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報告書(H28全国高専フォーラム)

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【報告】平成 28 年度全国高専フォーラム
発災前から発災後・復興までの連続した防災教育
OS(教育)6
~人材育成,地域創生,社会連携~
日時:平成 28 年 8 月 26 日(金)9 時~10 時 30 分
会場:岡山大学
津島キャンパス
オーガナイザー:
鍋島康之(明石工業高等専門学校
都市システム工学科
教授)
内海康雄(仙台高等専門学校
地域イノベーションセンター
清田公保(熊本高等専門学校
熊本キャンパス
教授)
総務主事)
参加者数:27 名
目次:
1.講演要旨
発表 1:「平成 28 年 4 月
熊本地震の教訓から」
清田公保
発表 2:「復興時の防災教育・社会連携」
内海康雄
発表 3:「明石工業高等専門学校における取り組みの紹介」 石内鉄平(発表者 鍋島康之)
2.フリーディスカッション
要旨
1.講演要旨
発表 1:「平成 28 年 4 月
熊本地震の教訓から」
清田公保
◯熊本地震
平成 28 年 4 月 14 日 21 時 26 分、M6.5 の地震が発生した。この時は学校にも大きな被害は無く、
一安心した。しかし、これは前震にすぎなかった。平成 28 年 4 月 16 日午前 1 時 25 分、M7.3 の
本震が発生する。その後も頻繁に余震が続いた。
◯熊本高専
熊本キャンパスにおける「緊急対応」と「防災教育」
発災前から熊本高専には「緊急対応マニュアル」が存在し、防災訓練も行っていた。しかし、
これまで災害と言えば、台風・大雨・洪水であったため、防災訓練等も大雨洪水警報と台風が中
心であった。「緊急対応マニュアル」には、地震の場合、震度 5 強以上で全教職員参集と記され
ていたが、これまでに地震災害の経験が無かったこともあり、そのことを知らなかった教職員も
いた。今までの危機管理の甘さを感じた。
◯熊本高専における防災教育と発災後の対応
4 月 14 日の地震発生時、寮生会の集会を行っていたため、寮務主事、主事補佐が寮生の緊急避
難を行った。学校にも庶務や管理課の職員が居たため、学内の被害への迅速な対応、学生・保護
者・職員の安否確認を行った。
4 月 16 日の本震発生時は、深夜のため殆どの人が就寝中であった。揺れが大きく、電気・水道
などのライフラインが停止した。近郊の職員が午前 2 時過ぎに学校へ集合し、緊急対策本部を設
置。被害状況の調査、寮生の避難を行った。体育館がガラス枠や天井落下で使用不能となったた
め、寮生 70 名に対し教室を避難所として利用した。その他にも、学内駐車場を開放して近隣の被
災者の自家用車受け入れ(車中泊できる場所の確保)、井戸水の給水など様々な対応を行った。
仙台高専・長岡技科大から被災時の記録集『東日本大震災から学んだこと』(仙台高専作成)
などが送られ、緊急対策時における留意点などを参考に対策本部で朝、昼、夜のミーティングを
行った。東日本大震災の記録が非常に役立った。
◯まとめ
熊本地震を体験し、実際に被災した時、何が起きたかの状況判断の難しさを感じた。電話等は
キャリア規制や断線により、全く利用できず、LINE や Facebook などの SNS が被災地に有効であ
ることがわかった。また、地震後の長期的な余震対策としては、食料や水などの備蓄が重要であ
ることがわかった。普段からの危機管理、防災訓練の重要性を実感した。地震の予防は出来ない
が、発生した後のリカバリーの準備をしておくことが大切である。
発表 2:「復興時の防災教育・社会連携」
内海康雄
◯現在の主な活動
専門分野は地域のスマートコミュニティ構築、地域と連携した技術者人材の養成である。明石
高専の活動が平常時の教育(防災)であるとすると、仙台高専の活動は東日本大震災以降の発災・
復旧・復興、平常時と非常時のどちらにもまたがる活動である。
◯東北地域の産業復興を行う技術者人材育成
―東北地区高専復興人材育成コンソーシアム―
東北地方の被災地が求めている震災復興へ向けての短期・長期ニーズに対応して課題解決でき
る人材育成のシステムを、東北地方をカバーする東北地区高専がその強みを活かして、産学官連
携により構築し、地域社会に定着させることを目的としたプロジェクトである。教育が主のもの
から研究・開発を含むプロジェクトまで 5 つのプロジェクトがあり、それらをまとめるプロジェ
クトを合わせて 6 つのプロジェクトを展開している。各プロジェクトは各々の主幹校によってマ
ネジメントされており、6 高専で強い分野を担当して全体をカバーしている。定期会議等において
全体で情報を共有し、各プロジェクトは自律して地域内外に展開している。今後の進め方は、①
タスク・ドリブンの課題解決型プロジェクト(戦略的な視野で目前の課題を現有の資源で解決)、
②提案型、プロポーザル方式の採用(仕様を予め決めて、限られた資源を提供して解決策の提案
を募る)、以上大きく 2 つの考え方で進めていく予定である。
(プロジェクト)
1.東北地域をカバーする連携体制の構築と運営(仙台高専)
2.安全安心なエコタウン構築についての人材育成
(仙台高専、鶴岡高専、秋田高専)
3.津波浸水農地の土壌塩分除去等土壌改良についての人材育成
(仙台高専、福島高専)
4.リスク対応独立分散電源による分散セキュリティシステムの構築に関わる人材育成(鶴岡高
専)
5.三陸沿岸の豊かな地域資源再生プロジェクト(一関高専)
6.八戸・三陸地域における東日本大震災からの防災教育に関する人材育成
(八戸高専、一関高専)
◯未来防災システム研究会
防災システムを通じてスマートコミュニティを構築することを目的として、未来防災システム
研究会を設立した。研究連携メンバーは、他高専など産・学・官さまざまな機関と連携している。
◯まとめ
・参加者とともに要素技術を積み上げてスマートコミュニティ構築へとつなげる。
・高専を含む他のネットワークとの協働を図る
・資源を継続的に調達できる持続可能なシステムにする
・少人数グループのリーダーを育成する
上記のような活動を通して、「地方創生に貢献する高専」として活動を進めていく。
発表 3:明石工業高等専門学校における取り組みの紹介」
石内鉄平(発表者:鍋島康之)
◯高専教育に「防災」を取り入れる
明石高専では、1 年生時に全学科共通で履修する科目として、「アクティブ・ラーニング」、「グ
ローバル・スタディーズ」、そして大学間連携共同教育推進事業として近畿地区 7 高専連携で開
講している「防災リテラシー」がある。「防災リテラシー」は平成 25 年度より全学科必修科目と
して開講しており、1 年生の導入科目として防災の基礎的なことについて学んでいる。
さらに、今年度より 2 年生~4 年生の学生を対象として、学科・学年関係なく 1 つの科目として
開講される「Co+work」が開講した。「Co+work」では、学科・学年関係なく 8~9 名程度のチー
ムに分かれ、チーム毎に自由にテーマを決めて学習する。2 年生~4 年生の学生は全員「防災リテ
ラシー」を履修した学生であり、全 63 チームのうち 6 件の防災に関するテーマが出ていた。
このような形で高専教育に「防災」を取り入れる取り組みを行っているが、さらに発展して高
専生ならではの「防災教育」あるいは、高専生ならではの「防災への取り組み」にしていくため
にはどうすれば良いか、実際に学内の先生が取り組んでいる一例を紹介する。
◯明石高専における地域住民との協働活動
「明石市地域防災計画」では、「市民力を生かした地域防災力の向上~市民の自発的な防災へ
の取り組みを支えるために~」という理念を掲げている。南海トラフ巨大地震に向け、地域でで
きる防災活動として、学生が地域住民と協働で防災マップを作成する活動を行っている。地域の
まちづくり協議会や自治会等に学生が参加し、学生の持っているノウハウを活かして防災マップ
作成を行っている。
事例 1:魚住小学校区における地域住民と協働による防災マップの作成
魚住小学校区を対象に、魚住まちづくり協議会安全部会と協働で防災マップを作成した。地域
住民との勉強会や内容議論を経て防災マップを作成し、魚住小学校区の全世帯に配布。地域の防
災イベント(うおずみ防災まつり)では、防災マップの展示を行い、防災マップに関するアンケ
ート調査も実施した。
事例 2:金ヶ崎地区における防災マップおよび防災 CG の作成
小学校区よりも、より詳細な単自治会毎の防災マップづくりとして、金ヶ崎地区を対象に防災
マップ作成を行った。地域住民と共に打ち合わせやまちあるき等を実施し、防災マップを作成し
た。また、金ケ崎地区の防災 CG も作成し、防災マップおよび防災 CG に関するアンケート調査を
行った。
◯まとめ
このように、学生が地域に出て、高専生の持つ技術やノウハウを活かした取り組みを行ってい
る。通常の高専の教育や研究の中に、いかに「防災」を取り入れるか。また、阪神淡路大震災か
ら 20 年以上が経過し、震災を経験していない学生にどのように「防災」を意識して取り組んでも
らうかを難しく感じながら、これらの活動に取り組んでいる。
2.フリーディスカッション(司会者:鍋島康之)
(司会者)内海先生の話にもあったように、防災教育というのは、災害の前後だけ行うのではな
く、平常時も継続して行っていくべきである。本日は、今後、防災教育を継承する上で何を伝え
ていけば良いか、どう伝えるか、どのような教育をしていくべきかについてお話いただきたい。
(熊本高専・副校長)熊本高専は発災直後の段階である。熊本は 100 年大きな地震がなく、今回
の震災はまさに晴天の霹靂であった。「熊本は地震が無くて良いな」と考えていた。そのことが
防災の心構えの不足に繋がっていたように思う。まちも人も地震に対する心構えが足りていなか
った。震災後も、今回の経験を今後どのように活かしていくか、未だ考えは及んでいない。
今思うのは時間の経過と共に、何が大事だったのか、何が必要だったのかを忘れていってしま
うということ。震災から数ヶ月しか経っていない現在でも、思い出そうとしなければ思い出せな
いこともある。得られた知見、課題を今後どのように活かしていくか。今回のセッションに参加
して、仙台高専の取り組みと同様に、震災で得た学び・課題を検証し、伝えていく方法を考えて
いかなければと感じた。
明石高専では防災教育を行っているということで、Co+work 等についてお話いただいた。実際
にどのような取り組みをしているのか、もう少し詳しく教えていただきたい。
(司会者)防災教育は 1 年生(全学科)の科目として実施している。内容は防災の基礎に関する
もので、救急救命講習やクロスロード・ゲーム、まちあるき等も取り入れている。Co+work は防
災教育ではなく、学生の自立、協働、創造の能力を養成することを目的とした科目である。テー
マはチーム毎に自由に決めることができるので、その中で防災のテーマがいくつか出てくるとい
うことは、1 年生時に少しでも学生の中に防災への関心の種を蒔くことができたのではないかと考
えている。
防災教育としては、授業以外にも毎年「災害時に役立つ乗り物コンテスト」を開催している。
このコンテストでは、学生が考案・製作した「災害時に役立つ乗り物」について、アイデアを競
う。このように、必ずしも土木・建築系の学生だけではなく、電気・機械系の学生の中にも防災
への関心が窺える活動・研究をしている学生もいる。今後、さらに高専生ならではの防災への取
り組み、製作物等が出てくることを期待している。
(和歌山高専・総務課長補佐)和歌山高専では明石高専と共に大学間連携共同教育推進事業に参
加している。和歌山高専は、他の近畿地区 7 高専とは異なり、海も近く、南海トラフ地震で大き
な被害が予想される。そこで、もう少し分かりやすい避難マニュアルを作成してみないかという
話があり、新たに「大地震対応マニュアル」を作成した。これはストーンペーパーという、水に
濡れても破けない紙を使用して作成しており、折りたたんで財布にでも入るようなコンパクトな
サイズで作成している。それを大学間連携共同教育推進事業に参加している他高専にも共有し、
採用いただいている学校もある。
また、今年度は大震災対応マニュアルの英語版を作成中である。災害時には高専が避難所にな
ることもある。避難して来る人の中には、外国人もいると思うので、マニュアルも英語版があれ
ば良いということで作成している。
大学間連携共同教育推進事業を実施していく中で、和歌山高専も防災のカリキュラムを作成し
て取り組んでいるところだが、大事なのは事業終了後の継続である。明石高専が主導で行ってい
る現在の防災教育を、事業が終わっても継続していけることを願っている。
また、学生に対する防災教育だけではなく、教職員に対しても防災教育を実施していければい
い。本校では教職員に防災が浸透しておらず、実際に災害が発生した時にどう対応すれば良いか
知っている教職員は少ない。東日本大震災から数年が経った今でも少ないので、それが今後の課
題である。
(司会者)高専が避難所になっている場合、本当にすぐに避難所になる準備はできているか。そ
ういうことを考えておかなくてはいけない。今の取り組みではできていないが、寮生を上手く使
えればと考えている。
(広島商船高専・校長)私は以前まで大島商船高専で勤務していた。大島商船は寮生を上手く使
っている。使い古したリヤカーを整備して、寮の駐車場や駐輪場に設置し、災害発生時にはこの
リヤカーを使用して、お年寄りの方等を避難させるよう学生に伝えている。最近は津波のことを
考えて、避難場所は校舎ではなく山の上に設定した。避難所まで行くには町の中を通るため、災
害時には避難の際にお年寄りの方を運ぶ等、それぞれで準備をしておくよう学生に伝えている。
(熊本高専・副校長)熊本地震の時、寮生が非常に良くリーダーシップを発揮していた。寮務主
事からも学生の成長が著しいと聞いた。窮地に陥ったときの学生の体験を、今後どう伝えていく
か、どのように実践的な演習等の取り組みに取り入れていくか、そこに継承していく鍵があるよ
うに思う。そのためにも、工業系の学生の持っている技術や知識を使って、記録をとって残して
いくのが大事だと再認識した。
(司会)防災教育はこれで完成ということはなく、どんどんバージョンアップしていかなければ
ならない。今回の熊本地震のときにも感じたことだが、阪神淡路大震災を経験した我々からする
と、やはりその時代とはまた変わってきている。新しい災害が起きるたびに防災教育も見直しを
行い、時代に合った活動に変えていくことが大切である。そのサイクルを継続して回していく作
業が大事だと感じている。
以上
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