本市~知の森総合展 2014~ 3月6日 成果報告会 開催(別紙資料 1) 3月8日 信州ベンチャーサミット上田 共催 参加 実施 実施 特別講演会(モンベル創業者 辰野氏)開催 実施 ミニ講演 登壇(松浦研究員) 参加 開催 実施(ドイツ レーゲンスブルク大学,柳瀬慶一) 参加(福井大) 開催 開催 (別紙資料 2) 実施 山口氏)開催 中島氏)開催 実施(中華人民共和国香港特別行政区 59 展示参加 香港理工大学,重澤 別紙資料(1) 2013 年度信州大学 SVBL 成果報告会 日 時 : 2014 年 3 月 6 日 ( 木 ) 13:00~ 17:00( 受 付 12:30~ ) 場所:信州大学繊維学部総合研究棟ミーティングルーム 1 主 催 : 信 州 大 学 サ テ ラ イ ト ・ベ ン チ ャ ー ・ビ ジ ネ ス ・ラ ボ ラ ト リ ー ( 信 州 大 学 SVBL) (司会: SVBL 専門部会委員 (繊維学部准教授) 小山俊樹) Ⅰ 開会式 13:00~13:05 SVBL 長 (繊維学部教授) 小西 哉 開会の挨拶 Ⅱ SVBL プロジェクト研究 成果報告 13:05~13:55(発表 7 分,質疑応答 3 分) SVBL 助教 「葉緑体ゲノムを用いた桑の系統解析」 「桑の古木探索 SVBL PD 研究員 松村哲也 ~フィールド調査とサンプリングの概要~」 「里山の生物多様性と遺伝資源の保全」 SVBL PD 研究員 小西 繭 「葉表面に存在する繊維と水捕集との関係」 SVBL PD 研究員 伊藤吹夕 元 SVBL(現 地域戦略センター)研究員 松浦俊介 「長野県の産官学連携による創業支援」 Ⅲ 中西弘充 SVBL 萌芽研究(専有スペース利用者) 成果報告 「ケラチンゲルの作成と性質」 13:55~14:10(発表各 5 分) 藤井研究室/研究支援推進員 伊藤弓子 「ポリエチレンテレフタレート/シンジオタクチックポリスチレン海島複合繊維の作製」 大越研究室/繊維学部 「汎用高分子ゲルの光学的応用」 Ⅳ 先進繊維工学課程 4 年 松野 岳 平井研究室/研究支援推進員 松木俊明 研修支援事業 成果報告 14:10~14:45 SVBL 専門部会委員(繊維学部准教授) 平田雄一 1) 概要説明(発表5分) 2) 海外研修報告(発表7分,質疑応答3分) 「マンチェスター大学に学んで」 理工学系研究科 繊維・感性工学専攻 2 年 有地 保 「色素増感太陽電池(DSSC)の実用化に向けた材料の研究とデバイスの開発」 総合工学系研究科 物質創成科学専攻 2 年 小川潤一 「高周波誘電緩和分光法を用いた高分子水溶液中における水のダイナミクス」 理工学系研究科 化学材料専攻 1 年 柳瀬慶一 - 休 憩 (桑関係試食会・展示、ものつくり展示)- 60 14:45~15:15 Ⅴ 学生起業支援 成果報告 15:15~15:55 1) 外部のアドバイザーによるセミナー・講習会、ベンチャーコンテスト (発表 5 分) SVBL 助教 中西弘充 2) 学生起業活動報告 「モック活動報告」 (発表 5 分,質疑応答 2 分) モック/理工学系研究科 機械・ロボット学専攻 1 年 田中直人 「ArkOak 活動報告」 ArkOak/繊維学部 バイオエンジニアリング課程 3 年 佐藤 翼 「桑まるごと活用塾活動報告」 桑まるごと活用塾/繊維学部 応用生物科学系 2 年 赤石泰隆 「コマ大戦活動報告」 総合工学系研究科 生命機能・ファイバー工学専攻 1 年 加納 徹 「ものつくり活動報告」 Ⅵ 理工学研究科 化学・材料専攻 1 年 小野口貴士 分析機器エキスパート(P-DEX)養成事業 / P-DEX 活動報告 15:55~16:25 1) 概要説明(発表 5 分) SVBL 専門部会長(繊維学部准教授) 森脇 洋 繊維学部 生物資源・環境科学課程 3 年 木村尚弥 2) P-DEX 活動報告 (発表 5 分,質疑応答 2 分) 繊維学部 生物資源・環境科学課程 3 年 宮田将光 液体クロマトグラフ質量分析装置(LC-MS) 表面プラズモン共鳴測定装置(SPR) 繊維学部 バイオエンジニアリング課程 3 年 小粥勇作 走査電子顕微鏡(SEM) Ⅶ 閉会式 16:25~16:45 講評 閉会の辞 記念撮影 懇談会 17:00~ SVBL 運営委員(医学部教授)中山 淳,(繊維学部教授)市川 結 SVBL 専門部会長 (繊維学部准教授) 森脇 洋 (P-DEX 修了証交付)(繊維学部生協 1F、会費 1,000 円、学生無料) 61 別紙資料(2) P-DEX 技能検定 ●液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS)技能レベル基準表 【初級】 □ LCMS の構造と原理を理解している. 【中級】 ・ 装置の構成について □ 初級講習者への指導を行うことができる. ・ 移動相について ・ 装置の原理・構造について ・ 固定相について ・ 上記初級者の操作項目について ・ 検出器について ・ 装置の操作上の注意について □ ・ イオン化方法について 装置のトラブル発生時の対応ができる. ・ 質量分析方法について □ 装置の起動・終了を行うことができる. □ 試料の前処理を行うことができる. 【上級】 □ 測定パラメータの設定ができる. □ 中級講習者への指導を行うことができる. □ 定性分析方法を理解している. □ 分析条件の選択をすることができる. □ 定量分析方法を理解している. □ 移動相の交換を行うことができる. □ 測定結果を理解することができる. □ カラムの交換を行うことができる. □ 装置の操作上の注意を知っている. □ プローブの交換を行うことができる. □ 質量分析計の分解洗浄をすることができる. ●表面プラズモン共鳴測定装置(SPR)技能レベル基準表 【初級】 □ 機器の原理を理解している. □ 機器の構造を理解している. □ センサーチップ CM5*1)の原理を理解している. □ センサーチップ CM5 を使うことができる. □ アミンカップリング法によって測定することができる. □ 解析ソフトを使って実験結果を編集することができる. □ 解析ソフトによる非線形解析法(分割解析を除く)で反応速度定数を求めることができる. □ 機器の起動・終了を行うことができる. □ 機器の定期的なメンテナンス(Sanitize を除く)を行うことができる. □ 機器のトラブルシューティングを行うことができる. *1)アミノ基,チオール基,アルデヒド基を介して,リガンドを固定化 【中級】 □ 初級講習者への指導を行うことができる. ・機器の原理・構造の説明について ・センサーチップ CM5 の原理・利用法について ・アミンカップリング法の原理・利用法について ・解析ソフトの使い方について ・機器のメンテナンスについて □ Sanitize を行うことができる. □ システムチェックを行うことができる. □ センサーチップ SA*2),NTA*3),HPA*4)の原理を理解している. *2)ビオチン化した DNA,ペプチド,タンパク質を固定化 *3)His-Tag タンパク質を固定化 *4)リン脂質,糖脂質などを固定化 62 【上級】 □ 中級講習者への指導を行うことができる. □ キャプチャー法を行うことができる. □ 濃度測定を行うことができる. □ 未知結合物質のスクリーニングを行うことができる. □ センサーチップ SA,NTA,HPA を使うことができる. □ たんぱく質-たんぱく質相互作用の解析を行うことができる. □ たんぱく質-ペプチド相互作用の解析を行うことができる. □ DNA-たんぱく質相互作用の解析を行うことができる. □ 糖-たんぱく質相互作用の解析を行うことができる. □ 脂質-たんぱく質相互作用の解析を行うことができる. □ 精製・スクリーニングへ応用することができる. □ BIACORE と他の分析手法との組み合わせ・比較を行うことができる. ●操作型電子顕微鏡(SEM)技能レベル基準表 【初級】 □ 機器の起動・停止が行える。 □ 基本的な操作(試料のセット、観察,画像取込・保存)が行える。 □ 適正な試料作成ができる(Ptコーティング装置が使用できる)。 □ 観察条件の変更が行える(高真空→低真空モード)。 □ 簡単なトラブルシューティングについて説明できる。 ・ チャージアップ現象 ・コンタミネーション ・ビームダメージなど 【中級】 □ 初級者に基本操作を指導できる。 □ 機器の内部構造および測定原理について説明できる。 □ (電子ビームを試料に当てた時出てくる情報と特徴も説明できる) □ 加速電圧と像質の関係が説明できる。 □ 3D sight などの様々なソフトを使うことが出来る。 □ 生物系試料の作成ができ観察できる。 □ EDS分析操作ができる。 【上級】 □ 中級者への指導ができる。 □ 画像障害の現れ方と原因が説明できる。 ・像が動く ・試料構造が見えない ・像がゆがむ ・像がざらつく ・明るさが不安定 □ 軸調整ができる。 □ EDS分析のデータ解析とピーク重なりなど判別できる。 □ 様々な試料について,正しいサンプリング(試料作成方法)を行って観察を行うことが出来る。 63 別紙資料 (3) P-DEX・桑まるごと活用塾 活動報告会 信州大学SVBL(サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー) 目指せ!学生機器分析スペシャリスト 生物資源・環境科学課程3年生 P-DEX(Project-Device 代表:木村尚弥 EXpert) どんな団体なの? SEM䛸䛿䠛 㟁Ꮚ⥺䜢ヨᩱ䛻↷ᑕ䛧䚸ᨺฟ䛩䜛㟁Ꮚ䜢᳨ฟ䛩䜛䛷ᣑ䛧䛯⾲㠃ᵓ㐀䜢ほᐹ䛷䛝䜛㢧ᚤ㙾 学生が主体となって研究テーマを考え、機器分析が行える団体です。勉強会(座学)や実 習を通じ、分析機器の基本的な扱い方や応用、実験時において必要な知識、技能を習得して いきます。そして、習得した知識、技能を学内や社会に還元することを目標としています。 研究に興味がある人、何か大きな事に挑戦したい人が集まり、分析機器について、真面目 に、楽しく学んでいます。 SEM䛾ཎ⌮ どの学年、どの課程(系)の人でも参加できます! 分析機器と研究例 現在は、SPR、SEM、LC/MSの3つの分析機器をもとに班を組み、知識や技能を身に つけています。現在、各分析機器班では、 ヨᩱྎ䛾ᣑᅗ ⨨䛾ᴫせ LC/MS…コーヒーの成分の含有量の定量、定量結果と風味の関係について考察 SPR…擬似生体膜における物質の相互作用にみる毒性評価 SEM…顕微鏡観察による髪の毛のダメージ評価 ¾ ヨᩱ⾲㠃䛛䜙Ⓨ⏕䛧䛯ḟ㟁Ꮚ䜢᳨ฟ䛧䚸᳨ฟᙉᗘ䛾㐪䛔䛛䜙ヨᩱ⾲㠃䛾พฝᵓ㐀䜢ྍど ¾ ಸ⋡䛾⠊ᅖ䛜ᗈ䛟䚸⏬ീ䛾㑅ᢥᛶ䛜ඃ䜜䜛 ¾ X⥺ศᯒ䛻䜘䜚ᚤᑠ㡿ᇦ䛾ඖ⣲䛾⤌ᡂศᯒ䛜ྍ⬟ といったテーマの研究を行っています。過去には、お茶に含まれるカテキンの量や擬似生 体膜とハウスダストの相互作用について測定する研究も行っていました。P-DEX活動に興 味を持った人、過去の研究成果をご覧になりたい人はぜひ、SVBL棟にお越し下さい。 їờ䜅䛝䝅䞊䝖䚹⣽䛔⧄⥔䛾 ほᐹ⤖ᯝ SEM⏬ീ EDSศᯒ ᙧ䜎䛷ぢ䜛䛣䛸䛜䛷䛝䜛䚹 ᐇ䛿䛣䛾⧄⥔䛾᩿㠃䛿ᙧ 䛷䛿䛺䛟ᖹ䛯䛔ᙧ䜢䛧䛶䛔䜛䚹 SPR (表面プラズモン共鳴測定装置) LC/MS (高速液体クロマトグラフ 質量分析装置) SEM (走査型電子顕微鏡) 䠍䠌䠌◳㈌䛾 EDS䠄ᡂศ䠅ศᯒ䛾⤖ᯝ 䞉㖡 61wt% 䞉䝙䝑䜿䝹 22wt% 䞉Ⅳ⣲ 14wt% 䛜ྵ䜎䜜䛶䛔䜛䛣䛸 䛜䜟䛛䜚䚸䠍䠌䠌◳㈌䛻 䛿ⓑ㖡䛜䜟䜜䛶䛔䜛䛣䛸 䛜ศ䛛䜛䚹 іCD䛾グ㘓㠃䚹ⓑ䛸㯮䛾Ⅼ䛾 㐃䛺䜚䛷ሗ䜢ಖᏑ䛧䛶䛔䜛䚹 活動における展望 ◊✲άື ・研究室分属前に様々な分析機器を扱える! ・自分の意見、考えが反映されやすい! ・専門分野以外の機器を扱い、実習を行える! ẟ㧥䛾⾲㠃䝎䝯䞊䝆䜢㌟㏆䛺ฟ᮶䞉䝰䝜䛷䛹䛾䜘䛖䛺ኚ䛜䛒䜛䛛◊✲୰ ␃Ỉ䛸ẟ㧥䛾᩿∦䛜ධ䛳䛯ヨ㦂⟶䜢⏝ព䛧䚸 ᗘ40Υ䛾ᜏ ᵴ䛻ධ䜜䜛䚹 ᾐ䛡㛫䜢ኚ䛘䛯ྛ䝃䞁䝥䝹䜢᥇ྲྀ䛧䚸10ศ㛫⮬↛⇱䛥䛫SEM䛷⾲㠃䜢ほᐹ ᾐ䛡㛫(ศ) ・研究者としての第一歩を踏み出してみよう! ・実習を通じ、発想力や行動力などを向上させよう! ・専門分野以外の幅広い知識、技能を身に付けよう! 5 10 15 20 ᾐ䛡㛫䛜㛗䛔⛬䚸⾲㠃䛾䛜䜜䜛⛬ᗘ䛜ᚎ䚻䛻䛝䛟䛺䜛⤖ᯝ䛜ᚓ䜙䜜䜛䟿 䛣䛾䜘䛖䛺ᐇ㦂䛜䛷䛝䜛䛯䜑ⓙ䛥䜣䜒㠀୍⥴䛻◊✲䜢䛧䛶䜏䜎䛫䜣䛛䟿䠛 信州大学サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー P-DEX LC‐MS H.25 ᖺᗘ ᡂᯝሗ࿌ 構成メンバー 応用生物学系3年 生物資源環境科学課程 木村 尚弥 宮田 将光 応用生物科学系 2年 増田礼子 八木瑞貴 (Liquid Chromatograph - Mass Spectrometer) ┠ⓗ 䝁䞊䝠䞊䛻ྵ䜎䜜䜛௦⾲ⓗ䛺≀㉁䛷䛒䜛䜹䝣䜵 䜲䞁䚸䜽䝻䝻䝀䞁㓟䚸䜹䝣䜵䜲䞁㓟䛾ྵ᭷㔞䜢ㄪ䜉 䜛䛣䛸䛷䝁䞊䝠䞊䛾䛾Ỵ䜑ᡭ䜢▱䜛䚹 䜹䝣䜵䜲䞁 䜹䝣䜵䜲䞁㓟 䜽䝻䝻䝀䞁㓟 ڭ॥ششपஅऽोॊથਃ ᢳฟ ᗘ ᢳฟ㛫 ᢳฟ㔞 ⏝䛧䛯㇋䠄5✀䠅䛾㔜㔞 䠖80Υ 䠖1ศ30⛊ : 155 (g) 䠖20 (g) 䠆䛣䛾᮲௳䛷ᢳฟ䛧䛯䝃䞁䝥䝹䜢50ಸᕼ㔘䛧䚸Ꮝᚄ0.45µm 䛾 䝯䞁䝤䝺䞁䝣䜱䝹䝍䞊䛷䜝㐣䛧䛯䜒䛾䜢ᐇ㦂䛻⏝䛧䛯䚹 LC‐MS とは、液体クロマトグラフ (LC) と質量分析計(MS) をインターフェイスを介して結合した複合装置である ศᯒ᮲௳ LC部 䜹䝷䝮 䠖TSKgel ODS-100V 3µm, 2.0mm ⛣ື┦A 䠖0.1%䜼㓟Ỉ ⛣ື┦B 䠖䜰䝉䝖䝙䝖䝸䝹 䝍䜲䝮䝥䝻䜾䝷䝮 䠖10%B(0min)ї20%B(10min)ї90%B(12min) ї10%B(12.01-25min) ὶ㏿ 䠖0.2mL/min, ὀධ㔞 䠖ϱʅ>͕䜹䝷䝮 ᗘ 䠖40Υ SIM䝰䞊䝗䛷ศᯒ ᳨㔞⥺䛾సᡂ 0.05, 0.1, 0.2, 0.5, 1, 2, 5, 10 (µg/mL) 䛾⃰ᗘ䛷సᡂ䛧䛯 Fig.1 䝁䞊䝠䞊䛾ᢳฟ᮲௳ LC‐MSとは? ᐇ㦂⪅ H25ᖺᗘ LC/MS⌜ ቑ⏣♩Ꮚ, ඵᮌ⍞㈗ � ン プ Fig.2 (d) 䜹䝣䜵䜲䞁䛾䝢䞊䜽 ここではそれぞれの装置を図で表し、 それぞれの装置の働きを見やすくしてみた LC-MSで実験を行う にあたっての注意 フィラメント レンズ 四重極 検出器 ① インジェクター 中性分子 電子流 ③ 析出する塩を含ま ないこと イオン 溶離液 イオン源部 HPLC (f) Fig.1 ᶆ‽ရ䛾䜽䝻䝬䝖䜾䝷䝮 (a)䜹䝣䜵䜲䞁 䝫䝆䝔䜱䝤䝰䞊䝗 [M+H]+ (m/z 195) (b)䜽䝻䝻䝀䞁㓟 䝛䜺䝔䜱䝤䝰䞊䝗 [M-H]- (m/z 353) (c)䜹䝣䜵䜲䞁㓟 䝛䜺䝔䜱䝤䝰䞊䝗 [M-H]- (m/z 179) Fig.2 ᳨㔞⥺ (d) 䜹䝣䜵䜲䞁䚸(e) 䜽䝻䝻䝀䞁㓟䚸(f) 䜹䝣䜵䜲䞁㓟 質量分離部 質量の計測 MS部 䜹䝣䜵䜲䞁㓟䛾䝢䞊䜽 カラムでは液体の混合試料を 保持時間の差 (カラムとくっついている ことができる時間の差) で分離を行う カラム 移動相 ⾲䠎䚷ྵ᭷≀㉁䛸䛾㛵ಀ 䜹䝣䜵䜲䞁㻔⃰ᗘ㻕 䜽䝻䝻䝀䞁㓟㻔⃰ᗘ㻕 ⱞ㻔ᖹᆒ㻕 㓟㻔ᖹᆒ㻕 12.072 3.248 2.75 1.5 13.573 20.677 1.14 2.8 14.120 8.772 1.875 2.125 12.966 3.775 2 1.75 11.657 2.533 2.75 1 移動相 固定相 移動相溶液中で安定に 溶存できる物質であれば 分析可能 ① > ② > ③> ④ ④ ③ ② ① 液体 サンプル ᅗ䠎 ᶆ‽≀㉁䛾䜽䝻䝬䝖䜾䝷䝮䛸᳨㔞⥺ 䝬䞁䝕䝸䞁 䝤䝹䞊䝬䜴䞁䝔䞁 䜾䜰䝔䝬䝷 䝅䜾䝸 䝙䝤䝷 ① 揮発性の物質で ないこと ② イオン化するもの (e) 䜽䝻䝻䝀䞁㓟䛾䝢䞊䜽 ᐁ⬟᳨ᰝ ᅇ䛾ᐇ㦂䛷䛿䝬䞁䝕䝸䞁䞉䝙䝤䝷䞉䝅䜾䝸䞉䝤 䝹䞊䝬䜴䞁䝔䞁䞉䜾䜰䝔䝬䝷䛾䠑✀㢮䛾䝁䞊䝠䞊 ㇋䜢⏝䛔䛯䚹 ᐁ⬟ホ౯䛿䚸ⱞ䞉㓟䛻㔜Ⅼ䜢⨨䛔䛶ㄪᰝ䛧 䛯䚹 MS部 LC部で分離された分析対象物を イオン化しMS部に送り込む装置 LC部で分離され、インターフェイス部で イオン化された分析対象物の質量の計測を行う インターフェイス部 HPLCカラム (固定相) カラムを拡大 ⾲䠍䝃䞁䝥䝹୰䛻ྵ䜎䜜䜛ྛᡂศ⃰ᗘ 䝃䞁䝥䝹 ⃰ᗘ 䜹䝣䜵䜲䞁 䜽䝻䝻䝀䞁㓟 䜹䝣䜵䜲䞁㓟 䝬䞁䝕䝸䞁 12.072 3.248 0.000 䝤䝹䞊䝬䜴䞁䝔䞁 13.573 20.677 0.000 䜾䜰䝔䝬䝷 14.120 8.772 0.000 䝅䜾䝸 12.966 3.775 0.000 䝙䝤䝷 11.657 2.533 0.000 インターフェイス部 装置の概要 ⤖ᯝ ᅗ2䛿䛣䛾ᐇ㦂䛷⏝䛧䛯䜹䝣䜵䜲䞁䚸䜽䝻䝻 䝀䞁㓟䚸䜹䝣䜵䜲䞁㓟䛾ᶆ‽≀㉁䛷ᚓ䜙䜜䛯䜽 䝻䝬䝖䜾䝷䝮䛸᳨㔞⥺䛷䛒䜛䚹 ྛ✀㇋䛾ྵ᭷㔞䛿⾲䠍䛻䜎䛸䜑䛯䚹 LC部では、分析対象物を 移動相 (分析試料を運ぶもの) と 固定相 (分析試料を分離するもの) を用いて分離を行う装置 物質がカラムから出て くる速さを示す ① が一番早く出てくる ④ が一番最後 LC-MSはどのような場面で活躍しているの? LC-MSでは、環境中に存在する微量物質の量やその物質が 䈈䜽䝻䝻䝀䞁㓟⃰ᗘ䛜㧗䛟䚸㓟䛜ᙉ䛔 䈈䜽䝻䝻䝀䞁㓟⃰ᗘ䛜ప䛟䚸㓟䛜ᙅ䛔 ホ౯ἲ 䈈㻟ẁ㝵ホ౯䚷䠍㻙ᙅ㻘㻌㻞㻙୰㻘㻌㻟㻙ᙉ どのような性質を持っているのかなどを調査することができる ⪃ᐹ LC/MS䛸ᐁ⬟᳨ᰝ䛻䜘䛳䛶ᚓ䜙䜜䛯⤖ᯝ䜘䜚䚸㓟䛾Ỵᐃ䛻䛿䜽䝻䝻䝀䞁㓟䛜䛝䛟㛵䛧䛶䛔䜛䛣䛸䛜䜟䛛䛳䛯䚹 ⾲䠎䜘䜚䚸䜽䝻䝻䝀䞁㓟䛾㓟䛜ᙅ䛔䛸䚸ⱞ䛜ᙉ䛟ឤ䛨䜙䜜䜛䛣䛸䛜䜟䛛䛳䛯䚹 使用例としては ・ お茶に含まれる機能性成分の定量実験 ᚋ䛾ᒎᮃ ・ 環境中に存在する農薬の化学物質検索 䝁䞊䝠䞊䛾ᢳฟ᮲௳䜢ኚ䛘䜛䛣䛸䛷ᢳฟ≀䛾⃰ᗘ䛻ኚ䛿䜏䜙䜜䜛䛾䛛䚸䛭䜜䛻䜘䛳䛶䜒ኚ䛧䛶䛔䛟䛾䛛䜢 ㄪ䜉䛶䛔䛝䛯䛔䚹 ・ コーヒー中に存在する成分分析 64 など 食品、化学、環境と様々な分野にわたって使用することが できる分析装置である ಙᕞᏛ 䝃䝔䝷䜲䝖䞉䝧䞁䝏䝱䞊䞉䝡䝆䝛䝇䞉䝷䝪䝷䝖䝸䞊 P-DEX P-DEX ಙᕞᏛ䝃䝔䝷䜲䝖䞉䝧䞁䝏䝱䞊䞉䝡䝆䝛䝇䞉䝷䝪䝷䝖䝸䞊(SVBL) ⾲㠃䝥䝷䝈䝰䞁ඹ㬆 ᐃ⨨ ึ⣭ 䝘䝜⢏Ꮚ䛸ᨃఝ⏕య⭷䛾┦స⏝䛻䜏䜛⏕యṧ␃ᛶホ౯ ᛂ⏝⏕≀⛉Ꮫ⣔2ᖺ ఀ⸨⨾✑ ⏣୰భ☻ ⏣ᮧ᭸ᏹ ቑ⏣♩Ꮚ SPR⌜୰⣭ ᛂ⏝Ꮫㄢ⛬䠏ᖺ ୰ⴠ ඃᚿ 䕿⾲㠃䝥䝷䝈䝰䞁ඹ㬆 ᐃ⨨䛸䛿䠛 ᲫᲨႸႎ ᡈ࠰දႸƞǕƯƍǔȊȎቩ܇Ʒဃ˳ǁƷസသࣱᚸ̖ǛᘍƏŵ524ยܭᘺፗƸဃ҄ܖǍоᕤƷᄂᆮƴ̅ဇƞ ǕǔƜƱƕDŽƱǜƲƩƕŴƜƷᘺፗƷႻʝ˺ဇȪǢȫǿǤȠยܭƱƍƏМໜǛƔƠŴ൲௨ཋឋǍ҄ܖཋឋ Ʒസသࣱᚸ̖ƴNjࣖဇƢǔƜƱNjưƖǔŵ524ยܭᘺፗᲢᘙ᩿ȗȩǺȢȳσᯚยܭᘺፗᲣϋƴŴȪȳᏢឋƴ ǑǔᏢឋʚޖƷલ˩ဃ˳ᐏǛƭƘǓŴƜǕƱȊȎ૰ƷႻʝ˺ဇǛยܭƢǔŵࢽǒǕƨȇȸǿƔǒኽӳƷ ƠǍƢƞǍᚐᩉƷƠǍƢƞƕЎƔǓŴസသࣱᚸ̖ƕЈஹǔŵ 䕿䛹䛖䜔䛳䛶 ᐃ䛩䜛䛾䠛 2Შแͳ ȷBiacoreX ȷ20̿ࠎȪȝǽȸȠ๋෩ DOPC ᲢǸǪȬǪǤȫȕǩǹȕǡȁǸȫȑȫȟȈǤȫdzȪȳᲣ 䝉䞁䝃䞊䝏䝑䝥ୖ䛻䝸䜺䞁䝗䠄 ᐃ䛧䛯䛔≀㉁䛾୍᪉䠅䜢⤖ ྜ䠄ᅛᐃ䠅䛧䚸䜰䝘䝷䜲䝖䠄䖃䠖䜒䛖୍᪉䛾≀㉁䠅䜢ὶ䛧䜎䛩䚹 䛩䜛䛸䚸≀㉁㛫䛾⤖ྜ䛻䜘䜚㉁㔞䛜ኚ䠄ቑຍ䠅䛧䜎䛩䚹䛣 䛾㉁㔞ኚ䛜䝉䞁䝃䞊䝏䝑䝥ୖ䛻↷ᑕ䛧䛯≉ᐃ䛾Ἴ㛗䛾 ග䛻ᙳ㡪䠄⾲㠃䝥䝷䝈䝰䞁ඹ㬆)䛧䚸䛭䛾ኚ䜢᳨ฟ䛩䜛䛣 䛸䛷≀㉁㛫䛾┦స⏝䜢 ᐃ䛷䛝䜎䛩䚹 + N H3C 䕿䛹䜣䛺䛣䛸䛻䛘䜛䛾䠛 ゎ㞳䛜㐜䛔䛣䛸䜢♧䛧䜎䛩 䛜≉␗ⓗ䛻⤖ྜ䛩䜛䛣䛸䜢♧䛧䜎䛩 ͤ䖃䚸䕦䚸䕔䛿䜰䝘䝷䜲䝖䚸 䛿䝸䜺䞁䝗 䛾ホ౯ 䕿ᚋ䛾άື Aྩ䠖䜎䛷䛻䛺䛔⏬ᮇⓗ䛺⏝ἲ䜢⪃䛘䜎䛩䟿 B䛥䜣䠖ୡ⏺୰䛾ே䛻ᖾ䛫䜢䟿䟿 ୍ྠ䠖ㄽᩥ䚸≺䛔䜎䛩䟿䟿䟿 ᱓䜎䜛䛤䛸ά⏝ሿ䛳䛶䠛 ᱓䜢䛳䛯⨾䛧䛔䝺䝅䝢䜢㛤Ⓨ䛧䛯䜚䚸᱓ 䛾ᡂศ䜔≉ᛶ䜢⏝䛧䛯〇ရ䛾㛤Ⓨ䜢䛧䛯䜚 䛩䜛䛣䛸䛷᱓䜢᭷ຠ⏝䛧䚸᱓䛻᪂䛧䛔౯್䜢 ⏕䜏ฟ䛧䛶䛔䛟ᅋయ䛷䛩䚹άື䜢㏻䛨䛶䚸ୖ⏣ 䛾≉⏘ရ䛷䛒䜛᱓䛾౯್䜢㧗䜑ᆅᇦ䛾άᛶ 䜢┠ᶆ䛸䛧䛶䛔䜎䛩䚹 ᴾ ⲡᮌᰁ䜑䛸䛿ኳ↛䛾ᰁᩱ䜢⏝䛔䛶ᰁⰍ䜢䛩䜛᪉ἲ䛷䛩䚹ᅇ 䛿᱓䛾ⴥ䛸ᐇ䜢⏝䛧⤱䜔⧛⋢䜢ᰁⰍ䛧䜎䛧䛯䚹᱓䛾ⴥ䛿↻䜛 䛣䛸䛷ᰁᾮ䜢స䜛䛣䛸䛜䛷䛝䚸᱓䛾ᐇ䛿䜽䜶䞁㓟⁐ᾮ䛻ᾐ䛧Ⰽ⣲ 䜢⁐ฟ䛥䛫ᰁᾮ䜢స䜛䛣䛸䛜䛷䛝䜎䛩䚹᱓䛾ⴥ䛾ᰁᾮ䛿㯤Ⰽ䛻 ᰁⰍ䛩䜛䛣䛸䛜䛷䛝䚸᱓䛾ᐇ䛿ᮒⰍ䛻ᰁⰍ䛩䜛䛣䛸䛜䛷䛝䜎䛩䚹 䛹䛱䜙䜒䛸䛶䜒䛝䜜䛔䛺Ⰽ䛻ᰁ䜎䜚䜎䛧䛯䚹 ᱓䛾ⴥ䝟䝇䝍䛾㛤Ⓨ 㼀㼕㻻㻞䛸ᨃఝ⏕య⭷䛾┦స⏝ᐇ㦂 60 50 40 TiO2 7.81 TiO2 15.6 TiO2 31.3 TiO2 62.5 TiO2 125 30 20 10 0 1 26 51 76 101 126 151 176 201 226 251 276 301 326 351 376 401 -10 time(s) 㻿㼕㻻㻞䛸ᨃఝ⏕య⭷䛾┦స⏝ᐇ㦂 100 80 60 RU ┦స⏝䠖⤖ྜ䛻ᑐ䛧䛶ゎ㞳䛾┤⥺䛜 ṇ䛾ഴ䛝䛾䜎䜎䚹 ĺ䜋䛸䜣䛹ゎ㞳䛧䛺䛔䛾䛷䚸⏕య䜈䛾 ṧ␃ᛶ䛜㧗䛔䛸⪃䛘䜙䜜䜛䚹 ᭱䛾⤖ྜ㔞䠖84RU䠄⢊ᮎヨᩱ䛛䜙 䛾䝕䞊䝍䛷䛿䚸᭱䛾┦స⏝䠅 SiO2 7.81 SiO2 15.6 SiO2 31.3 SiO2 62.5 SiO2 125 40 20 0 -20 ┦స⏝䠖⤖ྜ䛻ᑐ䛧䛶ゎ㞳䛾┤⥺䛜 ṇ䛾ഴ䛝䛾䜎䜎䚹 ĺ䜋䛸䜣䛹ゎ㞳䛧䛺䛔䛾䛷䚸⏕య䜈䛾 ṧ␃ᛶ䛜㧗䛔䛸⪃䛘䜙䜜䜛䚹 ᭱䛾⤖ྜ㔞䠖29RU 1 32 63 94 125 156 187 218 249 280 311 342 373 404 -40 time(s) 㻯㼡㻻䛸ᨃఝ⏕య⭷䛾┦స⏝ 40 30 CuO 7.81 CuO 15.6 CuO 31.3 CuO 62.5 CuO 125 RU 20 10 ┦స⏝䠖⤖ྜ䠄ᕥ䛾┤⥺䠅䛻ẚ㍑䛧䛶䚸 ゎ㞳䠄ྑ䛾┤⥺䠅䛾㛫䛤䛸䛾ኚ㔞 䛜ᑠ䛥䛟䚸ഴ䛝䛿㈇䛷䛒䜛 ĺ⤖ྜᚋ䚸ᚎ䚻䛻ゎ㞳䛧䛶䛔䛟 ཎᅉ䠖5䛴䛾䛖䛱၏୍䚸ゎ㞳䛩䜛ཎᅉ䛸 䛧䛶䚸䜹䝏䜸䞁⣔䛾ศᩓ䛸䜹䝏䜸䞁⣔ 䛾⏕య⭷䛜Ⓨ䛩䜛䛣䛸䛜⪃䛘䜙䜜䜛䚹 ᭱䛾⤖ྜ㔞䠖3000RU 䠆䝘䝜⢏Ꮚ䛜ศᩓ䛻䜘䛳䛶⃰ᗘ䛜ᆒ ୍䛷䛒䜚䚸䛾4䛴䛸䛿༢⣧ẚ㍑䛜㞴䛧 䛔 0 -10 1 51 101 151 201 251 301 351 401 time(s) 䜹䞊䝪䞁䛸ᨃఝ⏕య⭷䛾┦స⏝ᐇ㦂 RU ┦స⏝䠖⤖ྜ䛻ᑐ䛧䛶ゎ㞳䛾┤⥺䛜 ṇ䛾ഴ䛝䛾䜎䜎䚸⤖ྜ┦䛛䜙ゎ㞳┦䜈 䛾⛣⾜䛻RU್䛾పୗ䚹 ĺ୍ⓗ䛻䛿ゎ㞳䛩䜛䛾䛿䚸ヨ⸆䛾 ⃰ᗘ䛜ప䛔䛣䛸䛜⪃䛘䜙䜜䜛䚹 ᑡ䛺䛟䛸䜒䜋䛸䜣䛹ゎ㞳䛧䛺䛔䛿ゝ 䛘䜛䛾䛷䚸⏕య䜈䛾ṧ␃ᛶ䛜㧗䛔䛸⪃ 䛘䜙䜜䜛䚹 ᭱䛾⤖ྜ㔞䠖22RU 25 20 15 10 5 0 -5 1 -10 C 7.81 C 15.6 C 31.3 C 62.5 C 125 46 91 136 181 226 271 316 361 time(s) 㼆㼚㻻㻌㻔㼕㼚㻌㼣㼍㼞㼠㼑㼞ヨ⸆㻕䛸ᨃఝ⏕య⭷䛾┦స⏝ 4000 3000 2000 1000 0 -1000 1 61 121 181 241 301 361 time(s) ZnO 100nm 7.81 ZnO 100nm 15.6 ZnO 100nm 31.3 ZnO 100nm 62.5 ZnO 100nm 125 5.ኽᚕ ʻ᬴ܱׅƠƨȊȎቩ܇ƴƸŴલ˩ဃ˳ᐏǁƷസသࣱƕƋǔŵƜ ƷƜƱƔǒŴʴ˳ƴȊȎቩ܇ƕ˄ბƢǔƱŴ˳ϋƴƓƍƯသLJǔ ӧᏡࣱƕƋǔƱᎋƑǒǕǔŵ 6.ʻࢸƷᛢ᫆ ȷרɟƳᚾ૰Ʒ˺ ȷኽӳܭૠŴᚐᩉܭૠƷምЈƕӧᏡƳ᬴ܱȇȸǿƷӓᨼ ȷӲȊȎቩ܇ƷǼȸǿᩓˮƷยܭ ȷٻൢ൲௨ཋឋƱƷႻʝ˺ဇƷൔ᠋ ٻൢɶƷ൲௨ཋឋǍૼᙹႆƷ҄ܖཋឋƷဃ˳ǁƷࣱᚸ̖ƱŴႆဃเᛦ௹ ǁƷࣖဇǛႸਦƠƯƍƘ άື䝯䞁䝞䞊:⊦⫤Ⰻᖹ䠄3ᖺ䠅䚸ᇼ㍜䠄3ᖺ䠅䚸㔠ⰹ 䠄3ᖺ䠅䚸㉥▼Ὀ㝯䠄2ᖺ䠅䚸⨾♸䠄2ᖺ䠅䚸ቑ⏣ᝆ䠄2ᖺ䠅䚸 ᒣ⩧ᖹ䠄2ᖺ䠅 ⲡᮌᰁ䜑 O 3Შ૾ඥ (1)DesorbƴǑǔSPRᘺፗϋƷඹ (2)ǻȳǵȸȁȃȗL1ǛᘺፗƴλƠŴ HBS-N Buffer ƴࢸ٭ŴૠׅȗȩǤȠŵ (3)්ᡮȝ/PLQŴ N-Ǫǯȁȫ-ȕ-D-ǰȫdzȸ ǹ40 mMǛ 2min ưඹŵ (4)්ᡮȝ/PLQŴ20̿ࠎȪȝǽȸȠǛ ȝ/ǛȞȋȥǢȫǤȳǸǧǯǷȧȳŵ ҄ܭƸ7000RU᳸8000RUᆉࡇŵ (1RU=1pg/mm3) (5)්ᡮȝ/PLQƴᚨܭŴ50mMNaOHaq 2minư්Ƣŵ (6)ӲᚾᕤƴǑǔႻʝ˺ဇยܭŵឬ᪦ඬඹೞ ƴǑǓŴǤȳǸǧǯȈႺЭLJưਰѣǛɨƑǔŵ ්ᡮȝ/PLQŴኽӳ᧓Ǜ2minŴᚐᩉ᧓Ǜ 180sƴᚨܭŵ (7)N-Ǫǯȁȫ-ȕ-D- ǰȫdzȸǹǛ්ƢƜƱưŴ ᏢឋʚޖǛ࢟ƠƯƍǔŴȪȝǽȸȠƕᚐ ᩉƢǔŵ 䐡㑅ᢥᛶ䞉≉␗ᛶ ⏕య⭷䠄⯉䛾ୖ⓶⣽⬊䛸䜏䛺䛩䠅䛻ᑐ䛧䛶䛚Ⲕ䛾ᡂศ䠄䜹䝔䜻䞁 䛺䛹䠅䜢ὶ䛩 ї⤖ྜ䛜ᙅ䛔䚸ゎ㞳䛜㏿䛔ֲᚋ䛥䛳䜁䜚䟿䟿 ї⤖ྜ䛜ᙉ䛔䚸ゎ㞳䛜㐜䛔ֲᚋ䛧䛳䛛䜚䟿䟿 - 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(2013) Development of a novel evaluation method for air particles using surface plasmon resonance spectroscopy analysis. Analyst, 138, 5437-5443. DOI: 10.1039/c3an00704a(査読有) 2) 伊藤吹夕,武田寛之,吉野勝美,森川英明,谷口彬雄,山中茂, ティフトン 419 とケンタッキーブ ルーグラスの葉表面微細構造の特徴. 芝草研究, 42(2), (2014). (査読有) 3) 松村哲也,中西弘充,山﨑敏彦,上村巧,小西哉,チェーンソー作業防護衣の汚損と視認性の変化, 中部森林研究, 2014, No.62, p137-138. 4) Fujii, T., Takashima, Y., Takayama, S., Ito, Y., and Kawasoe, T.: Effects of heat treatment on human hair keratin film. J. Jpn. Cosmet. Sci. Soc., 37(3), 165-170 (2013) 5) 藤井敏弘:「ケラチンフィルム」を用いた各種毛髪ダメージ評価試験. コスメティックステージ, 8(2), 20-26 (2013) 6) 藤井敏弘, 川副智行: 毛髪の見えないダメージを可視化したい. 皮膚の測定・評価法バイブル (技 術情報協会), 323-328 (2013) 7) Hong Xia, Toshihiro Hirai, “New Shedding Motion, Based on Electroactuation Force, for Microand Nanoweaving”, Adv. Eng. Mater. 2013, 15, 962-965. 8) Hong Xia, Yoshio Hashimoto Toru Morita, and Toshihiro Hirai "Formation of polyketone particle structure by HFIP solvent evaporation and effects of plasticizer addition ", submitted to J. Poly. Sci., B. ◆ 学会発表 1) ○森脇洋 1, 田中良弥 1, 五味龍作 1, 船坂邦弘 2, 浅川大地 2, 中西弘充 3(1 信州大・繊維,2 大阪市環 科研,3 信州大・SVBL) 「表面プラズモン共鳴分析を利用した大気微粒子の評価手法の開発」第 22 回環境化学討論会(東京)2013 年 7 月 口頭発表 2) ○中西弘充 1, 伊藤吹夕 1, 松村哲也 1, 小西繭 1, 松浦俊介 1, 田口悟朗 2, 小西哉 1,2 (1 信州大・SVBL, 2 信州大・繊維) 「桑葉パウダーを混ぜ込んだかりんとう「くわりんとう」の商品開発」平成 25 年 度日本繊維製品消費科学会年次大会(名古屋)2013 年 6 月 ポスター発表 3) 児島貴之 1, ○ 中西弘充 2, 伊藤吹夕 2,高崎緑 3, 森川英明 1(1 信州大・繊維,2 信州大・SVBL,3 宮 城教育大) 「エレクトロスピニング法による PVA/Cellulose 複合材料の開発」平成 25 年度繊維学会 年次大会(東京)2013 年 6 月 ポスター発表 4) ○重澤尚希 1, 山中茂 1, 村上泰 1, 伊藤吹夕 2, 森川英明 1(1 信大・繊維,2 信大・SVBL) 「植物 から学ぶ水補修繊維材料の開発」繊維学会秋季研究発表会(愛知)2013 年 9 月 ポスター発表 5) 米田智士,宇佐美久尚,伊藤吹夕,山中 茂,酸化チタン修飾した珪藻被殻の分光測定と FDTD 法 によるスペクトル解析,光化学討論会(愛媛)2013 年 9 月 ポスター発表 67 6) 米田智士,伊藤吹夕,山中茂,宇佐美久尚,珪藻被殻のフォトニック結晶特性と格子の乱れによる ストップバンドへの影響,日本化学会「低次元系光機能材料研究会」第 2 回サマーセミナー(松山) 2013 年 9 月 ポスター発表 7) 志水誠,伊藤吹夕,小西繭,森脇洋,野村隆臣,微生物群集解析による信州里山ため池のキャラク タリゼーション,第 36 回日本分子生物学会年会(神戸)2013 年 12 月 ポスター発表 8) Mayu Konishi, Hiraku Abe and Keisuke Takata, Morphological and genetic variation of domestic alien species, Pseudorasbora parva, in Matsumoto Castle Moat. The 9th Indo-Pacific Fish Conference (IPFC9),2013/6, Okinawa 9) 小西繭,里山にいきる生物の保全と遺伝子汚染について,信州昆虫学会シンポジウム「ホタルの保 全を通して,里山に生きる生物の今後を考える」(信州大学)2013 年 9 月 10) 小西繭(信州大)・高田啓介(信州大理)・井口恵一朗(長崎大院水環),どこから守る?なにから 守る?~希少魚のすむ里山ため池群を例に~,日本魚類学会年会シンポジウム「生物多様性解析の フロンティア:魚類の保全管理に生かす」(宮崎観光ホテル)2013 年 10 月 11) 朝倉瑞樹, 小西繭, 高田啓介, モツゴとシナイモツゴの繁殖形質の比較および個体群存続可能性分 析,第 61 回日本生態学会大会,2014 年 3 月 12) ○松村哲也, 中西弘充, 伊藤吹夕, 小西繭(信大 SVBL), ショードゥリー モハマド シャヒード (JSPS), 小西哉(信大繊) 「森林作業環境における色彩視認性の季節変化 ~木曽駒ヶ岳山域を 対象として~」 第 124 回日本森林学会大会 2013 年 3 月 口頭発表 13) 松村哲也,中西弘充,山﨑敏彦,上村巧,小西哉,チェーンソー作業防護衣の汚損と視認性の変化, 第三回中部森林学会大会研究発表会, 2013.10.19. 2014, No.62, p137-138. 14) 松村哲也,中西弘充,山﨑敏彦,上村巧,小西哉,チェーンソー防護服の汚れとその成分について, 森林利用学会第 20 回学術研究発表会・現地見学会, 2013.11.29-30. 講演要旨集 セッション 2-2-2. 15) 藤井敏弘,伊藤弓子:ヒト由来の毛髪ケラチンゲルの作製とその性質;日本生物高分子学会 2013 年度大会 講演要旨集 13(2), 68 (2013) 16) 藤井敏弘,伊藤弓子:毛髪由来のケラチン結合タンパク質の新しい調製方法とその応用;日本香粧 品学会第 38 回学術大会 講演要旨, 9 (2013) 17) 伊藤弓子,児山祥平,藤井敏弘:ヘアカラー製剤のケラチンフィルムとの反応性に関する研究;第 68 回繊維学会予稿集,68(1) 1PA53 (2013) 18) 藤井敏弘,藤澤和也, 伊藤弓子:還元-酸化応答性をもうつ毛髪ケラチン由来のスマート材料の創 出;第 86 回日本生化学会要旨集,2P-369 (2013) 19) Hong Xia, Tsuneaki Yamabe and Toshihiro Hirai, “Dielectrical Behavior of Polymer Fibers and Its Application for Micro, Nano-weaving”, ISATAT 2013, Nov. 7-9, Hangzhou, China. 20) Hong Xia, Yoshio Hashimoto, and Toshihiro Hirai, “Actuation of Poly(vinyl alcohol) Microfiber by an Applying DC Electric Field”, Fiber preprints, Japan, Vol. 68, No. 1 (Annual Meeting), 2PA39, June 12-14, 2013, Tokyo, Japan 21) 田中佑耶,植木崇充,夏紅,平井利博, “柔軟高分子材料の誘電特性と刺激応答機能” 繊維学会, Vol. 68, No. 1 (年次大会), 2PA39, 2013 年 6 月 12-14 日, 東京, 2PB51 22) Hong Xia, Tsuneaki Yamabe and Toshihiro Hirai, “誘電高分子ファイバーの電場駆動とマイク ロ・ウィ―ビング“,第 62 回高分子討論会,2013.9.11-13,金沢,1Pe015. 23) 田中佑耶,夏 紅,後藤康夫,平井利博, ”柔軟高分子材料の刺激応答機能”,第 30 回センシングフ ォーラム 計測部門大会 ~新たな地平を切り開くセンシング~,2013.8.29-30,1C2-3 68 24) 佐藤洸,坂口千鶴,平井利博(信州大・繊維) 3Pc105『可塑化高分子の電気光学効果』第 62 回高 分子学会年次大会(京都府京都市,国立京都国際会館)2013 年 5 月 29 日~31 日 発表日 2013 年 5 月 31 日 高分子学会予稿集, 62 (1), 3Pc105 (2013) 25) 佐藤洸,後藤康夫,平井利博(信州大・繊維) 2F03『可塑化 PVC ゲルにおける電気光学効果の制 御』 平成 25 年度繊維学会年次大会(東京都 タワーホール船堀) 2013 年 6 月 12 日~14 日 発表 日 2013 年 6 月 13 日 繊維学会予稿集, 68 (1), 2F03 (2012) 26) 佐藤洸,後藤康夫,平井利博(信州大・繊維) 2PB49『可塑化 PVC ゲルの電気光学効果における分 子量の影響』 平成 25 年度繊維学会年次大会(東京都 タワーホール船堀) 2013 年 6 月 12 日~14 日 発表日 2013 年 6 月 13 日 繊維学会予稿集, 68 (1), 2PB49 (2013) 27) 坂口千鶴,佐藤洸,平井利博(信州大・繊維) 2PB50『PVA の電気光学効果』 平成 25 年度繊維 学会年次大会(東京都 タワーホール船堀)2013 年 6 月 12 日~14 日 発表日 2013 年 6 月 13 日 繊 維学会予稿集, 68 (1), 2PB49 (2013) 28) 佐藤洸,後藤康夫,平井利博(信州大・繊維) 1C2-2『PVC の可塑化と電気光学効果』第 30 回セン シングフォーラム(長野県上田市 信州大学 繊維学部) 2013 年 8 月 29 日~30 日 発表日 2013 年 8 月 29 日 第 30 回センシングフォーラム予稿集, 1C2-2 (2013) 29) 佐藤洸,後藤康夫,平井利博(信州大・繊維) 2C08『PVC ゲルの電気光学効果における可塑剤の 影響』 平成 25 年度繊維学会 秋季研究発表会(愛知県名古屋市,豊田工業大学)2013 年 9 月 5 日~6 日 発表日 2012 年 9 月 6 日 繊維学会予稿集, 68 (2), 110 (2013) 30) 佐藤洸,後藤康夫,平井利博(信州大・繊維) 1Pd074『誘電性高分子の電気光学効果』第 62 回高 分子討論会(石川県金沢市,金沢大学 角間キャンパス)2013 年 9 月 11 日~13 日 発表日 2013 年 9 月 11 日 高分子討論会予稿集, 62 (2), 1Pd074 (2013) 31) Hiromu Sato, Yasuo Gotoh, Toshihiro Hirai(Fac. of Textile Sci. & Tech Shinshu. Univ.) 2ESB13『The elect-optic effect of PVA gel and PVC gel』第 62 回高分子討論会(石川県金沢市, 金沢大学 角間キャンパス)2013 年 9 月 11 日~13 日 発表日 2013 年 9 月 11 日 高分子討論会予稿 集, 62 (2), 2ESB13 (2013) 32) 八十島梨沙,姫野達也,若杉晃,木村祐介,伊香賀敏文,大越豊,田島武治,山口秀明 ポリエチ レンテレフタレート/シンジオタクチックポリスチレン海島複合繊維の作製 繊維学会 , 繊維学会 予稿集 , 68(1):CD 2013(Jun. 12) 33) 姫野達也,八十島梨沙,木村祐介,若杉晃,伊香賀敏文,大越豊,田島武治,山口秀明 レーザー 延伸したシンジオタクチックポリスチレン(SPS)繊維の構造と力学物性 繊維学会 , 繊維学会予稿 集 , 68(1):CD 2013(Jun. 12) ◆ 依頼講演 1) 中西弘充,産業界ニーズに対応した人財育成に関する研修会 in 関東,「大学における社会人基礎力 育成の実践と課題,展望について」 ,9 月 9 日,東京都,東京中小企業投資育成株式会社 8 階会議 室 2) 小西繭,高田啓介,井口恵一朗,どこから守る?なにから守る?~希少魚のすむ里山ため池群を例 に~,日本魚類学会年会シンポジウム「生物多様性解析のフロンティア:魚類の保全管理に生かす」 , 宮崎観光ホテル,2013 年 10 月 3) 小西繭,里山にいきる生物の保全と遺伝子汚染について,信州昆虫学会シンポジウム「ホタルの保 全を通して,里山に生きる生物の今後を考える」,信州大学理学部,2013 年 9 月 4) 松村哲也,山岳ツーリズムの振興 ~安全への意識向上と技術の普及~,信州大学学士山岳会平成 69 25 年度総会,松本市, 2013.11.2. ◆ 報告書 1) Nakanishi, H. (2013) Preparation of New Functionality Materials Using Cellulose and Nanofiber. Sen’i Gakkaishi, 69;10, 361-363.(査読無・和文) ◆ 著書 1) 小西繭,高田啓介 交雑による種の置き換わり.「見えない脅威“国内外来魚”- どう守る地域の生 物多様性」 .日本魚類学会自然保護委員会編(向井貴彦・鬼倉徳雄・淀 太我・瀬能 宏) ,pp52-66, 東海大学出版会,東京. ◆ 外部企業からの技術相談 1) 桑郷,エコシンフォニー,このは,前田産業,エリスン,別所温泉旅館組合,上田信用金庫,協和 食品,セイコーエプソン(株) ,長野県テクノ財団,直富商事株式会社 ◆ 寄稿 1) 中西弘充,地域資源の桑を活用して,千曲会報,第 306 号,8-9,2014 年 70 信州大学サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー 活動報告書 平成 25 年度 編集 信州大学 SVBL 活動報告書編集委員会 発行日 平成 26 年 3 月 31 日 発行 信州大学サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー(信州大学 SVBL) 〒386-8567 長野県上田市常田 3-15-1 TEL 0268-21-5325 FAX 0268-21-5326 E-MAIL [email protected] URL http://www.svbl.jp/ 無断で複製・転載することを禁じます。 C 2014 信州大学サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー ○
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