第2章 国際交流活動に関する特色ある事例 この章では海外の教育機関との交流活動について、特徴的な事例を幾つか紹介する。高 専機構本部は毎年海外の教育機関との国際交流活動に関する調査を行っている。このデー タを分類整理するために、学生交流、短期留学、語学研修、その他の項目に分類すること とし、また国際交流が相互交流であることから学生の派遣と受入れとに細分化して纏めな おし資料として編纂した(第4章に収録している)。この資料をもとに、個別調査が必要 な活動について洗い出し作業を行い、訪問調査もしくは電子メールなどを利用した調査を 行った。 ここでは、他の高専が今後の国際交流活動を展開する際に参考になるであろうと思われ る事例を紹介する。国際交流活動を今後の課題としている高専、取組は開始しているもの の更なる展開を検討している高専等にとって有効な情報となるものを取り上げている。 担当者らのデータ読み取りの力不足でここに掲載できていない取組があることを恐れて いる。このようなケースについては、ホームページ上での更新で対応させていただく予定 である。 2.1 2.1.1 学生交流 学生の海外派遣 機構の調査結果は、延べ約半数の高専が海外研修、学生交流で高専生を海外に派遣して いることを示している。派遣の期間は、1週間程度のものから90日の長い期間の事例が ある。各高専、それぞれに国際化の教育プログラムを開発していることが見て取れる。こ こでは、その中から特徴的な事例を幾つか紹介する。 (1)東京高専 東京高専では日豪学生交流、日韓学生交流、日本フィンランド学生交流のプログラムを 持っている。ここでは日豪学生交流について、担当教員から頂いたコメントを要約し掲載 する。 東京高専には国際交流協定・留学生施策等を扱う国際室があり、その下に国際交流委員 会と留学生支援委員会が接続している。日豪学生交流、日韓学生交流、ヘルシンキ学生交 流の3つの学生交流プログラムは国際交流委員会が取りまとめている。事務部は交流協定 については総務課が、各学生交流については学生課が支援している。(委員会には学生支援 係長が出席する。)実質的な作業は事務部ではなく、委員会が担っている。 日豪学生交流で1単位、ヘルシンキ学生交流で2単位認定しており、両方合わせて最大 3単位が認定可能で、一般科目 Practical English I, II として単位認定している。 この単位は外部資格の単位と同等の扱いだが、卒業単位の一部として扱われている。 この日豪学生交流プログラムは本科生(1年から5年)を対象に募集し、平成21年3 月17日から27日の11日間で実施されている。現地での滞在はホームステイかユース ホステルに分かれている。具体的なプログラムは英会話とオーストラリアの文化に関して の研修より構成されている。学校から参加学生への経費支援はなく、引率教員の旅費は校 費より支給されている。日豪学生交流募集要項を第4章に掲載する。 (2)群馬高専 上海工程技術大学 (学生8名)6日間 専攻科1年生、本科4年生を対象として参加者募集を行い、3月下旬に5泊6日で実施 している。費用の一部として後援会からの補助金(200万円)を参加人数で割った金額 を充当し、不足分は参加者の自己負担としている。交流プログラムは歓迎式典は当然とし、 学生同士、グループで自己紹介、双方の文化紹介、学校生活の紹介などを行う。実施方法 としては、クラブ活動紹介などのテーマ設定を行い、パワーポイントを用いて英語でのプ レゼンテーションを行うものである。 緊急事態への対応としては次のように準備がなされている。 1.引率教員には、現地で使用可能な携帯電話を貸与、日々の連絡を学校(学生課)に 報告している。 2.出発までの学生と教員間の連絡用にメーリングリストを作成し、同報連絡できるよ うにしてある。 3.特に重要なのが、旅行代理店の随行社員の資質で(中国語、中国社会への対応に慣 れていること)、代理店選定は数社からの相見積もりで決定するが、金額のみな らず現地での対応能力を重要視している。 (3)熊本高専・熊本キャンパス(旧:熊本電波高専) 熊本高専(熊本キャンパス)では4年次の研修旅行の見直しを行い、訪問先を海外とし て研修旅行を実施している。研修旅行は各学科でそのプログラムを策定しており、平成2 0年度は、情報通信工学科がマレーシア、電子工学科は韓国、情報工学科はシンガポール そして電子制御工学科はシンガポールとフィンランドに訪問国を設定し研修旅行を実施し ている。 情報工学科と電子制御工学科は国際交流協定を締結しているテマセク・ポリテクニクを 訪問して学生交流を行っている。また、フィンランドの場合はオウル応用科学大学を訪問 し学生交流を実施している。 学科ごとのプログラムであるために掛かる経費や期間は学科ごとに異なっている。例え ば電子制御工学科の研修旅行では航空券だけを国内の旅行代理店に依頼し、宿泊先や現地 での交通手段などは全て学科の担当者が行い、経費削減に努めている。1週間滞在し経費 は8万円程度であり、滞在期間中現地校学生と行動を共にし、工場見学も合同で実施して いる。 参考資料として電子制御工学科の研修旅行ガイドブック(暫定版)を第4章に収録して いる。 2.1.2 海外学生の受け入れ (1)和歌山高専 上海電気学院 (学生12名 引率教員2名) 2週間 本科3年生以上の学生を対象として参加募集を行い、3月下旬から約2週間で実施して いる。旅費(国際航空券)の半額は後援会より助成を行っている。現地での宿泊、食事、 移動などの費用はすべて先方の負担となっている。交流内容は中国語基礎、中国文化を学 習する以外に、中国武術、中国伝統踊り体験プログラムも含まれている。さらに、英語で 行う専門科目に関連する講義の受講機会も設定されることがある。上海や蘇州の名所・旧 跡の見学や中国企業を見学もある。食事は歓迎会以外には全て学生食堂で摂るが、経費は 全て先方負担である。 本校学生のホスト校である上海電気学院からは同年7月に和歌山高専に短期留学に来る。 前述の交流後の来日であるので学生同士知り合っている場合も多く、日本での更なる交流 が行われる。 (2)熊本高専(熊本キャンパス) 熊本高専では例年3月下旬にテマセク・ポリテクニク校の工学部、情報学部の二つのグ ループの研修旅行のお世話を行っている。それぞれの引き受け母体は電子制御工学科と情 報工学科である。訪問する学生数は工学部から30名程度、情報学部より15名程度であ る。工学部学生との交流は滞在期間(一週間)の交流プログラムを策定し、熊本キャンパ スの施設・設備見学、クラブ活動紹介、プロジェクト紹介、工場見学などがプログラムに 盛り込まれている。 2.2 海外インターンシップと短期留学 企業での就労体験だけをもってインターンシップと呼ぶ場合と実務訓練が伴う場合もイ ンターンシップの範囲に入れる場合があり、調査への回答が多少曖昧さを持っていた。こ こでは、回答側の意見を尊重することにしたので、インターンシップと短期留学を一つの 分類として取り扱うことにした。3週間程度、またはそれ以上の期間で学生を派遣してい る特徴的な高専として仙台高専、徳山高専、佐世保高専、熊本高専の4校がある。ここで は、4校の取組について簡単に紹介する。 2.2.1 高専生の短期留学派遣、海外インターンシップへの学生派遣 (1)仙台高専 仙台高専広瀬キャンパスでは、学術交流協定大学に本科5年生および専攻科1年生を派 遣している。以下の形式を採用している。 本科5年生:5年後期の5カ月程度、21単位を卒業研究および課題研究として読み替 える。TOEIC400点以上を条件とする。12名を予定。4年生の希望者に派遣ガイダンス を実施。 専攻科1年生:広瀬キャンパスの休業期間を利用して実施する(3週間で3単位、1週 間増えるごとに1単位増、最大6単位まで)。8名を予定(専攻科1年生のインターンシッ プは国内外を含め必修)。 派遣マニュアルを整備し、派遣の事前指導を行っている。 5年生、専攻科生を通じ、派遣旅費として10万円を一回限りで援助している。 (2)徳山高専 徳山高専・専攻科のカリキュラムが持つ「インターンシップ」は、企業、官公庁という 受入れ機関の一つとして海外連携校(オーストラリアの University of Wollongong)に学 生を派遣することも認めている。この場合、学生への旅費補助として 1 名につき10万円 を助成している。 単位認定の方法は学生の作成した報告書と報告会での発表内容、受入先の報告書による 総合的に評価を行い、6単位を認定している。科目名は、「インターンシップ」でありこの 単位は専攻科の必修単位である。 (3)佐世保高専 佐世保高専では、海外で活躍できる技術者の育成を目的とした国際的かつ工業的なイ ンターンシップ事業として、経済発展の著しい中国において、先入観なく就労できる人 材を育成するため、平成17年度から厦門(アモイ)理工学院との間で学生及び教員の 相互交流事業を行っている。これは、実践力と国際性を同時に育成するものとして高く評 価され、国際交流があまり活発でない高専において、モデルケースになるものとして平成 17年度の現代 GP にも採択された。 平成20年度の交流事業では、専攻科生6名・教員3名を3週間の日程で10月に派 遣を行っている。交流内容は、授業・学生実験への参加、先端設備を用いた研修、異文 化研修、工場見学、一般家庭でのホームステイなどで、さらに、厦門進出の日系企業で インターンシップ(3日間)も行っている。終了後の学生アンケート結果では、ほとん どの学生が「得たこと・学んだことが大いにあった。」と答えている。平成20年度の 場合、学生の旅費補助として、渡航旅費の約半分である約7万円を同窓会の寄付金から 支援している。 単位認定の方法は、学生の作成した報告書と報告会での発表内容、受入先の報告書によ り総合的に評価を行い、2単位を認定している。科目名は、「インターンシップ」であり、 この単位は専攻科の選択単位である。 (4)熊本高専(熊本キャンパス) 熊本高専は国際交流協定校に短期留学生として学生を派遣している。学生一人当たり1 0万円を旅費の支援として助成している。平成20年度はテマセク・ポリテクニクへ学生 1名を派遣し、夏季休業の約50日間滞在している。また、企業でのインターンシップと してマレーシアのジョホールバルにあるブラザー工業にて一週間の企業研修を行っている。 受入れ人数は1名で経費は企業負担であった。なお、このインターンシップは全国高専よ り7名の受入れが行われている。 2.2.2 短期留学生の受入れ (1)仙台高専 キング・モンクット大学(学生12名、引率教員2名)30日間 仙台高専では交流協定に基づいてタイのキング・モンクット大学より毎年学生の受入れ を行っている。海外からの学生は学生寮で生活を行っており、学生寮の滞在経費は日本人 学生と同様に扱われており、受入校からの経費助成は行われていない。 滞在期間中の研修プログラムは教務委員会と国際交流委員会がその実施を担当している。 この活動の詳細は『高専教育32号(2009)』に矢澤,伊勢,久保田著の論文が掲載 されている。短期留学生の危機対応マニュアルなどの整備は検討中である。なお短期留学 生は本国出発前に保険への加入が義務付けられている。 (2)熊本高専(熊本キャンパス) 5月1日から8月31日の3ヶ月間、フィンランドのオウル応用科学大学より2名の 学生が短期留学生として滞在した。受入れ学科は電子制御工学科で制御工学分野よりプ ロジェクトのテーマ設定が行われ、研修を行った。帰国後は実務訓練(プラクティカル・ トレーニング)として単位認定が行われる。滞在中は学生寮で生活をする。また、同校 からの派遣学生には、所属大学より航空券代と滞在費の一部が補助されており、最低限 の生活は保証されているようである。 シンガポールのテマセク・ポリテクニク(工学部、情報学部)より4名の学生が10 月 1 日より翌年の3月31日までの約180日間滞在した。受入れは、本校の情報工学 科と電子制御工学科である。フィンランドからの短期留学生の場合と同様にテーマ設定 を行いプロジェクトに従事している。なお、英語、体育などの授業に出席し、日本人学 生との交流促進をおこなっている。いずれの場合も短期留学生は本国出発前に旅行傷害 保険に加入している。 2.3 語学研修 語学研修のプログラムを持つ高専は20高専で期間は一週間程度のものから4週間程度 のものまで様々である。ここでは、松江高専がニュージーランドの大学と共同で開発した 語学研修プログラムと九州沖縄地区が合同で実施している夏季英語研修「英語キャンプ」 について紹介する。 (1)松江高専 松江高専がワイカト大学と協議を行い開発した語学研修プログラムで、平成20年度は 8月28(木) 9月22日(月)の期間であった。単位認定は『「特別学修(海外実習語 学)」2単位(※本語学研修を修了した本科の学生で申請をした者)』となっている。この 単位は卒業要件に含まれる。募集要項には経費として37万円と示されている。また、7 月から8月の出発までに毎週事前研修が実施されている。また、事後研修が10月に行わ れている。募集要項やしおり等を第4章に掲載する。 (2)九州・沖縄地区 九州沖縄地区では毎年8月後半の2週間に英語キャンプと称し熊本高専(熊本キャンパ ス)が世話校として海外英語研修(英語キャンプ)を実施している。募集人数は20名で 引率教員は延べ4名である。研修プログラムはシンガポール・ポリテクニクの語学教育担 当教員と検討会を開きカリキュラムについて打合せを行い、毎年改訂している。カリキュ ラム検討時のテーマは「どうやって学生に話をさせる機会を作り、自信を持たせるか」で ある。具体例として映画鑑賞を行わせ、内容について発表させる課題が組み込まれている。 また、映画はタイトルと映画館が指定されており、アクセスについては教えられない。 学生が必要とする経費は航空券、宿泊費、食費など合計して約12万円程度である。学 校からの支援はなく、全額自己負担である。第4章に英語キャンプ報告書を掲載する。 2.4 2.4.1 長岡高専「『地球ラボ』によるキャンパスの国際化」 長岡高専の国際化 在校留学生数 23 名(H22 年 1 月現在、うち新3年編入 7 名)という長岡高専では、例えば 多読授業など、校内の教員ごとに別々に従来やっていた国際化の取り組みの下地に、他高専か ら教員交流で移ってきた教員による英会話や英語多読などによる地域連携の動きが加わった ことで、「高専全体の取り組みにしよう」という機運が生まれ、文部科学省による平成 19 年 度採択の「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム:学生支援 GP(Good Practice)」 となった。この中心は、長岡市民センター「地球ひろば」(長岡駅前アーケードにある市出張 所内のスペースで、市在住外国人支援や国際交流を目的とする)の手法を導入して設立された 「地球ラボ」である。詳細は、以下の通りである。 2.4.2 地球ラボ * 図書館棟 1 階の出入り口付近に位置。小会議室ほどの広さのガラス張りの部屋。真ん中に 大きなテーブルと椅子。周囲に学生共用のパソコン・プリンター・大型液晶テレビ・冷蔵 庫等。スライドドアは常駐コーディネーターのいる時間 12:00 18:00 は開放し、学生は 自由に出入りできる。また、部屋の外側には各種掲示、関係団体の機関紙、その他インフ ォメーションや活動報告の写真等がラックやボードに展示され、学習室等に向かう学生が 立ち止まって詳細を見たり手に取ったりできる。 * 常駐コーディネーター:月 金曜 12:00 18:00 GP 期間中は長岡市国際交流センターから週 2 回スタッフが来ていた(今は来ていないが情 報交換に立ち寄ることはある)。 * 学生ラボスタッフも稼働している:立ち上げ当初から現在まで 25 人くらい出入りしてい るが、学生によって出入りのしかたや関わり方は違う。当初からいるのは 10 人くらい。口 コミで人を集め、イベントで興味を持ってもらう。 * その他の学生:ワーキングホリデーに行きたいと相談に来たり、学科の外部講師の話から 興味を持ってラボを訪れる。常連より、通りすがりの学生が掲示を見て興味を持って来るこ とが多いのは、ラボの立地条件がいいからであると思われる。図書館1階で、学生のグルー プ学習室やパソコン室の近く。 * GP 実施時の組織を踏襲し、現在では「国際交流推進センター(センター長、各学科・一 般教育科教員、留学生指導教員主任、地球ラボ室長、寮務主事補、事務部長、ほか校長が指 名するもの)」、 「地球ラボ学生協議会(学生会・寮友会)」、 「地球ラボ地域連携協議会(前述 の長岡市地球広場、後述する雪つばきの会、長岡高専技術協力会)」、「地球ラボ(ラボメン バー・留学生、ラボスタッフ、特命教授、ラボ室長、ラボ室員)」が相互に連携しあう組織 となっている。地球ラボ運営委員会は年間10回程度開かれ、センターの会議も同様にある が、校内の他の委員に比べ、教員には希望者も多いという。GP 当時は学生課所属の職員と 事務補佐員に頼っていたが、現在は常駐コーディネーターひとりでまかなう。 * GP 実施時、留学生・日本人学生双方にワークショップを実施し、寮の規則の説明や使い 方に関する考え、要望、問題点を明らかにしようとしたが、あまり大きな問題はなかった。 * 一連の「国際化」には他高専からの教員交流の先生や長岡科学技術大学の先生からの協力 が貢献している。国際化と言うと英語科の教職員に負担がかかるようなイメージはあるが、 見返りは多かった。通常、英語科は予算が取りにくいが、それまでの地道な活動を対外的に PR する手法を学び、もともとやってきたことややりたかったこと、例えば、多読の教材な どをラボ名目で充実させることができた。 * 現在の実施・利用状況などを以下に箇条書きする。 ・ 地球ラボ室: 「たまり場」として成功している/情報センターよりも機材がある/昨年 5 月の 遠足/6 月の留学生文化体験/5 月食堂で開催された留学生歓迎懇談会/6 月の 留学生実地見学旅行など ・ Rio 先生のフリートーク: 講師は常駐コーディネーター(海外経験の背景を持つ人材) (参考:東京高専の GP では英語ネーティブを GP 予算で雇用している) ・ プレゼンテーション講座: これまでに2 3回実施 スピーチコンテストで入賞した学生による発表、 卒業日本人学生による就職後の話、卒業留学生による大学進学後の話、など パネルディスカッション的に →今では語学学習支援プログラムに組み込んでいる 講演会というより座学、アクティビティ的に ・ 国際関係学演習(平成 20 年度より隔週開講、通年 1 単位):夕方火曜日 シラバスはネットでみられる(3.4 参照) ・ 英語科による語学学習支援プログラム(「熱血!英語道場」): 地球ひろばにもエッセイや多読の本、e-learning ソフトなどを置きたい TOEIC 対策講座(毎週水曜夕方 1 時間)は希望者対象 校内英語スピーチコンテスト・英語弁論大会(関東地区優勝) ・ インターアクトクラブというクラブが存在している: 特に新井市のロータリークラブ関連のボランティア活動や地域支援のためのクラ ブから始まり、地震への募金箱を置くなどの活動をしている 日本人7人くらい+留学生参加 ・ スキー研修旅行: クラブ員が運営し、途中参加の学生やよその学生を含めたツアー参加者 66 人のう ち長岡高専生は3分の1くらいで日本人学生は5 6人程度、昨年は 35 人くらい ・ 地域との連携: JICA 新潟の関係者による講演(専攻科1年生必修授業「地域産業と技術」15回 のうちに含む)、午後にあると授業のあいた学生や教職員が参加しやすい ・ 中越地震のときに作った外国人支援システムが評価され、中国の被災地からも視察 に来たが、この視察団に長岡の諸団体で支援する意味の「ピースフラッグ」を贈呈 →それぞれ個別だった市・高専・地域が GP をきっかけに横につながった ・ 退職教職員ボランティア「雪つばきの会」: 会の幹事がインターアクトの顧問教員 現職教員も多い、会費千円+イベントへの出費 現状では歓迎会や送別会が何回もある(学食でのパーティー、公民館でのもちつ き、三味線会など)ので合同にしたいが、会が外部団体扱いなので難しい ・ 「ものづくり海外研修」: →今後も続けていきたい 中国は協定校、ベトナム(ハノイ工科大)は教員個人の研究でのつながり 09 年 9 月テーマ「自然と環境」:21 名申し込みがあり 11 名参加(マレーシア) 10 年 1 月 C プログラミングの事前研修がてら 5 名の教員派遣(マレーシア・ INTEC) ・ 今年度の海外語学研修旅行(2010 年 3 月、オーストラリア)の実施要領: 英語研修先=ラボ職員のバックグラウンド 語学研修は学生個人負担 14 万 4 千円+後援会と市の補助 →この値段でも最初の締め切りで 10 名定員に 11 名申し込みがあり、上級生か らおよび成績順に決定、9月の研修時期と分けたのがよかった ・ ホームステイ・里親: 将来的にはあるかもしれない 学校ではやっていないが、数日間の受け入れを行うイベントが隣の市で行われて 参加したり、長岡市内の留学生を高専の教職員が受け入れたりした とくに年末年始に寮に居残る留学生が気の毒なので、地域の教職員関係者の懇談 会で後援会長岡支部の人に受け入れ家庭があるかどうか打診はしたことある ・ この他の交流会:「身近にできる国際協力」という長岡市内の学生たちによる草の 根のボランティアグループで国際協力ボランティア活動(募金・書き損じはがきな どの各種回収事業等) 2.4.3 こ れ ま で の 取 り 組 み を ふ り か え っ て:成 果 と 取 り 組 み の 限 界・今 後 の 課 題 A 教員:活動を通して教職員の意識が変わることが期待できる。教職員各自が企画して行うと いうことで国際協力に対する視点が変わり、例えば研修から帰国の後、理解してもら えるようになった。一方、お金がいるので外部資金を獲得しなくてはいけない。23 名の先生を研究費で海外に送れたのは、学生を国際的に育成する第一歩だと思う。 B 教員:むしろこれから。ノーマライゼーションがようやく高専の普通のルーティンワークの 中に入ってきた、関わる人が増えたと思う。常駐スタッフや予算など今後の運営には 多少の不安はあるが、もともと持っていたものを利用し、地域の特性に合わせ、地域 との交流を持ちつつ、進めていきたい。 常駐コーディネーター:次の学生につなげられるか、人のネットワークが重要。例えば卒業留 学生のネットワークを日本側も把握すべき。新しい留学生を昔の留学生につなぎたい。 留学生自身は卒業生のネットワークを持っている。まず学生に知らせ、興味を持たせ、 参加させれば、自ら企画するようになり、他の学生に参加させるサポートに回る。こ のような5年サイクルのようなものが動き続けるような流れをつけたい。 A 教員:いろいろな事業拡大を考えると、今後の国立高専機構の方針も気になる。例えば、長 岡は私費留学生の要項をすでに持っているが、今後の機構の全国高専への働きかけは どうか。3月にインドネシアに行き、自分の研究ネットワークや JASSO、日系企業 などを通じて、私費留学生獲得に向けた調査・開拓をしてくる予定。マレーシアやタ イの JASSO 事務所にも高専のパンフはない。高専のことが知られていなさすぎ。留 学生のサポート施設は連携して広報すべき(情報収集と PR)。JABEE 申請の重要性 が高専の教員にも周知されていない(申請をやめようという教職員もいる)。 参考:東京高専において平成 20 年度から 3 年間の計画で開始した教育 GP「国際通用力のあ る若き実践的エンジニア育成」も類似の発想で始まったとのこと。東京高専の GP は、 Sphere Tokyo と呼ばれ、英語だけが通用するコミュニケーション空間を学生に提供す るものである。これは、研究発表等のプレゼンスポット、英文添削や相談等のスタッフ サービススポット、セミナーや演奏会の文化スポット、コーヒー片手にリラックスでき るおしゃべりスポット、外国の放送局を受信する音楽・映像スポット、Web 討論会など のインターネットスポット、英会話等のグループ学習スポットから成る。学生は自由に 出入りし、国際性が習得できるような活動や体験ができる。 2.5 2.5.1 「国際交流クラブ」 茨城高専の事例 「国際交流クラブ」の評価の高さ 平成 21 年度承合事項アンケート集計結果(2009/10/20 版)の中で、48 高専のうち 1 校 だけが「国際交流クラブ室を設けている。定期的(1 回/週)に活動している」と回答した。 茨城高専である。これを受け、筆者は同高専の「国際交流センター(前出、1.2 参照)」と 「国際交流クラブ」を見学するために同高専を訪れた。以下はその時の情報(筆者の「茨 城高専 国際交流センター・国際交流サークル視察 報告書 2009 年 11 月 18 日」の一部) と同高専からの資料、すなわち、国立高専機構平成 18・19 年度教育方法改善共同プロジェ クト「高専における国際性豊かな人材育成教育の現状と課題」および三好章一・奥山慶洋 共著「茨城工業高等専門学校の取り組み:国際交流センターの活動」(文部科学教育通信 No. 211, 2009/1/12,pp26-27)などからまとめたものである。 なお、同高専国際交流センターは、国際交流センター長(教授)、副センター長(留学生 担当、海外語学研修担当、提携校である仏・ルーアンのインターンシップ担当各1人)の 4 人で構成されている。また、事務側では学生課留学・保健係員がセンターに関する事務手 続きを担っている。 1.2 ですでに述べたように、茨城高専では、① 留学生ひとりに1家族、ステイファミリ ー(里親)をあてる、② 国際交流センターにおいて週一回のクラブ定例会(持ち寄り茶話 会形式)開催、③ 留学生旅行として日本人学生と一緒にスキー旅行実施(卒業留学生以外 は自費)、の3つを代表的な留学生支援と位置付け、国際交流センターの教職員が主導して 行っている。国際交流クラブの目的は、日本人学生との交流を盛んにすることにある。こ のような活動は外部からも高く評価され、平成 17 年度に実施された大学評価・学位授与機 構による認証評価において優秀であると認められた 2 点のうちの 1 点となっている。 認証評価の評価項目とその内容 基準 項目 評価 基準 2 教育組織 国際交流センターは、留学及び留学生支援のみならず、日本人 学生と留学生の交流を通じて文化の相互理解の深化に役立て られるなど、学生の教育面において有益なものとなっている。 基準 7 学生支援等 国際交流センターにおける国際交流促進の取組が外国人留学 生とのコミュニケーションを深め、学習・教育目標の一つであ る「豊かな教養に基づく国際理解力の養成」という点において、 有効に機能している。 2.5.2 「国際交流クラブ」の概要 ・「国際交流クラブ」の定例会にはセンター室(国際交流クラブ室)を開放 ・在校する留学生は全員国際交流クラブに参加。現在は 4 年の留学生が部長 ・留学生のチューター学生も全員参加しているが、チューターではない一般の日本人学生 も参加している。2 年生の N くん、M さん、といった名前が出た。日本人のクラブメン バーは 5 年生 4 人、4 年生 5 人、3 年生 7 人、2 年生 3 人、1 年生 1 人の計 20 人にのぼ る ・ 週一回(水曜日放課後 夕食前)に定例会(持ち寄り茶話会形式) このとき、例えば高専祭あるいは同ひたちなか市産業祭に毎年交互に模擬店「世界の台 所」を出店し、留学生の出身国の料理を提供するというようなイベントについても学生 主体で話し合う ・上記模擬店以外にも、同高専で行われた全国高専プログラミングコンテストに参加した 海外チームの学生の補助、校内英語スピーチコンテストの司会や運営補助、学校紹介パ ンフレットの原稿作成など、で活躍 ・平成 19 年度からは、それまで留学生のみで実施していた卒業留学生研修旅行を日本人学 生を交えたスキー研修旅行とした ・留学生(協定校からの短期留学含む)が日本人学生(国際交流クラブメンバー)の手伝 いを得て各国紹介の展示用パネルを作成、センターに常設展示 ・本視察に合わせ、久しぶりに在校留学生(1 名欠席)と日本人学生のほぼ全員が集まり(PBL などの都合による途中退席含める)、寮の夕食終了に間に合う時間ぎりぎりまでにぎやか に懇談
© Copyright 2024 Paperzz