インターネットを利用した選挙運動に関する 最終報告 自由民主党選挙制度調査会 -1- 1.インターネットを利用した選挙運動は新たな規制を付した上で認めるべき である。 (1) 認めるべき理由 ① ネットの普及進展 ② 選挙における情報源としてのインターネット ③ 金のかからない選挙運動としてのネット (2) 認めるにあたっての留意点 -2- 2.ネットにおける誹謗中傷・なりすましの検証とその対策 ① メールアドレスの表示義務の導入 ② 氏名等の虚偽表示罪(235条の5)の見直し ③ 選挙の自由妨害罪(225条)の見直し ④ 候補者等のホームページアドレスの周知 ⑤ 虚偽記載等の防止・抑制 -3- 3.ネット利用を解禁する場合の範囲 (1) ホームページに限定すべき。 (2) メールによる選挙運動を引き続き禁止する場合、メルマガやブログ等の更新 お知らせメールについても通常のメールと同様、引き続き禁止すべき。 (3) すべての選挙を対象とすべき。 (4) 第三者による利用も解禁すべき。 (5) 従来の選挙運動と同様、ホームページによる「事前の選挙運動」や「選挙期日 の選挙運動」については禁止すべき (ホームページに掲載された選挙運動用文言等は、選挙期日後速やかに削除すべ き。) なお、選挙期日の前日までに開設、書換したホームページについては、選挙期日 においてもそのまま閲覧できる状態にしておくことを認めるべき。 -4- (6) ホームページに掲載する内容については規制しないこととすべき。 (7) 選挙運動のための有料のバナー広告等は、候補者、候補者届出政党、 衆議院名簿届出政党等及び参議院名簿届出政党等に限り、認めること とすべき。 (8) ホームページをプリントアウトした文書を頒布・掲示することは、 法定外文書図画の頒布・掲示として引き続き禁止すべき。 (9) 量的規制は設けないこととすべき。 (10) 候補者のホームページ作成・運営経費については、選挙運動費用に算入 することとすべき。 ただし、選挙運動費用の上限額引き上げについては行わないこととすべき。 (11) インターネットによる選挙運動については、公営サイトの設置や公費負担と いった選挙公営を行わないこととすべき。 (12) 選挙公報を、従来の紙方式に加え、その選挙を管理する選管のホームページに 掲載することは、解決すべき課題が多く、中期的な検討事項とすべき。 -5- 4.ネット利用に伴って新たに導入すべき規制 (1) メールアドレスの表示義務の導入(再掲) (2) 氏名等の虚偽表示罪(235条の5)の見直し(再掲) (3) 選挙の自由妨害罪(225条)の見直し(再掲) (4) 虚偽記載等の防止・抑制(再掲) (5) 現在、「郵便等又は電報」に限られている衆議院の解散に関するあいさつ 行為の禁止(142 条 12 項の対象に、メールを追加すべき。 (6) 現在、新聞紙、雑誌等の物理的媒体と放送に限られているあいさつを目的 とする有料広告の禁止(152 条)の対象に、インターネットも追加すべき。 (7) 携帯電話等のディスプレイ上に表示されたQRコードの類の記録内容は、 公選法の文書図画に関する規定の適用においては、当該QRコードの類が 記載されたビラ、ポスター等の一部に表示されたものとして、法律上の疑 義を生じさせないため、法律に明記すべき。ただし、法定記載事項をQR コードの類によって表示することはできないこととすべき。 (8) なお、ホームページ上の人気投票の公表(138 条の 3)については、引き続 き禁止すべき。 -6- 5.ネット利用に伴って見直すべき規制 (1) 屋内の演説会場内においてパソコン画面の掲示やホームページ、OHP、 テレビ電話等の映写(以下、「映写等」という。)をすることは認めること とすべき。 併せて屋内の演説会場内における立札・看板の類についての規格制限 (273 ㎝×73 ㎝)を撤廃すべき ・屋外の演説会場における映写等 ・選挙運動用自動車に取り付けて使用する映写等 ・街頭演説の場所における映写等は、引き続き禁止すべき。 (2) ホームページを利用したパソコン等の映像面への情報表示による政治活動 に限っては、選挙期間中も候補者の氏名等の記載を認めるべき。 確認団体がホームページを人に見えるように掲示する行為(パソコン画面 の掲示や、画面の映写を含む。)は、文書図画の掲示として従来どおり氏名 等の記載を禁止すべき。 -7- (3) 選挙運動のために使用しているホームページのアドレスを記載することは、 個人演説会の告知や政見放送の告知と同様、選挙運動のための告知を行って いるものであると考えるべきであり、次のことについては法律上の疑義を生 じさせないため、法律に明記して、禁止することとすべき。 ただし、政党等が選挙期間前に政治活動のために開設したホームページによっ て、選挙期間中に選挙運動を行う場合、当該政党等が候補者届出政党、衆議院 名簿届出政党等、確認団体となった場合に限り、新聞広告、テレビCM等制限 されていない政治活動において当該ホームページのアドレスを記載することが できることとすべき。 ・ 選挙運動手段として認められた文書図画以外の文書図画に当該アドレスを記 載し、当該文書図画を頒布又は掲示すること。 ・ 選挙期間中に制限されない政党等の政治活動(新聞広告、テレビCM等)に おいて当該アドレスを表示すること。 ・ 当該アドレスを記載したメールを送信すること。 -8- (4) 近年の電磁的記録媒体(CD等)の普及状況に鑑み、表面上何も記載がない電磁 的記録媒体(CD等)に記録された内容が選挙運動用文書図画である場合、これを 頒布する行為は選挙運動のための文書図画の頒布として禁止されることについて、 法律上の疑義を生じさせないため、法律に明記すべき。 (5) (6) 選挙期日後のあいさつ行為については、答礼をメールでする場合は現在も禁止さ れていない(178 条)が、引き続き禁止しないこととすべきであり、また、ホーム ページの利用については現在禁止されているが、これを認めることとすべき。 なお、年賀状等の時候のあいさつ状については、インターネットを利用する場合 には現在も禁止されていない(147 条の 2)が、引き続き禁止しないこととすべき。 -9-
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