1 学期終業式の話 平成 24 年 7 月 20 日 過去に起きたことはすべて未来のためにある さて、いよいよ今日で一学期が終わりですね。 それぞれ、がんばれたこと、まだ課題として残っていること等あることと思います。 今日は1学期の最後、終業式のお話として、校長先生が初めて先生になった時のお話をします。 校長先生は、大学の教育学部を卒業して渋谷区で小学校の先生として勤め始めました。大学時代に行っ た教育実習や家庭教師のアルバイトで、子どもたちととても楽しく勉強した経験があったので、自分で勝 手に「自分はいい先生になれる」と思いこんでいました。しかし、実際はその通りには中々なりませんで した。最初は4年生の担任になりました。4年生の担任を頼まれた時、「任せておいてください」という気 持ちでいっぱいでした。しかし、始まってみれば・・・「静かにしなさい」と大きな声を出しても、子ども たちは中々静かになんかなりません。勉強を教えていると「先生の言うこ とよくわかりません」と言われたこともありました。おそうじの指導や学 級指導も中々うまくいかず、「いい先生になれる」という自信はもろくも 崩れさりました。そんな時、同じ学校に、私のことをいつも優しく教えて くれ、支えてくれる一人の先輩の先生がいました。その先生は、子どもと の接し方・遊び方、学級の作り方、授業の基本など、徹底的に教えてくれ ました。 「失敗してもいい。でも、その失敗は繰り返さないこと」 「うまくいかなかったことは、次へのステップだ」と教えてくれました。 そうして、なんとか1年間を終えることができました。次の年からはそのまま5年6年とその学年を持ち 上がり、初めての卒業式を迎えることができました。とても感動しました。校長先生は、渋谷区の学校で の3年間の経験が今のすべての土台になっていると考えています。私にいつも教えてくれた先生は、私の 師匠であり恩人です。3年間の渋谷での勤務を終えて転勤する時に、私は何度も何度もお礼を言いました。 「ありがとうございました。先生のおかげで何とか教師らしくなってきました。 」その時、その先生が私に 返してくださった言葉が、今でも私の心に深く刻まれています。 「学んだことで「よかったな」と思うことがあったら、それを未来に出会う子どもや先生方に伝えて下さ い。 それが私の最大の喜びだよ。 」 以来、私はそのことを心に刻み、自分が学んだこと、感じたこと、よかったこと、反省すべきことを積 極的に、出会った子どもや先生方に伝えるよう努力してきました。それが、私を教師として育てて下さっ た先生への感謝の気持ちです。 その先生から学んだ「過去に起きたことは過去を振り返るためにあるのではなく、すべて未来のために ある」という考え方・生き方は、今でも校長先生の人生に大きな影響を与えています。 さて、みなさんも、今日このあと、教室で先生方から「あゆみ」を頂くと思います。この1学期、みな さんが頑張ったこと、またはもっと頑張って欲しいことが書かれていることと思います。でも、それらは、 これからの未来のためにあるのですよ。 「漢字が書けるようになって良かった」とか「本がたくさん読めて 良かった」で終わるのではありません。「もっと出来るように頑張ろう」「次は○○にも挑戦しよう」とい う気持ちをもって欲しいと思います。また、出来なかったこと、失敗したことは、すべて「次に良くなる ため」にあるのです。失敗したからこそ、出来なかったからこそ、次はもっともっと良くなるんです。 そんな気持ちで、 「あゆみ」をもらってください。 では、長い夏休み、元気でね。9月、2学期始業式に、またみんな笑顔で会いましょう。
© Copyright 2024 Paperzz