第93号(2010.8)PDFファイル323KB

平成 22(2010).8.1
兵庫県図書館協会「会報」№93
学校図書館支援を始めて
稲美町立図書館長
山本ひとみ
「何かできないだろうか?」教育政策部長の一声で始まった“学校図書館支援”について少しですが
お伝えしたいと思います。
平成 17 年より稲美町立図書館の指定管理者として 23 年 3 月で、2 期 6 年を終えようとしています。
設立した当初の目的にある「手の届かない人への子育て支援」「図書館に来ることのできない人への支
援」が大きなテーマでした。
当 NPO 法人の新たな受託事業の一つとして、兵庫県のふるさと雇用を活用しての「稲美町学校図書
室及び郷土資料活用事業」を、町内小学校 5 校・中学校 2 校で始めることになったのです。
支援員として新たに 2 名の方を採用し、図書館職員一同でかかわっています。当初、忙しい現場の先
生方からは「私達の負担が増えるならば困る」という意味のことも言われ、どう協力をしながら進めて
いけばいいのだろうと悩みましたが、近隣の図書館にもご指導をいただいたりしつつ、一つ一つ解決し
ています。
内容について…設置の目的は、より良い図書館環境を整備し、司書教諭の職務を軽減するために支援
員2名で各学校を巡回し、各学校で募集をした保護者及び地域の学校支援ボランティアの養成・指導を
することです。
① 学校図書館では、各校担当の先生により並べ方に特徴がありました。良い面もありますが、請求記
号順になっていないため、子どもたちの捜したい本が見つかりにくく、先生方からも「どうしたら
いいのだろう」と困っている声がありました。まず分類をしっかり整理しなおし、請求記号順に整
理をすることを提案しました。地道な作業ですが現在も進行中です。
② 季節に応じたディスプレイをすることで、児童の目に触れにくい本も手にとって見ることができ、
調べ学習においても大いに役立つようになりました。以前からも図書委員の児童がおすすめの本を
展示するなどディスプレイに取り組んでいる学校もありましたが、支援員と協力することで、子ど
もたち自身もレベルアップできるようになってきました。
③ 傷んだ本の修理は、各校予算の無い中大きな柱になっています。昨年、夏休みに各校の保護者及び
地域の学校支援ボランティアの方々に修理及びブックコーティングの講座を行い、その後は、各校
を回るときに随時行っています。本年も夏休みに講座を開催します。新しいボランティアの方々を
含め皆さん技術の向上にとても意欲的で、こちらが驚いています。
以上の内容を、学校支援ボランティアコーディネーターと協力しながら進めています。
他に、以前から行っていた団体貸出による“調べ学習”の資料提供も更に拡充をしています。更に、
小さな町の特性を生かし、各学校全クラスに“図書館の学級文庫”を作りました。“高・中・低学年”
に分けた箱を約一年単位で各学校をローテーションさせ、学校だけでは所蔵できない様々なジャンルの
本を届けることで“読書活動”に役立てています。
今年の新たな取組として、各方面の講師の方々の協力をいただき、読み聞かせなどのボランティア研
修講座を充実させていく予定です。
まだまだ検討課題も多々ありますが、教育委員会・学校・地域など皆さんと協力しながら取り組み、
県の補助事業が終わった後も、この事業が更に拡充されて継続されるように頑張っていきたいと願って
います。
平成 22(2010).8.1
兵庫県図書館協会「会報」№93
図書館活動功績者表彰を受けられた方の
「これからも大切にしたいこと」
目・耳・心・手
神戸市立東灘図書館 赤澤
朋子(あかざわ
ともこ)
東灘図書館は神戸市の地域図書館の中では一番古く、2フロアですがエレベーターもリフトもありま
せん。毎日両手いっぱいに本を抱えて階段を上ったり降りたり、なかなか体力を使います。
利用される方も不便だと思うのですが、時折聞く「階段しんどいね」という言葉は、クレームという
よりは共感を含んだ言い方であることが多いように感じます。実際に利用者の方も本を運んでいる職員
に道を空けてくださったり、ドアを開いて押さえてくださったりとお気遣いいただくこともたびたびで
す。
インターネットでの予約、メールでの連絡などができるようになり、直接利用者の方と職員が言葉を
交わす機会が少なくなっていますし、今後も減っていくのかもしれません。ですがこのような小さな「ふ
れあい」の機会は今後も大切にしていきたいと考えています。
「この15年をふりかえって」
尼崎市立北図書館
馬場 みどり(ばば
みどり)
私は視覚に障害があり、尼崎市に身体障害者事務職員として採用されました。図書館は、採用されて
から3箇所目の職場です。図書館に配属されたとき、「長く勤められるようがんばります。」と言った
ことを今でも昨日のことのように思い出します。
私の視力は、進行性の病気のため少しずつですが悪くなってきて、この15年の間でも出来ていた仕事
も出来なくなっていたりするのですが、同僚に助けてもらい、好きな図書館で15年も勤めることができ
ました。
主に障害者サービス業務を担当していますので、障害者の方々とふれあう機会もあって、サービスを
提供する側でありながら、みなさんのがんばっている姿に、逆に励まされたり勇気づけられたりして、
目が不自由なことくらい大したことではないと思えるようになりました。
この15年間、さまざまなことが思い出されますが、私はいつも同僚、そして利用者の方々にも支えて
もらいながら、勤めることができたと思います。これからも、できるだけ長く図書館に勤め、利用者に
喜ばれるサービスを提供するよう努めたいと思います。
「これまでの日々を振り返って」
猪名川町立図書館 横畑
明日香(よこはた
あすか)
図書館の仕事につき、早いもので 17 年の月日が経ちました。このたびは立派な賞状をいただき大
変恐縮しております。でもおかげで今までの日々を振り返るいい機会をいただきました。ありがとう
ございました。
念願の司書とはなったものの社会人としても、図書館員としても未熟な1年生だったあの頃から思
い返してみると、仕事でも個人的にもいろいろなことがありました。残念なことにどうも人間的には
あまり進歩していないような気もしますが、そこは開き直って年に見合った強さを身につけたと前向
きに考えましょうか…。
刻々と情況の変わる図書館界の中でめげずに助け合って共に働く仲間や、温かく見守ってくださる
利用者の皆様のおかげで今日までやってこられたという感謝の気持ちを忘れず、年数だけでみるとベ
テランの域にはいっているのだし、これからは恩返しができるように明るく、元気に、楽しく!をモ
ットーに図書館で頑張り続けたいと思います。
平成 22(2010).8.1
兵庫県図書館協会「会報」№93
「初心に帰る」
丹波市立中央図書館 大西
英幸(おおにし ひでゆき)
図書館に勤務し独立図書館の開館、合併にともなうシステム統合と図書館サービスの統一等を経験し
てきましたが、いつの間にか 15 年が過ぎてしまった気がします。
カウンター業務のなかでは、絵本を借りに来館していた子どもたちが、仕事や趣味に関する資料を借
りに来たのを見かけると、月日の流れを感じるとともに、図書館を利用していてくれることのうれしさ
を感じています。
今回、表彰していただいたことが初心に帰る良い機会となったといえます。評価される図書館には、
すばらしいサービスを提供できる職員がいるといわれています。日々の業務に追われるなかでも、図書
館を利用するすべての人に喜んでいただけるためには、いつも前向きなサービスが心掛けられる職員で
あること、そして、地域づくり、人づくりの拠点となる施設であるためには、プロとしての自覚とその
力量を持った職員になることを、意識しながら今後の業務に励みたいと思います。
三木市立青山図書館がオープンしました。
住所:三木市志染町青山3丁目 15-2
電話:0794-87-8000
三木市立青山図書館が、平成 22 年 6 月 19 日にオープンを迎えました。
青山図書館は、昨年 11 月に開館しました吉川図書館に続いて市内3番目の図書館となります。三木
市では、市民の方が身近な拠点で図書館サービスを受けていただけるよう、図書館の複数配置による
図書館サービス網の整備をすすめてきました。
青山図書館は公民館の一部を増改築して整備しましたが、面積は、増築、改築部分を合わせて 309 ㎡
で、蔵書は 4 万冊です。貸出に重点を置く図書館として予約の促進、市内の図書館等との相互利用を積
極的に進めていきたいと考えています。
図書館づくりにあたっては、だれもが気軽に立ち寄ることができる親しみのある図書館となるよう館
内のレイアウトや書架・家具の選択に留意しました。
開館後は、利用者から「広くなってよかった」
「たいへん便利だ」との声をかけていただいています。
(三木市立青山図書館長 近藤昌樹)
県
兵庫県立図書館
神戸市立図書館
内 図 書 館 の 動 き
平成 22(2010)年 4 月~
学校サポートプロジェクトの開始(6 月)
三宮図書館、須磨図書館に指定管理者制度を導入(4 月)
三宮図書館の開館時間を平日 21 時まで延長(4 月)
中央図書館と東灘図書館で IC タグ貼付を開始(6 月)
尼崎市立図書館 0~2 歳児とその保護者を対象とした「としょかん赤ちゃん応援事業」を開始
宝塚市立図書館 中山台分室業務を民間委託(4 月)
東公民館内に返却用ブックポストを設置(4 月)
川西市立図書館 視覚障がい者向けにデジタル録音図書再生機貸出(6 月)
大活字本コーナーの開設、バリアフリーDVD 上映会(7 月)
三田市立図書館 「前野博記念文庫」の新設(8 月)
播磨町立図書館 小学生のための調べ学習教室の開催(7 月)
第1回播磨町図書館を使った“調べ学習”コンクールの実施(9 月)
加西市立図書館 市長部局(総務部)での図書館運営開始(4 月)
たつの市立図書館 龍野図書館で貴重本「ミケランジェロ・ラ・ドッタマーノ」
「ちりめん本 日本昔噺全 20 巻、単発本 6 巻」
「三木露風 直筆書簡」の
一般公開(5~7 月、11 月)
相生市立図書館 第2次相生市子ども読書推進計画の策定(4 月)
赤穂市立図書館 祝日開館の正式実施(4 月)
兵庫県図書館協会「会報」№93
平成 22(2010).8.1
福崎町立図書館
洲本市立図書館
図書館システムの入替(4 月)
開館時間の延長(7・8 月)
図書館市民まつりの実施(10 月)
淡路市立図書館 システムとマークの統合(4 月)
絵本ワールド in ひょうご 2010 のご案内
開催日 : 平成 22(2010)年 11 月 13 日(土)、14 日(日)
場 所 : 神戸海星女子学院大学
(神戸市灘区青谷町2-7-1)
阪急「王子公園」駅またはJR「灘」駅下車、
北西へ徒歩約 13 分
内 容 : 絵本講演会 ・ 親子コンサート ・ ワークショップ(読み聞かせ、紙芝居、人形劇、パネルシアター、
布の絵本展示、腹話術、ペーパークラフトなど) 子どもの本展示即売会 ・ アトラクション
兵庫県図書館協会も主催者の一員として、運営に積極的に参画します。
皆様のご協力をよろしくお願いします。
協会からのお知らせ
兵図協からの表彰
○
平成 22 年度兵庫県図書館協会表彰(敬称略)
永年精勤 赤澤朋子・藤澤清隆・本田明香・大石里香(以上神戸)馬場みどり・福田千晶・
牧野由紀・宇都宮美佐子・中村多喜子(以上尼崎)松村良子(宝塚)横畑明日香・
森百合・竹田佳代(以上猪名川)大西恵美(三木)和田真由(小野)川上華奈(姫路)
大西英幸(丹波)重本ゆかり(新温泉)
平成 22 年度役員紹介
会 長
副会長
理 事
監
下野昌宏(県立)
脇内 亨(県立) 阪口幸子(神戸)徳田逸男(宝塚) 荻内和彦(加古川)
藤巴良夫(川西) 近藤昌樹(三木)北爪 猛(姫路) 小田茂代(福崎)
吉積 登(丹波) 梶原正博(朝来)東原正己(洲本) 中本正和(県議会)
事 木虎 正(三田) 福本美昭(佐用)
平成 22 年度予算
総額 1,462,742 円
事務局費
130,000
事 業 費
570,000
事業特別会計費 100,000
全公図分担金
42,000
予 備 費
620,742
平成 22 年度
大会・研究集会等の予定
○ 第 96 回全国図書館大会奈良大会
平成 22 年 9 月 16 日(木)~17 日(金) なら 100 年会館ほか
○ 全国公共図書館研究集会
サービス部門及び総合・経営部門(同時開催)
平成 22 年 11 月 9 日(火)~10 日(水) 富山市
児童・青少年部門
平成 22 年 11 月 18 日(木)~19 日(金) 高松市
兵庫県図書館協会「会報」№93
平成 22(2010).8.1
○ 近畿公共図書館協議会研究集会
平成 23 年 2 月(予定) 明石市
○ 兵庫県図書館協会研究集会
第 1 回 平成 22 年 12 月(予定) 尼崎市立中央図書館
第 2 回 平成 23 年 2 月(予定) 加古川市立中央図書館(予定)
○ 文科省・図書館地区別研修(近畿地区) 平成 23 年 1 月 25 日~28 日 京都市
「兵庫ゆかりのコレクション情報」調査について
県立図書館では、平成 21 年 6 月に、地域にゆかりのある人物及び事象に関わる特別コレクションの
調査を行い、県内の各図書館より多くの回答をいただきました。事務局では、この回答の中から、「兵
庫ゆかりのコレクション情報」に該当するものをいくつか選び、年度末に再度調査を行いました。
これらのコレクションにつきましては、今後、
「会報」やホームページなどで紹介する予定です。
兵庫県図書館協会会報 №93
平成 22(2010)年 8 月 1 日
編集・発行:兵庫県図書館協会
〒673-8533 明石市明石公園 1-27
兵庫県立図書館内
Tel 078-918-3366 Fax 078-918-2500
E-mail:[email protected]