工業熱力学演習問題

工業熱力学演習問題
平成 26 年 1 月 16 日 (木)
各問題は 10 点。
【問題 1】
◦
非常に広い厚さ 150mm の板の裏面の温度を測ったところ 450 C であった。こ
の耐火壁の熱伝導率は λ=0.183W/mK である。板の表面には温度 50.0 の空気
が流れており、板と空気との熱伝達率は h =50.0W/m2 K とするとき,板 1m2
の表面から逃げてゆく熱量 W を求めよ.
【問題 2】
同じ厚さ 150mm で2つの板がある。1つは熱伝導率の大きな板 A、もう1
つは熱伝導率の小さな板 B である。この板を同じだけの熱が流れているとき、
板の裏表の温度の差はどちらが大きいか。理由を沿えて答よ。理由のない場
合には採点しない。
【問題 3】
ステンレス板の熱伝導率は、24.0W/mK である.最も大きな熱伝導率を持つ
物質は銀で 418W/mK である.この2つの材料の厚さ 12.0 mm の板があり、
板の表から裏に同じ熱流束 2.50kW/m2 が流れているとき、この2つの板の表
裏の温度差を求めよ。
工業熱力学演習問題解説
平成 26 年 1 月 16 日 (木)
【解説 1】
熱移動量 q は,それぞれの場所での熱移動を求めて,連立方程式として求める.
板内 q = λ2 (t1 − t2 )/ℓ
(1)
表面 q = h(tout − t1 )
(2)
ここで、tout ,t1 ,t2 は空気、板表面、板裏面、それぞれの温度である。すべての
t2 − tout
q は等しいので、簡単に q について解ける。これより,q =
である.
1/h + ℓ/λ
熱の移動量 476W/m2
【解説 2】
熱移動量 q は,フーリエの法則から求められる。熱伝導率 λ、熱移動量 q を
用いて、厚みが ℓ の板では
板 A : q = λA ∆tA /ℓ
板 B : q = λB ∆tB /ℓ
となる。q が同じであるので、λA /λB = ∆tB /∆tA であり、∆tB の方が大きい。
B の方が大きい。
【解説 3】
熱はフーリエの法則で、板の厚みを D とすると、
q = −k
dT
δT
= −k
dx
D
である。この式に2つの金属の厚みと熱伝導率を入れると、
δT = −
qD
k
となり、これに代入して計算する.
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◦
ステンレスの温度差 1.25 C、銀の温度差 0.0717 C