2006年度 ドイツ連邦政府の農業政策報告 −2006・2− ( 抜 粋 ) ドイツ連邦共和国消費者保護・食料・農業省 − 概 Ⅰ 目 次 − 要 1 農業の概況 1 構 造 2 価値生産 3 収入の状況 3・1 農 Ⅱ 業 3・2 林業経営 3 政 4 策 B部:農業の現況 10 1 農業の現況 1・2 2004/05事業年度の簿記記帳結果 1・2・4 C部:政 有機農業経営 策 13 1 自然的な生存基盤の確保 1・1 持続的な農業のための政策 1・1・3 再生可能な原料 3 農村地域の持続的な発展 16 3・1 総合的な農村地域の発展 3・1・2 農村における女性と青年 3・1・4 職業教育(農業関連) 18 3・3農村地域発展のための国内政策 20 3・3・1共同課題 農業構造と海岸保全の改善 3・3・1・3 生産−販売構造 25 2006・4 中川 訳 一徹 概 要 Ⅰ 農業の概況 1 構 造 2005年には、ドイツにおいて2ha以上の農業経営が、約366600 戸ある。この経営数は2003年以来、毎年約2,8%減少している。旧西 ドイツ地域では3、0%の減少率で、同時にそれは長期的な平均値よりも高い。 平均の農地装備は、約46haに達している。 2 価値生産 2005年におけるドイツの農業の価値生産は、暫定的な見込みでは減少す るだろう。 項 生 産 目 価 経 純 価 値 ユ − ロ 対前年比の変化 値 387億 −3.0 費 250億 −0,2 121億 −7,0 20 980 −4,3 生 産 労働力1人当りの純価値生産 3 収入の状況 3・1 農 業 a)2004/05年度簿記記帳の結果 農業経営の収入は、2004/05事業年度(2004年7月∼2005年 6月)における平均で、約23,9%上昇して36 647ユ−ロ(約5 13 0 600円 ※)となった。この経営におけるの従事者収入を加えた労働力1 人当りの収入は、前年比約18,9%増加して、23 104ユ−ロ(3 23 4 000円)となった。同時に、主業経営(訳注:専業、第一兼業経営)の 前年対比の収入状況は、ここ5年間の平均を明らかに上回った。収入状況改善 のために、特に豚、肉牛、畑作の販売額増加並びに飼料費の低下が、貢献して いる。さらに高い補助金、とりわけ2004年に新しく導入された牛乳助成金 としての直接支払金もまた、大いに役立っている。 ※ 1ユ−ロ=140円で計算 収入の減少には、主に園芸の低い販売額と燃料の支出増加が影響している。 -1- 経営形態と地域による平均収入進展 経営当りの収入 経営形態・地域 ユ 畑 作 − ロ 前年対比の変化 44 905 + 8,5 園芸(野菜、観賞用植物、苗木) 34 408 − 8,1 ワ 38 272 + 3,3 − 38,8 イ ン 果 実 24 657 牛 乳 32 169 + 22,5 その他の飼料作(肥育−飼育牛) 29 857 + 40,0 養豚・家禽 55 884 +104,6 混合(複合) 36 763 + 53,0 旧西ドイツ地域 35 366 + 23,3 新しい州(旧東) 57 532 + 30,2 36 647 + 23,9 ドイツ全体 % 新しい州における法人経営において、2004/05事業年度の収入(労働 力当りの従事者収入を加えた年間余剰)は、約17,9%増加して27 33 4ユ−ロ(3 826 700円)となった。同時に法人経営の経済状況は、主 業経営のように前年対比でそんなに大きく改善されなかった。それは、この地 域で豚の飼育があまり多くなかったからである 。(豚の好価格の影響が少なか った)。収入改善のため、主に畑作からの高い販売額が貢献している。 有機農業経営の収入状況は、さらに改善された。有機農業経営の平均収入は、 前年対比14,6%増加した。この経営は、2004/05事業年度で経営当 り40 602ユ−ロ(5 684 280円)得ている。これは、慣行経営の 比較グル−プ経営よりも21%多い。 -2- b)2005/06事業年度に関する予測 農業経営の経済状況は、現行の2005/06年度において、多分僅かに悪 化するだろう。農業の主業経営に関して、平均で5%の収入減収が見込まれる。 ネガテイブな発展の原因は、主に高騰するエネルギ−価格によるコスト高で ある。これに畑作の販売額低下が加わる。豚に関しても、同じく幾らかの収入 減収が見込まれる。牛乳についても、生産者価格のさらなる減少が予測される。 しかし、乳牛経営は牛乳助成金の第2段階からの補完的な奨励金を、得ること ができる。 3・2 林業経営 a)2004林業年度 私有−団体有林における経営状況は、2004林業年度において悪化してい る。その際、伐採量は変化していない。自己管理林における伐採と、自分で売 り込みする木材に関しての高い価格に際して、そして木材と他の産物からの販 売額が、僅かに増加した。支出面では、勿論収益進展よりも大きくコストが上 昇している。そのため、ドイツにおける林業経営の平均で、企業活動に関する 全ての経費と投入資本の利子を差し引いた額である、純収益が減少している。 純収益(※)生産領域1−3木材置き場 ha当り 所 有 形 態 2003 団 体 有 林 27 私 有 林 63 ユ−ロ 2004 27 ユ−ロ 46 ※ 公的奨励金含む b)2005年の予測 現在あるデ−タによると、2005林業年度における林業経営の収入状況が、 改善されるだろう。木材需要が高まり、伐採量が前年よりも増加する。木材価 格は、木材品の平均において上昇する。専門家の予測によると、経営支出が増 加するが、しかし収入の進展がそれを上回る。そのため、2005林業年度の 経営に関して、純収入の上昇が見込まれる。 -3- Ⅱ 政 策 農−林−漁業と食料経済は、農村の経済領域の安定、生物の多様性、景観の 維持・保全、原料−エネルギ−供給源として、食料供給力の確保のために、大 きな意義をもっている。特に、農村らしさを印した地域で労働の場を、確保す ることに役立つ。 − 競争力の維持と強化は、重要な前提条件である。同時にまた、多様な機能 もまた達成され得る。農業経営主は、生産の個々の段階について、これま で以上に強力に、集中しなければならない。このため、教育と普及助言に おいて基礎を築き、そして政府はそれを奨励する。世界規模での競争にお いて、 輸出奨励金 以上に輸出奨励手段が、強化されるべきである(補 助金に頼らない方法で)。 農村発展の分野において、特に個々の投資奨励、市場構造改善の奨励並 びに普及−情報そして資格付与政策の奨励は、農−林業さらに食料経済 の競争力強化のために役立つ。農業における持続的な構造上の発展を 背景に、政府は特に労働の場が農村で創出されるための、農業者のイニ シアチブを支援する。 経営主が担うことの出来る、農業内外での仕事に関するイニシアチブは、 農村での経済的、社会福祉的発展のための前提条件である。活力ある農 村地域は、インフラ構造の構築奨励と効果的、総合的発展のための条件 であり、経済的環境を通じて良好な農業−林業−食料経済をもたらす。 − 農業市場での状況が、農業−食料経済の状況に関して中心的な意義をも つことから、農業市場政策における基本的な変革が実行される。生産か らの奨励金切り離しを決定した共同農業政策の改革は、ドイツにおいて 2005年から実行された。最初に80%までの前払いの支払い請求が、 2005年末に行われた。このことは、特に農業経済の関心事であり、 そして農業経営の支払い能力確保のための貢献である。 最終支払いは、2006年春に認可される。直接支払いは、将来を指向 した経営における投資奨励でもって活動できるように、農業の困難な構 造適応プロセスを、側面から支援するものである。 -4- そして自らの競争能力を強化し、農村地域における就業の場を確保 す る。同時に環境、食料の安全生産並びに動物の健康と動物保護のための 農業活動に対して、奨励金が支払われる。 EU−砂糖市場組織改革のための決定は、2005年11月にEU内の 加盟国によって異なる関心事であるが、適切な補償を作り出しそしてヨ −ロッパ内の競争力ある砂糖生産を、将来も又可能とさせる。全体的に これまでのEU−砂糖生産が約1/3削減されることが、計画されてい る。特にこのことは、任意の砂糖保証量システム(いわゆる再編成基金) によって実施される。 競争力の弱い砂糖産地(特に共同体の南と北)は、任意性を基本に砂糖 生産から切り離すために、社会福祉的な観点に即した魅力的な刺激(政策) を得ることになる。同時に、ドイツにおいて競争力のある砂糖生産は、自 らの生産量を十分に維持でき、そして特にドイツの農村地域での就業の場 を確保できる。 EUは、改革でもってイニシアチブ 武器を無くすことが全て の領域 において、発展途上国に対する国際的義務に応ずる。このことは、200 9年から基本規定の配慮のもとに、EUへの免税でかつ量的規制無く、砂 糖の輸入がいくつかの発展途上国に認められる。さらにEUは、世界市場 への自ら値下げした輸出品を大きく減らし、同時にWTOに対する義務を 果たす。EU−穀物市場は、目下約1 800万tの市場介入の状況によ って、財政的負担を生じている。そしてEUレベルでこれを減少させるた め、さらに一層の努力を必要としている。 − 再生可能な原料は、農村地域における補完的な労働の場に関して、大きな 潜在力を有している。これは、新たなエネルギ−源からのエネルギ−獲得 に際して、遙かに大きな貢献を果たす。燃料でも暖房−電気の分野でも、 ダイナミックに発展するだろう。再生原料のエネルギ−利用は、特に上昇 する石油−ガス価格のために、利益を得ることができる。 -5- それは、 再生可能なエネルギ−法 の新追加条項の分野で、バイオ燃料 に関して明らかに改善された奨励政策のためである。再生原料の素材的利 用に際しての発展は、ゆっくりと進展するだろう。だがしかし、化学工業 におけるバイオ原料の現在の割合、12%は明確に上昇することが期待さ れる。有限の原料への依存を減らすため、より強力な貢献のため、そして 気象−環境保護と農村地域における就業、価値生産のために、昨年手にし たドイツの先駆者としての役割をさらに拡大する。 − 農村地域発展のための奨励は、農村の人々に関する活発な政策形成のうえ で連邦政府の重要な礎石である。そのため、この意味におけるヨ−ロッパ レベルでの議論プロセスをさらに進め、そして2007年から2013年 の奨励期間において、ELERによる農村地域発展の奨励について、NO 1698/2005(EG)規定の内容に関する審議が、効果的になされ ることに貢献する。 この政策の4つの奨励重点は、農林業の競争力強化、景観と環境の改善、 農業の内外における補完的な収入の可能性の創造と、農村地域での生活の 質的向上並びに総合的な発展戦略の強化を目指している。新しいEU− 奨励期間拡大のため、既に2005年に連邦−州の審議が始まっている。 中心となる目標は、時宜を得た国内戦略法案(共同課題 農業構造と海岸 保全の改善(GAK) が、各州の発展プログラムと州プログラムに関す る概括規定)であり、それでもって、必要なEG−法審査がなされ、そし て遅滞無く2007年1月1日に奨励の国内実施を、始めることができる。 国内戦略において、戦略的な総合構想と、ドイツにおけるELERから の奨励に関する、国内の優先順位が決定される。連邦と州の共同課題(G AK)は、多くの各州プログラムの内容上の、そして財政上の中核を構 成している。連邦と各州は、独自の共同課題の基本構想を引き継いでい く。様々な奨励分野において、旧西ドイツ、新しい州間で奨励決定のさ らなる同一化のための、具体的な措置が決定されるべきである。 -6- 総合的な農村発展の奨励は、共同課題−政策に際しても2007年から ELERによる、農村地域発展のための共同体イニシアチブ(LERD ER)−構想の予定どおりの適用を、実践することができるという趣旨 に沿って拡大される。 − 地域行動 は、連邦政府の国内持続戦略の領域におけるプロジェク トであり、そして農村地域政策のさらなる発展のための示唆を提供する。 これまでの全体的な経験は、例えばGAKにおける奨励原則 農村の発展 の具体化である。地域行動 総合的な は、各州との議論のさらなる 強化のもとで、並びにドイツにおける全ての農村地域と、政策における 経験の普及を求めている。 − 農業社会福祉の確保は、農業者家族の特別な要請に対応した社会福祉 上の安全確保を保証する。農業社会保証システムは、他の保証システム に対して、負担金と給付を均等に適用させ、そして一般的な社会福祉上 の保証システムと、かみ合わせるという近代化をすべきである。農業健 康−事故保険に関する現法は、適切な負担金軽減の目的でもって、そし て農業者負担金の公平性という、目的をさらに発展させるものである。 − 連邦政府は、農業遺伝子工学の領域で、研究とその普及をさらに奨励 する。2005年2月4日に、遺伝子工学の新しい規定のための法を、 発効させた。これは、ヨ−ロッパの解除指針を、ドイツ法に置き換え たものである。この遺伝子工学法は、あらゆる生活−経済領域におけ る遺伝子工学の利用とさらなる発展のための領域に、適用されるべき である。この規定は、ドイツにおける研究と応用を奨励することに適 用される。人間と環境の保護は、ドイツの遺伝子工学の最上位の目標 である。 − 化学農薬の削減プログラムは、2005年の農業政策の新しい礎石と して、集中的に推進する。重要な政策は、ホップ、園芸そしてビ−ト 栽培における農薬使用の調査、作物保護におけるより良い専門的実践 の導入、作物保護における管理改善のための作業と、研究の集中化の ための原則の改正であった。 -7- − 連邦政府は、環境−資源保護を政策上高く位置づけている。その際、 害を及ぼす大気汚染の回避、または可能であるそれの軽減が、重要な 関心事である。自然と景観の保護・維持は、持続的発展の基本要素で ある。 − 自然的な生存基盤の確保、国民の保養、原料材の持続的な生産並びに 農村地域の発展との関連で、森林は重要な課題を担っており、それを 満たしている。持続的なそして自然に優しい森林管理は、連邦政府の 持続性戦略の一部である。ドイツにおける高い木材蓄積量と森林の生 長は、確実なそして環境に優しい原料と確実なエネルギ−供給、並び に農村地域での価値生産と、労働に関してより強力に活用するために 有効である。 この目標に対する基本的な貢献として、重要な社会グル−プと共同で、 木材憲章の領域において、一連の発展的な政策を実行することである。 違法な木材伐採と闘う政策と、持続的に生産し環境に優しく生産され た木材に対して、消費者の信頼が高まる。 − EUの共同漁業政策の領域において導入されている改革は、さらに継 続されそして具体化されている。連邦政府は、持続性の原則が制限さ れることなく、共同漁業政策において政策上の中心になっている。魚 の捕獲量の大幅な落ち込みと、漁産物に対する高い需要に直面して、 養殖漁業の意義が増大している。淡水−海水魚が、環境への優しさを 厳しく確保するとともに、そして消費者保護を最優先することを、配 慮した養殖管理が連邦政府の立場である。 − ヨ−ロッパ同盟の幹部は、2005年12月15日∼16日からのE U理事会で、2007年から2013年までのEU−財政の大枠に合 意した。2002年からのEU−25カ国に関する、2 931億ユ− ロ(約41兆円)の額での農業合意がなされた。そして共同農業政策 の第一の柱において、直接支払いと市場に係る課題のための、上限と して確保され、ル−マニアとブルガリアのEU加盟経費も含んでいる。 第二の柱に関して共同農業政策である農村地域発展の奨励は、697, 5億ユ−ロ(約9兆7 650億円:調整財源無しで)が、2007年 から2013年までの奨励期間内で決定された。 -8- − EU−拡大の分野において、2004年12月14日に交渉の成果あ る決定によって、ル−マニアとブルガリアとの加盟条約が、2005 年4月署名された。加盟国における加盟条約の批准は、勿論まだされ ていない。加盟の期限として2007年1月1日が、計画されている。 加盟の前提条件は、引き受けた義務を満たすことである。ヨ−ロッパ 同盟は、トルコとの加盟交渉について合意した。同じくクロアチアと の加盟交渉が始まり、2005年にEU理事会は、マケドニアに加盟 候補国の地位を与えることに合意した。 − ホンコンにおけるWTO−閣僚会議では、共同農業政策−改革の精神 とヨ−ロッパ農業モデルで、一致していることでの中間成果に達した。 重点は、農業分野に関する今後の方針を決定し、閣僚声明で公表した。 通商を歪める農業輸出奨励のあらゆる形態を、2013年までの最終 期限までに廃止すること。いわゆる国内支持の領域における通商を妨 げる奨励金支払いを実質的に削減すること、そして農産物に関する 市場アクセスを改善すること。 − 食料の安全と同時に健康で十分な食料品に対する人間の権利の徐々な る実現は、世界規模での大きな挑戦を意味する。この分野での相互的 な支援と並んで、食料の権利実現との関連で連邦政府は、国連の食料 −農業機構(FAO)とともにプロジェクトを奨励している。 連邦政府は、国際農業貿易の領域において、工業国と発展途上国の関 心事の公正な調整を行うことに、特別な責務を認めている。とりわけ、 共同農業政策の改革(砂糖市場規則とと殺牛の輸出報奨金の廃止)が、 ヨ−ロッパとドイツ農業にとって示されている。そのことは、国際競 争力を強化し、その際発展途上国の関心事(利害)を、特別に配慮す ることになる。 -9- B部:農業の現況 1 農業の現況 1・2 2004/05年度簿記記帳の結果 1・2・4 有機農業の経営 (51)2004年僅かの増加であるが、有機農業経営の意義が増大した。 有機農業を営む経営数は、16 591戸(前年16 466戸)に増加した。 この経営は、有機農法のEU−域内規則によって、767 891ha(前年 734 027ha)の面積を営んでいる。それによって1994年以来、有 機農業経営を営む経営数並びにその面積が、3倍以上となった。全経営数に対 する有機農業経営の割合は、2004年に約4,1%(前年4,0%)、全面 積に対する割合は4,5%(前年4,3%)となった。 経営調査ネットワ−クの中には、有機農業経営の主業経営(園芸、果樹、ワ インを除く)が含まれており、2004/05事業年度には、その数が333 戸(前年295戸)に増加した。簿記記帳結果は、有機農業経営を算術的に平 均したもので、部分的な数字からコンピュ−タで推計したものではない。25 1戸の調査経営の平均で、前年対比の収入は、14,6%増加した。慣行経営 と比較して幾分不良な収入の進展は、主に有機農業経営における豚の飼育が、 慣行経営のようなウエイトを、占めていなかったことによるものである。(訳 注:2005年度は豚の価格が良好 収入の前年対比+104,6%) 前年同様に経営形態によって分類した有機農業経営と、慣行経営グル−プと 対比した。その際、同じ生産部門、類似した経営規模(EGE:ヨ−ロッパ規 模単位)と、自然的な条件(比較値ユ−ロ/ha)を勘案している。さらに調 査対象の選定基準として、農地装備(LF)を採用した。それによって、経営 規模との結びつき(標準補償額を伴った家畜飼育についても調査)を強め、家 畜飼育の集約度との関連でも比較可能となった。 表−13において、全慣行農業経営の主業経営の平均値(園芸と永年作物経 営を除く)を、補完的に示している。構造的に類似した慣行農業経営との比較 で、有機農業経営について以下のことが特徴づけられる。 - 10 - − 労働力が約30%多く、雇用労働者が就業していること。賃金の支払い しない労働力(家族労働力)はほぼ同じである。 − 馬鈴薯、小麦の収量が慣行の比較経営グル−プよりも、明らかに低いこ と − 穀物と馬鈴薯の価格が倍以上、牛乳価格も14%高く、高い生産者価格 を得ていること − ha当りの肥料、農薬で非常に低い支出になっていること − 約39%高い直接支払いを得ていること(特に農業環境プログラムへの 参加によるところの) − 人件費の支出が慣行の比較経営グル−プの約4倍であること 2004/05事業年度において有機農業経営は、1経営当り40602ユ −ロ(5 684 300円)の収益を得ている。これは、慣行の比較グル−プ よりも21%多い。労働費(収入)を加えた収益は、1労働力当り23836 ユ−ロ(3 337 000円)となり、慣行の比較グル−プよりも11%多い。 個々の経営形態の比較でも有機農業経営が高い収益を得ている(表−36)。 畑作経営は、1経営当り48 096ユ−ロ(6 733 400円)と最も高 い収益を得ており、慣行の比較グル−プよりも2%多い。飼料作経営(肥育− 飼育牛)は、1経営当り34 621ユ−ロ(4 847 000円)で、比較 グル−プよりも24%上回っている。混合経営では、平均して1経営当り45 314ユ−ロ(6 344 000円)で、約18%高い収益になっている。 - 11 - 表−13 指 標 の 有機農業経営と慣行経営との比較(2004/05) 特 徴 単 位 有 機 農 業 経 慣行の比較 営(1) 経 経 営 営 数 規 模 農用地面積 全慣行グル グル−プ(2) −プ(3) 333 483 8473 ヨーロッパ規模単位 72 72 80 ha 110,1 110,3 591 591 69,1 比 較 値 ユーロ/ha 労 働 力 人 2,2 1,7 1,7 家族労働力(家族) 人 1,5 1,5 1,4 家畜単位/100ha 63 58 133 100kg/ha 35 70 78 206 317 377 5667 6500 6754 家 畜 飼 育 小麦収量 馬鈴薯収量 乳 〃 量 kg/頭 小 麦 価 格 馬鈴薯価格 牛 乳 価 格 経 営 収 益 681 ユーロ/100kg 24,25 9,85 9,94 〃 19,76 8,01 6,83 ユーロ/100kg 34,28 30,01 29,86 1614 1502 2817 ユーロ/ha 内訳 農産物の販売額 〃 269 344 477 畜産物の販売額 〃 605 563 1531 投資奨励金の無しの 〃 476 369 378 〃 170 42 34 1187 1153 2205 直接支払金 内農業環境政策支払金 経 営 支 出 ユーロ/ha 内訳 肥 料 〃 9 79 94 農 薬 〃 1 59 79 家畜購入 〃 36 66 254 飼 料 〃 76 81 304 人件費 〃 116 29 63 369 304 539 40602 33520 37204 23836 21458 24254 収 益 収 益 労働費加えた収益 ユーロ/ha ユーロ ユーロ/労働力 - 12 - C 部:政 策 1 自然的な生存基盤の確保 1・1持続的な農業のための政策 1・1・3 再生可能な原料 (96)再生可能な原料の領域における研究−普及−デモンストレ−ション計 画並びに市場導入のための奨励プログラムは、2005年に財源の増額によっ て著しく強化された。それによって2005年末には、約300の研究−普及 −デモンストレ−ション計画が、様々な生産分野並びに消費者情報と市場導入 が奨励された。 表− 奨 生産分野別のプロジェクトの奨励財源の配分 励 分 野 財 源 砂 糖 7 澱 粉 4 油 ・ 脂肪 割 合 % 13 セルロ−ズ・木材 8 植物繊維 4 プロテイン 1 特殊内容物質 5 バイオエネルギ− 47 広報活動 11 エネルギ−分野において、バイオガス、合成バイオ燃料そして固形バイオマ ス(例えば木材、麦わら、全植物体)が、奨励の重点である。材料素材の分野 において、特別な建造物材料、良質化学物質と工業用重合体が、より良好に加 工されている。有機由来の潤滑油と水圧装置液体の市場導入の分野において、 2005年に約650のプロジェクトが決定され、580万ユ−ロ(8億12 00万円)の奨励金が投入された。 - 13 - 連邦政府は、現状のさらなる発展と有機由来の燃料分野における、新しい技 術発展のための数多くのプロジェクトを、支援している。有機由来の合成物質 またはバイオマス液体−燃料(短縮:BtL−燃料)が、興味ある見通しを提 供してくれる。連邦政府は、フライベルク(ザクセン州)にある、BtL−燃 料生産のためのパイロット施設に関する準備作業を、経済活動で有名な企業と 提携をしながら奨励している。その施設において、新たに有望な方法をデモン ストレ−ションし、そして技術的発展を促進する。 同じく多くの期待される科学技術が、カ−ルスル−エの研究センタ−でのプ ロジェクトで、奨励されている。ドイツエネルギ−会社(dena)について、 奨励されている1つの研究は、BtL大規模施設の経済性実現のためのチャン スを探っている。連邦政府は、新たなエネルギ−の市場刺激プログラム(MA P)によって、固形バイオマス(特に木材)からの熱の獲得と利用のための施 設設置を、支援している。 木材並びにバイオマス利用の投資補助ないし、一部負担免除でもって奨励し ている(100KW以上の能力の燃焼施設ないし70KWまでのバイオガス施 設)。1999年9月のプログラムスタ−ト以来、2005年まで100KW 能力のバイオエネルギ−施設が、100 000件より幾分多い申請が提出さ れた(主に熱の供給)。そしてそれは、16億ユ−ロ(2 240億円)の投資 額によって促進されている。 公称熱伝導100KW以上の能力をもつバイオマス施設、70KWまでの電 気性能の電気−暖房を組合わせた施設は、連邦独自の復興信用銀行(KfW) を通じた、利子の割引き並びに一部負担免除でもって奨励している。固形バイ オマス燃料を利用する施設に関して、2005年末までに約850件の申請が、 約1億1 000ユ−ロ(154億円)の貸付額並びに1 150のバイオガス 施設が、4億6 200万ユ−ロ(646億8 000万円)で認可された。 固形のバイオ燃料に関するエネルギ−熱−連結施設のために、約3 000万 ユ−ロ(42億円)が、利子割引き貸付金として認可された。全体的に市場刺 激プログラムは、新たなエネルギ−からの熱利用のさらなる強化のための効果 的な奨励手段を、当面する競争関係に対応できるよう、さらに継続するべきで ある。 - 14 - 生物的に分解され得る包装資材の市場導入に際して、包装資材規定の3条に おいて2010年までに、回収−利用義務の免除でもって、基本的な前進が達 成される。エネルギ−利用と並んで、使用後生物的に分解され得る包装資材に ついて、堆肥化するため今既に、重要な進歩を成し遂げている。さらに補完的 に、法的な適応を必要としながら。2005年10月に連邦政府から提出され た報告書 持続性の道しるべ の中に、再生可能な資源の素材としての利用を、 1つの重点に掲げている。 その際、再生可能な原料の様々な利用方向の中で、多くの潜在力が認められ、 国内及びヨ−ロッパレベルでの対応の必要性が生じている。 例えば、期限を 定めた市場導入援助と、ヨ−ロッパ研究ネットワ−ク(ERA−Net)であ る。そのための基礎は、企業、連盟そして科学分野からのエキスパ−トの活動 である。 (97)2004年1月1日以来、全てのバイオ燃料−暖房燃料は、税制上 の優遇措置を受けている(§2の石油税法 )。この優遇措置は、純バイオ燃料 −暖房燃料と生物由来の部分の化石エネルギ−源との混合に、拡大されている。 それは、まず第一に2009年12月31日まで期限付けられている。今ま で税の優遇措置が、石油税免除の形での完全実施が認可されてきた。税の優遇 措置は、毎年いわゆる過剰補償が、検査でもって指摘されている。 つまりそれは、認定された税の優遇措置が、生物に由来する動力燃料ないし 成分ついて、化石燃料に対しての経済的な優位性を、示しているどうかに係っ ている。2004年の検査報告書において、純粋ないし混合した形態でのバイ オ軽油についての、過剰補償が確認されている。そのため、バイオ軽油の部分 課税は、ドイツ連邦議会における決定が遅れている。2007年1月1日から 義務づけられたバイオ燃料割合によっての、税の免除が替えられるべきである。 EG−バイオ燃料指針は、バイオ動力燃料についての将来政策に関して、重 要な基盤を形成するものである。これに関連して2005年について、全体の 動力燃料の使用に対して、2%の割合でバイオ動力燃料使用を、非義務的な規 定として努力してきた。ドイツは、ただ1カ国がこの目標を、バイオ軽油の投 入によって著しく超過し、そして約3%まで達成している。 - 15 - この指針においてドイツでは、2010年まで努力すべきバイオ動力燃料の割 合を5,75%としており、勿論さらなる努力が求められる適切なEU−枠組 みを通じた国内行動補完のため、2005年5月に オ動力燃料覚え書き バイオエネルギ−とバイ を、EU−農業大臣会議に提出した。この中で持続的な エネルギ−供給のための、バイオマスとバイオ動力燃料の意義が強調され、同 時に必要な行政措置を提示している。EUは、バイオマスによるエネルギ−需 要を、目下4%カバ−している。 ヨ−ロッパ委員会は、熱、電気そして動力燃料の3分野全てにおいて、バイ オマス利用の拡大のために努力している。ヨ−ロッパ委員会は、2005年1 2月17日に、一連の広範囲な政策を伴ったバイオマス−アクションプランを 提案した。これは、2010年までの見通しに基づき、エネルギ−分野でのバ イオマス利用の倍化を、ねらったものである。 ドイツは、2005年に国際エネルギ−エ−ジェント(IEA−バイオエネ ルギ−)に、契約パ−トナ−として参画している。IEA−バイオエネルギ− は、環境にやさしく、そして価格面で良好なバイオエネルギ−を、持続性をベ −スに促進すること、そしてそれを通じて将来のエネルギ−供給のために、本 質的に貢献することを目的にしている。 3 農村地域の持続的な発展 3・1総合的な農村地域の発展 3・1・2 農村における女性と青年 (123)連邦政府のイニシアチブによる調査計画 と展望 農村における女性の課題 は、女性の生活状況の広範な姿、並びに女性の課題とチャンスの把 握が目的である。選定された市町村において、女性の生活条件を分析し、そ して生活の展望をつくり出すための具体的な考えを、理解することであった。 インタビュ−した女性のうち、56%が収入活動への参画に際して、8%が 独身者であった。女性の生活関係は、労働市場の状況及び職業と家族との両 立をさせるために、出される要求に強く関連している。 - 16 - サ−ビス業施設(例えば保育園など)の街中心地への集中化の進展は、農村 地域におけるこれまでの生活の質を危うくし、そして女性の活発な行動を難 しくしている。子供を世話する不十分な施設は、一層困難をもたらすとみら れる。農村住民の行動(特に一部であるが、遠くへ移動する場合)は、とり わけ旧東ドイツ地域で、大きな挑戦に直面している。 ドイツにおける生存基盤の分析に基づいて、連邦政府は2005年1月に専 門家会議 農村と人々のための展望 を開催した。その際、パ−トタイム− 自立の傾向増大と、特に副業活動が際立ってみえる:職業上自立しているこ の形態は、主に家族に対して義務を有している女性に選択されている(65 %)。 情報技術の習得と活用は、農村地域における発展のために、常に重要である。 モデルプロジェクト 農村女性のための新たなメデイア−IT−農村女性(2 002∼2004年) は、農村女性の平日において、より強くインタ−ネッ トに結びつけるための革新的手段を普及させる。これの普及が広く影響を及 ぼすことを継続し、そして農村女性組織がメデイアの時間において、農村女 性の戦略プロジェクトの目指すところのものを、支援することができる。農 村と町との間のデジタル上の隔たりを無くし、そして農村地域における機会 均等を保証するために。 (124)農村地域発展のために、農村女性組織の社会福祉的、文化的そし て経済的貢献は、高い存在価値を有している。そのため、2005年度の農 村女性の活動が、95 000ユ−ロ(1 330万円)の連邦財政でもって 支援される。 (125)4つの農村青年連盟活動のテ−マ上の重点は、農村地域における発 展と農業領域における展望、チャンス、消費者保護と農業政策であった。こ の活動支援のため、連盟は2005年度連邦財政を、約116万ユ−ロ (1億6 240万円)得ている。連邦政府は、世界青年会議に際して、 世界 の村 の開催を支援した。農村青年は、農村地域と農業における新たなエネ ルギ−利用、並びに世界の食料、農業貿易と農業政策のテ−マに対して、取 り組んでいる。 - 17 - (126)園芸家、農業者、家政管理者、林業者並びにぶどう栽培農家の職業 上のコンク−ルが、 緑の職業は活気に満ちて−持続的、創造的に を、モッ ト−に開催された。それに加えて馬飼育者のため、飼育と肥育を重点に、職 業上のコンク−ルが開催された。この職業コンク−ルは、4年来職業教育の 重要な要素になっている。このコンク−ルは、約215 000ユ−ロ(3 010万円)で奨励された。これには、14 300人が参加した。 3・1・4 職業教育 (130)農業経済の将来的保証のため、職業教育が目下の知識、政策そして 社会的大枠条件の多くの変化と、増大するグロ−バル化に対応することが、 重要となっている。それぞれの知識水準を基礎に、あらゆる分野の高度な専 門家−指導者の適切な資格水準が、確保されるときのみ、前述のことが可能 となる。農業分野の社会パ−トナ−との密接な協調において、2005年に 職業教育のために、合計6つの近代的ないし新しい規則を決定した。 − 5つの専門施設(牛飼育、豚飼育、家禽飼育、牧羊と養蜂)における教 育の著しい特殊化でもって、家畜飼育のための職業教育についての規則 改正法 − 変化する構造的な大枠条件での対応としての農業専門家のサ−ビス業の 新しい職業教育の導入、農業におけるサ−ビス業経営体の意義の増大と さらなる特殊化に対応 − 家畜飼育と農業サ−ビス業の専門家に関する教育施設の適正化について のそれぞれの規則の公布 − 農業−家政の領域においての職業教育に関する専門的あ適正証明試験の 承認と専門的適正に対する要請に関する規則公布 − 家政の職業分野でのマイスタ−試験に関する必要条件についての規則公 布 専門家に対して変化する必要条件に対応した教育の適応のため。 専門家の資格付与に係る将来−投資分野の特別な意義から、見習生の数の進 展がみられる。 緑の職業 によるイメ−ジ改善のための政策結果で、見習生 の数が増加傾向が続いている。昨年の教育統計によると、農業分野でのそれぞ れの専門経済部門で、教育実績が改善されている。 - 18 - 表−24 農業関連職における見習生数(2005年1月1日現在) 職 農 業 業(畑作等) 合 計 男 性 女 性 9 196 8 361 835 家政管理 336 0 336 家畜飼育 1 590 868 722 747 633 114 ブドウ栽培 園 芸 17 417 13 301 4 116 馬 飼 育 2 099 390 1 709 漁 業 314 305 9 林 業 1 912 1 817 95 猟区狩猟 52 50 2 838 723 115 酪農工場専門家 農業実験助手 34 11 23 乳業実験助手 508 83 425 5 317 4 055 1 262 木造家屋専門家 合 計 40 360 30 597 9 763 前 年 38 170 28 510 9 660 見習生数は、前年比でさらに約6%増加した。大きな伸びは、ぶどう栽培(+ 14% )、家畜飼育(+12%)そして農業( +9%)である。就業者数が著 しく減少しているにも拘らず、農業領域における教育実績は、この10年で約 29%上昇した。 (131)NO1782/2003規定(EG)は、加盟国に対して2007 年1月までに、土壌管理と農業経営の課題において、経営主への助言システム の構築を義務づけた。ドイツにおいてずっと以前から、農業普及組織が存続し ているが、各州において異なった普及−管理構造で発展してきた。農業経営の 普及指導のための専門家の意見は、経営戦略においても専門的、組織的集中プ ロセスにおいても、明確になっている。 - 19 - 普及指導への需要並びに各州におけるクロス コンプライアンス−普及に関 して、異なる評価が報告されている。 (132)連邦政府は、40万ユ−ロ(約5 600万円)でもって、国際実 習生プログラムを奨励し、それでもって農業分野での若い専門家の職業上の専 門知識習得を、支援している。110人のドイツ人がヨ−ロッパ各国に、また 海外への実習のため派遣している。ロシア、ウクライナ、ベラル−シから16 5人の若い後継者が、ドイツで資格取得のため実習している。実習生は、国内 外のセミナ−を通じて、専門知識を深める。 さらにザクセナンハルト州において、ウクライナからの12人の農業マネ− ジャ−のために、家畜生産の分野における専門セミナ−が開設されている。そ れでもって、ウクライナ農業の私経済構造が、確立されるだろう。このセミナ −参加者は、新しい技術とドイツの家畜飼育の標準技術でもって、自らの技術 水準を高めている。 3・3 農村地域発展のための国内政策 3・3・1 共同課題 農業構造と海岸保全の改善(GAK) 3・3・1・1 共同課題(GAK)のさらなる発展 (138)共同課題は、ドイツにおける農業構造政策の統一と調整のための、 連邦政府の中心的手段である。連邦政府は、GAKの維持に関して、奨励のあ り方について、改革審議に取り入れた。農林−漁業と食料業界の競争力強化を、 中心課題としての自然−環境保護の関心事を配慮して、改善された政策によっ て実行される。この政策は、農村的な特徴をもった地域での経済的な潜在力を 汲み出し、それでもって就業の場を確保することに貢献する。新しい州では、 奨励によって特別な意義がもたらされている。 連邦政府と州は、現行のEU−奨励期間2000年から2006年の中で、 2006年のGAK−大枠プランの奨励政策に関して、実質的な変更を見合わ せることに合意した。 - 20 - この対応は、EU−委員会の認可を得ることが必要である。明らかな変更は、 条件不利地域に関して休耕するか、あるいはもはや2006年から農業生産に 耕地を使用せず、補償金が認可されないことに、合意したことである。200 7年から2013年までのEU−奨励期間に関しては、 NO1698/2005の規定でもって、農村地域発展の奨励(ELER)に よる、新しいEG−法の基礎が作り出される。 新しいEU−奨励期間の準備のため、すでに2005年に連邦−州の審議が 始まった。中心的な目標は、各州のプログラムに対する大枠規定としての、G AKに関する国内戦略の重要な枠組みの早期提出である。それによって、20 06年に必要なEG−法審査と認可が可能となり、2007年1月1日に奨励 の国内実施を、遅滞無く始めることができる。このことを背景に、既に200 7年のGAK−大枠プランに対する専門的審議が、実施されている。 農村発展のための国内戦略を狙いに、EG−法で確定されている大枠規定と してのGAKが、各州のプログラムに対して、本質的、内容的そして財政的な 結びつきを示している。連邦と州は、GAK−政策の基本構想を、継続してい くことで一致している。異なる奨励分野において、旧西ドイツと新しい州との 間で、奨励決定のさらなる調整に対する具体的措置を、決定すべきである。 この適用でもって、さらに2007年から有効なEG−法もまた配慮される べきである。統合的な農村地域発展の奨励は、GAK−政策に際してもLEA DER構想(農村地域発展のための共同体イニシアチブ)の計画的な適応を、 ELER−奨励によって拡大される。 個別経営投資奨励(AFP)に際して、競争力の強化が中心点に据えられて いる。同時に家畜保護の領域における、追加の改善された給付金支給が導入さ れる。さらに利子割引きと機械奨励の停止に際して、補助金認可による奨励も また、簡素化されそして集中化される。農業活動の多角化(例えば農家での休 暇、エネルギ−生産によっての)の意義は、将来的にも奨励対象として重要な 位置づけにある。クロスコンプライアンスの社会的要請の遵守に際しての、農 業サイドでの準備と対応のための指導援助は、2008年末までに適切なマネ −ジメントシステムでもって、変わりなく継続されるべきである。 - 21 - 農産物の加工と販売の領域における構造改善のための政策は、奨励推進の中 で結びついている。それは、さらに生産者団体−連合による、共同販売の奨励 と投資を包括している(組織化に係る経費に対する期限付きの、そして年々逓 減するところの補助金)。 それと並んで、納入契約を締結した経営の投資も奨励対象となる。漁産物に 関する加工−販売構造改善のための奨励推進は、継続される。この点における EUの関与は、2006年春に決定されるEFF−規定によって計画される。 調整手当金は、変更無く継続されるべきである。これの適用は、特に条件不 利地域の新しい区分についての、EU−委員会提案に基づいて、2010年か ら試行される。農業環境−動物保護政策(市場ニ−ズとその土地に適した農業 経営の奨励)については、特にGAK−改革によって、変更された条件(生産 から奨励の切り離しとクロスコンプライアンス)に適応し、ELER−規定の 新しい法の枠を考慮すべきである。 広範な政策のもとで、多様性が維持されるべきである。林業の奨励指針は、 最初の植林、自然に優しい森林管理、林業上の共同活動とインフラ整備に集中 されている。その際特に、林業上の共同活動が強化される。それは、木材販売 に際して大きな役割を発揮するからである。水管理政策(洪水防止、水利対策 の具体化、給水、汚水処理など)と海岸保全の政策は、変更無く続けられる。 家畜の遺伝子上の質的改善のための政策もまた、継続されるべきである。G AK−奨励推進における農業の遺伝資源保持のための政策についても、さらに 議決の必要性が生じている。このための農業構造と海岸保全のための計画委員 会(PLANAK)の議決は、2006年2月に予定されている。 (139)GAKに関する連邦財政は、全体的な財政緊縮のもとに、2005 年に約6億7 000万ユ−ロ(9兆3 800億円)が支出された。州の財政 を含めて、約10億9 000万ユ−ロ(15兆2 600万円)が準備された。 この財政の主な部分は、農村地域の発展計画の具体化に投入され、それはER −財政の投入によって、著しく強化される。 - 22 - 2005年における支出の重点は、農村構造の改善に置かれ、2億3 220 0万ユ−ロ(3兆2 508億円−GAK予算の34%)が充当された。生産 −販売構造の改善に関して、1億7 010万ユ−ロ(2兆3 814億円、G AK−予算の25%)、そして持続的な農業の経営に1億6 840万ユ−ロ(2 兆3 576億円、同25%)が支出された(表−24、表−25)。 表−24 奨 奨励領域毎のGAK財源の配分 励 分 野 財 源 割 総合的な農村の発展 19 水利政策 15 個別経営の奨励 19 市場構造の改善 7 補償金支払い 16 市場・その土地に適した営農 8 林業政策 6 その他の政策 2 海岸保全 8 - 23 - 合 % 表−25 政 政策毎のGAK財源の配分(100万ユ−ロ・連邦財政) 策 分 野 2004 2005 農村構造の改善 総合的な農村地域の発展 150,5 134,5 88、3 97,7 130,2 125,2 33,2 44,9 116,8 108,5 51,6 59,9 林業政策 30,4 37,1 海岸保全 65,5 66,2 その他の政策 11,5 11,0 678,0 685,0 水利政策 生産−販売構造の改善 農業投資奨励 市場構造の改善 持続的な営農活動 補償金支払い 市場・その土地に適した営農 合 計 (140)2006年 GAK−連邦財政の額については、2006年の連邦 予算の編成の領域において決定された。 3・3・1・2 農業構造、海岸保全の改善 (141)総合的な農村地域発展の奨励でもって、支援を維持する。孤立し 並列した個別政策よりも、重なり合って調和した政策戦略が成果を挙げ得るこ とが、基本的な考えである。1つの地域がどのような戦略をとるかは、あらゆ る地域に適応されるような標準的な問題解決ではなく、地域自ら決定するよう 追求すべきである。総合的な発展構想は、今ある発展の潜在力を開拓するため、 そして目的に添った奨励財源の投入のための、鍵となる機能である。 総合的 な農村発展の奨励原則の適用された最初の年である2004年には、既に26 の地域が総合的な農村発展構想の作成に際して、支援されている。7つの地域 では、専門家による地域マネ−ジメントが導入されている。 - 24 - これは、基本的に総合的な農村発展構想の具体化を、専門的に組み立てし、 そして支援を受けることに貢献する。総合的な農村発展が奨励され得る投資政 策は、むらの再整備、農業用建造物の使用転換、農業者とそれ以外のパ−トナ −との共同活動、インフラと農地整備を含んでいる。2004年のむらの再整 備と農地整備は、5 510万ユ−ロ(77億1400万円)でもって、また 総合的な農村発展の領域におけるGAK−連邦財政は、9 290万ユ−ロ(1 30億600万円)であった。 (142)2004年における水利と文化財に係る政策については、GAKか らの連邦財政8 830万ユ−ロ(123億6 200万円)でもって、洪水防 止のための基本対策が奨励された。海岸保全には、北海−バルト海の沿岸沿い の生活空間の将来的な安全を保証するため、約655万ユ−ロ(9億1700 万円)が充当された。 3・3・1・3 生産−販売構造の改善 (143)農業投資奨励プログラム(AFP)は、依然として競争力のある 持続的な環境と動物に優しく、そして多様な機能をもった農業を支援するため の、個別経営上の中心的な奨励手段である。このため、2004年に連邦財政 1億3 000万ユ−ロ(182億円)が投入された。 生産−販売条件改善並びに生産コストの削減と、生産効率向上のための投資 は、規定の補助率で奨励された。改正された補助率は、環境保護(大気汚染の 減少、エネルギ−節減)、動物保護(家畜に優しい飼育方法)、有機農業並びに 経営の多角化に関する投資が対象となる。 (144)2004年に8510の計画が、約9億ユ−ロ(1 260億円) の奨励可能な投資額でもって、具体化された(表−25) 。50 000ユ−ロ (700万円)までの小規模投資に際しての奨励の重点は、機械と可動する経 営資材並びにその他の農業用建造物に、置かれている。50 000ユ−ロか ら125万ユ−ロ(700万円∼1億7 500万円)までの大規模投資に際 しては、主に畜舎とその他の農業用建造物並びに、経営の多角化の分野に投資 される。 - 25 - 奨励された投資は約4012件の補助金受給を伴って、約5億5 500万ユ −ロ(777億円)が、建物投資に、そのうち約1640件、約3億400万 ユ−ロ(425億6 000万円)が、畜舎に充当されている。殆どの奨励さ れた畜舎への投資は、家畜に優しい特別な飼育方法への要請に応じた整備に当 てられた(1211件、2億2 300万ユ−ロ 312億2 000万円)。 この数字は、農業者の投資が前年より増加し、畜舎建設に際して家畜に優し い飼育が畜産の中で、大きな存在価値のあることを示している。前述の家畜に 適した特別な飼育方法における投資のうちの194件、約2000万ユ−ロ(2 8億円)が、社会的に認知されている有機経営への投資額になっている。それ と並んで150件、1 600万ユ−ロ(22億4 000万円)の投資が、家 畜以外の分野への奨励に供された。 大気汚染の減少とエネルギ−節約に関して3 641件、約3億700万ユ− ロ(429億8 000万円)の投資額が、新たなエネルギ−のために、連邦 政府の市場刺激プログラムの重要な補完手段になっている。経営の多角化につ いて、小規模投資に関する魅力的な補助奨励(35%の補助)の理由で、非常 に多くの投資がなされた。全体で646の計画が、1億900万ユ−ロ(15 2億6 000万円)の奨励投資額でもって奨励された。 2004年特徴的だったのは、242件の 農家での休暇 の分野で、約6 000万ユ−ロ(84億円)の投資額であった。 (145)AFPの中での賠償補償の認可は、投資のために必要な他人資本の 調達に役立っている。2005年からは、旧西ドイツ地域においても投資借款 の担保保証の供与ができる。これまで保証を与えた2405件のうち、112 件の保証が請求され、そして約1 710万ユ−ロ(23億9 400万円)の 欠損、そのうち960万ユ−ロ(13億4 400万円)が連邦財政であった。 (146)2004年にGAK−大枠プランでもっての農業経営の奨励は、個 別経営のマネ−ジメントシステムの適用との関連で、個別の普及指導が活用さ れた。この政策は、すでに幾つかの州で実行されている。その際、マネ−ジメ ントシステムは、農業者に対して特別に(EG)NO1782/2003規定 によって、クロスコンプライアンス−重要規則の遵守を支援する。 - 26 - (147)市場構造改善のための奨励は、以下の分野を含んでいる。 − 市場構造の改善 − 有機または地域で生産された農産物の加工と販売 − 市場構造法の領域における政策 − 漁業における加工−販売構造の改善 (148)市場構造改善のため2004年に、GAK財源から総額5 320 万ユ−ロ(74億4 800万円)が支払われた。そのうち、5 230万ユ− ロ(73億2 200万円)が営農開始補助金に、組織経費に対して補助金8 0万ユ−ロ(1億1 200万円)が充当された。 表−26 市場構造改善の領域における各分野毎の投資奨励 (2004・単位:100万ユ−ロ) 公 分 的 奨 励 金 野 GAK(1) 牛乳・乳製品 EAGFL(2) 合 計 21,0 37,2 58,2 果実・野菜 4,9 5,0 9,9 家畜・牛肉 4,0 4,5 8,5 卵・家禽 0,9 2,4 3,3 穀 物 5,9 4,8 10,7 馬 鈴 薯 3,6 9,4 13,0 花・観賞用植物 0,7 1, 5 2,2 ワイン・ブランデ− 4,6 2, 0 6,6 魚 2,3 3,3 5,6 4,4 2,1 6,5 52,3 72,2 124,5 その他(有機・地域産物) 合 計 (1)共同課題:農業構造と海岸保全の改善 (2)ヨ−ロッパ農業調整−保証基金 - 27 - - 28 -
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