本資料は平成27年2月に作成配布された物です。 内容は当地区(北海道石狩管内)の気象条件での技術です。 執筆されたまま改訂しておりませんので、この資料を参考にされる場合は お近くの農業改良普及センターへご相談下さい。 高糖度トマトの作り方 石 狩 農 業 改 良 普 及 セ ン タ ー 石 狩 北 部 支 所 ( TEL: 0133-23-2146) 栽 培 暦 月 旬 上旬 4月 中旬 作業名 ハ ウ ス 準 備 下旬 鉢 上 げ 上旬 5月 中旬 育苗管理 下旬 上旬 6月 中旬 下旬 上旬 7月 中旬 下旬 上旬 8月 中旬 防除・管理作業 本畑定植 下旬 9月 中旬 上旬 下旬 上旬 収穫・防除・管理作業 10月 中旬 下旬 ハウス片 付 け 定植作業の手順 鉢上げ・育苗 ・栽培品種は、病害に強い「CF桃太郎ファイト」がおすすめです。 ・購入プラグ苗は、定植予定株数より10%程度多めに注文しましょう。 ・鉢あげに使用する、直径9㎝のポリポットを準備しましょう。 ・園芸用培土(プラグエース等)を準備しましょう (糖度が低下することがあるため、緩効性肥料入り培土は避けて下さい。) ・トンネル被覆資材を準備して下さい。 ・プラグ苗が届いたら、翌日の午前中に鉢上げを行い活着を促しましょう。 ・鉢上げ後、活着までの気温は日中24~26℃、夜間15~16℃。活着後は日中20~24℃、夜 間10~13℃を目標に育苗して下さい。 ①ハウス内に水タンクを設 ②定植するポット内の培土 ③定植した培土の面より、 ④潅水チューブは、穴数が 置する。中間に水槽を設置 に穴を開け、根鉢が崩れな 根鉢の表面1㎝程度高くな 各ポリポットで同じになる し、塩等を混ぜやすくする。 いよう定植する。 る 程 度 の 浅 植 え に す る 。 ように設置する。 鉢上げとその後の作業手順 ⑤入口側の潅水チューブは ⑥潅水チューブの最後尾は ⑦ポリポットはシルバーポ ⑧定植作業完了時 杭や板を使って固定する。 杭等で固定し、穴の箇所に リ等でくるみ、洗濯ばさみ (通路を広く確保すること かん水を計る容器を設置。 等で合わせ目を固定する。 で、作業性と風通し向上) ①培土はシルバーポリを使 ②かん水用の水もハウス内に ③苗が到着したら、冷やさな ③苗はできるだけ根を傷つけ い、事前に温めておく。 いよう管理する。 ないようセルから外す。 置き、温めておく。 ④植える際には、子葉を持つ ⑤鉢上げしたポリポットを隙 ④極端な高温時には、寒冷紗 ④苗同士の葉が重なるほど生 ようにし、茎を傷つけないよ 間なく並べ管理する。 (かん水 をトンネル掛けします。 (過度 長したら、隙間を空け葉が重 う注意する。 や温度むら等を防ぎます) な蒸散等を防止) ならないようにする。 定植前準備 ・定植に使用する直径21㎝のポリポットを、準備しましょう。 ・養肥分を含む培土を使用すると定植後の肥培管理が難しくなることがあるため、定植に使 用する培土は無肥料の物を選びましょう。(培土量の目安は1袋(30L)当たり7ポット) ・ポットの設置場所は均平となるよう整地し、板や育苗箱等を置いて排水性を良くして下さい。 ・培土は定植前に温めておきましょう。 ・定植適期は、根鉢が形成されて第1花房の開花始めとなった時です。 かん水・肥培管理 ・定植後3日前後を目安に、薄い液肥だけでかん水します。 (この時期の1日のかん水回数は朝・昼の2回、かん水 量は合計300ml/ポットまでです。) 使用する塩・液肥・カルシウム剤 ・栽培期間をとおして、主枝先端の上2~4葉が萎れないよ う薄い液肥でかん水して下さい。 (1日のかん水回数は0~4回、かん水量は合計0~ 600ml/ポットまでです。) ・高温でお昼以降に茎葉先端に萎れが見られる時、塩 水(0.1%)だけの追加かん水を行います(300ml/ポット) ・着果数を向上させるため、各花房の3花開花時にホル モン剤(トマトトーン)を花房に散布します。この時、カル シウム液剤も混用し、尻腐れ果対策を行いましょう。 ・果実肥大が鈍い場合には小玉抑制対策として、第3花 かん水実施の目安(上位葉が水分を失い、 しなだれ始めた頃に実施)写真:上川農試提供 房の肥大期頃から液肥の濃度を調整します。 (目安:水400ml/ポットに液肥0.643gを溶き、1日に2回に分けてかん水します。) 誘引用のハウスバンドの上 設置した誘引用ハウスバン ハウスバンド等を使って直立誘引する 部は組んでおいた鉄骨で固 ドに、麻ひも等を使って誘 定する。 引する。 防除・収穫 ・葉かび病防除は予防に重点を置き、発病前から定期的に実施して下さい。系統の異なる薬 剤でローテーション防除しましょう。この菌は気孔から侵入するので、気孔の多い葉の裏にも 十分に散布して下さい。 ・灰色かび病は換気不足で発病しやすくなる ため、ハウスの換気や空気の循環に注意しま しょう。また発生源となる残渣物、発病した茎 葉、果実等はハウス内から搬出して下さい。 ・収穫は完熟してから行い、果実をすり潰して すり潰して糖度測定 保管して酸度を下げる 糖度を計測し8%以上で出荷しましょう。 ・収穫後は酸度(酸味)を下げるため、常温で2・3日置いてから出荷して下さい。 収穫後半の管理 ・9月中旬以降は気温の低下とともに、果実の成熟 スピードが鈍くなります。対策として、収穫終了2~ 3週間前に成熟促進剤(エスレル10)を白熟期に花 房散布し、果実の成熟促進を行いましょう。 定植前に培土は温めておく 定植時に使用する培 ポリポットの下に、育苗箱等設置して排水性を確保しましょ 土の例 う。 (廃液が発生した場合は、適宜回収し処分する) 定植 ・温かい水でかん水できるよう、水タンクをハウス内に置きましょう。 ・水タンクからポンプの間に水槽を設置すると、塩や液肥等が混ぜや すくなります。 定植前に水タンクとポンプの ・午前中に定植を行い、ポリポットは地温の上がりすぎと培土の乾燥間に水槽を設置 を防ぐために、シルバーポリでくるみましょう。 ・直径21㎝ポットに定植後の気温は、日中は20~25℃(最高28℃)、 夜間は13℃以上を維持しましょう(活着までは15℃以上) ・曇天が続く時も換気し、病害の発生を防ぎましょう。 ・換気をしてもハウス内の最高気温30℃以上が続きそうな時は、遮光 ネットをかけて下さい。 遮光ネットを使用し、ハウス 内の気温の上がりすぎを防ぐ ※塩は0.1%となるよう計算して下さい。 (それ以上の濃度では濃度障害発生のおそれがあります) ※第2花房開花期以前の液肥量(濃度)は草勢に応じて、変化させて下さい。 ※液肥投入量は水量によって変化します。第2花房開花期以前は窒素濃度200~300ppm(0.0 2~0.03%)、それ以降は窒素濃度100ppm(0.01%)となるように液肥を希釈して下さい。 ・少ない株数やかん水施設がない場合は、少しづつかん水できるよう加工した500mlの ペットボトルに液肥等の溶液を入れ、逆さにし先端が培土に埋まるよう設置して下さい。 発生箇所:果実尻部 病 徴 :果実先端が黒くなってへこみ腐る 発生環境:カルシウム不足、高温環境 対 策 :花房開花時の花房にカルシウム剤を散布 寒冷紗等の利用による高温対策等 葉かび病 発生箇所:主に葉 病 徴 :初期は葉の表面の一部が黄変し、裏側に灰白色の病斑が発 生。その後褐色、灰紫色のカビを生じる。 発生環境:気温20~25℃で多湿条件の環境で多発しやすい。 対 策 :換気対策、薬剤の予防散布 灰色かび病 発生箇所:根以外の地上部の全ての部位 病 徴 :枯死部や傷口から発生する。病斑部には灰白色のカビが密 生する。果実では黄白色の斑点が発生。 発生環境:気温20℃で多湿条件、枯死葉等のハウス内放置 対 策 :換気対策、病果・病葉の除去、薬剤の予防散布 ハモグリバエ類 発生箇所:葉 被害状況:成虫は葉に白色円形の食害・産卵跡を発 生させ、幼虫は葉肉内に潜入し食害する。 対 策 :加害跡が見られたら、早めに薬剤散布を 実施する。 ~ペットボトルを利用したかん水装置の例~ パターン ① ② 方 法 備 考 キャップに1~2㎜程度の穴を開け使用する 穴が根で目詰まりすることがある 市販のかん水用のキャップを使用する 大型ホームセンター等で購入できます 整枝 ・1本仕立てで直立誘引し、第5花房まで収穫します。 ・整枝は晴天日の午前中に行い、発生する傷口を乾かします。葉かきは、葉が古く(黄化)な っているものから実施しましょう。(樹勢を維持するため、1回に3枚/株以内にする) ・主枝の摘芯は第5花房が開花し、その上部の葉2・3枚の上で行って下さい。 使用する成熟促進剤 尻腐れ果 ~時期ごと一日当たりの養液・塩分の濃度の目安~ 塩(0.1%) 液肥投入量(OK-F-3の例) (g) 1日当たり (g) N濃度100ppm N濃度200ppm N濃度300ppm の給液回数 定植後3日前後 0 - 0.429 0.643 朝昼合計2回 第1花房開花後10日前後から - 0~0.858 0~1.284 0~600 0~0.6 0~4回 第2花房開花期以降 0~0.06 - - 白熟期の様子 発生しやすい生理障害・病害虫 これを守ればかん水施設がなくても、少ない株数でも栽培可能! 水量 (ml) 300 適正な草勢の先端部 (鉛筆と同程度の太さ) コナジラミ類 発生箇所:根以外の地上部の全ての部位 被害状況:葉を払うと白色の成虫が飛び、葉や果実が黒く汚れ商品価値 を低下させる。 対 策 :成虫の発生が見られたら、早めに薬剤散布を実施する。 作成協 力: 新篠 津村高 倉地 区 北野 亨 氏
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