第6学年前期 教科名:医事法学[社会歯科学] 学修目標 医業は「自由業

第6学年前期
教科名:医事法学[社会歯科学]
学修目標
業は「自由業」といわれているが,実際は多くの法律によって規制される,最も「不自
由」な職業の一つであることを知る。市民の権利意識の高まりのなかで,患者の自己決定
権と医療の理念との相克の間に,いかにして調和を見いだすかを理解する。
■教 科 書:1医療六法 平成 29 年版(中央法規出版)
2事例・判例から学ぶ 歯科の法律 2015 年第1版第7刷(医歯薬出版)
■参 考 書:1臨床のための法医学 第6版(朝倉書店)
■授業時間:4月4日~5月 16 日 火曜日 11:00~11:50
4月 15 日
土曜日 11:00~11:50
5月 30 日~7月 11 日 火曜日 10:00~10:50,11:00~11:50
■オフィスアワー:網干 博文 月曜日 12:00~13:00
堤
博文 月曜日 12:00~13:00
伊澤
光 月曜日 12:00~13:00
丸山
澄 月曜日 12:00~13:00
■成績評価:全時間の出席を前提とする。定期試験(100%), 受講態度不良は減点の対象
とする。
■注意事項:講義に教科書を持参すると理解しやすい。
■準備学習:必ず事前に教科書を読んで,授業内容の目的を理解しておくこと。
■準備学習時間:各々授業時間相当を充てて予習と復習を行うこと。
授業日・担当者
第1回4月4日
網干 博文
講 義 項 目
学 修 到 達 目 標
1.
医療をとりまく法律の ・ 法律学の一分科であって,医事に関す
概説
る特別法を主体に学ぶ医事法学の存在
(教 2)pp.1-4
を知る。
・ 人権の保障,医療事故の責任,生命倫
理の尊重,保健医療行政の後見的役割
など,医事法学の課題を理解する。
・ 歯科医師をとりまく法律の種類,機能
および目的を学ぶ。
授業日・担当者
第2回4月 11 日
伊澤 光
講 義 項 目
学 修 到 達 目 標
・歯科医師国家試験受験の欠格事由と歯
2.歯科医師の条件
科医師免許取得に関する欠格事由につ
歯科医師免許取の条件
いて学ぶ。
3.歯科医師免許に伴う権
・免許の取り消しと業務停止について知
利
る。
(教 2) pp.5-7
・歯科医師免許の法的効果,
特に歯科医業
pp.117-121
の独占と名称の独占の意義を知る。
(参 1)p.180
・無免許医業罪について,
共同正犯の成立
することもあることを認識する。
第3回4月 15 日 4.歯科医師法上の義務と ・歯科医師をとりまく歯科医師法上の義
務と禁止事項について学ぶ。
(土) 禁止事項(1)
伊澤 光
(教 2)pp.23-35
・診療には応じる義務(応招義務,診断書
(参 1)pp.181-185
交付義務)があることを知る。
・診断書交付時の注意や罰則などについ
て理解する。
・診療,
投薬,
処方箋の交付などはすべて,
自らが診察してから行わなければなら
ない(無診察治療等の禁止)ことを理解
する。
・医薬分業の意義,処方箋記載事項,処方
箋交付時の注意事項について学ぶ。
・原則的には処方箋を交付しなければな
らないが,
しなくてもよい場合はいかな
る状況かを理解する
(処方箋交付義務)
。
・診療後は,療養方法等の指導義務があ
る。その法的根拠は何かを学ぶ。説明の
範囲と内容について理解する。
説明不足
による予後不良の責任について知る。
授業日・担当者
第4回4月 18 日
伊澤 光
講 義 項 目
学 修 到 達 目 標
また診療録の作成と保
4.歯科医師法上の義務と ・診療録とは何か,
存の義務を良く理解する。
診療録記載事
禁止事項(2)
項,診療録作成時の注意,医療文書の取
(教 2)pp.36-50
り扱いについて理解する。
pp.138-149
・診療録は歯科所見による身元確認など
pp.158-163
を通して,国の司法・行政にも協力して
(参 1)pp.181-185
いることを知る。
pp.191-192
・厚生労働大臣が歯科医療または保健指
導に関して指示を出すのはいかなる状
況に至った場合かを理解する
(特別指示
遵守義務)。
・歯科医師は氏名,
住所その他を厚生大臣
に届け出なければならないが,
その理由
について考える(届出義務)。
・歯科医師としての品位とはいかなるこ
とか,
また有責の場合の行政処分はどう
なるかを知る(品位保持義務)。
第5回4月 25 日
丸山 澄
5.医療法(1)
(教 2)pp.84-96
(参 1)pp.190-191
・医療法制定のいきさつ,
法律の目的につ
いて学修する。
・病院,診療所,地域医療支援病院,特定
機能病院および臨床研究中核病院の定
義を学ぶ。
・転医勧告義務,転医時説明義務,受診勧
告義務を理解する。
・医療施設機能の体系化と患者の流れに
ついて理解する。
第6回5月2日
丸山 澄
5.医療法(2)
(教 2)pp.84-96
(参 1)pp.190-191
・医療に関する選択の支援について知識
を学ぶ。
・標榜科名と広告の制限について理解す
る。
・医院の開設と管理に関する知識を会得
する。
・院内掲示に関する事項を知る。
授業日・担当者
第7回5月9日
丸山 澄
講 義 項 目
5.医療法(3)
(教 2)pp.84-96
(参 1)pp.190-191
学 修 到 達 目 標
・医療の安全と確保に関する知識を会得
する。
・医療安全支援センターについて理解す
る。
第8回5月 16 日
丸山 澄
5.医療法(4)
(教 2)pp.84-96
(参 1)pp.190-191
・医療提供体制の確保に関する知識を学
ぶ。
・医療計画に定める事項について理解す
る。
第9回5月 30 日
丸山 澄
5.医療法(5)
(教 2)pp.84-96
(参 1)pp.190-191
・医療計画における5疾病5事業を知る。
・地域医療構想,
地域医療支援センターな
どについて理解する。
・地域包括ケアシステムについて学ぶ。
6.医療行為
(教 2)pp.8-9
(参 1)pp.180-181
・ 業としての医療行為とは何かを理解す
る。
・ 医療行為と認められるための3つの条
件(治療目的,承諾,医学的・社会的正
当性)について理解する。
・ 生体腎移植,正常分娩および美容整形
手術などは医療行為といえるかについ
て検討する。
・ 実験的治療行為に対する考え方を理解
する。
7.歯科衛生士法
(教 2)pp.75-83
pp.122-123
・歯科医師をとりまく医療スタッフの業
務範囲を認識し,
無免許医業罪などの問
題を引き起こさないよう努めることを
学ぶ。
・歯科衛生士法の制定のいきさつ,
目的な
どを理解する。
・歯科衛生士法上の名称使用制限,
守秘義
務,
業務記録の作成および保存の義務と
は何かなどについて知る。
伊澤 光
第 10 回6月6日
丸山 澄
授業日・担当者
丸山 澄
講 義 項 目
8.歯科技工士法
(教 2)pp.75-83
( ) pp.122-123
学 修 到 達 目 標
・歯科医師をとりまく医療スタッフの業
務範囲を認識し,
無免許医業罪などの問
題を引き起こさないよう努めることを
学ぶ。
・歯科技工士法の制定のいきさつ,
目的な
どを理解する。
・歯科技工士法は,
業務に関する人のみな
らず歯科技工所の施設をも規制する法
律であることを理解する。
・歯科技工指示書の記載事項とその保存
義務について学ぶ。
第 11 回6月 13 日 9.医師と患者の法律関係 ・診療契約の特質を学ぶ。
(教 2)pp.16-22
・診療契約に伴って生じる医師の権利と
伊澤 光
(参 1)pp.189-190
義務について学ぶ(準委任契約説と請負
契約説)。
・診療契約はいつの時点で成立するかな
どを考える。
伊澤 光
10.医師の注意義務
・注意義務の法的根拠を知る。
(教 2)pp.16-22
・民法上は受任者の注意義務(善管注意義
(参 1)pp.189-190
務)違反,刑法上は業務上過失致死傷罪
に問われることを知る。
・注意義務の分類,
注意義務の二面性およ
び医療にまつわる水準について理解す
る。
第 12 回6月 20 日 11.刑法上の義務と禁止事 ・歯科医師には患者の秘密を守る義務が
伊澤 光
項
ある。秘密とは何か,一方,秘密を話し
(教 2)pp.51-53
ても秘密漏泄罪に問われないときはど
pp.57-62
んな場合かなどについて理解する
(守秘
(参 1)pp.188-189
義務)。
・医師の虚偽診断書作成の罪とは何か,
虚
偽の記載とは何か,
証明文書の三型とは
何かについて理解する。
・無診察診断書と虚偽診断書の作成の罪
が同時に成立した場合の責任について
理解する。
・国公立病院に勤務する医師の虚偽私文
書作成の罪は,公文書偽造に問われ,罪
が重くなることを理解する。
授業日・担当者
伊澤 光
講 義 項 目
12.民法上の義務と責任
(教 2)pp.54-56
pp.63-74
(参 1)pp.189-190
第 13 回6月 27 日 13.治療中の呼吸停止
丸山 澄
(参 1)pp.91-97
丸山 澄
14.医療事故
(教 2)pp.97-104
pp.111-116
(参 1)p.193
学 修 到 達 目 標
・債務不履行と不法行為による損害賠償
責任を学ぶ。
・使用者責任,
共同不法行為責任および工
作物の占有権について理解する。
・歯科医師には鑑定および証言の義務の
あることを理解する。
・鑑定を依頼される場合はどのような手
続きが必要か,
また裁判所などにおいて
証言を拒否し得る場合はどのような時
かなどについて理解する。
・歯科治療中の呼吸停止には薬物による
アナフィラキシーショックもあれば鼻
口閉鎖による窒息の場合もあることを
学ぶ。
・窒息の症状および経過について学ぶ。
・窒息死体の特徴を知り,
窒息死体検案時
の着眼点を学ぶ。
・窒息死体の剖検所見を知る。
・窒息で起こる呼吸停止の症状を知る。
・過去に発生した歯科治療事故に起因す
る呼吸停止の裁判例からその実態を探
る。
・過去に発生した歯科治療事故から学ぶ
リスクマネジメントについて考える。
・医療事故・医療過誤とは何かを知る。
・医療事故すべてが医療過誤ではないこ
とを理解する。
・医療事故発生の要因について考える。
・医療事故の分類について考える。
・医療過誤の成立要件について考える。
・医療事故発生時の一般的な注意点につ
いて理解する。
・医事紛争における歯科医療の特質を学
ぶ。
授業日・担当者
第 14 回7月4日
堤 博文
堤 博文
講 義 項 目
学 修 到 達 目 標
15.
医療過誤をめぐる制裁 ・医療事故が発生した時の医師に対する
(教 2)pp.105-110
社会的制裁
(マスコミ報道)と法的制裁(
pp.124-137
民事的制裁,刑事的制裁,行政処分)に
pp.164-167
ついて理解する。
(参 1)pp.193-194
・民事事件の法的解決方法と順序を学ぶ。
・実例をもとに,判決,医道審議会,行政
処分およびリスクマネジメントについ
て紹介し,医療事故の本質を学ぶ。
16.医療事故事例の供覧
・実例をもとに,判決,医道審議会,行政
処分およびリスクマネジメントについ
て紹介し,医療事故の本質を学ぶ。
第 15 回7月 11 日 17.まとめ(1)
小室 歳信
・医事法学の講義を総括し,
学修した内容
をまとめる。
17.まとめ(2)
・医事法学の講義を総括し,
学修した内容
をまとめる。
小室 歳信