③ 学習支援部 №9 2014.9.29.発行 英単語の自学自習法について① 英語科 飯森 達也 「英単語がなかなか覚えられない」と感じている本高生は多いと思います。「英単語は嫌々 やらされるもの…」と感じている人もいると思います。この稿では、本高生が持っている教材 を想定して、単語の覚え方についていくつか提案をしたいと思います。「なるほど」と感じ 「自分にもできる」と思ったことがもし一つでもあれば、日頃の単語学習に取り入れてみて下 さい。 <何を覚えるか> 学校で使っている英単語ターゲット1900(以後ターゲットと呼びます)と、学校教科書 ・教材/模試問題の2本立てで単語を覚えていくのが、本高生には現実的でしょう。 ① 英単語ターゲット ターゲットに、載っている単語は、正しく発音でき、英→日、日→英の変換ができるように なることを目標にします。一度最後までやりきった人は、2周目、3周目と繰り返すことで、 記憶が確実になっていきます。 ターゲットは、標準より少しだけレベルが高めの単語集です。その結果、基本的な単語が抜 けている場合があり、そこを補う意味でも、教科書や模試復習を通じた単語学習が不可欠です。 例をあげると、今年3月の埼玉大の二次試験の英語長文の中に出ていた amount(量・合計)、 effort(努力)、diet(食事内容)、fair(公正な)、population(人口)、shape(形)といった単語は、中 学での必修語ではありませんが、索引を見るかぎりでは、ターゲットに載っていません。ター ゲット的には基本以前の単語と判断され、掲載されなかった可能性があります。この6つの単 語は、コミュニケーション英語Ⅱの教科書には、派生語の形を含めると、全て載っています。 このように、ターゲットと学校での教材の両方について、並行して学ぶことによって、バラン スよく語彙を広げることができます。 ② 教科書や教材の単語 教科書や教材の英単語については、人名などの固有名詞はあらかじめ除いた上で、書いて練 習する習慣をつけよう。たとえ覚えきれなくても頻出単語はそのうちに別のところで再会しま す。一度に完璧に覚えようとせず、新しい英単語については、とりあえず発音を確認し、音読 しながら何回か書き、日本語の意味と英単語のスペルを頭の中で結びつけることを習慣にする といいでしょう。定期試験の前に、試験範囲の単語を復習しなおすなど、その単語の記憶を取 り戻すため、繰り返しを工夫しましょう。 英語以外の科目の授業に登場する英単語 も意外に重要です。自然科学に関する文章 は、文系学部でも出題され、特に生物など 理科で習ったカタカナ言葉が英単語として 登場することがあります。また政治経済・ 倫理のプリントの中のカタカナ言葉が、英 語の長文の中に登場することがあります。 模試問題、別の単語集など ターゲットの単語を覚えきり、「もうターゲットは仕上げた」と感じている人は、模試や多 読教材の単語を、しっかりと覚えていくという方向があります。また、大学進学を目指す人の 場合、志望校の入試レベルに見合う別の単語集を入手し、それに取り組むという方向性もあり ます。 模試の長文問題は、内容的にも単語のレベルについても、考え抜かれていますので、音読用 英文として、折に触れて音読し、その際に単語も覚えていく習慣を持つと良いでしょう。そろ そろ赤本などで志望校の問題研究を始めている人もいると思います。志望校の英語問題に、ど のレベルの単語が語註無しで出てくるのかに注意を払ってください。特に医療系学部の場合は、 同じ医学関連単語が繰り返し出てくることがよくあります。目標が決まっている場合、過去問 研究は早めに始めましょう。 特進クラス学習合宿の報告②~ピアサポート 最終日に生徒達に書いてもらった「総括」から,ピアサポート実習に関するものを紹介しま す。ピアサポート実習は,2年生2人が1年生1人を教えるという基本スタイルで,事前に2年生に は「教えられる教科」を,1年生には「教えてもらいたい教科・内容」を申告してもらい,それ をベースにチームを作り,2日目の夜に実質1時間で行ったものです。これらの感想からは, 「自分が何がわかっていて何がわからないのかに目が向く」「暗記だけの知識よりも理解が大 事と考える」「理解するために図を描く・教科書の活用・先生への質問などを積極的に行う」 「人に教えることによって自分自身の理解度をチェックできる」「理解していれば“そもそも ・なぜ”が説明できる」などの認知心理学的に望ましい学習観が読み取れます。みなさんも, これらの学習観を参考に,毎日の授業や家庭学習に臨んでみませんか。 1年生 ●わからないところが具体的にわかったし,数学は公式を覚えなきゃだめだと思っていたけれどもどうし てそうなるのかわかって,覚えやすくなったし,覚えなくてもいいんだと思った。 ●ピアサポートは思っていたよりもかなりていねいに接してくれた。また,年が近いので質問がしやすか った。 ●図を書いたり,分からないところをていねいに話してくれたり,私が理解したか確認もしてくれて有意 義に過ごせた。また,先輩は本当に理解しているのだなと感じた。 ●またこのような機会があるといい。そのときは,もっと自分がどこが分からないのかなど,明確にして から教えてもらうようにする。 2年生 ●ピアサポート実習は自分の理解しているところ,していないところを認識する良い機会となった。教え る難しさがわかった。 ●ペアの子と協力し合いできたのでよかったです。また,1年生も積極的に質問してくれてうれしかったで す。 ●初めて行ったピアサポートは少し緊張しました。しかし,やっているうちにどんどん楽しくなり,1時間 では足りなかったかなと思います。自分の理解度+説明力もわかり,とても貴重な経験だったと思います。 ●相手に分かりやすいように伝えることで,自分の理解にもつながりました。 ●わからないところや教え方にとまどうことも多かったけれど,先生の力を借りたり教科書を読みこんだ りして,理解してもらうことができた。自分の復習にもなった。 ●ピアサポートでは“なぜこうなるのか”をうまく説明できたと思う。今後も機会があればやりたい。 ●ピアサポートでは,人に教える上で,自分で準備することで,より自分の中での理解力も高まり,教え てるときに,自分が説明できないところがあったら,自分自身もそこが理解できていないと気づけて,良 かったなと思った。
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