嬉しいより幸せ - さいたま市立芝川小学校

さいたま市立芝川小学校
平成28年8月29日発行
TEL 048(644)7544
嬉しいより幸せ
校 長
石 川 顕 一
1学期の終業式で、子どもたちに、
「せっかくの夏休みなだから何かをしよう」「普段できないこ
とに取り組んだり、テーマを決めてとりくんだりしよう。夏だからこそできることにも取り組もう。」
と伝えました。そして、私は「この夏休みは、時間が作れなくて読めなかった本をたくさん読みま
す。」と約束しました。
夏休みに入り、自宅のリビングで本を読もうと思いきや、スポーツ観戦が大好きなもので、夏の
全国高校野球選手権大会(いわゆる甲子園)と、4年に1度の夏季オリンピックには、ついついテ
レビのスイッチを入れてしまいます。子どもたちと本を読む約束をしていたので、少しだけ見たら
スイッチを切ろうと自分に言い聞かせながらの観戦です。しかし、選手たちがひた向きに取り組む
姿に自分が引き込まれていきます。結局は、昼間は甲子園、夜から深夜、早朝にかけてはオリンピッ
クと、スポーツ観戦でとても忙しい夏休みとなってしまいました。
オリンピックでの日本選手の活躍は、いまだに目に焼き付いています。メダルを獲得したかどう
かや、メダルは何色かはともあれ、選手から多くの感動をいただき、一緒に涙を流すことができま
した。今でも、競泳、柔道、体操、卓球、テニス、バスケットボール、陸上、レスリングなど様々
な競技における感動的な場面を思い起こすことができます。
また、私は競技終了後のインタビューにも注目していました。そこには選手の真情が吐露されて
います。これまでメダル獲得が適わなかった種目、世界との差が大きいと言われていた種目で善戦
した選手からは、喜びに満ちた声を聴くことができました。また、支援団体からの期待や、チーム
の主将としての責任を一身に受け、最善を尽くす選手からは、感謝や安堵の声が聴かれました。
特に、体操男子個人総合で厳しい展開の中、金メダルを獲得した内村航平選手のインタビューは、
興味深いものでした。
「いつもの練習では絶対にミスがなかったので、その練習だけを信じて、着地だけは絶対止めてや
るという強い気持ちで…。あとはいつもどおりを心がけてやりました。
」
「なんでしょうね。疲れ切りました。出し切りました。もう何も出ないところまで出し切って獲れ
たので、嬉しいより幸せ。これだけいい演技で一番いい色のメダルが取れたので、一番幸せ者だ
と思います。」
さて、内村選手は嬉しいではなく幸せだと言っています。内村選手はなぜ幸せという表現をした
のでしょうか。幸せとは何でしょうか。内村選手は、持てる力を十分に発揮し、美しい演技で金メ
ダルを獲得するという自己実現を達成することができたからではないでしょうか。
本校では、
「笑顔輝く 学ぶ意欲あふれる 芝川小学校 ~子ども一人ひとりが、将来において、社
会や集団の中で自分の才能を十分に発揮し、よりよい人間関係を築き、充実した幸せな人生を歩ん
でいくために必要な力を身に付けさせる~」を目指す学校像としています。私たち教職員は、一つ
一つの教育活動が、子どもの幸せにどうつながるかを念頭に置きながら、日々の教育活動をしてい
るところです。
子どもたちが、将来において、分野は違うでしょうが、内村選手と同様、
「(自分は)幸せ者だと
思います。」と言えるよう、学校、保護者や地域の皆様方が、多様性を認めながら、互いに手を携え、
知恵を出し合っていきましょう。
ところで、読みたかった本ですが、間もなくやってくる「読書の秋」に回すことにしました。