2010/06/01 第 1 0 5 号 窓を打つ雨音で目覚めることが多い季節となりました。みずみずしい豊かな森を想うと、恵み の雨への感謝が自然と生れてきます。今年も半年が過ぎようとしています。新春に立てた目標の 達成度合いは、いかがでしょうか。 「まだ、半年ある!」 年度目標達成に向けて、チェック&アク ション。行動してゆきましょう。 っても大きな課題といっても過言ではありません。 こうした人為的負担を如何に削減するかが、これからの世界共通テーマではないでしょうか。 因みに、日本では、これまで自然の恵みに感謝し、畏敬の念で人手をかけて持続可能に近い 形で守ってきた里山のような自然がありました。しかし、近年では、山間地の過疎化が進むことに よって、その自然が損なわれていることも問題視されています。例えば、半世紀前までは激減し ていた、ニホンジカが全国各地で増えており、さまざまな草木を食いつくす被害が続発していま す。とりわけ、屋久島などでは、絶滅に瀕した植物も出始めています。 ◆「 海 の 森 」 ( マ ン グ ロ ー ブ )の 植 物 種 の 7 分 の 1 が 絶 滅 の 危 機 に ! 国 連 の『国 際 生 物 多 様 性 年 』を迎 えて ~地 球 環 境 保 全 と深 く関 わっているこ とも認 識 し よう~ 顧問・川村文男 ◆はじめに 2010年は、国連の提唱する「国際生物多様性年」です。そして、5月22日は生物 の多様性と持続可能な利用について考える「国際生物多様性の日」でした。しかも10月 には、日本の名古屋市で「生物多様性条約」の第十回締約国会議(COP10)が開催されま す。6月の中間点を迎えるに当たって、 「生物の多様性」とその重要性について、みなさ んと共に考えてみたいと思います。 ◆『生物多様性』とは何でしょうか? 私たちの身の回りや地球上の生き物たちが、環境悪化や乱獲などによって、どんどんと減って います。そのため、1992年の国連の地球サミットでそれを守る『生物多様性条約』(CBD)が採択 されました。 生物多様性とは、日本の鳥「トキ」のような絶滅危慎種だけではなく、身の回りの普通の生き物 も大切にするために考え出された言葉です。その中には、微生物など、肉眼では見えないものま で、含まれているという広範なものであるということが、大きな特色です。 熱帯雨林や砂漠のような生態系の多様性、種の多様性、そして種内の遺伝的多様性の三つ が大切といわれています。 「国際自然保護連合」(IUCN)がまとめた調査報 告がこのほど発表されました。 これによれば、「海の森」ともいわれるマングロー ブ林に群生する植物種の7分の1が絶滅の危機に あるとしています。気候変動や伐採などが主原因 で、「ラムサール条約や生物多様性条約などでは 開発が止らない」としており、国際条約や法律が充 分機能していないことを指摘しています。 (5月18日付日本経済新聞<夕刊>) とりわけ発展途上国では、経済的な理由による「えびの養殖のための伐採」が深刻で、日本な どの「養殖えび」輸入に対する批判が後を絶ちません。 マングローブは、熱帯地域などで、淡水と海水が混ざり合った河口などに生息する植物の総 称です。 日本では、沖縄県や鹿児島県などで見られます。鳥や魚、サンゴなどの生息地になっている ほか、津波の防波堤となるなど、さまざまな役割を果たしています。 ◆「生物多様性条約」について 地球上のあらゆる生物多様性をそれらの生息環境と共に最大限に保全し、生物資源から得ら れる利益を公平に分配することを目的に創られた国際条約です。1992年5月、ケニアのナイロ ビで採択され、92年の6月の「地球サミット」で日本を含む157カ国が条約に署名しました。(09 年8月現在では190カ国とEUが加盟しています) ◆ なぜ、「生物多様性」が大切なのでしょうか? ◆ お わ り に (「生物多様性」を守るために私たちのできること) さまざまな技術や科学物質が発達しても、私たちは生活必需品を生き物から得ています。これ を「生態系サービス」または自然の恵みと呼んでいます。 例えば、農林水産物は人手をかけた田畑や森や海だけでなく、それを取り囲む生態系全 体の調和がなければ、成り立ちません。 また、私たちが病気に罷ったとき使われる医薬品の多くは、自然の草木や根っこなどか ら抽出したものが少なくありません。 一つは、地球温暖化ガス(Co2)削減に向けた私生活の抜本 的・積極的な見直しです。 二つめは、「海の森」といわれるマングローブ林の、植物種の絶 滅の危機を引き起こす原因を掘り下げ、回避する活動に如何に 寄与するか。さらには、マングローブ林再生に向けての活動に取 り組むことまで視野に入れたものが必要ではないでしょうか。その ために私たちは、如何にあるべきかを真剣に考え、具体的な行動 を足元から起こしたいものです。 ◆ 「生物多様性」を守る方法は? 生物多様性を損なう要因として考えられるものは、まず、土地改良によって生き物の成育地を 奪うことが挙げられます。そして、乱獲、環境汚染、外来種の侵入による在来種の駆逐の四つが 挙げられます。 とりわけ、最近は、地球温暖化に伴う気候変動の影響は深刻で、Co2削減は生物多様性にと OHR グループ Tel: 012 0-783 -720 E-mail: o h r @ o z e c . c o . j p
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