ごあいさつ 信州大学 SVBL 長 小西 哉 信州大学 SVBL の 2010 年度の活動報告書が完成いたしました.信州大学 SVBL の 1 年間の活 動成果を,ご一覧いただけましたら,ありがたく存じます. 本 SVBL では運営委員会,専門部会,SVBL 専任助教,事務職員,技術補佐員,PD 研究員,DC 研究員が一体となって,SVBL の事業を企画,運営しております.2010 年度は信州大学 SVBL 開 設から 6 年が経過し,信州大学の次期中期目標・中期計画の策定に合わせて,新たな 6 年間の 計画策定を進めました. 2009 年度に実施した外部評価で高く評価されました信州大学 SVBL の事業,とくに,学生の ベンチャー・マインド(チャレンジ精神)醸成を目的として行っております「プロジェクトマ ネジメントセミナー」, 「ベンチャーコンテスト」などの取り組みの成果が,全国レベルのベン チャーコンテストで受賞するという形で結実しております.また,SVBL に設置された分析機器 等の利用技術を習得し,機器分析等の需要に応えられる技術レベルを目指す,分析機器エキス パート(P-DEX)養成活動は,信州大学 SVBL ならではの学生のユニークな自主的活動として, 高く評価されております. 本 SVBL は長野県上田市にある繊維学部キャンパスに設置されているため,従来は繊維学部 キャンパス中心のサービス提供でしたが,SVBL スタッフの充実に伴い,2010 年度からは信州 大学の他キャンパスへも,SUNS(信州大学のテレビ会議システム)を利用して,サービス提供 できるようになりました.工学部キャンパスでは,「プロジェクトマネジメントセミナー」を 繊維学部キャンパスと並行して同時開催するなど,全学的な事業展開を進めております. 信州大学の教職員および学生によるベンチャー企業が多数立ち上がるような環境整備と支 援体制の充実も望まれています.教員によるベンチャー起業へ向けては,SVBL の実験室を利用 して,起業の準備を進めていただくなどの支援を行っておりますが,さらに積極的に支援する ために,コーディネート活動や,専門的なコンサルタント活動を充実させていくことが,2011 年度以降の課題と考えております. 柔軟な発想,創造性,チャレンジ精神に富む若者を育成し,新しい産業の芽となる独創的な 研究開発に取り組む意欲の高い人たちの拠点となるべく,引き続き多様な活動を展開して参り ます.関係各位の一層のご支援をお願い申し上げます. 信州大学 サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー 活 動 報 告 書 平成 22 年度 目 次 ごあいさつ Ⅰ. ベンチャー教育活動 1. セミナー················································· 1 2. ベンチャーコンテスト ····································· 4 3. 機器エキスパート(P-DEX)養成事業 ························ 6 4. 機器講習会··············································· 12 5. 研修支援················································· 13 6. 研究者の招聘············································· 21 Ⅱ. ベンチャー創出支援事業 1. ベンチャー起業支援······································· 25 Ⅲ. 研究活動 1. プロジェクト研究 ········································ 33 2. 重点研究 ················································ 38 3. 萌芽研究 ················································ 46 Ⅳ. 資料 1. 事業歴··················································· 51 2. 展示会(広報)··········································· 57 3. 業績リスト··············································· 58 Ⅰ. ベンチャー教育活動 1.セミナー 1) プロジェクトマネジメントセミナー‘10 本学学生教職員を対象に,会社とはどういった組織かを知ることを目的とした「プロジェクトマネジ メントセミナー‘10 ~会社経営のノウハウを知る!~就職準備の第一歩~」を上田,長野(工学)キ ャンパスにて開催した. ◆ A 会場 2010 年 8 月 7 日(土)~ 8 月 10 日(火) 10:00~17:15 信州大学上田キャンパス 繊維学部総合研究棟 7 階 講師 社団法人 21 世紀ニュービジネス協議会 相馬豊恒 氏 株式会社価値創造研究所 代表取締役 小原知子 氏 有限会社ワン・アンド・カンパニー 代表取締役 小川一弘 氏 小川一弘税理士事務所 所長(税理士) 修了者数 16 名 カリキュラム テーマ 8月7日 オリエンテーション,自己紹介 内容 プログラムの説明 起業体験談 相馬豊恒 藤森良枝 山本幸生 プロジェクトマネジメントとは 8月8日 8月9日 8 月 10 日 プロジェクトの成功と会社について 発表と討議 プロジェクトマネジメントの実践 自分の会社を作る(ゴールと手段) 宿題 起業方針書の作成とバックデータの収集 発表と討議 私の起業方針 自分の会社は何を目指すのか お金のコントロール 1 決算書を読めるようになろう <企業会計の基本> お金のコントロール 2 儲けのポイント「損益分岐点と利益」 <管理会計の基本> 起業化プランづくり(1) 数値に基づいた計画づくり 宿題 起業計画書の作成と損益計画の作成 計画の立て方について プロジェクトを成功させるための計画 人を動かす 自らの起業プランをアピールする 効果的なプレゼンテーション 起業化プランづくり(2) マネジメントの視点にたった計画の見直し 会社設立趣意書作成とプレゼンテーション 宿題 資料の準備 起業化プランづくり(3) 人を動かすプレゼンテーションの準備 私の起業化プラン 発表会 私は○○の起業をします! プロジェクトマネジメントを成功 起業の成功とマネジメントの実践 させるために 講師(敬称略) 1 相馬豊恒 相馬豊恒 小川一弘 相馬豊恒 相馬豊恒 小原知子 相馬豊恒 相馬豊恒 小原知子 ◆ B 会場 2010 年 8 月 4 日(水)~ 8 月 6 日(金) 9:30~17:50 信州大学長野(工学)キャンパス 長野ものづくり支援センター(UFO)5 階 講師 大野雄三 氏 イノベーション研究・支援センター 客員教授 ゲスト 小林藤子 氏 長野朝日税理士法人 認定事業再生士 黒沢正行 氏 MK コンサルティング 代表 日高剛生 氏 株式会社 SPI エンジニアリング 社長 白鳥典彦 氏 マイクロストーン株式会社 社長 中沢基善 氏 県中小企業振興センター 経営支援部 高梨節男 氏 日本製作金融公庫 長野支店創業支援センター 所長 小林一文 氏 イノベーション研究・支援センター 顧問 大熊省三 氏 信州大学特任准教授 / 樋口一清 氏 経営大学院教授 天野良彦 氏 CRC センター長 / 清水保雄 氏 工学部教授 鈴木智弘 氏 経営大学院院長 14 名 修了者数 カリキュラム 講師またはゲスト(敬称略) テーマ 8月4日 8月5日 8月6日 開講挨拶 小西 哉 オリエンテーション,創業の社会・経済的意義 大野雄三 社会起業家への道 樋口一清 小規模企業の経営とは 大野雄三 企業の社会的責任 小林一文 私の創業体験① 日高剛生 ビジネスプランを創る 大熊省三 企業会計の基本 小林藤子 起業組織の作り方 黒沢正行 私の起業体験② 白鳥典彦 公的創業支援施策 中沢基善 公的金融機関の創業融資 高梨節男 ビジネスプラン 天野良彦, 清水保雄, 鈴木智弘 発表・討論 修了挨拶 A 会場 B 会場 2 2) ライフプランニング講演会 ビジネスマインドを養成するために,未来を発想していく ために大切な「将来設計」をテーマに講演会を開催した. 社会へ出てからの人生設計を考える場としての,自分自身 の将来設計「ライフプランニング」の考え方を講演頂いた. 開催日時 7 月 9 日(金)16:30~18:00 講演者 田子将一 氏 (ソニー生命ファイナンシャルプランナー) 開催場所 上田キャンパス繊維学部 32 番教室(SUNS 中継 全キャンパス) 参加者 32 名 3) 特許セミナー (株)信州 TLO に協力頂き,技術が社会で活用されるための手段の一つとして,特許にスポットを 当てた講義と演習を 2 回開催した.これまで特許の「と」の字も知らない方にも分かるよう,基礎的な 内容から丁寧に解説して頂いた. 講師 篠塚由紀 氏(知的財産管理技能士 2 級,株式会社信州 TLO 技術移転グループ) 第 1 回開催日時・場所 2010 年 10 月 14 日(木) 16:30~18:30 上田キャンパス繊維学部 講義棟 10 番教室 参加者 17 名 第 2 回開催日時・場所 2010 年 11 月 30 日(火) 16:30~18:30 松本キャンパス全学教育機構 講義棟 2 階 65 番講義室 参加者 11 名 4) 会計セミナー 今年度の会計セミナーは、 「知って得する会計セミナー2011」として、確定申告や医療費控除など実 生活や就職活動に役立つ税金の仕組みについて勉強した. 開催日時 2 月 14 日(月)17:30~19:30 講師 小山宏幸 氏(税理士・医業経営コンサルタン ト・CFP,税理士法人小山会計専務) 開催場所 上田キャンパス SVBL 棟 406 室 参加者 15 名 3 2. ベンチャーコンテスト 1) 信州大学 SVBL ベンチャーコンテスト 本学学生を対象に「ベンチャーコンテスト ~あなたのビジネスアイデアは実現できる?~」を開催 し,本学学生 6 人が,1 人 5 分の発表と 10 分の質疑応答に挑んだ. 開催日時場所 2010 年 9 月 1 日(水) 13:30~16:10 繊維学部 総合研究棟 7 階ミーティングルーム 1 発表者と発表テーマ 学部学科 繊維学部化学・材料系 材料化学工学課程 繊維学部創造工学系 機能機械学課程 工学部情報工学科 工学系研究科 感性工学専攻 工学系研究科 情報工学専攻 総合工学系研究科 物質創成科学専攻 経済・社会政策科学研究科イノベ ーション・マネージメント専攻 学年 氏名 テーマ 学部 2 年 吉田 圭介 インドネシアでの日本食の提供 学部 2 年 渡辺 貴広 介護用ゲームコントローラの開発 学部 3 年 森田 峻輔 修士 1 年 佐藤 真紀 修士 1 年 岡野 史明 看護師の復職,転職支援サービス 中根 孝浩 小規模温泉発電の農業利用 読書困難者向け音読コンテンツ配信サ ービス 対話による信州ファーマーズマーケッ トを通した次世代農業支援サービス 博士 3 年 MOT 修士 2 年 審査結果 最優秀賞 中根 孝浩(総合工学系研究科物質創成科学専攻博士 3 年) 優秀賞 森田 峻輔(工学部情報工学科 3 年) 審査員一覧(敬称略) 所属 SVBL 運営委員(理学部) SVBL 運営委員(工学部) SVBL 運営委員(繊維学部) イノベーション研究・支援センター 上田産官学連携室長 篠原小宮国際特許事務所 社団法人 21 世紀ニュービジネス協議会 副会長 有限会社サーティースリー 代表取締役社長 SVBL 長 氏名 樋上 照男 清水 保雄 藤松 仁 大野 雄三 大口 正勝 堀内 剛 丸田 好美 小西 哉 主催 信州大学サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー 共催 信州大学繊維学部/信州大学イノベーション研究・支援センター/信州大学地域共同 4 研究センター/(株)信州 TLO/(財)上田繊維科学振興会(AREC)/AREC プラザ 後援 (社)21 世紀ニュービジネス協議会 2) 学外コンテスト参加 テクノ愛 2010 (テクノ愛実行委員会主催,京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー,財団法人近畿地方発 明センター共催) 信州大学 SVBL ベンチャーコンテストで優秀賞を受賞した工学部情報工学科 3 年生 森田峻輔さんが, 2010 年 11 月 23 日に開催された最終審査発表会において, 「朗読コンテンツ配信システム」のテーマで みごと入賞され,表彰された.森田さんのビジネスプランは,ディスクレシア(読字障害者)や高齢者 を主とした読書困難者を対象に,インターネットを利用した朗読コンテンツ配信サービスをシステム化 する事業提案であり,その内容が高く評価された. 第 7 回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)東京 (CVG 東京実行委員会主催,日刊工業新聞共催) 繊維学部機能機械学科 4 年生 加納 徹さんが,「大学向け教育・研究支援ソフトウェア開発ベンチ ャー「ArkOak」」をテーマにビジネス部門に応募し,一次審査を通過した. 5 3. 機器エキスパート(P-DEX)養成事業 1) P-DEX養成事業報告/繊維学部授業「ひと・ものづくりプロジェクト」との連携 工学系技術者および研究者にとって分析機器・評価機器の利用技術を習得することは重要である.一 方,“ものづくり”で起業を考えている学生にとっても,ベンチャー活動を進めていく上で基礎的な技 能の一つでもある. 本 SVBL では分析機器・加工機のエキスパートを養成する目的で,P-DEX(Project-Device Expert)な る組織を立ち上げ,その支援を行ってきた.P-DEX は学部学生が主体となり,本 SVBL に設置されてい る機器の技能研究会の企画・運営を行ってきた.P-DEX の 2010 年度の活動内容は下記のとおりである. なお,2007 年度より,P-DEX 活動に参加している学生は,繊維学部 2・3 年生対象の授業「ひと・も のづくりプロジェクト A,B」(通年,自由,1 単位)を履修することで,単位取得が可能となった. 参加人数 29 名 使用機器 z 微小部蛍光 X 線測定装置((株)島津製作所製 μEDX-1300) z ワイヤーカット放電加工機((株)ソディック製 AQ325L) z 表面プラズモン共鳴測定装置(SPR,Biacore AB 製 Biacore X) z 液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS,(株)島津製作所製 LCMS-2010A) 活動体制 機器ごとに技能レベルを設定 初級: 分析装置の取扱可能であり測定原理を理解している. 中級: 高度な分析技能をもち初級者に対して基本技能の指導ができる. 上級: 分析経験が豊富で学内に対しての技術指導ができる. 技能レベルを保証するために SVBL による技能検定を実施している. 活動期間・時間は,2010 年 5 月~12 月 (但し 8 月~10 月は除く)で,概ね 100 時間/年を目安と している. 学習内容 <勉強会>グループごと計画を立て,年間 40 時間程度実施した. <実習> 機器講習会への参加および自主研修を行った. 技能検定の実施 日時・場所 z 2010 年 11 月 18 日(木)SVBL 棟 201,102 室 液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS)10:00~11:00 審査員:森脇 洋(繊維学部准教授) ,田口悟朗(同左),平田雄一(同左) ,中西弘充(SVBL PD 6 研究員),丸山昌明(SVBL 技術補佐員) z 微小部蛍光 X 線測定装置 (μEDX)11:00~12:00 審査員:森脇 洋(繊維学部准教授),田口悟朗(同左),平田雄一(同左),高崎 緑(SVBL 助教),中西弘充(SVBL PD 研究員),丸山昌明(SVBL 技術補佐員) オブザーバ:土屋攝子(繊維学部技術職員) z 表面プラズモン共鳴測定装置 (SPR)13:00~14:00 審査員:高崎 緑(SVBL 助教),中西弘充(SVBL PD 研究員),丸山昌明(SVBL 技術補佐員) z ワイヤーカット放電加工機 14:00~15:00 審査員:中村勇雄(繊維学部技術専門職員),高崎 緑(SVBL 助教),中西弘充(SVBL PD 研 究員),丸山昌明(SVBL 技術補佐員) 修了発表会・修了証授与式の実施 2011 年 2 月 10 日(木) 繊維学部 32 番講義室(SUNS 中継) 修了者一覧 z 液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS) (初級)創造工学系 2 年 小勝 萌,応用生物学系生物資源・環境科学課程 3 年 相澤秀幸 (中級)化学・材料系応用化学課程 3 年 清水 良,素材開発化学科 4 年 z 鈴木佑佳・戸谷佑衣 微小部蛍光 X 線測定装置(μEDX) (初級)創造工学系機能機械学課程 2 年 山内 真,化学・材料系材料化学工学課程 2 年 吉田圭介, 応用生物系 2 年 峯 織絵 z 表面プラズモン共鳴測定装置(SPR) (初級)化学・材料系機能高分子学課程 2 年 篠崎 敦,応用生物系 2 年 阿部春香・國井雅 代・五味龍作・田中良弥 (中級)応用生物学系生物機能科学課程 3 年 グ課程 3 年 z 据 貴志,応用生物学系 バイオエンジニアリン 藤澤和也,化学・材料系機能高分子学課程 3 年 佐々木絵理 ワイヤーカット放電加工機 (初級)創造工学系機能機械学課程 2 年 鈴木浩太・田中直人・渡辺貴広 (中級)創造工学系機能機械学課程 3 年 関根健二 技能検定の様子 7 2) P-DEX 活動報告 微小部蛍光X線測定装置(μEDX)初級技能講習活動報告書 創造工学系 機能機械学課程 2 年 山内 真 化学・材料系 材料化学工学課程 2 年 吉田圭介 応用生物学系 2 年 峯 織絵 1. 目的 大学院生および学部生が,SVBL に設置されている分析機器の測定技術を習得することは,研究活 動を進めていく上で重要である.技能講習会や研究会等を通して微小部蛍光 X 線測定装置(µEDX)の基 本操作技術・理論の習得をするとともに,習得した技能を活用して SVBL の研究活動を支援する人材 の育成を目的とする.µEDX とは試料に含まれている各種類の元素を,蛍光 X 線を用いて分析できる 装置である(図1). 2. 活動内容 (1) 技能講習会 ・定性定量分析 ・検量線法による定量分析 ・標準試料作成 ・マッピング分析 (2) 勉強会* ・μEDX の原理の理解 ・定性定量分析 ・検量線による定量分析 ・試料調製法 図1. 蛍光 X 線発生の流れ 3. 結果および成果 μEDX の基本的な分析技術および理論を習得することができた. 4. 今後の課題 ・高度な分析技術および知識の習得 ・習得した技能の技術還元 ・研究テーマを見つけ,研究を遂行する 5. 所感 今年度は全員初級ということであったが,基本的な技術習得の他に特に大きな成果を出すことが出 来なかったのが残念である.来年度は中級レベルの技術習得に加えて液体の分析方法の確立を目指し て活動していきたい.今年度の µEDX 班は 3 年生が不在で、4 年生の先輩に協力してもらいながら活 動してきたので,先輩に助けてもらっていた部分があったが,来年度は自分たちが今度入ってくる 2 年生に教える立場になるのでその自覚をもって活動していきたい. 8 ワイヤーカット放電加工機 機能機械学科 4 年 新井康允 創造工学系機能機械学課程 3 年 関根健二,濱 秀典 創造工学系機能機械学課程 2 年 鈴木浩太,田中直人,渡辺貴広 1. 目的 ワイヤーカット放電加工機とは,ワイヤーと加工物(金属)の間に放電を発生させ,放電による熱で 加工物を溶かし,ワイヤーで切るように加工する工作機械である.本年度は,1)学生のみで勉強会を 行い,機器の加工原理を学ぶとともに,自主的な学習能力を身につける.2)実習では機器の基本操作 技能を身につけた上で,自ら課題の設定・解決を繰り返し行い,操作技能を高める.3)学内での機器 の需要を模索し,技術指導・受託加工が行えることを目標とする. 2. 活動計画 本年度の活動計画を,表1に示す.前期,夏期休業,後期で大まかに区分を行い,勉強内容,実習内 容を徐々に向上させる. 表 1. 活動計画 月 勉強会 実習 4 月~7 月 機器の原理と特性の学習 装置の立ち上げと簡単な加工 8 月~9 月 NC 制御と NC プログラミングの学習 NC プログラムの作成とその加工 9 月~12 月 NC 制御と NC プログラミングの学習 CAD/CAM による NC プログラムの作成 精密加工 3. 結果および成果 勉強会では各個人が機器の原理・特性などを十分に理解することができた.実習では NC プログラム により鋼製,10 mm 厚のクローバー(図 1)の加工や,CAM を用いて真鍮製,10 mm 厚の SVBL のロ ゴ(図 2)の加工などを行った.また,10 μm 単位の厚さの薄片加工などを行い,放電加工による熱応 力の影響を確認した. 13 mm 図 1. 24 mm 鋼製クローバー 図 2. 真鍮製 SVBL ロゴ 4. 今後の課題 学内ユーザへの技術指導,研究室からの受託加工を目標に,実習を繰り返し,技能向上を図る. 5. 所感 この機器の活動により,金属の精密加工が身近なものになり,モノ作りの意欲がとても湧いた.また, 自主的に課題を解決できた時の楽しさを学ぶことができた. 9 表面プラズモン共鳴測定装置(SPR) 応用生物学系生物機能科学課程 3 年 据 貴志 応用生物学系バイオエンジニアリング課程 3 年 藤澤和也 化学・材料系機能高分子学課程 3 年 佐々木絵理 応用生物学系 2 年 阿部春香,國井雅代,五味龍作,田中良弥 化学・材料系機能高分子学課程 2 年 篠崎 敦 1. 目的 人工臓器や医療用カテーテルの表面にコーティングされているバイオマテリアルと生体高分子との 相互作用において基準となる評価つまり,バイオマテリアルごとの生体高分子との反応性の優劣が明確 に存在しない.そこで,標識せず生体分子の相互作用をモニタリングできる表面プラズモン共鳴(SPR) 測定装置を用いて,バイオマテリアルの評価法の確立を試みた.さらに再生溶液を用いて分子間で発生 している特異的吸着の結合様式をおおまかに特定することが可能かといった技術の向上を目指した. 2. 実験 評価を行うバイオマテリアルは MPC ポリマとフィブロイン,セリシン,生体高分子としては血液凝 固第Ⅻ因子を用いた.バイオマテリアルをそれぞれセンサーチップ上の金膜に固定化し,その後,血液 凝固第Ⅻ因子やリン酸緩衝液,尿素を混合し調製したものを固定化したセンサーチップに流すことで各 バイオマテリアルとの反応を確認した. さらに再生溶液(NaCl,NaOH,Glycine-HCl)を用いることでバイオマテリアルと血液凝固第 Ⅻ因子 との間の結合様式の特定を行った. 3. 結果および成果 今回用いたバイオマテリアルである MPC ポリマ,フィブロイン,セリシンをそれぞれ固定化したセ ンサーチップでは,ともに血液凝固第Ⅻ因子やリン酸緩衝液,尿素を混合し調製したものでは全く結合 や凝縮が確認できなかった.また,血液凝固第Ⅻ因子のみと反応させた場合でも結合は確認できなかっ たが凝縮は確認できた. 再生溶液を用いたバイオマテリアルと血液凝固第 Ⅻ因子との間の結合様式の特定は,結合が確認され なかったため行うことができなかった. 4. 今後の課題 他の血液凝固因子や免疫機構に関する生体高分子と今回用いることができなかったポリウレタンな どのバイオマテリアルとの結合の有無の確認し,より多くのデータを集める. 再生溶液を用いた高分子間の結合様式の特定を行うことができなかったが,実際に行っていく. 5. 所感 MPC ポリマのセンサーチップ上の金膜への固定化は今回初めて用いた方法で行ったが思ってきたよ り固定化に手間がかかってしまった.バイオマテリアルに使用されているものを金膜上に固定化する方 法が思いつかないものが大半を占めていることに大変悩まされた. 10 液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS) 成果報告 素材開発化学科 4 年 戸谷佑衣,鈴木佑佳 化学・材料系応用化学課程 3 年 応用生物学系生物資源・環境科学課程 3 年 創造工学系感性工学課程 2 年 清水 良 相澤秀幸 小勝 萌 1. 目的 ・液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS)の技能習得,装置原理の理解を目指す. ・習得した技能を活用して SVBL の研究活動を支援する人材を育成する. 2. 実験 以下のテーマについて簡易的に分析を行い,それぞれのテーマが研究として成立するかを評価した. (1) 漫画雑誌中に含まれる有害物質の検出(対象物質:PFOS, PFOA) (2) 緑茶の成分分析 (3) 洗濯後の衣類に対する蛍光増白剤(アレルギー物質)の残留度合いの測定(対象物質:DSBP) なお,今期はテーマ(3)について主に取り扱った. 3. 結果および成果 (1) 漫画雑誌に含まれる化学物質をメタノールにより抽出し,測定を行った.しかし,目的とする PFOS および PFOA と思われるピークは確認することができなかった.これより,本テーマにつ いては評価することが不可能であると結論づけた. (2) 測定の結果,図1のようなマススペクトルを得ることができた.これより,サンプルを複数用 意することで分析評価が可能であると考えられた. (3) 蛍光増白剤(DSBP)標準溶液を調製し,LCMS を用いて図2のような検量線を引くことがで きた.しかし,今回調達した A 社の洗剤には,測定の結果 DSBP が含まれていないことが明ら かとなったため,分析条件の再検討が必要と思われた. 4. 今後の課題 引き続き DSBP を対象物質とした場合,これを含む洗濯用洗剤の調達,また,カラムによる分離 の際に最適となる条件をさらに詳しく検討する必要がある.対象物質を変更する場合,その洗剤に 含まれている蛍光増白剤が何であるかを特定する必要がある. 5. 所感 本年度の活動に際して,協力してくださった森脇先生,中西研究員はじめ SVBL 職員の皆さまに 感謝いたします.ありがとうございました. 図1.緑茶のマススペクトル (positive ion mode) 図2.DSBP 標準液の検量線 11 4. 機器講習会 教職員・学生の研修及び P-DEX の教育,SVBL 設置の測定機器の有効利用を図るため,下記機器に ついて講習会を実施した. 実施日 機器名・講習名 実施場所 参加人数 6 月 24 日,28 日 透過型電子顕微鏡 JEM2100 講習会(ビデオ) SVBL406 室 54 名 7 月 5 日~8 日 透過型電子顕微鏡 JEM2100 講習会(講義,実習) 総研棟他 72 名 12 月 14 日 分析関連セミナー SVBL406 室 ① 新型トリプル四重極 LCMSMS (⑤201 室) 14 名 ② 高速液体クロマトグラフ:GPC システム 11 名 ③ メソッド開発に役立つ様々なカラム選択性 6名 ④ FTIR とラマンによる不良解析・異物分析 9名 ⑤ FTIR 期機展示とデモ実施 5名 セミナーの様子 12 5. 研修支援 1) 海外研修支援内容 本年度は下記 2 名の海外研修に対して,旅費・滞在費の支援を行った. 氏名 中西 忍 三島光晴 所属学年 研修先 大学院工学系研究科 ドイツ 応用生物学専攻修士課程 1 年 マンハイム工科大学 大学院工学系研究科 イギリス 応用生物学専攻修士課程 2 年 ハル大学 研修期間 平成 22 年 8 月 31 日~ 平成 23 年 9 月 1 日 平成 22 年 8 月 15 日~ 平成 22 年 10 月 13 日 2) 海外研修者報告 (1) 所属・学年 工学系研究科応用生物科学専攻 (2) 氏名 三島光晴 (3) 研修期間 2010 年 8 月 15 日〜2010 年 10 月 13 日 (4) 研修先 University of Hull (5) 受入担当者氏名 (6) 調査研修題目 修士課程 2 年 Dr. Stuart Humphries 各種産業材料への応用に向けたヒゲナガカワトビケラのシルクに関する研究 (7) 研修目的 申請者は修士課程において,毛翅目に分類される水生昆虫(ヒゲナガカワトビケラ)が吐糸する繊維状 タンパク質の特性に関する研究を行っている.ヒゲナガカワトビケラは体内で生合成したタンパク質を 基にしてシルクの巣網を張り,餌資源の摂取や,小礫を接着し生息場所を確保する.これらは終齢(5 齢) になると体長が約 4cm に達する大型の種であり,絹糸腺も毛翅目の中では発達している種である.流水 中で吐糸される絹糸腺タンパク質は流水中で繊維化する特徴を持つ.同時に,ヒゲナガカワトビケラの シルクは,水中でも高い粘着・接着性を示すことから,水中利用が可能なシール材,吸着素材,フィル ター等,新規性の高い生物由来の材料への応用が期待できる.水生昆虫という未利用な生物資源の有効 利用という観点からも,実用化を想定してこの研究を発展させることは学術面のみならず,大学発のベ ンチャービジネスにふさわしい価値を創出することも期待でき,その両面で意義深いものと考える.受 入れ先として選定した,海洋科学をバックグラウンドとして,生物のメカニズムや機能を物理的な計測 から研究することを専門とする研究室において,このシルクの実用化に向けた潜在的な産業的価値を構 造解析や接着性等の観点から推定することを目指し,ベンチャー萌芽研究の実用化・起業化への指針・ 知見を得ることを目的とした. (8) 研修概要 a) 受入れ先大学の研究室の特徴 英国の East Yorkshire に位置する Kingston upon Hull という街にある国立大学である Hull 大学の Biological Science, Functional Ecology Group, Physical Ecology Laboratory において研修をさせていただい 13 た.Hull 大学は 1928 年に設立された 8 学部からなる総合大学で,学部だけでも 300 を超える専攻があ り,同じ授業料で複数の専攻に所属することを認める履修形式をとっている.学生数は 1 万 8 千人でそ の 10%を 100 ヵ国からの留学生がしめている.英国の中でも授業料や生活費が安いことでも有名な大学 であると同時に,階級やバックグラウンドによる偏見が少ないのもこの大学の特徴らしく,それを理由 に Hull 大学を進学先・留学先として選んだという学生が少なくなかった.その中でも特に化学を中心と している学部は,液晶に関する先駆的な研究実績から世界的にも知られている学部のようである. 図1. 研修受入れ先での研究スペースおよび研究室のメンバー 参考: www.hull.ac.uk www.hulluk.jp www.nichibei-school.net/britain/ b)ヒゲナガカワトビケラが吐糸するシルクの構造に関する研究 これまで申請者は,ヒゲナガカワトビケラの絹糸腺およびシルクについて広範な基礎特性の解明に注 力して研究を進めてきた.絹糸腺の水分率からのタンパク質濃度の推定や絹糸腺の形態学的な部位ごと の長さの計測,絹糸腺およびシルクの熱分解挙動からタンパク質の熱的安定性を解析などが具体的な例 である. 研修中,Stuart 先生の助言の下,申請者は固体 NMR によるヒゲナガカワトビケラの吐糸するシルク の三次構造の解析に加え,シルクの持つ粘性や強度に注目した力学的特性を解析する予定であったが, 時間的な制約から固体 NMR を中心とした測定のみを行った.また,昆虫種間のシルクの構造の違いに 関する測定は,現地で採集した昆虫を飼育して得られた試料を十分量得られなかったため断念せざるを 得なかった.ヒゲナガカワトビケラのシルクに特有の起業化につながる産業的価値の高い性質は,ヒゲ ナガカワトビケラの各発育ステージ間の比較から推察にとどまった.しかしながら,研修期間中の研究 の中で,未利用生物資源を新たな材料として捉える際に不可欠な,構造上の情報の一部を得ることがで きた.以下に研修中に得られた測定結果の概略を示す. 図2は,信州大学で飼育したヒゲナガカワトビケラと,それらが吐糸したシルクの写真を成長段階に よって示したものである.幼虫期に吐糸するシルク(a)と,蛹になる直前のシルク(b)とでは形態が異なり, 前者は繊維状,後者は繊維状のものに加え,糊状のものが観察される. 14 図2. 各成長段階におけるヒゲナガカワトビケラのシルクの形態 この形態的な差異が何に起因するかを追求することが,このシルクの利用を考える上で重要であると 考え,この2タイプの試料についてアミノ酸組成の分析および固体 NMR を用いた 13 C CP-MAS,13C DD-MAS 測定を行った.これらの測定から示された目立った違いはなかったが,このことは,2タイプ のシルクは極めて類似したアミノ酸組成や配列を維持しながらその形態を変化させることができると いうことを同時に示している.この形態的な違いは,各ステージでの吐糸方法の違いに起因していると 予想しているが,類似した構造を持ちながら種々の形態で水中で凝固するという特徴は,この未利用資 源を利用する上で有用な面の一部となるはずである.現在は,信州大学に戻ってその形態の違いによる 化学的な特性の差異および結晶化度の違いという観点から詳細な研究を進めている.物理学的な測定結 果および研究手法を習得しながら自分自身の研究テーマと向き合ったことで,水生昆虫のシルクが有す る新たな側面を知ることができたと同時に,生物由来の未利用資源の利用を目指す上で考慮する必要の ある要素を学び取ることができた.本研修を終了したことで,修士課程の研究テーマに限らず,産業的 価値の高い対象をいかに実用化に結びつけるかということを考えるにあたっての指針,勘案すべき事柄 等に対してより明確な意図を持って取組む姿勢が身につけることができた. (9) 活動経験談 1. 研修先における就労・教育システムの新たな知見 研修中に受け入れたいただいた Stuart Humphries 博士の Physical Ecology Laboratory は Department of Biological Science, Functional Ecology Group に所属している.この学部(Biological Science)は 1928 年に初 代学部長であった Alistair Hardy 博士が熱帯,南極海の海洋科学の礎を築いた実績から現在は環境科学に 大きな重点を置いている.特に生物の性選択の進化と周囲の環境変化との関連やてんとう虫の分布の遺 伝学の分野で有名である.その中でも Functional Ecology Group は海洋科学を主な研究対象としており, The DEEP という深海の展示が特徴である Hull の観光スポットとして集客力の高い水族館と研究面での 15 協力関係を築いている.その研究対象は多岐に渡り,魚類の行動学的研究からクラゲの繁殖,ザリガニ 動きを利用したセンサー工学なども Hull 大学での研究成果が水族館の展示や飼育方法に反映されてい た.これらの研究はインターンシップの一環にもなっているようで,大学と公共機関の綿密な連携が構 築されていた.毎年,The DEEP を就職先に選ぶ学生がいるようで,公共機関との良好な協力関係を築 く事で学生に対し仕事を探しやすい環境を構築している点は教員,学生,大学,The DEEP の4者の中 でうまくメリットを共有しているモデルだと感じた. 図3. 深海展示の水族館”The DEEP”(左)と Hull 大学の正門からの大学の様子(右)の写真 2. 研修先で印象に残った事柄(所属大学との比較など) 2ヶ月半の間籍置いた Hull 大学の研究室では2つの点で印象に残った事がある.ひとつは研究面での 教員の協力関係の充実度であり,もう一方はストレス無く学生が研究に取組める環境である.教員の研 究に対する協力関係というものは研究室間,ひいては学部間の垣根の低さであるとも言える.自分の所 属する研究室の設備では研究が行き詰まったとき,指導教官が進んで学生とともに他学部の設備の使用 依頼をしていたし,依頼を受けた指導教官もその依頼に対して寛容であった.相互に協力し合い,分析 機器等の大学の財産を研究室間で共有することが大前提となっている関係は,信州大学もまだまだ学ぶ 点は多い様に思えた.一方で非常にフランクに教授と接する学生の様子や,毎平日の午後にとるティー タイム等は学生の研究に対する余分なプレッシャーを軽減する意味で重要な位置づけの様であった.テ ィータイムの時間になると決まってはじまる,リラックスした中での学生同士の研究に対する議論は, 楽しい雰囲気の中にも研究に対する自発的なモチベーションがありとても興味深い時間であった. 3. 後輩へのアドバイス (1) 研修先で活動を行うに際して注意する事柄 今回の海外研修は講義やセミナーに参加する研修ではなかったため,受入れ先研究室でいかに円滑に 研究を進めることができるかで研修が充実するかが決まると考えていた.その中で第一に重要視してい たことは,自分自身がしたい研究と受入れ先の専門領域の共通項を探すことであった.自分のアイディ アをはっきりと伝え,研修先で行う研究に対する目的意識を前向きに維持する事で,次第に研究室での 自分の居場所が生まれたし,周囲の学生からの協力も十分に得る事ができた.明確な目的を持った上で あれば,自分がやってみたい実験には先生も学生も驚く程強力にサポートしてくれた. また,様々な場面で自分の意見を明確に示す必要を感じていた.実験手法を相談する際も,実験結果の ディスカッションをしているときも,食事のメニューを選ぶ際にも,この意見に賛成か反対か,意見に 16 対してどう思うかという意見を要求されるケースが多かった.様々な事に自主的にアプローチをして, 常に自分の意見や立場を念頭に置いて物事にあたる心がけを持つことは語学力不足が補えるだけでな くコミュニケーションも円滑に進む. (2) 事前に必要な調査や準備について 何よりも先に必要な事は研修を受け入れてくれる機関を見つける事である.その際に協定校ではない 大学に受入れを依頼する際は,本プログラムの趣旨と目的,自分の経歴や語学力等を相手先に直接連絡 し,伝え,直接連絡をして受け入れに対する許可を得る必要がある.そのためにまず何よりもしておか なければならない事は,現在の指導教官と海外研修の時期や期間,内容について良く話し合う事である. 私の場合も指導教官の先生から指導や理解をいただけたためにどうにか海外研修へこぎ着けることが できた.今回は,自分の研究テーマに即した研究論文の著者であった Glasgow 大学の先生に対し e-mail で研修の受入れ依頼をした所,その先生に Hull 大学の Stuart 先生を紹介していただくことができ,その 後の e-mail での研修概要等のやりとりを経て Hull 大学に受け入れてもらえる事が決まった.その際に受 入れ先に強調して伝えるべき内容であると感じたことは,研修に必要な費用は自分で工面できるという こと事である.これは見知らぬ学生を受け入れる相手先にとって大切な用件であるためこの点ははっき りと認識してもらう必要がある. また,過去にこのプログラムで海外研修を経験した先輩方から話を聞く事は,自分に必要な準備(VISA の必要性,生活費の工面等)を知る上で有効な手段であった.特に,このプログラムの趣旨と自身が希望 する研修内容とのつながりを明確にし,研修内容を固める事ができた点では非常に役立った.しかしな がら,現地に赴いてはじめて気づくことは事の規模を問わず少なくない.そのため,事前に入念な準備 し先輩方から話を聞く事も重要ではあるが,研修先での住まいや研究環境等は想像と違う事が多いため, 現地で気づく誤解や困難は自ら解決するという覚悟を持つ事も必要な心構えであると思う.さらに,周 知の事ではあるが,受入れ先を探す作業は自分自身で直接連絡を取るため,一般的な英文 E-mail を書く 技術やマナーは事前に知っておく必要がある. (3) 研修先での生活について 私の研修期間の前半は,受入れ先大学の夏期休暇にあたる期間であったため,研修中の住まいであっ た学生寮は正規留学準備のためのサマークラスに参加する中国,タイからの留学生がほとんどであった. 英国人に囲まれて研修がスタートすると私にとっては驚きも大きかったが,反面,お互いが英語圏への 留学に対する緊張感がある境遇であったために共同生活に慣れる事に多くの時間はかからなかった.下 の写真にあるような外観の個人部屋の学生寮で充実した生活を送る事ができたが,食事面では慣れるま でに少し時間を要した.学生寮が中国やタイからのアジア人留学生が大半であった一方で,Hull という 街は英国の中でも都会ではない街のためか,大学を離れるとアジア人を見つける事は難しく,生まれて 初めて日本人でありながら少数派の国籍であるという,日本では感じる事がない感覚を覚えた.その中 で,奇異な目で見られる事もあれば,侮蔑的な言葉を囁かれることも経験した.衝撃の強い経験ではあ ったが,それを遥かに上回る友好的な関係を築く事ができたために今ではそれもひとつの良い経験であ ったと捉える事ができる. 大学の夏期休暇が終わり,学生寮には本来そこで生活をしている学生が戻ってくるため,私は学生寮 から住まいを移す必要があった.その際,受入れ先の先生の顔の広さが幸いし無事に次の住まいに移る 事ができたが,場合によっては数週間や1ヶ月程度の期間では学生寮を管理する事務局から受入れを拒 17 否されるケースもあるため,できる限り事前に研修期間中の住まいだけは確保する事が望ましい.どう しても確保できない場合は B&B やゲストハウスにバックパッカーの様に滞在せざるを得ず,研修に集 中できる環境はとても作り出せない.このような事態を避けるために事前に受入れ先の先生に住まいを 確保する段取りを依頼するべきであるし,それができない場合は受入れ先の研究室の学生の中で空き部 屋のあるシェアルームを提供できる人がいないかという事を確認しておく事も有効である.とくに物価 の高い国へ研修に赴く場合では,住まいにかかる費用が SVBL からの支給される支援金を有効に使える かを大きく左右するため,入念な受入れ先との連絡・確認が必要である. 図 4. Hull 大学学生寮 The Lawns の様子(左),学生寮内の食堂(右) および学生寮の夕食の一例(中央下) (4) その他 自分自身の経験から思う事は,繊維学部で生物系の分野を学ぶ学生にとって協定校というのはひとつ の目安でしかないという点である.研究室の指導教官の理解を得ることのためにも,大学院で専攻して いる分野をこのプログラムでより発展させる事ができる受入れ先を探す必要があるが,その際に協定校 の学部や専門は生物系にとって分野が離れているケースが多く,必ずしも有効な選択ではない.しかし ながら,あきらめる必要は無く,論文等で知った先生に受入れを依頼する事で生物系の専攻で研究をす る学生が研修に赴けるチャンスは大きく広がる様に思う.ぜひ,SVBL や周囲の先生からサポートを受 け,協定校に希望する受入れ先が無くてもあきらめずに行動に移す事をお勧めしたい.私自身は,指導 教官の理解や,SVBL の各先生方の多大な協力を受けこのプログラムで研修ができた.現地で行った研 修のみでなく,事前の受入れ先を見つける準備も含めて他ではできない経験をさせていただいた.この ような素晴らしい機会を与えていただいた事に対し,支援してくださった全ての方々にこの場を借りて 改めて感謝の気持ちを伝えたい. 18 3) 桑まるごと活用塾 活動報告 桑まるごと活用塾 活動報告 阿部春香,國井雅代,西原莉央,山口裕子,北原恵里子,下田みさと Youliduzi Ahemaiti,原口和真,石井裕美子,伊藤隆,佐藤奈美,掛川恵子 坂口玲子,中西弘充,高崎緑,松村嘉之,堀江智明,森脇洋,田口悟朗,小西哉 1. 活動目的 養蚕に用いられている桑は,漢方薬としても重宝され,機能性成分を多く含む.中でもα-グルコシダ ーゼの強い阻害物質として知られる 1-デオキシノジリマイシン(1-DNJ)は糖尿病に効果があることが 知られている.このため,桑の健康食品分野への応用が期待されている.桑を有効利用することは地域 産業の発展につながる.桑には独特の風味があり,お茶などに加工しても独特の匂いが影響して,一般 的には好まれない.そこで,繊維学部附属農場と信州大学生協の協力のもと,信州特産の「桑」の有効 活用に関するアイデアを形にするために,学生参加型の「桑まるごと活用塾」を創設した.初年度は料 理部門を設立し,桑の実や葉を美味しく食べる調理法や,機能性成分を損なわない調理法について検討 し,実際に調理し,試食・分析を行った. 2. 活動内容 意見交換会(2010 年 8 月 6 日,10 月 25 日)に調理レシピの検討を行い,試食会(2010 年 9 月 15 日, 11 月 29 日)に調理と試食を行った.試食後にアンケートを実施し,調理した料理の評価を行った.第 1回目の試食会では,桑葉 3%そば,桑葉 7%そば,桑生葉パスタ,桑乾燥葉パスタ,桑の実パスタ,桑 の葉のてんぷらを調理した.第2回試食会では,桑葉かりんとう,桑の実かりんとう,桑葉クッキー, 桑の実クッキー,桑の葉フリッター,桑の実グミ,ハーブティーを調理した.試食会の様子と作った料 理の例を図1に示す. (a) (b) 図1. 試食会で作った料理.活動の様子(a)と桑スイーツ(b) 調理後の食品に含まれる 1-DNJ の成分分析を行うために,一部の料理の調理前と調理後のサンプルを 凍結乾燥後に乳鉢で粉砕し,70%メタノールを加えて 10 分間の超音波処理を行い,3 日間室温で放置し た.0.45μm のフィルターでろ過後,高速液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS)で 1-DNJ の濃度 を測定した. 19 3. 結果および成果 試食後にアンケートを取り,5段階で評価した時の各項目の平均点を図2に示す.第 1 回試食会では 調理した桑葉3%そばと桑の葉てんぷらが好評だった.これらをセットにするレシピが有効であると考 えられた.また,桑葉7%そばや生葉パスタの評価が低かったのは,桑独特の風味が強すぎるためと考 えられた.第2回試食会で調理したスイーツの評価は全体的に高かった.甘い味付けが桑の独特の風味 を消したものと考えられる. 5.00 味 風味 食感 見た目 4.00 3.00 桑の実グミ 桑の葉フリッター 桑実クッキー 桑葉クッキー 桑実かりんとう 桑葉かりんとう 桑の葉てんぷら 桑の実パスタ 桑乾燥葉パスタ 桑生葉パスタ 桑葉7%そば 桑葉3%そば 2.00 図2. 5 段階評価における各項目のアンケートの結果 非常によい:5点,良い:4点,普通:3点,悪い:2点,非常に悪い:1点 見た目の項目は第2回試食会から追加した. 茹でる及び揚げる調理法が,1-DNJ の損失に影響があるのかを知るため,1-DNJ 含量の測定を行った. また,より正確な値を得るために,桑葉うどんと凍結保存した桑葉の素揚げについても調査した.結果 を表1に示す.そばのルチンの様に,1-DNJ も茹で汁に溶け出すことが考えられたが,短時間での調理 においては 75%以上の回収率を示した.また,揚げる調理法においても約 70%以上残存することから, どちらも 1-DNJ を摂取するには有効な調理法であると考えられた. 表 1. 各料理の 1-DNJ 含量 1-DNJ 含量 (mg/g 乾燥重量) 料理名 調理前 調理後 対調理前比率(%) 桑葉 3%そば 0.149 0.146 97.9 桑葉 7%そば 0.248 0.219 88.2 桑葉うどん 0.086 0.064 75.3 桑葉かりんとう 0.141 0.118 83.6 桑実かりんとう 0.045 0.032 70.8 桑葉てんぷら 2.312 (0.366*) (15.8) 桑葉素揚げ 0.845 0.587 69.4 *サンプル調製の際,衣を取り除かなかったため参考値とした. 4. 今後の展開 桑葉の緑色や桑実の紫色をきれいに出すことが桑食品の特徴を生かすことにつながる.茹でるおよび 揚げる調理法が 1-DNJ を摂取するのに有効であることから,今後は味と見た目を改善し,製品化を目指 す. 20 6. 研究者の招聘 信州大学繊維学部国際ファイバーネットワーク交流協定機関のウィーン天然資源大学 Thomas Rosenau 教授,東京海洋大学 榎牧子助教,物質・材料研究機構 榊原圭太博士研究員の 3 名を招聘し, セルロースを中心とした再生可能資源を利用した研究に関する Mini-Symposium を開催した. SVBL Mini-Symposium 2010 テーマ Utilization of Cellulose as Renewable Resources 趣旨 セルロースを中心とする再生可能資源を利用する技術に関するご講演を頂き,情報交換・ ディスカッションを活発に行うことにより,各研究機関間の研究連携の可能性を探る. 日時 2010 年 10 月 18 日(月) 場所 信州大学繊維学部 30 番講義室 講演者 Thomas Rosenau 氏 ウィーン天然資源大学 教授 榎 牧子 氏 14:00~17:30 東京海洋大学 助教 榊原圭太 氏 物質・材料研究機構 博士研究員 水野正浩 氏 信州大学工学部 助教 荒木 潤 氏 信州大学ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点 助教 高崎 緑 信州大学 SVBL 助教 主催 信州大学サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー 共催 信州大学繊維学部、信州大学地域共同研究センター、グローバル COE プログラム「国際 ファイバー工学教育研究拠点」 参加者 プログラム 司会 高崎 信州大学教職員・学生、一般 49 名 緑(信州大学 SVBL 助教) 14:00 開会の辞 ご挨拶 14:10 特別招待講演 小西 哉(信州大学 SVBL 長) 「Aging and Yellowing of Cellulosic Materials - A View at The Molecular Level」 Thomas Rosenau 氏(ウィーン天然資源大学 教授) The CRI method recently developed in the BOKU lab Vienna is the first generally applicable procedure for the isolation and identification of residual chromophores from cellulosic material. These chromophores are present in the ppm to ppb range only. Highly stabilized hydroxy-[1,4]benzoquinones, hydroxy-[5,8]naphthoquinones, and 2-hydroxyacetophenones are the key compound classes found both as the remaining chromophores in highly bleached pulps (residual yellowing) and as the re-condensated chromophores formed upon aging and brightness reversion. It was demonstrated that aging and chromophore formation in celluloses is directly dependent on the content of carbonyl groups (“CO effect”). Carboxyl groups, by contrast, are not chromogenic on their own, but they exert a strong promotive effect if carbonyl structures are present (“COOH effect”). The complete pathway from a single keto group in an oxidized anhydroglucose unit to the final hydroxy-[1,4]benzoquinone chromophore was elaborated by means of isotopic labeling combined with NMR and X-ray structures. The mechanisms were correlated both with bleaching results and computational studies. 21 15:00 招待講演 「Development of Algal Flocculant for Water Treatment and The Effect of Their Sugar Components on The Flocculation Behavior」 榎 牧子 氏(東京海洋大学 助教) Alginic acid, major component of most brown algae, has been used as a flocculant and others because of its gelation function. In our study, brown alga itself was found to reveal flocculation function by simple treatment: washing with dilute hydrochloric acid and mixing with alkaline solution. The optimum condition of algal-flocculant preparation varies with the genera and/or order of material algae. For example, Laminaria shouldn’t be washed to keep the mannitol, and probably because of their tough tissue, Sargassum needs pretreatment with acidic solution to enhance the elution of alginic acid from inside of their tissue at alkaline treatment step. The best flocculation ability and behavior also vary with the material algae. The reason of this seems to depend on their sugar component, supported by the fact that all of the algal flocculants used in our study showed better ability than those of authentic alginic acid. 「Cellulose-Based Photo- and Electro-active Nanostructured Materials」 榊原圭太 氏(物質・材料研究機構 博士研究員) Advances in both nanomaterial science and cellulose chemistry have triggered new interest in cellulose derivatives with special properties, such as conductivity, semiconductivity, switchability, or photoelectroactivity. It is the aim of these approaches to construct electrical devices that combine the properties of electrical circuitry components with the advances of cellulose derivatives, such as film-forming properties, high chemical and physical resistance and solubility. Novel (semi)conducting and (photo)electrically active cellulose derivatives have been synthesized and their structure-property relationships established. Pyrrole and thiophene derivatives chemically linked to cellulose were used to convey (semi)conductivity after polymerization, while alkyl lipophilic substituents at the cellulose backbone are employed to maintain solubility and processability. Structure of the polymerization precursors and conditions of the polymerization of the heterocyclic moieties are crucial for determining the product properties. Synthesis and applications as well as properties of relevant model compounds and cellulose derivatives will be presented and discussed. 16:15 一般講演 「A Novel Cellulose Producing Bacterium, Asaia Bogorensis」 水野正浩 氏(信州大学工学部 助教) The properties of bacterial cellulose (BC) are quiet unique compared to that of plant cellulose, especially in ultra fine network of architecture, high hydrophilicity, and moldability during cellulose ribbon formation. We found that one of acetic acid bacteria, A. bogorensis produced BC and the width of cellulose ribbon was narrower than that of Gluconacetobacter xylinus which is a well-studied bacterium as BC-producing organism. However the production level of BC by A. bogorensis was lower than G. xylinus and the crystallinity of cellulose was also lower. Although many bacteria having the ability of cellulose production were reported by gene analyses to date, many of them can only produce a tiny amount of cellulose. The production level of BC in A. bogorensis is middle between G. xylinus and other bacteria like Escherichia coli and Salmonella typhimurium. Thus, it is thought that A. bogorensis is a suitable organism to study the cellulose-biosynthesis. To reveal the mechanism of BC synthesis and the cause of structural difference in cellulose fiver, we have carried out the study using morphological analyses by microscopy and gene analysis of cellulose-biosynthesis related genes. 「Utilization of Rod-like Nanowhiskers of Natural Crystalline Polysaccharides for Construction of Nanocomposite Materials」 荒木 潤 氏 (信州大学ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点 助教) Cellulose and chitin, the two major natural crystalline polysaccharides, are present in natural resources as crystalline microfibrils with widths of 2–20 nm and lengths of up to several microns. After treatments of these polysaccharides by acid hydrolysis or mild oxidation, these microfibrils are released in forms of short rod-like micorcrystals or “nanowhiskers” to yield stable colloidal suspensions. These nanowhiskers are single crystals, in which the polysaccharide chains are highly oriented along with their long axis, and they are also high-strength nanofibers with Young’s modulus of ~150 GPa and mechanical strength of several GPa. Interests in several recent investigations have focused on the utilization of these nanowhiskers as filler components of nannocomposite 22 materials, i.e. composite materials composed of fillers with nanometer dimensional orders. In this presentation, several our results for preparations of nanocomposite materials using the nanowhiskers of cellulose and chitin are presented, as well as the steric stabilization of these nanowhiskers to use them in non-aqueous matrices. 「Feasibility of Paper Yarn and Bioethanol Production from Mulberry Cellulose」 高崎 緑 (信州大学 SVBL 助教) Mulberry which has a diverse collection of species including about 500 kinds of mulberry in Shinshu University has been cultivated for feeding silkworms in the production of silk fiber. Mulberry has comparatively high productivity and is easy to cultivate in the field. In addition, leaves and wood of mulberry are rich in alkaloid components including 1-deoxynojirimycin (1-DNJ) which is known as one of α-glycosidase inhibitors which act on preventing the glucose absorption in the small intestine. 1-DNJ is used as a dietary supplement for preventing diabetes because blood sugar level is decreased. Therefore, mulberry represents a potentially useful biomass resource. Our organization (SVBL) is promoting project studies on utilization of regional biomass focus on mulberry. For utilization of mulberry, we have been developed extraction method of 1-DNJ from mulberry and production method of paper yarn, biofuel, and etc.. This presentation will introduce our feasibility study on production of paper yarn and bioethanol using mulberry cellulose. 17:15 閉会の辞 ご挨拶 濱田 州博(信州大学繊維学部 学部長) シンポジウムの様子 懇親会の様子 23 Ⅱ. ベンチャー創出支援事業 1. ベンチャー起業支援 本 SVBL は本学学生のベンチャー起業の支援事業として,ベンチャー起業を指向する下記学生団体に 対する助言,及び必要に応じて専門家の紹介などの支援を行った. 団体リスト 団体名 有限会社 HighHope <事業内容> ホームページ作成,アンケート 調査,WEB アプリケーション作 成,ポスター・パンフレットのデ ザイン モック <活動内容> 学生版 EMS (Electronics Manufacturing Service) ArkOak <活動内容> 大学向けソフトウェア開発 ソーラーサイクル <活動内容> 太陽電池の有効活用 氏名 所属 田沢省吾(代表取締 繊維学部創造工学系先進繊維工学課程 2 年 役) 小原大暉(取締役) 繊維学部創造工学系先進繊維工学課程 2 年 山崎一也 工学系研究科繊維システム工学専攻修士 2 年 加藤久登 工学系研究科精密素材工学専攻修士 2 年 村松秀俊 工学系研究科機能機械学専攻修士 1 年 伊藤充則 繊維学部精密素材工学科 4 年 小野健太 繊維学部化学材料系機能高分子学課程 2 年 篠原規将(リーダー) 工学系研究科機能機械学専攻修士 1 年 笹木 竜也 繊維学部機能機械学科 4 年 名古 宏平 繊維学部機能機械学科 4 年 中根悠仁 創造工学系機能機械学課程 3 年 菊地哲平 創造工学系機能機械学課程 3 年 相馬真也 創造工学系機能機械学課程 3 年 渡辺貴広 創造工学系機能機械学課程 2 年 加納 繊維学部機能機械学科 4 年 林 徹(代表) 謙多 繊維学部機能機械学科 4 年 新井康允 繊維学部機能機械学科 4 年 関根健二 創造工学系機能機械学課程 3 年 浜 秀典 創造工学系機能機械学課程 3 年 青島貴弘 創造工学系機能機械学課程 2 年 鈴木浩太 創造工学系機能機械学課程 2 年 西沢克弥(代表) 繊維学部精密素材工学科 4 年 相澤秀幸 繊維学部応用生物学系生物資源・環境科学課 程3年 25 22 年度 1. 事業内容 有限会社 HighHope 事業報告書 HighHope 代表取締役社長 創造工学系先進繊維工学課程 2 年 田沢省吾 取締役 創造工学系先進繊維工学課程 2 年 小原大暉 工学系研究科繊維システム工学専攻修士 2 年 山崎一也 工学系研究科精密素材工学専攻修士 2 年 加藤久登 機能機械学専攻修士 1 年 村松秀俊 精密素材工学科 4 年 伊藤充則 化学・材料系機能高分子学課程 2 年 小野健太 有限会社 HighHope 事業活動 ブログベースホームページ制作・保守事業 通信販売サイトの販売促進事業 ウェブアプリケーション作成事業 2. 事業報告 ・ブログベースホームページ制作・保守事業 ホームページ保守費 7 ヶ月分 36,750 円 研究室ホームページ作成費 108,675 円 ホームページ保守費 210,000 円 ・ウェブアプリケーション作成事業 アンケート企画・システム作成・チラシ作製・集計 420,000 円 90,000 円 アンケートシステム作成 ・通信販売サイトの販売促進事業 10 か月分の売上の 15 パーセント 87,128 円 952,553 円 合計 3. 来期 ・ホームページ作成事業 事業計画 ブログベースホームページ制作・保守事業 【ホームページ作成実績】 信州大学繊維学部応用生物学系バイオエンジニアリング課程 森山徹研究室 http://bs.shinshu-u.ac.jp/moriyama/index.html 今期は大学の研究室の教授からのホームページ作成を受注いたしました. この受注実績を生かし,今後は民間企業・大学の研究室にブログベースホームページの提案を考えてお ります. 【今までのホームページ作成実績】 ものづくり教育推進検討委員会 http://www.uedamonozukuri.jp/ 株式会社 ナノ炭素研究所 http://nano-carbon.jp/ 26 通信販売サイト販売促進事業の詳細 【事業内容】 株式会社テクロスサーバント 代表取締役 宮原政廣様が運営する「ハピチャン SHOP」の ホームページ運営委託(ページ作成),メールマガジンの発行,およびプレゼント企画 ハピチャンSHOP http://www.rakuten.co.jp/hapi-shop/ 【経過】 2009/01/03~ 毎月のメールマガジン発行 07/30 フルーツトマト発売を企画したがテクロスサーバントの都合により販売中止 11/30 ハピチャンショップ販売促進事業を終了 ウェブアプリケーション事業の詳細 【事業内容】 インターネットを用いた携帯電話向けのアンケートシステムを導入し,観光客や一般市民のニーズを調 査 【経過】 2009/12/16 アンケートの目的について説明 打ち合わせ 2010/05/01 アンケート内容制作開始 06/01 システム制作開始 09/03 打ち合わせ 09/13 アンケート集計開始 09/27 アンケート集計終了 10/01 アンケート集計結果報告 【集計結果】 県内外から 335 名のアンケート結果を集計 【所感】 入社して約 10 カ月が経過し,企業の方と打ち合わせ,文書作成,企画,交渉など今までにない経験を することができました.また,仕事の確保,拡大,継続の難しさを日々痛感しています.今後引き継ぎ もありメンバーが大幅に変わりますが,今後もメンバーと協力し合いながらより良い成果を上げられる ように努力していきたいと考えております.(田沢) 【報告】 平成 23 年 1 月 19 日に現在の代表取締役山崎一也,取締役加藤久登が辞任して,代表取締役に田沢省 吾,取締役に小原大暉が就任しました. 【謝辞】 本事業の遂行においてご指導,ご協力を頂いた出資者の皆様,SVBL 関係者の皆様,AREC 関係者の皆 様に感謝の意を表します. 27 28 モック 工学系研究科機能機械学専攻修士課程 1 年 篠原規将 機能機械学科 4 年 笹木竜也,名古宏平 創造工学系機能機械学課程 3 年 中根悠仁,渡辺貴広 1. 活動内容 電子回路設計開発 マイコン(PIC)向けプログラム開発 FPGA 向け IP コア開発 プリント基板設計 2. 活動報告 小学生向け LED フラッシャキットの設計開発 ・ LED フラッシャキットの回路設計 ・ LED フラッシャキットプログラム開発 ・ LED フラッシャキット販売 FPGA 技術の強化 ・ キャラクタディスプレイむけ IP コアの開発 ・ ソフトウェア CPU コア使用技術の習得 LED フラッシャ及び回路図 ・ FPGA 実験ボード回路及び回路設計 PIC マイコン利用技術の強化 ・ キャラクタディスプレイへの文字表示技術の習得 ・ ADC の使い方技術の習得 ・ 8 ピン PIC 利用技術の習得 3. 来期活動計画 画像処理専用 FPGA 用実験ボードの設計開発 FPGA 向け IP コアの開発及び販売方法についての検討 ARM プロセッサによる組込み機器開発,組込み OS の開発 4. 今後の課題 ハードウェア開発の縮小とソフトウェア開発の拡大,在庫部品の消費,技術不足の解消 5. 所感 現状 LED を用いた製品開発がメインになり実際の企業との仕事の受注および開発が行なわれず, 本来のビジネスモデルである EMS 事業から離れている感じがした.そのため本来の事業内容である EMS 事業を行なうために技術の強化に重心をおき,同時にソフトウェアベースの開発を強化してい かなければならない.ソフトウェア技術向上とハードウェア技術向上により今後の開発案件受注に 向け展開を行っていきたい. 29 ArkOak. 機能機械学科 4 年 加納徹,新井康允 創造工学系機能機械学課程 3 年 関根健二,浜秀典 創造工学系機能機械学課程 2 年 青島貴弘,鈴木浩太 1. 活動内容 「ArkOak」では,大学という機関に向けて教育・研究支援ソフトウェアの開発や,開発の請負を行 います.大学の先生や学生が,専門的な現象を表す数式を可視化するソフトウェアや,研究データ をまとめて一連の処理を自動で施すちょっとしたソフトウェアを望んでも,市場に出ているのは汎 用の高価なソフトウェアばかりです.「ArkOak」は大学と密接な立場をいう利点を活かしながら, そういったソフトウェアを低価格で開発し,大学の悩みを解決していきます. 2. 活動報告 これまでに, 「機構シミュレータ」「正弦波シミュレータ」の 2 つの開発を行いました.「機構シ ミュレータ」が様々な機構を直感的に動かせるソフトウェアで,「正弦波シミュレータ」は波の合 成や反射を直感的に理解できるソフトウェアとなっています. 図 1 機構シミュレータ 図 2 正弦波シミュレータ いずれのソフトウェアも実際に授業で使用して頂き,好評を頂いております. 「機構シミュレータ」 はアンケート調査を見返りに無償で, 「正弦波シミュレータ」はお試し価格ということで 2000 円で 販売しました. 3. 来期活動計画 開発したソフトウェアを,大学や一般ユーザに販売する流れを創っていきます.ソフトウェア開 発を行える人材が増えてきたら,もう少し規模の大きいソフトウェアの請負も行っていく予定です. 4. 今後の課題 仕事の依頼をスムーズに受け入れることができる,開発力・経営力が不足しているのが現状です. 社員をソフトウェアの開発ができるようになるよう,教育するノウハウの作成や,経営スキルのあ る人材の育成が課題です. 5. 所感 これまでに学内,学外を問わずの多くの方からソフトウェア開発の相談があり,大学向けソフト ウェアの需要の高さと,市場の狭さを実感しました.今後この分野での,新しいプラットフォーム 開拓の可能性を感じております. 30 ソーラーサイクル 精密素材工学科 4 年 西沢克弥 応用生物学系生物資源・環境科学課程 3 年 相澤秀幸 1. 活動内容 太陽電池の特徴を生かした商品の開発とシリコンを用いた太陽電池のリサイクル法の調査. 2. 活動報告 ・シリコンを用いた太陽電池のリサイクル シリコン基板を太陽電池から取り出してリサイクルするためには,熱可塑性樹脂(EVA 樹脂)でできた 封止材の除去が必要となる.封止材の除去には高温で封止材を燃焼させて取り除く方法,有機溶媒に封 止材を浸漬して膨潤させ,樹脂を軟化させて取り除く方法が研究されている.しかし高温で燃焼させる 場合はシリコン基板への悪影響があり,有機溶剤は環境への影響を与えないようにするため取り扱いが 難しくなりコストが高くなる.そこで私たちはシリコン基板に影響を与えない温度で,有機溶剤を用い ず,機械的な方法でシリコン基板を取り出すことを目的として調査を行った. 封止材は熱可塑性樹脂でできているため,ドライヤーを用いて加熱し熱によって樹脂を軟化させて取 り除くことを試みた.しかしドライヤーの熱では軟化しにくく,除去することは困難であった.今後の 方針としては,ドライヤーでなくマイクロ波加熱などで加熱する方法やレーザーを用いて封止材を焼き 切る方法を検討している. ・太陽電池の特長を生かした商品の開発 低コスト化が期待されている有機太陽電池の登場を踏まえて,燃料が 要らず保守が容易で日光さえあれば発電できるという太陽電池の特色 を生かした商品を調査・開発し,生活に役立つものを提案する. 今年度は太陽電池を用いた人体感知センサの開発に向け,焦電型赤外 線センサーキットによる動作機構の学習をすると共に,センサ作製に要 したコストを調査した. 3. 来期活動計画 リサイクルよりも商品開発に専念し,来期中にセンサを用いた機器 で人体や動物を検出する.さらに太陽電池と二次電池でセンサを稼動 させ,太陽電池を用いた人体感知センサ,動物感知センサを完成させ 図 1 調査に用いた 焦電型赤外線センサーキット (秋月電子通商製) る. 4. 今後の課題 定期的に活動することができていなかったので,活動する曜日を決めて活動しないことがないように したい. 5. 所感 今後は化学材料系,創造工学系,応用生物学系を問わず,より多くの参加者を募っていきたい. 31 Ⅲ. 研究活動 1. プロジェクト研究 研究テーマ 研究者 桑繊維による抄紙と紙糸への応用 高崎 緑 信州大学 SVBL 助教 桑遺伝資源を用いたバイオマス有効活用に関する研究 中西弘充 信州大学 SVBL PD 研究員 33 桑繊維による抄紙と紙糸への応用 信州大学 SVBL 高崎 緑,信州大学繊維学部 小倉理恵,山崎桃佳,信州大学 SVBL 中西弘充 信州大学繊維学部 森川英明,茅野誠司,信州大学 SVBL 小西 哉 1. 研究目的 桑は養蚕業に用いられ,繊維産業を支えてきた資源の1つである.桑は,一般的な樹木の中では比較 的成長速度が速く高生産性であり,田畑での栽培が容易なことから,バイオマスとして比較的に安定供 給が見込める樹木である.したがって,遊休農地や中山間地で桑を栽培することでバイオマスとしての 有効利用が期待できる.ちなみに,信州大学では約 500 種の桑を保有している. 一方,紙を撚糸することで紙糸にする技術は日本古来の伝統技術であり,紙糸は軽量・吸水性などに 優れる特長を有する.主にはマニラ麻を原料とした紙糸に関する研究が報告されている[1].原料にマニ ラ麻を用いる利点としては,安価・供給が安定していることが挙げられる一方で,マニラ麻による紙糸 は靭性が低いため用途が限られるという課題がある. 本研究では,桑繊維およびマニラ麻を原料として抄紙法により紙を作製後,得られた紙を切断・撚る ことで紙糸を作製し,桑繊維の紙糸への応用の可能性を検討した. 2. 実験 試料 山伝製紙(株)提供の桑とマニラ麻混合紙を試料とした.桑の品種は一の瀬であり,信州大学繊維学部 附属農場で栽培されたものである.試料の桑/マニラ麻混合比率,厚さ,坪量を表1に示す. 紙糸の作製 試料を 2 mm 幅に長手方向にスリットし, 検撚機によって撚り数 Z1000t/m で撚ること で紙糸を作製した. Table 1 Thickness and weight of mulberry/Manila hemp paper. Mulberry 分子配向測定 weight ratio (%) マイクロ波分子配向計によって,試料の分 子配向度を測定した.各試料について 10 回 測定して平均値を算出した. Thickness(μm) Paper weight 2 (g/m ) 100 50 30 10 245 205 205 160 37.5 50.9 46.6 61.5 試料を 1 回転したときの空洞共振器全体 を透過したマイクロ波強度の変化の長軸と短軸の比が分子配向度 MOR として定義される.MOR は試 料の厚さに依存するため,(1)式を用いて厚さを補正した分子配向度 MOR_c を算出した.tc は基準厚さ であり,200μm とした. MOR _ c = t c ( MOR − 1) +1 t (1) 引張試験 引張試験機を用い,各紙糸試料について引張試験を行い,破断強度,破断伸度,ヤング率を求めた. 初期長 20 mm,引張速度 20 mm/min,測定回数 9 回とした. 34 3. 結果および成果 各紙試料の分子配向度と配向角を桑比率に対してプロットした結果を図 1 に示す.桑比率 30%の試料 の配向度が最も高いことがわかる.配向角はスリット方向である 0°に桑比率 30%が近い値を示す一方 で,桑比率 100%試料は配向角の絶対値が最も大きくなった.この結果は,桑比率 30%ではスリット方 向の分子配向が比較的高いのに対し,桑比率 100%ではスリット方向の分子配向が低いことを意味する. 各紙糸試料の力学物性の結果を図 2 に示す.強度・ヤング率は,桑 30%が最も高く,桑 100%が最も 低くなった.また伸度は,桑 30%が最も低く,桑 100%が最も高い結果となった.これらの結果は,分 子配向度の結果に対応する.引張方向は,撚糸方向すなわちスリット方向となる.したがって,桑 30% 試料において,スリット方向に高い分子配向性を示したことから,高い高強度・弾性率,低伸度となっ たと考える. 110 1.9 (a) 1.7 Angle i(degree) 1.6 MOR-c (b) 100 90 80 1.8 1.5 1.4 1.3 70 60 50 40 30 20 10 0 -10 -20 -30 1.2 1.1 -40 0 20 40 60 80 100 0 20 Mulberry weight ratio (wt%) 40 60 80 100 Mulberry weight ratio (wt%) Fig. 1 Effect of mulberry weight ratio on the molecular orientation (a) and the orientation angle (b). (a) 0.32 (c) (b) 60 1.6 55 0.28 0.20 0.16 0.12 0.08 45 1.2 Elongation (%) Young's modulus (N/tex) 0.24 Strength (N/tex) 50 1.4 1.0 0.8 40 35 30 25 20 15 0.6 10 0.04 5 0.4 0 0.00 0 20 40 60 Mulberry weight ratio (wt%) 80 100 0 20 40 60 80 100 0 20 Mulberry weight ratio (wt%) 40 60 Mulberr weight ratio (%) Fig. 2 Strength (a), Young’s modulus (b), and elongation (c) of the paper 1) 参考文献 [1] H.Murate, F. Terasaki, M. Shigematsu, and M. Tanahashi, Sen’i Gakkaishi, 64, 74-78 (2008). 35 80 100 桑遺伝資源を用いたバイオマス有効活用に関する研究 ~バイオエタノールの生産と 1-DNJ 高含有品種の探索~ 信州大学 SVBL PD 研究員(繊維学部) 中西弘充 1. 研究目的 成長が速い桑は,栽培が容易で生産性が高く,養蚕を支えてきた重要な植物である.しかし,養蚕業 が衰退した現在では,十分な栽培管理が行き届かず,桑が多く栽培されてきた中山間地の荒廃化が進ん でいる.桑には多くの機能性成分が含まれており,桑のバイオマスとしての付加価値を上げることが, 中山間地における新しい産業の活性化につながると期待できる. 生産性の高い桑は 1 年で枝が十分に成長し,他の樹木と比べて酵素分解が容易に行えることから,バ イオエタノールの原料として優れている.桑バイオマスの有効利用を図るため,バイオエタノール生産 量を 50mL から 1L にスケールアップした.さらに,高濃度のエタノールを得るため,蒸留による濃縮 を行った. また,桑に含まれる機能性成分の活用にも注目した.1-デオキシノジリマシイン(1-DNJ)はグルコース と良く似た構造をしている(Fig.1).ヒトが 1-DNJ を摂取すると小腸でのαグルコシダーゼ活性が阻害さ れ,急激な血糖値の上昇が抑制されることから糖尿病の改善物質としての効果が期待されている.しか し,一般的に栽培されている桑品種の 1-DNJ 含量は少なく, 日常的に摂取できる量を確保するのは困難である.そこで, 信州大学附属農場が保有する 500 品種以上の遺伝資源から 1-DNJ 含量が高い品種の探索を行った.さらに,倍数性品種 の育種で用いられた系統間を比較することで,1-DNJ 含有量 を制御する遺伝背景の探索を行った. (a) (b) Fig.1 Chemical structure of 1-DNJ (a) and D-glucose (b). 2. 実験 バイオエタノール生産は酵素糖化と発酵を同時に行い,発酵溶液のスケールアップに伴う糖化・発酵 条件の適性を調査した.さらに生成したバイオエタノールを蒸留により濃縮し,高濃度のバイオエタノ ールの精製と回収率について検討した. 1-DNJ 高含有品種の探索は,信州大学繊維学部附属農場が保有する桑のうち,17 品種の既存栽培品種 と,18 種類の倍数性品種を対象とした.既存栽培品種はヤマグワ系およびカラヤマグワ系から選択し, 倍数性品種は系統関係が明確なものを選択した. 3. 結果および成果 ラボレベルの実験では桑バイオマスがエタノール生産に適していることが分かったが,産業レベルで の生産に適しているかは不明である.そこで,大規模生産に適しているかを知るために,発酵溶液のス ケールアップを行った.発酵溶液に対する原料の割合が少ないと大きな発酵タンクが必要になることか ら,十分に浸漬する原料の割合を調べたところ,発酵溶液に対して最大約 20%であることが分かった. しかし,原料の割合が多いと十分な撹拌が行えず,酵素糖化・発酵を完全に行うためには反応時間を長 く取る必要があった.糖化時間を短縮するために酵素量を増やすと生産コストが増加することから,酵 素濃度と撹拌方法の検討を行う必要が考えられた. 次に,得られたバイオエタノールを蒸留してその回収率を求めたところ,約 50%であることが分かっ 36 た.これは蒸留開始のエタノール濃度が低いことと,発酵試料の残渣に含まれるエタノールの回収が不 十分であることが考えられた.熱水処理をしていない桑では 20%の原料から 2%のエタノール溶液しか 得られず,高濃度のエタノール発酵ができないことから,燃料用のバイオエタノール濃縮には蒸留装置 の開発が必要と考えられた.もしくは,桑に含まれている機能性成分を有効活用することを合わせて考 えると,燃料用エタノールでなく,飲料用のエタノール生産が適していると考えられた. 1-DNJを高含有する品種の探索では,信州大学繊維学部附属農場が保有する桑のうち,35品種の栽培 品種を選択し,1-DNJ量を測定した(Fig.2).その結果,一般的に栽培されている一ノ瀬と比べて5倍以上 1-DNJ含有量が高い品種を見出した.また,倍数性品種の育成過程と1-DNJ含有量の相関関係を調べたと ころ,1-DNJ含有量を制御する遺伝関係が推測された(Fig.3).一ノ瀬に由来する倍数性品種では,親系 統と比べて1-DNJ含量が増加する傾向があることから,一ノ瀬には1-DNJ含量を正に制御する遺伝背景が 含まれることが示唆された.一方,柄無桑に由来する倍数性品種では,親系統と比べて1-DNJ含量が減 少する傾向があることから,柄無桑には1-DNJ含量を負に制御する遺伝背景が含まれることが示唆され た.今後この情報を利用することで,1-DNJ高含有品種の育種が期待できる. Fig.2 1-DNJ amount of various genetic resources of mulberry. The data present the mean ± SD (n=3). Fig.3 Genetic relationship of ploidy cultivars. The cultivar names are indicated in ellipses. 1-DNJ amounts are indicated under the ellipses as mg/g dry leaves. Tetraploid cultivar of Textile No. 416 and No. 404 were induced by colchicine treatment from Ichinose and Enashiguwa, respectively. Gray arrows indicate positive regulation of 1-DNJ amount and black arrows indicate negative regulation of 1-DNJ amount. 4. 主要文献 Nakanishi, H., Okimi, S., Watanabe, M., Takasaki, M., and Konishi, H. ‘Study on the biomass utilization from various genetic resources of mulberry.’ Proceedings of the 7th China International Silk Conference, 69-72, (2010). 37 2. 重点研究 研究テーマ 研究者 指導教員 レーザーエレクトロスピニングによる極細繊維 高崎 緑 の開発 信州大学 SVBL 助教 里山のため池に生息する絶滅危惧種の保全技術 小西 繭 高田啓介 の開発 信州大学 SVBL PD 研究員 信州大学理学部 二相系格子ボルツマン法を用いた粘弾性皮膜固体 村山寿郎 吉野正人 を含む流れの数値解析 信州大学 SVBL DC 研究員 信州大学工学部 低レイノルズ数チャンネル乱流の大規模構造につ 関 大輔 平田哲夫 いて 信州大学 SVBL DC 研究員 信州大学工学部 38 レーザーエレクトロスピニングによる極細繊維の開発 信州大学 SVBL 高崎 緑 信州大学繊維学部 1. 符 浩,仲田一尋,大越 豊,平井利博 研究目的 極細繊維は,直径約 10 μm 以下の繊維と定義され,比表面積が大きく柔軟性があり,フィルター,ワ イピングクロスなどに応用されている.現在,極細繊維を容易に作製できるエレクトロスピニング法が 注目されている.エレクトロスピニング法は,通常溶媒を利用するためコスト・環境に高負荷がかかる 問題が懸念されている.一方,溶媒を不要とする溶融型のエレクトロスピニングに関する研究も試みら れている.この溶融型エレクトロスピニングは,加熱によって高分子を軟化あるいは溶融し,静電力に より引き伸ばして繊維を作製する方法であるが,熱分解を起こしやすい点が難点である.そこで,われ われは加熱源としてレーザー光照射を利用した溶融型エレクトロスピニング(レーザーエレクトロスピ ニング;LES)法を開発した. 本 研 究 で は , poly(ethylene terephthalate) (PET) , Nylon 6 , polypropylene (PP) , poly (L-lactide-co-ε-caprolactone) (P(LLA/CL))および poly(L-lactide) (PLLA)を原料繊維に用い,LES 法による極 細繊維の作製を行い,各種紡糸条件の影響について検討した. 2. 実験 LES 装置の概略図を図 1 に示す.ノズル部で高電圧を 印加した状態で試料を一定速度でノズルから押し出した 後,ノズル部先端で炭酸ガスレーザーを照射し,対極の 捕集板で繊維を採取した.また,LES の挙動を CCD カメ ラで観測した.さらに,得られた繊維について走査型電 子顕微鏡(SEM)によって観察し,直径を測定した. 3. 結果および成果 LES 法によって,いずれのポリマーも原料繊維から, さらに細い繊維を作製することができた.PP を除いて 直径 10 μm 以下の極細繊維の作製に成功し,特に Nylon Fig. 1 Schematic diagram of laser electrospinning system. 6 および P(LLA/CL)は,平均直径 1 μm, 変動係数 (CV)20%以下の比較的均一な極細繊維が得られた. PLLA の印加電圧依存性をみると,印加電圧の増加に伴い直径が増加することがわかった.また,レ ーザー照射位置近傍で CCD カメラによって撮影した PLLA 繊維の細化挙動から,印加電圧が増大する につれて延伸点が上流側にシフトした.これらの結果は,印加電圧が高いほど引き伸ばす力が大きくな り,レーザーエネルギー量が低い領域で細化が始まることを示す.したがって,印加電圧が高いほどよ り低温,すなわち溶融粘度が低い状態で引き伸ばされやすくなると推測できる. 39 里山のため池に生息する絶滅危惧種の保全技術の開発 信州大学 SVBL PD 研究員(理学部) 小西 繭 1. 研究目的 里山は,農業の場だけでなく,環境教育・文化伝承の場,生物多様性の保存など多角的機能を提供ス るしている.定期的な管理を必要とする里山環境は近年の過疎化に伴い急速に荒廃しており,生物多様 性国家戦略(環境省)では全国的な環境問題として取り上げている.また,里山の生物多様性の保全に おいては,科学的知見に基づいた適切な管理対策の立案に加え,市民および行政機関の理解と協力が不 可欠であり,社会的合意に配慮した環境保全措置の開発が研究者の役割となる.本研究では,長野市の ため池に生息する小型淡水魚シナイモツゴを指標として,里山の生物多様性の保全技術の開発を試みる ことを目的とした. 2. 調査および実験 シナイモツゴは絶滅危惧種 IA 類(環境省)および長 野県希少動植物保護条例の対象種に指定されている.こ れまでに (1)アンケート調査による里山保全の貨幣価 値と里山の荒廃の評価,(2)ため池群の有する多様性保 存機能の調査, (3)国内外来種モツゴ(シナイモツゴの 減少要因の一つ)の駆除策の検討と分子マーカーを用い た侵入経路の追跡を実施した. 本年度は,まずシナイモツゴの生息する豊かな里山を 活用した環境教育を目的として,信州大学の学生および 教職員を対象とした里山見学ツアー(ISO 環境教育研究 部会(繊維学部)主催,SVBL 後援),および,調査地に ある小学校の児童を対象としたシナイモツゴ勉強会を それぞれ 5 月と 11 月に一回ずつ実施した(図 1).ツア ーでは棚田農家とリンゴ農家の方を講師として招いた. 次に昨年度に開発した人工産卵基質を用いてシナイ 図 1. 里山見学ツアー(上),および,シ ナイモツゴ勉強会(下)の様子. モツゴの繁殖補助と系統保存を実施した.また,近年長 野市のシナイモツゴ生息地において寄生虫 Clinostomum complanatum による感染個体が急増し悪影響が 懸念されたため,その実態調査を試みた.Clinostomum complanatum はモノアラガイ,淡水魚類,魚食性 のサギ類に寄生する生活環を有するが,長野県北部におけるアオサギの急増に伴い,シナイモツゴ生息 地において分布拡大したと考えられる(図 2).2 ヵ所のため池に生息するシナイモツゴを対象に感染率 を調べるとともに,採血により血中ホルモン量(コルチゾルとテストステロン)を測定し,感染による ストレスの評価を試みた.調査は 5 月(繁殖期)および 10 月(非繁殖期)に実施した. 40 3. 結果および成果 人工授精による繁殖補助では親個体の殺傷が避けられないが, 人工産卵基質を用いることにより親個体を捕獲せずに受精卵を得 ることができる.これにより推定個体数が数十個体まで減少した 絶滅寸前の個体群にて系統保存集団の作出に成功し,大学にて現 在も飼育している. アオサギの飛来が観察されている二ヵ所のため池において,シ ナイモツゴの寄生虫感染率を比較した(図 3).A 池では採集され た個体の 97.4%とほぼ全個体で感染が認められ,B 池では 21.5% の個体が感染されていた. 図 3. 図 2. Clinostomum complanatum に濃厚感染(10 個体以上が寄 生)されたシナイモツゴ. 被感染個体群の感染率の個体群間比較,および,感染個体の体長分布 1 個体あたりの寄生虫数は最大 24 個体にも及び,魚体重を占める寄生虫重は 5%以上をも占め(表 1), 極めて高い感染率や濃厚感染の実態が初めて明らかとなった.しかし,肥満率,コルチゾル,および, テストステロンと寄生虫数の間において有意な相関は認められず,寄生虫が及ぼす魚のコンディション への影響を検出することは出来なかった.今後,現在解析中である 10 月に採集された個体の結果から 季節変化を検討し,シナイモツゴ個体群の存続に及ぼす感染の影響について引き続きモニタリングし, データを蓄積する. 表 1. B 池のシナイモツゴにおける寄生虫感染率とコンディション(5 月) 4. 主要文献 小西 繭.シリーズ・Series 日本の希少魚類の現状と課題「シナイモツゴ:希少になった雑魚を守る」. 魚類学雑誌,2010,57(1),80-83. 41 二相系格子ボルツマン法を用いた粘弾性皮膜固体を含む流れの数値解析 信州大学 SVBL DC 研究員(工学部) 村山 寿郎 1. 研究目的 変形を伴い移動する固体を含む流れの混相流問題は,工学や医学をはじめとする多くの分野でみるこ とができる.例えば血液の流れは,赤血球などの固体成分が血漿とともに流れる固液混相流であり,血 管内を流れる赤血球は柔軟に変形するため,それより小さい管径をもつ流路においてもスムーズに流動 することができる.この赤血球の変形能は,赤血球の形態,内部流体の粘度および膜の粘弾性に依存す る.赤血球などの粘弾性皮膜構造をもつ変形する固体の流れ場における挙動を解明することは,疾患の 原因解明や固体の輸送効率などの観点より重要であると考えられる.そこで本研究では,赤血球にみら れるような粘弾性皮膜固体の流れ場における挙動を解析するための計算手法を構築し,本手法を用いて 種々の流れ場における固体の挙動を解析することを目的とする. 2. 活動計画 本研究では,流れの数値計算法である二相系格子ボルツマン法(Lattice Boltzmann Method, LBM) を基に,粘弾性をもつ膜が内部に流体を包み込んだ粘弾性皮膜固体(以下では,固体と呼ぶ)を含む流 れの数値計算法の構築を行う.さらに本手法を用いて,せん断流れ場における固体の変形について計算 を行い,本手法の妥当性を検証する.また,正方形ダクト内を圧力差によって駆動する流体と固体の挙 動解析を行い,固体の変形能や流路に対する体積分率の違いが固体の挙動および流れ場に与える影響に ついて調べる. 3. 結果および成果 本研究では,二相流体の流れの数値解析法である二 相系 LBM を基に,従来の手法では考慮されていない弾 性力を新たに付加することによって,変形移動する固 体を含む二相流問題に対する数値計算法を構築した. 図1に示すような,粘弾性をもつ膜が内部に周囲の流 体(外部流体)とは異なった流体(内部流体)を包み 込んだ固体のモデルを考える.また,膜にはたらく弾 性力は質点ばねモデルによって導入した.本モデルで は,膜は質点を頂点としばね接合する三角形要素によ って構成され,膜のせん断変形,表面積変化および固 図 1. 粘弾性皮膜固体のモデル 体の体積変化に対し弾性抵抗をもつ. はじめに,せん断流れ場における単一固体の挙動解析を行った.その結果,固体がせん断流れによっ て傾き,引き伸ばされ楕円体形状に変形し,しだいにその変化はゆるやかになり,ほぼ定常になる結果 が得られた(図 2 参照).また,本計算におけるせん断速度と固体の変形度の関係について,他の手法 を用いた既存の研究結果と比較した結果,両者に良い一致がみられ,本手法の妥当性が示された.さら に本研究では膜の内側の内部流体に外部流体と異なる粘度を与え,内部流体の粘度が固体の挙動に与え る影響について調べた.その結果,内部流体の粘度上昇にともない固体の変形は小さくなり,また,変 形速度も低下する結果が得られ,内部流体の粘度上昇に伴い,固体の変形能が低下することがわかった. 42 t*=0.50 t*=1.0 t*=2.0 t*=3.0 図 2. せん断流れ場における各時刻 t*での固体の形状と流れ場. t*=1.0 t*=25 Ht=3.78% Ht=7.56% 図 3. 各体積分率 Ht における各時刻 t*での固体の挙動. 次に,正方形ダクト内を流れる固体の挙動について計算を行い,固体の変形能および個数の違いが固 体の挙動や流れ場に与える影響について調べた.初期に流路内に含まれる固体の個数を変化させ,固体 の流路に対する体積分率 Ht の違いの影響を調べた結果,今回計算した体積分率の範囲(Ht ≤ 7.56%) では,体積分率が高いほど,固体が管軸付近に集合して流れる軸集中を示しやすくなる結果が得られた. また,固体の変形能が高いほど速く管軸方向へ移動することがわかった.本結果は,血液流れにおいて, 血管内を流れる赤血球が柔軟に変形し,管軸付近に集合することで,管壁との摩擦を減らし,より効率 よく血球が流れることに関連すると考えられる.以上の結果より,本手法が毛細血管内を流れる赤血球 の挙動などの固液混相流問題の解析に有用であることが示唆された. 4. 主要文献 [1] 村山寿郎,吉野正人,平田哲夫,格子ボルツマン法による単一粘弾性皮膜固体のせん断流れ場にお ける挙動解析,混相流研究の進展,4 (2009), 9-17. [2] 村山寿郎,吉野正人,平田哲夫,二相系格子ボルツマン法を用いた流体中における粘弾性皮膜固体 の挙動解析(内部流体の粘度が固体の挙動に与える影響について),日本機械学会論文集B編,(掲 載予定). 43 低レイノルズ数チャンネル乱流の大規模構造について 信州大学 SVBL DC 研究員(工学部) 関 大輔 1. 研究目的 二次元チャンネル流において,線形撹乱に対する臨界レイノルズ数以下であっても,流れにある程度 大きな振幅を持った撹乱を加えることで流れは乱流へと遷移し,乱流状態を維持できることが知られて いる.この状態から,レイノルズ数を下げていくとあるレイノルズ数以下において乱流状態を維持でき なくなり,流れは再層流化する.本研究ではこの,乱流が維持できる最低のレイノルズ数を限界レイノ ルズ数と呼ぶ.限界レイノルズ数付近における再層流化チャンネル流の可視化実験(1) から,ここでの 流れは層流域とストリーク構造もしくは乱流が局所的に現れる間欠的な流れ場になることが示されて いる.本研究では再層流化チャンネル流の熱線計測データから,層流・乱流成分それぞれの統計量を算 出し,再層流化過程において生ずる流れ全体の性質について考察した. 2. 実験 2.1 実験装置 本研究に用いた実験装置は作動流体を空気とする開放型の風洞であり,ブロア,ノズル,助走区間, 拡大部および試験部により構成される.ブロアで加圧された流れはノズルで絞られた後,助走区間内で 十分に発達した乱流となる.拡大部でエンドウォール間の幅を下流に従い片側 2◦ で広げることでレイ ノルズ数を 73 [%] に減少させ,その後流れは試験部へと流入する.試験部長さおよびスパン幅はチャ ンネル幅 D = 5 [mm] を用いてあらわすと,それぞれ 560D,52D である.座標系の定義は,試験部入口 での壁面上を座標原点として,流れ方向に x,流れ垂直方向に y およびスパン方向に z とする. 2.2 アンサンブル平均手法 層流成分と乱流成分の分離は,閾値の値が一意に決まる dualslope 法を用いて閾値を設け,検査関数が 閾値以上であるならば乱流であると判断した.検査関数には差分近似により求めた時間に対する二階微 分の値を用いた.この後,それぞれの区分を抽出し,アンサンブル平均を行った. 3. 結果 Re = 1900 におけるアンサンブル平均速度場および局所レイノルズ数 Rel の時間変化を Fig. 1 に示す. この接続は,それぞれの層流区間における各時刻断面の値を比較し,その差が最小となる時刻を選んで 接続した.グラフの横軸は層流区分開始点を 0 とした.Fig. 1 (b) に縦の実線で示すように,無次元時 間 0 から 26 まで層流区間でその後,無次元時間 51 まで乱流区間である.Fig. 1 (a) を見てみると,層 流区分においては時間と共にチャンネル中心付近における低速領域が増加しており,層流区分中におけ る流速分布はチャンネル中心で減速するような速度分布を持つことが示唆される.そこで,局所レイノ ルズ数の変化を見てみると層流区分開始時において,平均レイノルズ数より一割程度大きな値を持ち, その後,再び乱流区分に変わるまで単調に減少を続ける.乱流区分開始直後は局所レイノルズ数は減少 を続けるが,平均レイノルズ数より一割程度低い値まで下がったところで増加に転じ,再び平均レイノ ルズ数より一割程度大きな値を持つまで増加した後,層流区分に入れ替わる.すなわち,これらのこと から層流区分では上流側は局所レイノルズ数の値が平均より高く,乱流へと遷移しやすい不安定な状態 であり,下流側へ行くに従い局所レイノルズ数の値が低下して,乱流との境目付近は安定な状態である といえる.また,層流から乱流への境目付近は局所レイノルズ数が低く安定な状態であるため再層流化 しやすい状態であるといえる. 44 Fig.1 Time variations of ansamble averaged streamwisevelocity ˜Um. (a) transiton from laminar to turbulence, (b) relaminariziation from turbulence to laminar. Fig.2 (a) Contourplots of ansamble averaged streamwisevelocity ˜Um in the t−y plane. (b) Time variation of local Reynolds number 4. まとめ 再層流化チャンネル流の熱線データに対し,乱流・層流成分の条件付抽出を試みた.その結果,間欠 性を利用することで流れに含まれる層流・乱流成分の分離が行えることが示された.また,抽出したそ れぞれの成分に対しては平均操作を含む統計処理が可能であることが示された.さらに,条件付抽出操 作から得られた結果より層流区間内の平均分布が時間変化することがわかった.このため局所レイノル ズ数の高低が生じ,安定・不安定領域をそれぞれ作り出していることが明らかとなった. 5. 主要文献 (1) D. Seki, T. Numano and M. Matsubara, Numerical and experimental investigation of relaminarizing two-dimensional channel flow, Proceedings of the Seventh IUTAM Symposium on Laminar-Turbulent Transition, Schlatter, P and Henningson, D.S.(Eds.), 2010. 45 3. 萌芽研究 専有スペース利用登録者 利用責任者/所属 村上 泰 繊維学部 化学・材料系 材料化学工学課程 藤井敏弘 繊維学部 応用生物学系 バイオエンジニア リング課程 研究テーマ 利用登録者 絶縁高熱伝導材料の開発,電着技術の高 尹己烈,清水航,岡田一良,花井嘉 度化 忠,小林正美,桂淳子,小山みき 枝,倉持めぐみ,白川益恵,劉凡, 川島拓弥,法華淳介,百瀬修平,趙 珊珊,榎貴啓,郷津雄資,中野充 喜,荻窪竜也,熊谷拓大,服部駿 佑,馬賀,細尾昇平 生物模倣プロジェクト 伊藤弓子,高山俊輔,高島優香, 中島遥,渡邊新,森田拓野 機器利用登録者 利用責任者/所属 志田敏夫 大学院総合工学系研究科 繊維学部) 上條正義 大学院総合工学系研究科(繊維学部) 研究テーマ 利用登録者 生体高分子に基質にする酵素の構造と機 柳澤信,田畑直希,松島佑達 能に関する研究 着衣快適性の計測 青井政貴 関口順一 大学院総合工学系研究科(繊維学部) I Putu Sudiarta,内田那月,北浦 想之,島津健,松島弘明,両角俊 明,花川奨,福井貞晴,児玉武子 太田和親 マイクロ波加熱を用いたカーボンナノチ 田内梨沙,高木泰史 大学院総合工学系研究科(繊維学部) ューブの合成,カーボンナノチューブの 生成確認 杉本 渉 電気化学エネルギーデバイスに向けたナ 福田勝利,Christophe CHAUVIN, 繊維学部 化学・材料系 材料化学工学課程 ノ材料創成と物性 清水薫,高松恵美,才田隆広,大橋 達也,佐藤純,牧野翔,石垣紀明, 加藤久登,樋口和輝,向井良 太,LIU QINGFENG,ZHANG JUNFENG,DUDA TRISTAN,大堀恭 輔,大内真登,唐澤安緒,生田翔 士,蓮池辰徳,三井敬弘 超高分子量 PE の電解紡糸によるナノファ 中山敦人,神戸修一,碓氷宜康,田 藤松 仁 上洋,星島拓弥,横山望美,山本諭 繊維学部 化学・材料系 材料化学工学課程 イバーの作製と物性 史,岸宏,岡田祐輔,永田憲遵 導電材料天下ポリマーゲルの電解場にお 北澤宜房,辻田真太郎 滝沢辰洋 繊維学部 化学・材料系 材料化学工学課程 ける電気抵抗変化に関する研究,超高分 子量 PE を使った電解紡糸(エレクトロス ピニング)の研究 松瀬丈浩 強磁性微粒子の合成と物性評価 関崇史,若林貴宏 繊維学部 化学・材料系 材料化学工学課程 宇佐美久尚 無機ナノ薄膜の製膜と光触媒反応システ 唐澤直之,久保直幸,伊藤吹夕 繊維学部 化学・材料系 材料化学工学課程 ムへの応用 福長 博 燃料電池電極の観察 古田佑介,岡部晃直,岩田晃尚,渡 繊維学部 化学・材料系 材料化学工学課程 邉元,苗詩雨,天野政幸 カーボンナノチューブの電気化学特性 田中大輔,服部義之,山本高大,諸 沖野不二雄 井孝平 繊維学部 化学・材料系 応用化学課程 谷上哲也 繊維学部 化学・材料系 応用化学課程 ポリビニルアルコール系ブレンドの相分 近藤龍太,永瀬友博,松村伸弥,北 離構造解析,ポリマー微粒子のコロイド 阪大輔,中澤健,萩原由己,吉田耕 平,遠藤真菜美,早川諒,金谷淳子 結晶に関する研究 46 利用責任者/所属 石渡 勉 繊維学部 化学・材料系 応用化学課程 平田雄一 繊維学部 化学・材料系 応用化学課程 後藤康夫 繊維学部 化学・材料系 機能高分子学課程 研究テーマ ナノ粒子の観察 利用登録者 武井一馬,堀口裕和 染色助剤に関する研究 池田章浩 ナノカーボン等導入した機能性繊維の開 徐雪珠,山本厚,中嶋庸介,石川照 発,上記材料作製のための各種構造解析 敏,橋本藍,今福進五,北辻有貴, 纐纈智康,泉保眞一郎,藤江将大, 装置 渡邉旭平,鉄本卓也,Fatema Ummul Khair,UDDIN AHMED JALAL 寺本 彰 天然高分子を用いた極細繊維の開発 松田直樹,室賀圭悟,包旭旭,林健 繊維学部 化学・材料系 機能高分子学課程 一郎,平田裕紀,木下妃咲,麥島 晃,野田一茂,坂戸大志,山口由貴 子,野口貴司,国保怜 小駒喜郎 病理組織の診断に関する基礎研究 荒井圭介,酒井優,天王大作,古谷 繊維学部 化学・材料系 機能高分子学課程 麻美 木村 睦 導電性高分子およびナノカーボン材料の 周剣 繊維学部 化学・材料系 機能高分子学課程 構造同定 平井利博 繊維学部 化学・材料系 エネルギー散逸を抑えた大変形駆動材料 松木俊明,植木崇充,夏紅,岡田祐 機能高分子学課程 の開発 輔,Jang Yeonju, Mohammad Ali, 岩下裕仁,片岡信彰,小林勇志,鶴 見大二郎,山口裕香,小松達也,鈴 木佑佳,戸谷佑衣 化学分解性機能性材料の開発に関する研 中田慎 伊藤 恵啓 繊維学部 化学・材料系 機能高分子学課程 究 鈴木正浩 繊維学部 化学・材料系 機能高分子学課程 ナノファイバーのキラリティーの解析 星沢裕子,金野仁子,松本信一,田 中啓太,大和卓,持留彰,音川勝 俊,杉山佳隆,鈴木岳志,丹籐彰 宏,中村和貴,那須将樹,丹羽沙 織,原野一樹 生体高分子化学に関する研究 大川浩作 繊維学部 化学・材料系 機能高分子学課程 森脇 洋 繊維学部 学課程 山本博規 繊維学部 学課程 梶浦善太 繊維学部 学課程 塩見邦博 繊維学部 学課程 塚田益裕 繊維学部 学課程 中垣雅雄 繊維学部 学課程 下坂 誠 繊維学部 程 田口悟朗 繊維学部 程 応用生物学系 生物資源・環境科 環境科学に関する研究 萩原綾夏,原口和真,谷脇陸,赤嶺 総哉,加藤友成,関本有莉 枯草菌のテイコ酸およびリポテイコ酸修 応用生物学系 生物資源・環境科 飾機構の解明、DNA の塩基配列を解析する ため 蚕と野蚕のゲノム解析・卵および卵黄形 応用生物学系 生物資源・環境科 成の分子機構,遺伝子の塩基配列決定 岩波智徳,久米田慶裕,矢澤一也, 山根久彌,所秀幸,吉川律子,蕨 野裕也 鈴木翔,峰村貴也,長坂美才絵, 徳野秀尚 昆虫の温度センサーの機能解析,昆虫の 西岡拓哉,王紅,石丸裕樹,米田 享平 応用生物学系 生物資源・環境科 季節的多型発現の解析 タンパク質繊維を用いた金属イオンの吸 前田徹,百瀬淳,三島光晴,村田夏 子,小山太吾,三浦智宏 応用生物学系 生物資源・環境科 着 蜘蛛糸遺伝子を利用した蚕絹および蜘蛛 Zhang Lei, Han Leng 応用生物学系 生物資源・環境科 糸の分析 細菌 Chitiniphilus shianonensis のキチ 黄蘭香,青山英示,川上聖史,鎮 目有玲紗,吉田真澄 応用生物学系 生物機能科学課 ン分解関連酵素遺伝子群の解析 植物の修飾酵素の機能解明,桑の食品と 野田知嗣,田中淳,長友仁寿, Youliduzi Ahemaiti, 古謝詠喜, 応用生物学系 生物機能科学課 しての有効利用法の研究 藤田将幸 47 利用責任者/所属 研究テーマ 利用登録者 遺伝子組換え型カイコ翻訳伸長因子の大 坂井貴昭,澤田剛,金武秀徳,久 野村隆臣 津見知 繊維学部 応用生物学系 生物機能科学課 量調整法の確立 程 大越 豊 レーザー延伸繊維の構造評価 和田佐知子,趙鑫,小森谷あや,原 繊維学部 創造工学系 先進繊維工学課程 健太郎,臼井裕久,大和宜民,伊藤 省吾,石井翔平,木村佑介,若杉 晃,金慶孝,伊香賀敏文 石澤広明 レーザスペックル法による表面粗さ計測 堀口拓郎,井上健吾,川村真輝 繊維学部 創造工学系 先進繊維工学課程 倪 慶清 Ont nanocomposites & hybrids 張利 繊維学部 創造工学系 機能機械学課程 製作された機能性ナノファイバーの物性 金昞錫,魏凱,金圭梧,金恵林,李 金 翼水 評価 侑眞,伊藤健,木村直貴,中川夕 繊維学部 創造工学系 機能機械学課程 也,渡辺圭,方玄植,池原健,佐藤 秀一,本田航,山本高大 小西 哉 ソーラーカープロジェクト,固体高分子 浅倉一真,佐藤大介,石川侑弥,沖 繊維学部 創造工学系 機能機械学課程 型燃料電池用アルギン酸電解質膜の開発 見統,藤本直宏,櫻井達弥,侯鵬 飛,小西祐樹 高寺政行 三次元人体データを用いた衣服の個人対 銭丹娜,金炅屋,祖父江昭人,曽根 繊維学部 創造工学系 感性工学課程 応設計および評価,人体の三次元計測 原翔,村瀬達彦,清水香織,高橋淑 子,武居健,張俊,紀煒,紺野秀朱 堀場洋輔 衣服の動作拘束性の予測に関する研究 遠藤慎也 繊維学部 創造工学系 感性工学課程 高橋正人 エレクトロスピニングの実験 坂本拡之 繊維学部 創造工学系 感性工学課程 細菌におけるゲノム工学技術の開発と応 三宅由希子,工藤融,千田麻衣,中 橋本昌征 西忍,小口卓也,松田卓郎 繊維学部 ファイバーナノテク若手研究者 用 育成拠点 蛋白質の構造機能解析および蛋白質工学 小林直也,松尾京子,福田晋士,北 新井亮一 浦想之 繊維学部 ファイバーナノテク若手研究者 研究 育成拠点 機能性高分子微粒子の開発 小林勇志,堀込幸司,山縣智世 鈴木大介 繊維学部 ファイバーナノテク若手研究者 育成拠点 セルロースおよびキテンの微結晶形態観 荒木 潤 繊維学部 ファイバーナノテク若手研究者 察 育成拠点 高等植物の DNA マーカー探索技術の開発 安藤裕教 松村秀生 ヒト環境科学研究支援センター遺伝子実 験部門 48 絶縁コーティング材料およびプロセスの開発 信州大学繊維学部 研究員 村上 泰 細尾昇平 1. 研究目的 我々の研究グループでは,自動車の電動化等の流れを受けて,絶縁と放熱を兼ね備えた材料の開発を 行っている.絶縁高熱伝導ポッティング剤,絶縁コーティング材料,熱放射材料の3つの開発を行い, ベンチャー企業設立を目指している.昨年度は,絶縁高熱伝導ポッティング剤について報告したが,本 年度は,絶縁コーティング材料およびプロセスの開発について報告する. 絶縁材料をコーティングするには,作業性からこれまで開発してきた溶液中に浸漬した後に引き上げ ることで塗布する方法より,電気をかけて塗布する電着法のほうが,作業性に優れている.そこで,長 野県内の電着メーカー,㈱エム・ケー・サイエンスと連携し,絶縁コーティングに用いる電着用塗料材 料を改良し,性能を高める技術を開発した.さらに,長野県内のベンチャー企業㈱エヌ・ティー・エス のアイデアを導入し,まったく新しい電着用材料と電着プロセスを開発した.後者については,特許 1) を申請し,透明で耐殺傷性の高いコーティングとして実用化を進めているが,目的の絶縁性が得られて いない段階であるので,本報告では,前者の開発結果を示す. 2. 実験 開発した絶縁コーティング材料は,既存の材料に対してフィラー部分を改良した.電着は,対極に SUS を用い,銅,鉄,アルミニウムの3種類の電極材料に DC30 V 1分間の処理を行い,コーティングした. 3. 結果および成果 開発した絶縁コーティング材料は,表1のように従来品をもとにして設定した目標値を達成する物性 を示した.絶縁破壊強さ,対電圧が飛躍的に高まっただけでなく,エッジカバー性の問題も解決できた. 今回開発した技術は,絶縁コーティングの市場に比較的早く出せると考えられる. 表1新規絶縁材料の目標値と物性値 特性 従来品 絶縁破壊強さ [kV/mm] 電 気 目標値 13 50 開発品 Cu 53 Fe 96 Al 115 的 特 耐電圧(膜厚) [V(μm)] 性 エッジカバー性 (平面部比) AC/DC 250-300V 30% AC 600 /DC 3000 (40.0) Cu AC 3000(38.0) Fe AC 3000(38.5) Al AC 4000(45.0) 60.0% Fe 62.3% 4. 主要文献 1) 特願 2010-210014 水性電着塗料,電着塗膜の製造方法および電着塗膜 49 生物模倣プロジェクト ―代替毛髪としてのケラチンフィルムの紫外線感受性― 信州大学繊維学部 藤井敏弘,伊藤弓子 1. 研究目的 ヘアケアと関連した製品開発を進めるためには,毛髪で生じている損傷(ヘアダメージ)を高い精度 で正確に測定する必要がある.近年,分析機器の発達にともない対象としている毛髪試料が不均一であ ることがこの分野での研究開発の妨げの一因となってきている.髪の毛は80%近くがタンパク質で構 成されており,ケラチンと呼ばれている繊維状タンパク質はその主成分である.私たちはケラチンを簡 便で効率よく抽出する方法(信大法)と可溶化タンパク質から自己集合を利用してフィルム(ケラチン フィルム)を創出する方法を確立している.このフィルムを代替毛髪として提案している. ヘアダメージを引き起こす原因のひとつとして紫外線(UV)がある.この初期段階として,酸化アミ ノ酸の生成が毛髪において認められている.この系にケラチンフィルムを使用するとバラツキがなく高 感度で測定が可能である.本年度はケラチンフィルムと毛髪試料を使用して,UV照射が引き起こすタ ンパク質の酸化(システイン酸形成)と架橋についてより詳細に調べ,比較検討をおこなった. 2. 実験 ケラチンフィルムはヒト毛髪から信大法とプレキャスト法を用いて作製した.システイン酸の形成は FT-IR を用いて,架橋は変成剤/還元剤による可溶化により調べた. Fig. 1 FT-IR spectra of keratin film and hair samples Fig. 2 Protein extraction from UV-irradiated films 3. 結果および成果 蛍光顕微鏡により,UV照射による酸化タンパク質の出現が毛髪試料およびケラチンフィルムにおい て観察された.毛髪と比べて,この感度は5〜10倍もケラチンフィルムの方が高かった.システイン 酸はヘアダメージの指標として使用されており,ジスルフィド結合の酸化により生じる.UV照射後の ケラチンフィルムにおけるシステイン酸形成を FT-IR を使用して調べたところ,システイン酸の形成を 示す 1042 cm-1 付近のピークはケラチンフィルムにおいてのみ有意であった(Fig. 1). UV照射がフィルム状態のケラチンへ与えている影響を生化学的な手法で調べた.可溶性タンパク質 量はUV照射により顕著に低下していることから,光架橋が形成していることが示唆された(Fig. 2). 以上の結果,ケラチンフィルムは酸化タンパク質およびシステイン酸の形成が認められることから, 毛髪同様なUV感受性を有していた.ケラチンフィルムの方が感度も高くデータのバラツキが少ないこ とから,有効な代替毛髪として毛髪研究とヘアケア関連製品の開発への利用が期待できる. 50 Ⅳ. 資料 1. 事業歴 2010 年度 4月7日 学生ガイダンス・ブース 出展 4 月 13~14 日 起業支援学生団体の説明会 実施 5 月 14~15 日 第 7 回全国 VBL フォーラム 参加(北大,小西哉 SVBL 長,高崎緑 助教) 6 月 16~18 日 繊維学会年次大会 参加(高崎緑 助教, 中西弘充 研究員) 6 月 24,28 日 透過型電子顕微鏡 JEM2100 講習会(ビデオ) 7月9日 ライフプランニング講演会 開催(田子将一 氏 ソニー生命 ファイナンシ ャルプランナー) 7 月 5 日~9 日 透過型電子顕微鏡 JEM2100 講習会(講義,実習) 8 月 7 日~10 日 プロジェクトマネジメントセミナー ’10 開催(上田キャンパス) 8 月 4 日~6 日 プロジェクトマネジメントセミナー ’10 開催(長野(工学)キャンパス) 8 月 15 日~10 月 14 日 海外研修支援 実施(イギリス ハル大学 三島光晴) 8 月 31 日~2011 年 9 月 1日 海外研修支援 実施(ドイツ マンハイム工科大学 中西 忍) 9月1日 ベンチャーコンテスト 開催 9月1日 掛川恵子技術補佐員 着任(SVBL 機器の保守管理,オペレート) 9 月 9 日~13 日 第 7 回国際シルク会議(ISC2010)参加(高崎緑 助教,中西弘充 研究員) 9 月 15 日 第 1 回桑まるごと活用塾試食会 実施 10 月 18 日 第 1 回特許セミナー 実施(上田キャンパス,篠塚由紀 氏 株式会社信州 TLO) 研究者招聘 SVBL ミニシンポジウム開催(Thomas Rosenau 氏 ウィーン天 然資源大学 教授) 11 月 14 日~15 日 日本蚕糸学会合同大会 参加(中西弘充 研究員) 11 月 18 日 P-DEX 技能検定 実施 別紙資料(2) 11 月 23 日 テクノ愛 2010 参加 11 月 29 日 第 2 回特許セミナー 実施(松本キャンパス,篠塚由紀 氏 株式会社信州 TLO) 12 月 14 日 分析関連セミナー 実施 12 月 16 日 起業支援学生報告会 実施 2 月 10 日 成果報告会 P-DEX 修了式 2 月 14 日 会計セミナー 実施(小山宏幸 氏 税理士法人小山会計専務) 3 月 31 日 高崎緑 助教 退職 10 月 14 日 51 開催 別紙資料(1) 別紙資料(1) 平成 22 年度信州大学SVBL成果報告会 日 時 : 2011 年 2 月 10 日 ( 木 ) 受 付 12:45~ 13:15 報 告 会 13:15~ 16:45 場 所 : 信 州 大 学 繊 維 学 部 32 番 講 義 室 (SUNS 中継) 松本キャンパス 理学部大会議室 南箕輪キャンパス 農学部 12 番講義室 長野(工学)キャンパス 工学部工 200 番講義室 長野(教育)キャンパス 教育学部教育実践センター2 階遠隔 SVBLプロジェクト研究 成果報告 「桑繊維による抄紙と紙糸への応用」 SVBL 助教 高崎 緑 「桑遺伝資源を用いたバイオマス有効活用に関する研究 ~バイオエタノールの生産と 1-DNJ 高含有品種の探索 ~」 SVBL重点研究 SVBL PD 研究員 中西弘充 成果報告 「低レイノルズ数チャンネル乱流の大規模構造について」 SVBL DC 研究員(工学部) 関 大輔 「二相系格子ボルツマン法を用いた粘弾性皮膜固体を含む流れの数値解析」 SVBL DC 研究員(工学部) 村山寿郎 SVBL萌芽研究(専有スペース利用者) 成果報告 「絶縁コーティング材料およびプロセスの開発」 繊維学部 村上 泰 「生物模倣プロジェクト-代替毛髪としてのケラチンフィルムの紫外線感受性-」 繊維学部 藤井敏弘 研修支援事業 成果報告 1) 概要説明 SVBL 助教 高崎 緑 2) 海外研修報告 「セルロース系バイオマスに関する研究およびウィーン天然資源大学(BOKU)における産学連携調調査」 SVBL 助教 高崎 緑 「各種産業材料への応用に向けたヒゲナガカワトビケラのシルクに関する研究」 工学系研究科応用生物科学専攻修士課程 2 年 三島光晴 桑まるごと活用塾 活動報告 1) 概要説明 SVBL PD 研究員 中西弘充 教員ベンチャー支援 成果報告 1) 概要説明 学生起業支援 SVBL 専門部会委員 繊維学部 松村嘉之 成果報告 1) 外部のアドバイザーによるセミナー・講習会,ベンチャーコンテスト SVBL 専門部会委員 繊維学部 金井博幸 2) 学生ベンチャー企業事業報告 「(有)HighHope 事業報告」 3) 学生起業活動報告 「モック活動報告」 「ArkOak 活動報告」 (有)HighHope/繊維学部 創造工学系先進繊維工学課程 2 年 田沢省吾 モック/工学系研究科機能機械学専攻修士 1 年 篠原規将 ArkOak/繊維学部 機能機械学科 4 年 加納 徹 52 「ソーラーサイクル活動報告」 ソーラーサイクル/繊維学部 精密素材工学科 4 年 西沢克弥 分析機器エキスパート(P-DEX)養成事業 / P-DEX活動報告 1) 概要説明 2) P-DEX 活動報告 ワイヤーカット放電加工機 SVBL 専門部会委員 繊維学部 森脇 洋 繊維学部 機能機械学科 4 年 林 謙多 繊維学部 機能機械学科 4 年 新井康允 繊維学部 創造工学系 機能機械学課程 3 年 関根健二,浜 秀典 繊維学部 創造工学系 機能機械学課程 2 年 鈴木浩太,田中直人,渡辺貴広 液体クロマトグラフ質量分析装置(LCMS)繊維学部 素材開発化学科 4 年 栗林奈津子,鈴木佑佳,戸谷佑衣 繊維学部 化学・材料系 応用化学課程 3 年 清水 良 繊維学部 応用生物学系 生物資源・環境科学課程 3 年 相澤秀幸 繊維学部 創造工学系 2 年 小勝 萌 表面プラズモン共鳴測定装置(SPR) 繊維学部 応用生物学系 生物機能科学課程 3 年 据 貴志 繊維学部 応用生物学系 バイオエンジニアリング課程 3 年 藤澤和也 繊維学部 化学・材料系 機能高分子学課程 3 年 佐々木絵理 繊維学部 化学・材料系 機能高分子学課程 2 年 篠崎 敦 繊維学部 応用生物学系 2 年 阿部春香,國井雅代,五味龍作,田中良弥 微小部蛍光 X 線測定装置(μEDX) 繊維学部 機能機械学科 4 年 林 謙多 繊維学部 創造工学系 機能機械学課程 2 年 山内 真 繊維学部 化学・材料系 材料化学工学課程 2 年 吉田圭介,繊維学部 応用生物学系 2 年 峯 織絵 以上 53 別紙資料(2) P-DEX技能検定 ●LCMS 技能レベル基準表 【初級】 □ LCMS の構造と原理を理解している. ・ 装置の構成について ・ 移動相について ・ 固定相について ・ 検出器について ・ イオン化方法について ・ 質量分析方法について □ 装置の起動・終了を行うことができる. □ 試料の前処理を行うことができる. □ 測定パラメータの設定ができる. □ 定性分析方法を理解している. □ 定量分析方法を理解している. □ 測定結果を理解することができる. □ 装置の操作上の注意を知っている. 【中級】 □ □ 初級講習者への指導を行うことができる. ・ 装置の原理・構造について ・ 上記初級者の操作項目について ・ 装置の操作上の注意について 装置のトラブル発生時の対応ができる. 【上級】 □ 中級講習者への指導を行うことができる. □ 分析条件の選択をすることができる. □ 移動相の交換を行うことができる. □ カラムの交換を行うことができる. □ プローブの交換を行うことができる. □ 質量分析計の分解洗浄をすることができる. ●微小部蛍光 X 線分析装置(μEDX)技能レベル基準表 【初級】 □ 錠剤成形器を用い,粉末試料をバルク試料に調製法を示すことができる. □ 機器の起動・停止が行える. □ 基本的な操作(試料のセット,X 線操作,試料のフォーカス・倍率設定,ステージの位置の設定)が行える. □ バルク状の金属を試料とし,定性定量分析(メソッドの作成,測定,および未知試料分析)が行える. □ バルク状の金属を試料とし,ファンダメンタルパラメータ(FP)法による定量分析(メソッドの作成,測定,およ び未知試料分析)が行える. □ 標準試料を分析し,検量線を作成できる. □ バルク状の金属を試料とし,検量線法による定量分析(メソッドの作成,測定,未知試料分析および共存元素補正) が行える. □ 簡単なトラブルシューティングについて説明できる. ・ 試料台がタッチセンサに接触したとき ・ μEDX 制御ソフトがフリーズしたとき ・ 分析時の液体窒素不足によるエラー 54 【中級】 □ □ 機器の内部構造および測定原理について説明でき,初級者に基本操作を指導できる. バルク表面層の膜厚を測定・分析できる. ・ メッソドの作成ができる. ・ 膜厚測定ができる. ・ 金属種と膜厚についての分析・説明ができる. 【上級】 □ 中級者への指導ができる. □ 様々な試料について,高度な分析を行うことができ,分析結果を説明することができる. ・ 試料(バルク,フィルム,液体,粉末)の分析ができる. ・ 有機化合物中の金属の定性(定量)が行える. ・ バルク表面層の金属膜厚が測定できる. ・ ppm オーダでの重金属分析ができる. ・ マッピング測定および高速マッピングができる. ●ワイヤーカット技能レベル基準表 【初級】 □ ワイヤーカット放電加工機の構造と原理を理解している. □ 装置の起動・終了を行うことができる. □ ワイヤー結線(手動,自動)を行うことができる. □ ワークの取り付けを行うことができる. □ 位置決めを行うことができる. ・ST キーとジョグキーによる位置決め ・NC コードを使用する位置決め ・コードレスを使用する位置決め □ 噴流の流量調節ができる. □ Z 軸の位置決めを行うことができる. □ AWT パイプの高さ調節ができる. □ 簡単なプログラム作成ができる. □ NC プログラムのロードとセーブができる. □ グラフィックでのプログラムチェックができる. □ 装置の操作上の注意を知っている. 【中級】 □ 初級講習者への指導を行うことができる. ・装置の原理・構造について ・上記初級者の操作項目について ・装置の操作上の注意について □ 装置のトラブル発生時の対応ができる. □ 自動プログラム作成機能「HeartNC:ハート NC」を用いたプログラム作成ができる. □ 使用者一人で,一連の操作ができる. □ ワイヤー垂直だし(手動,自動)を行うことができる. □ 加工後の寸法調節(補正)ができる. 【上級】 □ 中級講習者への指導を行うことができる. □ 精度の高い加工ができる 55 ●表面プラズモン共鳴測定装置(SPR)技能レベル基準表 【初級】 □ 機器の原理を理解している. □ 機器の構造を理解している. □ センサーチップ CM5*1)の原理を理解している. □ センサーチップ CM5 を使うことができる. □ アミンカップリング法によって測定することができる. □ 解析ソフトを使って実験結果を編集することができる. □ 解析ソフトによる非線形解析法(分割解析を除く)で反応速度定数を求めることができる. □ 機器の起動・終了を行うことができる. □ 機器の定期的なメンテナンス(Sanitize を除く)を行うことができる. □ 機器のトラブルシューティングを行うことができる. *1)アミノ基,チオール基,アルデヒド基を介して,リガンドを固定化 【中級】 □ 初級講習者への指導を行うことができる. ・機器の原理・構造の説明について ・センサーチップ CM5 の原理・利用法について ・アミンカップリング法の原理・利用法について ・解析ソフトの使い方について ・機器のメンテナンスについて □ Sanitize を行うことができる. □ システムチェックを行うことができる. □ センサーチップ SA*2),NTA*3),HPA*4)の原理を理解している. *2)ビオチン化した DNA,ペプチド,タンパク質を固定化 *3)His-Tag タンパク質を固定化 *4)リン脂質,糖脂質などを固定化 【上級】 □ 中級講習者への指導を行うことができる. □ キャプチャー法を行うことができる. □ 濃度測定を行うことができる. □ 未知結合物質のスクリーニングを行うことができる. □ センサーチップ SA,NTA,HPA を使うことができる. □ たんぱく質-たんぱく質相互作用の解析を行うことができる. □ たんぱく質-ペプチド相互作用の解析を行うことができる. □ DNA-たんぱく質相互作用の解析を行うことができる. □ 糖-たんぱく質相互作用の解析を行うことができる. □ 脂質-たんぱく質相互作用の解析を行うことができる. □ 精製・スクリーニングへ応用することができる. □ BIACORE と他の分析手法との組み合わせ・比較を行うことができる. 56 2. 展示会(広報) 期間 5 月 14~15 日 展示会名称 発表場所 北海道大学 第 7 回全国 VBL フォーラム テーマ「VBL の多様な発展:科学技術駆 動型の産業・地域貢献」 第 7 回全国 VBL フォーラム 57 展示内容 信州大学 SVBL の概要 3. 業績リスト ◆ 出願特許 1) 大越豊, 高崎緑, 山口裕香,大和宜民, 望月明, 山下修蔵, 白谷俊史, 「エレクトロスピニング法を用 いたカバードステント及びその製造方法」, 出願番号取得中, 国立大学法人信州大学(2010 年 5 月 10 日). 2) 村上泰,花井嘉忠,宮澤伸,藤森隆志,西村浩紀,細尾昇平, 「水性電着塗料,電着塗膜の製造方法 および電着塗膜」,特願 2010-210014 (出願日:2010 年 9 月 17 日),国立大学法人信州大学,株式 会社エヌ・ティー・エス,株式会社エム・ケー・サイエンス ◆ 投稿論文 1) M. Takasaki, K. Sugihara, Y. Ohkoshi, T. Fujii, H. Shimizu, and M. Saito, Thermoplastic Polyurethane Ultrafine Fiber Web Fabricated by Laser Electrospinning, Sen'i Gakkaishi, 2010, 66, 58-63. 2) H. Moriwaki, A. Hagiwara, M. Takasaki, F. Izumi, A. Watanabe, R. Shimizu, N. Kuribayashi, and Y. Totani, Y. Suzuki, Electrospray ionization-mass spectrometric measurement of sake, the Japanese traditional alcohol beverage, for characterization, Analytical Sciences, 2010, 26, 379-382. 3) H. Xia, M. Takasaki, and T. Hirai, Actuation Mechanism of Plasticizer PVC by Electric Field, Sensors & Actuators: A. Physical, 2010, 157, 307-312. 4) H. Nakanishi, S. Okimi, M. Watanabe, M. Takasaki, and H. Konishi, Study on the biomass utilization from various genetic resources of mulberry. Proceedings of the 7th China International Silk Conference, 69-72, (2010). 5) 地村啓,吉野正人,村山寿郎,格子ボルツマン法を用いた平行平板間内を流れる複数個の粘弾性皮 膜固体の挙動解析,計算数理工学論文集, 2010, 10, 99-104. 6) 村山寿郎,吉野正人,平田哲夫,二相系格子ボルツマン法を用いた流体中における粘弾性皮膜固体 の挙動解析(内部流体の粘度が固体の挙動に与える影響について),日本機械学会論文集B編, (掲 載予定). 7) T. Murayama, M. Yoshino, T. Hirata, Three-Dimensional Lattice Boltzmann Simulation of Two-Phase Flow Containing a Deformable Body with a Viscoelastic Membrane, Communications in Computational Physics, (in press). 8) 小西 繭.シリーズ・Series 日本の希少魚類の現状と課題「シナイモツゴ:希少になった雑魚を守 る」.魚類学雑誌,2010, 57(1), 80-83. 9) T. Kawasoe, T. Watanabe, T. Fujii, A novel method using a keratin film for quantifying the photo-modification of hair proteins J. Jpn. Cosmet. Sci. Soc., in press ◆ 総説・解説 1) 高崎緑, 若手研究者総説「レーザーエレクトロスピニングによる極細繊維製造技術の開発」, 成形 加工学会誌, 2010, 22(10), 545-549. 58 ◆ 学会発表 1) ○高崎緑, 衣川信矢, 森江健吾, 大越豊, 平井利博, レーザーエレクトロスピニングによる極細繊維 製造技術の開発, 平成 22 年度繊維学会年次大会, 平成 22 年度繊維学会年次大会予稿集, 2010, 65(1), 183. 2) ○原健太郎, 高崎緑, 大越豊, 藤井隆幸, 清水宏泰, 斉藤雅春, エアブロー型レーザーエレクトロス ピニングによる極細PU繊維不織布の作製, 平成 22 年度繊維学会年次大会,平成 22 年度繊維学会年次 大会予稿集, 2010, 65(1), 232. 3) ○中西弘充, 夏木潤, 高崎緑, 小西哉, 藤松仁, 桑由来バイオマスの特有成分に関する研究, 平成 22 年度繊維学会年次大会,平成 22 年度繊維学会年次大会予稿集, 2010, 65(1), 332. 4) ○沖見統, 渡邊麻起子, 中西弘充, 高崎緑, 小西哉, 非食用植物を用いたバイオ燃料の生成, 平成 22 年度繊維学会年次大会,平成 22 年度繊維学会年次大会予稿集, 2010, 65(1), 333. 5) ○佐藤大介, 高崎緑, 小西哉, 桑およびアレチウリを用いたバイオ燃料生成, 平成 22 年度繊維学会年 次大会,平成 22 年度繊維学会年次大会予稿集, 2010, 65(1), 334. 6) ○山口裕香, 大和宜民, 高崎緑, 森江健吾, 大越豊, 平井利博, 立原誠之, 望月明, 白谷俊史, 山下修 蔵, レーザーエレクトロスピニングによる薬剤混入ポリ乳酸極細繊維の作製と溶出性評価, 第 59 回 高分子学会年次大会, 第 59 回高分子学会年次大会予稿集, 2010, 59(1), 1976. 7) ○Midori Takasaki, Shinya Kinugawa, Kengo Morie, Yutaka Ohkoshi, and Toshihiro Hirai, Preparation of Ultra-Fine Fibers by Laser-Electrospinning Process, Proceedings of Asian Workshop on Polymer Processing 2010, 2010, 219-220 (Hanoi, Vietnam). 8) ○M. Takasaki, R. Ogura, H. Morikawa, S. Chino, and H. Tsuiki, Preparation and Properties of Paper Yarn from Mulberry, Proceedings of the 7th China International Silk Conference, 2010, 579-583(Suzhou, China). 9) ○H. Nakanishi, S. Okimi, M. Watanabe, M. Takasaki, and H. Konishi, Study on the Biomass Utilization from Various Genetic Resources of Mulberry, Proceedings of the 7th China International Silk Conference, 2010, 69-72 (Suzhou, China). 10) ○Yutaka Ohkoshi, Midori Takasaki, Kentaro Hara, Takashi Fujii, Hiroyasu Shimizu, and Masaharu Saito, PREPARATION OF POLYURETHANE WEB USING LASER-ELECTROSPNNING’, NRF- JSPS Core University Program Advanced Polymeric Materials and Technology Symposium (APMT 2010), 2010 (Jeju, Korea). 11) 中西弘充,夏木潤,高崎緑,小西哉,藤松仁.桑由来バイオマスの特有成分に関する研究, 平成 21 年度繊維学会年次大会,繊維学会予稿集, 2010, 65, 332. 12) H. Nakanishi, S. Okimi, M. Watanabe, M. Takasaki, and H. Konishi. Study on the Biomass Utilization from Various Genetic Resources of Mulberry, the 7th China International Silk Conference, 2010, 69-72. 13) 中西弘充,高崎緑,小西哉.桑遺伝資源を用いたバイオマス有効活用の研究,日本蚕糸学会第 66 回 中部支部昆虫機能・利用学術講演会,日本蚕糸学会中部支部講演集,2010, 66, 73. 14) 村山寿郎,吉野正人,平田哲夫,二相系格子ボルツマン法による流れ場における粘弾性皮膜固体の挙動 解析(固体の体積および表面積変化を考慮した弾性モデルの改良) ,日本混相流学会,年会講演会 2009 講演論文集, 2009, 338. 15) 村山寿郎,吉野正人,平田哲夫,格子ボルツマン法による管路内流れにおける粘弾性皮膜固体の変形解 析,日本機械学会,第87期流体工学部門講演会講演論文集, 2009, 455. 59 16) 村山寿郎,吉野正人,平田哲夫,ダクト内を流れる複数個の粘弾性皮膜固体の挙動解析,日本混相流学 会,年会講演会2010講演論文集, 2010, 34. 17) 関大輔,松原雅春,再層流化チャンネル流の大規模構造について,日本流体力学会年会 2010,年会 講演要旨集, 2010, p.63-64 18) 関大輔,名取努,松原雅春,再層流化二次元チャンネル流の実験的研究,第 45 回「乱流遷移の解明と 制御」研究会,2010. 19) 藤井敏弘,高山俊輔,伊藤弓子,渡辺智子,川副智行:毛髪タンパク質フィルムを利用したパーマ 液による損傷評価;日本香粧品学会第 35 回学術大会 講演要旨, 2010, 52. 20) 高山俊輔,伊藤弓子,藤井敏弘,渡辺智子,川副智行:パーマ処理がヒト毛髪タンパク質フィルム に与える影響;第 65 回繊維学会予稿集 65(1), 2010, 266. 21) 藤井敏弘,高山俊輔,伊藤弓子,渡辺智子,川副智行:ヒト由来の毛髪タンパク質フィルムの作製 と応用;第 10 回日本蛋白質科学会年会 プログラム要旨集, 2010, 164. ◆ 招待講演 1) ○高崎緑, 小倉理恵, 茅野誠司, 森川英明, 桑繊維による抄紙と紙糸への応用, 信大繊維学部産学交 流会 in 塩尻 2010, (ポスター発表). ◆ 受賞歴 1) ○Midori Takasaki, Shinya Kinugawa, Kengo Morie, Yutaka Ohkoshi, and Toshihiro Hirai, Preparation of Ultra-Fine Fibers by Laser-Electrospinning Process, Asian Workshop on Polymer Processing 2010 (Hanoi, Vietnam). Best Poster Presentation Award. ◆ 依頼講演 1) ○小西 繭,人と共に生きる里山の生き物‐淡水魚シナイモツゴ‐とため池保全,小諸ミズオオバ コ保全会議,2010 年 9 月 4 日(小諸市民会館,小諸). 60 信州大学サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー 活動報告書 平成 22 年度 編集 信州大学 SVBL 活動報告書編集委員会 発行日 平成 23 年 3 月 31 日 発行 信州大学サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー(信州大学 SVBL) 〒386-8567 長野県上田市常田 3-15-1 TEL 0268-21-5325 FAX 0268-21-5326 http://www.svbl.shinshu-u.ac.jp/ C 2011 ○ 無断で複製・転載することを禁じます。 信州大学サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー
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