1 カ月 60 時間を超える時間外労働 割増賃金率 25%⇒ 50%

法改正情報 2014 年 5 月号
浅山社会保険労務士事務所/株式会社浅山式賃金研究所
月 60 時間超の残業
平成 28 年 4 月より中小企業も「5 割増」
平成22年4月1日に施行した改正労働基準法では、現在従業員数が300人超の大企業に限り1
カ月60時間を超えた場合の時間外割増率「50%以上」に引き上げました。中小企業に対しては、
「当分の間、適用しない」としていましたが、政府は中小企業の残業代を引き上げる検討に入り
ました。平成28年4月からの運用を目指しています。
現在の25%増しから大企業と同じ水準に引き上げて、なるべく長時間労働を減らすよう促す
ことが目的です。
中小企業にとっては人件費の負担増が懸念される改正です。今回の改正について、今後の影響
も含めてまとめましたので、ご覧ください。
※ 詳しくは浅山社会保険労務士事務所まで
1 カ月 60 時間を超える時間外労働
割増賃金率 25%⇒50%
◆割増率 50%が適用されるようになると…
猶予となっている中小企業
1 カ月の所定労働時間 160 時間、出勤日数 20 日、
時間外時間 70 時間の場合
①資本金または
②常時使用する
業種
基本給
200,000 円
出資総額
労働者数
ま
営業手当
20,000 円
小売業
5,000 万円以下
50 人以下
た
家族手当
10,000 円 割増賃金の除外
サービス業 5,000 万円以下
100 人以下
は
通勤手当
15,000 円 となる手当
卸売業
1 億円以下
100 人以下
上記以外
<1 カ月の割増賃金単価(割増率 25%の場合)>
(基本給 +営業手当)
3 億円以下
300 人以下
÷ 1 カ月の所定労働時間 ×割増率
(200,000 円+20,000 円)÷
160H
×
1.25
=1,719 円
(四捨五入)
<1 カ月の割増賃金単価(割増率 50%の場合)>
(基本給 +営業手当)
÷ 1 カ月の所定労働時間 ×割増率
(200,000 円+20,000 円)÷
160H
×
1.5
=2,063 円 (四捨五入)
<割増賃金の額>
割増率 50%適用前
1,719 円 × 70 時間 = 120,330 円
割増率 50%適用後 (1,719 円×60 時間)+(2,063 円×10 時間)=123,770 円
123,770 円-120,330 円=3,440 円 3,440 円×12 カ月=41,280 円
1 年あたり、41,280
円の負担増!
従業員 50 人だと、2,064,000 円の負担増!
◆今後の課題と影響
人件費を抑えるために残業代を減らす効果が期待できます。一方で、かえって残業代を払おう
としない企業が増えてしまう可能性もあるため、厚生労働省は、労働基準監督署による監視の強
化も併せて検討しています。
また、例えば運送業など残業時間を減らしにくい業界については、企業の残業代負担を抑える
ため、助成金などの措置を検討しています。
※ 割増率 50%の適用に関してのご質問は、浅山社会保険労務士事務所(TEL 043-255-6410)までご相
談ください。