日本語版 - 森美術館

115
英国美術の現在史:ターナー賞の歩み プレスリリース Vol.1
2007.11.5
英国美術の現在史:ターナー賞の歩み
2008 年 4 月 25 日[金]―2008 年 7 月 13 日[日] 森美術館(六本木ヒルズ森タワー 53 階)
最も権威ある賞が生んだ、最も斬新なアート
「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み」展は、今日の
現代美術界で最も重要な賞の1つである
「ターナー賞」の歴代
受賞者すべての作品を一堂に集める初の試みです。絵画
からインスタレーション、ヴィデオまでを紹介し、英国
現代美術の流れを再考します。
今、現代アートが世界中で最も熱い都市、ロンドン。その
ロンドンにあるテート・ブリテン *では、毎年
「ターナー賞」展
が開催されます。絵画、彫刻、写真といった既存の表現
メディアに縛られることなく、多様で今日的な表現を
取り上げるユニークな「ターナー賞」は、現代美術界で
最も重要な賞の1つといえるでしょう。毎年12月に行わ
れる授賞式は、テレビ中継され、翌日の新聞で受賞者が
大きく報道されるなど、英国の国民的行事ともいうべき
ものです。賞の対象は英国出身もしくは英国で活動してい
るアーティストですが、英国内での傾向を示すだけではな
く、現代美術界全体の動向を示すとともに、受賞者たち
は世界中の注目を集め、国際的な活躍を遂げています。
デミアン・ハースト ≪母と子、分断されて≫ 1993年
208.6×332.5×109cm (×2), 113.6×169×62cm (×2)
スチール、
ガラス強化プラスチック、
ガラス、
シリコン、
牛、
子牛、
ホルムアルデヒド溶液
アストルップ・ファーンリ近代美術館、オスロ蔵
ヤング・ブリティッシュ・アーティスト
(YBA)
を代表するハーストは、
「死」
をテーマにセンセーショナルな作品を制作する。中でも本作品は、
実物の親の牛と子牛が真二つに切断されホルマリン浸けになった衝撃的
な作品。1995年度の「ターナー賞」展で展示され、世間に大論争を
起こした。
「ターナー賞」を回顧し、1984年から今日までの現
代美術の新しい表現の足跡をたどる本展は、1980年代の
「ニュー・ブリティッシュ・スカルプチュア」から、90年
代の「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト」(YBA)、
本展は、2007年 10月 2日から 2008年 1月 6日まで
テート・ブリテンで開催中の「ターナー賞:回顧展」
(Turner
英国現代美術の変遷を紹介します。本展は歴代受賞者の
Prize: A Retrospective)をもとに、森美術館が
再構成し、
「UK-Japan 2008」公式行事として開催され
受賞当時の作品を中心に構成されますが、ウィットに富み、
ます。
そして
2000 年代の最新の動向まで、過去20余年の
ユーモアに溢れ、知的で、ポップで、衝撃的な作品群は、
今でもクールで刺激的。受賞者の数だけ驚きがあると
いえるでしょう。
*旧テート・ギャラリー。リバプールが 2008年欧州文化都市として
選ばれたことにより、 2007 年度の「ターナー賞」展のみテート・
リバプールで開催。
掲載の画像を含む最新のプレス画像は、森美術館ウェブサイトにて申請いただけます。 www.mori.art.museum
お問い合わせ 広報部 担当:高橋、田村、瀧、渡邉 Tel : 03-6406-6111 Fax: 03-6406-9351
E-mail : [email protected] Web : www.mori.art.museum 106-6150 東京都港区六本木 6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 森美術館
1/3
115
英国美術の現在史:ターナー賞の歩み プレスリリース Vol.1
2007.11.5
「ターナー賞」
「ターナー賞」は、新しい美術の振興を目的とするテート・ギャラリーのパトロン団体、
「新しい美術のパトロン」
(The
Patrons of New Art)によって、1984年に創設。名前の由来は日本で最も有名な英国人アーティストの一人ジョゼフ・
マロード・ウィリアム・ターナー
(1775∼ 1851)
。英国美術に偉大な功績を残し、一般の人になじみのある
「ターナー」
の名前を付けることにより、国民的現代美術の賞になることが意図された。対象は 50歳未満の英国人及び英国在住
アーティストで、ノミネートされた複数の候補者が参加する
「ターナー賞」展を開催して、1人の受賞者を選出。テレビ局の
チャンネル4との連携により、2001年には歌手のマドンナが受賞者を発表するなど、美術界だけでなく広く一般市民
からも注目されるにいたっている。2007年度の賞金総額は 4万ポンド
(約 1千万円)
。
「テート」
テート(旧テート・ギャラリー)は、テート・ブリテン
(1897年開館、2001年改称)
、テート・モダン
(2000年開館)
、
テート・リバプール
(1988年開館)
、テート・セント・アイヴス
(1993年開館)の
4つの館で構成される、英国にある
国立の美術館群。古くはヘンリー・テート卿が個人の収集品とナショナル・ギャラリーにある作品を集め
「ブリティッシュ
アートの美術館」として開館したテート・ギャラリーがルーツである。2006年度に 4館を訪れた総来館者数は770万人
に上る。
出品作家
/ 受賞者一覧
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
マルコム・モーリー
ハワード・ホジキン
ギルバート&ジョージ
リチャード・ディーコン
トニー・クラッグ
リチャード・ロング
実施されず
アニッシュ・カプーア
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
グレンヴィル・デイヴィー
レイチェル・ホワイトリード
アントニー・ゴームリー
デミアン・ハースト
ダグラス・ゴードン
ジリアン・ウェアリング
クリス・オフィリ
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
ヴォルフガング・ティルマンス
マーティン・クリード
キース・タイソン
グレイソン・ペリー
ジェレミー・デラー
サイモン・スターリング
トマ・アブツ
スティーヴ・マックィーン
主催:森美術館、テート・ブリテン、ブリティッシュ・カウンシル、朝日新聞社
開館時間:10:00 − 22:00 |火 10:00 − 17:00
*4/29(火)、5/6(火)は 22 時まで|いずれも入館は閉館時間の 30 分前まで
入館料 ( 円 ):一般 1,500、学生(高校・大学生)1,000、子供(4 歳以上−中学生)500 *表示料金に消費税込
*本展のチケットで展望台 東京シティビューにも入館可(森美術館とは開館時間が異なります)
お問い合わせ:TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2/3
115
英国美術の現在史:ターナー賞の歩み プレスリリース Vol.1
トニー・クラッグ
≪ウェディング≫
1982 年
224 × 200 × 50cm
拾集されたプラスチック
ギャラリーHAM、
名古屋蔵
ニュー・ブリティッシュ・スカルプチュアを代表するクラッグは80年代
半ばまでプラスチックや廃材を組み合わせたユーモラスな作品を制作
した。本作品は彼と当時の妻とを表現したものである。2007 年に
第19回高松宮殿下記念世界文化賞を受賞。
ギルバート&ジョージ ≪デス・アフター・ライフ≫
写真に着色
大阪市立近代美術館建設準備室蔵
482 × 1105cm
1984 年
「生きる彫刻」
としてのパフォーマンスでもおなじみの二人組ギルバート&
ポップでありつつも、
ジョージ。
長さ約11mもの巨大な写真の本作品は、
失業問題を抱えた当時のロンドンの若者の鬱屈と苛立ちを描いている。
クリス・オフィリ
≪ノー・ウーマン、
ノー・クライ≫
1998年
243.8×182.8×5.1cm
アクリル、
油彩、
ポリエステル樹脂、
紙のコラージュ、地図用ピン、
象の糞、カンヴァス
テート蔵
黒人文化が主題のオフィリの作品は独自の美を持つが、象の糞を用い
るなどアイロニーも込められている。1998 年度の「ターナー賞」展
に出品された本作は殺害された黒人少年の肖像が含まれ、社会的側面
も持つ。黒人初の受賞者としても話題を呼んだ。
2007.11.5
グレイソン・ペリー
≪ゴールデン・ゴースト≫
2001 年
67 ×φ 35.5cm
陶
サーチ・ギャラリー、
ロンドン蔵
一見古典的に見えるペリー作の壷。しかしそこに描かれた主題は、
戦争、政治、性、暴力など社会的なもので、意外性に富む。
「クレア」
という名の女性に扮して、 2003 年度の授賞式にも登場し、一躍
有名になった。
掲載の画像を含む最新のプレス画像は、森美術館ウェブサイトにて申請いただけます。 www.mori.art.museum
※トニークラッグの作品画像をご入用の方は別途広報部までお問い合わせください。
お問い合わせ 広報部 担当:高橋、田村、瀧、渡邉
Tel : 03-6406-6111 Fax: 03-6406-9351 E-mail : [email protected] Web :
106-6150 東京都港区六本木 6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 森美術館
3/3
www.mori.art.museum