若い妊娠可能なアマチュア女性アスリートの貧血と鉄状態. Di Santolo M et al. Eur J Appl Physiol (2008) 102:703‒709 若いアマチュア女性アスリートの貧血と鉄状態に対する、定期的身体活動の影響を調査し た。合計191人の健康な白人イタリア人女性(23.5 4.68歳)について分析した。70人は 週11.1 2.63時間の運動を行っているアマチュアアスリートであり、121人は運動してい ないコントロールとした。貧血と鉄状態の血液指標として、ヘモグロビン(Hb)、ヘマ トクリット(Hct)、赤血球数(RBC)、血清中のフェリチン、鉄、トランスフェリン (Tf)、トランスフェリン飽和率(TfS)、可溶性トランスフェリン輸送体(sTfR)、 sTfR / logフェリチン割合(sTfR-F指数)を調べた。Hb < 120g/ℓを貧血閾値とした。 フェリチン濃度<12μg/ℓは鉄欠乏(ID)とみなした。貧血(15.7 vs 10.7%、 p=0.32)、鉄欠乏(27.1 vs 29.8%、p=0.7)、鉄欠乏性貧血(8.6 vs 5.8%、p=0.46) の発生頻度にはアスリート群とコントロール群に違いはなかった。しかし、血清鉄< 50μg/dlの頻度は、アスリート群がコントロール群の3倍以上であった(オッズ比(OR) 3.37、p=0.012)。低TfS(<15%)はアスリート群で25.7%、コントロール群で13.2% であった。sTfRの高値(>1.76mg/ℓ)はアスリート群で24.3%、コントロール群で 12.4%であり、OR 2.27、p=0.034であった。定期的なアマチュアスポーツ活動は、妊娠 可能な女性の貧血または鉄欠乏の割合を増加させる原因とはならない。しかし、身体運動 は鉄状態に影響し、血清鉄やトランスフェリン飽和率を低下させたりsTfR上昇を減少させ たりする。アマチュアアスリートの5分の1は貧血、3分の1が鉄欠乏であり、これらの状 況は身体的活動を低下させる可能性がある。 博士後期課程1年 藤井嵩子 激しい運動をしていなくても運動週間のある若い女性では、鉄の影響状態が良くないこと を報告している。日頃、運動していない同年代の女性よりも鉄の栄養状態が著しく悪いと いうこともないので、若い女性に一般的に見られることなのかもしれない。しかし、アマ チュアアスリートでも、より良く運動するためには鉄が不足しないように気をつける必要 があるというだろう(岡村浩嗣)。
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