地方独立行政法人那覇市立病院 平成27事業年度の業務実績に関する評価結果 平成28年8月 地方独立行政法人那覇市立病院評価委員会 ○年度評価の方法 本評価委員会において、地方独立行政法人那覇市立病院の平成27事業年度に係る業 務実績に関する評価を行った。 (評価の基本方針) (1) 評価は、中期目標・中期計画の達成状況等を踏まえ、法人の業務運営等について多 面的な観点から総合的に評価を行い、評価を通じて法人の継続的な質的向上に資する ものとする。 (2) 評価を通じて、法人の中期目標・中期計画の達成に向けた取組状況を市民に分かり やすく示すものとする。 評価は、項目別評価と全体評価を行い、項目別評価では、法人による自己評価をもと に、業務実績に関する法人からのヒヤリング等を通じて、法人による自己評価の妥当性 や年度計画に照らし合わせた達成状況を確認した。また全体評価では項目別評価結果等 を踏まえつつ、年度計画及び中期計画の進捗状況について総合的な評価を行った。 なお、平成27事業年度の評価にあたっては、昨年度に指摘・要望等を行った項目に ついて、改善状況等を確認した。 ○地方独立行政法人那覇市立病院平成27事業年度の業務実績に関する評価結果 第1 全体評価 1 評価結果と判断理由 平成27事業年度の業務実績に関する評価については、2ページ以降に示すように、 「市民に提供するサービスその他の業務の質に関する事項」及び「業務運営の改善及 び効率化に関する事項」の2つの大項目評価について、 「B 評価」 (中期目標・中期計 画の達成に向けておおむね計画どおり進んでいる。)が妥当と判断した。さらに2の 全体評価にあたって論点となった事項などを総合的に考慮した結果、平成27年度の 業務実績については、全体としておおむね中期計画及び年度計画のとおり進捗してい ると判断した。 2 全体評価に当たって論点となった事項 2つの大項目のうち第1の市民に提供するサービスその他の業務の質に関する事項 においては、小児科医及び脳神経外科医を配置した365日、24時間救急医療体制 を維持してきたこと、地域医療機関との連携を示す紹介率、逆紹介率ともに目標値を 達成し、地域の医療機関との連携が定着していること、地域がん診療連携拠点病院と して認定看護師の育成に努めたこと、安心、安全で良質な医療を提供するため院内感 染対策が徹底されていることを取り組みの良い項目として整理した。 1 また、手術ナビゲーションシステムやレーザー破砕装置を用いた手術件数が減少し ていること、診療待ち時間の満足度が悪化したことを努力を要する項目として整理し た。 第2の業務運営の改善及び効率化に関する事項においては、後発医薬品の採用見直 しを行い、使用率目標値を大幅に上回っていること、診療報酬の査定率を全国平均よ り大幅に低く維持していることを取り組みの良い項目として整理した。 また、地方独立行政法人化して初の単年度赤字決算となり、一層の経営努力を要す ることを努力を要する項目として整理した。 第2 大項目評価 1 市民に提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項 (1) 評価結果 「B 評価」 (中期目標・中期計画の達成に向けておおむね計画どおり進んでいる。) (2) 判断理由 小項目評価結果の集計結果(<第1表 大項目の評価方法>及び<第2表小項 目評価の集計結果>参照)で「B 評価」 (中期目標・中期計画の達成に向けておお むね計画どおり進んでいる。)となる。 その中でも、地域医療支援病院として地域医療機関との連携を示す紹介及び逆 紹介率目標値を達成し、地域の医療機関との連携を強化していること、ボランテ ィア室の設置など、充実したボランティア活動を実施する環境整備を行っている こと等の5項目を評価Ⅳとした。 地域の医療機関と連携して、夜間・休日の医師等を確保し、小児科医及び脳神 経外科医を配置した365日、24時間救急医療体制を維持していること、地域 がん診療連携拠点病院として認定看護師の育成、看護師の質の向上に努めている こと等その他34項目を評価Ⅲとした。 医師の退職に伴う影響で、手術ナビゲーションシステムやレーザー破砕装置を 用いた手術件数が減少していること、患者満足度調査により、診療待ち時間の満 足度が悪化したことの3項目を評価Ⅱとした。 以上のように評価Ⅱの項目があったが、対象の42項目中評価Ⅲ以上が39項 目あり、割合が9割以上であることから「B 評価」とした。 注:上記の項目数は、ウエイト考慮後の項目数である。(以下同じ) 【大項目評価の主な概要及び論点となった事項】 (詳細再掲) (注: ( )は小項目の番号を、[ ]は評価のウエイトを表す。以下同じ。) ① 地域の医療機関と連携して、夜間・休日の医師等を確保し、365日24時間 救急医療体制の維持・充実を図る。『(1) [2]』 2 (意見等) 小児科医及び脳神経外科医を配置した365日、24時間救急医療体制を維持 し計画を順調に達成している。今後も体制の維持、充実に努められたい。 ② 地域の中核的急性期病院として、優秀な医療スタッフの確保に努めるとともに、 がん治療やその他の高度医療を充実するため、医師等の増員とスキルアップを図 る。『(4)[2]』 (意見等) スタッフの確保に努めることとしているが、医師の退職に伴う影響で、手術ナ ビゲーションシステムやレーザー破砕装置を用いた手術の件数が減少しており、 今後医師確保に努め高度医療の充実を図られたい。 ③ がん化学療法認定看護師・がん薬物療法認定薬剤師の育成に努め、他の医療機 関と連携してがん医療の充実を図る。『(6)[2]』 (意見等) 今後も地域がん診療連携拠点病院として認定看護師・認定薬剤師の育成、確保 及び活用に努められたい。 ④ 地域の医療機関との連携を強化し、地域医療支援病院の維持を図り、紹介及び 逆紹介を積極的に促進する。『(11)[2]』 (意見等) 地域医療支援病院として、地域の医療機関との連携が定着していることは評価 できる。今後も連携促進に努められたい。 ⑤ 地域連携を推進し、地域医療機関と役割分担を行うとともに、診療体制及び業 務体制を見直し、待ち時間短縮に努める。『(28)[1]』 (意見等) 診療待ち時間の満足度がかなり悪化しているので、早期に改善されたい。 ⑥ 患者・家族等の健康に配慮し、敷地内禁煙を継続する。 『(33)[1]』 (意見等) 外来駐車場に禁煙に関する案内板を設置し、敷地内禁煙の啓蒙に積極的に努め ており、評価できる。 ⑦ クレジットカード等による医療費の支払いなど、受診者の利便性の向上に取り 組む。『(34) [1]』 (意見等) 銀聯(ぎんれい)カードの取扱いを開始し、中国人観光客等の利便性の向上に 取り組んでいる。 ⑧ 患者サービス向上のため、ボランティアが活動しやすい環境を作り、ボランテ ィアとの協働を推進する。また、意見交換を積極的に行い、ボランティア活動の 拡大に努める。『(35) [1]』 (意見等) ボランティア室の設置など、充実したボランティア活動を実施する環境整備に 取り組んでいる。 3 <第1表 大項目の評価方法> 大項目評価は、小項目評価の結果、特記事項の記載内容等を考慮し、大項目ごとに 中期目標・中期計画の達成に向けた進捗状況について、次の5段階により評価する。 (地 方独立行政法人那覇市立病院の年度評価実施要領3(3) ) S:中期目標・中期計画の達成に向けて特筆すべき進捗状況にある。 (評価委員会が特に認める場合) A: 中期目標・中期計画の達成に向けて計画どおり進んでいる。 (すべての小項目がⅢ~Ⅴ) B: 中期目標・中期計画の達成に向けておおむね計画どおり進んでいる。 (小項目についてⅢ~Ⅴの割合が9割以上) C: 中期目標・中期計画の達成のためにはやや遅れている。 (小項目についてⅢ~Ⅴの割合が9割未満) D: 中期目標・中期計画の達成のためには重大な改善事項がある。 (評価委員会が特に認める場合) <第2表 小項目評価の集計結果> 42項目のうち39項目が小項目評価のⅢ~Ⅳに該当しているが、すべての小項目 評価がⅢ以上でないことにより、小項目評価の集計では、B 評価(中期目標・中期計 画の達成に向けておおむね計画どおり進んでいる)となる。 分野 評 価 対 象 Ⅰ(計画を Ⅱ(計画を Ⅲ(計画を Ⅳ(計画を Ⅴ(計画を 項目数 大幅に下 十分に実 順調に実 上回って 大幅に上 回ってい 施できて 施してい 実施して 回って実 る) ない) る) いる) 施してい る) 診療機能 の充実 27(6) 1(1) 25(4) 1(1) 9 1 5 3 36 2 30 4 42 3 34 5 患者サー ビスの向 上 合 計 ウエイト 考慮後の 合 計 注:( )は、ウエイト付けした項目数である。 4 2 業務運営の改善及び効率化に関する事項 (1) 評価結果 「B 評価」 (中期目標・中期計画の達成に向けておおむね計画どおり進んでいる。 ) (2) 判断理由 小項目評価結果の集計結果(<第3表小項目評価の集計結果>参照)では、「B 評価」 (中期目標・中期計画の達成に向けておおむね計画どおり進んでいる。)とな っている。 その中でも、後発医薬品の採用見直しを行い、使用率目標値を大幅に上回ってい る、診療報酬の査定率を全国平均に比べ大幅に低く維持し、返礼・査定を減少させ たことの3項目を評価Ⅳとした。 8項目を評価Ⅲとした。 地方独立行政法人化して初の赤字決算となったことで、予算編成及び執行に関す る項目を評価Ⅱとした。 以上のように評価Ⅱの項目があったが、対象の12項目中評価Ⅲ以上が11項目 あり、割合が9割以上であることから「B 評価」とした。 【大項目評価の主な概要及び論点となった事項】 (詳細再掲) ① 法人の会計制度を活用した弾力的な予算編成、予算執行を行い効率的・効果 的な事業運営に努める。 『 (39) [1]』 (意見等) 地方独立行政法人化して初の単年度赤字決算であり、より一層予算編成及び 執行に留意されたい。 ② 適正な後発医薬品の採用促進により患者の負担軽減と法人の費用節減に努 める。『 (40) [1]』 (意見等) 後発医薬品の採用見直しを行い、使用率目標値を大幅に上回っている。 ③ 診療報酬の請求漏れや減点を防止するとともに、未収金の未然防止対策と 早期回収に努める。『(46)[2] 』 (意見等) 全国平均に比べ大幅に低い査定率を維持していることは評価できる。 5 <第3表 小項目評価の集計結果> 12項目のうち11項目が小項目評価のⅢ~Ⅳに該当しているが、すべての項目 がⅢ以上でないことにより、小項目評価の集計では、B 評価(中期目標・中期計画 の達成に向けておおむね計画どおり進んでいる。 )となる。 分野 評 価 対 象 Ⅰ(計画を Ⅱ(計画を Ⅲ(計画を Ⅳ(計画を Ⅴ(計画を 項目数 大幅に下 十分に実 順調に実 上回って 大幅に上 回ってい 施できて 施してい 実施して 回って実 る) ない) る) いる) 施してい る) 事務スタ ッフの専 門性の向 2 2 上 予算執行 の弾力化 と費用節 4 1 2 1 3(1) 1(1) 減 収益の確 保 合 計 4(2) 10 1 7 2 12 1 8 3 ウエイト 考慮後の 合 計 注:( )は、ウエイト付けした項目数である。 6
© Copyright 2024 Paperzz