THY 台灣通商法律事務所 Newsletter 2016.09-JP 本文の著作権は、台湾通商法律事務所により所有され、当所の書面許可なく、任意に使用してはならない。 労働者のストライキ権について(中) 客室乗務員のストライキ実施からみる労働者権利 (三) ストライキの効果 1. 合法的なストライキ (1) 合法的なストライキ期間は、労使双方による労働契約の権利義務履行 を一時的に中止する。(労働者は、一時的に労務の給付を中止する。 労働者が労務を提供しないため、使用者は、賃金の支払義務を免れる ことができる。) (2) 使用者は、労働者が合法的なストライキに参加若しくは支持すること を理由に、労働者の解雇・降格・減給又はその他の不利益な待遇をし てはならない。(労組法第 35 条)(詳細は、本文(下)にて)また、 合法的なストライキにより事業単位の生産が一時的に停滞しても、労 働基準法第 11 条第 3 款「不可抗力により一時的に 1 ヶ月以上業務を 停止するとき」の事情には当てはまらない。つまり、使用者は予告に より労働契約の終止をすることはできないということを意味する。1 2. 不法なストライキ 不法なストライキには、労働契約の権利義務の履行を一時的に中止する効 力は発生しない。従って、労働者がストライキに参加する(労務提供しな い)ことは労働契約違反になるため、使用者は、損害賠償の請求又は法に よる労働契約の終止をすることができる。 (四) その他 1. ピケライン(又はピケットライン)2 (1) ピケラインとは、労働組合(以下「労組」)がストライキをアピール するために、労争法第 54 条第 1 項に基づいてピケッティングを張る ラインを指す。労組によりその設置の投票が可決された後、使用者の 営業場所に隣接する区域に設けストライキへの支持を訴えるもので 故にピケラインの設置は、ストライキに付随する行為(ストライキの 効果を助長するもの)であって単独の争議行為ではない。 1 2 行政院労働者委員会、民国 78 年(1989 年)3 月 31 日付(78)台労資三字 06962 号書簡 行政院労働者委員会、民国 101 年(2012 年)8 月 20 日付労資 3 字第 1010126744 号書簡 本 Newsletter は、法律の原則に基づいて説明するものであり、具体的な案件に対する法律意見 を提供するものではありません。また、各案件により、その内容及び事実関連が異なり、考慮 される面も異なるため、具体案件に対する法律意見のご相談は、弊所へお問合せ下さい。 20160728/Newsletter/h, n 1 THY 台灣通商法律事務所 Newsletter 2016.09-JP 本文の著作権は、台湾通商法律事務所により所有され、当所の書面許可なく、任意に使用してはならない。 (2) ピケラインは、労組組合員による直接無記名投票を行い、全体の過半 数の同意を得なければ設置することができない。 (労争法第 54 条第 1 項) (3) 労組がピケラインを設置する場合、言論・標示(掲示)・座込み又は その他の団結行為などの方式で行うことができる。同時に労組は、ピ ケッティングの監視員と識別できる人員を派遣し、現場の秩序を維持 しなければならず、また人身安全・公共の秩序・交通安全及び衛生環 境の維持保護に注意するほか、関連法律規定を遵守する必要がある。 2. 争議の原則及び民事/刑事免責(労争法第 55 条) (1) 争議の原則:争議行為は、誠実信用(信義誠実)原則及び権利濫用禁 止原則により行わなければならない。 (2) 免責 免責 民事 規定 意義 使用者は、労組及びその組合員 労組が行う合法的な争議行為 が労争法により行う争議行為 は、たとえそのために使用者が ゆえに生じる損害を理由に、賠 経済上の損害を被っても、使用 償を請求することができない。 者は、労組及びその組合員に対 し損害賠償を主張することが できない。 刑事 労組及びその組合員が行う争 争議行為は、刑事法の構成要件 議行為は、刑法及びその他特別 とすべきであるが、争議行為の 刑法の構成要件とすべきであ 主体・目的・手段・手続きなど るが、正当性を有する場合、罰 に正当性を有する場合、違法性 しない。但し、暴力や脅迫によ を阻却することができる。争議 り他人の生命・身体が侵害を受 行為の行使が限度を超える場 ける又は侵害されるおそれを 合は、正当性を失う。 有するとき、適用しない。 ※現行の労争法には、使用者の争議行為(ロックアウトなど)につい ての民事/刑事上の責任の規定はない。 本 Newsletter は、法律の原則に基づいて説明するものであり、具体的な案件に対する法律意見 を提供するものではありません。また、各案件により、その内容及び事実関連が異なり、考慮 される面も異なるため、具体案件に対する法律意見のご相談は、弊所へお問合せ下さい。 20160728/Newsletter/h, n 2
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