BTMU(China)

BTMU(China)経済週報
2013 年 1 月 30 日 第 143 期
対中国投資、2009 年以降初の前年割れ
~中国は投資先としての吸収力を失ったか
トランザクションバンキング部
中国調査室
メイントピックス...................................................................................................................... 2
対中国投資、2009 年以降初の前年割れ
~中国は投資先としての吸収力を失ったか ....................................2
全国情報 ............................................................................................................................. 5
【マクロ経済】 .............................................................................................................................................................5
2012 年の全国税収総額、前年比 12.1%増の 10 兆 601 億元..........................................................................5
1 月のHSBC中国製造業PMI速報値、2 年振りに最高値を更新し 51.9 に上昇...............................................5
2012 年の鉱工業企業の利益、前年同期比+5.3%.............................................................................................5
【金融】.......................................................................................................................................................................6
前海現代サービス業総合試行の第一陣補助プロジェクトリストが発表..............................................................6
銀行カードの手数料、来月から引下げ...............................................................................................................6
2012 年第 4 四半期の不動産向け貸出の伸びが加速.......................................................................................6
【産業】.......................................................................................................................................................................6
【航空】国務院、民用航空の発展方針案を公布=北京、上海、広州をグローバルなハブ空港に ...................6
【エネルギー】国務院、「エネルギー発展の第 12 次 5 ヶ年計画」を公布 ..........................................................7
【環境】環境保護部、環境保護サービス業の発展に関する指導意見を公布....................................................7
【政策】.......................................................................................................................................................................7
工業情報化部・財政部等、「重点業種の合併再編を加速することに関する指導意見」を公布........................7
地方情報 ............................................................................................................................. 8
【北京】
【上海】
【山東】
【江蘇】
【広州】
【成都】
2012 年の地域GDPは前年比+7.7%の 1 兆 7,801 億元...................................................................8
2013 年の地域GDP目標は 7.5%........................................................................................................8
2012 年の地域GDPは前年比+9.8%の 5 兆元を突破 ......................................................................8
2012 年の1人当たりGDPは1万米ドル超に .........................................................................................8
グリーン建築物管理新規定が公布される予定.....................................................................................8
貿易の伸び率は副省級都市で一位....................................................................................................8
人民元市場動向 『人民元は動意に乏しく、一段と膠着』 ............................................................... 9
人民元為替・資金市場 ........................................................................................................................................9
BTMUの中国調査レポート(2013 年 1 月) ............................................................................. 10
1
BTMU(China)経済週報
2013 年 1 月 30 日 第 143 期
メイントピックス
対中国投資、2009 年以降初の前年割れ
~中国は投資先としての吸収力を失ったか
商務部は 1 月 16 日に記者会見を主催し、12 年通年の実行ベース対内直接投資(FDI)が前年同期比▲3.7%
の 1,117.2 億米㌦となったことを公表した。これは年
【図表1】 対中直接投資の推移
間ベースで世界金融危機以降初の前年割れとなる。
(億米㌦)
(前年比)
FDI 単月の伸び率をみても、年初以降(5 月の微増
実績(億ドル)
前年比
120%
160
100%
140
以外)マイナス圏での推移となった(図表 1)。
80%
60%
40%
20%
0%
-20%
-40%
-60%
120
FDI のマイナス推移(特に製造業向け投資の減少)
に加え、人民銀が 1 月 15 日に公表した 2012 年の新
規外貨ポジションが前年の 2 兆 7,800 億元から 4,947
億元に激減したことなどから、市場では労働力・土地
コストの上昇を背景とした外国製造業の中国離れの
加速に伴い、投資資金流出の傾向が強まり、中国は
投資先としての吸収力を徐々に失いつつあるという
観測も広がっている。
100
80
60
40
20
0
08
09
10
11
12
(出所)中国商務部
Ⅰ.グローバルベースでの FDI が減少する中、中国市場は引き続き魅力的
FDI 減少の背景については、①欧州連盟の債務危機を受けた欧州主要国からの投資の減少、②日中関係
の悪化による日本からの対中投資の鈍化、③国内不動産市場の低迷の継続(不動産セクターへの FDI は全
体の 25%前後を占める規模)、④外国企業の対中投資戦略の見直し、等が挙げられる。
国連貿易・発展会議(Unctad)が 23 日に公表した『2012 年世界投資 【図表2】12年世界各国へのFDIトップ10
観測報告』によると、世界景気の低迷や欧州連盟の債務危機、米国
順番
国名
1
米国
の財政の崖などの影響で、2012 年のグローバルベースの FDI 総額
2
中国
は前年比▲18%の 1 兆 3,000 億米㌦と、2011 年の 1 兆 6,000 億米
3
香港
4
ブラジル
㌦対比大幅に鈍化し、2009 年の世界金融危機時の水準まで落ち込
5
英国
んだ。国・地域別では、先進国への FDI 総額は 2011 年の 8,078 億
6
フランス
7
シンガポール
米㌦から 5,489 億米㌦に激減し、減少額はグローバルベースの FDI
8
オースト ラリア
減少額全体の約 90%を占めた。うち、米国向けは 800 億米㌦減、
9
カナ ダ
EU 向けは 1,500 億米㌦減、日本向けは 3 年間連続のマイナスを継
10
ロシ ア
続している。一方、発展途上国への FDI は 6,800 億米㌦(同▲3%) (出 所)Unctad
に上り、初めて対先進国投資額を上回った。うち、中国向けの FDI は同▲3.4%の 1,200 億米㌦と依然高い水
準を維持しており、米国に次ぎ世界 2 位となった(図表 2)。つまり、グローバルベースでの FDI 全体が減少す
る中で、中国への FDI も減少こそしているが、その減少幅は最も小さいといえる。
又、日本の対中直接投資をみれば、2012 年通年では前年比+16.3%の 73.8 億米㌦に達し、伸び率は 2011
年の 49.6%から鈍化したものの、台湾を抜く 2 位に浮上(2011 年は 3 位)。単月では、尖閣諸島国有化で日
中関係が悪化した 10 月をボトムに 11 月以降持ち直している(図表 3、図表 4)。更に、日本貿易振興機構
(JETRO)が 2012 年 10 月に公表した、アジア・オセアニア地域進出日系企業 8,106 社を対象に実施した調査
結果によると、「向こう 1~2 年に中国で事業を拡大する」と回答した企業数は全体の 52.3%を占め、「現状維
持」と回答した企業数の割合は 42.0%と前年比 13.1 ポイントも上昇した。一方、「調達コストや人件費などコスト
の増加」、「売上の減少」、「労働力の確保の難しさ」などを理由として、「中国での事業を縮小・撤退する」と回
2
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2013 年 1 月 30 日 第 143 期
答した企業数は 5.8%に止まっている。
正に商務部の瀋丹陽スポークスマンが記者会見で言及した通り、「一部の外資製造業が第三国への移転は
事実であるが、大規模な移転の動きは見られない。実際、多くの多国籍企業は引き続き中国への投資拡大を
計画している」。
(万米㌦)
800,000
【図表3】対中直接投資金額の推移(国別)
日本
700,000
600,000
米国
EU
500,000
400,000
300,000
200,000
2008
2009
2010
2011
2012
2006
2007
2004
2005
2002
2003
1999
2000
2001
1997
1998
100,000
0
【図表4】 12年日本から F D Iの推移(月次)
(億米㌦)
10.0
9.0
8.0
7.0
6.0
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
FDI(金額ベース)
伸び率
(前年比)
100%
80%
60%
40%
20%
0%
-20%
-40%
1月
3月
5月
7月
9月
11月
(出所) 中国商務部
Ⅱ.FDI の構造改善が継続
商務部の瀋丹陽スポークスマンは「2012 年の FDI の構造と質は引き続き改善している」と言明した上で、具体
的な改善効果について以下の通り説明している。
1.
サービス業への FDI が全体の 48.2%と、製造業を上回った
業種別に見ると、農林牧漁業への FDI は同+2.7%の 20.6 億米㌦と全体の 1.9%。製造業への FDI は同
▲6.2%の 488.7 億米㌦で、全体に占める割合は 43.7%と前年より 1.2 ポイント下落したものの、通用設備
製造(+31.8%)や交通運輸設備製造(+17.2%)など一部ハイエンド製造業ではその伸びが顕著となった。
一方、サービス業への FDI は同▲2.6%の 538.4 億米㌦となり、全体の 48.2%と製造業の同割合を 2 年連
続で上回った。不動産セクターへの FDI は同▲10.3%であり、不動産セクターを除くサービス業全体の前
年比伸び率は+4.8%とプラス成長となった。
2.
米国、日本からの FDI が引き続き増加
出資国・地域別では、米国および日本からの FDI がそれぞれ同+4.5%の 31.3 億米㌦、同+16.3%の 73.8
億米㌦と、引き続き増加している。欧州連盟(EU)は同▲3.8%の 61.1 億米㌦となったが、うち、ドイツ、オ
ランダ、スイスの同伸び率は+29.5%、+49.1%、+58.1%と増加が目立った。アジア 10 ヶ国・地域(香港、ア
モイ、台湾、日本、フィリピン、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、韓国)は同▲4.8%の 957.4
億米㌦。
3.
中部地域への FDI が同+18.5%と好調
地域別にみると、中部地域への FDI が同+18.5%の 92.2 億米㌦と引き続き好調で、全体の 8.3%を占め
ている。一方、東部および西部への FDI は同▲4.2%の 925.1 億米㌦(全体の 85.2%)、同▲14.3%の 99.2
億米㌦(全体の 8.9%)となり、いずれも減速傾向となった。
Ⅲ.2013 年の FDI は堅調に
商務部の陳徳銘部長は、2013 年の FDI について、2012 年並みの規模を維持するとの見通しを示すとともに、
外資誘致事業について、①教育、医療、金融、電信など分野を外資に解禁し、サービス業セクターの外資利
用を一段と推進する、②『中西部地域外商投資優勢産業目録』を改定し、中西部地域の外資利用と産業移
転受入れのモデル地域建設を推進する、③西部地域における物流施設建設を加速し、辺境経済協力地域
3
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2013 年 1 月 30 日 第 143 期
の発展を推進する、といった点に重点を置き、引き続き積極的に外資利用を進めていくスタンスを明示してい
る。
また、FDIの規制緩和の一環として、国家外貨管理局は 11 月 21 日
に「直接投資外貨管理政策の更なる改善・調整に関する通達」を公
表したが、同通達には、直接投資取引に係わる外貨管理局での事前
審査制や外貨資本金口座に対する制限の一部廃止、中国域外向け
の貸付取引に関する条件緩和等、対中直接投資の利便性を向上さ
せる多数の措置が盛り込まれている 1 。
このように、コスト増などのマイナス要因は長期的に存在しているが、
中国経済回復の鮮明化(図表 5)に伴う投資家の信頼感の回復や、
市場の更なる開放と規制緩和などのプラス要因に支えられ、市場で
は 2013 年の FDI の伸び率はプラスに転じる公算が大きいと見られて
いる。
【図表5】13年世界各国のGDP予想値
国名
予想値(%)
世界全体
3.6
中国
8.2
米国
2.1
日本
1.2
0.2
ユーロ圏
ドイツ
0.9
フランス
0.4
イタリア
▲0.7
スペイン
▲1.3
英国
1.1
2
カナダ
インド
6
ロシア
3.8
4
ブラジル
(出所)IMF、予想時点は12年10月
以上
三菱東京 UFJ 銀行(中国)トランザクションバンキング部
中国調査室 胡柳
1本通知の詳細は弊行実務制度ニュースレターNo.58ご参照可能。
https://reports.btmuc.com/fileroot_sh/FILE/information/121126_01.pdf
4
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2013 年 1 月 30 日 第 143 期
全国情報
【マクロ経済】
2012 年の全国税収総額、前年比 12.1%増の 10 兆 601 億元
財政部が 23 日に発表したデータによると、2012 年の全国の税収総額は前年比 12.1%増の 10 兆 601 億元と
なった。伸び率は過去 3 年間で最低となり、2011 年および 2010 年対比でそれぞれ 10.5、10.9 ポイント下落し
た。2012 年の税収の特徴として、税収の伸びが四半期ごとに下落している点が挙げられる。税目別で見ると、
企業所得税、輸入貨物増値税・消費税、関税、個人所得税の伸びが大幅に下落しているが、財政部は、そ
の要因として税収国内経済の減速や価格水準の低下、一般貿易輸入額の伸び鈍化、構造的減税策などを
挙げている。
2012 年税収総額及び主要税目収入
税目
収入(億元)
税収総額
国内増値税
国内消費税
輸入貨物増値税、消費税
伸び率(%)
100,600.88
12.1
26,415.69
8.9
7,872.14
13.5
14,796.41
9.1
-10,428.88
13.3
営業税
15,747.53
15.1
企業所得税
19,653.56
17.2
個人所得税
5,820.24
-3.9
不動産税
1,372.49
24.5
輸出貨物増値税、消費税の還付
(1 月 23 日
財政部)
1 月の HSBC 中国製造業 PMI 速報値、2 年振りに最高値を更新し 51.9 に上昇
HSBC が 24 日に発表した統計によると、1月の HSBC 中国製造業購買担当者景気指数(PMI)の速報値は
前月より 0.4 ポイント上昇の 51.9 となり、2 年ぶりに最高値を記録し、3 ヶ月連続で好況・不況の境目である 50
を上回った。内訳を見ると、産出指数が 12 月の 51.9 から 52.2 に上昇し、22 ヶ月振りの最高値となった。需要
増加や景気の持続的な回復態勢が示唆されている。
(1 月 25 日付「上海証券報」)
2012 年の鉱工業企業の利益、前年同期比+5.3%
国家統計局が 1 月 27 日に発表した統計によると、2012 年の規模以上鉱工業企業の利益は 5 兆 5,578 億元
で、前年比+5.3%増加した。12 月単月の利益は前年同月比+17.3%の 8,952 億元となった。
企業形態別にみると、国有企業(▲5.1%)、外資系企業(▲4.1%)はいずれも前年比減益となったが、株式
企業(+7.2%)、私営企業(+20%)、集団企業(+7.5%)は増益となった。
業種別では、41 業種のうち 29 業種が増益、11 業種が減益となった。石油加工、コークス精錬と核燃料加工
業は黒字に転じ、電力・熱力生産供給業は+69.1%、農産品加工業は+20.6%の増益となったが、鉄金属精
錬・加工業は▲37.3%の大幅減益となった。
(1 月 27 日 国家統計局)
5
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2013 年 1 月 30 日 第 143 期
【金融】
前海現代サービス業総合試行の第一陣補助プロジェクトリストが発表
深セン市前海地区で、深セン・香港現代サービス業合作区現代サービス業総合試行の 2012 年第一陣の 19
補助プロジェクトが公示された。異議申立期間は 2013 年 1 月 26 日から 1 月 30 日までとなる。
公示リストの中には、深セン石油化工交易所、深セン前海金融資産交易所、深セン排出権交易所、前海保
険交易センターなどに加え、千和キャピタル、華夏キャピタル等のPE、及び騰訊(テンセント)次世代 E ビジネ
ス物流システム総合情報、中興(ZTE)前海保税 VIP センター、前海クロスボーダー・E ビジネスサービス・
プラットフォームなどの大型物流、情報企業の現代サービス業プロジェクトが含まれている。
昨年 10 月、前海地区は国家現代サービス業総合改革試行地域として批准され、商務部と財政部は財政補
助などを通じて、前海地区の金融業・現代サービス業・情報サービス業などを支援する方針。2012 年以降 3
年間の財政支援資金は 15 億元に達すると見込まれている。深セン市長は 27 日、昨年前海地区への入居が
批准された企業は 302 社で、登録資本金は 372.7 億元となることを明らかにした。
(1 月 28 日付「中国証券報」)
銀行カードの手数料、来月から引下げ
国家発展改革委員会は 21 日、銀行カード手数料の見直し案を公布し、2 月 25 日から実施すると発表した。
同方案によると、飲食類、マーケット類及びスーパー類業者がカード発行銀行に支払うサービス料はそれぞ
れ 35.7%、21.4%、25.7%引き下げられ、銀行カード清算機関に支払うネットサービス料はそれぞれ 35%、
20%、20%引き下げられる。これにより、これらの業者は年間 40 億元のコストダウンができる。
カード手数料は、カード発行銀行のサービス料、銀行カード清算機関のネットサービス料、および証票受取
サービス料からなり、飲食類、一般類、民生類及び公益類の 4 種に分類されている。
(1 月 21 日 新華網)
2012 年第 4 四半期の不動産向け貸出の伸びが加速
中国人民銀行が 24 日に公表した「2012 年金融機関の分野別貸出統計レポート」によると、2012 年末時点の
主要金融機関、農村合作金融機関および都市信用社の不動産向け人民元貸出残高は、前年比+12.8%の
12 兆 1,100 億元となり、伸び率は 9 月末時点より 0.6 ポイント上昇した。うち、2012 年の不動産向け新規貸出
は 1 兆 3,500 億元と前年同期対比で 897 億元増加、同期の新規貸出全体の 17.4%を占めている(1-9 月の同
割合は 15.4%)。内訳をみると、①土地開発向け貸出残高は同+12.4%の 8,630 億元で、伸び率は 9 月末時
点対比で 5.1 ポイントの上昇、②不動産ディべロッパー向け貸出残高は同+10.7%の 3 兆元で、伸び率は 9
月末時点対比で 1.4 ポイントの低下(①+②=不動産開発向け貸出残高)、③個人住宅ローン残高は同
+13.5%の 8 兆 1,000 億元で、伸び率は 9 月末時点対比で 0.9 ポイントの上昇となっている。
(1 月 25 日 中国人民銀行)
【産業】
【航空】国務院、民用航空の発展方針案を公布=北京、上海、広州をグローバルなハブ空港に
国務院は 14 日、「民用航空業の発展を促進する重点工作分担方案」を公表し、昨年公表した「民用航空業
の発展を促進する若干意見」の各項目の目標及び任務を具体化した。空港計画と建設の強化については、
北京・上海・広州をグローバルなハブ空港とし、昆明・ウルムチをゲート空港に育成、瀋陽空港などでは地域
的なハブ空港機能を強化するとしている。運送サービスの質の向上については、フライトの正常率の向上、公
衆向けのフライト遅延予報制度の構築および緊急体制の整備、遅延後のサービスの規範化に言及。また、応
6
BTMU(China)経済週報
2013 年 1 月 30 日 第 143 期
急救援・医療救助・個人飛行などの新興通用航空の発展、国産民用飛行機製造の支援、金融サービスの改
善については、それぞれのワークタスクを定めた。
(1 月 22 日付「京華時報」)
【エネルギー】国務院、「エネルギー発展の第 12 次 5 ヶ年計画」を公布
国務院は 23 日、「エネルギー発展の第 12 次 5 ヶ年計画」を公布し、エネルギー消費総量や効率、エネルギー
生産、供給能力などを含む 2015 年のエネルギー発展の主要目標を明らかにした。同計画では、①2015 年の
エネルギー消費総量を 40 億トン標準石炭に、電力使用量を 6.15 兆キロワット時に、単位 GDP 当たりのエネ
ルギー消費量を 2010 年より 16%削減し、エネルギー総合効率を 38%に引き上げる、②2015 年の一次エネ
ルギーの供給能力を 43 億トン標準石炭(うち、国内生産能力を 36.6 億トン標準石炭)とし、石油の対外依存
度を 61%以内に抑制する、③2015 年の非化石エネルギー消費比率を 11.4%に引き上げ、天然ガスの一次
エネルギー消費に占める比率を 7.5%に引き上げ、石炭消費比率を 65%に引き下げる、④山西、オルドス盆
地、内モンゴル東部地区、西南地区、新疆などの 5 大エネルギー基地を建設し、2015 年の 5 大基地の一次
エネルギー生産能力を全国の 70%を賄う 26.6 億トン標準石炭とする、⑤2015 年に新たな農村電力網の改造
を実施し、都市農村の各種電力料金を統一する、などの目標を定めている。
(1 月 24 日 中国新聞網)
【環境】環境保護部、環境保護サービス業の発展に関する指導意見を公布
環境保護部はこのほど、「環境保護サービス業 2 の発展に関する指導意見」を公布した。同意見によると、環
境保護サービス業の生産高の年間伸び率を 30%とし、年間生産高 10 億元以上の大手企業を 50 社形成す
ることを目指す。産業発展の政策支持については、脱硫電力価格の徹底や石炭発電所の脱硝電力価格の
制定、汚水処理費政策の整備などが挙げられている。
(1 月 25 日付「上海証券報」)
【政策】
工業情報化部・財政部等、「重点業種の合併再編を加速することに関する指導意見」を公布
工業情報化部・財政部など 12 部委はこのほど、「重点業種の合併再編を加速することに関する指導意見」を
公布し、自動車・鉄鋼・セメント・船舶・電解アルミ・レアアース・電子情報・医薬・農業など 9 業種を重点業種に
定め、企業の合併再編を推進していくことを明らかにした。同意見では、2015 年までに 9 業種においてコア競
争力および国際影響力を持つ企業グループを形成し、うち、上位 10 社の完成車メーカーの産業集中度を
90%とし、3~5 社の大型自動車企業グループを形成させる目標が示された。
(1 月 23 日付「証券日報」)
2環境保護を防止、人体の健康を保障、経済社会と環境保護の調和の取れた発展を促進する産業。
7
BTMU(China)経済週報
2013 年 1 月 30 日 第 143 期
地方情報
【北京】 2012 年の地域 GDP は前年比+7.7%の
1 兆 7,801 億元
【上海】 2013 年の地域 GDP 目標は 7.5%
北京市統計局が 20 日に発表した統計によると、
2012 年の同市の地域 GDP は前年比+7.7%の 1 兆
7,801 億元となり、伸び率は前年より 0.4 ポイント低
下した。2012 年末時点の常住人口は 2,069.3 万人
で、前年末より 50.7 万人増加。CPI は前年比+3.3%
となった。2012 年の同市の財政収入は前年比
+10.3%の 3314.9 億元。都市部住民の 1 人当たり
可処分所得は同+7.3%の 36,469 元となり、伸び率
は前年比で 0.1 ポイント上昇した。
上海市の第 14 回全人代第 1 次会議は、2013
年の経済目標について、地域 GDP 成長率を
7.5%に、都市部登録失業率を 4.5%以内に、
R&D 経費支出とエコ用途支出をそれぞれ地域
GDPの 3%に、物価水準を全国水準並みとする
目標を掲げた。
(1 月 20 日付「北京晩報」)
(1 月 28 日上海市政府ウェブ)
【山東】 2012 年の地域 GDP は前年比+9.8%の
5 兆元を突破
【江蘇】 2012 年の1人当たり GDP は1万米ドル
超に
山東省統計局によると、2012 年の山東省の地域 GDP
は前年比+9.8%と、全国平均を 2%超上回り、初めて
5 兆元を突破した。一方、欧州債務危機や日本経済
低迷の影響を受け、輸出入総額は前年比+4.1%の
2,455.4 億米ドルにとどまり、伸び率は大幅に下落し
た。うち、EU 向け輸出は前年比▲6.3%、韓国向け輸
出は▲7.6%となり、欧米日の 3 大市場向けの輸出は
輸出全体の 39.5%まで下がった。対外貿易が低迷す
る中、投資と消費に引っ張られ、2012 年の山東省の
経済は安定成長を遂げた。
20 日に行われた江蘇省第 12 回全人代第1次会議
で、同省の 2012 年の地域 GDP は前年比+10.1%
の 5 兆 4,000 億元に達したが、広東省の 5 兆 7,000
億元には追いつかず、昨年と同様全国 2 位となっ
たことが明らかになった。1 人当たりの GDP は米ド
ル換算で初めて 1 万米ドルを超え、世界銀行の基
準により、中所得上位国のレベルに達した。都市
部住民の 1 人当たり可処分所得は同+12.7%の 2
万 9,600 元、農村住民の現金収入は同+13.2%増
の 1 万 2,200 元となった。
(1 月 24 日付「斉魯晩報」)
(1 月 21 日付「南京日報」)
【広州】グリーン建築物管理新規定が公布される予定
【成都】 貿易の伸び率は副省級都市で一位
広州市政府はこのほど、「広州市グリーン建築物およ
び建築省エネ管理規定(案)」を近く公布することを明
らかにした。同市建築委員会によると、面積 2 万平方
メートル超の空港、駅、ホテル、デパート、オフィスビル
などの大型公共建築では 2014 年からグリーン建築標
準が実施されるという。同規定案によると、グリーン建
築には、財政資金或いは国有資金を使用する新築家
屋、旧城改造、海珠生態城、国際金融城など新区の
新築プロジェクトが含まれる。
成都市商務局が 1 月 24 日に発表した「2012 年成
都市対外貿易年度報告」によると、同市の 2012 年
の輸出入総額は前年比+25.41%の 475.39 億米ド
ルとなった。輸出は前年比+32.26%の 303.61 億米
ドルで、四川省の輸出総額の 79%を占め、伸び率
は全国平均レベルを 24 ポイント上回っている。輸
入は前年比+14.9%の 171.78 億米ドルで、四川省
の輸入総額の 83%を占める。輸出入、輸出の伸
び率はいずれも中国の 15 つの副省級都市の1位
となった。
(1 月 24 日付「情報時報」)
(1 月 25 日付「四川日報」)
8
BTMU(China)経済週報
2013 年 1 月 30 日 第 143 期
人民元市場動向
『人民元は動意に乏しく、一段と膠着』
【図 1】人民元中間値とドルインデックス
人民元為替・資金市場
年明け以降の上昇が一服し、一旦膠着商状となって
いた人民元は、先週も動意に乏しく一段と膠着感を強め
る展開となった。
週初 21 日の基準値が 6.2790 に設定されてスタートし
た先週の人民元は、同日の日中取引が 6.2185~6.2225
と、引続き基準値から元高方向へ大きく乖離した水準で
の取引となった。
その後も週を通じて、基準値は 6.28 近辺で殆ど動か
ず、日中取引も元高方向の値幅制限(=基準値-
1.0%)手前での取引を継続した。特に先週の人民元は
値動きに乏しく、日中取引は連日膠着商状を継続し、結
局、週初 21 日の取引値幅 40 ポイント(前述)が、週を通
じて一日あたりの最大値幅となる等、膠着感が際立つ結
果となった。
日 QCNY=CFXS, Q=USD
2012-10-9 - 2013-2-5 (BEI)
价格
价格
83.5
6.29
83
6.28
82.5
82
6.27
81.5
6.26
81
6.25
80.5
80
6.24
79.5
6.23
79
6.22
78.5
78
6.21
77.5
6.2
.123
.1234
15
22
29
05
2012 十 月
12
19
26
03
2012 十 一 月
10
17
24
31
2012 十 二 月
07
14
21
28
04
2013 一 月
— 人民元ドル中間値(右側) — ドル index 時間線(左側)
(出所)ロイター
【表 1】為替市場変動幅:一週間の変動幅
日付
1/21
1/22
1/23
1/24
1/25
USDCNY 基準値
6.2790
6.2796
6.2762
6.2783
6.2805
週間値幅についても、元の高値 6.2170・安値 6.2225 と
僅か 55 ポイントに留まり、現行制度下でも屈指の「動かな
い一週間」となった。
USDCNY 始値
6.2189
6.2206
6.2182
6.2195
6.2206
USDCNY 高値
6.2225
6.2220
6.2196
6.2196
6.2215
USDCNY 安値
6.2185
6.2195
6.2172
6.2170
6.2195
USDCNY 終値
6.2213
6.2198
6.2180
6.2181
6.2205
今週を含めあと二週間で春節入り、その後更に月が替
わって 3 月に入ると全人代といったイベントも控えており、
人民元基準値水準への影響力を有している米ドルが相
当乱高下しない限り、目先人民元は動意に乏しい展開
になりやすいものと思われる。
USD index1
80.038
80.024
79.864
79.964
79.998
(注)1. 前日の NYK 終値
【図 2】O/N Shibor と 7 日間債券レポ利回り
日 QCN7DRP=CFXS, QSHICNYOND=
2012-10-12 - 2013-1-31 (BEI)
价格
CNY
4.4
春節が近づき、例年金利上昇圧力がかかりやすい人
民元資金市場であるが、先週は目立った金利上昇は見
られなかった。前週人民銀行は、中資系大手・中堅銀行
を中心にプライマリーディーラーとして 12 社を選定し、最
大で 7 日物のリバースレポ入札に毎営業日参加すること
を認めた。これにより、現行火曜・木曜に実施の定例公
開市場操作の隙間を補完することが可能となり、資金市
場の安定化に資するとの思惑が広がっている。
4
3.6
3.2
2.8
2.4
2
1.6
.1234
15
22
29
12 十 月
05
12
19
26
03
10
12 十 一 月
17
24
12 十 二 月
31
14
21
28
13 一 月
— 7 日間債券レポ利回り — Over Night Shibor 金利
(出所)ロイター
【表 2】金利市場変動幅:一週間の変動幅(%)
(環球金融市場部市場営業グループ)
1/21
1/22
1/23
1/24
1/25
1 日間レポ 1
日付
1.9397
1.9288
1.9481
2.0688
2.1074
7 日間レポ 1
2.9364
2.9803
2.9777
2.8355
2.6993
O/N Shibor
1.9580
1.9270
1.9409
2.0665
2.1030
3 ヶ月 Shibor
3.8861
3.8839
3.8800
3.8804
3.8831
(注)1. 加重平均レポ利回り
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BTMU(China)経済週報
2013 年 1 月 30 日 第 143 期
BTMU の中国調査レポート(2013 年 1 月)
„
「経済マンスリー」2013 年 1 月号
高成長期の終焉を示す 8%割れの経済成長
http://www.bk.mufg.jp/report/ecomon2013/index.htm
経済調査室
„
「経済レビュー:2013 年海外経済の展望」
2013 年からの中期のリスク~中国経済の失速
https://reports.btmuc.com/fileroot_bj/FILE/jpreport_chinese/121226_01.pdf
経済調査室
„
海外経済フラッシュ
中国:2012 年第 4 四半期 GDP は 7.9%へ加速、通年では 7.8%へ減速
https://reports.btmuc.com/fileroot_bj/FILE/jpreport_chinese/130124_01.pdf
経済調査室
„
ニュースフォーカス第 3 号(2013 施政方針)
香港政府「2013 年施政方針演説」
~安定の中での変化追求と市民への実質的奉仕~
https://reports.btmuc.com/fileroot_bj/FILE/jpreport_chinese/130124_02.pdf
経済調査室
„
BTMU 中国月報第 84 号(2013 年 1 月)
http://www.bk.mufg.jp/report/chi200401/113010101.pdf
国際業務部
以上
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