金光教の 声 - 金光教 KONKOKYO

金光教の声
平成
年7月~9月放送分
23
NO.396
【もくじ】
《共に生きる》
いのちの大切さ
梶山純子・・・1
池川道和・・・9
《共に生きる》
「おいしい」の声がききたくて・・・・・・5
《共に生きる》
あなたの声を聞かせて
8月6日・・・・・・・・・・・・・・・・
大粒の涙・・・・・・・・・・・・
私だけ、どうして…・・・・・・・
幹 太と 雀 ・ ・ ・ ・・・・・・・・・・
ラジオドラマ『ようお参りです』
第一回
第二回
第三回
第四回
第五回
第六回
第七回
第八回
第九回
離婚する…?・・・・・・・・・・
子どもを手放す?・・・・・・・・
手のひらの二十二錠の薬・・・・・
言葉はナイフより痛い・・・・・・
ありのままの自分・・・・・・・・
ひとりじゃない・・・・・・・・・
35
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《共に生きる》
小児科医としていろんな子どもたちを診させて
ばいけん」と威張っていました。
父 は 、「 自 分 で 努 力 し て 自 分 自 身 を 高 め な け れ
みじゃあダメだ!」と言っていました。当時の
私 た ち を 見 て 、 父 は い つ も 、「 苦 し い 時 の 神 頼
金光教の教会へお参りしていましたが、そんな
私 は 、物 心 つ く こ ろ か ら 、母 の 手 に 引 か れ て 、
す。
せになれるお手伝いがしたいと思ったからで
る両親の姿をいつも見ていて、私もみんなが幸
を間近で聞き、患者さんたちと一緒に喜んでい
婦人科医として開業していて、赤ちゃんの産声
私が、医師になろうと決心したのは、父が産
頂いています。
梶山純子
「いのちの大切さ」
「おじちゃん、おはよう」
「おはよう。今日も元気でがんばろう!」
今朝も子どもたちの元気のいい声が、通りか
ら聞こえてきます。
私たち夫婦が働くクリニックの前は、小・中
学校の通学路となっていて、夫が十年前から、
子どもたちとのあいさつ運動を始めました。こ
う し て 、毎 朝 、子 ど も た ち か ら 元 気 を も ら っ て 、
私の一日が始まります。
私 は 、山 口 県 の 日 本 海 側 に 位 置 す る 長 門 市 で 、
こ ん な 時 、私 は 、
「金光様にお参りするのは、
-1-
よ!」と、反論したものでした。
よるんよ!
苦しい時の神頼みじゃないん
『ありがとうございます』と、お礼参りに行き
ても、人間の体や、体の中の様々な働きを作る
なのです。また、人間は、薬を作ることは出来
で治す力や生きていこうとする力がないとダメ
しかし、その当時の私は、教会の先生のお話
ことは出来ないのです。
てから勉強しなさい」と言われ、鉛筆も、天地
を何となく、ぼんやりと理解していたに過ぎま
教 会 で は 小 学 生 の 私 に 、「 鉛 筆 に お 礼 を 申 し
のおかげの中で作られていることを教えて下さ
せんでした。
医学部に入学し、心臓、肺、脳など人間の体
り、お世話になる全てのものにお礼を申すこと
を教えて下さいました。
教 会 の 先 生 は 、「 天 地 の お か げ の 一 番 の 源 を 勉
病気が治る手助けをしているに過ぎないのだと
で は ど う し よ う も 出 来 な い と い う こ と 。医 学 は 、
の働き、一つひとつの細胞の働きは、人間の力
強してきて下さい」と、おっしゃいました。た
いうことに気付かされた時に、生命の神秘の偉
ま た 、私 が 医 学 部 を 目 指 す こ と を お 話 す る と 、
とえ、よく効く薬を注射したり、飲んだとして
その一つは、生命が誕生する時のことです。
大なることに感銘を受けました。
ければ、薬は効きません。ロボットや人形にど
女性は一生のうちに約四百個の卵子を排卵し
も、血液の流れや、胃や腸で吸収する働きがな
んな高価な注射をしても効かないのです。自分
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ます。また、男性は一回の射精の中に、五億個
繰り返しながら、子宮に着床し育っていき、一
針の先ほどの大きさの受精卵は、細胞分裂を
実際に出産に立ち会った時には、生命の誕生
以上の精子を含んでいます。精子が、膣から子
考えると約六キロメートルにも相当し、幾多の
に本当に感激し、神様のお力の素晴らしさに涙
人の人間が誕生するのです。
関門をくぐり抜けながら泳いでいくことになる
があふれ出しました。どんなに科学が進歩して
宮を通って卵管まで到達する道のりは、人間で
のですが、それをクリア出来るのは約百個の精
も、人間が人間を造ることは出来ないのです。
高熱を出した赤ちゃんを連れて、お母さんとお
子だけです。こうして卵子の周りに到達した精
重 の 壁 を 突 き 破 ろ う と 必 死 に な り ま す 。や が て 、
ばあちゃんが診察に来られた時のことです。熱
ま た 、こ ん な こ と も あ り ま し た 。あ る 日 の 夜 、
選ばれたたった一個の精子だけが卵子の壁の中
は四十度と高熱ですが、母乳も飲めて、顔色も
子は、最後の力を振り絞り、卵子を取り囲む二
に頭を入れます。この時がまさに受精の瞬間で
良く全身状態は良好です。おばあちゃんは、高
そ こ で 私 は 、「 今 、 赤 ち ゃ ん は 体 の 中 で ば い
配しておられました。
熱で赤ちゃんの頭がどうにかならないかと、心
す。
このようにして、出来た受精卵は、世界にた
った一つの生命であり、かけがえのないものな
のです。
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いるのですよ。熱を出すことでばい菌たちの勢
菌と一生懸命戦っています。だから、熱が出て
す。子育てに悩むのではなく、子どもと一緒に
子どもと一緒に成長していくのだと、お話しま
診察が終わると、患者さんの背中に向かい、
「子は宝」です。
悩 み 、一 緒 に 育 つ の だ と い う こ と を … 。本 当 に 、
神様はちゃんと病気と戦える
いも弱まるんです。本当に人間の体は、素晴ら
しいでしょう!
ように体を作って下さっているのです」と、説
二、三日後、赤ちゃんは熱も下がって元気に
りがとうございます。金光様、金光様、どうぞ
す 。 同 時 に 、 心 の 中 で 、「 診 察 さ せ て 頂 い て あ
必 ず 、「 お 大 事 に な さ い ま せ 」 と 、 声 を 掛 け ま
なり、おばあちゃんも、とっても喜んでおられ
患者さんがおかげを頂かれますように」と、お
明しました。
ました。
これからも、お礼の心を忘れない信心をして
祈りをする毎日です。
一 人 で も 多 く の 子 ど も た ち に 、 こ の 〝い の ち の
いきたいと願っています。そして、私の出来る
私は、日々診察に来られた方々に、そして、
大 切 さ 〟を 、 し っ か り お 話 す る よ う に し て い ま
限 り 、〝 生 命 の 大 切 さ 〟 を 伝 え て い き た い と 思
います。
す。
そして子育てに悩むお母さんたちには、子ど
も と 共 に 、一 つ ひ と つ 自 分 も 親 と し て 育 つ こ と 、
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《共に生きる》
「『 お い し い 』の 声 が き き た く て 」
金光教放送センター
ナレーション…大阪のある児童養護施設で働く
二十三歳の藤井香織さんは、栄養士として、毎
日五十人ほどの子どもたちの食事を作っていま
す。二歳から十六歳まで、食べ盛りの子どもが
多いので、いつも大忙しです。
藤井…取りあえずお肉を炒める時がすごい大変
なんです。夕食の時は、お肉の炒め物でも、四
キロのお肉を使うんですよ。それを炒めるって
すごい大変な作業で…。
ナレ…児童養護施設は、家族と暮らせない子ど
もが共同生活をする施設です。親が病気である
とか、虐待を受けたとか、さまざまな事情があ
ります。普段は元気にしていても、寂しい気持
ちがいろいろな形で現れます。藤井さんは調理
室から出ると、子どもたちと触れ合うようにし
ています。
藤井…子どもたちがつらさとか、寂しさを感じ
る時は、もうすごい甘えてくる時です。小さい
子とかは、すごい甘えてきやすい。幼児さんと
か な っ た ら 、「 抱 っ こ ー 」 と か 言 っ て く る し 、
でもそれが小学生になってきたら、だんだん言
われなくなってきて、中学生、高校生になった
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聞いて欲しいから、ちょっと夜遅くまで起きて
ょっと甘えた声出してみたりとか、中学生は話
小学生は、小学生なりに、構って欲しくて、ち
ら、もう、絶対抱っこなんて言わんし。でも、
足を感じたりします。
ろみたいな感じのことをした時に、自分の力不
生やったら大丈夫やろ。暴れても怒られへんや
意しても、耳に入れない、子どもらが、この先
とか、話聞いて欲しいっていう時は、もう出来
ごい話してきて、甘えてきます。甘えてくる時
で~」とか、自分に気が向いて欲しい時に、す
で も い い 話 で も 、「 今 テ レ ビ こ ん な ん や っ て る
た藤井さんの班には、元気をなくして落ち込ん
金光教本部でキャンプがあり、リーダーを務め
昨年夏、ある体験をしたからです。岡山にある
す。藤井さんが神様に祈るようになったのは、
ナレ…悩みがあると、藤井さんは神様に祈りま
みたりとか、話聞いて欲しくて、ほんまにどう
るだけ話すようにはしてます。
に な り 、施 設 内 で 問 題 を 起 こ す こ と も あ り ま す 。
ナレ…子どもたちは寂しさから不安定な気持ち
藤井…どうすることも出来ない自分がすごい嫌
きません。
てもらおうと声を掛けるのですが、彼女には響
でいる女子高生がいました。何とか元気になっ
藤井…子どもらがケンカした時に、暴れても注
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せてもらって、お広前に着いたら、どわっ、て
て。泣き顔で、もう涙流しながらお広前向かわ
んやろうみたいな感じで、涙が止まらなくなっ
やったし、なんでこんなことになってしまった
が出来て、すごいうれしくなって。
は、神様は私の中におったんや」っていう認識
な っ て い う こ と が あ っ て 、「 あ っ 、 て い う こ と
ら自分も神様と向き合うチャンスを頂けたんや
ご い す っ き り し た 顔 を し て く れ て 、「 あ っ 、 話
ど、そのあと、戻って夜にその子と話したらす
いるから、何も聞こえてないし、分からないけ
ら、金光様が何をおっしゃったかは自分泣いて
で神様と向き合わせてもらったことがあったか
か…」ってなって、その時に初めて、自分の中
て 思 っ た 時 に 、「 あ 、 お 結 界 に 行 っ た ら い い ん
てもらって、ぶつけてぶつけて、どうしようっ
の所に行き、話をしようと思い立ちました。
きな安心に包まれた藤井さんは、もう一度彼女
言葉をじっと受けとめ、祈ってくれました。大
部打ち明けました。すると金光様は藤井さんの
下さいます。藤井さんは心の中にある思いを全
いつもおられ、お参りになった人の話を聞いて
という所があり、金光教の教主である金光様が
げる場所があります。その一角には“お結界”
ナレ…金光教本部にはお広前といって祈りを捧
泣いとって。神様にぶつけて、お広前に座らせ
して良かったとか、あの時お結界行かせてもら
って良かった」っていう…、この子がおったか
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てくれへんかったりとかしたら、唱えられるよ
なったから、職場でも、子どもが言うこと聞い
れてるっていうふうに思うことが出来るように
様は常におってくれてるって、そばにおってく
藤井…何やろ、その時からかもしらんけど、神
うふうにサポートするのって難しいから、願う
てもらっていけたらなっていうふうに、そうい
っていき方とかを年々ちょっとずつ考えていっ
分からん子とか結構おるんで、その気持ちの持
もうどこにその気持ちを持っていったらいいか
るようになって欲しいなって。暴れ出したら、
たらなって思いますね。
ことしか出来へんけど、そうなっていってくれ
うになったんやなと思います。
ナレ…この経験から、藤井さんは職場でも心の
く れ る よ う に 、祈 り を 込 め て 、ご 飯 を 作 り ま す 。
中で神様に祈るようになったそうです。
藤井…神様は何でも話せる存在ですね。子ども
今の課題は新しいメニューを増やすことだそう
ナレ…藤井さんは、今日も子どもたちが喜んで
たちに願っていることは、いっぱいご飯食べて
です。
藤井…やっぱり新しいメニューが出てきたら、
風邪引かないようにとか、丈夫な体に育ってく
れればいいなというふうに願ってます。精神的
な面では、自分で気持ちのコントロールが出来
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これ見たことないって言うんですよ。テンショ
「あなたの声を聞かせて」
《共に生きる》
金光 教伊 予 三 芳 教 会
ンがバッと上がるんですよね。そういう顔を見
るのが楽しいからメニュー増やせたらいいなっ
て思います。
池川道和
私は 現在、自殺予防の電話相談のボランティ
アをしています。
相談者のほとんどは、周囲に悩みを打ち明け
る 相 手 が い な く て 、独 り で 悩 み を 抱 え て い ま す 。
一生懸命考えているつもりでも、同じ考えが堂
々巡りをしています。
人は独りで考えていると、とてもつらく深く
落ち込みます。もう自分はいない方が楽だとも
思えてくるようです。電話相談はそんな人のた
めに、ボランティア相談員が待機しています。
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きっと何かが見えてくると思います。
電 話 で お 話 を し て み て 下 さ い 。お 話 を す る 中 で 、
お聞きのあなたが同じような思いでいるなら、
と思ってしまうようです。もし、このラジオを
苦 し い 日 々 を 生 き て い く よ り も 、死 ん だ 方 が 楽 」
た ら 、「 自 分 な ん か 要 ら な い 人 間 だ 」「 そ ん な
自分の考えや思いを誰にも伝えることがなかっ
「うつ病と診断されてからしばらく経ちますが、
安定で何に対しても自信がない」と話します。
老人のようだし…、気持ちは子どものように不
向 こ う の 声 に 耳 を 傾 け ま す 。「 体 は ボ ロ ボ ロ で
り聞こうと受話器を耳に押しあてて、受話器の
小さく元気がない様子です。出来るだけしっか
もらっていいですか」と話し始めました。声が
がえり、少しでも気持ちが明るく、楽になって
りません。相談者自身の中にある心の力がよみ
変とは思えない』と言われている。子どもたち
を怠けているのか…、毎日の家事がそんなに大
夫 は 自 分 の 病 気 に 対 し て 全 く 理 解 が な く 、『 何
良 く な る 気 配 も な く 、今 で は 寝 込 む こ と も 多 い 。
欲しい、と願っています。そして問題があると
はそれぞれに自立していき、話し相手にはなれ
電 話 相 談 は 〝助 け て あ げ る 〟と い う の で は あ
したら、それを解決する方法も自ら考えられる
私 は 、「 本 当 に 寂 し く 、 つ ら い 思 い を し て い
ず、とても孤独感が強い」とのことです。
ある日、机に向かうと電話のベルが鳴りまし
ら っ し ゃ る の で す ね 」 と 声 を 掛 け る と 、「 そ う
ように、と毎日活動をしています。
た 。 五 十 代 ぐ ら い の 女 性 で し ょ う か 。「 聞 い て
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なんです。分かってもらえますか」と、少し元
て下さいね」と言われ、話を終えたのでした。
「 あ な た と お 話 が 出 来 て 良 か っ た 」「 誰 に も
つらい気持ちを話すことにより、初めの元気の
小 さ い こ ろ 、母 が 厳 し く 、何 を し て も 叱 ら れ 、
話せないこんな話を聞いてくれてありがとう」
気が出てきたようです。つらい気持ちがこちら
全く自信が持てなかった。結婚しても今度は夫
と 言 わ れ る と 、「 私 も あ な た と お 話 が 出 来 て 良
ない声からは徐々に落ち着いてきた様子が感じ
が厳しく、常に夫の顔色を見て過ごしてきた。
か っ た で す 。あ り が と う 」と 返 し て い ま す 。
「電
に伝わったと感じて安心したのか、不安に思っ
そ の た め 子 育 て に も 自 信 が 持 て な か っ た と 。「 自
話をしてくれてありがとう。私を相談の相手に
られました。
信がない」という言葉が何度も出てきます。私
してくれてありがとう」という気持ちさえ生ま
ていることを徐々に話し始めました。
は 、「 そ れ で も 、 あ な た は 生 活 に 、 子 育 て に 一
「ありがとう」という感謝の言葉を聞くたび
れます。
れぞれに自立して、巣立っていけたのですね」
に 、多 少 な り と も 誰 か の 役 に 立 っ た と 感 じ ま す 。
生懸命頑張ってきたのですね。子どもたちもそ
と 話 す と 、「 そ う な ん で す よ … 」 と 答 え 、 安 心
そんな時はボランティアをやって良かったと思
います。
した声が聞けました。
一 時 間 近 く 話 を 聞 き 、「 ま た 私 の 愚 痴 を 聞 い
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ま た あ る 女 性 か ら は 、「 生 き て い る の が 苦 し
様が生かそう生かそうと働きかけているように
と の こ と で し た 。「 生 き て い る だ け で 充 分 で は
待に応えたいが出来ない自分を責め続けている
もあります。その気持ちや心に寄り添うという
支え、より良く生きようと努力している過程で
人が悩み苦しむということは、何とか自分を
思うのです。
な い で す か ? 」と 、私 は 言 葉 を 返 し て い ま し た 。
ことは、相手の苦労をねぎらい、エールを贈る
い、死にたい」との電話がありました。親の期
「えっ、生きているだけで充分なんですか?
ことでもあります。
一本の電話を通して、顔は見えないけれどそ
そ れ な ら 出 来 る か も し れ ま せ ん 」と の 返 事 で す 。
中には、怒りながら話し続ける人、また、こ
「
」
ここにしかないのでしょう。掛かりにくい電話
でも、気持ちをぶつけるところが他になく、
ています。何も言わない無言電話にも、その背
きに手を合わせながら、一生懸命聴かせて頂い
の中にある生きる力を信じ、生かそうとする働
の人を大切に思い、 大丈夫ですよ と、その人
を何度も掛けて、やっとの思いで繋がり、そし
後にあるさまざまな声にならない叫びを大切に
ちらの何気ない言葉に怒り出す人もいます。
てその怒りが、電話を掛けてきた人の重い苦し
受け止めたいと思います。人の苦しみや深さは
他人には測れません。でも、寄り添うことは出
みとして伝わってきます。
人間は生きる力を持っています。それは、神
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来ます。
あなたも充分生きている意味があります。生
「8月6日」
ナレーション…広島県にお住まいの福田喜代子
金光教放送センター
のだと励まします。生きる意味が分からなくて
さんは、現在八十二歳。今から六十六年前の昭
きている価値があります。生まれた意味はある
も、本当に好きでない仕事をしていても、生き
ロメートル程のところにある、生まれ育った金
和二十年八月六日、爆心地から北へ約一・五キ
悩む人の心の中に、明るい希望の兆しが現れ
光教横川教会にいました。福田さんは当時十五
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ていていいんだ。と思って欲しいのです。
ることを信じて、これからも一人でも多くの方
が目に飛
歳、空を見上げると原爆投下直前の
び込んできました。
々の気持ちに寄り添っていきたいと願っていま
す。
ど、どうも日本の飛行機の音じゃない」って言
ら 、 父 が ね 、「 今 、 警 戒 警 報 が 解 除 に な っ た け
福田…父の介護をしながら、掃除しよう思うた
B29
かの上いっぱい乗っとるし」思ったら、やっぱ
ま あ と に か く 、「 こ れ は お か し い な あ 。 下 へ 何
カッと光って、両手両足をやられたんですね。
光ったんですね。そこから放射能というか、ピ
除をしよう思うてかがんだところにピカーッと
でまあそれを閉めました。まあ戸を閉めて、掃
西から東へ飛行機が飛ぶのは見たんです。それ
子 を 開 け ま し て 、見 た ん で す よ ね 。そ し た ら ね 、
うんですよ。それで私はね、掃除をする前に障
言うて言うんですよね。ほいじゃがこの左の足
て く れ え 。わ し は お 前 を 置 い と い て よ う 逃 げ ん 」
げ ね 、も う 周 囲 は ず っ と 燃 え て る か ら 。父 は「 出
よね、私が。ほんで、父は一生懸命瓦を投げ投
いっぱい落ちてますからねえ。出られんのです
てくれたんですよ。私の体の上に木とか瓦とか
はい出たんですね。それで声を聞いて助けに来
で し ょ う け ど 、体 の 弱 い 父 が 先 に 出 た ん で す よ 。
言うたら、父もおそらく下敷きになっとったん
福田…「お父さん、お父さん。助けてえ」って
ナレ…倒壊した家の下敷きになり、身動きがと
と 思 う か ら 、私 は 、
「 逃 げ て く れ 。逃 げ て く れ 」
とにかくここにいて一緒に死んだんじゃいけん
はり
り家の梁が足のとこへ掛かってたんですね。
れなくなった福田さんに、燃えさかる炎が近づ
言 う た ん で す よ 。「 あ あ 、 も う こ れ で 覚 悟 を 決
にどうしてもこの大きな梁が抜けない。まあ、
いてきました。
め よ う 」 思 う て 、 思 う と っ た ら 父 が 、「 も げ て
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ですよ。
しよりました。そしたらねえ、スッと抜けたん
が ら 、「 金 光 様 、 金 光 様 」 言 う て 、 も う お 願 い
も分かるんですけど、その中で父がそう言いな
い と い て よ う 行 か ん 」。 周 囲 は 燃 え て き よ る ん
もいいけん。足引っ張ってみてくれ。お前を置
って歩いていくんですが、ところどころ屋根の
たい一心でしたから、片手に持って、布団を持
くさん死んでおりましたね。でもね、父を助け
って、牛とか、馬とか、あーゆーなのがもうた
おるし、川の方へ逃げていきよる人の方が多か
したね。その中には、亡くなって倒れとる人も
ませるための布団を抱え、炎の中をとにかく逃
病気のお父さん、もう片方の腕にお父さんを休
ナレ…左足を負傷した十五歳の少女は、片腕に
ね。私はもう父が亡くなったら、もう独りぼっ
行こうて言うて。ずっと歩いて行ったんですよ
もう、父が、またどっか、もうちょっと向こう
せ て 、そ れ か ら ち ょ っ と 気 分 が 治 ま る と 、は あ 、
下へ、そのお布団敷かせてもらって、父を寝さ
げました。
っちこっち燃えているんですよ。ですからその
福田…もう家が全部倒壊してるから、それであ
ですね。
とにかく父を助けな、っていう思いは強かった
亡くしたらどうしようかという思いじゃから、
ちという思いがね、強かったです。父をここで
間をくぐって逃げるということが精いっぱいで
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ナレ…日暮れ頃には、爆心地からずいぶん離れ
で話をすることをようせん」って言うてね。
もう私思い出しただけで涙が出るけえ、人の前
よ 。思 い 出 し た く な い い う 思 い で 。
「いやいや、
た避難所に何とか必死で逃げ延びた福田さん親
ナレ…あまりにも悲惨な原爆の体験は、その後
子でしたが、翌年、病気が悪化したお父さんは
亡くなりました。
何十年たっても人には話せずにいた福田さんで
福田…孫が原爆の資料館へ修学旅行へ来たりし
戦争が終わり、六十六年たった今でも、この時
福田…最終的に泣いたり苦しんだりするのは、
た 時 に ね 、「 は あ 、 こ れ は や っ ぱ り う ち の 子 ど
した。しかし、今から七年前、福田さんの気持
市民であり子どもであるんですからね。だから
もにも孫にもね、知らしとかにゃいけん」いう
の体験を話す福田さんの目には涙が浮かびま
もう、こういうことはもう…もう私らのような
思 い が だ ん だ ん 強 く な っ た の 。 い つ も ね 、「 お
ちに変化が表れました。
経験をすることは、もう次の代の子にはさせた
ばあちゃん、原爆の話したら、また泣き出す」
す。
く な い で す よ ね 。で も ね え 、と に か く 一 時 は ね 、
いうて、いつも孫にも言われるんですけど。原
いっとき
原爆の話するの、ものっすご嫌じゃったんです
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爆の恐ろしさいうのを少しでも分かってもらっ
たらねえ、いいんじゃないか。まあ孫を通じて
感じましたので、戦争を知らない今の子どもた
ちに、少しでも知ってもらえば平和になるんじ
ゃないかと思うんですよね。資料館行って、六
年生ぐらいの子どもいうたら、やっぱり恐がり
ますからねえ。…戦争はいけません。
ナレ…ご自身のつらい体験を、人に語っていく
ことを決意した福田さん。今日この放送の収録
ごくろうさん」
に 出 か け る 時 、 お 孫 さ ん が 、「 お ば あ ち ゃ ん 、
今 か ら 原 爆 の 話 、し に 行 く ん ?
と声を掛けてくれたそうです。
福田さんの平和への祈りは、お孫さんの心にも
しっかりと届いているのでしょう。
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《ラジオドラマ》
『ようお参りです』
か ん た
第一回「幹太と雀」
*登場人物
脚本
教会の先生(三十歳・男性)
幹太(小学生)
たみ(六十歳・女性)
男の子1・2
女の子1・2
柴田壽子
(朝、雀ピイピイ。ほうきで道を掃いている)
先生
たみ
ああ、おはようございます。たみさん、
先生、おはようございます。
幹太
たみ
幹太
たみ
先生
幹太
金光教や。
教会て?
ここの教会のや。
せんせて、何のせんせ?
何やの、先生におっちゃ んやなんて。
やあ、幹太君おはよう。
着物のおっちゃ ん、おはよう。
今日もようお参りですね。
たみ
こんこう…?
へ ー 、そ ん な ん 知 ら ん わ 。
何の教会?
幹太
先生
ここの庭広いし、学校終わったらキャッ
何や?
なあおっちゃん。
幹太
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はは、ええよ。
自然がいっぱいでええとこですわ。自転
て、有り難いことですわ。
先生
えへへ。
車で二十分も走ったらスーパーがありま
チボールしてもええか?
幹太
幹太、はよ学校に行かんと遅れるよー。
すからな。そうや、子どもらに何か買う
ここは空気はええし、水もおいしいし、
たみ
はーい。八百屋のおばあちゃんはうるさ
先生
幹太
て来ますわ。
まあまあ。
いなあ。行ってきまーす。
たみ
可愛い子ですな。
男の子1
(幹太、駆け出す)
先生
先生お若いのに、オッチャンやなんて言
幹太
いくで。
(キャッチボールをしている)
たみ
うて。
男の子1
と放れ。
おい、どこ向いて投げてるんや、ちゃん
もういっちょ。
よっしゃ。
ははは、小学生から見たら、三十の僕な
先生
幹太
こんな寂しい不便な所に先生に来て頂い
んか十分にオッチャンですよ。
たみ
- 19 -
男の子1
投げてるやないか。お前がちゃんと
もうー、下手くそやなあ、はよ代わ
受けんのや。
男の子2
ほな、鬼ごっこしよう。ジャンケン
ろうや。
女の子1
ポン!
たみ
いて、病気やけがをせんように、お祈り
するんです。
ほな、私も一緒にお祈りさせてもらいま
すわ。
(少しの間)
危ない
- 20 -
わーい、キミちゃんが鬼や。
女の子2
おっちゃーん
どないしたんや!
男の子1
先生
ボールが塀の向こうに行ってしも
下に大きな石あるし、落ちたらけが
する!
女の子2
高いし、下りられんようになって…。
て、幹太が塀をよじ登ったんやけど、塀
男の子2
!!
女の子2
一、二、三、四、五…。
(他の子の喚声)
女の子1
ここに来られるお子さんたちの名前を書
あ 。( 間 ) あ 、 先 生 何 し て は り ま す の ?
まあまあ、えらいにぎやかなことですな
(ガラガラ、戸が開いて)
たみ
先生
!!
先生
幹太、大丈夫か!(間)幹太、手え放し
たらあかんぞ。ほんでな、おっちゃんの
肩 に 足 を 載 せ る ん や 。そ や そ や そ や そ や 、
おっちゃんこけたら危ない。僕らで
それから肩車や。そーっと、そーっとや
で。
男の子1
うちらも。
うん。
支えよな。
男の子2
女の子1・2
子どもたち
わあー。
いただきまーす。
(紙袋を開けるなどの音)
子どもたち
(食べている雰囲気。おせんべいバリッ!)
あ!
歯抜けた、どないしょう……。
幹太
よっしゃ。もう降りても大丈夫や。
話になった歯にお礼を言うて、人が踏ま
おお、そうか…。そやなぁ、今までお世
先生
フーッ、おっちゃん、あ、先生ありがと
先生
幹太
に埋めてくるわ。
うん、僕、神様のとこでお礼言うて、庭
ん木の下に埋めたらどうや?
幹太
う。
もうー、ひやひやしたわ。
ははは。みんな、中に入ってお菓子食べ
女の子1
先生
へんか?
- 21 -
こんにちは。まあ、ぎょうさんの野菜で
(鳥の鳴き声など、のどかな雰囲気)
たみ
すなぁ。
はは、これ、幹太君のお母さんから、お
可哀想に鳴いてるやろ。死んでしもたら
(雀の鳴く声。羽ばたく音)
幹太
どないしょう。
よし、幹太君、網の入り口しっかり開け
幹太
また、あんたか。
(飛び込んで来る)先生!
たみ
先生
幹太
え え 。あ あ 、あ か ん て 。も つ れ て し ま う 。
たみさんもこっち引っ張って下さいな。
うん。
先生
たみ
どないしたんや?
ああ、羽が網に絡まってしもた!
先生
先生
この網の中に雀が…。
幹太
幹太君、はさみで網の糸を切ろう。
て。
幹太
あんた、魚取りの網で雀取ったんか?
先生
あかん!
礼や言うて頂きました。
たみ
違うねん、振り回して歩いてたら雀が入
幹太
そんなこと言うたかて。
ったらあかん!
これ友達に借りた網やから切
難儀やなー。
幹太
ってしもて、どうしても逃げへんのや。
逃がすの手伝うて。
たみ
- 22 -
たみ
幹太
ああ、網が絡まって、余計ににっちもさ
へえー!
僕、神様にお願いしてくるから。
幹太
たみ
幹太
い じ っ て た ら は ず れ た 。僕 の 手 の 上 見 て 。
どないした?
あれー。
幹太が…?
先生
っちも行かんようになったわ。
幹 太 君 、は さ み 持 っ て き た … … 。お 、雀 、
(雀
幹太
チイチイ)
ほーら、飛んでおかえりー。
(窓を開ける音)
ろ。お前、ちゃんと飛べるか?
うん、何やするっとはずれた。可愛いや
出たんか?
先生
え?
(困った…)ええー…うーん…。
幹太
あ あ 、可 哀 想 に 。雀 、も が い て ま す な ぁ 、
先生
くちばしで突かれました。
たみ
たみ
幹太君、やっぱりはさみで網を切ろう。
あ痛っ!
先生
羽が取れたら可哀想や、ええやろ。はさ
幹太
それが一番や、雀も可哀想や。
み取ってくるさかいな。
たみ
やや・間
- 23 -
(
)
たみ
先生
幹太君の真心が、雀を助けたようなもん
ほんまに。
良かったなあ。
えへへ、おーい雀、元気でなー!
や。
先生
幹太
第二回「私だけ、どうして…」
*登場人物
美恵子(四十代)
さゆり(美恵子の友人)
教会の先生(七十歳・男性)
(喫茶店)
どうしたの美恵子、ここのケーキおい
うん。
さゆり
美恵子
もう、久しぶりに会ったのに、さっき
しいのよ。食べないの?
さゆり
- 24 -
べつに…。
色悪いし、体どこか悪いの?
せんか。一人で重い荷物を背負ってい
( 読 む )『 あ な た は 一 人 で 悩 ん で い ま
掲示板がある。
こ こ だ わ 、さ ゆ り の 言 っ て た 教 会 。あ 、
美恵子
じゃあ、何か心配事?
ると倒れてしまいますよ。お話を聞か
美恵子
さゆり
…。
か ら 「 う ん 」「 う ん 」 ば っ か り で 。 顔
美恵子
美恵子
は?
あのー。
ょうか。
よく来られましたね。お話を伺いまし
どうしよう…。
せて下さい』
と
何か悩んでるんだったら、私の行って
る教会の先生に相談してみたら?
っても優しいおじいさんの先生よ。
心配してあげて
教会って宗教でしょ。宗教って何だか
失礼ね!
怪しげだし、嫌だわ。
もうっ!
先生
話を聞いていただくのに、お礼という
はは、結構ですよ。
か、お金…なんかは…。
美恵子
先生
さゆり
美恵子
さゆり
るのに。私、帰る!
(街のノイズ)
先生
- 25 -
先生
美恵子
こんなことを言うのはお恥ずかしいん
はい。
…実は、…夫のことなんですが。
「もう酒は止める」って宣言するんで
を繰り返していました。退院する度に
るんです。今までも専門の病院に入院
その繰り返し…?
美恵子
先生
すが。
私がここでお聞きすることは、誰にも
ですが…。
先生
で、責任のある仕事を夫には与えない
はい。会社もそのことを知っているの
…夫が…アルコール依存症で…。
し、それが不満で夫はまた腹を立てて
美恵子
美恵子
はい。
お酒を飲むんです。
話しません。ご安心下さい。
先生
こんなこと言うの変ですが、夫は一流
なるほど。
美恵子
先生
私がそれを探して捨てる。たんすの中
企業の社員で。でも、度々お酒が原因
れをかばったり。酔っ払って駅で眠り
にあったり、本棚の後ろに隠してあっ
で 、夫 は 家 の 中 で も お 酒 を 隠 す ん で す 。
込んで駅員さんから連絡を受けたり。
たり、もういたちごっこ…。
美恵子
ええ。
で失敗して。会社を遅刻して、私がそ
先生
ほう…。
アルコール依存症の診断は下されてい
先生
美恵子
- 26 -
美恵子
日曜日に夫がちょっと出掛けるって言
で抱え込んでこられたんですから、グ
て、気持ちが少し楽になりました。
…ありがとうございます。聞いて頂い
チを言いたくなるのは当たり前です。
美恵子
うんで、私も一緒について行ったんで
す。本屋さんに入ったので、安心して
私も本を見ていると、いつの間にか夫
では、いろいろ伺いましたから、これ
からあなたとご主人のことを神様にお
先生
の前でお酒を飲んでるんです。私…も
願いさせて頂きます。
が消えている。探し回ると、コンビニ
う情けなくて、情けなくて。疲れてし
ま い ま し た 。( 吐 息 )
先生はくるりと祭壇の方を向き、長い
間、神様にお願いしてから私の方を向
美恵子
あっ、済みません。長々とグチを申し
いて。
を言ってはいけない」っておっしゃる
どうぞご安心下さい。もうご主人のこ
とは神様が責任を持って下さいますか
んでしょうね。
いいえ。あなたはこれまでとてもご苦
らね。あなたが責任を持たなくていい
先生
ま し て 。 多 分 、 先 生 は 、「 そ ん な こ と
(やや・間)
美恵子
先生
労をなさった。誰にも相談せずに一人
- 27 -
んですよ。ご主人がお酒を飲んでも放
っておいて下さい。あなたはこれまで
いろんなことを我慢された。もう自由
それからひと月程して、私は教会に行
その後いかがですか?
美恵子
先生
この前先生がおっしゃったこと、私、
った。
えっ、本当ですか?
美恵子
になさっていいんですよ。
美恵子
はい。
先生
はい。
ると、お酒の量がどんどん増えて…。
んでも黙って放っておいたんです。す
信じてみようと思って、夫がお酒を飲
先生
あ、もしもし。
(救急車のサイレン。電話のベル)
先生
でも、先生がお願いして下さってると
思うと不思議に心が落ち着いて。それ
美恵子
って道で倒れて、頭を強く打って血を
で、あのけがも思ったより軽くて退院
夫が酔っ払
流して、病院に運ばれました。
し た ん で す が 、夫 が 急 に 改 ま っ て 、
「話
(電話の向こう)先生!
それはご心配ですね。無事に回復され
が あ る 」 っ て 。 そ し て 、「 こ れ ま で 迷
美恵子
先生
ますように、お祈りします。
- 28 -
先生
美恵子
惑を掛けたけど、もう酒は一口も飲ま
ないように頑張ってみる」って言った
んです。
良かったですねー。神様が助けて下さ
いましたね。
はい。友達も旅行に誘ってくれるよう
になって。今までは、夫のことが心配
ゆっくりと楽しんでいらっしゃい。
で行けなかったんです。
先生
私、信心って何か堅苦しいことだと思
はい、そうですよ。神様と一緒に、安
んですね。
っていましたけど、そんなことはない
美恵子
先生
心して楽しく生きて行くのが信心なん
ですよ。
美恵子
(元気に)はい。
- 29 -
第三回「大粒の涙」
*登場人物
さやか(高校三年)
母(さやかの母)
先生(三十代女性・教会の先生)
男1(二十代)
男2(二十代)
鈴木先生が
はい…はい、あさってですね。
はい、そうです。…え!
(電話のベル、出て)
さやか
…!
…え?
ます。
(電話切って)
金光教の…?
さやか、どうしたの?
はい、失礼し
何かあった
副担任の鈴木先生が亡くなったって。
母
さやか
ええ!
の?
母
急に亡くなったって、お葬式はあさっ
だってまだ二十代でしょ。
さやか
お若いのに、お気の毒に…。
てで、金光教のお葬式だって…。
母
大好きだった鈴木先生が亡くなった
私は真っ暗な深い穴の中に突き
さやか
…!
- 30 -
落 と さ れ た 。私 は … 高 校 を 卒 業 し た ら 、
後半年したら、卒業式の日に告白しよ
先生のいない学校なんか行きたくな
い。寂しいだけだ…。母がパートに出
さやか
いだったけど、学校に行けば先生に会
掛ける玄関のドアの閉まる音を聞い
うと思っていたのだ…。ずーっと片思
えるのが唯一の楽しみだった。先生の
て 、の ろ の ろ と ベ ッ ド か ら 起 き 上 が り 、
(パソコンを開く音、キーを叩く)
パソコンを立ち上げる。
笑顔、もう会えない…!
さやか、早く起きないと学校遅れるわ
(鳥のさえずり)
母
意味もなくインターネットをしている
うちに、出会い系サイトにアクセスし
さやか
頭、痛い…。
よ。
さやか
ていた。
毎 日 一 人 で 寂 し い で す 。仲 良 く な っ て 、
昨 日 も で し ょ 。学 校 行 っ た り 休 ん だ り 、
男1
母
一度ちゃんとお医者さんに行きなさい
よ。
- 31 -
さやか
男2
ご飯とか食べながら、お互いの悩みと
ら誰でもよかった。
なった。心の隙間を埋めてくれる人な
さやか
ま た 、イ ン タ ー ネ ッ ト を し て い た 時 だ 。
( パ ソ コ ン を 開 く 音 、マ ウ ス を ク リ ッ ク す る 音 )
かそんな会話の出来る方。
私はその人と会った。寂しいと言った
その人は楽しそうで、私の話なんて何
も聞いてくれなかった。ただ、ご飯を
食べてカラオケに行った。
そ
あれ?
金光教のホームページ?
さやか
う言えば、鈴木先生のお葬式も金光教
した。若い女の先生だったのだ。
好奇心で行った教会に着いてびっくり
悩みでもお聞きしています」
( 読 む )「 教 会 で は 、 い つ で も ど ん な
楽しい時間を過ごしましょう。楽しい
お金なんていらない!
さやか
だった。
さやか
私は悪いと知りながら、いろんな男の
関係になりましょう。
さやか
人と付き合った。パーッと遊ぶように
- 32 -
先生
さやか
先生
私、誰かと話したかったんです。
はい。
か?
あの、ここは誰が来てもいいんです
よくいらっしゃいましたね。
さった。
先生は目をつぶって、静かに祈って下
いる意味が分からない、など。すると
たこと。学校に行っていない、生きて
を話し始めていた。男の人と付き合っ
私は初めて会った先生にいろんなこと
さやか
そう。ここは誰にも言えないどんなこ
さやか
先生
とでも、神様が聞いて下さる所なの。
った。先生は本当のお姉さんのように
それから時々この教会に来るようにな
見ず知らずの私なんかの話も?
優しく接してくれた。ある雨の日だっ
さやか
さやか
あなたは何かつらいことを抱えていら
だから、何をお話してもいいのよ。
先生
た。
(雨音)
っしゃったんでしょう。ここではいい
話をしようなんて思わなくていいの。
人間は、一人で重い荷物を抱えていた
ら、潰れてしまうでしょ。
- 33 -
さやか
先生、私が好きだった学校の先生が先
月亡くなったんです。
いつもは静かに返事をしてくれる先生
美術?
鈴木先生だ。そうだ、鈴木先
先生、どうしたの?
粒の涙が頬を伝っていた。
さやか
(雨音)
生の婚約者…?
さやか
さやか
…。
どんなに悲しいだろう。私の…私の…
私は思わず外に飛び出
生は金光教の信者さんだった。この先
生の婚約者?
先生
先生!
何百倍も悲しかっただろう。それなの
した。
さやか
私も…先月婚約者を亡くしたの。
に、今まで私の話を一生懸命聞いてく
さやか
先生
えっ!
れた…。私は空を仰いだ。雨が顔に打
が黙っている。顔を見ると、目から大
さやか
高校の先生をしていたの。美術を教え
ちつける。強い雨の勢いと共に、色ん
鈴木先生が死んで、
私は走った。あの物静かな人が鈴木先
先生
てた。
な思いが体から抜け出た気がした。
- 34 -
(雨音消えて)
さやか、おはよう。
(学校のチャイム)
生徒
おはよう。
いつも私のために祈ってくれた教会の
さやか
さやか
先生に、学校に行けるようになったと
報告しよう。
きっと笑顔で迎えてくれるだろう。
第四回「離婚する…?」
*登場人物
洋子(五十歳)
あけみ(二十五歳・洋子の娘)
茂(五十二歳・洋子の夫)
教会の先生(六十歳・男性)
玄関ドア閉まって)
ただいま、お母さんお母さん!
(バタン!
あけみ
どうしたの?
騒々しい…。
洋子
- 35 -
洋子
あけみ
洋子
あけみ
こ こ の と こ ろ 忙 し い ん だ っ て 。だ か ら 、
日曜なのに?
会社。
お父さんは?
洋子
あけみ
ハハ…(笑う)もう、そんなわけない
でしょう。
見間違えるわけないわ
前は土日は家にいたわ。
実の親よ!
よ!
洋子
あけみ
違う!
え?
うそ!
茂
あけみ
今日、お父さんをラーメン屋で見た!
何だ ?
お父さん!
だって、背広にネクタイしめて出掛け
あけみ
何言ってるの?
あけみ
え
洋子
洋子
ラーメン屋。
茂
土日も出勤。
あけみ
ラーメン屋って?
に、友達と今日行ったの。そうしたら
週刊誌で見た行列の出来るラーメン屋
(やや間)
あけみ
洋子
否定しないの?
あけみって変なこと言うの。フフ…。
- 36 -
てるのよ。
洋子
あけみ
お父さんが働いてるところを偶然見た
茂
ああ。
の。
!?
( 重 苦 し く )… 会 社 … リ ス ト ラ さ れ た 。
どうして
茂
えーっ!
そうなの?
洋子
三カ月前。
洋子
茂
どうして早く言ってくれなかったの?
いつ?
洋子
あけみ
あけみ!
お母さん、私、この家を出る。
り…。
洋子
こんな家いられない、もう決めたの。
何を言うの?
あけみ
私、一人暮らしする。
た。お母さんに言わなきゃよかった。
…私…ラーメン屋に行かなきゃよかっ
都合が悪くなると黙っちゃうのね。再
開き直ったのか、夫は次の日から普段
の二文字がちらつく…。パートを探して
と壊れていく。私の頭の中には“離婚”
と?
着で出掛けるようになった。何の説明
働きだした。
この家は積み木を崩したようにガラガラ
後悔してる。
洋子
就職先がラーメン屋ってどういうこ
(やや間)
洋子
洋子
もなく、私とのけんかの日々が続くよ
うになり、家の中は氷のように冷え切
- 37 -
!?
(自転車のベルなど、町の様子)
離婚の決心が固まりました。夫は自分の
き出そうとすると、怒るか、黙ってしま
ことは何も私に話しませんし、詳しく聞
パートの帰りに金光教の教会の前を通
うか、どっちかです。もう一緒に生活し
心が納得って…?
先生
あ、あの、表の掲示板に。
どうかなさいましたか?
せんか?
あなたの良いところを見つけ出してみま
す。んー…。ではご主人を責める前に、
洋子
る。表に掲示板が出ている。いつも横目
では…あなたの心が納得して離婚出来る
ていくことなんて出来ません!
先生
で通っていたのだが、ふとその文字に目
が行った。
洋子
人にはそれぞれ、いろいろな生き方があ
ように、神様にお願いしてみますか?
「 本 当 に そ う だ ! 」。 つ い ふ ら ふ ら と 教
先生
『夫婦は他人の寄り合いです』
会の中に入った。
洋子
はあはあ。
りますからね、離婚もあなたの生き方で
先生
か?
そうすれば、納得して離婚出来るのです
『夫婦は他人の寄り合いです』って。本
洋子
洋子
当にそうだと思います。私あれを見て、
- 38 -
先生
洋子
先生
洋子
探して、またここに来て下さい。
はい。一週間後、あなたの良いところを
が、私の百倍も苦しんだ…。
か っ た の だ と 思 い ま す 。( 涙 声 ) 夫 の 方
一 週 間 ず っ と 、 私 は 、「 自 分 の 良 い と こ
なたの心の中に神様がいる証なのです。
よ。ご主人のことを思いやる、それはあ
そんなに自分を責めなくていいのです
ろ、良いところ…」と考えながら過ごし
…ところで、表の掲示板、最後まで読ん
先生
た。
洋子
ハハ…、ではご一緒に。
いいえ…。
でここに来られたのですか?
どうでしたか、良いところはたくさんあ
先生
(外に出る。交通音)
りましたか?
いいえ、一つもありませんでした。かえ
って嫌な面ばかり浮かんできました。夫
を責めてけんかばかりして、そんな家が
( 読 む )『 夫 婦 は 他 人 の 寄 り 合 い で す 。
け ん か を し て も 、後 か ら 仲 直 り を す る と 、
洋子
私のせいです。夫はリストラに遭って、
どうして仲直り出来たのかと不思議に思
嫌で娘は出て行ってしまいました。全部
家族に心配を掛けたくなくて言い出せな
- 39 -
いませんか?
それは天地の神様より授
かった心があるからですよ』
あっ、私慌て者で…。
洋子
先生
ええ。いつでも、どうぞ。
また、お伺いしてもいいですか?
(笑いながら)いや いや 。
顔が真っ赤になった。
先生
その一年後、夫は小さなラーメン屋を開
洋子
洋子
店した。開店の日、教会の先生も来て下
さった。
(ラーメン屋の雰囲気)
あけみ
洋子
あけみ
茂
いらっしゃいませー。はい、みそラー
メン二つですね。
毎度有難うございます。ご注文は、は
い、バターラーメンに…。
お父さん、頑張って行列の出来るお店
に し よ う ね 。私 、ホ ー ム ペ ー ジ 作 る よ !
おう、頼むよ。
- 40 -
第五回「子どもを手放す?」
*登場人物
栄子
高志(栄子の夫)
春香(中学生・長女)
雄太(小学生・長男)
父(栄子の父・教会の先生)
栄子
高志
栄子
あらへんから困ってるんやがな。
そんなお金あんの?
そうや、車の車検に四十万や。
えっ!
四十万もかかるのん?
高志
栄子
高志
栄子
高志
栄子
高志
見え張って、あんな八人乗りの大きな車
なんか買うからや。
そんなこと言うたかて、お前かて友達の
子どもら乗せて、河原にバーベキューに
行ってたやないか。
あんたかて、友達引き連れて海釣りに行
ったりして。
そら、お前…止めよ、そんなこと今さら
言うてもしょうがない。たしかにあの車
買うた時、俺には分不相応かもしれんと
思たことはあるんや。
困ったねえ…。バスの数も少ない、こん
な不便なとこで…。雄太や春香の部活の
送り迎えもあるしなあ…。
(ため息)
- 41 -
栄子
高志
栄子
高志
栄子
栄子
父
うん、来よう来ようと思いながら、子ど
お う 栄 子 や な い か 、珍 し い な 。皆 元 気 か ?
ねえ、あの車売って、小さな車買うのは
どう?
栄子
来られへんでごめんね。これ、お父さん
もに振り回されて忙しゅうて、なかなか
無理無理、もう長いこと乗ってるから、
実家のお父さんに頼んでみ
安うにしか売れへん。
そうや!
の好きな酒まんじゅう。
ははは、ありがとう。
る?
父
ふふふふ…なんで私の顔じろじろ見る
親に頼るなんか、そんなん悪い
えー!
栄子
ん?
いや、べつに。まあ、大体の察しはつい
ははは、いや実はね、家の車がね…。
父
わ。それにお父さんの教会、お前最近全
然お参りにも行ってへんやないか。
(困って)ははは、そうなんよ、ちょっ
栄子
お父さん、何て言わはった?
てるけど。ハハ…。
高志
それがね。
と敷居が高いけど…。
生をしている。私は久しぶりに実家の門
栄子
私の実家は金光教の教会、父は教会の先
をくぐった。
- 42 -
父の声
栄子
高志
なに車を手放せへんなら、誰か子どもを
そうか、そら困ったことやなあ。そん
栄子
雄太
春香
えっ…(考えて)…いや、あのね、人を
うーん、僕の家は貧乏なん?
あの車無くなるの、寂しいなあ。
いじめたり、意地悪をする人のことを貧
放すことを考えたら、車ぐらい何でもな
それ聞いて、笑ろてしもた。子どもを手
高志
雄太
高志
ははは、新しいの買うてくれるんや。
ハハ…。それで、これからは自転車や。
ふーん、ほな僕は貧乏やないわ。
そう。
手放すか?
いなあ思た。
雄太
私は古いのでええよ。もったいないし。
乏って言うの。
んー…そやな、そうしよう。何やすっき
春香
ははは。
見てから言うてや。
はい…何言うてるん。自分の三段腹よう
んかダイエットになる。
りしたな。
高志
栄子
自転車はな、体にええぞー。お母さんな
そ う い う わ け で 、も う こ れ か ら 車 は 無 い 。
高志
高志
えー、もう車に乗られへんの…?
うん。
雄太
そうや。
栄子
高志
- 43 -
春香
何やそれ。
エコやね。
車古いしパンクして困ってるとか。ちょ
うやろか。交通事故に遭うたとか、自転
ほ な 、俺 も 行 く わ 。雄 太 、留 守 番 頼 む で 。
雄太
高志
はーい。
っと探してくるわ。
雄太
春香ー、はるかーー。
エコロジーや、地球に優しいんや。
栄子
春香ー、おらんかー。
春香
それぞれの新しい環境の中で楽しんでい
高志
春香ちゃーん。
ふーん。
た。私も風を切って走り、季節をじかに
栄子
お母さーん(近付いて)どないしたん?
心配していたほどのことはなかった。皆
感じていた。
春香
こっちが聞きたいわ。
あ ー 良 か っ た 。ど な い し た ん て 、
春香!
お父さん、春香がまだ帰って来えへんの
やけど。
り道でえらい荷物持って、よたよた歩い
(笑う)遅うなってごめん。あんな、帰
て言うてたから。
てはるおばあさんに会うてな。荷物自転
部活やろ、もうじきバレーの大会がある
それにしても遅すぎる。何かあったん違
春香
栄子
雄太
栄子
栄子
高志
栄子
- 44 -
車に乗せましょか、言うて、おばあさん
ああ、そう。
の家まで送って行ったんや。
栄子
そしたらおばあさんが家に上がってくれ
皆で行ったらおじいちゃん喜ばはるやろ
ー。
今日はサイクリング日和や、ほな行くで
(鳥ピイピイ)
高志
春香
なー。
うん!
多分、びっくりするよ。
雄太
あれ、お父さんの教会の掲示板に。
ご馳走してもろた。そんで、お土産に庭
高志
の畑のトマト。
まあまあ。もう、遅いし、心配してたん
父の声
ごめん。でな、おばあさんのとこ、また
気をして分かることがある』
『貧乏をして得られるものがある。病
よ。
し寂しいんやて。ほんで、お茶とお菓子
って、一人暮らしで話し相手があらへん
春香
栄子
春香
(大笑い)
「ほんまやなー!」
一同
さん喜ばはったよ。おばあさんと知り合
「おじいちゃん、ええこと言うな」
遊びに行くって約束してしもた。おばあ
いになれたんも、自転車のおかげやな。
「 ほ ん ま や 、ほ ん ま や 。よ う 書 い て ん な 。
- 45 -
さすがお父さんやな」
いよいよ美容
第 六 回「 手 の ひ ら の 二 十 二 錠 の 薬 」
当分は遠慮しとくわ。
お母さんの髪もカットしてあげるね。
子どもの頃からの目標が達成しました!
師さんのスタートね。
敦子、卒業おめでとう!
医師(男性)
教会の先生(四十歳・男性)
母(敦子の母)
敦子(二十歳)
*登場人物
母
敦子
母
- 46 -
敦子
お店で、先輩の方たちのお仕事をよく見
えー…。
はーい。将来自分のお店が持てたらいい
敦子
医師
パ ニ ッ ク 障 害 、不 安 神 経 症 、強 迫 神 経 症 。
(びっくり)え?
鈴木敦子さんの病状は、うつ病。
(病院のノイズ)
なあ。
医師
私は店長や先輩に色々教えられ、バリバ
なったんでしょう。それに摂食障害もあ
かしくなって、コントロールが効かなく
フフ…、大きな
…はあ…?
リと仕事をこなした。友人と旅行をした
りますね。お薬を出しておきます。
夢。
今から何言ってるの?
敦子
頑張り過ぎていませんか。自律神経がお
り、遊んだり、充実した日々を過ごして
いた。しかし…。
カウンセリングを受けたが良くならず。
私は夢も希望も失った…。仕事を辞め、
二十四歳から私の人生は大きく変わっ
残ったのは、手のひらの上の一日二十二
敦子
医師
て、勉強するのよ。
母
敦子
母
敦子
敦子
た。全ての物を失った。
- 47 -
母
敦子
母
敦子
母
何するの!
錠の薬だけだった。
(悲鳴)敦子!
止めて!
そんなの嫌。見ず知らずの人に!
だけでもしてみない?
敦子
のことをお祈りしてくる。そんなことで
母は、電車を乗り継いで教会に行き、私
それからは、母に見付からないように、
この苦しみが治るのなら、楽なものだと
敦子
リストカットをするようになった。
嫌よ。あんなに頑張ったのに、こんなに
に、一緒にお参りしてみない?
敦子、お母さんが行ってる金光教の教会
母は電話に飛びついた。私は言ったこと
「すればいいんでしょ」
ら、ついに私は面倒臭くなった。
母が教会とか電話とか度々言うものだか
思った。
なるなんて。この世には、神様なんかい
を後悔した。
(ピッピッ、ダイヤル)
ないのよ!
だから、だから…頑張り過ぎたからだっ
て、病院の先生もおっしゃったでしょ。
(考える間)じゃあ、教会の先生に電話
- 48 -
先生
母
(電話の向こう)リストカットしてるん
娘に代わります。
はい。
思った。私のことを否定しなかった。私
(電話を切る)
敦子
悪いことじゃないけどなあ…。
の味方でいてくれそうだ。
だって?
先生
えっ?
怖いけど、行ける所まで行ってみよう
電話を切った後、あの先生は何か違うと
敦子
あのね、そんなに自分を責めなくていい
敦子
先生
は…はい。
(過ぎ去る電車のごう音。街のノイズ)
か?
敦子
一度、ここに遊びに来ない?
んだよ。
先生
でも…私…怖くて、外に出られません。
こに来て何が変わるんだろう…、と思い
やっとの思いで教会にたどり着いた。こ
す。そんな遠い所。
ながら中に入った。
敦子
そう、じゃあ来られるようになったら、
不思議だ、どこにいても息苦しかったの
人混みが怖いんです。パニックになりま
敦子
先生
いつでもおいで。
- 49 -
た。
若い先生がニコニコして迎えて下さっ
に、ここでは楽に息が吸える…。
た。ここには私の話をちゃんと聞いて、
生は私の一言一言に深くうなずいてくれ
持ちのこと、死んでしまいたいこと。先
先生
敦子
先生
ただ、どんな先生かって…。
はいはい。
私…お参りに来たわけじゃありません。
よくお参りに来られましたね。
っていた。それを温かく包んでくれる。
間に、本当の自分をさらけ出してしゃべ
受け入れてくれる人がいる。私は知らぬ
敦子
ハハ…。それはそれは…。じゃあ、お話
(繁華街の雑踏)
先生
それから時々教会に行くようになった。
先生は、私の話を辛抱強く聞いて、共感
敦子
…。
してくれる。聞いてもらった後で、心の
を伺いましょうか。
敦子
嫌なら無理しなくたっていいんですよ。
私は、ポツリポツリと話し始めた。病気
を祈ってくれている。
ような穏やかな感じ。そして、私の幸せ
重荷が取れている。春の日だまりにいる
先生
敦子
のこと、どこにも持って行き場のない気
- 50 -
先生
敦子
敦子さん、生かされているあなたの命そ
のものに価値があるんですよ。
それから数年経ち、私は、社会に一歩踏
み出そうと、勇気を出して、近くの美容
院でアルバイトを始めた。
先生
敦子
先生
あ…でも、もうちょっと…私が上手にな
(笑う)ハハハ…。ありがとう、ぜひ。
先生の髪、カットさせて下さいね。
そうですか。それは良かったですね。
(穏やかにゆったりとした雰囲気のふたり)
敦子
ってから。
- 51 -
第 七 回「 言 葉 は ナ イ フ よ り 痛 い 」
*登場人物
大介(子供)
父(大介の父・教会の先生)
父
母
大介
母
何してるの?
庭におるんや。
(呼ぶ)大介ー。
…。
大介、ご飯よー。
母(大介の母)
母
リフティングの練習やろ。
こんな夕方に。
父
母
サッカーとラグビーの区別もつかん母さ
リフティングて何?
もう、そんなら、早よ呼んできて。
んに、説明してもなあ…。
父
母
(カラスの鳴く声。リフティングの音)
九十五、九十六、九十七、九十八、九十
父
大介
父
うん、友達がカッコええって。
はは、そのスパイク気に入ったか?
百一、百二…あー、新記録やー!
お、大介、えらい続いてるやないか。
大介
大介
もう、二人とも何してるの。呼んでるの
九、百…
母
に。
- 52 -
大介
数、数えてたんや。返事したら分からん
ようになるやん。
うん。
ん。
父
のクラ ブチームに入ってて、ものすごう
その子、前に住んでたとこで、サッカー
私は金光教の教会の先生をしている。
ま い ん や け ど 、 僕 ら が ミ ス す る と 、「 う
大介
ある日のことだ。大介が学校帰りに教会
ざ い 」 と か 、「 こ の ど ア ホ 」 と か 言 う ね
父
…。
大介、どないした。
大介
父
せへんほどそいつは上手なんや。そやか
言い返せるようなやつおらんし、言い返
あ あ 、そ ら あ か ん な あ 。皆 黙 っ て る の か ?
父
に 来 た 。ぼ ん や り と 隅 の 方 に 座 っ て い る 。
大介
どないしたて、聞いてるんや。
らサッカーやっててもちっとも楽しいこ
ん。
父
神様は僕のお願い聞いてくれはるやろ
楽しみながらやるのが一番やのになあ。
大介
父
とない。
お前、今までお祈りもろくにしたことな
う ん 、 上 級 生 は 、「 あ い つ は あ ん な や つ
やから、あんまり気にするな」て言うて
大介
転校して、部活に入ってきた子がおるね
いのに…。お父ちゃんに言うてみ。
か?
父
大介
- 53 -
父
父
大介
くれるけど、誰も何も言わへんし、どん
父
毎 日 や な い か 、も う 二 十 分 も 入 っ て る で 。
病院に行こか。
ほっといて!
どこか悪いんか?
大介
その夜、大介に聞いた。
どん付け上がるんや。毎日走ってボール
父
どうや、まだその子何か言うてくるん
蹴って、一生懸命に練習してんのに、レ
しんどうなってきた。
父
ギュラーにもなられへんし、僕、部活が
大介が可哀想や思うし、その子に対して
役に立つかと、私は祈るだけやった。
父
大介
ナ イ フ よ り 痛 い わ 。「 う っ と い ね ん 」 と
言葉はナイフやからなあ。
もうええやん。
か?
夏休みに入った、部活は毎日ある。朝に
大介
も腹が立つ。しかしこういう経験も将来
なると…。
すし、そんでまたミスしてしまう。もう
か「死ね」なんか言われたら、自信なく
おい大介、いつまでトイレに入ってるん
辞めたい割合は、どれくらいや?
嫌や、辞めてしまいたい。
父
や?
お腹が痛いんや。
- 54 -
八割や、けど二割は続けたい。サッカー
そうか…。
大介
母
どないした?
(深いため息)ハーッ!
大介、おかえり。
(ひぐらしの鳴き声)
もし辞めたい言うても、監督は辞めさせ
父
九対一や、九割辞めたい。
大介
父
てくれへんと思うわ。
大介
明日、自分で判断してこい。もう辞めて
好きやから。
大介
うん、分かった。もしお前が辞めとうな
父
分かった。
父
ったら、お父ちゃんが何としてでも辞め
大介
もかまへんからな。
うん。
させたる。いつでも言うんやで。
大介
私は神様に「大介に、自分で続けるか辞
めるか判断させます。本人はサッカーが
父
と一緒になってこのつらい状況を支えて
大好きです。どうぞ続けることが出来ま
大 介 の 安 心 し た 顔 を 見 て 、「 神 様 は 大 介
下さっている、守られて頑張っている」
すように」とお願いした。
父
そう思った。
- 55 -
父
同じこと何遍も言わんといて。
あいつ、どうするかなあ。
この子はここを通って成長しているん
大介
お、大介どうやった?
お父ちゃーん。
おい、見てみ、大介が…、ワアーやった
わ れ た ら 、辞 め る な ん て 言 わ れ へ ん や ん 。
らお前はレギュラーやって。そんなん言
母
父
母
ああ、もうー、面倒臭いなー。
アシストて何?
大介がアシストして、一点入った!
何をやったん?
ー!
へえー、そうやったん、良かったなあ。
父
お父さん、大介がこっち向いて手振って
父
(ワアーワアー、歓声)
感じた。
神 様 が 私 た ち を 包 み 込 ん で 、「 大 丈 夫 。
母
お前かて、さっきから落ち着かんやない
や、安心しなさい」と言われているのを
父
神様ってすごいなあ。
父
父
か。
大介
え?
(ドアを開ける音)
父
監督がな、今まで頑張ったから、今日か
母
秋に隣町の学校との試合があるんやっ
母
どういうことや?
大介
大介
て。
- 56 -
るよ。
第八回「ありのままの自分」
*登場人物
あゆみ(二十歳)
母(あゆみの母・四十五歳)
教会の先生(五十歳くらい・女性)
祖父 七十五歳くらい
(
あゆみ
母
おじいちゃんが危篤なの。
あ、お母さん。
(電話の向こう)もしもし、あゆみ。
)
母
えっ!
(電話のベル)
あゆみ
- 57 -
母
あゆみ
母
あゆみ
ちゃん口には出さないけど、あゆみに
急に倒れたのよ。帰れない?
あゆみ
母
あゆみ
へーえ、知らなかった。
おじいちゃんが信心していたの。
お母さん、金光教って?
おじい
会いたがってると思う。
祖父の葬儀は、教会の先生によって、
うーん…、明日就職の面接なの。どう
あゆみ
手厚く行われた。母より年上の女の先
しよう…。
じゃあ…ともかく…終わったらすぐに
行ってくれないかな。
あゆみ、教会の先生のところにお礼に
生 だ っ た の で 、ち ょ っ と び っ く り し た 。
母
来て。
私は面接が終わってから実家に駆け付
けた。と言っても電車で一時間半だ。
教会?
お母さん行ってよ。
あゆみ
私、パート休めなくて。
私が?
祖 父 の 臨 終 に 間 に 合 わ な か っ た 。「 お
母
(ピイピイ、鳥のさえずり)
じ い ち ゃ ん 、 ご め ん な さ い … 」。 ゆ う
べ来ようと思ったら来られたのに。
葬儀は金光教のお葬式だった。
- 58 -
私はクッキーを焼いて持って行った。
が離婚しましてね。私が父親代わりに
お手製のクッキーなの?
ら、小学校でいじめられました。参観
あゆみ
はい、私、製菓専門学校に行ってて…
日にネクタイ姿の友達のお父さんたち
ならなきゃいけないのに、私は不器用
あ、お菓子の学校…。
の中で、作業着姿の祖父がそっとのぞ
教会の中は静かで落ち着いていた。先
先生
はい。
い て い た の が 、と て も 恥 ず か し く て … 。
で、ただ見守っているだけで。
あゆみ
パティシエになるのが夢なんです。
今から思うと、工場の仕事を抜け出し
生はクッキーを神様にお供えして…。
先生
まあ、それは良いわね。おじいさんも
て来てくれたのだと思います。母は母
私…親が離婚して名字が変わってか
あゆみ
あなたのことをいつも気にかけて、お
で、いつも余裕がなくて働いていて。
あゆみ
先生
祈りをしていらっしゃいましたよ。
るくしてました。
じめのことも言えなくて、ムリして明
だから私は家の人の顔色を伺って、い
あゆみはふびんな子なんですよ。娘
(意外)おじいちゃんが?
あゆみ
祖父の声
- 59 -
あゆみ
先生
はい、中学の中ごろから成績が上がっ
そ う 、つ ら か っ た の ね 、我 慢 し た の ね 。
てきました。友達がいないから、勉強
頑張ったのね。
するしかなかったんです。
先生
あゆみ
先生
先生は、神様の方を向いて、深く静か
そう…。
に祈って下さった。
出来た。うれしかった。
やがて、私は第一志望のホテルに就職
「すごいんだね」って。
夏休みに家に帰る途中、ふと、足が教
あゆみ
ええ。
会に向かった。
す る と 、周 り の 目 が 違 っ て く る ん で す 。
先生
それから私は、ありのままの自分なん
あゆみ
あゆみ
今でも…?
りました。
い評価をされる自分を演じるようにな
あゆみ
先生
あゆみ
先生
(思いつく・独り言のように)あ…そ
その後、どう?
はい。
よく来て下さったわね。
て価値がない、人に気に入られる、良
先生
疲れています。今は自分の存在価値な
う言えば、今日は私の誕生日でした。
あゆみ
んて分かりません。
- 60 -
先生
あら、おめでと…。
いない」と思うと気が楽でしょ。
の よ 。 あ ゆ み さ ん 、「 何 も 期 待 さ れ て
あゆみ
先生
理していて。
私は家に帰った。母が祖父の遺品を整
私は、ありのままのあなたが好きよ。
本 当 は 、あ な た は 頑 張 っ て る ん だ か ら 。
あ ゆ み ( つ ぶ や く )何 も 期 待 さ れ て い な い … 。
(前にかぶせて)おめでとうなんて言
あゆみさん!
私は生まれてこなければ
あゆみ
わないで!
先生
先生はいきなり私を抱き締めた。温か
良かった!
あゆみ
かった。私は泣き出してしまった。
何かあったの?
た古い箱の中から、あゆみの子どもの
あゆみ、おじいちゃんが大事にしてい
先生
(泣きじゃくりながら)また…人の顔
母
あゆみ
時の物が色々出てきたわよ。
んなおじいちゃんの顔、描いたかなあ
これ、小学校の時の作文や絵だわ。こ
…つらい…。
…。フフ…下手くそ。
あゆみ
…あのね…人に気に入られなくていい
く夢だった仕事に就けたのに。だから
色をうかがう自分が出てきて、せっか
先生
- 61 -
母
あゆみ
描いたわよ。おじいちゃん喜んで壁に
貼ってた。隅にがびょうの穴があるで
しょ、忘れたの?
これ、通信簿だ。
あれ。おじいちゃんの字で隅に何か書
(パラパラめくって…)
あゆみ
いてある。
あゆみは無理をしていないか心配
私は愛されていたのだと初めて実感し
う。ただ祈るだけだ。
だ。私はどうしてあげたら良いのだろ
祖父の声
あゆみ
た。胸がいっぱいになった。
- 62 -
第九回「ひとりじゃない」
*登場人物
教会の先生(七十歳・女性)
理沙(中学生)
父(理沙の父)
(病院のノイズ)
おばあさんは…あ、ごめんなさい、えっ
おばあさんでいいのよ。
理沙
先生
いつもお見舞いに来る人が先生って言っ
と…。
理沙
理沙
先生
金光教って教会の先生なの。
え?
学校の先生じゃないの。
てるけど、何を教えてる先生?
先生
教会の?
だからいろんな人がお見舞い
理沙
に来るのね。
そうよ、私はその人たちのお話を聞いて
どんなこと?
先生
理沙
何でもいいの。その人が聞いて欲しいこ
いたの。
先生
じゃあ、私の話も聞いてくれる?
と。
理沙
もちろんよ。ベッドのお隣さんなんだか
私ね、白血病なの。骨髄移植以外に治る
ら。
先生
理沙
- 63 -
先生
理沙
先生
理沙
先生
治るためにこうして病院に入
方法はないんだって。私死んでしまうの
かしら?
大丈夫!
院しているの。あきらめたら駄目。…理
ねえ、この手鏡で外を見られるかしら。
(引き出しの開け閉め)
先生
鏡の角度を変えるから、見えたら言って
うん。
沙ちゃんは、何年生?
理沙
どう?
ね。
てたのに…。学校に行きたい、友達と遊
先生
…あっ。
中学三年生。高校受験で一生懸命勉強し
びたい。それなのに卒業式にも出られな
理沙
こうかしら?
ねえ、あそこで光ってるの…。
も生きてるのよ。希望を捨てないでね。
そうよ、みんな生きてるの。理沙ちゃん
そうに歩いてるのが見える。
こう?
い。私の人生はもう終わり。
先生
うん、車が走ってる、ビルとか、人が寒
理沙ちゃん、病気に
終わりじゃない!
理沙
理沙
先生
勝つ、って強い気持ちを持つのが一番大
事なのよ。
でも…今の私の世界は、この窓から見え
る四角い空だけ。動く物は雲だけ。
ちょっと待っててね。
- 64 -
ああ、クリスマスのイルミネーシ
父
いや、それほどひどくない。でもここに
来られなくなった。これからはパパがな
ん?
ョンよ。
るべく会社の帰りに来るから、な。
先生
もう…?
うん…。
理沙
理沙
(公衆電話をかける)
下さいと、お祈りした。
理沙ちゃんが助かりますように、助けて
そ の 夜 、理 沙 ち ゃ ん は 泣 い て い た 。私 は 、
ええ、夜になったらもっと奇麗よ、また
見ましょうね。
うん、ありがとう。
ふ と 、理 沙 ち ゃ ん の 枕 を 見 て ハ ッ と し た 、
に捨てた。鏡は…引き出しにしまう。
先生
マが自転車とぶつかって、転んで、足の
断ってちょうだい。あ、それとピンクの
入院したの?
毛糸と編み針買ってきてね。
え!
骨を折って。
あ、もしもし私。あのね、お見舞いの人
理沙、遅くなってゴメンな。実はね、マ
髪の毛が抜け落ちている。そっとくず籠
先生
先生
理沙
先生
父
理沙
- 65 -
先生
(読む )
どうしたの?
おばあさん!
のを見せてあげるから。琴子」
「理沙ちゃんのお休みの間のノート、私
遊ぼうね。由香」
ある朝のことだ。
理沙
ゆうべ夜遅くパパが来たの。それでね、
わあー、他にもぎっしり書いてあるわね
先生
先生
いい知らせが二つあったの!
ー。
「理沙、早く元気になって、また一緒に
理沙
何?
先生
理沙
先生
あのね、クラスの友達の寄せ書き。
もう一つは?
うん。
良かったわね!
理沙
理沙ちゃんがあまりに可愛くて、リンゴ
私は、新しい命をもらうのね。
のような頬っぺたをつついた。
先生
骨髄を下さる方もそう。
そ う よ 、い ろ ん な 人 に 支 え ら れ て る の よ 。
のね。
うん。私…私…一人ぼっちじゃなかった
先生
理沙
一つはね、骨髄の適合者が見つかって、
理沙
見せてもらっていい?
先生
理沙
先生
いいわよ…うーんと…これ。
移植を受けられるって。
理沙
- 66 -
理沙
やがて私は退院した。理沙ちゃんのお見
舞いに毎日行った。しかし、理沙ちゃん
先生
ント。
の治療が進むにつれて、だんだん会えな
ねえ、これは私からのクリスマスプレゼ
わあー、ピンクの帽子可愛い…。ありが
くなった。
私は理沙ちゃんのことをひたすら祈りな
がらも、日々は過ぎて行った。
五年ほど経ったある日。
すっかり元気にな
ごめん下さい。おばあさん、私のこと分
かる?
まあ、理沙ちゃん
- 67 -
とう!
先生
理沙
先生
今日、私の成人式なんです。
って!
理沙
おめでとう!
本当におめでとう
先生
!!
!?
あのね、昨日友達から、中学の教室に来
まあー!
理沙
てくれって言われたの。行ったら、教室
に卒業式の飾りつけがしてあって、先生
や友達が揃ってて、私に卒業式のプレゼ
先生
これ、その時の写真です。おばあさんに
ントしてくれたの。
理沙
ぜひ見てもらいたくて。
- 68 -
金光教本部
ラジオ放送係
【住所】719-0111
岡山県浅口市金光町大谷320
【電話】0865-42-6453
【FAX】0865-42-2114
【メール】[email protected]
- 69 -
KONKOKYO
北海道放送
東北放送
ニッポン放送
(土)午前5時10分
(日)
5時00分
(日)
4時30分
東海ラジオ放送(金)
和歌山放送
(日)
朝日放送
(水)
5時25分
6時50分
4時50分
山陽放送
中国放送
南海放送
(日)午前6時35分
(土)
5時50分
(日)
6時00分
RKB毎日放送
宮崎放送
(日)
(日)
こころで聴くおはなし
http://www.konkokyo.or.jp/radio/
- 70 -
6時50分
7時10分