2015年6⽉22⽇ ⽇本株ファンドマネージャーの視点 『何かおかしい?直感は大切です。』 ※このレポートでは、⽇本株ファンドマネージャーが注⽬しているトピックなどを毎週お届けします。 東証1部上場で福井の名⾨企業である江守商事の持株会社、江守グループHDが4⽉30⽇に⺠事再⽣⼿続 きの開始申し⽴てを⾏い、事実上倒産しました。この会社は以前何度か取材したことがあるのですが、株価 はPER、PBR両⾯から割安、ROEも⾼く中国部⾨の成⻑に乗りながら増収増益を続ける割安成⻑株で した。ただキャッシュフローを⾒ると、フリーキャッシュフローが⾚字なのは成⻑投資をしているので良い としても、営業キャッシュフローは継続的に⾚字でした。 業績や財務⾯の数字を⾒るとなんとなく⼼許ない感じを受ける会社でしたが、証券会社数社からは、今年に ⼊ってからも「中国に強いです。」、「PERで割安です。」といった理由で買いのリコメンドを受けまし た。ただ以前⾏った江守グループHDとの個別⾯談では、営業キャッシュフローや中国での資⾦の流れにつ いての質問に対しあいまいな返答が多く、「何かおかしい」という印象を受けていたため、この会社は投資 不適格と判断していました。 証券会社が推奨していた江守グループHDの⺠事再⽣⼿続きはたまたま起きてしまったことですが、地道に 企業訪問し会社をより深く理解しようとするボトムアップ運⽤と、会社四季報や社内のアナリストの話を断 ⽚的に聞いて出来るだけ幅広く銘柄を紹介しようとする証券会社の営業とでは⾒ているものが異なることを 痛感します。彼らの⽬線はどちらかといえば短期志向なのです。株価モメンタムが悪い企業より良い企業を 好み、⽬先の業績モメンタムが良い企業が⼤好きで、バランスシートやキャッシュフローはあまり重視して いないように感じます。⼀度買うと売るのに数ヶ⽉かかる流動性のない株を組み⼊れ、その銘柄を売れない 覚悟を持って投資する中⼩型ファンドマネージャーとは、そもそも投資ホライズンが違うのです。 ⼩型株はほとんどセルサイドのアナリストが公式にはカバーしておらず、多数の⼈の⽬で細かくチェックさ れていない傾向があります。どんなに会社の話を⼀所懸命に聞いても、企業側のネガティブな情報をつかみ きれないことがどうしてもあります。そんな時の対抗策は多数の企業への地道なリサーチと、その蓄積から ⽣み出される直感です。⽇本には3,000銘柄以上の⼩型株があり、仮にその銘柄を逃したとしても投資 対象の発掘に困ることはありません。たとえどれほど表⾯的な利益が良さそうに⾒えても、「何かおかし い」と直感が駄⽬といったらその感覚を⼤切にしていきたいと思います。 株式運⽤部 永⽥ 芳樹 ■当資料は情報提供を⽬的として⼤和住銀投信投資顧問が作成したものであ り、特定の投資信託・⽣命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するもの ではありません。■当資料は各種の信頼できると考えられる情報源から作成 しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。■当 資料に記載されている今後の⾒通し・コメントは、作成⽇現在におけるレ ポート作成者の判断に基づくものであり、事前の予告なしに将来変更される 場合があります。■当資料内の運⽤実績等に関するグラフ、数値等は過去の ものであり、将来の運⽤成果等を約束するものではありません。■当資料内 のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 大和住銀投信投資顧問株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第353号 加入協会 一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
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