アートギャラリー「スペース K」の間仕切り家具設計

アートギャラリー「スペース K」の間仕切り家具設計
大島研究室
00512184 村上 祐介
1.はじめに
・打ち合わせの要点
2007 年より、継続的に大島研究室として支援活動
①
展示壁の両側に棚が欲しい。ギャラリー側の棚
を行っている NPO 法人ひこうせん。その団体が熊谷
はアートグッズなどを展示し、事務室側は収納棚
市で運営するアートギャラリー「スペース K」の施
として使用したい。
設整備への協力を卒業設計として考えたいと思った。 ②
展示壁は天井固定としないで、可動可能なよう
世界人口の6%が先天的な障害者と、この先も切り
にユニット化してほしい。(将来行田に移設も検討
離せない問題に対して、私も障害者支援に参加し社
中)
会貢献をできないかと思っている。
③
展示壁には絵等が掛けられる強度が欲しい。
2.本設計への経緯
④
障害者の方は、車イスで行動する時に、車イス
昨年、研究室でひこうせんの施設を実際に設計す
る機会を得た。先生の指導のもとに学生中心に案を
がスムーズに通れること。
⑤
出し合い行田市のカフェギャラリー「ソレイユ」と
熊谷市のアートギャラリー「スペース K」を設計し
ること。
⑥
た。しかし「スペース K」では予算が足りず、間取
りができただけの状態であった。そこで昨年の計画
を発展させて、施設整備に協力したいと考えた。
図
間仕切り家具位置
3.打ち合わせ
昨年4月より実際に店舗を運営した上での問題点
や注意点をヒヤリングしたいと考え、使用者側と打
車椅子などがぶつかっても倒れない安定性があ
色なども含めて、シンプルなデザインにしてほ
しい。
⑦
コースター・ストラップ等の小物
及びステンドグラスを使った小品の展示棚
写真1 昨年提案模型
写真2 本設計提案①
写真3 本設計提案②表
写真4 本設計提案②裏
・設計案の協議
設計案①及び②に施主側の意見は分かれたが、
可動という点を考慮して②案に決定した。その
他複数案提案した。
ち合わせをおこなった。
Partition furniture design art gallery “Space K”.
Murakami Yusuke
ものつくり大学
建設技能工芸学科
卒業研究・制作・設計梗概集 2010 年 1 月
図2 間仕切り家具 部品加工図一部
写真5・6 ひこうせんの方々との打ち合わせ
棚部分の部品同士の接着は釘やネジを使わず、ホ
4.設計
ゾとボンドで行う計画とした。機材で加工できるサ
イズも考慮し、ホゾ幅を決めていかなければならな
い。それらを踏まえて、細部の収まりや組み立てた
時の意匠を想像しながら部品加工図を描いた。板厚
や格子柱、帯材の寸法は購入した材料の寸法に合わ
せて厚さなどを変更した。
5.おわりに
実際に制作を手伝うにあたり、設計寸法の間違い
は無かったが、細かい寸法の記入漏れがあり、制作
担当者に迷惑をかけることになった。大幅なタイム
ロスに繋がり、ぎりぎりまで作業することになって
図1 間仕切り家具の 基本設計図・模型
しまった。また、材料調達にも手間取ってしまい、
無駄に予算を使ってしまった。自分の計画力の無さ
はじめは一体型の大きな格子付き棚で、作り付け
を痛感し、たいへん学ぶことの多い体験であった。
て固定してしまうものだった。しかし、将来他の場
【謝辞】
所でも使うことを想定して、持ち運べるように分割
障害者の方々の使用上の問題点を丁寧にご指導頂い
することになった。棚も当初事務室側のみの設計で
た「ひこうせん」の斎藤副理事長や職員の皆様にた
あったが、ギャラリー側に展示棚が欲しいという意
いへん感謝致します。また設計指導やその他手配を
見をもらった。よって両側に棚をつけ、結果的に安
して頂いた大島先生、制作中のアドバイスを頂いた
定性の高い家具にすることができた。また、棚に乗
町田先生・赤松先生に厚く御礼申し上げます。
せた展示品が良く見えるよう、棚の上中段に掛けて
【参考資料】
傾斜をつけることで中が見えやすいようにした。
1)ひこうせん職員・利用者さんの提案
特に留意した点は、分割棚の端に位置する半円形
2)池沢木材・ビバホームへの材料調査
型の棚である。障害者が車椅子で通過する時の安全
性と意匠性を考慮した。
ものつくり大学
建設技能工芸学科
Institute of Technologists